JPWO2012081637A1 - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
本発明のインク組成物は、少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素、その互変異性体、又はそれらの塩である色素(I)と、少なくとも1種類の下記式(2)で表される色素又はその塩である色素(II)とを含有する。式(1)中、R1は(C1〜C4)アルキル基等、R2はシアノ基等、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、スルホ基、(C1〜C4)アルコキシ基等、R5及びR7はそれぞれ独立して(C1〜C4)アルキルチオ基等、R6及びR8はそれぞれ独立して(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基、R9及びR10はそれぞれ独立して(C1〜C4)アルコキシ基等、R11からR13はそれぞれ独立して水素原子、スルホ基等、をそれぞれ表す。式(2)中、A及びBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいフェニル基等を表す。
Description
本発明は少なくとも特定の2種類の色素である、色素(I)、(II)を含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インク組成物によって着色された着色体に関する。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させこれを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため音の発生が少なく静かである。また、小型化、高速化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン用等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐ガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
従来、万年筆、フェルトペン用等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐ガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
これらのうちで、耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガス等が被記録材中で色素に作用し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOx、SOx等が挙げられるが、これらの酸化性ガスの中でもオゾンガスがインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる主原因物質とされている。よって、耐ガス性の中でも、特に耐オゾンガス性が最も重要視される傾向がある。写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、高画質での滲みを少なくするために、多孔性白色無機物等の素材を用いているものが多い。このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られる。この酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はインクジェット記録方法における最も重要な課題の1つとなっている。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性、耐水性のさらなる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の色素から調製されているが、それらのうち黒色インクはモノカラー及びフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域とがニュートラルな色相で、且つ印字濃度が高く、さらに色相の光源依存性が小さい良好な黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているが、未だ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を配合して黒色インクを調製することが行われている。しかし、複数の色素を混合してインクを調製すると、単一の色素でインクを調製した場合に比べて、1)メディア(被記録材)によって色相が異なる、2)光やオゾンガスによる色素の分解によって特に変色が大きくなる、等の問題がある。
さらに、複数の色素を混合してインクを調製する際に、多数の色素を混合するため、インク中に占めるブラック色素の割合が低下し、印字濃度が低下する問題が生じる。一方、印字濃度の低下を抑えるためにインク中の色素の総量を増やすと、ブロンズ現象が生じ、黒色印刷物としての質を低下させる原因となる。そのため、印字濃度の高い色素や、耐ブロンズ性が良好な色素の開発が求められているが、未だ十分な性能を有するものが少ないのが現状である。
ここで、ブロンズ現象とは、色素の会合やインクの吸収不良等を原因とし、被記録材の表面上で色素が金属片状になり、ぎらつく現象のことをいう。この現象が生じると、光沢性、印字品位、印字濃度の全ての点で劣るものとなる。特に、色素として金属フタロシアニン系色素やポリアゾ系色素を使用し印字を行った部分に「赤浮き現象」として現れることが多く、画像全体としての色バランスが不均一となり、その品質を低下させる。また、近年では写真調に近い風合いを持つ被記録材として光沢紙が多く使用されているが、ブロンズ現象が生じると記録物表面での光沢感にバラツキが生じ、画像の風合いを著しく損ねてしまう。このような観点から、ブロンズ現象を生じない色素が強く望まれている。
印刷物の各種耐久性が良好なインクジェット用黒色インク組成物としては、例えば特許文献1のインクが挙げられる。また、特許文献2には耐オゾン性をさらに改良し、色相も黒色として良好であるインクの提案がなされている。しかし、これらのインクは、印刷物の画像堅牢性についても大きく改良がなされたインク組成物であるが、特に耐オゾンガス性についてさらなる改善が要望されており、未だ市場の要求を十分に満足する製品を提供するに至っていない。
本発明は、長期間保存した場合でも安定であり、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても彩度が低く色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、印字された画像の濃度が高く、記録画像の各種堅牢性、特に耐オゾンガス性に非常に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上述したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも1種類ずつの、特定の式(1)で表される色素、その互変異性体、又はそれらの塩(色素(I))、式(2)で表される色素又はその塩(色素(II))を含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素、その互変異性体、又はそれらの塩である色素(I)と、少なくとも1種類の下記式(2)で表される色素又はその塩である色素(II)とを含有するインク組成物、
[式(1)中、
R1は、(C1〜C4)アルキル基;カルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;フェニル基;スルホ基で置換されたフェニル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R2は、シアノ基;カルバモイル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子;(C1〜C4)アルキル基;ハロゲン原子;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、スルホ基;を表し、
R5は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R6は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R7は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R8は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;アセチルアミノ基;塩素原子;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;を表し、
R11からR13は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;ヒドロキシ基;アセチルアミノ基;塩素原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;(C1〜C4)アルキルスルホニル基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;を表す。]
[式(2)中、
A及びBは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、及び(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されていてもよいフェニル基;ナフチル基;又は、1つのアゾ結合を有する基を表す。]
1)少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素、その互変異性体、又はそれらの塩である色素(I)と、少なくとも1種類の下記式(2)で表される色素又はその塩である色素(II)とを含有するインク組成物、
R1は、(C1〜C4)アルキル基;カルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;フェニル基;スルホ基で置換されたフェニル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R2は、シアノ基;カルバモイル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子;(C1〜C4)アルキル基;ハロゲン原子;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、スルホ基;を表し、
R5は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R6は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R7は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R8は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;アセチルアミノ基;塩素原子;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;を表し、
R11からR13は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;ヒドロキシ基;アセチルアミノ基;塩素原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;(C1〜C4)アルキルスルホニル基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;を表す。]
A及びBは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、及び(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されていてもよいフェニル基;ナフチル基;又は、1つのアゾ結合を有する基を表す。]
2)上記式(1)において、
R1がメチル基;又はフェニル基;
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;塩素原子;ニトロ基;メチル基;メトキシ基;スルファモイル基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;である、上記1)に記載のインク組成物、
3)上記式(2)において、
A及びBが、それぞれ独立して、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の置換基を有し、且つ1つのアゾ結合を有する基である、上記1)又は2)に記載のインク組成物、
R1がメチル基;又はフェニル基;
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;塩素原子;ニトロ基;メチル基;メトキシ基;スルファモイル基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;である、上記1)に記載のインク組成物、
3)上記式(2)において、
A及びBが、それぞれ独立して、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の置換基を有し、且つ1つのアゾ結合を有する基である、上記1)又は2)に記載のインク組成物、
4)さらに、下記式(3)で表される色素又はその塩である色素(III)と、上記色素(I)乃至(III)に含まれない、1分子中に1乃至2個のアゾ基を有する水溶性黄色染料である色素(IV)との少なくとも一方を含有する、上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
[式(3)中、
Raは、水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;非置換(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;非置換(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;非置換(C1〜C4)アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス−(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;非置換(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;非置換フェニルアミノ基;ベンゼン環が、カルボキシ基、スルホ基、及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又は、ウレイド基;を表し、
Xは、カルボキシ基又はスルホ基で置換された脂肪族アミノ基を表す。]
Raは、水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;非置換(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;非置換(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;非置換(C1〜C4)アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス−(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;非置換(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;非置換フェニルアミノ基;ベンゼン環が、カルボキシ基、スルホ基、及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又は、ウレイド基;を表し、
Xは、カルボキシ基又はスルホ基で置換された脂肪族アミノ基を表す。]
5)上記式(3)で表される色素が下記式(4)で表される、上記4)に記載のインク組成物、
[式(4)中、
Xは、カルボキシ基又はスルホ基を有する、モノ(C1〜C5)アルキルアミノ基又はジ(C1〜C5)アルキルアミノを表す。]
Xは、カルボキシ基又はスルホ基を有する、モノ(C1〜C5)アルキルアミノ基又はジ(C1〜C5)アルキルアミノを表す。]
6)上記色素(III)と上記色素(IV)との両方を含有する、上記4)又は5)に記載のインク組成物、
7)インク組成物中に含有する色素の総質量中、上記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、上記色素(II)の比率が1乃至10質量%である、上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物、
8)上記色素(I)及び上記色素(II)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物、
9)インク組成物中に含有する色素の総質量中、上記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、上記色素(II)の比率が1乃至10質量%であり、上記色素(III)の比率が5乃至20質量%であり、上記色素(IV)の比率が4乃至20質量%である、上記6)に記載のインク組成物、
10)上記色素(I)、上記色素(II)、上記色素(III)、及び上記色素(IV)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、上記6)に記載のインク組成物、
11)インクジェット記録に用いる、上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物、
12)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法、
13)上記被記録材が情報伝達用シートである、上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである、上記13)に記載のインクジェット記録方法、
15)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
16)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
7)インク組成物中に含有する色素の総質量中、上記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、上記色素(II)の比率が1乃至10質量%である、上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物、
8)上記色素(I)及び上記色素(II)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物、
9)インク組成物中に含有する色素の総質量中、上記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、上記色素(II)の比率が1乃至10質量%であり、上記色素(III)の比率が5乃至20質量%であり、上記色素(IV)の比率が4乃至20質量%である、上記6)に記載のインク組成物、
10)上記色素(I)、上記色素(II)、上記色素(III)、及び上記色素(IV)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、上記6)に記載のインク組成物、
11)インクジェット記録に用いる、上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物、
12)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法、
13)上記被記録材が情報伝達用シートである、上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである、上記13)に記載のインクジェット記録方法、
15)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
16)上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
本発明のインク組成物は、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物をインクとして用い、インクジェット専用紙に記録した場合、印字濃度も高く、各種堅牢性、特に耐オゾンガス性に優れる。このように、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
また、「色素、その互変異性体、又はそれらの塩」のような記載は、記載が煩雑となるのを避けるため、便宜上、単に「色素」と簡略化して記載する場合があるが、その場合も、色素、その互変異性体、それらの塩、それらの混合物のいずれかを意味するものとする。
同様に、「色素又はその塩」のような記載は、記載が煩雑となるのを避けるため、便宜上、単に「色素」と簡略化して記載する場合があるが、その場合も色素、その塩、それらの混合物のいずれかを意味するものとする。
なお、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
また、「色素、その互変異性体、又はそれらの塩」のような記載は、記載が煩雑となるのを避けるため、便宜上、単に「色素」と簡略化して記載する場合があるが、その場合も、色素、その互変異性体、それらの塩、それらの混合物のいずれかを意味するものとする。
同様に、「色素又はその塩」のような記載は、記載が煩雑となるのを避けるため、便宜上、単に「色素」と簡略化して記載する場合があるが、その場合も色素、その塩、それらの混合物のいずれかを意味するものとする。
本発明のインク組成物は、少なくとも1種類の上記式(1)で表される色素(I)、少なくとも1種類の上記式(2)で表される色素(II)を含むことを特徴とする、水性の黒色インク組成物である。また、後述するように、色素(III)及び/又は色素(IV)をさらに含有することにより、本発明の効果はさらに顕著なものとなる。すなわち、貯蔵安定性、印字濃度、各種堅牢性に極めて優れるインク組成物を実現することができる。
さらに、ニュートラルで高品位な黒色を調製する目的で、本発明のインク組成物は、色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)以外の色素をさらに含有してもよい。しかし、通常の場合、本発明のインク組成物は、色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)以外の色素を含有しなくても、本発明の効果を得ることができる。
さらに、ニュートラルで高品位な黒色を調製する目的で、本発明のインク組成物は、色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)以外の色素をさらに含有してもよい。しかし、通常の場合、本発明のインク組成物は、色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)以外の色素を含有しなくても、本発明の効果を得ることができる。
本発明のインク組成物が含有する色素(I)は、1種以上の上記式(1)で表される色素である。すなわち、色素(I)は、上記式(1)で表される単一の色素であってもよいが、製造の容易さ、安価さ等の観点から、通常は、上記式(1)で表されるテトラキスアゾ化合物の数種、おおよそで言えば、好ましくは1乃至8種、より好ましくは1乃至7種、さらに好ましくは2乃至6種からなる混合色素であるのがよい。なお、このような混合色素であっても、本発明により得られる効果には何ら支障は無い。
上記式(1)で表されるアゾ化合物は互変異性体を有する。この互変異性体としては、上記式(1)で表される化合物以外に、下記式(5)、(6)等が考えられる。これらの化合物も本発明に含まれる。なお、式(5)及び(6)中、R1〜R13は、上記式(1)におけるのと同じ意味を有する。
上記式(1)中、R1における(C1〜C4)アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。好ましい具体例としては、メチル、n−プロピルが挙げられ、メチルが特に好ましい。
R1における、カルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基としては、上記非置換(C1〜C4)アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボキシ基が置換したものが挙げられる。カルボキシ基の置換位置は特に制限されないが、アルキル基の末端に置換するのが好ましく、カルボキシ基の置換数は1又は2個、好ましくは1個である。具体例としては、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル等が挙げられる。好ましい具体例としては、カルボキシメチルが挙げられる。
R1における、スルホ基で置換されたフェニル基としては、スルホ基が1乃至3個、好ましくは1又は2個置換したフェニル基が挙げられ、スルホ基の置換位置は特に制限されない。具体例としては、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等が挙げられる。好ましい具体例としては、4−スルホフェニルが挙げられる。
好ましいR1としては、(C1〜C4)アルキル基、カルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、スルホ基で置換されたフェニル基が挙げられる。
より好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、スルホ基で置換されたフェニル基である。
さらに好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基である。
特に好ましくは、(C1〜C4)アルキル基であり、中でもメチルが最も好ましい。
より好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、スルホ基で置換されたフェニル基である。
さらに好ましくは、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基である。
特に好ましくは、(C1〜C4)アルキル基であり、中でもメチルが最も好ましい。
上記式(1)中、R2はシアノ基;カルバモイル基;又は、カルボキシ基を表す。その中でも、シアノ基、カルバモイル基が好ましく、シアノ基がより好ましい。
上記式(1)中、R3及びR4における(C1〜C4)アルキル基としては、上記R1における(C1〜C4)アルキル基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R3及びR4におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
R3及びR4における(C1〜C4)アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中では、メトキシが特に好ましい。
R3及びR4としては、それぞれ独立して、水素原子、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基、又はスルホ基が好ましい。
より好ましくは、いずれか一方が水素原子、他方がスルホ基の組み合わせである。
R3及びR4の置換位置は特に制限されないが、いずれか一方が水素原子、他方がスルホ基のとき、該スルホ基は、ベンズイミダゾロピリドン環を構成する、いずれの窒素原子にも隣接しない方の、2つの炭素原子のいずれかに置換するのが好ましい。
より好ましくは、いずれか一方が水素原子、他方がスルホ基の組み合わせである。
R3及びR4の置換位置は特に制限されないが、いずれか一方が水素原子、他方がスルホ基のとき、該スルホ基は、ベンズイミダゾロピリドン環を構成する、いずれの窒素原子にも隣接しない方の、2つの炭素原子のいずれかに置換するのが好ましい。
本発明の上記式(1)で表される化合物は、合成の容易さ及び安価さの観点から、R3及びR4の置換位置における、少なくとも2種類の位置異性体を含む混合物として用いてもよい。
上記式(1)におけるR1乃至R4の好ましい組み合わせとしては、R1が(C1〜C4)アルキル基又はフェニル基(好ましくは(C1〜C4)アルキル基、より好ましくはメチル基)、R2がシアノ基又はカルバモイル基(好ましくはシアノ基)、R3が水素原子、メチル基、メトキシ基(好ましくはメトキシ基)、R4がスルホ基の組み合わせが挙げられる。
上記式(1)中、R5における(C1〜C4)アルキルチオ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ等の直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
R5における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基としては、(C1〜C4)アルキルチオ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1又は2個、好ましくは1個である。置換基の位置は特に制限されないが、アルキルチオ基における硫黄原子が結合する炭素原子以外の炭素原子に置換するのが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ等のスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ等のカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;等が挙げられる。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ等のスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ等のカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;等が挙げられる。
上記のうち、好ましいR5としては、スルホ(C1〜C4)アルキルチオ基又はカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基が挙げられ、スルホ(C1〜C4)アルキルチオ基がより好ましく、スルホプロピルチオ基が特に好ましい。
上記式(1)中、R6における(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、ピバロイルアミノ(tert−ブチルカルボニルアミノ)等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらのうち直鎖のものが好ましく、アセチルアミノ基が特に好ましい。
R5及びR6の好ましい組み合わせは、R5がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基、R6がアセチルアミノ基の組み合わせであり、R5がスルホプロピルチオ基、R6がアセチルアミノ基の組み合わせが特に好ましい。
上記式(1)中、R7における(C1〜C4)アルキルチオ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ等の直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
R7における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基としては、(C1〜C4)アルキルチオ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1又は2個、好ましくは1個である。置換基の位置は特に制限されないが、アルキルチオ基における硫黄原子が結合する炭素原子以外の炭素原子に置換するのが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ等のスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ等のカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;等が挙げられる。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ等のスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ等のカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基;等が挙げられる。
上記のうち、好ましいR7としては、スルホ(C1〜C4)アルキルチオ基又はカルボキシ(C1〜C4)アルキルチオ基が挙げられ、スルホ(C1〜C4)アルキルチオ基がより好ましく、スルホプロピルチオ基が特に好ましい。
上記式(1)中、R8における(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の非置換のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、ピバロイルアミノ(tert−ブチルカルボニルアミノ)等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらのうち直鎖のものが好ましく、アセチルアミノ基が特に好ましい。
R7及びR8の好ましい組み合わせは、R7がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基、R8がアセチルアミノ基の組み合わせであり、R7がスルホプロピルチオ基、R8がアセチルアミノ基の組み合わせが特に好ましい。
上記式(1)中、R9及びR10における(C1〜C4)アルキル基としては、上記R1における(C1〜C4)アルキル基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R9及びR10における(C1〜C4)アルコキシ基としては、上記R3及びR4における(C1〜C4)アルコキシ基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R9及びR10における、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基としては、(C1〜C4)アルコキシ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1又は2個、好ましくは1個である。置換基の位置は特に制限されないが、アルコキシ基における酸素原子が結合する炭素原子以外の炭素原子に置換するのが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、4−カルボキシブトキシ等のカルボキシ(C1〜C4)アルコキシ基;等が挙げられる。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、4−カルボキシブトキシ等のカルボキシ(C1〜C4)アルコキシ基;等が挙げられる。
上記のうち、好ましいR9としては、スルホ(C1〜C4)アルコキシ基及びカルボキシ(C1〜C4)アルコキシ基が挙げられ、スルホ(C1〜C4)アルコキシ基がより好ましく、スルホプロポキシ基、スルホブトキシ基が特に好ましい。
上記のうち、好ましいR10としては、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ(C1〜C4)アルコキシ基、カルボキシ(C1〜C4)アルコキシ基、アセチルアミノ基が挙げられ、(C1〜C4)アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
R9及びR10の好ましい組み合わせは、R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基、R10が(C1〜C4)アルキル基の組み合わせであり、R9がスルホプロポキシ基(特に3−スルホプロポキシ基が好ましい)、R10がメチル基の組み合わせや、R9がスルホブトキシ基(特に4−スルホブトキシ基が好ましい)、R10がメチル基の組み合わせが特に好ましい。
上記式(1)中、R11からR13における(C1〜C4)アルキル基としては、上記R1における(C1〜C4)アルキル基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R11からR13における(C1〜C4)アルコキシ基としては、上記R3及びR4における(C1〜C4)アルコキシ基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R11からR13における、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基としては、上記R5及びR6における、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
R11からR13における(C1〜C4)アルキルスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル等の直鎖のもの;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記のうち、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルが好ましく、メチルスルホニルが特に好ましい。
上記のうち、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルが好ましく、メチルスルホニルが特に好ましい。
R11からR13における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基としては、上記(C1〜C4)アルキルスルホニル基における任意の炭素原子に、上記の基が置換したものが挙げられ、該置換基の数は通常1又は2個、好ましくは1個である。置換基の位置は特に制限されない。
具体例としては、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル等のヒドロキシ置換のもの;2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル等のスルホ置換のもの;2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル等のカルボキシ置換のもの;等が挙げられる。
具体例としては、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル等のヒドロキシ置換のもの;2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル等のスルホ置換のもの;2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル等のカルボキシ置換のもの;等が挙げられる。
上記のうち、好ましいR11としては、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、塩素原子、メチル基、メトキシ基、(C1〜C4)アルキルスルホニル基が挙げられ、水素原子、電子吸引性置換基であるカルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、塩素原子、(C1〜C4)アルキルスルホニル基、或いはメチル基、メトキシ基がより好ましく、水素原子、塩素原子が特に好ましい。
上記のうち、好ましいR12としては、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、塩素原子、メチル基、メトキシ基、スルファモイル基、(C1〜C4)アルキルスルホニル基、カルボキシ(C1〜C4)アルキルスルホニル基、スルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル基が挙げられ、水素原子、電子吸引性置換基であるカルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、塩素原子、スルファモイル基、(C1〜C4)アルキルスルホニル基、カルボキシ(C1〜C4)アルキルスルホニル基、スルホ(C1〜C4)アルキルスルホニル基或いはメチル基、メトキシ基が好ましく、スルホ基、ニトロ基、メチル基、メトキシ基、スルファモイル基、スルホプロピルスルホニル基、カルボキシエチルスルホニル基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
上記のうち、好ましいR13としては、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、メトキシ基、ニトロ基、塩素原子、(C1〜C4)アルキルスルホニル基が挙げられ、水素原子、電子吸引性置換基であるカルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、塩素原子、(C1〜C4)アルキルスルホニル基、或いはメトキシ基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
R11からR13の好ましい組み合わせは、R11が水素原子、R12がスルホ基、R13が水素原子の組み合わせ、R11が水素原子、R12がスルファモイル基、R13が水素原子の組み合わせ、又はR11が水素原子、R12が塩素原子、R13がスルホ基の組み合わせであり、R11が水素原子、R12が塩素原子、R13がスルホ基の組み合わせが特に好ましい。
上記式(1)における各種の置換基、その組み合わせ、及びその置換位置等について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせたものはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士や、好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
上記式(1)における、好ましい組み合わせの具体例としては、以下の(i)乃至(iii)の組み合わせが挙げられる。(i)よりも(ii)が好ましく、(iii)が最も好ましい。
(i)
R1がメチル基;又はフェニル基;
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;メチル基;メトキシ基;塩素原子;ニトロ基;スルファモイル基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;である組み合わせ。
(ii)
R1がメチル基;、
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;スルホ基;メチル基;メトキシ基;塩素原子;ニトロ基;又は、スルファモイル基;である組み合わせ。
(iii)
R1がメチル基;
R2がシアノ基;
R3が水素原子;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6がアセチルアミノ基;
R7がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8がアセチルアミノ基;
R9がスルホプロポキシ基;又はスルホブトキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;
R11が水素原子;又はスルホ基;
R12がスルホ基;又は塩素原子;
R13が水素原子;又はスルホ基;である組み合わせ。
(i)
R1がメチル基;又はフェニル基;
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;メチル基;メトキシ基;塩素原子;ニトロ基;スルファモイル基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;である組み合わせ。
(ii)
R1がメチル基;、
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;スルホ基;メチル基;メトキシ基;塩素原子;ニトロ基;又は、スルファモイル基;である組み合わせ。
(iii)
R1がメチル基;
R2がシアノ基;
R3が水素原子;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6がアセチルアミノ基;
R7がスルホ(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8がアセチルアミノ基;
R9がスルホプロポキシ基;又はスルホブトキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;
R11が水素原子;又はスルホ基;
R12がスルホ基;又は塩素原子;
R13が水素原子;又はスルホ基;である組み合わせ。
上記式(1)で示されるアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとする。
なお、下記式(7)〜(14)において、R1〜R13は上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
下記式(7)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(8)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(9)で表される化合物を得る。
なお、下記式(7)〜(14)において、R1〜R13は上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
下記式(7)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(8)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(9)で表される化合物を得る。
得られた上記式(9)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(10)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(11)で表される化合物を得る。
得られた上記式(11)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(12)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(13)で表される化合物を得る。
得られた上記式(13)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(14)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させることにより、上記式(1)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
なお、上記式(14)で表される化合物は、特許文献6に記載の方法に準じて合成することができる。
上記式(1)で表されるアゾ化合物の好適な具体例としては、特に限定されるものではないが、下記表1乃至16に挙げた構造式で示される化合物等が挙げられる。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
上記式(7)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(7)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(8)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH1〜6で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア又は有機アミン等が使用できる。
上記式(7)で表される化合物と上記式(8)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(7)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(8)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH1〜6で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア又は有機アミン等が使用できる。
上記式(7)で表される化合物と上記式(8)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(9)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜40℃、好ましくは5〜30℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(9)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(10)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(9)で表される化合物と上記式(10)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(9)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(10)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(9)で表される化合物と上記式(10)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(11)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜50℃、好ましくは5〜40℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(11)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(12)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(11)で表される化合物と上記式(12)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(11)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(12)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(11)で表される化合物と上記式(12)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(13)で表される化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(13)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(14)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、且つ、弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(13)で表される化合物と上記式(14)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(13)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(14)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、且つ、弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。
上記式(13)で表される化合物と上記式(14)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
本発明のインク組成物が含有する色素(II)は、1種類以上の上記式(2)で表される色素である。すなわち、色素(II)は、上記式(2)で表される単一の色素であってもよいし、上記式(2)で表される複数の色素の混合物であってもよいが、単一の色素であるのが好ましい。
上記式(2)中、A及びBはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、及び(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されていてもよいフェニル基;ナフチル基;又は、1つのアゾ結合を有する基を表す。その中でも、A及びBがそれぞれ独立して、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の置換基を有し、且つ1つのアゾ結合を有する基であることが好ましい。
上記式(2)における、置換基A、Bの具体例を以下に示すが、必ずしもこれらの例に限定されるものではない。なお、下記具体例における*印は、当該位置において、上記式(2)のアゾ結合に結合していることを意味する。
上記式(2)における置換基A、Bは、それぞれ独立であってもよいが、好ましくは同一な置換基の組み合わせ、すなわち色素(II)は対称構造であるものが好ましい。
色素(II)として好ましい組み合わせの具体例を下記表17、18に示す。
中でも、C.I.Drect Orange 26、C.I.Drect Orange 29、C.I.Drect Red 4、C.I.Drect Red 23、C.I.Drect Red 80は、市販の染料として入手可能であり、また黒インクとして用いる際に、発色性、堅牢性、溶剤溶解性に優れるため好適である。さらに、C.I.Drect Red 80が特に有用である。
上記のC.I.ナンバーが付与されている染料は、市販の染料を購入し、公知の手法によってインクジェット適する純度に精製し用いることができるが、解説染料化学(色染社より発行)に記載の合成方法に従って、市販の原料より合成することも容易である。
本発明のインク組成物は、色素(III)として、1種類以上の上記式(3)で表される色素を含有してもよい。すなわち、色素(III)は上記式(3)で表される単一の色素であってもよいし、上記式(3)で表される複数の色素の混合物であってもよいが、単一の色素であるのが好ましい。
上記式(3)中、Raにおける非置換(C1〜C4)アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。中でもメチル、エチル、n−プロピルが好ましく、メチルが特に好ましい。
Raにおける、ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ置換のもの;メトキシエチル、エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、sec−ブトキシエチル、tert−ブトキシエチル等の(C1〜C4)アルコキシ置換のもの;等が挙げられる。
Raにおける非置換(C1〜C4)アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。中でもメトキシ、エトキシ、n−プロポキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。
Raにおける、ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシ置換のもの;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等の、直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖(C1〜C4)アルコキシ置換のもの;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシ及びアルコキシが複合して置換したもの;等が挙げられる。
Raにおける非置換(C1〜C4)アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ等の、モノ(非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル)アミノ基;N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ等の、ジ(非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル)アミノ基;等が挙げられる。
Raにおける、ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基としては、ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ等のモノ(ヒドロキシ置換アルキル)アミノ基;ビス(ヒドロキシエチル)アミノ等のビス(ヒドロキシ置換アルキル)アミノ基;メトキシエチアミノ、エトキシエチルアミノ等のモノ(アルコキシ置換アルキル)アミノ基;ビス(メトキシエチル)アミノ、ビス(2−エトキシエチル)アミノ等のビス(アルコキシ置換アルキル)アミノ基;等が挙げられる。
Raにおけるカルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、カルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシ−n−ブチルアミノ、カルボキシ−n−ペンチルアミノ等が挙げられる。
Raにおけるビス(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、ビス(カルボキシメチル)アミノ、ビス(カルボキシエチル)アミノ、ビス(カルボキシプロピル)アミノ等が挙げられる。
Raにおける非置換(C1〜C4)アルカノイルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピオニルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
Raにおける、ヒドロキシ基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルカノイルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、ヒドロキシアセチルアミノ、2−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、3−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、2−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、3−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ等のヒドロキシ置換のもの;2−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、3−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、2−メトキシ−n−ブチリルアミノ、3−メトキシ−n−ブチリルアミノ等のアルコキシ置換のもの;等が挙げられる。
Raにおける、ベンゼン環が、カルボキシ基、スルホ基、及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基の例としては、2−、3−、又は4−カルボキシフェニルアミノ、3,5−ビスカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ置換のもの;2−、3−、4−スルホフェニルアミノ等のスルホ置換のもの;2−アミノフェニルアミノ、3,5−ジアミノフェニルアミノ等のアミノ置換のもの;ジアミノスルホフェニルアミノ等のスルホ及びアミノがそれぞれ置換したもの;等が挙げられる。
Raとしては、上記のうち非置換(C1〜C4)アルキル基が好ましく、中でもメチルが特に好ましい。
上記式(3)中、Xにおける、カルボキシ基又はスルホ基で置換された脂肪族アミノ基としては、いずれも直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖の、スルホ(C1〜C5)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ジ(スルホ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;ジ(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;等の、カルボキシ基又はスルホ基で置換された、モノ(C1〜C5)アルキルアミノ基又はジ((C1〜C5)アルキル)アミノ基;等が挙げられる。炭素数の範囲としては、通常C1〜C5、好ましくはC1〜C4、より好ましくはC1〜C3、さらに好ましくはC1〜C2である。
具体例としては、スルホメチルアミノ、スルホエチルアミノ、スルホプロピルアミノ、スルホブチルアミノ、スルホペンチルアミノ等のスルホ(C1〜C5)アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシブチルアミノ、カルボキシペンチルアミノ等のカルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ジ(スルホメチル)アミノ、ジ(スルホエチル)アミノ、ジ(スルホプロピルアミノ)等のジ(スルホ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;ジ(カルボキシメチル)アミノ等のジ(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;等が挙げられる。
具体例としては、スルホメチルアミノ、スルホエチルアミノ、スルホプロピルアミノ、スルホブチルアミノ、スルホペンチルアミノ等のスルホ(C1〜C5)アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシブチルアミノ、カルボキシペンチルアミノ等のカルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ジ(スルホメチル)アミノ、ジ(スルホエチル)アミノ、ジ(スルホプロピルアミノ)等のジ(スルホ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;ジ(カルボキシメチル)アミノ等のジ(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;等が挙げられる。
Xとしては、上記のうち、スルホ(C1〜C5)アルキルアミノ基、ジ(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基が好ましく、前者がより好ましく、前者の中でもスルホエチルアミノが特に好ましい。
上記式(3)で表される色素(III)のうち、好ましいものが上記式(4)で表される色素である。式(4)中、Xは上記式(3)におけるのと、好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
上記式(3)で表される色素(III)のうち、最も好ましいものは下記式(15)で表される色素である。
上記式(3)で表される色素(III)は、特許文献3に記載の方法に従って得ることができる。
本発明のインク組成物は、色素(IV)として、1分子中に1乃至2個のアゾ基を有する水溶性黄色染料を含有してもよい。ただし、上記色素(I)乃至(III)に含まれる色素は除かれる。
ここで、水溶性黄色染料とは、分子中にスルホ基、カルボキシ基を有することで、水に対する溶解性を持たせた染料のことであり、具体的には水に対する溶解性が50g/kg以上の溶解性を示す色素が挙げられる。上記溶解性を持つ色素として、好ましくは80g/kg以上の溶解性を示す色素であり、より好ましくは100g/kg以上である。
色素(IV)の具体的な例として、公知のイエロー色素(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー120、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142等)を用いることができるが、上記に挙げた色素の中で好ましくは、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142であり、より好ましくは、C.I.ダイレクトイエロー132である。
色素(IV)の具体的な例として、下記式(16)で表される色素又はその塩(以下、上記と同様の理由から、「色素又はその塩」の両者を含めて「色素」と簡略して記載する。)が好ましく挙げられる。
色素(IV)として、下記式(16)で表される色素を用いたインクは、上記のC.I.ナンバーが付与されている各染料と比べ、耐光性・耐オゾン性に優れ、特に耐湿性に優れた印刷物を与えることができるため好ましい。
上記式(16)中、Rは、水素原子、非置換(C1〜C4)アルキル基、非置換(C1〜C4)アルコキシ基、又はスルホ基を表し、nは、1又は2、mは1から3の整数、qは2から4の整数、yは1から3の整数をそれぞれ表し、−(SO3H)mが置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環;を表す。
上記式(16)で表される色素は、単一の色素であってもよいし、上記式(16)で表される複数の色素の混合物であってもよいが、単一の色素である方が好ましい。
上記式(16)中、Rにおける非置換(C1〜C4)アルキル基としては、上記式(3)のRaにおける非置換(C1〜C4)アルキル基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
Rにおける非置換(C1〜C4)アルコキシ基としては、上記式(3)のRaにおける非置換(C1〜C4)アルコキシ基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
Rとしては、上記のうち非置換(C1〜C4)アルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基が特に好ましい。
上記式(16)中、nは1又は2、好ましくは1である。
置換位置の特定されていない「−(SO3H)n」の、ベンゼン環上における置換位置は特に制限されないが、該ベンゼン環上の窒素原子の置換位置を1位として、nが2のとき2位及び4位が好ましい。同様に、nが1のとき4位が好ましい。
置換位置の特定されていない「−(SO3H)n」の、ベンゼン環上における置換位置は特に制限されないが、該ベンゼン環上の窒素原子の置換位置を1位として、nが2のとき2位及び4位が好ましい。同様に、nが1のとき4位が好ましい。
上記式(16)中、mは1から3の整数、好ましくは1又は2である。
置換位置の特定されていない「−(SO3H)m」が置換する環上における置換位置は、特に制限されない。該環が破線で表される環を有しないとき、すなわちベンゼン環であるとき、mが1であり、且つ該ベンゼン環上の窒素原子の置換位置を1位として、「−(SO3H)m」は3位に置換するのがより好ましい。同様に、該環が破線で表される環を有するとき、すなわちナフタレン環であるとき、mが2であり、且つ該ナフタレン環状の窒素原子の置換位置を2位として、「−(SO3H)m」は、5位及び7位、6位及び8位、又は4位及び8位に置換するのがより好ましい。
置換位置の特定されていない「−(SO3H)m」が置換する環上における置換位置は、特に制限されない。該環が破線で表される環を有しないとき、すなわちベンゼン環であるとき、mが1であり、且つ該ベンゼン環上の窒素原子の置換位置を1位として、「−(SO3H)m」は3位に置換するのがより好ましい。同様に、該環が破線で表される環を有するとき、すなわちナフタレン環であるとき、mが2であり、且つ該ナフタレン環状の窒素原子の置換位置を2位として、「−(SO3H)m」は、5位及び7位、6位及び8位、又は4位及び8位に置換するのがより好ましい。
上記式(16)中、qは2から4の整数、好ましくは3である。
また、yは1から3の整数、好ましくは2である。
また、yは1から3の整数、好ましくは2である。
上記式(16)で表される色素の好ましいものが、下記式(17)で表される色素である。
上記式(20)中、Rは上記式(16)におけるのと好ましいもの等を含めて同じ意味を表し、Lは1又は2、好ましくは1を表す。
上記式(16)で表される色素のうち、最も好ましいものが下記式(18)で表される色素である。
色素(IV)としての水溶性黄色染料は、公知のものは市場より容易に入手することができる。また、上記式(16)で表される、より好ましい構造である水溶性黄色染料は、特許文献4に記載の方法に従って得ることができる。
本発明のインク組成物で用いる色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)の塩は、無機又は有機の陽イオンとの塩である。そのうち、無機の陽イオンとの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられ、好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、及びアンモニウム塩である。一方、有機の陽イオンとの塩としては、例えば下記式(19)で表される4級アンモニウムとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物等、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合もあり、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、又は、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させること等により、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
また、遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物等、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合もあり、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、又は、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させること等により、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
上記式(19)において、Z1、Z2、Z3、Z4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくともいずれか1つは水素原子以外の基を表す。
上記式(19)におけるZ1、Z2、Z3、Z4のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられ、ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては、水素原子;メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキル基;等が挙げられる。
上記式(19)におけるZ1、Z2、Z3、Z4のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられ、ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては、水素原子;メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシ(C1〜C4)アルキル基;等が挙げられる。
上記式(19)で表される好ましい化合物におけるZ1、Z2、Z3、Z4の組み合わせの具体例を下記表19に示す。
本発明のインク組成物について説明する。
色素(I)、色素(II)また必要に応じて色素(III)及び色素(IV)を含む本発明のインク組成物は、セルロースからなる材料を着色することが可能である。また、カルボンアミド結合を有する材料にも着色することが可能であり、皮革、織物、紙等の材料に幅広く用いることができる。
色素(I)、色素(II)また必要に応じて色素(III)及び色素(IV)を含む本発明のインク組成物は、セルロースからなる材料を着色することが可能である。また、カルボンアミド結合を有する材料にも着色することが可能であり、皮革、織物、紙等の材料に幅広く用いることができる。
色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)のそれぞれの合成反応において、最終工程終了後のそれぞれの反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することができる。しかし、まず各色素を含む反応液を個別に乾燥、例えばスプレー乾燥させるか;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析するか;塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析するか;或いは上記した塩析と酸析とを組み合わせた酸塩析すること;等によって各色素を単離し、これを混合してインク組成物を調製することもできる。
本発明のインク組成物は、色素として、色素(I)、色素(II)を含有する。また、より顕著な効果を得るために、必要に応じて色素(III)及び/又は色素(IV)を含有する。色素(I)、色素(II)、色素(III)のそれぞれは、上記した特定の条件を満たす範囲でそれぞれ単独の色素でもよいし、それぞれが複数の色素の混合物であってもよい。また、色素(IV)は1分子中に1乃至2個のアゾ基を有する化合物であり、且つ、水溶性の黄色染料である。したがって、本発明のインク組成物は、少なくとも2種類以上の色素が配合されたものであり、必要に応じて4種類以上の色素が配合されたものである。
本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量中、色素(I)の比率は50〜90質量%、好ましくは50〜80質量%、色素(II)の比率は1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である。また、色素(III)及び/又は色素(IV)を配合する場合、色素(III)の比率は5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、色素(IV)の比率は4〜20質量%、好ましくは4〜15質量%である。
また、色素(I)、色素(II)、及び必要な場合の色素(III)、色素(IV)の総含有量は、インク組成物の総質量に対して、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜20質量%含有してもよく、残部は水である。
本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量中、色素(I)の比率は50〜90質量%、好ましくは50〜80質量%、色素(II)の比率は1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である。また、色素(III)及び/又は色素(IV)を配合する場合、色素(III)の比率は5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、色素(IV)の比率は4〜20質量%、好ましくは4〜15質量%である。
また、色素(I)、色素(II)、及び必要な場合の色素(III)、色素(IV)の総含有量は、インク組成物の総質量に対して、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜20質量%含有してもよく、残部は水である。
本発明のインク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。さらに、インク組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。本発明のインク組成物のpH、表面張力は後記するようなpH調整剤、界面活性剤で適宜調整することが可能である。
本発明のインク組成物は、上記色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)を、水又は水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)に溶解し、必要に応じインク調製剤を加えたものである。このインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、本発明のインク組成物が含有する色素(I)、色素(II)、色素(III)、及び色素(IV)中における金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量は、少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない色素を製造するには、例えば逆浸透膜による方法;色素の乾燥品或いはウェットケーキをメタノール等の(C1〜C4)アルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、析出物を濾過分離して、乾燥する等の方法;イオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法;等で脱塩処理すればよい。
上記インク組成物の調製において用いうる水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1〜C4)アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2〜C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらのうち、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、ブチルカルビトール等が好ましい。
これらのうち、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、ブチルカルビトール等が好ましい。
本発明のインク組成物の調製において適宜用いられるインク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。以下にこれらのインク調製剤について説明する。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。なお、本明細書において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。なお、本明細書において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
色素溶解剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の例としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergItol 15−S−7等);等が挙げられる。
上記のインク調製剤は、それぞれ単独又は混合して用いられる。
上記のインク調製剤は、それぞれ単独又は混合して用いられる。
本発明のインク組成物は、上記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、所望により、狭雑物を除くためにメンブランフィルタ等で濾過を行ってもよい。
また、彩度が低く色味のない、ニュートラルで高品位な黒色の色相を、より望みの色相に微調整する目的等により、本発明のインク組成物は、上記色素(I)、色素(II)、色素(III)、色素(IV)以外に、種々の色相を有する他の色素を、本発明により得られる効果を害しない範囲で含有してもよい。
その場合は、他の色相を有する黒色(例えばC.I.アシッドブラック1、C.I.ダイレクトブラック22、C.I.ダイレクトブラック19等)、や、オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等)、ブラウン、スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等)、レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド254等)、マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227等)、バイオレット、ブルー、ネイビー、グリーン、シアン(例えばC.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー249等)、その他の色の色素を混合して用いることができる。
また、彩度が低く色味のない、ニュートラルで高品位な黒色の色相を、より望みの色相に微調整する目的等により、本発明のインク組成物は、上記色素(I)、色素(II)、色素(III)、色素(IV)以外に、種々の色相を有する他の色素を、本発明により得られる効果を害しない範囲で含有してもよい。
その場合は、他の色相を有する黒色(例えばC.I.アシッドブラック1、C.I.ダイレクトブラック22、C.I.ダイレクトブラック19等)、や、オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等)、ブラウン、スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等)、レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド254等)、マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227等)、バイオレット、ブルー、ネイビー、グリーン、シアン(例えばC.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー249等)、その他の色の色素を混合して用いることができる。
本発明のインク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット記録用インクとして用いることが特に好ましく、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うものである。記録の際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
該記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いる方式等も含まれる。
該記録方法は、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いる方式等も含まれる。
本発明の着色体は、本発明のインク組成物により着色された物質であり、好ましくはインクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法により、本発明のインク組成物によって着色された被記録材である。
着色されうる被記録材として特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でも情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸或いは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、又は光沢フィルム等と呼ばれる。
着色されうる被記録材として特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でも情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸或いは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、又は光沢フィルム等と呼ばれる。
上記の情報伝達用シートのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工したシートは表面光沢度が高く、また耐水性も優れているため、写真画像の記録に特に適している。しかし、これらに記録した画像は、オゾンガスによって変退色が大きくなることが知られている。しかし、本発明のインク組成物は耐オゾンガス性が優れているため、このような被記録材へインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。
上記のような多孔性白色無機物を表面に塗工したシートとして代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製 商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製 商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製 商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製 商品名:画彩写真仕上げPro;等がある。なお、普通紙も当然に使用できる。
上記のような多孔性白色無機物を表面に塗工したシートとして代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製 商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製 商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製 商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製 商品名:画彩写真仕上げPro;等がある。なお、普通紙も当然に使用できる。
本発明のインクジェット記録方法で情報伝達用シート等の被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置にセットし、通常の記録方法で被記録材に記録すればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の黒色インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明の黒色インク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の黒色インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明の黒色インク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
本発明のインク組成物に含有する色素は、合成が容易且つ安価である。また、水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、水溶解性に優れるので、インク組成物を製造する過程でのメンブランフィルタによる濾過性が良好である。
該化合物を含有するインク組成物又は該インク組成物から調製されるインクの保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。すなわち、本発明のインク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相の変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。
また、該色素を含有するインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として好適に用いられる。本発明のインク組成物でインクジェット専用紙に記録した場合、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、メディア毎の色相に変化が無い。また、記録画像の印字濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンズ現象が生じず、さらに耐湿性、耐水性等の各種堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性とが共に優れている。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー色素を含有する他のインク組成物と併用することで、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能であり、普通紙にも当然使用できる。
このように、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用黒色インクとして極めて有用である。
該化合物を含有するインク組成物又は該インク組成物から調製されるインクの保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。すなわち、本発明のインク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相の変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。
また、該色素を含有するインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として好適に用いられる。本発明のインク組成物でインクジェット専用紙に記録した場合、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、メディア毎の色相に変化が無い。また、記録画像の印字濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンズ現象が生じず、さらに耐湿性、耐水性等の各種堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性とが共に優れている。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー色素を含有する他のインク組成物と併用することで、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能であり、普通紙にも当然使用できる。
このように、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用黒色インクとして極めて有用である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
各合成反応、晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも撹拌下に行った。
下記の各式において、スルホ、カルボキシ等の酸性官能基は、遊離酸の形で表記した。
合成反応におけるpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示した。
また、合成した化合物の最大吸収波長(λmax)は、pH7〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に、その測定値を記載した。
なお、以下の実施例で合成したアゾ化合物は、水に対していずれも100g/リットル以上の溶解性を示した。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
各合成反応、晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも撹拌下に行った。
下記の各式において、スルホ、カルボキシ等の酸性官能基は、遊離酸の形で表記した。
合成反応におけるpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示した。
また、合成した化合物の最大吸収波長(λmax)は、pH7〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に、その測定値を記載した。
なお、以下の実施例で合成したアゾ化合物は、水に対していずれも100g/リットル以上の溶解性を示した。
(A)染料の合成
[実施例1]
(工程1)
4−クロロ−3−ニトロアニリン51.8部をN−メチル−2−ピロリドン60.0部に溶解し、ここに無水酢酸35.2部を約15分間かけて滴下した。滴下後40〜50℃で2時間反応させた後、反応液を水400部に添加した。室温で30分間撹拌した後、析出した固体を濾過し、得られた固体を漏斗上で水100部により洗浄し、分取、乾燥して下記式(20)で表される化合物63.0部を得た。
[実施例1]
(工程1)
4−クロロ−3−ニトロアニリン51.8部をN−メチル−2−ピロリドン60.0部に溶解し、ここに無水酢酸35.2部を約15分間かけて滴下した。滴下後40〜50℃で2時間反応させた後、反応液を水400部に添加した。室温で30分間撹拌した後、析出した固体を濾過し、得られた固体を漏斗上で水100部により洗浄し、分取、乾燥して下記式(20)で表される化合物63.0部を得た。
(工程2)
上記実施例1(工程1)で得られた式(20)で表される化合物42.9部をN−メチル−2−ピロリドン115.0部に溶解し、ここに3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム40.9部及び炭酸カリウム29.0部を添加した。添加後、130〜140℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム3.6部をさらに添加した後、130〜140℃で1時間反応させた。60℃まで冷却後、反応液を2−プロパノール700部に添加し、室温まで冷却後、得られた固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを水300部に溶解後、35%塩酸の添加によりpH3.0〜4.0とした後、塩化ナトリウムにて塩析し、析出した固体を濾過分取して、下記式(21)で表される化合物をウェットケーキとして205.3部得た。
上記実施例1(工程1)で得られた式(20)で表される化合物42.9部をN−メチル−2−ピロリドン115.0部に溶解し、ここに3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム40.9部及び炭酸カリウム29.0部を添加した。添加後、130〜140℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム3.6部をさらに添加した後、130〜140℃で1時間反応させた。60℃まで冷却後、反応液を2−プロパノール700部に添加し、室温まで冷却後、得られた固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを水300部に溶解後、35%塩酸の添加によりpH3.0〜4.0とした後、塩化ナトリウムにて塩析し、析出した固体を濾過分取して、下記式(21)で表される化合物をウェットケーキとして205.3部得た。
(工程3)
水150部に、上記実施例1(工程2)で得られた式(21)で表される化合物のウェットケーキ102.6部、活性炭1.6部、及び無水塩化鉄(III)0.4部を添加し、60℃に加熱後、80%ヒドラジンヒドラート15.9部を約30分間かけて滴下した。90℃に加熱後、同温度で1.5時間反応させた。40℃まで冷却後、不溶物を濾過により除去し、濾液を室温まで冷却した。50%硫酸の添加によりpH1.0〜1.5とし、析出した固体を濾過分取して、下記式(22)で表される化合物をウェットケーキとして62.3部得た。
水150部に、上記実施例1(工程2)で得られた式(21)で表される化合物のウェットケーキ102.6部、活性炭1.6部、及び無水塩化鉄(III)0.4部を添加し、60℃に加熱後、80%ヒドラジンヒドラート15.9部を約30分間かけて滴下した。90℃に加熱後、同温度で1.5時間反応させた。40℃まで冷却後、不溶物を濾過により除去し、濾液を室温まで冷却した。50%硫酸の添加によりpH1.0〜1.5とし、析出した固体を濾過分取して、下記式(22)で表される化合物をウェットケーキとして62.3部得た。
(工程4)
水40部に下記式(23)で表される5−アミノ−2−クロロベンゼンスルホン酸12.6部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。35%塩酸25部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液12.6部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸1.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水200部に上記実施例1(工程3)にて得られた式(22)で表される化合物のウェットケーキ32.4部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムの添加により塩析した。析出した固体を濾過分取し、下記式(24)で表される化合物31.5部をウェットケーキとして得た。
水40部に下記式(23)で表される5−アミノ−2−クロロベンゼンスルホン酸12.6部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。35%塩酸25部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液12.6部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸1.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水200部に上記実施例1(工程3)にて得られた式(22)で表される化合物のウェットケーキ32.4部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムの添加により塩析した。析出した固体を濾過分取し、下記式(24)で表される化合物31.5部をウェットケーキとして得た。
(工程5)
水40部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。35%塩酸24.8部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.8部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水250部に上記実施例1(工程3)にて得られた式(22)で表される化合物のウェットケーキ30.8部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムの添加により塩析した。析出した固体を濾過分取し、下記式(25)で表される化合物90部をウェットケーキとして得た。
水40部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。35%塩酸24.8部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.8部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水250部に上記実施例1(工程3)にて得られた式(22)で表される化合物のウェットケーキ30.8部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムの添加により塩析した。析出した固体を濾過分取し、下記式(25)で表される化合物90部をウェットケーキとして得た。
(工程6)
水250部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ45部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に特開2004−083492号公報に記載の方法で得られる下記式(26)の化合物5.5部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.5〜5.5として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜3.0に保持しながら3時間反応させた。15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.5とした後、メタノール350部を添加した。析出した固体を濾過分取し、下記式(27)で表される化合物96.6部をウェットケーキとして得た。
水250部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ45部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に特開2004−083492号公報に記載の方法で得られる下記式(26)の化合物5.5部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.5〜5.5として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜3.0に保持しながら3時間反応させた。15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.5とした後、メタノール350部を添加した。析出した固体を濾過分取し、下記式(27)で表される化合物96.6部をウェットケーキとして得た。
(工程7)
水170部に上記実施例1(工程6)にて得られた式(27)で表される化合物のウェットケーキ32.2部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸5.2部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸1.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に、特許文献1に記載の方法で得た下記式(28)で表される化合物2.2部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.5に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を15〜30℃で約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ29.5部を得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80部を添加し、析出した固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを再度水60部に溶解後、メタノール90部を添加した。析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の下記式(29)で表される化合物6.3部をナトリウム塩として得た。λmax:589nm。
水170部に上記実施例1(工程6)にて得られた式(27)で表される化合物のウェットケーキ32.2部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸5.2部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸1.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に、特許文献1に記載の方法で得た下記式(28)で表される化合物2.2部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.5に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を15〜30℃で約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ29.5部を得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80部を添加し、析出した固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを再度水60部に溶解後、メタノール90部を添加した。析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の下記式(29)で表される化合物6.3部をナトリウム塩として得た。λmax:589nm。
[実施例2]
実施例1で得られた式(29)で表される化合物6.3部のナトリウム塩、及び塩化リチウム14部を水140部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキと塩化リチウム12.5部とを再度、水150部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール350部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水80部に溶解し、2−プロパノール150部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。再度得られたウェットケーキを水40部に溶解し、2−プロパノール100部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の上記式(29)で表される化合物4.5部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:586nm。
実施例1で得られた式(29)で表される化合物6.3部のナトリウム塩、及び塩化リチウム14部を水140部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキと塩化リチウム12.5部とを再度、水150部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール350部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水80部に溶解し、2−プロパノール150部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。再度得られたウェットケーキを水40部に溶解し、2−プロパノール100部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の上記式(29)で表される化合物4.5部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:586nm。
[実施例3]
(工程1)
メタノール300部に2−メチル−6−ニトロアニリン15.2部を溶解した。得られた溶液をオートクレーブ中に移し、5%Pd/炭素2.0部を加え、20〜30℃で0.2〜0.5MPaの水素加圧下、水素の吸収が無くなるまで反応させた後、30分間同温度でさらに反応を続けた。触媒(5%Pd/炭素)を濾過分離することにより、下記式(30)で表される化合物を含む溶液(濾液)を得た。
(工程1)
メタノール300部に2−メチル−6−ニトロアニリン15.2部を溶解した。得られた溶液をオートクレーブ中に移し、5%Pd/炭素2.0部を加え、20〜30℃で0.2〜0.5MPaの水素加圧下、水素の吸収が無くなるまで反応させた後、30分間同温度でさらに反応を続けた。触媒(5%Pd/炭素)を濾過分離することにより、下記式(30)で表される化合物を含む溶液(濾液)を得た。
(工程2)
実施例3(工程1)で得られた式(30)で表される化合物を含む溶液200部に、シアノ酢酸メチル13.0部を加え、30分間還流した後、メタノールを減圧濃縮し、水100部、次いで炭酸ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(31)で表される化合物8.3部を得た。
実施例3(工程1)で得られた式(30)で表される化合物を含む溶液200部に、シアノ酢酸メチル13.0部を加え、30分間還流した後、メタノールを減圧濃縮し、水100部、次いで炭酸ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(31)で表される化合物8.3部を得た。
(工程3)
エタノール100部に上記式(31)で表される化合物8.3部、28%ナトリウムメトキシド12.0部、及びアセト酢酸メチル7.2部を加え、30分間還流した後、エタノールを減圧濃縮し、水100部、次いで35%塩酸を加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(32)で表される化合物11.1部を得た。得られた下記式(32)で表される化合物は、メトキシ基がb又はcに置換した化合物の混合物であった。
エタノール100部に上記式(31)で表される化合物8.3部、28%ナトリウムメトキシド12.0部、及びアセト酢酸メチル7.2部を加え、30分間還流した後、エタノールを減圧濃縮し、水100部、次いで35%塩酸を加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(32)で表される化合物11.1部を得た。得られた下記式(32)で表される化合物は、メトキシ基がb又はcに置換した化合物の混合物であった。
(工程4)
上記式(32)で表される化合物5.6部を8%発煙硫酸77部中に5〜10℃でゆっくり添加した後、同温度で1.5時間反応させた。反応液を150部の氷水中に約10分間かけて滴下し、65〜70℃で30分間撹拌した後、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(33)で表される化合物のウェットケーキ24.4部を得た。下記式(33)で表される化合物は、メトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである化合物の混合物であった。
上記式(32)で表される化合物5.6部を8%発煙硫酸77部中に5〜10℃でゆっくり添加した後、同温度で1.5時間反応させた。反応液を150部の氷水中に約10分間かけて滴下し、65〜70℃で30分間撹拌した後、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(33)で表される化合物のウェットケーキ24.4部を得た。下記式(33)で表される化合物は、メトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである化合物の混合物であった。
(工程5)
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例3(工程4)で得られた式(33)で表される化合物のウェットケーキ7.2部を使用する以外は実施例1(工程7)と同様にして、本発明の下記式(34)で表される化合物6.3部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(34)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例3(工程4)で得られた式(33)で表される化合物のウェットケーキ7.2部を使用する以外は実施例1(工程7)と同様にして、本発明の下記式(34)で表される化合物6.3部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(34)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
[実施例4]
上記実施例2において、式(29)で表される化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに上記実施例3(工程5)で得られた式(34)で表される化合物のナトリウム塩8.8部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(34)で表される化合物4.5部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:592nm。
上記実施例2において、式(29)で表される化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに上記実施例3(工程5)で得られた式(34)で表される化合物のナトリウム塩8.8部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(34)で表される化合物4.5部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:592nm。
[実施例5]
(工程1)
メタノール300部に2−メチル−6−ニトロアニリン15.2部を溶解した。得られた溶解液をオートクレーブ中に移し、5%Pd/炭素2.0部を加え、撹拌下、20〜30℃で0.2〜0.5MPaの水素加圧下、水素の吸収が無くなるまで反応させた後、30分間同温度でさらに反応を続けた。触媒(5%Pd/炭素)を濾過分離することにより、下記式(35)で表される化合物を含む溶液(濾液)を得た。
(工程1)
メタノール300部に2−メチル−6−ニトロアニリン15.2部を溶解した。得られた溶解液をオートクレーブ中に移し、5%Pd/炭素2.0部を加え、撹拌下、20〜30℃で0.2〜0.5MPaの水素加圧下、水素の吸収が無くなるまで反応させた後、30分間同温度でさらに反応を続けた。触媒(5%Pd/炭素)を濾過分離することにより、下記式(35)で表される化合物を含む溶液(濾液)を得た。
(工程2)
上記式(35)で表される化合物を含む溶液200部に下記式(36)で表される化合物13.0部を加え、撹拌下30分間還流した後、反応液を減圧濃縮し、水150部、次いで炭酸ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とした。析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(37)で表される化合物8.4部を得た。なお、下記式(36)で表される化合物は、特許文献5に記載の方法で得た。
上記式(35)で表される化合物を含む溶液200部に下記式(36)で表される化合物13.0部を加え、撹拌下30分間還流した後、反応液を減圧濃縮し、水150部、次いで炭酸ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とした。析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(37)で表される化合物8.4部を得た。なお、下記式(36)で表される化合物は、特許文献5に記載の方法で得た。
(工程3)
エタノール100部に上記式(37)で表される化合物8.4部、28%ナトリウムメトキシド12.3部、次いでアセト酢酸メチル7.4部を加え、30分間還流した後、エタノールを減圧濃縮し、水150部、次いで35%塩酸を加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(38)で表される化合物10.0部を得た。下記式(38)で表される化合物は、メチル基がa又はdの位置に置換した化合物であった。
エタノール100部に上記式(37)で表される化合物8.4部、28%ナトリウムメトキシド12.3部、次いでアセト酢酸メチル7.4部を加え、30分間還流した後、エタノールを減圧濃縮し、水150部、次いで35%塩酸を加えてpH7.0〜7.5とし、析出した固体を濾過分離、乾燥することにより、下記式(38)で表される化合物10.0部を得た。下記式(38)で表される化合物は、メチル基がa又はdの位置に置換した化合物であった。
(工程4)
上記式(38)で表される化合物5.0部を3%発煙硫酸102部中に5〜10℃でゆっくり添加した後、同温度で1時間撹拌した。反応液を240部の氷水中に約10分間かけて滴下し、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(39)で表される化合物を含むウェットケーキ14.7部を得た。下記式(39)で表される化合物は、メチル基がaの位置であり、スルホ基の置換位置がcであるか、又は、メチル基がdの位置であり、スルホ基の置換位置がbのいずれかである化合物であった。
上記式(38)で表される化合物5.0部を3%発煙硫酸102部中に5〜10℃でゆっくり添加した後、同温度で1時間撹拌した。反応液を240部の氷水中に約10分間かけて滴下し、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(39)で表される化合物を含むウェットケーキ14.7部を得た。下記式(39)で表される化合物は、メチル基がaの位置であり、スルホ基の置換位置がcであるか、又は、メチル基がdの位置であり、スルホ基の置換位置がbのいずれかである化合物であった。
(工程5)
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例5(工程4)で得られた式(39)で表される化合物のウェットケーキ6.0部を使用する以外は同様にして、本発明の下記式(40)で表される化合物6.0部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(40)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例5(工程4)で得られた式(39)で表される化合物のウェットケーキ6.0部を使用する以外は同様にして、本発明の下記式(40)で表される化合物6.0部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(40)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
[実施例6]
上記実施例2において、式(29)で表される化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに上記実施例5(工程5)で得られた式(40)で表される化合物のナトリウム塩8.8部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(40)で表される化合物4.0部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:590nm。
上記実施例2において、式(29)で表される化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに上記実施例5(工程5)で得られた式(40)で表される化合物のナトリウム塩8.8部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(40)で表される化合物4.0部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:590nm。
[実施例7]
(工程1)
水250部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ45部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に特開2004−083492号公報に記載の方法で得られる下記式(41)の化合物5.8部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.5〜5.5として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜3.0に保持しながら3時間反応させた。15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.5とした後、メタノール350部を添加した。析出した固体を濾過分取し、下記式(42)で表される化合物94.0部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
水250部に上記実施例1(工程4)にて得られた式(24)で表される化合物のウェットケーキ45部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に特開2004−083492号公報に記載の方法で得られる下記式(41)の化合物5.8部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.5〜5.5として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを2.0〜3.0に保持しながら3時間反応させた。15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.5とした後、メタノール350部を添加した。析出した固体を濾過分取し、下記式(42)で表される化合物94.0部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
水170部に上記実施例7(工程1)にて得られた式(42)で表される化合物のウェットケーキ31.3部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸5.2部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸1.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に、特許文献1に記載の方法で得た上記式(28)で表される化合物2.2部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.5に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を15〜30℃で約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ30.0部を得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80部を添加し、析出した固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを再度水60部に溶解後、メタノール90部を添加した。析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の下記式(43)で表される化合物6.0部をナトリウム塩として得た。
水170部に上記実施例7(工程1)にて得られた式(42)で表される化合物のウェットケーキ31.3部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸5.2部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸1.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水60部に、特許文献1に記載の方法で得た上記式(28)で表される化合物2.2部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.5に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を15〜30℃で約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ30.0部を得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80部を添加し、析出した固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを再度水60部に溶解後、メタノール90部を添加した。析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の下記式(43)で表される化合物6.0部をナトリウム塩として得た。
[実施例8]
実施例7で得られた式(43)で表される化合物6.0部のナトリウム塩、及び塩化リチウム14部を水140部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキと塩化リチウム12.5部とを再度、水150部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール350部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水80部に溶解し、2−プロパノール150部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。再度得られたウェットケーキを水40部に溶解し、2−プロパノール100部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の上記式(43)で表される化合物4.3部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:590nm。
実施例7で得られた式(43)で表される化合物6.0部のナトリウム塩、及び塩化リチウム14部を水140部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキと塩化リチウム12.5部とを再度、水150部に添加し、撹拌して水溶液を得た。2−プロパノール350部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水80部に溶解し、2−プロパノール150部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。再度得られたウェットケーキを水40部に溶解し、2−プロパノール100部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、本発明の上記式(43)で表される化合物4.3部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:590nm。
[実施例9]
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例3(工程4)で得られた式(33)で表される化合物のウェットケーキ7.2部を使用する以外は同様にして、本発明の下記式(44)で表される化合物5.6部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(44)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
上記実施例1(工程7)において、式(28)で表される化合物2.2部を使用する代わりに実施例3(工程4)で得られた式(33)で表される化合物のウェットケーキ7.2部を使用する以外は同様にして、本発明の下記式(44)で表される化合物5.6部をナトリウム塩として得た。得られた色素は、下記式(44)におけるメトキシ基がbの位置であり、スルホ基の置換位置がa、c、又はdであるか、又は、メトキシ基がcの位置であり、スルホ基の置換位置がa、b、又はdである2乃至6種の化合物からなる混合色素であった。
[実施例10]
上記実施例7において、式(43)で表される化合物のナトリウム塩6.0部を使用する代わりに上記実施例9で得られた式(44)で表される化合物のナトリウム塩5.6部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(44)で表される化合物4.0部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:597nm。
上記実施例7において、式(43)で表される化合物のナトリウム塩6.0部を使用する代わりに上記実施例9で得られた式(44)で表される化合物のナトリウム塩5.6部を使用する以外は同様にして、本発明の上記式(44)で表される化合物4.0部をナトリウムとリチウムとの混合塩として得た。λmax:597nm。
上記実施例1乃至10で得られた色素をイオン交換水に溶解し、水中に5%の色素が溶解した液をそれぞれ調製した。得られた溶解液を密閉容器に入れ、60℃の恒温恒湿機に1週間、静置させたが色素の分解を生じなかった。
(B)インクの調製
上記実施例4、10で得られた各染料を下記表20に記載の各成分と共に混合することにより黒色の本発明のインク組成物を得た後、0.45μmのメンブランフィルタで夾雑物を濾別し、得られたインク組成物をそれぞれ実施例11及び12とした。得られたインク組成物を、以下「インク」という。また、表20中、色素、黒色染料の欄は破線によって上下を2分割し、上段に実施例、比較例中の化合物の式番号を、下段に用いた部数を記載する。また、実施例4、10の化合物は、表20中、式(34)、(44)と記載するが、各実施例の操作を行っているため、実際にはナトリウムとリチウムとの混合塩である。また、記号「−」は、該当するものを含有しないことを意味する。また、水はイオン交換水を使用した。インク調製時において、インクのpHは水酸化リチウムにてpH7〜9に調整し、その後イオン交換水を加えることにより総量100部とした。なお、下記表20中における界面活性剤としては、日信化学株式会社製、商品名サーフィノール104PG50を用いた。
上記実施例4、10で得られた各染料を下記表20に記載の各成分と共に混合することにより黒色の本発明のインク組成物を得た後、0.45μmのメンブランフィルタで夾雑物を濾別し、得られたインク組成物をそれぞれ実施例11及び12とした。得られたインク組成物を、以下「インク」という。また、表20中、色素、黒色染料の欄は破線によって上下を2分割し、上段に実施例、比較例中の化合物の式番号を、下段に用いた部数を記載する。また、実施例4、10の化合物は、表20中、式(34)、(44)と記載するが、各実施例の操作を行っているため、実際にはナトリウムとリチウムとの混合塩である。また、記号「−」は、該当するものを含有しないことを意味する。また、水はイオン交換水を使用した。インク調製時において、インクのpHは水酸化リチウムにてpH7〜9に調整し、その後イオン交換水を加えることにより総量100部とした。なお、下記表20中における界面活性剤としては、日信化学株式会社製、商品名サーフィノール104PG50を用いた。
比較例1乃至8のインクを、下記表20の各成分を混合することにより得た。なお、比較例用のインクの調製は、前記実施例のインクの調製と同様の作業で行った。
上記表(20)中のD.R.80は、C.I.DIrect Red80である。
上記表(20)中の式(15)で表される色素(III)は、特許文献3に記載の合成例を追試することで得た。
上記表(20)中の式(18)で表される色素(IV)は、特許文献4に記載の合成例を追試することで得た。
[比較例1]
比較対象の黒色色素として、国際公開第2007/077931号の実施例2に開示された色素を用いたインクを調製し、これを比較例1のインクとした。これら色素は、特許中に記載の合成法を追試することにより得た。比較例1のインクに用いた色素(45)及び(46)の構造を下記に示す。
比較対象の黒色色素として、国際公開第2007/077931号の実施例2に開示された色素を用いたインクを調製し、これを比較例1のインクとした。これら色素は、特許中に記載の合成法を追試することにより得た。比較例1のインクに用いた色素(45)及び(46)の構造を下記に示す。
[比較例2]
比較対象の黒色色素として、特開2009−185133号公報の実施例1に開示された色素を用いたインクを調製し、これを比較例2のインクとした。これら色素は、特許中に記載の合成法を追試することにより得た。比較例2のインクに用いた色素(47)の構造を下記に示す。
比較対象の黒色色素として、特開2009−185133号公報の実施例1に開示された色素を用いたインクを調製し、これを比較例2のインクとした。これら色素は、特許中に記載の合成法を追試することにより得た。比較例2のインクに用いた色素(47)の構造を下記に示す。
(C)インクジェット記録
上記で得られたインクを使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名PIXUS IP4500により、下記光沢紙1及び2にインクジェット記録を行った。
光沢紙1:Canon社製光沢紙、商品名 写真用紙 光沢プロ[PT−101A420]
光沢紙2:Canon社製光沢紙、商品名 写真用紙 光沢ゴールド[GL−101A4100]
印刷の際は、100%、80%、60%、40%、20%、10%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得て、これを試験片として以下の評価試験を実施した。
上記で得られたインクを使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名PIXUS IP4500により、下記光沢紙1及び2にインクジェット記録を行った。
光沢紙1:Canon社製光沢紙、商品名 写真用紙 光沢プロ[PT−101A420]
光沢紙2:Canon社製光沢紙、商品名 写真用紙 光沢ゴールド[GL−101A4100]
印刷の際は、100%、80%、60%、40%、20%、10%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得て、これを試験片として以下の評価試験を実施した。
(D)記録画像の評価
実施例11、12及び比較例1乃至8のインクを用いて得られた各記録画像は、試験前後の画像の濃度変化を測定することで評価を行った。
記録画像の濃度変化は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用い、試験前の記録画像の反射濃度Dk値が1.0に最も近い階調部分を測色することにより測定した。測色する際は、いずれも濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。耐オゾンガス性試験では、試験前の反射濃度が1.0に最も近い階調部での堅牢性試験を行った。具体的な試験方法は下記の通りである。
実施例11、12及び比較例1乃至8のインクを用いて得られた各記録画像は、試験前後の画像の濃度変化を測定することで評価を行った。
記録画像の濃度変化は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用い、試験前の記録画像の反射濃度Dk値が1.0に最も近い階調部分を測色することにより測定した。測色する際は、いずれも濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。耐オゾンガス性試験では、試験前の反射濃度が1.0に最も近い階調部での堅牢性試験を行った。具体的な試験方法は下記の通りである。
(E)彩度試験
光沢紙1にインクジェット記録した画像の黒色の色相の品質を評価するため、彩度C*値を評価した。評価する際は上記測色システムを用いて、CILのL*、a*、b*を測色し、下記式を用いて算出した。
C*=(a*2+b*2)1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表21に示す。C*値は小さい方(0に近い方)が無彩色で色味の無い高品質の黒色に近づくため優れる。
○:C*値が8未満
△:C*値が8以上10未満
×:C*値が10以上
光沢紙1にインクジェット記録した画像の黒色の色相の品質を評価するため、彩度C*値を評価した。評価する際は上記測色システムを用いて、CILのL*、a*、b*を測色し、下記式を用いて算出した。
C*=(a*2+b*2)1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表21に示す。C*値は小さい方(0に近い方)が無彩色で色味の無い高品質の黒色に近づくため優れる。
○:C*値が8未満
△:C*値が8以上10未満
×:C*値が10以上
(F)ブロンズ性評価
光沢紙1にインクジェット記録した画像のブロンズ性を評価するため、蛍光灯の光を記録画像で反射させ、その反射光を目視で確認することによって、ブロンズ現象が生じているか否かの評価を行った。得られる記録画像はブロンズ現象が生じないものがよい。結果を表21に示す。
A:100%Duty部分でもブロンズ現象が生じない。
B:100%Duty部分でのみ、ブロンズ現象が生じている。
C:100%及び80%Duty部分で、ブロンズ現象が生じている。
D:60%Duty部分又はそれ以下のDuty部分で、ブロンズ現象が生じている。
光沢紙1にインクジェット記録した画像のブロンズ性を評価するため、蛍光灯の光を記録画像で反射させ、その反射光を目視で確認することによって、ブロンズ現象が生じているか否かの評価を行った。得られる記録画像はブロンズ現象が生じないものがよい。結果を表21に示す。
A:100%Duty部分でもブロンズ現象が生じない。
B:100%Duty部分でのみ、ブロンズ現象が生じている。
C:100%及び80%Duty部分で、ブロンズ現象が生じている。
D:60%Duty部分又はそれ以下のDuty部分で、ブロンズ現象が生じている。
表21の結果より明らかなように、各実施例のインクは比較例5乃至8のインクと比較して、印字濃度に優れていることが明らかとなった。また、比較例5及び6のインクは、ブロンズ現象が生じるのに対し、本発明のインクはブロンズ現象が生じない特徴がある。すなわち、各実施例のインクは、無彩色であり、且つブロンズ現象が生じない高品位な黒色画像が得られることが明らかとなった。
(G)耐オゾンガス性試験
実施例11乃至12、及び比較例1乃至6のインクを用いて得られた各記録画像は、印刷後24時間自然乾燥し、スガ試験機(株)社製、商品名オゾンウェザオメーターを用いてオゾンガス濃度を40ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で各試験片を8時間放置した。試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、試験前後での色差(ΔE)を測定した。なお、得られた色差ΔEは小さい方が、オゾンガスによる変色が少ないことを意味し、耐オゾンガス性に優れることを示す。
なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、a*、及びb*の差をそれぞれ意味する。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2
◎:ΔEの値が3.5以下
○:ΔEの値が3.5以上5.0未満
△:ΔEのちが5.0以上7.5未満
×:ΔEの値が7.5以上
実施例11乃至12、及び比較例1乃至6のインクを用いて得られた各記録画像は、印刷後24時間自然乾燥し、スガ試験機(株)社製、商品名オゾンウェザオメーターを用いてオゾンガス濃度を40ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で各試験片を8時間放置した。試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、試験前後での色差(ΔE)を測定した。なお、得られた色差ΔEは小さい方が、オゾンガスによる変色が少ないことを意味し、耐オゾンガス性に優れることを示す。
なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、a*、及びb*の差をそれぞれ意味する。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2
◎:ΔEの値が3.5以下
○:ΔEの値が3.5以上5.0未満
△:ΔEのちが5.0以上7.5未満
×:ΔEの値が7.5以上
表22の結果から明らかなように、各実施例のインクは比較例1乃至6のインクと比較して、極めて耐オゾンガス性に優れていることが明らかとなった。すなわち、耐オゾンガス性試験後の色差(ΔE)が極めて小さく、オゾンガスによる色退色が少ないことが明らかである。また、メディアによって、堅牢性が著しく低下することなく、高品位の記録画像を与えることが明らかである。
本発明の黒色インク組成物は、筆記用具等の各種記録用、特にインクジェット記録用の黒色インクに好適に用いられる。
Claims (16)
- 少なくとも1種類の下記式(1)で表される色素、その互変異性体、又はそれらの塩である色素(I)と、少なくとも1種類の下記式(2)で表される色素又はその塩である色素(II)とを含有するインク組成物。
R1は、(C1〜C4)アルキル基;カルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;フェニル基;スルホ基で置換されたフェニル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R2は、シアノ基;カルバモイル基;又は、カルボキシ基;を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子;(C1〜C4)アルキル基;ハロゲン原子;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、スルホ基;を表し、
R5は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R6は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R7は、(C1〜C4)アルキルチオ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;を表し、
R8は、(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;を表し、
R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;アセチルアミノ基;塩素原子;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;を表し、
R11からR13は、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;ヒドロキシ基;アセチルアミノ基;塩素原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;(C1〜C4)アルキルスルホニル基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;を表す。]
A及びBは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、及び(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されていてもよいフェニル基;ナフチル基;又は、1つのアゾ結合を有する基を表す。] - 前記式(1)において、
R1がメチル基;又はフェニル基;
R2がシアノ基;又はカルバモイル基;
R3が水素原子;メチル基;又はメトキシ基;
R4がスルホ基;
R5がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R6が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R7がスルホ基又はカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;
R8が(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;
R9がスルホ(C1〜C4)アルコキシ基;
R10が(C1〜C4)アルキル基;又はアセチルアミノ基;
R11からR13が、それぞれ独立して、水素原子;カルボキシ基;スルホ基;塩素原子;ニトロ基;メチル基;メトキシ基;スルファモイル基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルスルホニル基;である、請求項1に記載のインク組成物。 - 前記式(2)において、
A及びBが、それぞれ独立して、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の置換基を有し、且つ1つのアゾ結合を有する基である、請求項1又は2に記載のインク組成物。 - さらに、下記式(3)で表される色素又はその塩である色素(III)と、上記色素(I)乃至(III)に含まれない、1分子中に1乃至2個のアゾ基を有する水溶性黄色染料である色素(IV)との少なくとも一方を含有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
Raは、水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;非置換(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;非置換(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;非置換(C1〜C4)アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス−(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;非置換(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;ヒドロキシ基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;非置換フェニルアミノ基;ベンゼン環が、カルボキシ基、スルホ基、及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又は、ウレイド基;を表し、
Xは、カルボキシ基又はスルホ基で置換された脂肪族アミノ基を表す。] - 前記色素(III)と前記色素(IV)との両方を含有する、請求項4又は5に記載のインク組成物。
- インク組成物中に含有する色素の総質量中、前記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、前記色素(II)の比率が1乃至10質量%である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記色素(I)及び前記色素(II)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物中に含有する色素の総質量中、前記色素(I)の比率が50乃至90質量%であり、前記色素(II)の比率が1乃至10質量%であり、前記色素(III)の比率が5乃至20質量%であり、前記色素(IV)の比率が4乃至20質量%である、請求項6に記載のインク組成物。
- 前記色素(I)、前記色素(II)、前記色素(III)、及び前記色素(IV)の総含有量が、インク組成物の総質量に対して0.1乃至20質量%である、請求項6に記載のインク組成物。
- インクジェット記録に用いる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が情報伝達用シートである、請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである、請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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