JP2015079436A - ガラス基板の切断方法およびこれを用いたタッチパネルセンサー基板の製造方法、タッチパネルセンサー基板 - Google Patents

ガラス基板の切断方法およびこれを用いたタッチパネルセンサー基板の製造方法、タッチパネルセンサー基板 Download PDF

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保浩 檜林
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Abstract

【課題】
複数のタッチパネルセンサーを形成した化学強化ガラス基板から、高品質で生産性を低下させること無く切断して、単一のタッチパネルセンサー基板を製造、供給することを目的とする
【解決手段】
オン交換により化学強化されたガラス基板50の一方の面に、複数のタッチパネルセンサーと、前記複数のタッチパネルセンサー10の外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域40とを形成し、その後、前記切断予定領域40で切断することを特徴とするガラス基板の切断方法である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、タッチパネルセンサーを形成したカバーガラス基板の切断方法及びこれを利用したタッチパネルサンサー基板の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話機や、携帯情報端末などの電子機器の操作部にはタッチパネルが採用されている。タッチパネルには、フィルムタイプとガラスタイプがある。フィルムタイプには、軽量・割れにくい、製造コストが安い、柔軟性があるので他の表示装置やカバーガラスと貼り合せる際に気泡を除去し易く貼り合せ易いというメリットがあるものの、フィルムの光透過率がガラスに比べて低いことや、フィルム上に形成された配線パターンの位置精度がガラスに比べて劣るので、引き出し配線20を覆う額縁部6が大きくなり、表示エリアが狭くなるという問題や、表面の平滑性の差により、ガラスタイプより見栄えが悪いという問題がある。高精細で低消費電力が要求されるスマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯端末等の小型品では、ガラスタイプが多く使用されている。(特許文献1参照)
携帯電話などで使用されているタッチパネルセンサーは、一般的に大型ガラス基板上に額縁部、引き出し配線、X方向用及びY方向用の2層の透明電極、2層の透明電極間の絶縁層、表面の保護層が多面付けで形成された後、1ピースごとの個片基板に切断されている。個片に切断されたタッチパネルセンサーは、破損防止のためのカバーガラスと、透明粘着シート(Optical Clear Adhesive;OCA)等を介して貼り合わせて使用するのが一般的である。なおカバーガラスには、デザイン性や周辺部の配線などを隠すために遮光性の高い材料からなる額縁部が形成することができる。
カバーガラスは最表面となる前面板であり、SiOと、Alと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物を含むアルミノシリケートガラスを強化処理したものが一般的に用いられる。ガラスの強化処理には、ガラス表面を軟化点付近まで加熱した後に急冷する物理強化(風冷強化)とガラス内部のアルカリイオンをより粒径の大きいアルカリイオンに交換する化学強化とがあるが、携帯電話に使用される1mm以下の薄板では表面と内部の温度差がつきにくいために物理強化は不適であり、化学強化が一般的に利用されている。
ガラスの化学強化は、ガラス転移点以下の溶融塩にガラスを浸漬することにより、ガラス内部のアルカリイオンをよりイオン半径の大きなアルカリイオンと交換することにより、イオン半径の違いで圧縮応力をガラス表面に発生させる方法である。ガラス表面に圧縮応力を発生させることにより、ガラス表面に発生したキズに引っ張り応力が集中することを防ぐためにガラスの強度が向上する。
しかしながら化学強化されたガラスは、切断の際に強度から切断しにくいこと、及び大きな圧縮応力に起因して不規則に割れてしまうために切断が困難であるという問題点がある。そのため、強化処理前の大型ガラス基板を小型のガラス基板に切断した後、強化処理を行ない、焼成後、小型の強化ガラス基板を得るという方法が提案されている。(特許文献2)しかしながら、本方法では、切断後に化学強化を行うために生産性が低下する問題点がある。
近年、薄膜・軽量化のためにカバーガラス自体にタッチパネルセンサーを形成する所謂
カバーガラス一体型タッチパネルが広がりつつある。しかしながらカバーガラス一体型タッチパネルにおいて、強化ガラスを用いたカバーガラスを切断する必要があるために歩留りが低下するという問題がある。また、特許文献2に記載の方法を用いても、額縁部や配線材料などが強化処理液(溶融塩)に対する耐薬品性及び約300℃以上の耐熱性が必要となるため、カバーガラス一体型タッチパネルへの適用は困難である。
特開2009−69321号公報 特開2012−148957号公報
本発明の目的は、複数のタッチパネルセンサーを形成した化学強化ガラス基板から、高品質で生産性を低下させること無く切断して、単一のタッチパネルセンサーを製造することである。
請求項1に係る発明は、イオン交換により化学強化されたガラス基板の一方の面に、複数のタッチパネルセンサーと、前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体層から成る切断予定領域とを形成し、その後、前記切断予定領域で切断することを特徴とするガラス基板の切断方法である。
請求項2に係る発明は、前記タッチパネルセンサーは透明電極を有し、前記透明電極と前記切断予定領域とが同じ酸化物半導体からなることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の切断方法である。
請求項3に係る発明は、前記酸化物半導体は、ITO(Indium Tin Oxide)であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板の切断方法である。
請求項4に係る発明は、前記酸化物半導体は、引張応力を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス基板の切断方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス基板の切断方法を用いて形成されたことを特徴とするタッチパネルセンサー基板である。
請求項6に係る発明は、イオン交換により化学強化されたガラス基板の一方の面に、透明電極を有する複数のタッチパネルセンサーを形成する工程と、
前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域を形成する工程と、
前記切断予定領域を切断する工程とを含むことを特徴とするタッチパネルセンサー基板の製造方法である。
請求項7に係る発明は、前記複数のタッチパネルセンサーの透明電極を形成する工程と、前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域を形成する工程とは、同一材料を用いて同一工程で成されることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルセンサー基板の製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記酸化物半導体は、ITO(Indium Tin Oxide)であることを特徴とする請求項5または6に記載のタッチパネルセンサー基板の製
造方法である。
請求項9に係る発明は、前記酸化物半導体は、引張応力を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のタッチパネルセンサー基板の製造方法である。
イオン交換により化学強化されたガラス基板は、表面に圧縮応力を持つために、前記ガラス基板を従来の方法で切断すると、ガラス基板の表面に有する圧縮応力により、細かく不規則に割れてしまう。これに対して、本発明によれば、切断予定領域である複数のタッチパネルセンサーの外周部に、引張応力を有する酸化物半導体層を備えることにより、圧縮応力を相殺させてガラス基板の強度を弱めることができる。すなわち、引張応力を有する酸化物半導体層の効果により、切断を容易にし、圧縮応力に起因する不規則な割れを防止することができる。
また、前記複数のタッチパネルセンサーの透明電極を形成する工程と、前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域を形成する工程とにおいて、同一の酸化物半導体を用いて同一工程で同時に形成することができ、生産性の向上が図れる。
本発明の実施形態に係るタッチパネルセンサーの一例を示す平面模式図。 本発明の実施形態に係る透明電極の一例を示す平面模式図。 本発明の実施形態に係る複数のタッチパネルセンサーが形成されたイオン交換により化学強化されたガラス基板の一例を示す平面模式図。
本発明におけるタッチパネルセンサーを形成したガラス基板の切断方法およびそれを用いて製造されるタッチパネルセンサーについて、その実施例に係る詳細を説明する。なお、本発明のタッチパネルセンサーを形成したガラス基板はその要旨を超えない限り以下の構成に限定されるものではない。
本発明に係るタッチパネルセンサー基板は、1種類以上のアルカリ金属を含むガラス基板を、少なくとも一方の面に1種類以上のアルカリ金属を含む溶融塩と接触させてイオン交換処理して得られる化学強化されたガラス基板に、複数のタッチパネルセンサーを形成する工程と、ガラス基板を単一のタッチパネルセンサー基板に個片になるよう切断する工程とを経ることにより作製することができる。以下に、各工程についてより詳細に説明する。
本発明に用いられるガラス基板について説明する。一般に、ガラス基板はフロート法、スリットダウンドロー法、フュージョンダウンドロー法、リドロー法などの方法により作製される。本発明に用いられるガラス基板の材料構成は、イオン交換処理が可能なアルカリ金属酸化物を含むガラス材料であれば如何様なガラス材料でも利用できる。例えば、SiOと、Alと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物を含むアルミノシリケートガラス、もしくは、フロート法等を利用したガラス基板の作製に用いられるソーダライムガラスなど、公知のガラス材料を用いることができる。中でも強度が重要であることからアルミノシリケートガラスがより好適に用いられる。アルミノシリケートガラスの具体的な製品としては、コーニング社製IOX−FS、Gorilla、旭硝子社製Dragontrail、日本電気硝子社製CX−01等が挙げられる。
次に、本発明に係る化学強化されたガラス基板の製造方法について説明する。
前記ガラス基板を化学強化するために、以下のイオン交換処理工程により前記ガラス基板の表面に圧縮応力層を施す。なお、イオン交換処理とは、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属の一部を、よりイオン半径の大きなアルカリ金属を含む溶融塩と接触させてイオン交換される処理方法である。たとえば、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属がLiであれば、それよりもイオン半径が大きなNa、K等に置換される。また、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属がNaであれば、それよりもイオン半径の大きなK等に置換される。
このようにして、元々含まれるアルカリ金属の一部をより大きなイオン半径を有するアルカリ金属に置換することで、ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成することができ、表面の強度を向上することができる。
上記イオン交換処理による圧縮応力層の形成は、溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、板状ガラスのガラス組成や、板状ガラスの表層部分に形成する圧縮応力層の厚み等に応じて適宜選択できる。たとえば、板状ガラスのガラス組成が、上述したアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスであれば、溶融塩への浸漬条件としては、300℃〜500℃で3分〜600分で行うことが好ましい。溶融塩の組成として硝酸カリウム、または、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混塩などが好ましい。
次に、本発明に係るタッチパネルセンサー基板の一実施形態の形成方法について以下に説明する。
本発明に係るタッチパネルセンサー基板は、化学強化されたガラス基板上に直接タッチセンサーが形成され、従来その上に積層されていたカバーガラスのない構成であることを特徴としている。なお、上記のタッチセンサーとは、ガラス側から表示領域を指でタッチした際の透明電極の静電容量の変化により、X方向及びY方向の位置を検知することにより指の接触位置座標を特定するものである。以下、図に基づきより具体的に説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態を示すカバーガラス一体型タッチパネルセンサー基板10の平面図である。化学強化されたガラス基板50上に額縁部6を設け、前記額縁部6に囲まれた表示領域30に複数の透明電極を形成し、前記額縁部6上に引き出し配線20を設ける構成となっている。図2(a)および図2(b)は前記タッチパネルセンサー基板10の透明電極部の拡大図となっている。図2(a)における一例において、第一の透明電極1は、第一の透明電極の接続部3を介してX方向に接続されている。一方、第二の透明電極2は、第二の透明電極の接続部4を介してY方向に接続されている。この際、前記第一の透明電極の接続部3と第二の透明電極の接続部4の間には電気的接触を防ぐために絶縁層5が形成されている。一方、図2(b)における一例において、第一の第一の透明電極1は、第一の透明電極の接続部3を介してY方向に接続されている。一方、第二の透明電極2は、第二の透明電極の接続部4を介してX方向に接続されている。この際、前記第一の透明電極の接続部3と第二の透明電極の接続部4の間には電気的接触を防ぐために絶縁層5が形成されている。
以下、額縁部6、第一の透明電極の接続部3、絶縁層5、引き出し配線20、及び第一の透明電極1、第二の透明電極2、第二の透明電極の接続部4、切断予定領域40について具体的に説明する。
<額縁部6の形成>
額縁部6は1層以上の層から形成され、タッチパネルセンサー10のデザイン性に与え
るとともに引き出し配線20を隠す役割を果たす。前記目的を満たすために額縁部6の色としては黒が好んで用いられるが、隠蔽性の低い白やピンクといった額縁部に隠蔽性の高い黒や灰色を重ねることにより形成してもよい。タッチパネルセンサー基板10の断線を回避するため、額縁端部の形状は順テーパーが好ましい。順テーパーとは、テーパー部の角度が0°〜90°の範囲のことを示す。
額縁部6は、前記ガラス基板の周縁部に表示領域を区画するよう矩形枠状に形成されている。なお、額縁部6の平面形状は、本実施形態のような矩形枠状に限定されず、ハート型、たまご型、丸型など、任意である。また、額縁部の外周縁形状(外形)と内周縁形状(表示領域の形状)とは相似であっても良いし、非相似でも良い。
額縁部6の形成には、染料や有機顔料、無機顔料を溶媒に溶解させた樹脂中に分散させた、顔料インキを使用することが出来る。顔料インキによる額縁部の形成には、所謂フォトリソグラフィー法により、塗工・露光・現像を通じてパターン形成を行うことができる。また、他の方法として、パターニングされたスクリーンメッシュを介して、基材上に直接スキージで印刷を行うスクリーン印刷法等を用いることもできる。スクリーン印刷法は十分な遮光性を持つ膜厚で形成することができる。
遮光性の評価としては、一般的に、光学濃度(Optical Density)で、OD値ともいわれる値で表す。測定は、JIS−K−7605規格に準じてマクベス光学濃度計などを用いて行われ、垂直透過光束を試料に照射し、試料が無い状態との比をlog(対数)で表すことによって得られる。光学濃度が高いほど透過率が低く、透過率100%で光学濃度は0になる。額縁部のOD値としては引き出し配線を隠し、ディスプレイからの光漏れを抑えるために4.0以上が好ましい。
透明電極は、透明性と導電性を有する材料を用いて形成され、表示領域30内に、表示領域30の一辺と平行なX方向及びこれと直交するY方向に配列されている。
<第一の透明電極の接続部3の形成>
前記ガラス基板50上の表示領域内にDCマグネトロンスパッタ方式にて、酸化物半導体であるITO(Indium Tin Oxide)膜を形成する。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行う。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダガラスにCrでパターンを施したものを用いる。その後、シュウ酸を主成分としたエッチング液を用いてエッチングし、ポジレジストを全面露光したのち、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、ITO膜による第一の透明電極の接続部3を形成する。ITOのアニールは単独で行っても、次工程の熱処理と同時に行うことも可能である。
<絶縁層5の形成>
絶縁層5はアクリル系絶縁材料をスピンコートにて塗布し、プレベークして溶剤分を除去した後、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて露光する。ここで、露光用フォトマスクとしてはクオーツガラスにCrでパターンを施したものを用いる。次に、アルカリ性現像液にて現像し、熱処理を行うことにより絶縁層5を形成する。絶縁層5は第一の透明電極の接続部3上に、Y方向は完全に覆い隠すように、一方X方向は第一の透明電極の接続部3が露出するように形成する。また、絶縁層5は額縁部6を覆うように形成することにより、額縁部6に耐薬品性を持たせることが可能である。
<引き出し配線20の形成>
DCマグネトロンスパッタ方式にて、真空中でMoの層、Alの層、Moの層を順次形
成し、3層積層構造のMo/Al/Mo(MAM)積層体を形成する。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行う。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダライムガラスにCrでパターンを施したものを用いる。そして、燐酸・硝酸・酢酸の3成分系のエッチャント(エッチング液)にてエッチングし、ポジレジストを全面露光した後、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、額縁部6に位置するように取出し配線20を形成する。
<第一の透明電極1、第二の透明電極2、第二の透明電極の接続部4、切断予定領域40の形成>
DCマグネトロンスパッタ方式にて、酸化物半導体であるITO(Indium Tin Oxide)膜を形成する。次に、一般的なノボラック系ポジレジストをスピンコートし、プレベーク後、露光したのち、アルカリ性現像液にてポジ現像を行う。ここで、露光はプロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)を使用し、露光用フォトマスクとしてはソーダライムガラスにCrでパターンを施したものを用いる。そして、シュウ酸を主成分としたエッチング液を用いてエッチングし、ポジレジストを全面露光した後、アルカリ性剥離液にてポジレジストを剥離して、ITO膜による第一の透明電極、1、第二の透明電極2、第二の透明電極の接続部4、切断予定領域40を形成する。ここで、切断予定領域40は図3に示すようにガラス基板50の複数のタッチパネルセンサー基板10の周囲に形成される。ITOのアニールは単独で行っても、次工程の熱処理と同時に行うことも可能である。
ITOのような酸化物半導体は、スパッタ時の温度やガス圧力の条件を調整することにより内部応力の方向が変化するものがあることが知られている。本発明に係るタッチパネルセンサー基板10の透明電極の形成では、ITO成膜時に引張り応力が発生し、化学強化されたガラス基板50の表面の圧縮応力を相殺させることでガラス基板の表面の強度を弱めることができる。
<保護層の形成>
タッチパネルセンサー基板10の形成において、図示しない保護層を形成することが可能である。例えば、アクリル系絶縁材料をスピンコートにより塗布し、プレベークして溶剤分を除去する。その後、クオーツガラスにCrでパターンを施した露光用フォトマスクを用いて、プロキシミティー露光方式(超高圧水銀ランプ)にて露光し、さらにアルカリ性現像液にて現像し、その後、熱処理を行うことにより保護層を形成することができる。保護層はタッチパネルセンサー10の引き出し配線の端子部を除いたほぼ全面に形成することにより、物理的衝撃からタッチパネルセンサー基板を保護することができる。
以上、タッチパネルセンサー基板10として投影型静電容量式タッチパネルを用いて説明したが、静電容量式に限定されるわけではなく、額縁部6を有する種々の方式のタッチパネルに応用できることは勿論である。
次に、本発明に係る切断及び研磨工程の一実施形態について、以下に説明する。
本発明に係るガラス基板50の切断は、酸化物半導体から成る切断予定領域40上を、ブレーク法、レーザーカット法、水ジェット流法等の切断方法にて行うことができる。また、耐エッチング膜が設けられた面を、エッチング溶液に浸漬する方法と組合せて切断することも可能である。この場合、例えばエッチング溶液としては、少なくともフッ酸を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、塩酸等のその他の酸や、界面活性剤等の各種の添加剤が添加されていてもよい。また、エッチング温度は通常10℃〜80℃であり、好ましくは20℃〜40℃である。さらに、エッチング時間は、通常30秒〜3
0分であり、好ましくは1分〜10分である。これらのエッチングの条件は、使用するガラス基板の材質などに応じて、反応物が析出することのないように、適宜選択できるものである。尚、切断の際には仮固定用のアクリル系接着剤等を用いてカバーガラス基板50を重ねることにより、複数の基板を同時に切断してもよい。耐エッチング膜を除去する前に個片基板の外周端部に研磨を行ない、突部を除去した後、エッチングを行なうことにより、個片基板の切断及び研磨時に発生していたマイクロクラックが除去される。切断部に形成されたITOは、切断後のエッチングによる除去が可能である。
切断されたタッチパネルセンサー基板10は、引き出し配線20をFPCと接続し、液晶ディスプレイのような表示デバイスと接続することにより、電子機器用の位置入力装置として利用することが可能である。
このように、複数のタッチパネルセンサーが形成されたガラス基板50の切断予定領域40に酸化物半導体を成膜することにより、ガラス強度を弱めて切断時の歩留りを向上させることが可能である。また、切断予定領域40の酸化物半導体を、タッチパネルセンサーの透明電極と同時に成膜することにより生産性を落とすことなく、タッチパネルセンサー基板10の歩留りを向上させることが可能である。
1:第一の透明電極
2:第二の透明電極
3:第一の透明電極の接続部
4:第二の透明電極の接続部
5:絶縁層
6:額縁部
10:タッチパネルセンサー基板
20:引き出し配線
30:表示領域
40:切断予定領域
50:化学強化されたガラス基板

Claims (9)

  1. イオン交換により化学強化されたガラス基板の一方の面に、複数のタッチパネルセンサーと、前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域とを形成し、その後、前記切断予定領域で切断することを特徴とするガラス基板の切断方法。
  2. 前記タッチパネルセンサーは透明電極を有し、前記透明電極と前記切断予定領域とが同じ酸化物半導体から成ることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の切断方法。
  3. 前記酸化物半導体は、ITO(Indium Tin Oxide)であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板の切断方法。
  4. 前記酸化物半導体は、引張応力を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス基板の切断方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス基板の切断方法を用いて形成されたことを特徴とするタッチパネルセンサー基板。
  6. イオン交換により化学強化されたガラス基板の一方の面に、透明電極を有する複数のタッチパネルセンサーを形成する工程と、
    前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体からなる切断予定領域を形成する工程と、
    前記切断領域を切断する工程とを含むことを特徴とするタッチパネルセンサー基板の製造方法。
  7. 前記複数のタッチパネルセンサーの透明電極を形成する工程と、前記複数のタッチパネルセンサーの外周部に酸化物半導体から成る切断予定領域を形成する工程とは、同一材料を用いて同一工程で成されることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルセンサー基板の製造方法。
  8. 前記酸化物半導体は、ITO(Indium Tin Oxide)であることを特徴とする請求項5または6に記載のタッチパネルセンサー基板の製造方法。
  9. 前記酸化物半導体は、引張応力を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のタッチパネルセンサー基板の製造方法。
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