JPWO2012077548A1 - 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法 - Google Patents

導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012077548A1
JPWO2012077548A1 JP2012547800A JP2012547800A JPWO2012077548A1 JP WO2012077548 A1 JPWO2012077548 A1 JP WO2012077548A1 JP 2012547800 A JP2012547800 A JP 2012547800A JP 2012547800 A JP2012547800 A JP 2012547800A JP WO2012077548 A1 JPWO2012077548 A1 JP WO2012077548A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
particles
conductive paste
acid
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2012547800A
Other languages
English (en)
Inventor
久美子 諏訪
久美子 諏訪
平社 英之
英之 平社
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Publication of JPWO2012077548A1 publication Critical patent/JPWO2012077548A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/20Conductive material dispersed in non-conductive organic material
    • H01B1/22Conductive material dispersed in non-conductive organic material the conductive material comprising metals or alloys
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F1/00Metallic powder; Treatment of metallic powder, e.g. to facilitate working or to improve properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F1/00Metallic powder; Treatment of metallic powder, e.g. to facilitate working or to improve properties
    • B22F1/16Metallic particles coated with a non-metal
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B5/00Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form
    • H01B5/14Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form comprising conductive layers or films on insulating-supports
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/09Use of materials for the conductive, e.g. metallic pattern
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/09Use of materials for the conductive, e.g. metallic pattern
    • H05K1/092Dispersed materials, e.g. conductive pastes or inks
    • H05K1/095Dispersed materials, e.g. conductive pastes or inks for polymer thick films, i.e. having a permanent organic polymeric binder
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/10Apparatus or processes for manufacturing printed circuits in which conductive material is applied to the insulating support in such a manner as to form the desired conductive pattern
    • H05K3/12Apparatus or processes for manufacturing printed circuits in which conductive material is applied to the insulating support in such a manner as to form the desired conductive pattern using thick film techniques, e.g. printing techniques to apply the conductive material or similar techniques for applying conductive paste or ink patterns

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

酸化被膜の形成が抑制され、低い体積抵抗率を長期間維持し得る導電膜を形成可能な導電ペーストを提供する。X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)と、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(B)と、熱硬化性樹脂(C)とを含有する導電ペースト。

Description

本発明は、導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法に係り、特に金属成分の酸化が抑制された導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法に関する。
従来、電子部品や印刷配線板(プリント基板)等の配線導体の形成に、導電ペーストを用いる方法が知られている。このうち、例えばプリント基板の製造は、ガラス、セラミックス等からなる絶縁性基板上に、導電ペーストを所望のパターン形状に塗布、焼成し、配線パターンを形成して行われている。
導電ペーストとしては、高い導電性を確保する観点から、銀(Ag)を主成分とした銀ペーストが主として適用されていた。しかしながら、銀ペーストは、高温高湿の環境下で通電すると、銀原子がイオン化して電界に引かれて移動する、イオンマイグレーション(銀の電析)が生じ易い。配線パターンにイオンマイグレーションが生じると、配線間でショートが生じるなどの不具合が発生し、配線基板の信頼性が妨げられるおそれがある。
電子機器や配線基板の信頼性を高める観点から、導電ペーストとして、銀ペーストに代えて銅ペーストを用いる技術が提案されている。銅ペーストは、マイグレーション現象が生じ難いため、電気回路の接続信頼性を高めることが可能である。
しかしながら、一般に銅は酸化し易いため、高湿度の環境下で大気中に放置すると、大気中の水分や酸素等との反応により、酸化銅を生じやすい。このため、銅ペーストを焼成して形成した導電膜は、酸化被膜の影響で、体積抵抗率が高くなり易いという問題がある。
このような問題を解決するため、銅ペーストに配合する銅粉末を、湿式還元法を用いて製造する技術が採用されている。例えば、特許文献1には、酸と還元剤と炭素数8以上の脂肪酸のアルカリ金属塩とを同時に含有する水溶液を用いて、銅又は銅合金からなる導電粉を処理する導電粉の表面処理方法が開示されている。
また特許文献2には、銅粉末、および塗料用バインダー樹脂とともに、酸化防止剤を含有せしめてなる銅系導電性塗料組成物が開示されている。そして、該酸化防止剤として、サリチル酸及びその誘導体、またはベンゾトリアゾールカルボン酸ヒドラジドの少なくとも1種を用いることが開示されている。
しかしながら、上記引用文献の技術によっても、配線導体用の導電ペーストにおいて、酸化被膜の形成による体積抵抗率の上昇の問題は十分に改善されていないのが実情である。
特開2007−184143号公報 特開平1−158081号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、酸化被膜の形成を抑制でき、低い体積抵抗率を長期間維持し得る導電膜を形成可能な導電ペーストを提供することを目的としている。また、本発明は、上記導電ペーストを用いた導電膜を有する導電膜付き基板を提供することを目的としている。
すなわち、本発明の導電ペーストは、X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)と、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(B)と、熱硬化性樹脂(C)とを含有することを特徴とする。
なお、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuを、以下、単に「銅イオンとの安定度数logKCu」とも示す。
前記導電ペーストにおいて、前記銅粒子(A)は、pH値が3以下の分散媒中で還元処理された表面改質銅粒子であることが好ましい。また、前記銅粒子(A)が、平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、前記金属銅粒子表面に凝集して付着した、平均一次粒子径が1〜20nmである水素化銅微粒子と、を有する銅複合粒子を加熱し、前記水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換して形成された、複合金属銅粒子であってもよい。
前記分散媒のpH値調整剤として、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも一を用いることが好ましい。また、前記水素化銅微粒子の形成に用いる水溶性銅化合物溶液のpH調整剤として、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも一を用いることが好ましい。
前記キレート剤(B)は、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置された芳香族化合物であって、前記窒素原子と、前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とが、二又は三の原子を介在して結合していることが好ましい。また、前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)は、水酸基またはカルボキシル基であることが好ましい。また、前記窒素原子と、前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とが、二又は三の炭素原子を介在して結合していることが好ましい。また、前記キレート剤(B)は、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、o−アミノフェノール、サリチル酸から選択される化合物であることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂(C)は、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂から選択される少なくとも一の樹脂であることが好ましい。
前記導電ペーストは、前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記キレート剤(B)の量が0.01〜1質量部であることが好ましい。また、前記導電ペーストは、前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記熱硬化樹脂(C)の量が5〜50質量部であることが好ましい。
本発明の導電膜付き基材は、上記した本発明の導電ペーストを硬化させて形成した導電膜を、基材上に有してなることを特徴とする。前記導電膜付き基材において、前記導電膜の体積抵抗率は1.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。
本発明の導電膜付き基材の製造方法は、上記した本発明の導電ペーストを基材上に塗布した後、この導電ペーストを硬化させて導電膜を形成させることを特徴とする。
本発明によれば、高湿度の環境下でも、酸化銅の形成を抑制でき、低い体積抵抗率を長期間維持し得る導電膜を形成可能な導電ペーストとすることができる。また、本発明によれば、このような導電ペーストを用いることで、配線基板等としての信頼性が高く、また酸化被膜の形成による体積変動率の上昇が抑制された導電膜付き基板とすることができる。
銅粒子の湿式還元処理の実施に用いる装置の概略構成例を示す説明図である。 本発明の導電膜付き基材の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の導電ペーストは、X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)と、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(B)と、熱硬化性樹脂(C)とを含有することを特徴とする。
本発明によれば、キレート剤(B)として、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが所定範囲にある化合物を配合することで、大気中に含まれる酸素等と反応する銅イオンの量を低減できる。このため、酸化銅の形成が抑制された導電ペーストとすることができる。このような導電ペーストで形成した導電膜では、酸化銅を主成分とする酸化被膜が形成され難いため、高湿度の環境下でも、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材とすることができる。
銅粒子(A)は、導電ペーストの導電成分となるものであり、X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である。X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuを、以下、単に「表面酸素濃度比O/Cu」と示す。
「表面酸素濃度比O/Cu」は、X線光電子分光分析により測定した、銅粒子の表面銅濃度(原子%)に対する表面酸素濃度(原子%)の比で表される。本明細書において、「表面銅濃度(原子%)」および「表面酸素濃度(原子%)」は、それぞれ、銅粒子表面から中心に向けて約3nmの深さまでの範囲の粒子表層域に対して、X線光電子分光分析を行って得た測定値である。銅粒子表面から中心に向けて約3nmの深さまでの範囲は、この範囲の粒子領域について各成分の濃度測定を行うことで、銅粒子の表面状態が十分に把握される範囲である。
銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuが0.5を超えると、銅粒子(A)表面の酸化銅の存在量が過多であり、導電膜としたときに、粒子間の接触抵抗が大きく、体積抵抗率が高くなるおそれがある。表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である銅粒子(A)を用いることで、銅粒子間の接触抵抗を低減でき、導電膜としたときの導電性を向上させることができる。銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuは、0.3以下であることが好ましい。
また、銅粒子(A)は、粒子全体に含まれる酸素濃度が700ppm以下であることが好ましい。銅粒子に含まれる酸素濃度は、例えば酸素濃度計を用いて測定することができる。
銅粒子(A)としては、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下のものであれば、種々の銅粒子を使用することができる。銅粒子(A)は、金属銅粒子であってもよく、水素化銅微粒子、または水素化銅微粒子を加熱した金属銅微粒子(以下、銅微粒子ともいう)であってもよい。また、銅粒子(A)としては、これら金属銅粒子と銅微粒子とが複合した形の複合粒子であってもよい。複合粒子としては、例えば金属銅粒子の表面に銅微粒子が付着または結合した形態のものを挙げることができる。複合粒子については、詳細は後述する。
銅粒子(A)の平均粒子径は0.01〜20μmであることが好ましい。銅粒子(A)の平均粒子径は、銅粒子(A)の形状に応じて、0.01〜20μmの範囲内において適宜調整することができる。銅粒子(A)の平均粒子径が0.01μm以上であれば、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、銅粒子(A)の平均粒子径が20μm以下であれば、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製し易くなる。
銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合、その平均粒子径(平均一次粒子径)は0.3〜20μmであることが好ましい。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合、その凝集粒子の平均粒子径は0.01〜1μmであることが好ましく、0.02〜0.4μmであることがより好ましい。
銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合にその平均粒子径(平均一次粒子径)が0.3μm以上の場合、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合にその凝集粒子の平均粒子径が0.01μm以上の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。
また、銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合にその平均粒子径(平均一次粒子径)が20μm以下の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製し易くなる。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合にその凝集粒子の平均粒子径が1μm以下の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製し易くなる。
表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)としては、例えば、下記銅粒子(A1)〜(A5)を好適に用いることができる。
(A1)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子。
(A2)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、上記金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである水素化銅微粒子と、を有する銅複合粒子。
(A3)水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである水素化銅微粒子。
(A4)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、上記金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子を加熱した金属銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである金属銅微粒子と、を有する複合金属銅粒子。
(A5)金属銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである金属銅微粒子。
なお、複合金属銅粒子(A4)は、銅複合粒子(A2)の水素化銅微粒子が、加熱処理により金属銅微粒子に変換されたものである。また、金属銅微粒子(A5)は、水素化銅微粒子(A3)が加熱処理により変換されたものである。
本明細書中において、平均粒子径は、以下のようにして求めたものである。すなわち、金属銅粒子についての平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と記す。)像の中から無作為に選んだ100個の粒子のFeret径を測定し、これらの粒子径を平均して算出したものである。
また、銅微粒子からなる凝集粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」と記す。)像の中から無作為に選んだ100個の粒子のFeret径を測定し、これらの粒子径を平均して算出したものである。
また、例えば銅複合粒子(A2)のように、金属銅粒子である銅粒子と、この銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子とを含む複合粒子の場合には、この複合粒子全体をSEMによって観察し、銅微粒子も含む粒子全体のFeret径を測定し、得られた粒子径を平均して算出したものである。
このような銅粒子(A)としては、例えば銅粒子表面を還元処理してなる「表面改質銅粒子」、または金属銅粒子表面の少なくとも一部に金属銅微粒子が付着した「複合金属銅粒子」が挙げられる。
本発明における「表面改質銅粒子」は、銅粒子表面を、pH値が3以下の分散媒中で還元処理して得られる。「表面改質銅粒子」は、例えば、(1)銅粒子を分散媒に分散して「銅分散液」とする工程、(2)銅分散液のpH値を所定値以下に調整する工程(3)銅分散液に還元剤を添加する工程、の下記の(1)〜(3)の工程を有する、湿式還元法により製造することができる。
上記(1)〜(3)の工程により得られる表面改質銅粒子は、主に金属銅粒子で構成されるものである。表面改質銅粒子の平均一次粒子径は0.3〜20μmであることが好ましい(金属銅粒子(A1))。表面改質銅粒子において、その平均一次粒子径が0.3μm以上であれば、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、表面改質銅粒子の平均一次粒子径が20μm以下であれば、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製し易くなる。
以下に、表面改質銅粒子を製造する工程(1)〜(3)について説明する。
(1)銅分散液の作製
銅分散液に分散させる銅粒子は、導電ペーストとして一般に用いられる銅粒子を用いることができる。銅分散液に分散させる銅粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。
銅分散液に分散させる銅粒子の平均粒子径は、0.3〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストの流動性を低下させるおそれがある。一方、銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストでの微細配線の作製が困難となる。銅粒子の平均粒子径を0.3〜20μmとすることで、流動性が良好で、かつ微細配線の作製に適した導電ペーストとすることができる。
なお、銅粒子の平均粒子径は、SEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、その平均値を算出して得たものである。
銅分散液は、上記の銅粒子を粉末状としたものを、分散媒に投入して得ることができる。銅分散液の銅粒子の濃度は、0.1〜50質量%であることが好ましい。銅粒子の濃度が0.1質量%未満であると、銅分散液に含まれる分散媒量が過多となり、生産効率を十分なレベルに維持できないおそれがある。一方、銅粒子の濃度が50質量%を超えると、粒子同士の凝集の影響が過大となり、表面改質銅粒子の収率が低減するおそれがある。銅分散液の銅粒子の濃度を0.1〜50質量%の範囲とすることで、表面改質銅粒子を高収率で得ることができる。
銅粒子分散液の分散媒としては、銅粒子を分散可能なものであれば特に限定されないが、高極性を有するものを好適に用いることができる。高極性の分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類、およびこれらを混合した混合媒体等を用いることができる。高極性の分散媒としては、特に水を好適に用いることができる。
分散媒に分散させる銅粒子は、粒子表面の酸化を防止するため、表面処理剤で粒子表面を表面処理したものであってもよい。表面処理剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の長鎖カルボン酸を用いることができる。
表面処理剤として長鎖カルボン酸を用いた場合には、銅粒子表面から長鎖カルボン酸(表面処理剤)を除去した後に分散媒に分散させることが好ましい。銅粒子表面から長鎖カルボン酸(表面処理剤)を除去した後に分散媒に分散させることで、後述する還元反応を円滑に進行させることができる。
なお、表面処理剤として長鎖カルボン酸を用いた場合に、銅粒子をそのまま還元処理に供することも可能である。長鎖カルボン酸の除去は、例えば酸を用いた洗浄等の方法により行うことができる。
また、銅粒子の分散媒に対する分散性を向上させるため銅粒子に対して前処理を行うことが好ましい。前処理を行うことで、銅粒子表面が親水性化される。このため、水などの高極性分散媒に対する銅粒子の分散性を高めることができる。
前処理剤としては、例えば炭素数6以下の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、脂肪族アミノ酸などの脂肪族モノカルボン酸類、および脂肪族ポリカルボン酸類を好適に用いることができる。脂肪族ポリカルボン酸類としては、例えば、炭素数10以下の脂肪族ポリカルボン酸や脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸が挙げられる。より好ましくは、炭素数8以下の脂肪族ポリカルボン酸類である。前処理剤としては、具体的には、グリシン、アラニン、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸などを好適に用いることができる。
上記のようにして得られた銅分散液には、分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、銅粒子に対して吸着性を有する水溶性の各種化合物を用いることができる。
分散剤としては、具体的には、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピルセルロース、エチルセルロースなどの水溶性高分子化合物や、エチレンジアミン四酢酸、イミノジ二酢酸などのキレート化合物等を用いることができる。
上記各処理を経た後の銅粒子表面に担持されて存在する表面処理剤、前処理剤、分散剤の量は、銅粒子に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
前処理剤や分散剤による銅粒子の処理は、水などの溶媒に前処理剤等を添加して得られた溶液に、銅粒子を添加して撹拌する。そして、この溶液中で、銅粒子表面に前処理剤等を担持するようにして行うことができる。
処理速度を高めるため、前処理を行う際は、銅分散液を加熱しながら行うことが好ましい。加熱温度としては、50℃以上、水等の分散媒の沸点以下の温度で行うことが好ましい。なお、分散媒にカルボン酸等の表面処理剤や分散剤を添加した場合には、加熱温度は、これらの化合物の沸点以下の加熱することが好ましい。
加熱処理する時間は、5分間以上3時間以下が好ましい。加熱時間が5分間未満であると、処理速度を高める効果を十分に得られないおそれがある。一方、3時間を超えて加熱処理を行っても、コストが過度に高くなるおそれがあり、経済的な面から好ましくない。
なお、前処理等を行う際は、銅粒子表面の酸化を防止するため、処理容器内を、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで置換して行うことが好ましい。前処理後、溶剤を除去し、必要により水等で洗浄することで、分散液に分散させる銅粒子を得ることができる。
(2)銅分散液のpH値の調整
上記(1)で得られた銅分散液のpH値を調整する。pH値の調整は、銅分散液にpH調整剤を添加して行うことができる。
銅分散液のpH調整剤としては、酸を用いることができる。銅分散液のpH調整剤としては、例えばギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸を好適に用いることができる。カルボン酸としては、上述した前処理剤として用いたカルボン酸と同様の化合物を用いることが可能である。
これらの中でも、pH調整剤としては、カルボン酸を好適に用いることができる。pH調整剤としてカルボン酸を用いることで、カルボン酸が銅粒子表面に吸着し、還元処理後の表面改質銅粒子の表面に残存して粒子表面を保護し、銅の酸化反応を抑制することができる。
特に、ギ酸は、還元性を有するアルデヒド基(−CHO)を有するため、表面改質された銅粒子表面に残存し、粒子表面の酸化の進行を抑制できる。このような銅粒子を配合した導電ペーストを用いることで、酸化被膜が形成され難く、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成できる。なお、pH調整剤としては、必ずしも酸成分に限定されるものではない。例えば分散液のpH値が低い場合には、pH調整剤として塩基を用いることも可能である。
銅分散液のpH値は3以下とすることが好ましい。銅分散液のpH値を3以下とすることで、後の還元処理工程で、粒子表面の酸化膜の除去を円滑に行うことができ、得られる表面改質銅粒子の表面酸素濃度を低減することができる。分散液のpH値が3を超えると、銅粒子表面に形成された酸化膜を除去する効果を十分に得ることができず、銅粒子表面の酸素濃度を十分に低減できないおそれがある。一方、分散液のpH値は0.5以上とすることが好ましい。分散液のpH値が0.5未満であると、銅イオンが過度に溶出し、銅粒子の表面改質が円滑に進行し難くなるおそれがある。分散液のpH値は、0.5以上2以下とすることがより好ましい。なお、分散液のpH値が3以下の場合は、この分散液をそのまま還元処理してもよい。
(3)銅分散液の還元処理
pH値を調整した銅分散液に還元剤を添加して還元処理を行う。
銅分散液に添加する還元剤としては、金属水素化物、ヒドリド還元剤、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン、およびギ酸から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムが挙げられる。ヒドリド還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、および水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらのうち、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムを好適に用いることができる。
なお、上記のように、ギ酸はpH調整剤としても用いられる。このため、分散媒中にギ酸を添加した場合には、還元剤として作用するとともにpH調整剤としても作用する。
銅分散液に添加する還元剤は、粒子表面の銅原子量に対して大過剰に添加することが好ましい。具体的には、分散液に含まれる銅粒子の全モル数に対して、モル比で1倍量以上の還元剤を添加することが好ましく、銅粒子の全銅原子のモル数に対し、モル比で1.2〜10倍量の還元剤を用いることがよい。
銅の全モル数に対して、10倍以上の量の還元剤を添加すると、コスト面で不利となり、生産コストが過度に高くなるおそれがある。また、還元剤からの分解生成物の量が過多となり、その除去が煩雑となるおそれもある。
還元反応は、分散媒の温度を5〜60℃として行うことが好ましく、35〜50℃として行うことがより好ましい。分散液の温度を60℃以下とすることで、銅分散液から分散媒を蒸発させて除去したときの、分散液全体の濃度変化の影響を低減することができる。
銅粒子の還元は、上記のように銅分散液に還元剤を添加して行うか、または還元剤を添加した分散媒に、銅粒子を分散させて行うことができる。
なお、還元剤を添加後の銅分散液のpH値は、反応開始時点から反応終了時まで3以下の状態を保持することが好ましい。これにより、銅粒子表面の酸化膜の除去を円滑に行うことができる。
銅分散液の酸化還元電位は、還元剤の添加量や種類等により、適宜調整することができる。銅分散液の酸化還元電位は、標準水素電極(SHE)の電位に対して100〜300mVであることが好ましく、100〜220mVであることがより好ましい。銅分散液の酸化還元電位を、標準水素電極(SHE)の電位に対して100〜300mVとすることで、銅イオンの還元反応を円滑に進行させることができる。
なお、酸化還元電位は、標準電極からの電位差として求めることができる。本明細書では、酸化還元電位は、標準電極として、標準水素電極を用いて測定した電位差で表記する。
還元剤の分解がほぼ終了した後、表面改質された銅粒子を分散液から分離する。そして、必要に応じて水などで洗浄、乾燥して、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の表面改質銅粒子、すなわち銅粒子(A)粉末を得ることができる。銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuは、上記(1)〜(3)の工程において、例えば銅分散液のpH値の調整や、銅分散液の酸化還元電位の調整により、所望の範囲に調整することができる。
上記工程(1)〜(3)の表面処理を行うことで、出発原料としての銅粒子表面に存在していた酸化銅(CuO、CuO)を、銅原子に還元でき、導電性を阻害する要因となる酸化銅の存在量を低減できる。
なお、還元剤分解物などの副生物は、通常、分散媒に可溶な成分である。このため、濾過や遠心分離することで、これらの成分から銅粒子を分離することが可能である。
また、上記工程(1)〜(3)の表面処理後の銅粒子表面では、還元剤によって銅原子の一部が還元され、水素化銅が生成することがある。このため、表面処理後の銅粒子は、分散液から分離した後、40〜120℃で加熱処理することで、水素化銅を銅に変化してもよい。
本発明における「複合金属銅粒子」は、既に述べたように、金属銅粒子表面の少なくとも一部に、金属銅微粒子を付着させたものである。「複合金属銅粒子」は、金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着してなる「銅複合粒子」を加熱し、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換して得られるものである。なお、金属銅粒子表面の微粒子の付着の有無は、SEM像を観察して確認することができる。また、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の同定は、X線回折装置(リガク社製、TTR−III)を用いて行うことができる。
銅複合粒子の金属銅粒子は、導電ペーストに一般的に用いられる公知の銅粒子を用いることができる。金属銅粒子の粒子形状は、球状であってもよく、板状であってもよい。
銅複合粒子の金属銅粒子の平均粒子径は、0.3〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
金属銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストとしたときに、十分な流動特性を得られない。一方、金属銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストによる、微細配線の作製が困難となるおそれがある。金属銅粒子の平均粒子径は、1〜10μmであることがより好ましい。なお、金属銅粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、この測定値を平均して算出したものである。
銅複合粒子の水素化銅微粒子は、主として1〜20nm程度の一次粒子が凝集した二次粒子として存在している。水素化銅微粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、20〜400nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。特に好ましくは80〜150nmである。水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が20nm未満であると、水素化銅微粒子の融着・成長が生じ易くなり、導電膜としたときに、体積収縮に伴うクラック等の不具合が発生するおそれがある。一方、水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が400nmを超えると、粒子表面積が十分でなく、表面融解現象が生じ難くなり、緻密な導電膜を形成するのが困難となる。水素化銅微粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の水素化銅微粒子のFeret径を測定し、その測定値を平均して算出したものである。
銅複合粒子としては、金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、この金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである水素化銅微粒子と、を有する複合粒子(銅複合粒子(A2))であることが好ましい。
金属銅粒子表面に付着する水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子の量の5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
水素化銅微粒子の量が、金属銅粒子の量に対して5質量%未満であると、金属銅粒子間に導電パスが十分に形成されず、導電膜の体積抵抗率を低減する効果を十分に得られないおそれがある。一方、水素化銅微粒子の量が、金属銅粒子の量に対して50質量%を超えると、導電ペーストとして十分な流動性を確保するのが困難となる。
なお、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の量は、例えば、還元剤を加える前の水溶性銅化合物溶液中の銅イオン濃度と、水素化銅微粒子生成終了後の反応液中に残存する銅イオン濃度との差から算出することができる。
銅複合粒子は、例えば、(i)反応系(R)で水素化銅微粒子を形成する工程、(ii)反応系(R)に金属銅粒子を投入し、水素化銅微粒子を金属銅粒子表面に付着させて「銅複合粒子」を形成する工程、(iii)「銅複合粒子」を反応系(R)から分離する工程の、下記の(i)〜(iii)の工程を有する湿式還元法により製造することができる。この銅複合粒子を加熱して、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換することで、「複合金属銅粒子」を得ることができる。
なお、本明細書において、「反応系(R)」とは、水素化銅微粒子が生成する系をいう。反応系(R)は、(α)水溶性銅化合物溶液に還元剤を加えた未反応状態の系だけでなく、(β)水溶性銅化合物と還元剤との反応により、水素化銅微粒子の生成が進行中の状態の系、(γ)水素化銅微粒子の生成反応が終了し、生成後の水素化銅粒子が分散した状態の系、をも包括するものである。
すなわち、「反応系(R)」とは、水などの溶媒に、水溶性銅化合物、銅イオン、各種陰イオンと共に、水素化銅微粒子の生成後に溶媒中に残留する各種イオン、その他の残渣、還元剤やその分解物等が存在するものをいう。したがって、生成後の水素化銅微粒子を溶液中から単離して、新たに分散媒に分散させて得た分散液は、本明細書における反応系(R)には該当しないものとする。
以下に、銅複合粒子を製造する工程(i)〜(iii)、およびこの銅複合粒子から複合金属銅粒子を製造する方法について説明する。
(i)水素化銅微粒子の形成
反応系(R)は、水溶性銅化合物を溶媒に添加して形成した水溶性銅化合物溶液に、少なくとも還元剤を添加して形成することができる。
反応系(R)を形成する水溶性の銅化合物としては、銅塩が好ましい。銅塩としては、銅(II)イオンと、無機酸またはカルボン酸との塩がより好適に用いられる。銅塩を形成するカルボン酸としては、カルボキシル基の炭素原子も含めた炭素数が1〜4であるカルボン酸が好ましく、ギ酸、酢酸、またはプロピオン酸が特に好ましい。水溶性の銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が特に好適に用いられる。
なお、上記の水溶性銅化合物溶液の溶媒としては、水溶性銅化合物が溶解し得るものであれば特に限定することなく用いることができる。水溶性銅化合物溶液の溶媒としては、特に水を好適に用いることができる。
水溶性銅化合物溶液に含まれる水溶性銅化合物の濃度は、溶液100質量%に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%未満であると、溶液中の水分量が過多となり、水素化銅微粒子の生産効率が低下する。一方、水溶性銅化合物の濃度が30質量%を超えると、水素化銅微粒子の収率がかえって低下するおそれがある。
還元剤を添加する水溶性銅化合物溶液は、pH値を所定値以下に調整することが好ましい。水溶性銅化合物溶液のpH調整剤としては、表面改質銅粒子の製造工程の説明において、銅分散液のpH調整剤として列挙した酸成分と同様のものを用いることができる。具体的には、例えばギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等を用いることができる。
これらの中でも、水溶性銅化合物溶液のpH調整剤としては、ギ酸を特に好適に用いることができる。ギ酸は、還元性を有するアルデヒド基(−CHO)を有するため、粒子表面に残存し、銅微粒子の酸化を抑制することができる。
水溶性銅化合物溶液のpH値は、3以下とすることが好ましい。水溶性銅化合物溶液のpH値を3以下とすることで、水素化銅微粒子の生成効率を向上させることができる。これは、銅イオンと水素イオンとが溶液中に混在する状態で還元処理できるためであると推定される。水溶性銅化合物溶液のpH値が3を超えると、金属銅微粒子が生成し易くなり、水素化銅微粒子の生成率が低下することがある。水素化銅微粒子の生成率を向上させる観点から、水溶性銅化合物溶液のpH値は0.5〜2とすることがより好ましい。
還元剤としては、金属水素化物、ヒドリド還元剤、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン、およびギ酸から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムが挙げられる。ヒドリド還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、および水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムを好適に用いることができる。 なお、上記のように、ギ酸はpH調整剤としても用いられるため、分散媒中にギ酸を添加した場合には、還元剤として作用するとともにpH調整剤としても作用する。
水溶性銅化合物溶液の還元剤は、溶液中の銅イオンに対して1.2〜10倍の当量数添加することが好ましい。水溶性銅化合物溶液に添加する還元剤の量が、銅イオンの量に対して1.2倍の当量数未満であると、十分な還元作用を得るのが困難となる。一方、還元剤の添加量が、銅イオンの量に対して10倍の当量数を超えると、水素化銅微粒子の、ナトリウム、ホウ素、リン等の不純物の含有量を増大させることがある。
反応系(R)は、例えば、上記の還元剤と水等の溶媒とを混合した還元剤溶液を、水溶性銅化合物溶液と混合して形成することができる。また、反応系(R)は、固体状態の還元剤を、水溶性銅化合物溶液に添加して形成することもできる。このようにして形成した反応系(R)では、酸性条件下で、銅イオンが還元剤により還元されて水素化銅微粒子が生成、粒成長する。
(ii)銅複合粒子の形成
上記(i)で形成した反応系(R)に金属銅粒子を投入し、この金属銅粒子表面に水素化銅微粒子を付着させて「銅複合粒子」を形成する。
まず、金属銅粒子を反応系(R)に投入する。なお、金属銅粒子の形状、粒子径については、上述したとおりである。
金属銅粒子は、銅イオンが存在する段階の反応系(R)、または水溶性銅化合物溶液に添加することが好ましい。
銅イオンが存在する反応系(R)に金属銅粒子を加えることで、金属銅粒子と水素化銅微粒子とが共存する環境下で、銅イオンの還元反応が進行する。従って、金属銅粒子と水素化銅微粒子間に、強固な結合状態を形成することができる。なお、反応系(R)の中での銅イオンの存在の有無は、銅イオン電極や可視光吸収スペクトルを用いた銅イオンの濃度測定によって確認することができる。また、銅イオンの存在の有無は、水溶液の酸化還元電位の測定によっても確認することができる。
すなわち、金属銅粒子は、水素化銅微粒子の生成途中の反応系(R)に添加することが好ましい。または還元剤を添加する前の水溶性銅化合物溶液に金属銅粒子を添加し、その後還元剤を添加して反応系(R)を形成することが好ましい。好ましくは、水素化銅微粒子の生成途中の反応系(R)に金属銅粒子を添加することがよい。
なお、金属銅粒子を添加する反応系(R)は、上記の状態のものに限定されない。例えば、還元反応の進行により反応系(R)中の銅イオン量や還元剤量が減少し、水素化銅微粒子の生成や、生成後の水素化銅微粒子の成長が停止した状態の反応系(R)に金属銅粒子を添加してもよい。すなわち、金属銅粒子は、水素化銅微粒子の生成前の反応系(R)に投入してもよく、水素化銅微粒子生成途中の反応系(R)に投入してもよく、また水素化銅微粒子生成後の反応系(R)に投入してもよい。
反応系(R)に金属銅粒子を投入することで、この金属銅粒子表面に水素銅微粒子が付着し、反応系(R)中に「銅複合粒子」を形成することができる。
金属銅粒子を添加する反応系(R)に含まれる銅イオンの存在量は、還元剤添加前の水溶性銅化合物溶液の銅イオンの存在量に対して、1〜100質量%であることが好ましく、5〜100質量%であることがより好ましい。なお、水溶性銅化合物溶液中の銅は、全てイオン化しているものとする。
反応系(R)の温度は、60℃以下であることが好ましい。反応系(R)の温度を60℃以下とすることで、反応系(R)中での水素化銅微粒子の分解を抑制することができる。
金属銅粒子は、反応系(R)の酸化還元電位が100〜300mVSHEの範囲、より好ましくは100〜220mVSHEの範囲の状態で添加することが好ましい。
なお、「SHE」は標準水素電極を意味するものである。また、「mVSHE」は、標準水素電極を基準として測定した酸化還元電位を示すものである。本明細書において、酸化還元電位の測定値は、標準水素電極を基準にして測定したものである。
(iii)銅複合粒子の分離
反応系(R)中に形成した銅複合粒子を、この反応系(R)から分離する。
銅複合粒子を反応系(R)から分離する方法としては、特に限定されない。銅複合粒子を反応系(R)から分離する方法としては、例えば、遠心分離、ろ過等の方法により、反応系(R)から粉末状の銅複合粒子を分離することができる。
反応系から銅複合粒子を分離した後、粒子表面に付着した溶解性不純物を、水等の洗浄液で除去する等の洗浄を行う。このようにして分離後の銅複合粒子を精製処理することで、金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した、粉末状の銅複合粒子を得ることができる。なお、銅複合粒子の分離を行う前に、反応系(R)の溶媒を置換して、溶媒とともに、還元剤の分解物等の不純物を除去することも可能である。
反応系(R)から分離した銅複合粒子を加熱処理して、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換する。これにより、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である複合金属銅粒子を得ることができる。
複合金属銅粒子は、金属銅粒子間に存在する金属銅微粒子によって、導電パスを確実に形成でき、導電膜としたときの体積抵抗率を低減することができる。また、上記のように、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換することで、金属銅粒子からの金属銅微粒子の剥離を生じ難いものとできる。従って、導電ペースト中に金属銅微粒子が遊離することによる、導電ペーストの粘度上昇が抑制された導電ペーストとすることができる。
銅複合粒子の加熱処理は、60〜120℃の温度で行うことが好ましい。加熱温度が120℃を超えると、金属銅微粒子同士の融着が生じ易くなり、導電膜としたときの体積抵抗率が高くなるおそれがある。一方、加熱温度が60℃未満であると、加熱処理に要する時間が長くなり、製造コストの面から好ましくない。
銅複合粒子の加熱処理は、60〜100℃で行うことがより好ましく、さらに好ましくは、60〜90℃で行うことがよい。なお、加熱処理後に得られた複合金属銅粒子の残存水分量は、3質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
銅複合粒子の加熱処理は、相対圧力で−101〜−50kPaの減圧下で行うことが好ましい。−50kPaより大きい圧力下で加熱処理を行うと、乾燥に要する時間が長くなり、製造コストの面から好ましくない。一方、加熱処理時の圧力を−101kPa未満とすると、例えば水等の余分な溶媒の除去、乾燥に、大型の装置を用いることが必要となり、かえって製造コストが高くなる。
「複合金属銅粒子」の表面酸素濃度比O/Cuは、上記(i)〜(iii)の工程において、水溶性銅化合物溶液のpH値、反応系(R)の酸化還元電位、または反応系(R)の温度等を調整するか、もしくは銅複合粒子の加熱処理の際の酸素分圧等を調整することで、所望の範囲に調整することができる。
上記の各工程を経て得られた複合金属銅粒子の金属銅粒子の平均一次粒子径は0.3〜20μmであることが好ましい。また、この金属銅粒子表面に付着する金属銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は20〜400nmであることが好ましい(複合金属銅粒子(A4))。
「複合金属銅粒子」の金属銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストとしたときに、十分な流動特性を得られない。一方、金属銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストによる、微細配線の作製が困難となる。「複合金属銅粒子」における金属銅粒子の平均粒子径は、1〜10μmであることがより好ましい。
「複合金属銅粒子」の銅微粒子は、銅複合粒子における水素化銅微粒子と同様に、主として1〜20nm程度の一次粒子が凝集した二次粒子として存在している。銅微粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が20nm未満であると、銅微粒子の融着・成長が生じ易くなり、導電膜としたときに、体積収縮に伴うクラック等の不具合が発生するおそれがある。一方、銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が400nmを超えると、粒子表面積が十分でなく、表面融解現象が生じ難くなり、緻密な導電膜を形成するのが困難となる。銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、30〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。特に好ましくは80〜150nmである。
なお、金属銅粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、この測定値を平均して算出したものである。また、銅微粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の水素化銅微粒子のFeret径を測定し、その測定値を平均して算出したものである。
その他の銅粒子(A)としては、凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである水素化銅微粒子(A3)も好ましく用いられる。水素化銅微粒子(A3)は、例えば「銅複合粒子」の製造工程で使用した水溶性銅化合物の溶液を用いて形成することができる。具体的には、例えば、この水溶性銅化合物の溶液に、pH値が3以下で、かつ酸化還元電位が100〜300mVSHE、好ましくは100〜220mVSHEの条件下で還元剤を添加することで得ることができる。還元剤としては、「銅複合粒子」の製造工程で使用した還元剤と同様のものを用いることができる。
なお、水素化微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、還元反応時の反応温度や反応時間を制御するか、または分散剤を添加することで調整することができる。
銅粒子(A)としては、この水素化銅微粒子(A3)を加熱処理して得られる金属銅微粒子(A5)も好適に用いられる。すなわち、銅粒子(A)としては、金属銅微粒子であってその凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである金属銅微粒子(A5)も好適に用いられる。
また、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得る方法としては、上記のような湿式還元による方法に限定されない。表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得る方法としては、例えば銅粉末の表面に形成された酸化膜を、塩酸、硫酸、硝酸等の酸を用いて洗浄し、酸化膜を溶解させて除去することによっても行うことができる。
また、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得るための方法としては、上記の方法以外にも、例えば、銅粒子表面に還元性のガスを導入し、このガス中で銅粒子を加熱処理等することによっても行うことができる。
具体的には、例えば、まず、水素、一酸化炭素、天然ガス、アンモニア分解ガス等の還元性気体を導入するか、または内部を真空にすることで、還元炉内を還元性雰囲気とする。そして、この還元炉内に銅粒子を入れて、120〜400℃の温度範囲で銅粒子を還元処理することで、粒子表面の酸化物を除去することが可能である。
また、還元性ガスを用いるその他の方法としては、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス中で、プラズマを生起させ、銅粒子表面をプラズマ処理する方法によっても、銅粒子表面を還元処理することが可能である。
例えば図1に示すように、反応槽1のガス導入口7から、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスを供給し、平板状の上部電極2に接続された交流電源5を稼働する。そして、上部電極2と下部電極3間で、グロー放電によりプラズマを生起させるとともに、上部電極2と、下部電極3との間の領域、具体的には下部電極3上に載置した固体誘電体6上に、被処理物4、すなわち銅粒子を配置することで、この銅粒子表面を還元処理することができる。
また、銅粒子の表面酸素濃度を調整するその他の方法としては、銅粒子と、下記に述べるキレート剤(B)、熱硬化性樹脂(C)等を混合する際に、3本ロールミルやビーズミルを用いて混合物(ペースト)全体を撹拌することによっても行うことが可能である。
キレート剤(B)は、銅イオンに配位して、下記式(1)で示す反応により、銅イオンと錯体を形成し得る化合物である。
Figure 2012077548
・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
M:銅イオン
Z:キレート剤(B)
MZ:錯塩
x:銅1個と結合するキレート剤(B)の数
キレート剤(B)は、25℃、イオン強度0.1mol/Lでの、上記式(1)のx=1の場合における銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物である。安定度定数logKCuは、キレート剤と金属との結合力の強さを示す指標である。安定度定数logKCuは、上記式(1)で示した反応式の平衡定数KCuの対数値として求めることができる。KCuは、具体的には、下記式(2)により求めることができる。
Figure 2012077548
・・・(2)
(但し、上記式(2)において、[ ]は括弧内の各成分の濃度を表す。)
本発明における「安定度定数logKCu」に関し、種々の化合物についての具体的な数値としては、例えば、化学便欄(丸善)、Stability Constants of Metal−Ion Complexes(PERGAMON PRESS)、Journal of Chemical Engineering Data(ACS Publications)などの文献に記載されている。
キレート剤(B)として、銅イオンとの安定度定数logKCuが5以上の化合物を配合することで、ペースト内で生じた銅イオンの少なくとも一部は、キレート剤(B)と錯体を形成すると考えられる。このため、大気中の水分や、例えばO、HO等に含まれる酸素等と反応する銅イオンの量を低減でき、ペースト内での酸化銅の形成を抑制することができる。また、キレート剤(B)は、銅イオンと解離し難いため、高湿度の環境下で放置しても、錯体の状態を長期間維持することができる。このため、酸化被膜が形成され難く、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成可能な導電ペーストとすることができる。
キレート剤(B)の安定度定数logKCuが5未満であると、銅イオンに対する結合力が十分でないため、大気中の水分や酸素等と反応する銅イオンの量を十分に低減できず、酸化銅の生成を抑制するのが困難となる。また、キレート剤(B)の安定度定数logKCuが15を超えると、キレート剤(B)の銅イオンに対する結合力が強すぎて、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。これは、キレート剤(B)が、銅粒子表面に存在する銅イオンだけでなく、銅(金属銅)にも作用するためと推定される。安定度定数logKCuは、より好ましくは7〜14である。
キレート剤(B)としては、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置されており、官能基(a)の「窒素原子」と、官能基(b)の「孤立電子対を有する原子」とが、二又は三の原子を介在して結合した芳香族化合物を好適に用いることができる。上記の分子構造を有する化合物を、キレート剤(B)として配合することで、銅イオンと安定した錯体を形成することができる。
官能基(a)の「窒素原子」と、官能基(b)の「孤立電子対を有する原子」との間に介在する原子としては、炭素原子が挙げられる。
上記の芳香族化合物の中でも、キレート剤(B)としては、官能基(a)の窒素原子と、官能基(b)の孤立電子対を有する原子とが、二又は三の炭素原子を介在して結合しているものが、好適に用いられる。
孤立電子対を有する、窒素原子以外の原子を含む官能基(b)として好適なものとしては、例えば、水酸基、またはカルボキシル基を挙げることができる。
キレート剤(B)としては、具体的には、例えばサリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、o−アミノフェノール、サリチル酸から選択される少なくとも一の化合物を用いることができる。
キレート剤(B)として、サリチルアルドキシムを用いた場合には、下記化学式(I)で示す反応により、銅イオンとの錯体が形成される。
Figure 2012077548
・・・(I)
導電ペーストにおけるキレート剤(B)の含有量は、銅粒子(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましい。キレート剤(B)の含有量が0.01質量部未満であると、導電膜としたとき、体積抵抗率の上昇を抑制する効果を十分に得られないおそれがある。一方、キレート剤(B)の含有量が1質量部を超えると、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。
熱硬化性樹脂(C)としては、通常の硬化温度で充分に硬化可能なものであれば、導電ペーストの樹脂バインダとして用いられる公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。
熱硬化性樹脂(C)としては、例えばフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等を好適に用いることができる。これらの中でも、フェノール樹脂が特に好適に用いられる。
熱硬化性樹脂(C)は、硬化後の樹脂成分が導電性を阻害しない範囲で添加することができる。導電ペーストにおける熱硬化性樹脂(C)の含有量は、銅粒子の体積と、銅粒子間に存在する空隙の体積との比率に応じて適宜選択することが可能である。
導電ペーストにおける熱硬化性樹脂(C)の含有量は、通常、銅粒子(A)粉末100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が5質量部未満であると、ペースト体として十分な流動特性を得るのが困難となる。一方、熱硬化性樹脂の含有量が50質量部を超えると、硬化後の樹脂成分により、銅粒子間の接触が妨げられて、導電体の体積抵抗率を上昇させるおそれがある。
本発明の導電ペーストは、上記(A)〜(C)の成分に加えて、必要に応じて、溶剤や各種添加剤(レベリング剤、カップリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤等。)等のその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。特に、適度な流動性を有するペースト体を得るために、熱硬化性樹脂(C)を溶解し得る溶剤を含有させることが好ましい。
導電ペーストに含有させる溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、テルピネオール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを好適に用いることができる。印刷用ペースト体として、適度な粘度範囲とする観点から、導電ペーストに含有させる溶剤の量は、銅粒子に対して1〜10質量%が好ましい。
導電ペーストは、上記(A)〜(C)の各成分を、溶剤等のその他の成分と混合して得ることができる。
上記の(A)〜(C)の各成分を混合する時には、熱硬化性樹脂の硬化や溶剤の揮発が生じない程度の温度下で、加熱しながら行うことができる。混合、撹拌時の温度は、10〜40℃とすることが好ましい。より好ましくは、20〜30℃とすることがよい。導電ペーストを形成する時に、10℃以上の温度にすることで、ペーストの粘度を充分に低下させることができ、撹拌を円滑かつ充分に行うことができる。また、銅粒子表面に生成した水素化銅を銅原子とすることができる。一方、導電ペーストを形成するときの温度が120℃を超えると、ペースト中で熱硬化性樹脂(C)の硬化が生じたり、粒子同士の融着が生じたりするおそれがある。
なお、混合時に銅粒子が酸化されるのを防止するため、不活性ガスで置換した容器内で混合することが好ましい。
以上説明した本発明の導電ペーストでは、空気中でも酸化され難く、従来の導電ペーストと比較して、酸化銅の生成による体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成できる。
本発明の導電膜付き基材10は、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、図2に示すように、上述した導電ペーストを、基材11の表面に塗布して導電ペースト膜を形成する。そして、溶剤などの揮発性成分を除去した後、熱硬化性樹脂(C)を硬化させて、基材11上に導電膜12を形成することで、製造することができる。
基材11としては、ガラス基板、プラスチック基材、繊維強化複合材料、セラミックス基板等を用いることができる。繊維強化複合材料としては、ガラス繊維強化樹脂基板等が挙げられ、プラスチック基材としては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどからなるフィルム状の基板等が挙げられる。
特に、プリント配線板に使用される、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板などを好適に用いることができる。
導電ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法等の公知の方法が挙げられる。
この中でも、表面および側面における凹凸の発生が抑制された滑らかな配線形状を、基材11上に効率的に形成する観点から、スクリーン印刷法が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂(C)の硬化は、導電ペースト膜を形成した基材11を100〜300℃の温度で保持することにより行うことができる。硬化温度が100℃未満であると、熱硬化性樹脂を十分に硬化させるのが困難となる。一方、硬化温度が300℃を超えると、プラスチックフィルム等の熱可塑性樹脂で形成した基材11を用いた場合、基材11が変形するおそれがある。硬化方法としては、温風加熱、熱輻射等の方法が挙げられる。なお、導電膜の形成は、空気中で行ってもよく、また酸素量が少ない窒素雰囲気下等で行ってもよい。
導電膜12の体積抵抗率は、1.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。導電膜12の体積抵抗率が1.0×10−4Ωcmを超えると、電子機器用の導電体として、十分な導電性を得られないおそれがある。
基材11上の導電膜12の厚さは、安定な導電性を確保し、かつ配線形状を維持し易くする観点から、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
本発明に係る導電膜付き基材にあっては、導電膜を、上述した本発明の導電ペーストを用いて形成しているため、酸化銅による酸化被膜が生成し難く、従来の導電膜付き基材と比較して、体積抵抗率が低く、また高湿度の環境下で長期間使用しても、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材とすることができる。
以上、本発明の導電膜付き基材について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて適宜構成を変更することができる。また、本発明の導電膜付き基材の製造方法では、各部の形成順序等についても、導電膜付き基材の製造が可能な限度において、適宜変更することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
まず、銅粒子に還元処理を施した、銅粒子(A)(表面改質銅粒子)を得た。すなわち、ガラス製ビーカーにギ酸3.0gと50wt%次亜リン酸水溶液9.0gとを投入し、このビーカーをウォーターバスに入れて40℃に保持した。このビーカー内に、銅粒子(三井金属鉱業社製、商品名:「1400YP」、平均一次粒子径:7μm)5.0gを徐々に添加し、30分間撹拌して、「銅分散液」を得た。得られた「銅分散液」から、遠心分離器を使用し、回転数3000rpmで10分間遠心分離して沈殿物を回収した。この沈殿物を蒸留水30gに分散させ、遠心分離によって再び凝集物を沈殿させ、沈殿物を分離した。得られた沈殿物を、−35kPaの減圧下、80℃で60分間加熱し、残留水分を揮発させて徐々に除去して、粒子表面が表面改質された銅粒子(A−1)を得た。
得られた銅粒子(A−1)について、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製、商品名:「ESCA5500」)により、下記の条件下で表面酸素濃度[原子%]、および表面銅濃度[原子%]の測定を行った。
・分析面積:800mmΦ
・Pass Energy:93.9eV
・Energy Step:0.8eV/step
得られた表面酸素濃度を表面銅濃度で除して、表面酸素濃度比O/Cuを算出したところ、銅粒子(A−1)の表面酸素濃度比O/Cuは0.16であった。
なお、銅粒子(A−1)中の酸素量を、酸素量計(LECO社製、商品名:「ROH−600」)を用いて測定したところ、酸素量は460ppmであった。
(実施例1)
フェノール樹脂(群栄化学社製、商品名:「レジトップPL6220」)0.74gとエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0.43gとを混合した樹脂溶液に、サリチルヒドロキサム酸0.005gを配合して溶解させた。この樹脂溶液に、銅粒子(A−1)5.0gを配合し、乳鉢中で混合して導電ペースト1を得た。
この導電ペースト1を、スクリーン印刷法により、ガラス基板上に、幅1mm、厚さ20μmの帯状の配線形状に塗布し、150℃で30分間加熱してフェノール樹脂を硬化させて、導電膜1を有する導電膜付き基板1を形成した。
(実施例2)
サリチルヒドロキサム酸の配合量を0.0125gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト2を得た。
(実施例3)
サリチルヒドロキサム酸0.005gに代えて、サリチルアルドキシム0.025gを樹脂溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト3を得た。
(実施例4)
サリチルアルドキシムの配合量を0.0125gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして導電ペースト4を得た。
(実施例5)
サリチルヒドロキサム酸0.005gに代えて、o−アミノフェノール0.0125gを樹脂溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト5を得た。
(実施例6)
サリチルヒドロキサム酸0.005gに代えて、サリチル酸0.0125gを樹脂溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト6を得た。
(比較例1)
サリチルヒドロキサム酸0.005gを樹脂溶液に添加しないこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト7を得た。
(比較例2)
サリチルヒドロキサム酸0.005gに代えて、サリチルヒドラジド0.0125gを樹脂溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト8を得た。
(比較例3)
サリチルヒドロキサム酸0.005gに代えて、アビエチン酸0.0125gを樹脂溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして導電ペースト9を得た。
導電ペースト1に代えて、ガラス基板上に導電ペースト2〜6を塗布し、導電膜2〜6を形成したこと以外は、実施例1と同様にして導電膜付き基材2〜6(実施例2〜6)を得た。また、導電ペースト1に代えて、ガラス基板上に導電ペースト7〜9を塗布し、導電膜7〜9を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電膜付き基材7〜9(比較例1〜3)を得た。
(導電体配線の抵抗)
得られた導電膜1〜9の抵抗値を、抵抗値計(ケースレー社製、商品名:「ミリオームハイテスタ」)を用いて測定した。
(耐久性試験)
その後、導電膜付き基材1〜9について、高温高湿の環境下での耐久性試験を行った。すなわち、導電膜付き基材1〜9を70℃、85%RHの高温高湿とした槽内で60時間保持した後、導電膜1〜9の抵抗値を測定した。
表1に、初期の体積抵抗率、および高温高湿の環境下での耐久性試験後の体積抵抗率の変動率を、キレート剤(B)に用いる化合物の種類、キレート剤(B)に用いる化合物の、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCu、及びキレート剤(B)の添加量と併せて示す。なお、表1において、キレート剤(B)の添加量は、銅粒子100質量部に対する添加量(質量部)で示したものである。
Figure 2012077548
表1から明らかなように、銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15であるキレート剤(B)を配合した導電ペースト1〜6を用いて、導電膜1〜6を形成した導電膜付き基材1〜6では、体積抵抗率が低く、高温高湿環境下で放置した後の体積抵抗率の変動率も低く抑えられていた。
一方、キレート剤(B)を配合せずに形成した導電ペースト7を用いて、導電膜7を形成した導電膜付き基材7(比較例1)では、高温高湿環境下で放置した後の体積抵抗率の変動率が9%と高く、耐久性に劣るものであった。また、キレート剤(B)として、銅イオンとの安定度定数logKCuが15を超える化合物(サリチルヒドラジド)を配合した導電ペースト8、および銅イオンとの安定度定数logKCuが5未満である化合物(アビエチン酸)を配合した導電ペースト9を用いて、導電膜8〜9を形成した導電膜付き基材8〜9では、初期の体積抵抗率が高く、また高温高湿環境下で放置した後の体積抵抗率の変動率も、10〜12%と高くなっており、耐久性に劣るものであった。
1…反応槽、2…上部電極、3…下部電極、4…被処理物、5…交流電源、6…固体誘電体、7…ガス導入口、8…ガス排出口、9…絶縁物、10…導電膜付き基材、11…基材、12…導電膜
【0004】
)は、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、o−アミノフェノール、サリチル酸から選択される化合物であることが好ましい。
[0014]
前記熱硬化性樹脂(C)は、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂から選択される少なくとも一の樹脂であることが好ましい。
[0015]
前記導電ペーストは、前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記キレート剤(B)の量が0.01〜1質量部であることが好ましい。また、前記導電ペーストは、前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記熱硬化樹脂(C)の量が5〜50質量部であることが好ましい。
[0016]
本発明の導電膜付き基材は、上記した本発明の導電ペーストを硬化させて形成した導電膜を、基材上に有してなることを特徴とする。前記導電膜付き基材において、前記導電膜の体積抵抗率は1.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。
[0017]
本発明の導電膜付き基材の製造方法は、上記した本発明の導電ペーストを基材上に塗布した後、この導電ペーストを硬化させて導電膜を形成させることを特徴とする。
発明の効果
[0018]
本発明によれば、高湿度の環境下でも、酸化銅の形成を抑制でき、低い体積抵抗率を長期間維持し得る導電膜を形成可能な導電ペーストとすることができる。また、本発明によれば、このような導電ペーストを用いることで、配線基板等としての信頼性が高く、また酸化被膜の形成による体積変動率の上昇が抑制された導電膜付き基板とすることができる。
図面の簡単な説明
[0019]
[図1]銅粒子の湿式還元処理の実施に用いる装置の概略構成例を示す説明図である。
[図2]本発明の導電膜付き基材の一例を示す断面模式図である。
発明を実施するための形態
【0027】
[0123]
[化1]
Figure 2012077548
[0124]
導電ペーストにおけるキレート剤(B)の含有量は、銅粒子(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましい。キレート剤(B)の含有量が0.01質量部未満であると、導電膜としたとき、体積抵抗率の上昇を抑制する効果を十分に得られないおそれがある。一方、キレート剤(B)の含有量が1質量部を超えると、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。
[0125]
熱硬化性樹脂(C)としては、通常の硬化温度で充分に硬化可能なものであれば、導電ペーストの樹脂バインダとして用いられる公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。
[0126]
熱硬化性樹脂(C)としては、例えばフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等を好適に用いることができる。これらの中でも、フェノール樹脂が特に好適に用いられる。
[0127]
熱硬化性樹脂(C)は、硬化後の樹脂成分が導電性を阻害しない範囲で添加することができる。導電ペーストにおける熱硬化性樹脂(C)の含有量は、銅粒子の体積と、銅粒子間に存在する空隙の体積との比率に応じて適宜選択することが可能である。
導電ペーストにおける熱硬化性樹脂(C)の含有量は、通常、銅粒子(A)粉末100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が5質量部未満であると、ペースト体として十分な流動特性を得るのが困難となる。一方、

Claims (15)

  1. X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)と、25℃、イオン強度0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(B)と、熱硬化性樹脂(C)とを含有することを特徴とする導電ペースト。
  2. 前記銅粒子(A)が、pH値が3以下の分散媒中で還元処理された表面改質銅粒子であることを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
  3. 前記銅粒子(A)が、平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、前記金属銅粒子表面に凝集して付着した、平均一次粒子径が1〜20nmである水素化銅微粒子と、を有する銅複合粒子を加熱し、前記水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換して形成された、複合金属銅粒子であることを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
  4. 前記分散媒のpH値調整剤として、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも一を用いることを特徴とする請求項2記載の導電ペースト。
  5. 前記水素化銅微粒子の形成に用いる水溶性銅化合物溶液のpH調整剤として、ギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも一を用いることを特徴とする請求項3記載の導電ペースト。
  6. 前記キレート剤(B)は、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置された芳香族化合物であって、前記窒素原子と、前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とが、二又は三の原子を介在して結合していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電ペースト。
  7. 前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)が、水酸基またはカルボキシル基であることを特徴とする請求項6記載の導電ペースト。
  8. 前記窒素原子と、前記窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とが、二又は三の炭素原子を介在して結合していることを特徴とする請求項6又は7記載の導電ペースト。
  9. 前記キレート剤(B)が、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、o−アミノフェノール、サリチル酸から選択される化合物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の導電ペースト。
  10. 前記熱硬化性樹脂(C)が、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂から選択される少なくとも一の樹脂であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の導電ペースト。
  11. 前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記キレート剤(B)の量が0.01〜1質量部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の導電ペースト。

  12. 前記銅粒子(A)100質量部に対して、前記熱硬化樹脂(C)の量が5〜50質量部であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の導電ペースト。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項記載の導電ペーストを硬化させて形成した導電膜を、基材上に有してなることを特徴とする導電膜付き基材。
  14. 前記導電膜の体積抵抗率が1.0×10−4Ωcm以下であることを特徴とする請求項13記載の導電膜付き基材。
  15. 請求項1乃至12のいずれか1項記載の導電ペーストを基材上に塗布した後、この導電ペーストを硬化させて導電膜を形成させることを特徴とする導電膜付き基材の製造方法。
JP2012547800A 2010-12-10 2011-11-30 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法 Withdrawn JPWO2012077548A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010276081 2010-12-10
JP2010276081 2010-12-10
PCT/JP2011/077643 WO2012077548A1 (ja) 2010-12-10 2011-11-30 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2012077548A1 true JPWO2012077548A1 (ja) 2014-05-19

Family

ID=46207039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012547800A Withdrawn JPWO2012077548A1 (ja) 2010-12-10 2011-11-30 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JPWO2012077548A1 (ja)
KR (1) KR20130136455A (ja)
CN (1) CN103262173A (ja)
TW (1) TW201232563A (ja)
WO (1) WO2012077548A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103582918A (zh) * 2011-05-23 2014-02-12 旭硝子株式会社 导电浆料及使用该导电浆料的带导电膜的基材以及带导电膜的基材的制造方法
CN103571269B (zh) * 2012-07-30 2016-08-03 比亚迪股份有限公司 油墨组合物、线路板及其制备方法
IL247113B (en) 2016-08-04 2018-02-28 Copprint Tech Ltd Formulations and processes for making a high conductivity copper pattern
CN111344815A (zh) 2017-11-13 2020-06-26 京瓷株式会社 膏组合物、半导体装置以及电气/电子部件
JP2020059914A (ja) * 2018-10-04 2020-04-16 三菱マテリアル株式会社 接合材料用粒子及びその製造方法、接合用ペースト及びその調製方法並びに接合体の製造方法
CN112111197A (zh) * 2020-10-30 2020-12-22 南昌航空大学 一种包含铜颗粒和有机铜盐复合导电墨水的制备方法
KR102409631B1 (ko) * 2021-12-30 2022-06-16 장정식 향상된 내열특성을 갖는 도전성 구리 분말 페이스트 및 그 제조방법

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2611347B2 (ja) * 1987-07-24 1997-05-21 三菱化学株式会社 銅系導電性塗料組成物
JP4078990B2 (ja) * 2003-01-23 2008-04-23 松下電器産業株式会社 導電性ペースト、その導電性ペーストを用いた回路形成基板、およびその製造方法
JP2004265607A (ja) * 2003-01-23 2004-09-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 導電性ペースト、その導電性ペーストを用いた回路形成基板、およびその製造方法
JP4848674B2 (ja) * 2005-06-03 2011-12-28 日本電気株式会社 樹脂金属複合導電材料およびその製造方法
TWI325795B (en) * 2007-03-05 2010-06-11 Keith E Forrester Method for stabilization of heavy metals and odor control with dicalcium phosphate dihydrate powder in the incinerator bottom ash
JP5593699B2 (ja) * 2008-02-07 2014-09-24 旭硝子株式会社 水素化銅ナノ粒子、その製造方法、金属ペーストおよび物品
JPWO2009116349A1 (ja) * 2008-03-21 2011-07-21 旭硝子株式会社 銅ナノ粒子被覆銅フィラー、その製造方法、銅ペーストおよび金属膜を有する物品

Also Published As

Publication number Publication date
TW201232563A (en) 2012-08-01
WO2012077548A1 (ja) 2012-06-14
CN103262173A (zh) 2013-08-21
KR20130136455A (ko) 2013-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI510592B (zh) Method for manufacturing conductive copper particles
WO2012077548A1 (ja) 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法
TWI501260B (zh) Conductive paste and substrate with conductive film
EP3508286B1 (en) Silver-coated alloy powder, electrically conductive paste, electronic part, and electric device
JP2013140687A (ja) 導電ペースト、導電膜付き基材およびその製造方法
JP2005314755A (ja) フレーク銅粉及びその製造方法並びに導電性ペースト
JPWO2009060803A1 (ja) 銅微粒子とその製造方法及び銅微粒子分散液
WO2012161201A1 (ja) 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法
JP2020033610A (ja) 銀被覆金属粉末の洗浄方法、銀被覆金属粉末の製造方法、銀被覆銅粉末、銀被覆銅合金粉末、導電性ペースト及び導電膜の製造方法、電子部品、及び電気装置
JP2015021143A (ja) 銀被覆銅合金粉末およびその製造方法
JP6278969B2 (ja) 銀被覆銅粉
JP6727922B2 (ja) 銀粉およびその製造方法、ならびに導電性ペースト
JP5255580B2 (ja) フレーク銅粉の製造方法
JP2009231059A (ja) オフセット印刷用導電性インクおよびそれを用いた回路パターン形成方法
JP2011208278A (ja) フレーク状銀粉及びその製造方法
JP2012140661A (ja) 扁平銅粒子
JP5410850B2 (ja) 銅複合粒子の製造方法、複合金属銅粒子の製造方法、銅ペーストおよび金属銅導体の製造方法
JP2017130393A (ja) 導電性ペーストおよび銀膜の形成方法
WO2017179524A1 (ja) 銀被覆銅粉およびその製造方法
JP2013084411A (ja) 導電ペーストおよびその製造方法、導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法
JP2014189835A (ja) ニッケル粉末とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140801

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20150406