JP2020033610A - 銀被覆金属粉末の洗浄方法、銀被覆金属粉末の製造方法、銀被覆銅粉末、銀被覆銅合金粉末、導電性ペースト及び導電膜の製造方法、電子部品、及び電気装置 - Google Patents

銀被覆金属粉末の洗浄方法、銀被覆金属粉末の製造方法、銀被覆銅粉末、銀被覆銅合金粉末、導電性ペースト及び導電膜の製造方法、電子部品、及び電気装置 Download PDF

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【課題】銀被覆銅(合金)粉末をより導電性に優れたものとする方法、及びそのような導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末を提供すること。【解決手段】銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を有する銀被覆金属粉末を、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程1と、該洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程2とを有する、銀被覆金属粉末の洗浄方法。【選択図】なし

Description

本発明は、銀被覆金属粉末の洗浄方法等に関する。
従来、印刷法などにより電子部品の電極や配線を形成するために、銀粉や銅粉などの導電性の金属粉末に溶剤、樹脂、分散剤などを配合して作成した導電性ペーストが使用されている。銀粉は導電性や耐酸化性に優れるが、コストが高い、マイグレーションを起こしやすいなどの問題を有している。一方銅粉は導電性やコストに優れ、マイグレーションを起こしにくいが、耐酸化性が悪いという問題を有している。
そこでこれらのメリットを享受するために銀コート銅粉が開発されている(例えば特許文献1)。さらに所望の特性を具備させるため、コアの銅粉を銅合金粉とした銀被覆銅合金粉も開発されている(例えば特許文献2)。
なお特許文献3の発明の実施の形態には、銀被覆銅粉を製造した後、これを湿式還元雰囲気中で加熱し、続いてヒドラジン水和物の溶液に投入、撹拌しながら100℃で30分処理したことが記載されている。
特開2006−161081号公報 特開2014−005531号公報 特開2003−105404号公報
特許文献1や2に開示された銀被覆銅(合金)粉について、銀被覆反応を均一に行って完全に銅(合金)コア粒子を被覆することは非常に困難であり、コア粒子が露出している個所が存在することが懸念される。このような個所においては酸化膜が形成されて、銀被覆銅(合金)粉の導電性に悪影響するものと考えられる。なお導電性とは、この粉末を導電性ペーストに使用した場合の、当該ペーストを焼成又は硬化して形成される導電膜の導電性を指す。以下同様である。
本発明の課題は、上記の銀被覆銅(合金)粉末をより導電性に優れたものとする方法、及びそのような導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、銀被覆銅(合金)粉末を、まず酸化銅を錯体化して除去できる物質を含有する水溶液で洗浄し、続いて還元剤を含有する水溶液で洗浄するという洗浄工程を施すことにより、含有酸素が低減され、充填性が向上し、より導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を有する銀被覆金属粉末を、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程1と、該洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程2とを有する、銀被覆金属粉末の洗浄方法。
前記洗浄工程1において、前記銀被覆金属粉末中の銅に対して0.05〜1当量の錯体形成化合物を含有する水溶液で、前記銀被覆金属粉末を洗浄することが好ましい。前記還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸及びギ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記洗浄工程1において用いる錯体形成化合物を含有する水溶液は、アンモニア水であることが好ましい。
前記洗浄工程2において、前記銀被覆金属粉末中の銅に対して10〜60当量の還元剤を含有する水溶液で、前記銀被覆金属粉末を洗浄することが好ましい。
前記洗浄工程1に供される前記銀被覆金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、0.1〜15.0μmであることが好ましい。また前記金属粉末が銅合金粉末である場合、前記銀被覆金属粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が、82質量%以上であることが好ましい。
本発明の銀被覆金属粉末の製造方法は、銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成して銀被覆金属粉末を得る銀被覆工程と、該銀被覆工程で得られた銀被覆金属粉末を、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程1と、該洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程2とを有する。
前記金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、0.1〜15.0μmであることが好ましい。前記金属粉末が前記銅合金粉末である場合には、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が、82質量%以上であることが好ましい。
本発明の銀被覆銅粉末は、銅及び不可避不純物からなる銅粒子の表面に銀被覆層を有する銀被覆銅粉末であって、該銀被覆銅粉末のタップ密度の真密度に対する割合の逆数(RTAP)と、銀被覆銅粉末の酸素量(O)と、銀被覆銅粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.80(質量%・μm)以下である。前記積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は、0.30〜0.75(質量%・μm)であることが好ましい。前記銀被覆層の、前記銀被覆銅粉末における含有量は1〜50質量%であることが好ましい。銀被覆銅粉末の累積50%粒子径(D50)は、0.1〜15.0μmであることが好ましい。
本発明の銀被覆銅合金粉末は、銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粒子の表面に銀被覆層を有する銀被覆銅合金粉末であって、該銀被覆銅合金粉末のタップ密度の真密度に対する割合の逆数(RTAP)と、銀被覆銅合金粉末の酸素量(O)と、銀被覆銅合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.58(質量%・μm)以下である。前記積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は、0.25〜0.56(質量%・μm)であることが好ましい。前記銀被覆層の、前記銀被覆銅合金粉末における含有量は1〜50質量%であることが好ましい。前記銀被覆銅合金粉末において、銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が82〜95質量%であり、前記合計に対するニッケルの質量割合が1〜8質量%であり、前記合計に対する亜鉛の質量割合が1〜17質量%であることが好ましい。銀被覆銅合金粉末の累積50%粒子径(D50)は0.1〜15.0μmであることが好ましい。
本発明の導電性ペーストは、上記の銀被覆銅粉末及び/又は銀被覆銅合金粉末が、溶剤及び/又は樹脂バインダー中に分散したものである。本発明の導電膜の製造方法は、この導電性ペーストを基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成し又は硬化させることにより、前記基板上に導電膜を形成するものである。
本発明の電子部品は、外部電極を備える電子部品であって、前記外部電極が、上記の銀被覆銅粉末及び/又は銀被覆銅合金粉末、並びに硬化性樹脂を含むものである。また本発明の電気装置は、基板と、該基板上に形成された電気素子と、該基板上に実装された前記の電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備えるものである。
本発明によれば、従来に比べて導電性に優れた銀被覆銅(合金)粉末が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書においては、個々の「粒子」が「粉末」を構成し、「粉末」は「粒子」の集合を指すものとする。以下の説明においては原則として、粉末を構成する個々のものに着目している場合は「粒子」という言葉を、粒子の集合という全体に着目している場合は「粉末」又は「粒子の粉末」という言葉を使用する。なお、厳密に個々の粒子とその集合である粉末とを区別しようとするものではない。
[銀被覆金属粉末の洗浄方法]
<銀被覆金属粉末>
本発明の銀被覆金属粉末の洗浄方法(以下「本発明の洗浄方法」ともいう)の実施の形態で所定の洗浄工程に供される銀被覆金属粉末は、銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末をコア粒子の粉末として、その粒子表面に銀被覆層を有するものである。
前記銀被覆層は、銀被覆金属粉末の導電性を高め、また金属粉末中の銅は耐酸化性に劣るので、銀被覆層によりコア粒子の耐酸化性が高まっている。銀被覆層は好ましくは実質的に銀のみからなる。また、銀被覆層が金属粉末の粒子表面全体を完全に覆っている場合は稀であり、通常コア粒子の一部が露出している。また、銀被覆層は、熱処理などによってコア粒子と合金化していてもよいが、この場合に銀は銀被覆金属粉末の粒子表層近傍に偏在している。
導電性の観点から、銀被覆金属粉末における銀被覆層の含有量は好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは3〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。なお前記銀被覆層の含有量は、金属粉末が銅粉末である場合は銀と銅の質量の合計に対する銀の質量割合として、金属粉末が銅合金粉末である場合は銀と銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銀の質量割合として求められるものとする。また、前記銀被覆層の含有量は、銀被覆金属粉末の製造コスト等の観点からは、2〜12質量%であることが好ましい。
<金属粉末>
(不可避不純物)
銀被覆金属粉末における金属粉末(銅粉末又は銅合金粉末)中の不可避不純物は、金属粉末の製造原料や製造工程に使用される装置・物質の影響などで微量(銀被覆金属粉末の重量を基準として好ましくは0.1〜1000ppm程度)含有されるものであり、その例としては、鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、パラジウム、マグネシウム、酸素、炭素、窒素、リン、ケイ素、塩素が挙げられる。なお前記不可避不純物は、所与の目的を達成するために、銀被覆金属粉末の重量を基準として1000ppm以下程度(通常0.1ppm以上)のレベルで含有させられる微量添加元素を包含するものとする。
(銅合金粉末)
前記金属粉末が銅合金粉末である場合の銀被覆金属粉末は、例えば半田接続される導電膜を形成するための導電性ペーストにおける金属粉成分として有用である。具体的には、銅合金粉末を構成する銅は導電性に優れ、ニッケルは半田食われ耐性に優れ、亜鉛が存在することで銅合金粉末の銀被覆が良好に(金属粉末の粒子表面のうち、銀で被覆される面積割合が大きくなるように)なされ、優れた導電性及び半田濡れ性につながる。なお、半田食われ耐性とは、溶融した半田に導電膜が溶け出してしまうことで起こると考えられている半田食われという現象があるが、これが生じ難いことである。
また、上記で説明した導電性や半田食われ耐性等の各種特性をバランスよく発現し、また本発明の洗浄方法の実施の形態の効果が良好に奏される観点から、金属粉末が銅合金粉末である銀被覆金属粉末において、好ましくは銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が82質量%以上である。同様な観点から、より好ましくは、前記合計に対する銅の質量割合が82〜95質量%であり、ニッケルの質量割合が1〜8質量%であり、かつ亜鉛の質量割合が1〜17質量%であり、更に好ましくは、前記合計に対する銅の質量割合が84〜93質量%であり、ニッケルの質量割合が1.5〜7.5質量%であり、かつ亜鉛の質量割合が1.5〜14.5質量%である。
<表面処理層>
本発明の洗浄方法の実施の形態に供される銀被覆金属粉末は、その粒子表面に表面処理層を有していてもよい。これにより、粉末の充填性を高めて導電性を高めることができる。表面処理層は前記銀被覆金属粉末を表面処理剤で処理することによって形成することができる。
表面処理層を構成する表面処理剤としては、炭素数1〜32の飽和若しくは不飽和脂肪酸、炭素数1〜32の飽和若しくは不飽和アミンや、環構成原子数が5〜12の複素環化合物が挙げられる。前記脂肪酸やアミンは、環状構造を有していてもよく、前記複素環化合物は飽和であっても不飽和であってもよく、また縮合環構造の化合物であってもよい。表面処理層は、これらの化合物のうち1種から構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。
<平均粒子径(D50)>
本発明の洗浄方法の実施の形態に供される銀被覆金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、導電性や薄い導電膜の形成を可能とする観点から、好ましくは0.1〜15.0μmであり、より好ましくは1.0〜10μmであり、特に好ましくは1.5〜6.5μmである。
<形状>
銀被覆金属粉末の形状に特に制限はなく、球状や略球状でもよいし、粒状でもよいし、薄片状(フレーク状)でもよいし、不定形でもよい。
<洗浄工程1>
本発明の洗浄方法の実施の形態では、まず銀被覆金属粉末を所定の洗浄液で洗浄する洗浄工程1に供する。これにより、銀被覆金属粉末の粒子表面において、銀被覆層で被覆されずコア粒子が露出している個所の酸化銅が錯体化されて、酸素とともに除去されるものと考えられる。
前記洗浄液とは、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液である。アミン系化合物としては、ヘキシルアミンやアニリンなどの炭素数1〜18(好ましくは2〜10)のモノアミン、エチレンジアミンなどの炭素数1〜18(好ましくは2〜10)のジアミンが挙げられる。またシアン化合物としては、シアン化物イオンの各種金属塩(金属の例としては、ナトリウムやカリウムなどの周期表第1族に属する金属が挙げられる)が挙げられる。以上説明した錯体形成化合物の中では、コストや酸化銅の除去能力の点から、アンモニアが好ましい。
洗浄工程1は、例えば洗浄液中に銀被覆金属粉末を添加し、得られた混合液を撹拌することにより実施することができる。この洗浄工程1の実施温度は、酸素の除去効率の点から好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは15〜35℃である。洗浄工程1の実施時間(前記の混合液を撹拌する場合には、撹拌時間)は、酸素の除去効率の点から好ましくは10〜80分であり、より好ましくは15〜60分である。
この洗浄工程1における錯体形成化合物の使用量は、酸素の除去効率の点から好ましくは、銀被覆金属粉末中の銅に対して0.05〜1当量であり、より好ましくは0.08〜0.8当量である。なお、1当量とは、酸化銅を錯体化させるために必要な錯体形成化合物の量のことであり、例えばアンモニアについては、銅1モルに対してアンモニア6モルの割合である。また、洗浄液中の錯体形成化合物の濃度は、酸化銅の除去効率の点から好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。
<洗浄工程2>
洗浄工程1において所定の洗浄液で洗浄された銀被覆金属粉末には、錯体形成化合物等の不純物が付着しており、これを洗浄することが望ましい。このとき純水で洗浄すると、銀被覆されずコア粒子が露出している個所において酸化が起こるものと考えられ、導電性に悪影響する。
本発明の洗浄方法の実施の形態では、このような事態を避けるため、洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液(以下「還元剤水溶液」とも言う)で洗浄する(洗浄工程2)。洗浄に使用される洗浄液に還元剤が含まれていることで、洗浄時の銀被覆金属粉末の酸化が防止される。また、メカニズムは不明であるが、これら洗浄工程1及び2を実施することによって、銀被覆金属粉末の充填性も改善する。
洗浄工程2は、例えば前記銀被覆金属粉末をろ紙上に置いて還元剤水溶液を添加しつつ、吸引ろ過することや、銀被覆金属粉末を還元剤水溶液中に添加し、得られた混合液を撹拌することにより実施することができる。
洗浄工程2で使用できる還元剤に特に制限はないが、その例として、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸及びギ酸が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの還元剤の中でも、コスト及び銀被覆金属粉末中に不純物として残存しにくいことから、ヒドラジンが好ましい。
洗浄工程2で使用される還元剤の量は、上記の還元剤の作用、及びコストの観点から、銀被覆金属粉末中の銅に対して好ましくは5〜60当量であり、より好ましくは8〜60当量であり、なお好ましくは10〜60当量であり、さらに好ましくは10〜40当量である。なお、1当量とは銅(II)を金属銅に還元するのに必要な還元剤のモル数とする。
また、還元剤水溶液中における還元剤の濃度は、還元剤の作用やコストの観点から、12〜80質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。
<その他の工程>
以上説明した洗浄工程1及び2を経て、含有酸素が低減され、より導電性に優れた銀被覆金属粉末が得られるが、例えば洗浄工程2を経た銀被覆金属粉末に対して乾燥工程を実施してもよいし、また解砕や分級工程を実施して粉末の粒度を調整してもよい。
[銀被覆金属粉末の製造方法]
本発明の洗浄方法における洗浄工程1に供する銀被覆金属粉末は、公知の方法で入手することができるが、例えば上記で説明した金属粉末(銅粉末又は銅合金粉末)を用意し、この粒子表面に銀被覆層を形成する銀被覆工程を実施することで入手することができる。銀被覆工程を実施した上で洗浄工程1及び2を実施した場合には、本発明は銀被覆金属粉末の製造方法と捉えることもできる。
なお、銀被覆工程の具体的な実施方法は特に限定されるものではなく、例えば金属粉末の構成金属(銅)と銀の置換反応を利用した置換法や、還元剤を用いて、金属粉末の粒子表面に銀を析出させる還元法により銀被覆工程を実施することができる。
[銀被覆金属粉末]
次に本発明の銀被覆金属粉末の実施の態様について説明する。この銀被覆金属粉末は、例えば本発明の洗浄方法を実施することで得られ、含有酸素が低減されるとともに、粉末の充填性が向上しており、導電性に優れる。
具体的にはこの銀被覆金属粉末は、金属粒子の表面に銀被覆層を有するものであり、銀被覆金属粉末のタップ密度の真密度に対する割合の逆数(RTAP)と、酸素量(O)と、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、所定の範囲にある。以下、この銀被覆金属粉末の構成について説明する。
<金属粒子>
前記金属粒子は具体的には銅及び不可避不純物からなる銅粒子、又は、銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粒子である。これら銅粒子及び銅合金粒子はそれぞれ、本発明の洗浄方法において説明した銅粉末及び銅合金粉末(を構成する各粒子)と同様である。すなわち、これらの粒子における不可避不純物は鉄、ナトリウムなどであり、その含有量は銀被覆金属粉末の重量を基準として好ましくは0.1〜1000ppm程度である。また前記銅合金粒子について、銀被覆金属粉末において導電性や半田食われ耐性等の各種特性がバランスよく発現される観点から、好ましくは銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が82質量%以上である。同様な観点から、より好ましくは、前記合計に対する銅の質量割合が82〜95質量%であり、ニッケルの質量割合が1〜8質量%であり、かつ亜鉛の質量割合が1〜17質量%であり、更に好ましくは、前記合計に対する銅の質量割合が84〜93質量%であり、ニッケルの質量割合が1.5〜7.5質量%であり、かつ亜鉛の質量割合が1.5〜14.5質量%である。
<銀被覆層>
金属粒子の表面を被覆する銀被覆層は、本発明の洗浄方法の実施の態様における、銀被覆金属粉末を構成する銀被覆層と同様である。すなわち銀被覆層は、導電性を高めるなどの効果を奏し、その観点から、本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態における銀被覆層の含有量は好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは3〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。また、前記銀被覆層の含有量は、銀被覆金属粉末の製造コスト等の観点からは、2〜12質量%であることが好ましい。
<積(RTAP×O×D50(質量%・μm))>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の態様は、粒子表面の酸化膜が適切に除去されていると考えられ、酸素量(O)が少ない。なおこの酸素量(O)は粒子サイズが小さくなると大きくなる傾向があるため、この粒子径の影響による酸素量(O)の変動を補正した実質的な酸素量をみるため、酸素量(O)に粒子径(D50)をかけることとした。またこの銀被覆金属粉末の実施の形態は、メカニズムは不明であるが、後述の実施例で示す通り、本発明の洗浄方法とは異なる方法で同程度に酸素量を低減した銀被覆金属粉末よりも粉末の充填性に優れ、タップ密度が高い(これは優れた導電性につながる)。それゆえタップ密度の真密度に対する割合も高く、その逆数(RTAP)が小さい。本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態は、以上説明したRTAPと、酸素量(O)及び粒子径(D50)の積とが小さい。それゆえこれらの積(RTAP×O×D50(質量%・μm))も小さい。
具体的には、金属粒子が銅粒子である場合、銀被覆金属(銅)粉末の積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は0.80(質量%・μm)以下である。より酸素量を低減し導電性を高める観点から、積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は好ましくは0.30〜0.75(質量%・μm)であり、より好ましくは0.40〜0.72(質量%・μm)である。
また金属粒子が銅合金粒子である場合、銀被覆金属(銅合金)粉末の積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は0.58(質量%・μm)以下である。より酸素量を低減し導電性を高める観点から、積(RTAP×O×D50(質量%・μm))は好ましくは0.25〜0.56(質量%・μm)であり、より好ましくは0.30〜0.55(質量%・μm)である。
なおRTAPを求める際に必要な真密度の求め方は以下の通りである。銀被覆金属粉末について蛍光X線分析装置(XRF)により元素組成を測定し、その結果から、金属粒子が銅粒子である場合は銀と銅の質量割合の合計を100質量%として、金属粒子が銅合金粒子である場合は銀と銅とニッケルと亜鉛の質量割合の合計を100質量%として、各元素の質量割合を計算する。そして求められた質量割合に、各元素の密度をかけて足し合わせることで、銀被覆金属粉末の真密度を求める。
<タップ密度>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のタップ密度は、粉末の充填密度を高めて良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは3.0〜7.5g/cmであり、より好ましくは4.2〜6.5g/cmである。
<平均粒子径(D50)>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)(平均粒子径)は、導電性や薄い導電膜の形成を可能とする観点から、好ましくは0.1〜15.0μmであり、より好ましくは1.0〜10μmであり、特に好ましくは1.5〜6.5μmである。
<酸素量>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の酸素量は、導電性の観点から、好ましくは0.05〜0.60質量%であり、より好ましくは0.08〜0.25質量%である。
<炭素量>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の炭素量は、加熱した際のガス発生を防止する観点から、好ましくは0.10〜0.65質量%であり、より好ましくは0.18〜0.45質量%である。
<BET比表面積>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態のBET1点法により測定した比表面積(BET比表面積)は、良好な導電性を発揮する観点から、好ましくは0.08〜1.50m/gであり、より好ましくは0.10〜1.00m/gであり、特に好ましくは0.15〜0.80m/gである。
<形状>
本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態の形状に特に制限はなく、球状や略球状でもよいし、粒状でもよいし、薄片状(フレーク状)でもよいし、不定形でもよい。
[導電性ペースト]
次に、本発明の導電性ペーストの実施の形態について説明する。この導電性ペーストは本発明の銀被覆金属粉末の実施の形態を含んでおり、当該粉末は酸素量が低減されており導電性に優れるため、導電膜を形成する用途に好適である。なお導電性ペーストには高温での焼成によりペースト中の溶剤や樹脂成分を分解、揮発させ、そして金属粉末同士を焼結させる焼結型導電性ペーストと、焼結型より低温での加熱により樹脂成分を硬化させ、この硬化時の樹脂の収縮により金属粉末同士を接触させて導通を図る樹脂硬化型導電性ペーストとがある。本発明の導電性ペーストの実施の形態はいずれの型の導電性ペーストとしても使用可能であり、溶剤と樹脂バインダーの一方又は両方を含んでいる。樹脂硬化型ペーストとする場合は硬化性樹脂である樹脂バインダーを必須成分として含む。
本発明の導電性ペーストの実施の形態においては、本発明の銀被覆金属粉末に該当する、粒径や銀被覆されるコア粒子の金属組成その他の点で種類の異なる2種以上の銀被覆金属粉末を組み合わせて使用してもよい。導電性ペーストにおける銀被覆金属粉末の含有量は、適切な導電性を有する導電膜を形成する観点から、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。
また、導電性ペースト中の樹脂バインダーの含有量は、好ましくは1〜49質量%であり、より好ましくは2〜29.5質量%である。樹脂バインダーとしては、樹脂を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
導電性ペーストに使用される硬化性樹脂には熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂があり、
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オキセタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が挙げられ、
光硬化性樹脂としては、光により架橋反応を起こす不飽和結合などの官能基を1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、その具体例としては、(メタ)アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド系樹脂、アミノ系樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。
本発明の導電性ペーストの実施の形態には、当該ペーストを加熱により硬化させる場合、硬化させるため又は硬化を促進するため、熱重合開始剤を添加してもよい。熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、及びケトンパーオキサイドが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、硬化を促進するため、ポリアミン、酸無水物、三ハロゲン化ホウ素化合物、三ハロゲン化ホウ素化合物のアミン錯塩、イミダゾール化合物、芳香族ジアミン系化合物、カルボン酸系化合物などの硬化剤を添加してもよい。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の導電性ペーストの実施の形態を光重合させる場合には、導電性ペースト中に光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤や光カチオン重合開始剤が用いられる。これらの光重合開始剤は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が使用可能である。
前記光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの放射線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、その例として、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩及び芳香族アンモニウム塩が挙げられる。
さらに、本発明の導電性ペーストの実施の形態には、必要に応じて、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ロジン、フェノキシ樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂を添加することができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の導電性ペーストの実施の形態には、さらに必要に応じて、界面活性剤、分散剤、安定化剤、可塑剤や、金属酸化物粉末などの添加剤を添加してもよい。
以上説明した導電性ペーストの実施の形態の調製方法は特に制限されるものではないが、例えば、各構成要素を計量して所定の容器に入れ、混練脱泡機、らいかい機、万能攪拌機、ニーダーなどを用いて予備混練した後、3本ロールで本混練することによって調製することができる。また、必要に応じて、その後、有機溶剤を添加して、粘度調整を行ってもよい。有機溶剤としては、テキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート)、ターピネオール、カルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、エチレングリコール、ジブチルアセテートやジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の極性溶剤が挙げられる。
本発明の導電性ペーストの実施の形態のE型粘度計により測定した25℃における粘度は、導電性ペーストの印刷性等の観点から、80〜200Pa・sであることが好ましい。
[導電膜の製造方法]
次に本発明の導電膜の製造方法の実施の形態について説明する。以上説明した導電性ペーストをディッピングや(スクリーン印刷、インクジェット印刷などの)印刷などにより(セラミック基板などの)基板上に所定パターン形状に塗布して塗膜を形成した後に焼成し(導電性ペーストが焼結型の場合)又は硬化(導電性ペーストが樹脂硬化型の場合)させることにより、基板上に導電膜を形成することができる。導電性ペーストをディッピングにより塗布する場合には、導電性ペースト中に基板をディッピングして塗膜を形成し、この塗膜から焼成又は硬化により得られた導電膜の不要な部分を除去して、基板上に所定パターン形状の導電膜を形成することができる。
基板上に塗布した導電性ペーストの焼成は、窒素、アルゴン、水素、一酸化炭素などの非酸化性雰囲気下で行ってもよい。なお、導電性ペーストの焼成温度は、600〜1000℃程度であるのが好ましく、700〜900℃程度であるのがさらに好ましい。また、導電性ペーストの焼成の前に、真空乾燥などにより予備乾燥を行うことにより、導電性ペースト中の溶剤などの揮発成分を除去してもよい。また、導電性ペーストが樹脂バインダーを含む場合は、導電性ペーストの焼成の前に、樹脂バインダーの含有量を低減させる脱バインダ工程として250〜400℃の低温で加熱するのが好ましい。
一方塗膜を硬化させる場合(樹脂硬化型導電性ペーストの場合)、例えば熱硬化させる場合には、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃の温度で、好ましくは10〜120分、より好ましくは15〜90分、さらに好ましくは20〜60分間、塗膜を加熱する。
塗膜を光硬化させる場合には、硬化に際して照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、硬化性樹脂の組成及び光重合開始剤の種類及び量に応じて、波長200〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1〜200J/cmの範囲で照射する。
[電子部品]
次に、本発明の導電性ペースト(樹脂硬化型導電性ペースト)を利用して製造できる電子部品について説明する。電子部品は、外部電極を有し、半田により他の電気素子と接続されるものであれば、特に限定されるものではない。電子部品の具体例として、コンデンサ、キャパシタ、インダクタ、積層配線板、圧電体素子、バリスタ、サーミスタ、抵抗及び半導体チップが挙げられる。
本発明の導電性ペーストは、電子部品を構成する部材の外部電極を形成すべき個所に塗布され、形成された塗膜を、例えば上記で説明した熱硬化や光硬化の条件で処理することにより、外部電極(導電膜)となる。電子部品を構成する部材は、例えば電子部品がコンデンサやキャパシタであれば、誘電体層と極性の異なる内部電極層とが交互に積層されてなる積層体の構成であり、この積層体の、内部電極層が交互に引き出される両端部に外部電極が形成される。
導電性ペースト中の硬化性樹脂を硬化させると、当該樹脂は硬化物を形成し、内部に含まれる銀被覆金属粉末は樹脂の硬化収縮により互いに接触して導通するようになり、外部電極となる。なお、導電性ペースト中に有機溶剤などの揮発性物質が含まれている場合には、硬化反応においてその少なくとも一部が揮散する。以上のようにして、外部電極を備える電子部品が得られる。
形成された外部電極において、銀被覆金属粉末及び硬化性樹脂(の硬化物)の合計における銀被覆金属粉末の割合は、導電性ペーストにおける割合とほぼ同様であり、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは70〜97質量%である。同様に、外部電極において、前記の合計における硬化性樹脂(の硬化物)の割合は、好ましくは1〜49質量%であり、より好ましくは2〜29.5質量%である。
[電気装置]
本発明の電子部品が備える外部電極は、他の電気素子と半田接続される。本発明の電気装置は、基板と、基板上に形成された電気素子と、基板上に実装された電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える構成であり、必要に応じてその他の部材や素子を備えてもよい。前記電気素子としては、例えば配線、リード、端子、電気回路及び電極が挙げられる。
電気素子は基板上に直接形成されてもよいし、例えば電気素子と基板との密着性を高めるための中間層を介して形成されていてもよい。電子部品は、半田部材によって電気素子に接続されることで、基板上に実装される。
前記基板は特に制限されるものではないが、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、ポリマーフィルム、ガラス基板又はセラミック基板(低温焼成セラミック基板を含む)であることが好ましい。
前記半田部材の材質は特に制限されるものではないが、例えば半田部材は、錫、鉛、銀、銅、亜鉛、ビスマス、インジウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む。また、近年環境負荷の問題から鉛フリーの半田が望ましいとされていることから、半田部材は鉛を実質的に含まないことが好ましい。鉛フリーの半田部材としては、Sn/Ag/Cu半田、Sn/Zn/Bi半田、Sn/Cu半田、Sn/Ag/In/Bi半田やSn/Zn/Al半田が挙げられる。
このような半田を含む半田ペーストを、例えば電気素子上に印刷し、電子部品を印刷された半田ペースト上に配置する(電気素子及び電子部品に対しては、必要に応じてフラックス洗浄を行ってもよいし、半田ペーストにフラックスを含有させてもよい)。そしてリフロープロセスにより200〜350℃程度の温度で加熱することで、半田が溶融し、電気素子と電子部品とが電気的及び物理的に接続される。このようにして本発明の電気装置が製造され、必要に応じてその他の部材や素子を基板上に形成ないし実装するなどの工程が実施される。
以下、本発明を実施例及び比較例によってより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
<比較例1>[銀被覆銅粉末1の製造]
(銅粉末の製造)
窒素雰囲気中で銅(純度99.99質量%以上)315kgを1500℃に加熱した溶湯を溶解炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:10)を吹付けて急冷凝固させ、得られたスラリーをろ過し、得られた固形物を水洗し、乾燥し、解砕して、略球状の銅粉末を得た。この銅粉末について、下記で説明するのと同様な方法でBET比表面積、タップ密度、銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、の測定を行った。
(銀被覆銅粉末1の製造)
EDTA−2Na二水和物3.67kgと炭酸アンモニウム3.67kgを純水42.66kgに溶解した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物8.08kgと炭酸アンモニウム4.04kgを純水32.20kgに溶解した溶液に、硝酸銀2.85kgを純水2.66kgに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を用意した。
次に、窒素雰囲気下において、被覆するコア粉末として、得られた上記銅粉末7.70kgを溶液1に加えて、攪拌しながら25℃まで昇温させた。この銅粉末が分散した分散液に溶液2を加えて1時間攪拌した後、濾過し、得られた固形物を水洗し、乾燥し、解砕して、略球状の、銀により被覆された銅粉末(銀被覆銅粉末1)を得た。
(銀被覆銅粉末1の評価)
上記で得られた銀被覆銅粉末1の、BET比表面積、タップ密度、銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果は後記表1に示されている。また各測定の具体的な方法は以下の通りである。
BET比表面積:BET比表面積測定器(株式会社マウンテック製のMacsorb)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。
タップ密度:特開2007−263860号公報に記載された方法と同様に、銀被覆銅粉末1を内径6mm×高さ11.9mmの有底円筒形のダイに容積の80%まで充填して銀被覆銅粉末層を形成し、この銀被覆銅粉末層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加え、この圧力で銀被覆銅粉末1がこれ以上密に充填されなくなるまで前記銀被覆銅粉末層を圧縮した後、銀被覆銅粉末層の高さを測定し、この銀被覆銅粉末層の高さの測定値と、充填された銀被覆銅粉末1の重量とから、銀被覆銅粉末1の密度を求め、これを銀被覆銅粉末1のタップ密度とした。
銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合:銀被覆銅粉末1(約2.5g)を塩化ビニル製リング(内径3.2cm×厚さ4mm)内に敷き詰めた後、錠剤型成型圧縮機(株式会社前川試験製作所製の型番BRE−50)により、100kNの荷重をかけて銀被覆銅粉末のペレットを作製し、このペレットをサンプルホルダー(開口径3.0cm)に入れて蛍光X線分析装置(XRF)(株式会社リガク製のRIX2000)内の測定位置にセットし、測定雰囲気を減圧下(8.0Pa)とし、X線出力を50kV、50mAとした条件で測定した結果から、装置に付属のソフトウェアで自動計算を行った。
そして、ここで求めた金属元素の質量割合から、銀及び銅の質量の合計を100質量%とした場合のそれぞれの質量割合へと換算した値を求めた。
真密度:銀及び銅のそれぞれの密度に、前記で求められた銀及び銅の質量割合を掛けて、足し合わせることで求めた。
酸素量:酸素・窒素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA−920)により測定した。
炭素量:炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−920V2)により測定した。
粒度分布:レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、分散圧5barで測定した。
水分量:電量滴定方式自動水分測定装置(平沼産業株式会社製のAQ−2250(気化装置EV−2010))を使用して、カールフィッシャー法で測定した。
導電性ペーストとした場合の抵抗:銀被覆銅粉末1を9.3gと、熱硬化性樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4901E)0.82gと、硬化剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン0.041gと、溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0.25gと、分散剤としてオレイン酸0.01gとを混練脱泡機で混合した後、三本ロールを5回パスして均一に分散させ、得られた混練物に対してジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを添加、混合して25℃における粘度をおよそ100Pa・sに調整し、導電性ペーストを得た。
この導電性ペーストをスクリーン印刷法によってアルミナ基板上に(線幅500μm、線長37.5mmのラインパターン状に)印刷した後、大気中において200℃で40分間加熱して硬化させることによって導電膜(膜厚およそ20μm)を形成し、得られた導電膜の体積抵抗率(初期抵抗)の算出を行った。
<比較例2>
(アンモニア洗浄)
反応槽に純水1233.30gを投入後、25℃に温調し、640rpmで撹拌をしながら、酸素濃度計(理研計器社製GX−8000)の表示が0.0%になるまでNパージを行った(Nパージはその後も、反応槽酸素濃度が0.0%に維持されるように継続した)。反応槽酸素濃度が0.0%になった所で、上記比較例1で得られた銀被覆銅粉末1を120g添加し、アンモニア濃度28質量%のアンモニア水(ナカライラスク製 特級)92.57gを添加し、この混合液を30分間撹拌した。なお、アンモニア添加量は銀被覆銅粉末中の銅に対して0.15当量(銅1モルに対して0.9モル)であった。
(水洗浄)
撹拌後、前記混合液について、濾過瓶、ブフナー漏斗、ろ紙及びアスピレーターを使用して、吸引ろ過を行ってろ紙上に銀被覆銅粉末を回収した。そしてこのろ紙上の銀被覆銅粉末に対して、吸引ろ過を継続しながら純水5Lを注ぎ込むことで洗浄を行った。この洗浄を10回繰り返し、計50Lの純水による洗浄を行った。洗浄後、真空状態で70℃で13.5h乾燥して、窒素雰囲気にしたグローブボックス内(酸素濃度計(理研計器社製GX−8000)の表示が0.0%であった)で解砕して、略球状の銀被覆銅粉末2を得た。この銀被覆銅粉末2について、比較例1と同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果を後記表1に示す。
<比較例3>
(水及びヒドラジン水洗浄)
上記比較例1で得られた銀被覆銅粉末1を120g用意した。これをろ紙上に置き、濾過瓶、ブフナー漏斗及びアスピレーターを使用して、吸引しながら純水5Lを前記粉末に対して注ぎ込むことで洗浄を行った。この洗浄を9回繰り返した後、吸引ろ過を継続しながら、ヒドラジン濃度20質量%のヒドラジン水溶液を5L注ぎ込んだ。ヒドラジンの使用量は、銀被覆銅粉末中の銅に対して19当量であった。
この洗浄後、真空状態で70℃で13.5h乾燥して、窒素雰囲気にしたグローブボックス内(酸素濃度計(理研計器社製GX−8000)の表示が0.0%であった)で解砕して、略球状の銀被覆銅粉末3を得た。この銀被覆銅粉末3について、比較例1と同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果を後記表1に示す。
(実施例1)
上記比較例2において、水洗浄における純水をヒドラジン濃度20質量%のヒドラジン水溶液に変更し、洗浄回数を1回にした(その結果、洗浄に使用したヒドラジン水溶液の量は5Lだった)以外は、同様にして略球状の銀被覆銅粉末4を得た。ヒドラジンの使用量は、銀被覆銅粉末中の銅に対して19当量であった。この銀被覆銅粉末4について、比較例1と同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銀及び銅の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果を下記表1に示す。
Figure 2020033610
銀被覆銅粉末1に対して本発明の洗浄方法を実施した、実施例1で得られた銀被覆銅粉末4は、銀被覆銅粉末1よりも酸素量が低減され、またタップ密度も上昇した。その結果導電性ペーストとした場合の抵抗が改善した。銀被覆銅粉末1をアンモニア水で洗浄した比較例2の場合は、酸素量が大きくなってしまった。銀被覆銅粉末1を水及びヒドラジン水で洗浄した比較例3では、実施例1の場合と同程度以上に酸素量の低い銀被覆銅粉末3が得られたが、これは前記の銀被覆銅粉末4と比較して粉末の充填性(タップ密度及びタップ密度の真密度に対する割合)に劣り、導電性ペーストとした場合の抵抗も劣っていた。
<比較例4>[銀被覆銅合金粉末1の製造]
(銅合金粉末(CuNiZn)の製造)
窒素雰囲気中で、Cu70Ni30(質量比)合金17.5kgとCu65Zn35(質量比)合金44.23kgとCu80Ni10Zn10(質量比)粉末(粗粉)50kgと銅88.72kgを1200℃に加熱した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:10)を吹付けて急冷凝固させ、得られたスラリーをろ過し、得られた固形物を水洗し、乾燥し、解砕して、略球状の銅合金粉末(銅−ニッケル−亜鉛合金粉末)を得た。この銅合金粉末について、比較例1におけるのと同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銅、ニッケル及び亜鉛の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布及び水分量を測定した。
(銀被覆銅合金粉末1の製造)
EDTA−2Na二水和物0.357kgと炭酸アンモニウム0.357kgを純水4.155kgに溶解した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物0.787kgと炭酸アンモニウム0.393kgを純水3.136kgに溶解した溶液に、硝酸銀0.279kgを純水0.257kgに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を用意した。
次に、窒素雰囲気下において、被覆するコア粉末として、得られた上記銅合金粉末0.750kgを溶液1に加えて、攪拌しながら25℃まで昇温させた。この銅合金粉末が分散した分散液に溶液2を加えて1時間攪拌した後、ろ過し、得られた固形物を水洗し、乾燥し、解砕して、銀により被覆された略球状の銅合金粉末(銀被覆銅合金粉末1)を得た。この銀被覆銅合金粉末1について、比較例1と同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銀、銅、ニッケル及び亜鉛の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果を後記表2及び3に示す。
<実施例2>
反応槽に純水1233.30gを投入後、25℃に温調し、640rpmで撹拌をしながら、酸素濃度計(理研計器社製GX−8000)の表示が0.0%になるまでNパージを行った(Nパージはその後も、反応槽酸素濃度が0.0%に維持されるように継続した)。反応槽酸素濃度が0.0%になった所で、上記比較例4で得られた銀被覆銅合金粉末1を120g添加し、アンモニア濃度28質量%のアンモニア水(ナカライラスク製 特級)92.57gを添加し、この混合液を30分間撹拌した。なお、アンモニア添加量は銀被覆銅合金粉末1中の銅に対して0.17当量であった。
撹拌後、前記混合液について、濾過瓶、ブフナー漏斗、ろ紙及びアスピレーターを使用して、吸引ろ過を行ってろ紙上に銀被覆銅合金粉末を回収した。そしてこのろ紙上の銀被覆銅合金粉末に対して、吸引ろ過を継続しながらヒドラジン濃度20質量%の水溶液5Lを注ぎ込むことで洗浄を行った(ヒドラジンの使用量は、銀被覆銅合金粉末中の銅に対して43当量であった)。洗浄後、真空状態で70℃で13.5h乾燥して、窒素雰囲気にしたグローブボックス内(酸素濃度計(理研計器社製GX−8000)の表示が0.0%であった)で解砕して球状の銀被覆銅合金粉末2を得た。この銀被覆銅合金粉末2について、比較例1と同様な方法で、BET比表面積、タップ密度、銀、銅、ニッケル及び亜鉛の質量の合計に対する各元素の質量割合、真密度、酸素量、炭素量、粒度分布、水分量、及び導電性ペーストとした場合の抵抗、を測定した。結果を下記表2及び3に示す。
Figure 2020033610
Figure 2020033610
銀被覆銅合金粉末1(比較例4)に対して本発明の洗浄方法を実施することによって(実施例2)、含有酸素が低減され、また粉末の充填性(タップ密度及びタップ密度の真密度に対する割合)が向上し、導電性ペーストとした場合の抵抗が改善した。

Claims (23)

  1. 銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を有する銀被覆金属粉末を、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程1と、
    該洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程2と
    を有する、銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  2. 前記洗浄工程1において、前記銀被覆金属粉末中の銅に対して0.05〜1当量の錯体形成化合物を含有する水溶液で、前記銀被覆金属粉末を洗浄する、請求項1に記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  3. 前記還元剤が、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸及びギ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  4. 前記洗浄工程2において、前記銀被覆金属粉末中の銅に対して10〜60当量の還元剤を含有する水溶液で、前記銀被覆金属粉末を洗浄する、請求項1〜3のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  5. 前記洗浄工程1において用いる錯体形成化合物を含有する水溶液が、アンモニア水である、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  6. 前記金属粉末が前記銅合金粉末であり、前記銀被覆金属粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が、82質量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  7. 前記洗浄工程1に供される前記銀被覆金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜15.0μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の銀被覆金属粉末の洗浄方法。
  8. 銅及び不可避不純物からなる銅粉末、又は銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粉末である金属粉末の粒子表面に銀被覆層を形成して銀被覆金属粉末を得る銀被覆工程と、
    該銀被覆工程で得られた銀被覆金属粉末を、アンモニア、アミン系化合物及びシアン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の錯体形成化合物を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程1と、
    該洗浄工程1で洗浄された銀被覆金属粉末を、還元剤を含有する水溶液で洗浄する洗浄工程2と
    を有する、銀被覆金属粉末の製造方法。
  9. 前記金属粉末が前記銅合金粉末であり、該銅合金粉末における銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が、82質量%以上である、請求項8に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  10. 前記金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1〜15.0μmである、請求項8又は9に記載の銀被覆金属粉末の製造方法。
  11. 銅及び不可避不純物からなる銅粒子の表面に銀被覆層を有する銀被覆銅粉末であって、
    該銀被覆銅粉末のタップ密度の真密度に対する割合の逆数(RTAP)と、銀被覆銅粉末の酸素量(O)と、銀被覆銅粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.80(質量%・μm)以下である、銀被覆銅粉末。
  12. 前記積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.30〜0.75(質量%・μm)である、請求項11に記載の銀被覆銅粉末。
  13. 前記銀被覆層の、前記銀被覆銅粉末における含有量が1〜50質量%である、請求項11又は12に記載の銀被覆銅粉末。
  14. 前記累積50%粒子径(D50)が0.1〜15.0μmである、請求項11〜13のいずれかに記載の銀被覆銅粉末。
  15. 銅、ニッケル、亜鉛及び不可避不純物からなる銅合金粒子の表面に銀被覆層を有する銀被覆銅合金粉末であって、
    該銀被覆銅合金粉末のタップ密度の真密度に対する割合の逆数(RTAP)と、銀被覆銅合金粉末の酸素量(O)と、銀被覆銅合金粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)との積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.58(質量%・μm)以下である、銀被覆銅合金粉末。
  16. 前記積(RTAP×O×D50(質量%・μm))が、0.25〜0.56(質量%・μm)である、請求項15に記載の銀被覆銅合金粉末。
  17. 前記銀被覆層の、前記銀被覆銅合金粉末における含有量が1〜50質量%である、請求項15又は16に記載の銀被覆銅合金粉末。
  18. 前記銀被覆銅合金粉末において、銅とニッケルと亜鉛の質量の合計に対する銅の質量割合が82〜95質量%であり、前記合計に対するニッケルの質量割合が1〜8質量%であり、前記合計に対する亜鉛の質量割合が1〜17質量%である、請求項15〜17のいずれかに記載の銀被覆銅合金粉末。
  19. 前記累積50%粒子径(D50)が0.1〜15.0μmである、請求項15〜18のいずれかに記載の銀被覆銅合金粉末。
  20. 請求項11〜14のいずれかに記載の銀被覆銅粉末及び/又は請求項15〜19のいずれかに記載の銀被覆銅合金粉末が、溶剤及び/又は樹脂バインダー中に分散した、導電性ペースト。
  21. 請求項20に記載の導電性ペーストを基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼成し又は硬化させることにより前記基板上に導電膜を形成する、導電膜の製造方法。
  22. 外部電極を備える電子部品であって、前記外部電極が、請求項11〜14のいずれかに記載の銀被覆銅粉末及び/又は請求項15〜19のいずれかに記載の銀被覆銅合金粉末、並びに硬化性樹脂を含む、電子部品。
  23. 基板と、該基板上に形成された電気素子と、該基板上に実装された請求項22に記載の電子部品と、前記電子部品及び電気素子を接続する半田部材とを備える電気装置。
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