JPWO2012165476A1 - 人造ポリペプチド繊維 - Google Patents

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Abstract

本発明の人造ポリペプチド繊維は、ポリペプチドを主成分とする人造繊維であって、応力が350MPa以上、タフネスが138MJ/m以上である。本発明の人造ポリペプチド繊維の製造方法は、天然型クモ糸タンパク質に由来するポリペプチドを含む紡糸液(6)を紡糸し、少なくとも2段延伸して得られる前記人造ポリペプチド繊維の製造方法であって、前記少なくとも2段の延伸は、湿熱における一段目延伸(3)と、乾熱における二段目延伸(4)を含む。これにより、応力と破断伸度が適度にあり、タフネスの高い人造ポリペプチド繊維及びその製造方法を提供する。

Description

本発明は合成タンパク質繊維の一種である人造ポリペプチド繊維及びその製造方法に関する。
クモ糸繊維は、高い強度とタフネスを有する繊維であり、高張力鋼、ナイロン6繊維、アラミド繊維、炭素繊維などよりも高い強度とタフネスを有することが知られている。加えて、石油を原料とせず、原料をバイオマス化できる利点もある。人工クモ糸繊維もいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、合成タンパク質紡糸溶液を、5〜10μl/minの速度で紡糸口金から90%メタノールからなる凝固浴中に押し出して繊維とすることが提案されている。特許文献2には、1μm以上の直径および5mm以上の長さを有し、200MPaまたはそれ以上の引張強度を有する繊維が提案されている。非特許文献1には、メタノール浴と水浴で延伸倍率5倍で延伸することにより得られた強度1.91〜2.26g/d、伸度43.4〜59.6%の延伸糸が開示されている。非特許文献2には、延伸倍率を5倍とすることにより得られた応力600MPa、伸度25%の延伸糸が開示されている。非特許文献3には、スチーム中に5分間滞留させて5倍に延伸させることにより得られた応力280〜350MPa、伸度30〜40%の延伸糸が開示されている。
しかし、従来の人造ポリペプチド繊維のタフネスはいまだ不足であり、さらに高い応力を有する強靭な繊維が望まれていた。
特表2004−503204号公報 特表2009−521921号公報
Anthoula Lazaris,et.al.,"Spider Silk Fiber Spun from Soluble Recombinant Silk Produced in Mammalian Cells",Science,295,p472,2002年1月18日 Xiao-Xia Xia,et.al.,"Native-sized recombinant spider silk protein produced in metabolically engineered Escherichia coil results in a strong fiber",PNAS,vol.107,No.32,p14059-14063,2010年8月10日 M. Elice,et.al.,"Bioinspired Fibers Follow the Track of Natural Spider Silk",Macromolecules,Vol. 44,No.5,p1166-1176,2011年4月2日
本発明は、前記従来の問題を解決するため、応力及びタフネスが高い人造ポリペプチド繊維及びその製造方法を提供する。
本発明の人造ポリペプチド繊維は、ポリペプチドを主成分とする人造繊維であって、応力が350MPa以上、タフネスが138MJ/m以上であることを特徴とする。
本発明の人造ポリペプチド繊維の製造方法は、天然型クモ糸タンパク質(spider silk proteins)に由来するポリペプチドを含む紡糸液を紡糸し、少なくとも2段延伸して得られる人造ポリペプチド繊維の製造方法であって、前記少なくとも2段の延伸は、湿熱における一段目延伸と、乾熱における二段目延伸を含むことを特徴とする。
本発明は人造ポリペプチドからなる未延伸繊維を湿熱と乾式加熱の少なくとも2段で延伸することにより、応力及びタフネスが高い人造ポリペプチド繊維及びその製造方法を提供できる。すなわち、応力が350MPa以上、タフネスが138MJ/m以上の人造ポリペプチド繊維を実現できる。応力が高く、タフネスが高いと、金属、樹脂、ゴムなどとの複合材料にとって有利である。
図1は本発明の一実施例における製造工程を示す説明図である。 図2A−Bは本発明の別の実施例における製造工程を示す説明図であり、図2Aは紡糸工程−一段目延伸工程、図2Bは二段目延伸工程を示す。 図3は本発明の実施例1で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図4は本発明の実施例2で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図5は本発明の実施例3で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図6は本発明の実施例4で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図7は本発明の実施例5で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図8は比較例1で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。 図9は比較例2で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線である。
(1)ポリペプチド
本発明の人造ポリペプチド繊維は、ポリペプチドを主成分とする。本発明において、主成分とは、80質量%以上含まれることを意味し、90質量%以上含まれることがより好ましく、95質量%以上含まれることがさらに好ましい。なお、本発明の人造ポリペプチド繊維は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、ポリペプチド以外の他の成分を含んでもよい。本発明においては、原料として天然型クモ糸タンパク質に由来するポリペプチドを用いることが望ましい。天然型クモ糸タンパク質に由来するポリペプチドとは、天然型クモ糸タンパク質の変異体、類似体又は誘導体などを含む。前記ポリペプチドは、天然型クモ糸タンパク質に由来するものであればよく、特に限定されない。前記ポリペプチドは、強靭性に優れるという観点からクモの大瓶状線で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドであることが好ましい。前記大吐糸管しおり糸タンパク質としては、アメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する大瓶状線スピドロインMaSp1やMaSp2、二ワオニグモ(Araneus diadematus)に由来するADF3やADF4などが挙げられる。前記大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドは、大吐糸管しおり糸タンパク質の変異体、類似体又は誘導体などを含む。
前記大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドとしては、式1:REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位を2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上含むポリペプチドが挙げられる。或いは、前記大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドは、式1:REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であるポリペプチドであってもよい。なお、前記大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドにおいて、式(1):REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位は、同一であってもよく、異なっていてもよい。ここで、[REP1−REP2(1)]で示されるアミノ酸配列の単位が異なるとは、REP1が異なる場合、REP2が異なる場合、REP1及びREP2のいずれも異なる場合を含む。上記大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するポリペプチドは、大腸菌などの微生物を宿主として組み換えタンパク質生産を行う場合、生産性の観点から、分子量が300kDa以下であることが好ましく、より好ましくは200kDa以下であり、さらに好ましくは150kDa以下である。
前記式(1)において、REP1は、アラニン及びグリシンから選ばれる少なくとも一つのアミノ酸が連続して2〜20残基並んでおり、より好ましくは3〜16残基、さらに好ましくは4〜12残基、最も好ましくは5〜8残基並んでいるアミノ酸配列である。前記式(1)において、REP2は、2〜200残基、より好ましくは10〜150残基、さらに好ましくは20〜100残基、最も好ましくは20〜75残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列であり、かつ前記アミノ酸配列中に含まれるグリシン、セリン、グルタミン及びアラニンの合計残基数がアミノ酸残基数全体に対して40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
大吐糸管しおり糸において、上記REP1は、繊維内で結晶βシートを形成する結晶領域に該当し、上記REP2は、繊維内でより柔軟性があり大部分が規則正しい構造を欠いている無定型領域に該当する。そして、上記[REP1−REP2]は、結晶領域と無定型領域からなる繰り返し領域(反復配列)に該当し、しおり糸タンパク質の特徴的配列である。
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、ADF3(GI:1263287、NCBI)のアミノ酸配列のC末端の50残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列と同一であり、配列番号2に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から20残基取り除いたアミノ酸配列と同一であり、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から29残基取り除いたアミノ酸配列と同一である。
前記式1:REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとしては、例えば、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを用いることができる。配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、N末端に開始コドン、His10タグ及びHRV3Cプロテアーゼ(Human rhinovirus 3Cプロテアーゼ)認識サイトからなるアミノ酸配列(配列番号7)を付加したADF3のアミノ酸配列において、第1〜13番目の反復領域をおよそ2倍になるように増やすとともに、翻訳が第1154番目アミノ酸残基で終止するように変異させたものである。配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、C末端配列は、配列番号3に示すアミノ酸配列と同一である。
また、前記式1:REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとしては、配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、結晶領域と無定型領域からなる繰り返し領域を有するタンパク質を用いることができる。本発明において、「1若しくは複数個」とは、例えば、1〜40個、1〜35個、1〜30個、1〜25個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、又は1若しくは数個を意味する。また、本発明において、「1若しくは数個」は、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、又は1個を意味する。
前記ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換した宿主を用いて製造することができる。遺伝子の製造方法は特に制限されず、天然型クモ糸タンパク質をコードする遺伝子をクモ由来の細胞からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などで増幅してクローニングするか、若しくは化学的に合成する。遺伝子の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどより入手した天然型クモ糸タンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)などで自動合成したオリゴヌクレオチドをPCRなどで連結して合成することができる。この際に、タンパク質の精製や確認を容易にするため、上記のアミノ酸配列のN末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子を合成してもよい。上記発現ベクターとしては、DNA配列からタンパク質を発現し得るプラスミド、ファージ、ウイルスなどを用いることができる。上記プラスミド型発現ベクターとしては、宿主細胞内で目的の遺伝子が発現し、かつ自身が増幅することのできるものであればよく、特に限定されない。例えば宿主として大腸菌Rosetta(DE3)を用いる場合は、pET22b(+)プラスミドベクター、pColdプラスミドベクターなどを用いることができる。中でも、タンパク質の生産性の観点から、pET22b(+)プラスミドベクターを用いることが好ましい。上記宿主としては、例えば動物細胞、植物細胞、微生物などを用いることができる。
(2)紡糸液
紡糸液(ドープ液)は、前記ポリペプチドに溶媒を加え、紡糸できる粘度に調整して作製する。
溶媒は前記ポリペプチドを溶解することができるものであればどのようなものでも良い。例えば前記ポリペプチドがニワオニグモに由来する場合、一例としてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)、蟻酸、尿素、グアニジン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化リチウム、塩化カルシウム、チオシアン酸リチウムなどを含む水溶液などを溶媒とし、適量加えて溶液粘度を100〜10,000cP(センチポイズ)とする。これを紡糸液とする。
(3)紡糸
紡糸は湿式紡糸を採用する。これにより、ポリマーを溶解させた溶媒を除去し(脱溶媒ともいう)、未延伸糸を得る。湿式紡糸に使用する凝固液は、脱溶媒できる溶液であればどのようなものでも良い。溶媒がHFIPの場合、凝固液はメタノール、エタノール、2−プロパノールなどの炭素数1〜5の低級アルコール又はアセトンを使用するのが好ましい。凝固液の温度は0〜30℃が好ましい。前記の範囲であれば紡糸は安定する。前記紡糸液を凝固液に押し出すことにより、未延伸糸が得られる。直径0.1〜0.6mmのノズルを有するシリンジポンプの場合、押し出し速度は1ホール当たり、0.2〜2.4ml/hが好ましい。この範囲であれば紡糸は安定する。さらに好ましい押し出し速度は1ホール当たり、0.6〜2.2ml/hである。凝固液槽の長さは200〜500mm、未延伸糸の引き取り速度は1〜3m/min、滞留時間は0.01〜0.15minが好ましい。この範囲であれば脱溶媒が効率よくできる。凝固液において延伸(前延伸)をしても良いが、低級アルコールの蒸発を考えると凝固液を低温に維持し、未延伸糸の状態で引き取るのが好ましい。
(4)延伸
(a)多段延伸の作用機能
延伸は少なくとも2段で行う。もちろん3段以上の多段延伸も採用できる。本発明において、2段以上の多段延伸を採用する理由は、天然型クモ糸タンパク質に由来するポリペプチドは、どちらかというと分子が配向し難いため、多段で延伸することにより分子を多段で配向させ、トータル延伸倍率も高くすることができるため、結果としてタフネスの高い繊維が得られるためである。
(b)多段延伸の内容
前記少なくとも2段の延伸は、湿熱における一段目延伸と、次に乾熱における二段目延伸を含む。湿熱における一段目延伸は前記凝固液中で行ってもよい。3段以上の多段延伸を採用する場合は、湿熱の一段目延伸を2段に分ける及び/又は乾熱の二段目延伸を2段に分けるなどの方法を採用できる。一段目延伸の湿熱は、温水中でも良いし、スチーム加熱でも良い。温水には有機溶剤などを加えても良い。本多段延伸は湿熱又は乾熱以外の延伸方法を延伸工程の任意の段階に追加しても良い。
(c)一段目と二段目の延伸条件
一段目延伸は未延伸糸を50〜90℃の温水で2〜8倍延伸することが好ましい。このようにすると安定した延伸ができる。二段目延伸は170℃〜270℃の乾熱で1.25〜3倍延伸することが好ましい。これにより、高タフネスの延伸糸が得られる。前記において一段目延伸は未延伸糸を75〜85℃の温水で延伸するのがさらに好ましい。一段目延伸の延伸倍率は2.3〜7倍とすることがさらに好ましい。二段目延伸は180℃〜230℃の乾熱がさらに好ましい。二段目延伸の延伸倍率は1.35〜3倍がさらに好ましい。延伸糸のタフネスを向上しかつ安定して延伸糸を得るためには、トータル延伸倍率は5倍を超え20倍以下とするのが好ましく、さらに好ましくは6倍以上11倍以下である。乾熱は一例として電気管状炉または熱板を使用する。
(d)連続工程
紡糸から延伸までは連続工程としても良いし、任意の工程に分けて実施しても良い。図1は本発明の一実施例における製造工程を示す説明図である。図1は連続工程を示している。紡糸延伸装置10は、押し出し工程1と、未延伸糸製造工程2と、湿熱延伸工程3と、乾熱延伸工程4を含む。紡糸液6は貯槽7に貯蔵され、ギアポンプ8から口金9に押し出す。ラボスケールにおいては、紡糸液をシリンダーに充填し、シリンジポンプを用いてノズルから押し出しても良い。押し出された紡糸液は、エアギャップ19を有するか又は直接、凝固液槽20の凝固液11内に供給し、溶媒を除去する。次いで延伸浴槽21内の温水12内に供給し、一段目延伸する。延伸は供給ニップローラ13と引き取りニップローラ14との速度比によって決まる。次いで乾熱延伸装置17に供給し、糸道22内で二段目延伸し、巻糸体5とする。延伸は供給ニップローラ15と引き取りニップローラ16との速度比によって決まる。18a〜18fは糸ガイドである。
(e)分離工程
図2A−Bは本発明の別の実施例における製造工程を分離した例の説明図である。図2Aは紡糸工程30及び一段目延伸工程40、図2Bは二段目延伸工程50を示す。それぞれの工程ごとに糸を巻き取るかまたは巻き取らずに容器に溜めてもよい。紡糸工程30においては、マイクロシリンジ31内に紡糸液32を入れておき、シリンジポンプを用いて矢印P方向に移動させ、ノズル33から紡糸液32を押し出し、凝固液槽34内の凝固液35に供給し、未延伸糸36とする。続いて一段目延伸工程40においては、未延伸糸36を延伸浴槽37内の温水38内に供給し、一段目延伸し、一段目延伸糸の巻糸体39とする。延伸は供給ニップローラ41と引き取りニップローラ42との速度比によって決まる。次いで巻糸体39から一段目延伸糸を引き出し、乾熱延伸装置43に供給し、糸道47内で二段目延伸する。延伸は供給ニップローラ45と引き取りニップローラ46との速度比によって決まる。次いで延伸糸を巻糸体44に巻き取る。
以上のようにして人造ポリペプチド繊維を得る。得られた人造ポリペプチド繊維は、応力が350MPa以上、タフネスが138MJ/m以上である。タフネスは繊維の強伸度を測定する際の応力−ひずみ曲線(SSカーブ)の積分値から算出される。図3は本発明の一実施例で得られた繊維のタフネスの説明図であり、応力−変位(ひずみ)曲線とタフネス(斜線部)を示す。応力と破断伸度の両方が高いとタフネスも高いことがわかる。
本発明の人造ポリペプチド繊維の好ましい応力は400MPa以上であり、より好ましくは590MPa以上、特に好ましくは620MPa以上である。好ましい破断伸度は39%以上であり、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上である。好ましいタフネスは170MJ/m以上であり、より好ましくは240MJ/m以上、さらに好ましくは260MJ/m以上である。本発明の人造ポリペプチド繊維の好ましい初期弾性率は8GPa以上、より好ましくは14GPa以上,さらに好ましくは16GPa以上である。
本発明の人造ポリペプチド繊維は直径が5〜100μmの範囲であることが好ましい。前記の範囲であれば安定して延伸繊維を得ることができる。より好ましい繊維直径は7〜30μmの範囲、さらに好ましくは8〜25μmの範囲である。また、本発明の人造ポリペプチド繊維は、繊維直径が均一であり、繊維直径の変動率が5%以下であることが好ましい。繊度(単位:texまたはdeci tex)を算出する場合は、繊維断面が丸の場合は繊維直径から計算される断面積と比重と長さから算出する。なお、本発明の人造ポリペプチド繊維は湿式紡糸により得られるため、断面が円形とは限らず様々な形状を含むため、繊維直径(平均直径)は断面を円形と想定した場合の平均径をいう。
前記ポリペプチドは、ニワオニグモ(Araneus diadematus)の2つの主要なしおり糸タンパク質の一つであるADF3由来のポリペプチドであることが好ましい。このポリペプチドは強伸度及びタフネスが基本的に高く、合成し易いことも利点として上げられる。
前記人造ポリペプチド繊維の複屈折率Δn(×1000)は15.6以上であることが好ましい。なお複屈折率と複屈折度は同一である。複屈折率はオリンパス社製の偏光顕微鏡でセナルモンというコンペンセータを使用して測定できる。測定範囲は0〜546nm(0〜1λ)、Δn=R/直径の計算で求める。前記において、Rはセナルモンのコンペンセータで測定したレタデーション量(nm)である。複屈折率Δn(×1000)が15.6以上であることは、分子の配向が進んでいることを示す。
本発明の人造ポリペプチド繊維は延伸後、フィブロイン繊維内のポリペプチド分子間について化学的に架橋させてもよい。ポリペプチドにおいて架橋に使える官能基は例えばアミノ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。ポリペプチドに含まれるリジン側鎖のアミノ基は、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸側鎖のカルボキシル基と脱水縮合によりアミド結合で架橋できる。架橋は真空加熱下で脱水縮合反応を行なっても良いし、カルボジイミドなどの脱水縮合剤により架橋させても良い。また、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いても良い。また、トランスグルタミナーゼなどの酵素により架橋することもできる。一例として、カルボジイミド、グルタルアルデヒドなどの架橋剤で架橋反応させても良い。カルボジイミドは一般式RN=C=NR(但し、R,Rは炭素数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基を含む有機基を示す。)で示され、具体的化合物は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などがある。この中でもEDC、DICはペプチド鎖のアミド結合形成能が高く、架橋反応し易いことから好ましい。架橋処理は、延伸糸に架橋剤を付与して真空加熱乾燥で架橋するのが好ましい。架橋剤は100%品を繊維に付与しても良いし、炭素数1〜5の低級アルコールや緩衝液などで希釈して0.005〜10質量%の濃度で繊維に付与しても良い。処理条件は、温度20〜45℃で3〜42時間が好ましい。架橋剤による架橋処理により、人造ポリペプチド延伸繊維はさらに高い応力(強度)となる。
以下実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜2)
<遺伝子合成>
(1)ADF3Kaiの遺伝子の合成
ニワオニグモの2つの主要なしおり糸タンパク質の一つであるADF3(GI:1263287)の部分的なアミノ酸配列をNCBIのウェブデータベースより取得し、同配列のN末端に開始コドン、His10タグ及びHRV3Cプロテアーゼ(Human rhinovirus 3Cプロテアーゼ)認識サイトからなるアミノ酸配列(配列番号7)を付加したアミノ酸配列(配列番号5)をコードする遺伝子を、GenScript社に合成受託した。その結果、配列番号8で示す塩基配列からなるADF3Kaiの遺伝子が導入されたpUC57ベクター(遺伝子の5’末端直上流にNde Iサイト、及び5’末端直下流にXba Iサイト有り)を取得した。その後、同遺伝子をNde I及びEcoR Iで制限酵素処理し、pET22b(+)発現ベクターに組み換えた。
(2)ADF3Kai−Largeの遺伝子の合成
ADF3Kaiを鋳型にT7プロモータープライマー(配列番号11)とRep Xba Iプライマー(配列番号12)を用いてPCR反応を行い、ADF3Kaiの遺伝子配列における5’側半分の配列(以下、配列Aと記す。)を増幅し、同断片をMighty Cloning Kit(タカラバイオ株式会社製)を使用して、予めNde I及びXba Iで制限酵素処理をしておいたpUC118ベクターに組み換えた。同様に、ADF3Kaiを鋳型にXba I Repプライマー(配列番号13)とT7ターミネータープライマー(配列番号14)を用いてPCR反応を行い、ADF3Kaiの遺伝子配列における3’側半分の配列(以下、配列Bと記す。)を増幅し、同断片をMighty Cloning Kit(タカラバイオ株式会社製)を使用して、予めXba I、EcoR Iで制限酵素処理をしておいたpUC118ベクターに組み換えた。配列Aの導入されたpUC118ベクターをNde I、Xba Iで、配列Bの導入されたpUC118ベクターをXba I、EcoR Iでそれぞれ制限酵素処理し、ゲルの切り出しによって配列A及び配列Bの目的DNA断片を精製した。DNA断片A、B及び予めNde I及びEcoR Iで制限酵素処理をしておいたpET22b(+)をライゲーション反応させ、大腸菌DH5αに形質転換した。T7プロモータープライマー及びT7ターミネータープライマーを用いたコロニーPCRにより、目的DNA断片の挿入を確認した後、目的サイズ(3.6 kbp)のバンドが得られたコロニーからプラスミドを抽出し、3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems)を用いたシーケンス反応により全塩基配列を確認した。その結果、配列番号9に示すADF3Kai−Largeの遺伝子の構築が確認された。なお、ADF3Kai−Largeのアミノ酸配列は配列番号6で示すとおりであった。
(3)ADF3Kai−Large−NRSH1の遺伝子の合成
上記で得られたADF3Kai−Largeの遺伝子が導入されたpET22b(+)ベクターを鋳型に、PrimeStar Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ株式会社製)を用いた部位特異的変異導入により、ADF3Kai−Largeのアミノ酸配列(配列番号6)における第1155番目のアミノ酸残基グリシン(Gly)に対応するコドンGGCを終止コドンTAAに変異させ、配列番号10に示すADF3Kai−Large−NRSH1の遺伝子をpET22b(+)上に構築した。変異の導入の正確性については、3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems)を用いたシーケンス反応により確認した。なお、ADF3Kai−Large−NRSH1のアミノ酸配列は配列番号4で示すとおりであった。
<タンパク質の発現>
上記で得られたADF3Kai−Large−NRSH1の遺伝子配列を含むpET22b(+)発現ベクターを、大腸菌Rosetta(DE3)に形質転換した。得られたシングルコロニーを、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養後、同培養液1.4mlを、アンピシリンを含む140mLのLB培地に添加し、37℃、200rpmの条件下で、培養液のOD600が3.5になるまで培養した。次に、OD600が3.5の培養液を、アンピシリンを含む7Lの2×YT培地に50%グルコース140mLと共に加え、OD600が4.0になるまでさらに培養した。その後、得られたOD600が4.0の培養液に、終濃度が0.5mMになるようにイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加してタンパク質発現を誘導した。IPTG添加後2時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製したタンパク質溶液をポリアクリルアミドゲルに泳動させたところ、IPTG添加に依存して目的サイズ(約101.1kDa)のバンドが観察され、目的とするタンパク質が発現していることを確認した。
<精製>
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer (pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mMTris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mMTris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を7.5MUrea DB緩衝液(7.5M尿素、10mMリン酸二水素ナトリウム、20mMNaCl、1mMTris−HCl、pH7.0)で溶解し、スターラーで撹拌した後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分をのぞき、凍結乾燥粉末を回収した。得られた凍結乾燥粉末における目的タンパク質(約101.1kDa)の精製度は、粉末のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果をTotallab(nonlinear dynamics ltd.)を用いて画像解析することにより確認した。その結果、ADF3Kai−Large−NRSH1の精製度は約85%であった。
(4)紡糸液(ドープ液)
凍結乾燥粉末の濃度が8.1質量%になるように、凍結乾燥粉末にヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を添加した。ローテーターで14時間溶解した後、ゴミと泡を取り除いた。溶液粘度は1,200cP(センチポイズ)であった。これを紡糸液(ドープ液)とした。
(5)紡糸工程−一段目延伸工程
紡糸工程から延伸工程は図2A−Bに示す方法を用いた。紡糸液をシリンダーに充填し、0.2mm径のノズルからシリンジポンプを用い、100質量%メタノール凝固液中に押し出して未延伸糸を作製した。押し出し速度を1.8ml/h、凝固液槽の長さは400mmとした。続いて一段目延伸として、未延伸糸を80℃の温水で2.3〜7倍延伸し、巻き取り速度を2.3〜3.6m/minとした。
(6)二段目延伸工程
二段目延伸として、180〜220℃の乾熱板で1.4〜2.96倍延伸すると高タフネスの延伸糸が得られることがわかった。各実施例及び各比較例では下記表1の条件を採用した。
Figure 2012165476
(7)物性測定
(a)走査型電子顕微鏡観察で表面構造を観察した。
(b)分子の配向を調べるため、偏光顕微鏡でレタデーション、干渉色、複屈折度を求めた。オリンパス社製の偏光顕微鏡でセナルモンというコンペンセータを使用した。測定範囲は0〜546nm(0〜1λ)、Δn=R/直径の計算で求める。前記において、Rはセナルモンのコンペンセータで測定したレタデーション量(nm)である。実施例1の繊維の複屈折率Δn(×1000)は15.6であった。実施例1の繊維は分子の配向が進んでいることが確認できた。
(c)光学顕微鏡を用いて繊維の直径を求めた。
(d)温度25℃、相対湿度60%の雰囲気温度で引張り試験機(島津社製小型卓上試験機EZ−S)を用いて繊維の強度(応力)、初期弾性率(20点の最大傾きで測定した。具体的には、50msec間隔で測定し、傾きの計算を20点間隔で行ったときの最大傾きを初期弾性率とした。)、伸度(破断点変位、変位)を測定し、下記式によりタフネスを算出した。サンプルは厚紙で作製した型枠に貼り付け、つかみ具間距離は20mm、引張り速度は10mm/minで行った。ロードセル容量1N、つかみ冶具はクリップ式とした。測定値はサンプル数n=5の平均値とした。
タフネス=[E/(r×π×L)×1000](単位:MJ/m
但し、
E 破壊エネルギー(単位:J)
r 繊維の半径(単位:mm)
π 円周率
L 引張り試験測定時のつかみ具間距離:20mm
(e)繊維の比重測定は一般財団法人カケンテストセンターに外注分析を依頼し、JIS L 1015 浮沈法に準じて測定した。本繊維の比重は1.34であった。
各種物性値を表2にまとめて示した。各実施例及び比較例で得られた繊維の応力−変位(ひずみ)曲線を図3〜図9に示した。
Figure 2012165476
表2から明らかなとおり、本発明の実施例品は応力、破断伸度は適度にあり、タフネスが高い人造ポリペプチド繊維であることが確認できた。
表3には本発明の実施例1〜5で得られた繊維と、既存の天然クモ糸繊維、炭素繊維、パラ系アラミド繊維との応力、伸度、タフネスをまとめた。
Figure 2012165476
(備考)表2の「破断点変位(ひずみ)」と表3の「伸度」とは同一である。
表3から明らかなとおり、本発明の実施例で得られた繊維の応力、伸度は適度にあり、タフネスは高いことが確認できた。
本発明の人造ポリペプチド繊維は、樹脂や金属の強化繊維、複合材料、射出成形などに好適に使用できる。その用途は、自動車などの輸送機器部材、タイヤの補強繊維などに適用できる。さらに釣り糸、テニスやバドミントンのガット、バイオリンの絃、バイオリンの弓、人造毛髪などにも適用できる。形態としては糸、綿、織物、編物、組み物、不織布などに応用できる。
1 押し出し工程
2,30 未延伸糸製造工程
3,40 湿熱延伸工程(一段目延伸工程)
4,50 乾熱延伸工程(二段目延伸工程)
5,39,44 巻糸体
6,32 紡糸液
7 貯槽
8 ギアポンプ
9 口金
10 紡糸延伸装置
11,35 凝固液
12,38 温水
13,15,41,45 供給ニップローラ
14,16,42,46 引き取りニップローラ
17,43 乾熱延伸装置
18a〜18f 糸ガイド
19 エアギャップ
20,34 凝固液槽
21,37 延伸浴槽
22,47 糸道
31 シリンジ
33 ノズル
36 未延伸糸
配列番号1〜7 アミノ酸配列
配列番号8〜10 塩基配列
配列番号11〜14 プライマーシーケンス
本発明は合成タンパク質繊維の一種である人造ポリペプチド繊維に関する。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、応力及びタフネスが高い人造ポリペプチド繊維を提供する。
本発明の人造ポリペプチド繊維は、ポリペプチドを主成分として含む人造繊維であって、応力が350MPa以上628.7MPa以下、タフネスが138MJ/m3以上265.4MJ/m 3 以下であることを特徴とする。

Claims (15)

  1. ポリペプチドを主成分とする人造繊維であって、
    応力が350MPa以上、タフネスが138MJ/m以上であることを特徴とする人造ポリペプチド繊維。
  2. 前記ポリペプチドは、天然型クモ糸タンパク質(spider silk proteins)に由来するポリペプチドであり、式1:REP1−REP2(1)で示されるアミノ酸配列の単位を含み、前記式(1)において、REP1は、アラニン及びグリシンから選ばれる少なくとも一つのアミノ酸が連続して2〜20残基並んでおり、REP2は、2〜200残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列であり、かつ前記アミノ酸配列中に含まれるグリシン、セリン、グルタミン及びアラニンの合計残基数がアミノ酸残基数全体に対して40%以上である請求項1に記載の人造ポリペプチド繊維。
  3. 前記ポリペプチドは、C末端配列が配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であるポリペプチドである請求項2に記載の人造ポリペプチド繊維。
  4. 前記繊維のタフネスは170MJ/m以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  5. 前記繊維のタフネスは240MJ/m以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  6. 前記繊維の応力は590MPa以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  7. 前記繊維の破断伸度は26%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  8. 前記繊維の初期弾性率は8GPa以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  9. 前記繊維直径の変動率が5%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  10. 前記繊維の直径が5〜100μmの範囲である請求項1〜9のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維。
  11. 天然型クモ糸タンパク質(spider silk proteins)に由来するポリペプチドを含む紡糸液を紡糸し、少なくとも2段延伸して得られる人造ポリペプチド繊維の製造方法であって、
    前記少なくとも2段の延伸は、湿熱における一段目延伸と、乾熱における二段目延伸を含むことを特徴とする人造ポリペプチド繊維の製造方法。
  12. 前記一段目延伸の延伸条件が、70〜90℃の温水中で2〜8倍に延伸する請求項11に記載の人造ポリペプチド繊維の製造方法。
  13. 前記二段目延伸の延伸条件が、170〜230℃の雰囲気温度で1.25〜3倍に延伸する請求項11又は12に記載の人造ポリペプチド繊維の製造方法。
  14. 前記紡糸は、前記ポリペプチドを含む紡糸液を凝固液に押し出して未延伸糸とし、前記凝固液中で一段目延伸する請求項10〜13のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維の製造方法。
  15. 前記繊維のトータル延伸倍率は5倍を超え20倍以下である請求項11〜14のいずれか1項に記載の人造ポリペプチド繊維の製造方法。
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