JP4717612B2 - スプレー塗布用ホトレジスト組成物および積層体 - Google Patents
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Description
スピンコート法は、平坦な基板上に膜厚が均一なホトレジスト膜を形成するのに好適であるのに対して、スプレー塗布法は表面に凹凸を有する基板上に、該基板の凹凸に追従した凹凸形状を有するホトレジスト膜を形成するのに好適である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、基板の被塗布面に段部が形成されている場合であっても、スプレー塗布法により膜厚均一性が良好なホトレジスト膜を形成できるホトレジスト組成物、および段部を有する基板上に膜厚均一性が良好なホトレジスト膜が形成された積層体を提供することを目的とする。
本発明の第1の実施形態は、スプレー塗布により基板上にホトレジスト膜を形成する方法に用いられる化学増幅型ホトレジスト組成物であって、(A)活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物と、(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂と、ポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤及びポリエステル変性シロキサン界面活性剤からなる群より選択される1種以上の変性シロキサン系界面活性剤とを含有することを特徴とするスプレー塗布用ホトレジスト組成物である。
また本発明によれば、段部を有する基板上に膜厚均一性が良好なホトレジスト膜が形成された積層体が得られる。
〔界面活性剤〕
本発明のホトレジスト組成物には、変性シロキサン系界面活性剤(以下、単に界面活性剤ということもある)が含まれている。
変性シロキサン系界面活性剤としての変性基としてはアルキル基、アラルキル基、エステル基が挙げられ、具体的にはポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤、ポリエステル変性シロキサン系界面活性剤、アラルキル変性シロキサン系界面活性剤、アルキルアラルキル変性シロキサン系界面活性剤が好適に用いられる。
製品名を挙げるならば、例えば、ポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤としてはSF8416(東レ・ダウコーニング社製)、XL−121(クラリアント社製)、TSF4421(GE東芝シリコーン社製)、KF−412、KF−413、KF−414(いずれも信越化学工業社製);ポリエステル変性シロキサン系界面活性剤としてはBYK−310、BYK−315(いずれもビックケミー社製)、KF−910,X−22−715(いずれも信越化学工業社製);アラルキル変性シロキサン系界面活性剤としてはBYK−322,BYK−323(いずれもビックケミー社製);アルキルアラルキル変性シロキサン系界面活性剤SH203、SF8419(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、WACKER TN(旭化成ワッカーシリコーン社製)が挙げられる。
また、ポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤としては、変性ポリアルキルシロキサンが好適である。変性ポリアルキルシロキサンは、例えば、ポリジメチルシロキサンの側鎖の一部が水素で置換されたメチルハイドロジェンシリコーンの活性水素に、[A−O−(R―O−)n−X’](Aはアリル基を示し、X’は末端の置換基を示す。Rは炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、nは1〜20の整数である。)で表されるアリル変性ポリエーテルを付加して得られる化合物である。該末端の置換基X’は酢酸エステルから導かれる一価基(−OC−CH3)および/またはブチル基等のアルキル基であることが好ましい。
変性シロキサン系界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
ホトレジスト組成物中における変性シロキサン系界面活性剤の含有量は、界面活性剤を除く固形分合計に対して、界面活性剤の固形分が0.01〜1固形分/固形分(質量%)の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.50固形分/固形分(質量%)の範囲がより好ましい。
本発明のホトレジスト組成物における界面活性剤以外の成分組成は、特に限定されず、公知のホトレジスト組成物の成分組成を適用することができる。
本発明のホトレジスト組成物はポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。例えばポジ型またはネガ型の化学増幅型ホトレジスト組成物であってもよく、ジアゾナフトキノン−ノボラック樹脂系ポジ型ホトレジスト組成物であってもよく、重合型のネガ型ホトレジスト組成物であってもよい。
これらの中でもポジ型またはネガ型の化学増幅型ホトレジスト組成物が好ましい。
ネガ型の場合、ホトレジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂および酸発生剤とともに架橋剤が配合される。そして、ホトレジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、かかる酸が作用し、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ不溶性へ変化する。
ポジ型の場合、ベース樹脂は、いわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により酸発生剤から酸が発生すると、かかる酸が前記酸解離性溶解抑制基を解離させることにより、ベース樹脂成分がアルカリ可溶性となる。そのため、ホトレジストパターンの形成において、基板上に塗布されたホトレジスト組成物に対して選択的に露光すると、露光部のアルカリ可溶性が増大し、アルカリ現像することができる。
本発明においてはポジ型の化学増幅型ホトレジストがより好ましい。
まず、本発明のホトレジスト組成物の第1の実施形態として化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を説明する。
(A)活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物(以下、(A)成分という。
)は、酸発生剤であり、光により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されない。
具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物およびトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネート等の下記の一般式(I)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物;
ここで芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を指し、例えばフェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基などの複素環基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基などを1個以上有していてもよい。また、R9は炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
R8の一価〜三価の有機基としては、芳香族性化合物基が好ましく、特にR8が芳香族性化合物基、R9が低級アルキル基の化合物が好ましい。
R−SO2O−N=C(CN)− (1)
(式中、Rは置換もしくは無置換の、例えば炭素数1〜8のアルキル基またはアリ−ル基である)で表されるオキシムスルホネ−ト基を少なくとも2個有する化合物、特に、下記一般式(2):
R−SO2O−N=C(CN)−A−C(CN)=N−OSO2−R (2)
(式中、Aは二価の、例えば置換または未置換の炭素数1〜8のアルキレン基または芳香族性化合物基であり、Rは置換もしくは無置換の、例えば炭素数1〜8のアルキル基またはアリ−ル基である)で表される化合物が好ましい。
ここで芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を指し、例えばフェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基などの複素環基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基などを1個以上有していてもよい。さらに前記一般式においてAがフェニレン基、Rが例えば炭素数1〜4の低級アルキル基であるのがさらに好ましい。
また、(A)成分の配合量は、(B)成分100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部とされる。0.1質量部以上とすることにより、十分な感度が得られる様になり、20質量部以下とすることにより溶剤に対する溶解性がよく、均一な溶液が得られ、保存安定性が向上する傾向がある。
(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(以下、(B)成分という。)は、化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物に用いられる樹脂成分であれば特に限定することなく用いることができる。
その中でも、現像性、解像性、耐メッキ液性に優れ、ホトレジストパターン及びメッキによる生成物の形状が良好でかつ安定し、接続端子等の製造に好適であることから、下記一般式(III)で表される構成単位を含む樹脂(以下、(b1)成分という。)および下記一般式(VI)で表される構成単位を含む樹脂(以下、(b2)成分という。)からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
なお、「構成単位」とは、重合体を構成するモノマ−単位を示す。
(b1)成分は、下記一般式(III)で表される構成単位を有する。
上記一般式(III)において、R1は水素原子又はメチル基である。
R2は、酸不安定基である。酸不安定基としては種々選定されるが、特に下記式(IV)又は(V)で示される基、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラフラニル基、又はトリアルキルシリル基であることが好ましい。
さらに、(b1)成分には、物理的、化学的特性を適度にコントロ−ルする目的で他の重合性化合物から誘導される構成単位を含むことができる。ここで「他の重合性化合物」とは、前出の一般式(III)で表される構成単位以外の重合性化合物の意味である。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基およびエステル結合を有するメタクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物;メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸アリ−ルエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物を挙げることができる。
なお、(メタ)アクリレ−トはメタクリレートとアクリレートの一方あるいは両方を示す。(メタ)アクリル酸はメタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を示す。
(b1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準、以下同様。)は、特に限定するものではないが、1000〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、1000〜5000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、ホトレジストとして用いるのにより好ましいホトレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やホトレジストパターン断面形状がより良好である。
(b2)成分は、下記一般式(VI)で表される構成単位を有する樹脂である。
上記一般式(VI)において、R3は水素原子又はメチル基である。
R4で示される低級アルキル基は、直鎖状及び枝分かれ状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基などが挙げられるが、これらの中で、高コントラストで、解像度、焦点深度幅などが良好な点から、炭素数2〜4の低級アルキル基が好適である。
単環式炭化水素環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等を例示することができる。
多環式炭化水素環としては2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環等を例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の多環式炭化水素環などが挙げられる。
Xが、それが結合している炭素原子と共に形成する、炭素数5乃至20の炭化水素環としては、上記のうち特にシクロヘキサン環、アダマンタン環が好ましい。
エ−テル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−エトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、メトキシトリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、3−メトキシブチル(メタ)アクリレ−ト、エチルカルビト−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、メトキシポリプロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ−ト等のエ−テル結合およびエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−エトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、メトキシトリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−トである。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
この様な重合性化合物としては、上記(b1)成分における他の重合性化合物の具体例として挙げたのと同様の、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。
(b2)成分が、エ−テル結合を有する重合性化合物から誘導される構成単位を含む場合、その含有割合は(b2)成分を構成する全構成単位に対して10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜70モル%が最も好ましい。該下限値以上とすることによって、該構成単位を含有させることによる効果が良好に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(b2)成分の質量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、10000〜500000が好ましく、50000〜450000がより好ましく、150000〜400000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、ホトレジストとして用いるのに充分なホトレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きい、耐ドライエッチング性やホトレジストパターン断面形状が良好である。
本実施形態のポジ型ホトレジスト組成物には、物理的、化学的特性を適度にコントロ−ルするために、さらに、(C)アルカリ可溶性樹脂(以下、(C)成分という。)を含有させることが好ましい。
この(C)成分としては、従来化学増幅型ホトレジストにおけるアルカリ可溶性樹脂として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。これらのうち、特に、(c1)ノボラック樹脂、(c2)ヒドロキシスチレン構成単位とスチレン構成単位とを有する共重合体、(c3)アクリル樹脂、及び(C4)ビニル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含有することが好ましく、さらに、(c1)ノボラック樹脂及び/または(c2)ヒドロキシスチレン構成単位とスチレン構成単位とを有する共重合体を含有することが好ましい。これは、塗布性、現像速度を制御することが容易であるからである。
(c1)成分であるノボラック樹脂は、例えばフェノ−ル性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノ−ル類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際、使用されるフェノ−ル類としては、例えばフェノ−ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、o−エチルフェノ−ル、m−エチルフェノ−ル、p−エチルフェノ−ル、o−ブチルフェノ−ル、m−ブチルフェノ−ル、p−ブチルフェノ−ル、2,3−キシレノ−ル、2,4−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、2,6−キシレノ−ル、3,4−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル、3,4,5−トリメチルフェノ−ル、p−フェニルフェノ−ル、レゾルシノ−ル、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエ−テル、ピロガロ−ル、フロログリシノ−ル、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノ−ルA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフト−ル、β−ナフト−ル等が挙げられる。
またアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、フルフラ−ル、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
特に、フェノ−ル類としてm−クレゾ−ルのみを用いたノボラック樹脂は、現像プロファイルが特に良好であり好ましい。
(c1)成分の好ましい質量平均分子量は、例えば3,000〜50,000である。
(c2)成分は、少なくともヒドロキシスチレン構成単位とスチレン構成単位とを有する共重合体である。すなわち、ヒドロキシスチレン構成単位とスチレン構成単位とからなる共重合体や、ヒドロキシスチレン構成単位及びスチレン構成単位とそれら以外の構成単位とからなる共重合体である。
スチレン構成単位としては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
(c2)成分の好ましい質量平均分子量は、例えば1,000〜30,000である。
(c3)成分であるアクリル樹脂は、アルカリ可溶性のアクリル樹脂であれば特に限定されないが、特に、エ−テル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、およびカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有することが好ましい。
エ−テル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合およびエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
なお、(メタ)アクリレートはメタクリレートとアクリレートの一方あるいは両方を示す。(メタ)アクリル酸はメタクリル酸とアクリル酸の一方あるいは両方を示す。
これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
(c3)成分の好ましい質量平均分子量は、例えば10000〜800000、好ましくは30000〜500000である。
(c4)成分であるビニル樹脂は、ポリ(ビニル低級アルキルエ−テル)であり、下記一般式(VII)で表されるビニル低級アルキルエ−テルの単独または2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体からなる。
(c4)成分の好ましい質量平均分子量は、例えば10000〜200000、好ましくは50000〜100000である。
ポジ型ホトレジスト組成物には、ホトレジストパタ−ン形状、引き置き安定性等の向上のために、さらに(D)酸拡散制御剤(以下、(D)成分という。)を含有させることが好ましい。
(D)成分としては、従来化学増幅型ホトレジストにおける酸拡散制御剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。特に、(d1)含窒素化合物を含有させることが好ましく、さらに必要に応じて、(d2)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
(d1)成分である含窒素化合物としては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリベンジルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、4−メチルイミダゾ−ル、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
これらのうち、特にトリエタノ−ルアミンのようなアルカノ−ルアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d1)成分は(B)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適であり、特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d2)成分は、(B)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
また、(d2)成分は、(d1)成分に対して同量用いられることが好ましい。これは、(d2)成分と(d1)成分とが塩を形成して安定化するためである。
これら揮発性の高い有機溶剤の配合量は、ポジ型ホトレジスト組成物に含まれる有機溶剤全体のうちの10〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜60質量%が最も好ましい。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、ホトレジスト組成物の固形分濃度が5〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が最も好ましい。該固形分濃度が上記の下限値以上であればスプレー塗布する際に良好な塗布性が得られ、上限値以下であれば、スプレー塗布する際に良好な塗布性が得られる。
次に、本発明のホトレジスト組成物の第2の実施形態として、化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物を説明する。
本実施形態の化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物は、(A)活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)(B’)ノボラック樹脂、(C’)可塑剤、(E)架橋剤、および上記界面活性剤を含有する。
本実施形態における(A)成分としては、光により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されない。前記第1の実施形態のポジ型化学増幅型ホトレジスト組成物における(A)成分と同様の化合物を用いることができる。
特に、トリアジン化合物は光による酸発生剤としての性能が高く、かつ溶剤を用いる場合においても溶解性が良好であることから好ましく用いることができる。中でも、ブロモ含有トリアジン化合物、とくに2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリル−s−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネートが好適に使用できる。
本実施形態における(A)成分の配合量は、(A)、(B’)、(C’)、および(E)成分の総和100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましく、0.1〜1質量部がさらに好ましい。(A)成分が0.01質量部以上であると、熱や光による架橋硬化が十分に行われ、得られたホトレジスト膜の耐メッキ性、耐薬品性、密着性を向上させることができる。10質量部以下にすることにより、現像時の現像不良の発生を抑制することができる。
本実施形態における(B’)ノボラック樹脂は、好ましくはアルカリ可溶性のものである。
このような(B’)ノボラック樹脂は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、pーフェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
また、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒として、特に限定されるものではないが例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
(B’)ノボラック樹脂の配合量は(A)、(B’)、(C’)、および(E)成分の総和100質量部に対して50〜95質量部が好ましく、65〜80質量部がより好ましい。(B’)成分を上記範囲とすることにより、現像時の現像不良の発生を抑制する効果が得られる。
(C’)可塑剤は、エチレン性二重結合を有する重合体等が挙げられ、中でもアクリル系ポリマーまたはビニル系ポリマーを採用するのが好ましい。
以下、(C’)成分としてアクリル系ポリマーまたはビニル系ポリマーを用いた例について説明する。
エーテル結合を有する重合性化合物およびカルボキシル基を有する重合性化合物の具体例としては、上記第1の実施形態における(c3)アクリル樹脂のモノマーとして例示したものと同様のものが挙げられる。
90モル%以下にすることにより、(B’)ノボラック樹脂溶液に対する相溶性を向上させることができ、プリベイク時にベナードセル(重力もしくは表面張力勾配等によって塗膜表面に生じる不均一性を有する五〜七角形のネットワークパターン)の発生を抑制し、均一なホトレジスト膜が得ることができる。30モル%以上にすることにより、メッキ時のクラックを抑制できる。
10,000以上にすることにより、ホトレジスト膜が十分な強度を有し、メッキ時のプロファイルの膨れ、クラックの発生を抑制できる。800,000以下にすることにより、密着性、剥離性を向上させることができる。
ここで「他のラジカル重合性化合物」とは、前出の重合性化合物以外のラジカル重合性化合物の意味である。
この様なラジカル重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等などの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物などを用いることができる。
これらの化合物は単独、もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち特に、n−ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレートなどが好ましい。アクリル系ポリマーに占める他のラジカル重合性化合物から誘導された構成単位の割合は5〜60モル%好ましく、より好ましくは5〜40モル%である。
これらのうち特に、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
アクリル系ポリマーを合成する際に用いられる重合触媒としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどの有機過酸化物などが使用できる。
なお、ここでいうビニル系ポリマーとは、ビニル系化合物から得られる重合体である。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリマレイン酸イミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノールおよびそれらの共重合体等が挙げられる。これらの樹脂の中では樹脂側鎖または主鎖にカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基等を有するものがアルカリ現像可能なため好ましい。特に、カルボキシル基を有する樹脂は高アルカリ現像性なので好ましい。
また、ビニル系ポリマーの質量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましく、50,000〜100,000がより好ましい。
前記(C’)成分を5質量部以上とすることにより、メッキ時にホトレジストの浮き、クラックの発生等を抑制することができ、耐メッキ液性を向上させることができる。30質量部以下にすることにより、形成されるホトレジスト膜の強度が向上し、膨れなどにより鮮明なプロファイルが得られず、解像度が低下する傾向を抑制できる。
(E)成分としては、アミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を用いることができるが、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、具体的にメトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。
アルコキシメチル化アミノ樹脂の好ましい質量平均分子量は、例えば100〜500である。
アルコキシメチル化アミノ樹脂は単独、または2種以上を組合わせて用いることができる。
特にアルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するホトレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したホトレジストパターンを形成できて好ましい。中でも、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂およびブトキシメチル化メラミン樹脂から選ばれる1種以上が好適である。
本実施形態において、有機溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、ホトレジスト組成物の固形分濃度が、上記第1の実施形態と同様の好ましい範囲となるように設定することが好ましい。
(D)成分としては、従来化学増幅型ホトレジストにおける酸拡散制御剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。特に、(d1)含窒素化合物を含有させることが好ましく、さらに必要に応じて、(d2)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
(d2)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体の具体例としては、上記第1の実施形態における(d2)成分と同様のものが挙げられる。
(d1)成分は(B’)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
(d2)成分は、(B’)成分を100質量%とした場合、通常0〜5質量%の範囲で用いられ、特に0〜3質量%の範囲で用いられることが好ましい。
また、第1の実施形態と同様に(d2)成分は、(d1)成分に対して同量用いられることが好ましい。
使用される接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が有効である。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体例としてはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
その配合量は、(B’)ノボラック樹脂100質量部当たり20質量部以下が好ましい。
さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒を添加することもできる。
上記のアルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうための化合物の使用量は、用途等に応じて適宜調整することができ、組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、得られる組成物に対して60質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
着色剤としては、アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料が挙げられる。
また、粘度調整剤としては、ベントナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末などを挙げることができる。これらの添加剤は、組成物の本質的な特性を損なわない範囲、好ましくは、得られる組成物に対して、50質量%以下である。
また、(A)酸発生剤と、(B”)アルカリ可溶性樹脂と、(E)架橋剤を必須成分として含み、(B”)アルカリ可溶性樹脂として、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂を用いたネガ型ホトレジスト組成物は、膨潤の少ない良好なホトレジストパターンを形成できる点で好ましい。
なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
(E)架橋剤として、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なホトレジストパターンが形成でき、好ましい。前記架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部の範囲が好ましい。
(A)酸発生剤は第2の実施形態と同様である。
本発明のホトレジスト組成物は、被塗布面に段部が設けられている基板上に、スプレー塗布により基板上にホトレジスト膜を形成する方法に特に好適である。基板の被塗布面とはホトレジスト組成物が塗布される面であり、通常は基板の表面全面である。
図1に示すように、本発明における段部1は、上面1aと底面1cとの間に、これらの面に対して斜めの側面1bが存在する形状を指す。上面1a、側面1b、および底面1cは平坦面からなる。
段部1の段差Hは段部1の上面1aに対して垂直な方向における、上面1aから底面1cまでの距離である。本発明において基板の被塗布面における段部1の段差Hは10〜1000μmの範囲が好ましい。段差Hが10μm以上であると本発明のホトレジスト組成物を用いることによる効果が十分に発揮される。
段部1の上面1aと側面1bとがなす角度θは90°以上である。θが90°に近いほど、従来のホトレジスト組成物における段部1の角でホトレジスト膜の膜厚が局部的に薄くなるという問題が顕著になる。本発明のホトレジスト組成物を用いることによる効果が十分に発揮されるθの範囲は、好ましくはが90°以上180°未満であり、より好ましくはが100°以上180°未満である。
本発明の積層体は、図1に示すように、被塗布面に上記範囲の段差Hを有する段部1が設けられている基板上に、本発明のホトレジスト組成物からなるホトレジスト膜2が形成された積層体である。本発明の積層体において、段部1の上面1aおよび側面1bはホトレジスト膜2で連続的に覆われている。
本発明において、上記膜厚(T1)および(T2)は、段部1の断面の電子顕微鏡写真を用いて、以下の手順で求められる値とする。
次に、点Oを起点とし、段部1の上面1aに沿って30μmおきの等間隔で少なくとも3個以上の測定点を決め、各測定点における段部1の上面1a上のホトレジスト膜2の膜厚t1、t2、t3…を測定する。そして、得られた各膜厚t1、t2、t3…の平均値を「段部の上面における膜厚(T1)」とする。
次いで、L1上において、点Oから段部1の外方へ[(T1)/2]だけ離れた点をXとする。この点Xを通り、L1に垂直な直線L3を設け、この直線L3とホトレジスト膜2の表面とが交わる点をYとする。そして、点Yを通り直線L2に垂直な直線L4を設ける。
直線L4と段部1の表面とが交わる点をZとし、点Zから点Yまでの距離を「段部の上面と側面との境界部における膜厚(T2)」とする。
なお段部の上面における各膜厚t1、t2、t3…を測定する際の起点、および[(T1)/2]だけ離れた点Xを決めるための起点は、段部の角の頂点が最も好ましいが、段部の角が丸みを帯びている場合は、起点が一義的に定まらないため、上記延長線L1とL2の交点Oを起点としたものである。段部の角が鋭角で断面において頂点が存在する場合、点Oは該頂点と一致する。
すなわち、本発明のホトレジスト組成物は、これを用いてスプレー塗布法によりホトレジスト膜を形成すると、基板上に段部が設けられている場合であっても、上記[(T2)/(T1)]が75%以上という、膜厚の均一性に優れたホトレジスト膜を形成することができる。また、基板の表面が平坦な場合にも膜厚の均一性に優れたホトレジスト膜を形成することができる。
その理由は定かではないが、ホトレジスト組成物に上記特定の界面活性剤を含有させたことにより、基板上に塗布されたホトレジスト膜において、段部の角のような平坦でない部分でも均一な膜厚が保たれるような、表面張力の好適なバランスが得られるためと推測される。
従来より、スピンコート法で塗布するホトレジスト組成物において、中央から放射状に筋が発生するストリエーションを防止する目的で界面活性剤を添加することが知られていたが、このスピンコート法における膜表面の平坦性向上効果と、スプレー塗布法における段部での膜厚均一性の向上効果とは、異なる作用効果である。すなわち、スプレー塗布法に用いられるホトレジスト組成物に、上記特定の界面活性剤を添加することにより、段差基板の角部における膜厚均一性が向上することは、従来の知見からは予測できない驚くべき効果である。
本発明の積層体を用いてホトレジストパターンを形成する方法は、特に限定されず、ホトレジスト膜を選択的に露光する工程、および露光後にホトレジスト膜をアルカリ現像してホトレジストパターンを形成する工程を含む公知のホトレジストパターン形成方法を適宜用いることができる。
例えば、以下の手順でホトレジストパターンを形成することができる。
上記積層体のホトレジスト膜に、所定のパターンのマスクを介して、活性光線、または放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を照射して選択的露光を行う。これら活性光線、または放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。
ここで、活性光線とは、酸を発生させるために、酸発生剤を活性化させる光線を意味する。また放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線、イオン線などを意味する。活性光線または放射線の照射量は、ホトレジスト組成物中の各成分の種類、配合量、ホトレジスト層の膜厚などに応じて適宜設定することができる。
そして選択的露光を行った後、好ましくは加熱処理(PEB処理)を行うことにより、適度に酸発生剤から発生する酸を拡散させる。
選択的露光を行った後、アルカリ現像液を用いて現像する。
ポジ型ホトレジスト組成物を用いてホトレジスト膜を形成した場合は、現像液により、ホトレジスト膜の露光部分が溶解し、除去されることによりホトレジストパターンが形成される。
ネガ型ホトレジスト組成物を用いてホトレジスト膜を形成した場合は、現像液により、ホトレジスト膜の未露光部分が溶解し、除去されることによりホトレジストパターンが形成される。
また、アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像時間は、条件によって異なるが、例えば通常1〜30分間程度である。
現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンなどを用いて風乾させたり、オーブン中で乾燥させると好ましい。
[合成例1]<(b2)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂の合成>
攪拌装置、還流器、温度計、滴下槽のついたフラスコを窒素置換した後、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを仕込み、攪拌を始めた。その後、溶剤の温度を80℃まで上昇させた。滴下槽に重合触媒として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、モノマーとして1−エチルシクロヘキシルメタクリレート50質量%および2−エトキシエチルアクリレート50質量%を仕込み、重合触媒が溶解するまで攪拌した後、この溶液をフラスコ内に3時間均一滴下し、引き続き80℃で5時間重合を行った。その後、室温まで冷却し、(b2)成分としての樹脂を得た。
この樹脂に対して分別処理を施し、以下のように質量平均分子量の異なる2種類の樹脂(b2−1)、(b2−2)を得た。
(b2−1):質量平均分子量250,000
(b2−2):質量平均分子量350,000
<(c1)ノボラック樹脂の合成>
m−クレゾールとp−クレゾールとを質量比60:40の割合で混合し、これにホルマリンを加え、シュウ酸触媒を用いて常法により縮合してクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、低分子領域をカットして質量平均分子量15,000のノボラック樹脂を得た。この樹脂を(C−1)とする。
[合成例3]
<(c2)ヒドロキシスチレン構成単位とスチレン構成単位とを有する共重合体の合成>
モノマーとして、ヒドロキシスチレン75質量%とスチレン25質量%とを用いたほかは、合成例1と同様にして、質量平均分子量3,000の樹脂(C−2)を得た。
モノマーとして、2−メトキシエチルアクリレート130質量部、ベンジルメタクリレート50質量部、およびアクリル酸20質量部を用いたほかは、合成例1と同様にして、質量平均分子量250,000の樹脂(C−3)を得た。
[合成例5]<(c4)ビニル樹脂の合成>
ポリ(ビニルメチルエーテル)(質量平均分子量50,000)のメタノール溶液(東京化成工業(株)製、濃度50質量%)をロータリーエバポレーターを用いてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶媒置換して、濃度50質量%の溶液として(C−4)を得た。
表1、2に示す各成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に混合して均一溶液とした後、孔径1μmのメンブレンフィルターを通して濾過した。これにアセトンを加えて希釈して化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を得た。
(A)成分である酸発生剤としては、以下の2種類を用いた。
(A−1):2,4−ビス(トリクロロメチル)−6ピペロニル−1,3,5−トリアジン
(A−2):下記化学式(VIII)で表される化合物
界面活性剤としては、(E−1):SF8416(製品名、東レ・ダウコーニング社製)および(E−2):BYK−315(製品名、ビックケミー社製)を用いた。なお、界面活性剤は溶液として提供されるが、表中の数字は界面活性剤の溶液中の固形分の質量である。
界面活性剤を添加しない他は、実施例1,3とそれぞれ同様にして化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。すなわち、表1、2に示す組成の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を得た。
界面活性剤を(E−3):アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩(製品名:ニューコール210、日本乳化剤社製)に変更した他は、実施例1,3とそれぞれ同様にして化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。すなわち、表1、2に示す組成の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を得た。なお、界面活性剤は溶液として提供されるが、表中の数字は界面活性剤の溶液中の固形分の質量である。
実施例1〜4および比較例1〜4のホトレジスト組成物を、表面に段部が設けられた基板の表面上に、スプレー塗布装置(SUSS MicroTec社製、製品名Delta Alta Spray)を用い、スプレー塗布してホトレジスト膜を形成した。
基板としては、4インチのシリコンウェーハ上に、段部を有するシリコン層が設けられたものを用いた。段部の上面、側面、および底面はいずれも平坦であり、段部の段差Hは300μm、段部の上面と側面とがなす角度θは120°であった。
得られたホトレジスト膜について、上述の測定方法により、段部の上面における膜厚(T1)、および段部の上面と側面との境界部における膜厚(T2)を測定し、T1に対するT2の割合[(T2)/(T1)](単位%)を求めた。
実施例1〜4、比較例1〜4のホトレジスト組成物を用いて形成されたホトレジスト膜は、いずれも段部の上面および側面を連続的に覆うものであった。T1、T2、および[(T2)/(T1)]の測定結果を下記表3に示す。
2 ホトレジスト膜
Claims (4)
- スプレー塗布により基板上にホトレジスト膜を形成する方法に用いられる化学増幅型ホトレジスト組成物であって、
(A)活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物と、
(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂と、
ポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤及びポリエステル変性シロキサン界面活性剤からなる群より選択される1種以上の変性シロキサン系界面活性剤とを含有することを特徴とするスプレー塗布用ホトレジスト組成物。 - 前記基板の被塗布面に段部が設けられている請求項1記載のスプレー塗布用ホトレジスト組成物。
- 被塗布面に段差10〜1000μmの段部が設けられている基板上に、変性シロキサン系界面活性剤を含有する化学増幅型ホトレジスト組成物からなるホトレジスト膜が形成された積層体であって、
前記化学増幅型ホトレジスト組成物は、(A)活性光線又は放射線照射により酸を発生する化合物と、(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂と、ポリアルキル変性シロキサン系界面活性剤及びポリエステル変性シロキサン界面活性剤からなる群より選択される1種以上の変性シロキサン系界面活性剤とを含有し、
前記段部の上面及び側面が前記ホトレジスト膜で連続的に覆われており、
前記ホトレジスト膜の、前記段部の上面における膜厚が1〜40μmであり、かつ前記段部の上面と側面との境界部における膜厚が、該境界部に隣接する上面における膜厚の75%以上であることを特徴とする積層体。 - 上記段部における上面と側面とがなす角度が90°以上180°未満である請求項3記載の積層体。
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