JP2011231009A - 携帯機器用カバーガラスのガラス基材 - Google Patents

携帯機器用カバーガラスのガラス基材 Download PDF

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Abstract

【課題】端面において極端に突出する部分がなく、しかも機械的強度が携帯機器用カバーガラスの高いガラス基材を提供すること。
【解決手段】本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材は、板状のガラス基板をエッチングすることにより所望の形状に切り抜かれてなり、一対の主表面及び端面を持つ携帯機器用カバーガラスのガラス基材であって、前記端面における前記主表面の面方向外側へ突出する頂部は、UL(Underwriters Laboratories)−1439に準拠するシャープエッジテストで表面から2層が切断されない形状であり、前記一対の主表面及び前記端面には、イオン交換処理により化学強化されることによって圧縮応力層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置の表示画面の保護に用いられるカバーガラスや携帯機器の本体に用いられるガラス基材に関する。
携帯電話やPDAなどの携帯端末装置やその他の携帯機器において、ディスプレイに衝撃や外力が加わることを防止するために、保護板が配設されている(例えば、特許文献1)。近年、携帯端末装置や携帯機器の薄型化に伴い、撓みを抑えつつ、しかも薄板であっても強度のある化学強化ガラスを使った保護板が提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2に記載された従来の加工方法では、ガラス端面の表面粗さが粗く、ガラス端面の面取り加工した面に数十μm〜数百μm程度のマイクロクラックが存在することによって、ガラス基材に求められる機械的強度が得られないという問題がある。
この問題を解決するために、本出願人は、先行出願(特願2007−325542号)において、ガラス基板上に所望形状のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンをマスクにしてガラス基板をエッチングすることにより、所望形状のガラス基板を得ることを提供している。
特開2004−299199号公報 特開2007−99557号公報
しかしながら、この方法においては、図6に示すように、エッチングがガラス基板61の対向する両主表面61a,61bから等方的に進行するために、主表面61a側からのエッチングと、主表面61b側からのエッチングとにより形成された端面61cにおける頂部61dが形成される。この頂部61dは、端面61cにおいて極端に突出する部分である。このような頂部61dを持つガラス基材は、取り扱いの最中に破損したり、チッピングが生じたりすることがあり、破損やチッピングが発生することによりその部分が劈開の起点となってガラス基材の強度を低下させるという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、端面において極端に突出する部分がなく、しかも機械的強度が高い携帯機器用カバーガラスのガラス基材を提供することを目的とする。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材は、板状のガラス基板をエッチングすることにより所望の形状に切り抜かれてなり、一対の主表面及び端面を持つ携帯機器用カバーガラスのガラス基材であって、前記端面における前記主表面の面方向外側へ突出する頂部は、UL(Underwriters Laboratories)−1439に準拠するシャープエッジテストで表面から2層が切断されない形状であり、前記一対の主表面及び前記端面には、イオン交換処理により化学強化されることによって圧縮応力層が形成されていることを特徴とする。イオン交換処理により化学強化することにより、ガラス基材の主表面や端面に圧縮応力層が形成されるので、機械的強度を高めることができる。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材においては、前記頂部は、前記ガラス基材の板厚方向への流れをもつエッチャントでエッチング処理されたことによって形成されていることが好ましい。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材においては、前記ガラス基材は、断面視において、それぞれの前記主表面と前記端面とで構成される2つのエッジ部と前記頂部との間をそれぞれ結ぶ2つの仮想線のなす角αが、前記ガラス基材の板厚方向への流れをもつエッチャントでエッチング処理されたことによって90°以上180°以下とされていることが好ましい。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材においては、前記ガラス基材の3点抗折強度は、5000kgf/cm以上であることが好ましい。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材においては、前記ガラス基材は、断面視において、前記一対の主表面のそれぞれと前記端面とで構成される2つのエッジ部を結ぶ仮想線に対する、前記端面において最も突出する頂部からの最短距離Lと、前記ガラス基材の厚さDとの関係がL≦0.06×Dを満足することが好ましい。
この構成によれば、断面視において、それぞれの主表面と端面とで構成される2つのエッジ部を結ぶ仮想線に対する、端面において最も突出する頂部からの最短距離Lと、ガラス基材の厚さDとの関係がL≦0.06×Dを満足するので、端面において極端に突出する部分がなく、しかも高い機械的強度を示すことができる。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材においては、前記ガラス基材は、SiO、Al、LiO及びNaOからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスであることが好ましい。この構成によれば、板状のガラス基板をダウンドロー法(フュージョン法)により成形することが可能となるので、ガラス基板の主表面をキズがなく、ナノメートルオーダーの極めて高い平滑性を有する熔解ガラス面とすることができる。したがって、ガラス基材の作製時に主表面の鏡面研磨加工が不要となり、主表面においてもマイクロクラックのないガラス基材が得られ、機械的強度が優れたガラス基材となる。
本発明の携帯機器用カバーガラスのガラス基材によれば、端面において極端に突出する部分がなく、しかも機械的強度が高い携帯機器用カバーガラスのガラス基材を提供することができる。
第1エッチング後のガラス基材の一部を示す図である。 第2エッチング後のガラス基材の一部を示す図である。 本発明に係るガラス基材の製造方法に使用する装置の一例を示す図である。 抗折強度測定装置を説明するための図である。 シャープエッジテストを説明するための図である。 ガラス基材のエッジを説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るガラス基材は、板状のガラス基板の主表面に形成したレジストパターンをマスクとして、前記ガラス基板のエッチングが可能なエッチャントで前記ガラス基板を第1エッチングすることにより所望の形状に切り抜いてガラス基材を得て、前記ガラス基材の厚さ方向の流れを持つエッチャント中で前記ガラス基材を第2エッチングすることにより得られる。
図1は、ガラス基板をエッチングして所望形状に切り抜いて得られたガラス基材の一部を示す図である。図1に示すガラス基材1は、対向する一対の主表面11,12と、端面13とを有する。厚さDのガラス基板の主表面11,12にそれぞれレジストパターン17を形成し、そのレジストパターン17をマスクとしてガラス基板をエッチング(第1エッチング)すると、エッチングがガラス基板の対向する両主表面11,12からそれぞれ等方的に進行するために、主表面11側からのエッチングと、主表面12側からのエッチングとにより端面13に頂部16が形成される。このエッチングにおいては、断面視において、主表面11側及び主表面12側からガラス基板内部に向ってそれぞれ略円弧を描くようにエッチングが進行するので、ガラス基材が切り抜かれる際には、ガラス基板の中央の厚さ付近で前記円弧が交差した端面形状となり、図1に示すように、頂部16は端面13において最も突出する部分となる。
ガラス基板をエッチングするエッチング方法は、湿式エッチング(ウェットエッチング)、乾式エッチング(ドライエッチング)どちらでも構わない。加工コストを低くする点からは、ウェットエッチングが好ましい。ウェットエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基材を食刻できるものであれば、何でも良い。好ましくは、フッ酸を主成分とする酸性溶液や、フッ酸に、硫酸、硝酸、塩酸、ケイフッ酸のうち少なくとも一つの酸を含む混酸などを用いることができる。また、ドライエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基材を食刻できるものであれば何でも良いが、例えばフッ素系ガスを使用することができる。
エッチング工程において用いるレジスト材料としては、レジストパターンをマスクにしてガラスをエッチングする際に使用するエッチャントに対して耐性を有する材料であればよい。ガラスは大抵、フッ酸を含む水溶液のウェットエッチングや、フッ素系ガスのドライエッチングにより食刻されるので、例えば、フッ酸耐性に優れたレジスト材料などを用いることができる。また、レジスト材をガラス基材から剥離するための剥離液としては、KOHやNaOHなどのアルカリ溶液を用いることが好ましい。なお、レジスト材、エッチャント、剥離液の種類は、被エッチング材料であるガラス基板の材料に応じて適宜選択することができる。
このように、第1エッチングによりガラス基材1を得た後に、ガラス基材1の厚さ方向の流れを持つエッチャント中でガラス基材1をエッチング(第2エッチング)する。この第2エッチングにおいては、第1エッチングによりガラス基材1の端面13に形成された最も突出する頂部16を主にエッチングする。
第2エッチングは、ガラス基材1の厚さ方向の流れを持つエッチャント中で行われる。例えば、エッチング槽に収容されたエッチャント中に、第1エッチング終了後のガラス基材1をその主表面が液面と略平行になるようにして浸漬し、ガラス基材1の主表面に沿う方向に対して略垂直な方向(鉛直方向)に揺動させることによりエッチングを行う。この場合、ガラス基材1をエッチャント中に設置されたワークなどに固定し、このワークを鉛直方向に上下動(揺動)させる。第2エッチングは、ガラス基材1を板厚方向に積層させて、エッチャント中に浸漬し、主表面に沿う方向に対して鉛直方向に上下動(揺動)させてもよいし、または、ガラス基材1を積層させないで、1枚又は複数のガラス基材1をエッチャント中に浸漬し、主表面に沿う方向に対して鉛直方向に上下動(揺動)させてもよい。
あるいは、図3に示す装置を用いて、ガラス基材1を固定した状態でエッチングを行っても良い。図3に示す装置は、下部にバッフル板22が取り付けられたエッチング槽21を備えており、内側がエッチング領域24であり、その外側がエッチャント貯留領域23である。このような装置において、貯留領域23の下方からエッチャントを供給し、貯留領域23の上方からエッチング領域24にエッチャントを流してエッチング領域24においてエッチャントのダウンフローを作る。これがガラス基材1の厚さ方向の流れとなる。これにより、ガラス基材1に第2エッチングを行うことができる。なお、エッチング領域24の下方からエッチャントが排出される。図3に示す構成は、いわゆるパラレルダウンフロータイプの構成であるが、本発明においては、ガラス基材1の厚さ方向の流れを作ることができれば、パラレルオーバーフロータイプの構成であっても良い。
この第2エッチングにおいて、エッチング時間は600秒以下であることが好ましく、エッチャントの流速は50cm/秒以下であることが好ましい。また、ガラス基材1を上下に揺動させる場合には、揺動サイクルは10サイクル/秒以下であることが好ましい。また、エッチャントの温度は、15℃〜60℃であることが好ましい。さらに、生産性を考慮し、第2エッチングにおいては、ガラス基材1を複数枚積層させた状態で行っても良い。
このような第2エッチング(非等方エッチング)をガラス基材1の端面13の頂部16に施すことにより、図2に示すような端面形状を得ることができる。すなわち、断面視において端面13の頂部16が鈍角化(平坦化)された状態にすることができる。この頂部16は、UL−1439に準拠するシャープエッジテストで表面から2層が切断されないエッジであることが好ましい。より好ましくは、頂部16は、UL−1439に準拠するシャープエッジテストで全層が切断されないことである。
このようなガラス基材1においては、図1の断面視において、それぞれの主表面11,12と端面13とで構成される2つのエッジ部14,15を結ぶ第1仮想線Aに対する頂部16からの最短距離Lと、ガラス基材1の厚さDとの関係がL≦D/2を満足する。また、2つのエッジ部14,15と頂部16との間をそれぞれ結ぶ2つの第2仮想線Bのなす角αが90°以上180°以下である。
このようなガラス基材1は、頂部16が鈍角化されているので、取り扱い中や搬送中に破損したり、チッピングが生じたりすることがないものである。また、本発明に係るガラス基材は、板状のガラス基板の主表面にレジストパターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、前記ガラス基板のエッチングが可能なエッチャントで前記ガラス基板をエッチングすることにより所望の形状に切り抜かれたものであり、かつ、ガラス基材1の端面13は、溶解ガラス面で構成されてなり、該端面13における表面粗さ(算術平均粗さRa)が10nm以下となっている。このように、本発明に係るガラス基材は、エッチングにより外形を形成しているので、端面13が非常に高い平滑性を有し、溶解ガラス面で構成されており、機械加工で形成された端面に必ず存在するマイクロクラックのない状態となり、高い機械的強度を発揮する。
なお、ガラス基材の機械的強度は、3点抗折強度(3点曲げ強さ)で5000kgf/cm以上が好ましく、さらに好ましくは、7000kgf/cm以上、最も好ましくは、10000kgf/cm以上であることが望ましい。
ガラス基材1としては、溶融ガラスから直接シート状に成形したもの、あるいは、ある厚さに成形されたガラス体を所定の厚さに切り出し、主表面を研磨して所定の厚さに仕上げたものなどを使用することができる。好ましくは、溶融ガラスから直接シート状に成形したものを使用することが好ましい。なぜなら、溶融ガラスから直接シート状に成形したガラス基板の主表面は、熱間成形された表面であり、極めて高い平滑性を有し、マイクロクラックのない表面状態を有するからである。溶融ガラスから直接シート状に成形する方法としては、ダウンドロー法、フロート法などが挙げられる。中でも、ダウンドロー法が好ましい。上述の高平滑性等の効果に加え、エッチング工程による外形加工を行う場合、ガラス基板の両主表面に形成されたレジストパターンをマスクにして、ガラス基材を両主表面からエッチングする際に、両主表面から均等にエッチングすることができるので、寸法精度もよく、ガラス基材の端面の断面形状も良好となるからである。ガラス基材1の厚さは、0.3mm以上1.3mm以下であることが好ましい。
ダウンドロー法によるガラス板成形が可能なガラスとしては、SiO、Al、LiO及び/又はNaOを含有したアルミノシリケートガラスが挙げられる。特に、アルミノシリケートガラスは、62重量%〜75重量%のSiO、5重量%〜15重量%のAl、4重量%〜10重量%のLiO、4重量%〜12重量%のNaO、及び5.5重量%〜15重量%のZrOを含有することが好ましく、さらに、NaO/ZrOの重量比が0.5〜2.0であり、さらにAl/ZrOの重量比が0.4〜2.5である組成とすることが好ましい。
SiOは、ガラス骨格を形成する主要成分である。携帯端末、特に携帯電話用カバーガラスは、人肌に触れたり、水や雨水などが接触したりするなど非常に厳しい環境下で使用されるが、このような環境化においても十分な化学的耐久性を要する必要がある。SiOの割合は、前記化学的耐久性や、溶融温度を考慮すると、62重量%〜75重量%であることが好ましい。
Alは、ガラス表面のイオン交換性能を向上させるため含有される。Alの割合は、化学的耐久性や、耐失透性を考慮して、5重量%〜15重量%であることが好ましい。
LiOは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中の主としてNaイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。LiOの割合は、イオン交換性能や、耐失透性と化学的耐久性を考慮して、4重量%〜10重量%であることが好ましい。
NaOは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中のKイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。NaOの割合は、前記機械的強度や、耐失透性、化学的耐久性を考慮して、4重量%〜12重量%であることが好ましい。
ZrOは、機械的強度を高める効果がある。ZrOの割合は、化学的耐久性や、均質なガラスを安定して製造することを考慮して、5.5重量%〜15重量%であることが好ましい。
また、上述のアルミノシリケートガラスは、イオン交換処理により化学強化してガラス表面に圧縮応力層を形成することで機械的強度をさらに高めることが可能である。化学強化されたガラスとは、ガラスを構成するアルカリ金属イオンを、それよりもサイズが大きいアルカリ金属イオンで、イオン交換により置換することで強化されたガラスをいう。なお、アルミノシリケートガラスの代わりに、他の多成分系ガラスを用いても良い。また、ガラス基材として必要な透明性が確保されるのであれば、結晶化ガラスを用いても良い。
また、イオン交換処理条件としては、硝酸カリウム(KNO)の単塩、硝酸ナトリウム(NaNO)の単塩、及び硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを任意の重量比で混合した混合塩を使用しても良く、温度は350℃〜450℃、時間は1時間〜20時間の範囲で選択すれば良い。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
まず、SiOを63.5重量%、Alを8.2重量%、LiOを8.0重量%、NaOを10.4重量%、ZrOを11.9重量%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、板厚0.51mmの板状のガラス基板(シート状ガラス)に成形した。このダウンドロー法により形成されたシート状ガラスの主表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を、原子間力顕微鏡により調べたところ0.2nmであった。
次いで、シート状ガラスの両主表面上にネガ型の耐フッ酸性レジストを厚さ32μmでコーティングし、この耐フッ酸性レジストに対して100℃で30分のベーキング処理(プリベーク)を施した。次いで、所定のパターンを有するフォトマスクを介して耐フッ酸性レジストに対し両面から300mJ/cm2のエネルギーで露光し、露光後の耐フッ酸性レジストを現像液(NaCO溶液)を用いて現像してシート状ガラス上の被エッチング領域以外の領域に耐フッ酸性レジストを残存させたレジストパターンを形成した。さらに、レジストパターンが形成されたシート状ガラスを、250℃で30分のベーキング処理(ポストベーク)を施した。
次いで、エッチャントとしてフッ酸(15重量%)と硫酸(24重量%)の混酸水溶液(40℃)を用いて、レジストパターンをマスクにして、シート状ガラスを両主表面側から被エッチング領域を第1エッチングして所定の形状に切り抜いた。
次いで、このガラス基材をワークに固定し、エッチャント(フッ酸(15重量%)と硫酸(24重量%)の混酸水溶液(40℃))が入ったエッチング槽に設置された昇降可能なワーク台上に載置し、ワーク台を上下動させてガラス基材に対して第2エッチングを行った。このとき、エッチャントの流速が2cm/秒となるようにワーク台を上下動させ、エッチング時間を240秒とした。その後、NaOH溶液を用いてガラス上に残存した耐フッ酸性レジストを膨潤させてガラスから剥離し、リンス処理を行った。このようにして実施例1のガラス基材を得た。また、このガラス基材に対して、硝酸ナトリウム(NaNO)と硝酸カリウム(KNO)の比率(NaNO:KNO)を、重量比4:6で混合した熔融塩中で、380℃、2時間浸漬して、イオン交換処理して化学強化を行った。
得られたガラス基材について、図1における2つのエッジ部14,15を結ぶ第1仮想線Aに対する頂部16からの最短距離Lを測定した。また、断面視において、2つのエッジ部14,15と頂部16との間をそれぞれ結ぶ2つの第2仮想線のなす角αを測定した。さらに、化学強化前後の抗折強度測定及びシャープエッジテストを行った。抗折強度測定前には、ガラス基材に対して、40kHzの超音波を21分間印加しながら洗浄処理を行った(加傷処理)。その結果を下記表1に示す。
なお、抗折強度測定は、図4(a)に示すように、ガラス基材1を一定距離に配置された2支持体(支点)25,26上に置き、支持体25,26間の中央の1点に荷重体27を介して荷重を加えて、破壊したときの最大曲げ応力を測定することにより行った。この3点曲げ強さは、支点間距離、基板幅、基板厚さに依存するため、次式により規格化を行った。
σ=(3PL)/(2wt2
ここで、σは3点曲げ強さ(kgf/cm2)を示し、Pはガラス基材が破壊したときの最大荷重(kgf)を示し、Lは支持体25,26間距離(cm)を示し、wは図4(b)に示すようにガラス基材幅(cm)を示し、tは図4(b)に示すようにガラス基材の厚さ(cm)を示す。
シャープエッジテストは、エクセル株式会社製シャープエッジテスターSET−50とテープキットTC−3を用い、UL−1439(機器の縁の鋭さの判定)に準拠した方法により行った。なお、テープキットTC−3は、図5に示すように、直径12.7mmのヘッド34に積層された、指の柔らかさを想定した3層のテープ31〜33を持つキットであり、シャープエッジテスターSET−50はそれを被測定エッジに一定荷重で押し付けるためのツールである。具体的には、シャープエッジテスターSET−50に取り付けられたテープキットTC−3を一定荷重(図5における矢印方向:6.67N)で被測定エッジ(ガラス基材の端面の頂部)に接触させる。その荷重を保ったまま、頂部に沿ってテープキットTC−3を往復100mm(片道50mm)移動させる。
(実施例2)
第2エッチングにおいてエッチャントの流速が6cm/秒となるようにワーク台を上下動させ、エッチング時間を240秒とすること以外は実施例1と同様にして実施例2のガラス基材を得た。また、実施例2のガラス基材に対して実施例1と同様の条件でガラス基材に対して化学強化を行った。得られたガラス基材について、最短距離L及び2つの第2仮想線のなす角αを測定し、化学強化前後の抗折強度測定及びシャープエッジテストを行った。その結果を下記表1に併記する。
(実施例3)
第2エッチングにおいてエッチャントの流速が30cm/秒となるようにワーク台を上下動させ、エッチング時間を240秒とすること以外は実施例1と同様にして実施例3のガラス基材を得た。また、実施例3のガラス基材に対して実施例1と同様の条件でガラス基材に対して化学強化を行った。得られたガラス基材について、最短距離L及び2つの第2仮想線のなす角αを測定し、化学強化前後の抗折強度測定及びシャープエッジテストを行った。その結果を下記表1に併記する。
(比較例)
第2エッチングを行わず、第1エッチングして所定の形状に切り抜いたガラス基材を、NaOH溶液を用いてガラス基材上に残存した耐フッ酸性レジストを膨潤させてガラス基材から剥離し、リンス処理を行って実施例1と同様にして比較例のガラス基材を得た。また、比較例のガラス基材に対して実施例1と同様の条件でガラス基材に対して化学強化を行った。得られたガラス基材について、最短距離L及び2つの第2仮想線のなす角αを測定し、化学強化前後の抗折強度測定及びシャープエッジテストを行った。その結果を下記表1に併記する。
Figure 2011231009
表1から分かるように、実施例1〜実施例3のガラス基材は、距離Lが短く、なす角αが鈍角であり、ガラス基材の厚さの半分以下であるので、頂部が鋭利でなく、しかも3点抗折強度(3点曲げ強さ)が5000kgf/cm以上で機械的強度が高いものであった。これは、第2エッチングにより頂部が鈍角化されたため、加傷処理を施しても劈開の起点となるものがないので、3点抗折強度(3点曲げ強さ)が高くなると考えられる。一方、比較例のガラス基材は、距離Lが長く、なす角αが鋭角であり、ガラス基材の厚さの半分を超えるので、頂部が鋭利であり、シャープエッジテストで不合格であった。また、3点抗折強度(3点曲げ強さ)も5000kgf/cmを遥かに下回るものであった。これは、第2エッチングがないために頂部が鋭利であり、加傷処理により劈開の起点となるものがあるため、3点抗折強度(3点曲げ強さ)が低くなると考えられる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における材料や処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
1 ガラス基材
11,12 主表面
13 端面
14,15 エッジ部
16 頂部
17 レジストパターン
25,26 支持体
27 荷重体
31〜33 テープ
34 ヘッド

Claims (6)

  1. 板状のガラス基板をエッチングすることにより所望の形状に切り抜かれてなり、一対の主表面及び端面を持つ携帯機器用カバーガラスのガラス基材であって、
    前記端面における前記主表面の面方向外側へ突出する頂部は、UL(Underwriters Laboratories)−1439に準拠するシャープエッジテストで表面から2層が切断されない形状であり、
    前記一対の主表面及び前記端面には、イオン交換処理により化学強化されることによって圧縮応力層が形成されていることを特徴とする携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
  2. 前記頂部は、前記ガラス基材の板厚方向への流れをもつエッチャントでエッチング処理されたことによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
  3. 前記ガラス基材は、断面視において、それぞれの前記主表面と前記端面とで構成される2つのエッジ部と前記頂部との間をそれぞれ結ぶ2つの仮想線のなす角αが、前記ガラス基材の板厚方向への流れをもつエッチャントでエッチング処理されたことによって90°以上180°以下とされていることを特徴とする請求項2に記載の携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
  4. 前記ガラス基材の3点抗折強度は、5000kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
  5. 前記ガラス基材は、断面視において、前記一対の主表面のそれぞれと前記端面とで構成される2つのエッジ部を結ぶ仮想線に対する、前記端面において最も突出する頂部からの最短距離Lと、前記ガラス基材の厚さDとの関係がL≦0.06×Dを満足することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
  6. 前記ガラス基材は、SiO、Al、LiO及びNaOからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯機器用カバーガラスのガラス基材。
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