JP2013140687A - 導電ペースト、導電膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents

導電ペースト、導電膜付き基材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】体積抵抗率が低く、かつ冷熱サイクルに対する優れた耐久性を有する導電膜を形成できる導電ペーストの提供を目的とする。
【解決手段】銅粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)とを含有する導電ペーストである。この導電ペーストは、分子中に1級アミノ基を有する高分子化合物のカルボン酸塩(D)等をさらに含有できる。この導電ペーストを基材上に塗布した後、150℃未満の温度で加熱し硬化させて導電膜を形成できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、導電ペースト、導電ペーストを用いた導電膜付き基材、および導電膜付き基材の製造方法に関する。
従来、電子部品や印刷配線板(プリント基板)等の配線導体の形成に、導電ペーストを用いる方法が知られている。このうち、例えばプリント基板の製造は、ガラス、セラミックス等からなる絶縁性基材上に導電ペーストを所望のパターン形状に塗布した後、150℃以上に加熱して焼成し、配線パターンを形成することにより行われている。
導電ペーストとしては、高い導電性を確保する観点から、銀(Ag)を主成分とした銀ペーストが主として適用されていた。しかしながら、銀ペーストは、高温高湿の環境下で通電すると、銀原子がイオン化して電界に引かれて移動するイオンマイグレーション(銀の電析)が生じ易い。配線パターンにイオンマイグレーションが生じると、配線間でショートが生じるなどの不具合が発生し、配線基板の信頼性が低下するおそれがある。
そのため、電子機器や配線基板の信頼性を高める観点から、導電ペーストとして、銀ペーストに代えて銅ペーストを用いる技術が提案されている。銅ペーストは、マイグレーション現象が生じにくいため、電気回路の接続信頼性を高めることができる。
しかしながら、一般に銅は酸化し易く、基材上に導電ペーストを所望のパターン形状に塗布した後、大気中で加熱すると、大気中の水分や酸素等との反応により酸化銅を生じやすい。そのため、銅ペーストを加熱硬化して形成した導電膜は、酸化被膜の影響で体積抵抗率が高くなり易いという問題がある。
また、環境信頼性試験(例えば、冷熱サイクル試験など)においても、大気中で加熱されると大気中の水分や酸素等との反応により銅の酸化が進行し、配線導体として十分な耐久性が得られないという問題がある。
このような問題を解決するため、銅ペーストに配合する銅粉末を湿式還元法により製造する技術が提案されているが、配線導体用の導電ペーストにおける体積抵抗率の上昇は、十分に改善されていない。
配線導体用の銅ペーストにおける導通のメカニズムは、バインダである熱硬化性樹脂の硬化収縮によって、銅粒子同士が圧着し、銅粒子の接点を介して電気が流れることによるもので、銅粒子表面の酸化状態やバインダ樹脂の圧縮状態により、導電性は大きく影響を受ける。
銅粒子表面の酸化状態の改善に関しては、従来から、銅ペースト中にカテコール、レゾルシン、ハイドロキノンのような還元作用を有する物質(以下、還元剤をいう。)を配合し、銅粒子表面の酸化を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記した銅ペーストにおける導通のメカニズムから明らかなように、絶縁物である表面酸化膜は接続抵抗の増大をもたらすため、還元剤を用いて銅粒子表面の酸化を抑制する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された方法では、冷熱サイクルに対する耐久性を向上させることが難しく、この銅ペーストから得られる導電膜は、冷熱サイクル後の体積抵抗率の上昇率が大きいという問題があった。
また、微細銅粉をジブチルヒドロキシトルエンで処理することにより、大気中で加熱乾燥させたときの銅粒子表面の酸化を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載されたペーストは、高温(480〜600℃)焼成用ペーストであり、150℃以下の低温で硬化する印刷配線板用としては使用できなかった。また、150℃以下で導電ペーストを硬化させたときに生じる前記冷熱サイクルに対する耐久性向上の課題を解決することが難しかった。
特開平8−73780号公報 特開2009−146890号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、体積抵抗率が低く、かつ冷熱サイクルに対する優れた耐久性を有する導電膜を形成できる導電ペーストの提供を目的とする。また、本発明は、上記導電ペーストを用いた導電膜を有する導電膜付き基板の提供を目的とする。
本発明の導電ペーストは、銅粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、下記一般式(1)で表される、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)とを含有することを特徴とする導電ペースト。
Figure 2013140687
…………(1)
式(1)中の記号は以下の通りである。
:脂肪族炭化水素基、または水素原子。
:脂肪族炭化水素基、水素原子、または下記式(2)で表されるエステル結合含有基。
:下記式(2)で表されるエステル結合含有基。
:脂肪族炭化水素基、水素原子、または下記式(2)で表されるエステル結合含有基。R:脂肪族炭化水素基、または水素原子。
Figure 2013140687
…………(2)
(式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
本発明の導電ペーストにおいて、前記芳香族化合物(C)は、ベンゼン環の4位にのみ前記エステル結合含有基を有することが好ましい。また、前記芳香族化合物(C)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して0.005〜0.5質量部であることが好ましい。
また、本発明の導電ペーストは、分子中に1級アミノ基を有する高分子化合物のカルボン酸塩(D)をさらに含有することが好ましい。そして、前記1級アミノ基を有する高分子化合物は、ポリエチレンイミンまたはポリアリルアミンであることが好ましい。また、前記(D)成分のカルボン酸塩は、ギ酸塩であることが好ましい。
また、本発明の導電ペーストは、25℃でイオン強度が0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(E)をさらに含有することが好ましい。前記キレート剤(E)は、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置された芳香族化合物であることが好ましい。そして、前記キレート剤(E)の前記官能基(a)の窒素原子と、前記官能基(b)の窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とは、2個または3個の原子を介在して結合していることが好ましい。前記キレート剤(E)は、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシムおよびo−アミノフェノールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
また、本発明の導電ペーストは、pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミド(F)をさらに含有することが好ましく、前記有機酸のエステルまたはアミド(F)は、ホルムアミド、サリチル酸メチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチルおよびマレイン酸ジメチルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。そして、前記有機酸のエステルまたはアミド(F)の含有量は、前記熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して0.5〜15質量部であることが好ましい。
さらに本発明の導電ペーストにおいて、前記熱硬化性樹脂(B)は、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記熱硬化樹脂(B)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましい。
本発明の導電膜付き基材は、前記した導電ペーストを硬化させて形成された導電膜を、基材上に有してなることが好ましい。そして、前記導電膜の体積抵抗率は1.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。
本発明の導電膜付き基材の製造方法は、前記した本発明の導電ペーストを基材上に塗布した後、この導電ペーストを150℃未満の温度で加熱し硬化させて導電膜を形成することを特徴とする。
本発明の導電ペーストによれば、体積抵抗率が低く、かつ冷熱サイクル等による熱衝撃に対して優れた耐久性を有する導電膜を得ることができる。また、このような導電ペーストを用いることで、配線基板等としての信頼性が高く、また酸化被膜の形成による体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材を得ることができる。
銅粒子の湿式還元処理の実施に用いる装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の導電膜付き基材の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[導電ペースト]
本発明の実施形態の導電ペーストは、銅粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、特定の構造式で表される、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)とを含有する。本発明の実施形態の導電ペーストは、分子中に1級アミノ基を有する高分子化合物のカルボン酸塩(D)をさらに含有できる。また、25℃でイオン強度が0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(E)を含有できる。さらに、pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミド(F)を含有できる。
本発明の実施形態の導電ペーストによれば、銅粒子(A)および熱硬化性樹脂(B)とともに、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)が配合されているので、硬化の際の銅粒子(A)の酸化が抑制され、酸化銅の形成が抑制された導電ペーストとできる。
そして、このような導電ペーストで形成された導電膜においても、酸化銅を主成分とする酸化被膜の形成が防止されるため、冷熱サイクルによる熱衝撃に対しても、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材を得ることができる。
以下、実施形態の導電ペーストに含有される各成分について説明する。
<銅粒子(A)>
銅粒子(A)は、導電ペーストの導電成分となるものであり、X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である。以下、X線光電子分光法によって求められる表面酸素濃度比O/Cuを、単に「表面酸素濃度比O/Cu」と示す。
表面酸素濃度比O/Cuは、X線光電子分光分析により測定した、銅粒子の表面銅濃度(原子%)に対する表面酸素濃度(原子%)の比で表される。本明細書において、「表面銅濃度(原子%)」および「表面酸素濃度(原子%)」は、それぞれ、銅粒子表面から中心に向けて約3nmの深さまでの範囲の粒子表層域に対して、X線光電子分光分析を行って得た測定値である。銅粒子表面から中心に向けて約3nmの深さまでの範囲は、この範囲の粒子領域について各成分の濃度測定を行うことで、銅粒子の表面状態が十分に把握される範囲である。
銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuが0.5を超えると、銅粒子(A)表面の酸化銅の存在量が過多であり、導電膜としたときに、粒子間の接触抵抗が大きく、体積抵抗率が高くなるおそれがある。表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である銅粒子(A)を用いることで、銅粒子間の接触抵抗を低減でき、導電膜としたときの導電性を向上させることができる。銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuは、0.3以下であることが好ましい。
また、銅粒子(A)は、粒子全体に含まれる酸素濃度が700ppm以下であることが好ましい。銅粒子に含まれる酸素濃度は、例えば酸素濃度計を用いて測定できる。
銅粒子(A)としては、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下のものであれば、種々の銅粒子を使用できる。銅粒子(A)は、金属銅粒子であってもよく、水素化銅微粒子、または水素化銅微粒子を加熱した金属銅微粒子(以下、銅微粒子ともいう)であってもよい。また、銅粒子(A)としては、これら金属銅粒子と銅微粒子とが複合した形の複合粒子であってもよい。複合粒子としては、例えば金属銅粒子の表面に銅微粒子が付着または結合した形態のものを挙げることができる。複合粒子については、詳細は後述する。
銅粒子(A)の平均粒子径は0.01〜20μmであることが好ましい。銅粒子(A)の平均粒子径は、銅粒子(A)の形状に応じて、0.01〜20μmの範囲内において適宜調整できる。銅粒子(A)の平均粒子径が0.01μm以上であれば、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、銅粒子(A)の平均粒子径が20μm以下であれば、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製し易くなる。
銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合、その平均粒子径(平均一次粒子径)は0.3〜20μmであることが好ましい。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合、その凝集粒子の平均粒子径は0.01〜1μmであることが好ましく、0.02〜0.4μmであることがより好ましい。
銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合にその平均粒子径(平均一次粒子径)が0.3μm以上の場合、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合にその凝集粒子の平均粒子径が0.01μm以上の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。
また、銅粒子(A)が金属銅粒子を含む場合にその平均粒子径(平均一次粒子径)が20μm以下の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製しやすくなる。また、銅粒子(A)が銅微粒子のみからなる場合にその凝集粒子の平均粒子径が1μm以下の場合には、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製しやすくなる。
表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)としては、例えば、下記銅粒子(A1)〜(A5)を好適に使用できる。
(A1)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子。
(A2)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、上記金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである水素化銅微粒子と、を有する銅複合粒子。
(A3)水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである水素化銅微粒子。
(A4)金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、上記金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子を加熱した金属銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである金属銅微粒子と、を有する複合金属銅粒子。
(A5)金属銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである金属銅微粒子。
なお、複合金属銅粒子(A4)は、銅複合粒子(A2)の水素化銅微粒子が、加熱処理により金属銅微粒子に変換されたものである。また、金属銅微粒子(A5)は、水素化銅微粒子(A3)が加熱処理により変換されたものである。
本明細書中において、平均粒子径は、以下のようにして求めたものである。すなわち、金属銅粒子についての平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と記す。)像の中から無作為に選んだ100個の粒子のFeret径を測定し、これらの粒子径を平均して算出したものである。
また、銅微粒子からなる凝集粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」と記す。)像の中から無作為に選んだ100個の粒子のFeret径を測定し、これらの粒子径を平均して算出したものである。
また、例えば銅複合粒子(A2)のように、金属銅粒子である銅粒子と、この銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子とを含む複合粒子の場合には、この複合粒子全体をSEMによって観察し、銅微粒子も含む粒子全体のFeret径を測定し、得られた粒子径を平均して算出したものである。
このような銅粒子(A)としては、例えば銅粒子表面を還元処理してなる「表面改質銅粒子」、または金属銅粒子表面の少なくとも一部に金属銅微粒子が付着した「複合金属銅粒子」が挙げられる。
本発明における「表面改質銅粒子」は、銅粒子表面を、pH値が3以下の分散媒中で還元処理して得られる。「表面改質銅粒子」は、例えば、(1)銅粒子を分散媒に分散して「銅分散液」とする工程、(2)銅分散液のpH値を所定値以下に調整する工程、(3)銅分散液に還元剤を添加する工程、の下記の(1)〜(3)の工程を有する、湿式還元法により製造できる。
上記(1)〜(3)の工程により得られる表面改質銅粒子は、主に金属銅粒子で構成されるものである。表面改質銅粒子の平均一次粒子径は0.3〜20μmであることが好ましい(金属銅粒子(A1))。表面改質銅粒子において、その平均一次粒子径が0.3μm以上であれば、この銅粒子を含む導電ペーストの流動特性が良好となる。また、表面改質銅粒子の平均一次粒子径が20μm以下であれば、この銅粒子を含む導電ペーストにより、微細配線を作製しやすくなる。
以下に、表面改質銅粒子を製造する工程(1)〜(3)について説明する。
(1)銅分散液の作製
銅分散液に分散させる銅粒子は、導電ペーストとして一般に用いられる銅粒子を用いることができる。銅分散液に分散させる銅粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。
銅分散液に分散させる銅粒子の平均粒子径は、0.3〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストの流動性を低下させるおそれがある。一方、銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストでの微細配線の作製が困難となる。銅粒子の平均粒子径を0.3〜20μmとすることで、流動性が良好で、かつ微細配線の作製に適した導電ペーストとできる。
なお、銅粒子の平均粒子径は、SEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、その平均値を算出して得たものである。
銅分散液は、上記の銅粒子を粉末状としたものを、分散媒に投入して得ることができる。銅分散液の銅粒子の濃度は、0.1〜50質量%であることが好ましい。銅粒子の濃度が0.1質量%未満であると、銅分散液に含まれる分散媒量が過多となり、生産効率を十分なレベルに維持できないおそれがある。一方、銅粒子の濃度が50質量%を超えると、粒子同士の凝集の影響が過大となり、表面改質銅粒子の収率が低減するおそれがある。銅分散液の銅粒子の濃度を0.1〜50質量%の範囲とすることで、表面改質銅粒子を高収率で得ることができる。
銅粒子分散液の分散媒としては、銅粒子を分散可能なものであれば特に限定されないが、高極性を有するものが好適に使用できる。高極性の分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類、およびこれらを混合した混合媒体等を使用できる。
高極性の分散媒としては、特に水を好適に使用できる。
分散媒に分散させる銅粒子は、粒子表面の酸化を防止するため、表面処理剤で粒子表面を表面処理したものであってもよい。表面処理剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の長鎖カルボン酸が使用できる。
表面処理剤として長鎖カルボン酸を用いた場合には、銅粒子表面から長鎖カルボン酸(表面処理剤)を除去した後に分散媒に分散させることが好ましい。銅粒子表面から長鎖カルボン酸(表面処理剤)を除去した後に分散媒に分散させることで、後述する還元反応を円滑に進行させることができる。
なお、表面処理剤として長鎖カルボン酸を用いた場合に、銅粒子をそのまま還元処理に供することも可能である。長鎖カルボン酸の除去は、例えば酸を用いた洗浄等の方法により行うことができる。
また、銅粒子の分散媒に対する分散性を向上させるため銅粒子に対して前処理を行うことが好ましい。前処理を行うことで、銅粒子表面が親水性化される。このため、水などの高極性分散媒に対する銅粒子の分散性を高めることができる。
前処理剤としては、例えば炭素数6以下の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、脂肪族アミノ酸などの脂肪族モノカルボン酸類、および脂肪族ポリカルボン酸類を好適に使用できる。脂肪族ポリカルボン酸類としては、例えば、炭素数10以下の脂肪族ポリカルボン酸や脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸が挙げられる。より好ましくは、炭素数8以下の脂肪族ポリカルボン酸類である。前処理剤としては、具体的には、グリシン、アラニン、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸などを好適に使用できる。
上記のようにして得られた銅分散液には、分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、銅粒子に対して吸着性を有する水溶性の各種化合物を用いることができる。 分散剤としては、具体的には、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピルセルロース、エチルセルロースなどの水溶性高分子化合物や、エチレンジアミン四酢酸、イミノジ二酢酸などのキレート化合物等を使用できる。
上記各処理を経た後の銅粒子表面に担持されて存在する表面処理剤、前処理剤、分散剤の量は、銅粒子に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
前処理剤や分散剤による銅粒子の処理は、水などの溶媒に前処理剤等を添加して得られた溶液に、銅粒子を添加して撹拌する。そして、この溶液中で、銅粒子表面に前処理剤等を担持するようにして行うことができる。
処理速度を高めるため、前処理を行う際は、銅分散液を加熱しながら行うことが好ましい。加熱温度としては、50℃以上、水等の分散媒の沸点以下の温度で行うことが好ましい。なお、分散媒にカルボン酸等の表面処理剤や分散剤を添加した場合には、加熱温度は、これらの化合物の沸点以下の加熱することが好ましい。
加熱処理する時間は、5分間以上3時間以下が好ましい。加熱時間が5分間未満であると、処理速度を高める効果を十分に得られないおそれがある。一方、3時間を超えて加熱処理を行っても、コストが過度に高くなるおそれがあり、経済的な面から好ましくない。
なお、前処理等を行う際は、銅粒子表面の酸化を防止するため、処理容器内を、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで置換して行うことが好ましい。前処理後、溶剤を除去し、必要により水等で洗浄することで、分散液に分散させる銅粒子が得られる。
(2)銅分散液のpH値の調整
上記(1)で得られた銅分散液のpH値を調整する。pH値の調整は、銅分散液にpH調整剤を添加して行うことができる。
銅分散液のpH調整剤としては、酸を使用できる。銅分散液のpH調整剤としては、例えばギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸を好適に使用できる。カルボン酸としては、上述した前処理剤として用いたカルボン酸と同様の化合物を使用できる。
これらの中でも、pH調整剤としては、カルボン酸を好適に使用できる。pH調整剤としてカルボン酸を用いることで、カルボン酸が銅粒子表面に吸着し、還元処理後の表面改質銅粒子の表面に残存して粒子表面を保護し、銅の酸化反応を抑制できる。
特に、ギ酸は、還元性を有するアルデヒド基(−CHO)を有するため、表面改質された銅粒子表面に残存し、粒子表面の酸化の進行を抑制できる。このような銅粒子を配合した導電ペーストを用いることで、酸化被膜が形成され難く、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成できる。なお、pH調整剤としては、必ずしも酸成分に限定されるものではない。例えば分散液のpH値が低い場合には、pH調整剤として塩基も使用できる。
銅分散液のpH値は3以下とすることが好ましい。銅分散液のpH値を3以下とすることで、後の還元処理工程で、粒子表面の酸化膜の除去を円滑に行うことができ、得られる表面改質銅粒子の表面酸素濃度を低減できる。分散液のpH値が3を超えると、銅粒子表面に形成された酸化膜を除去する効果を十分に得ることができず、銅粒子表面の酸素濃度を十分に低減できないおそれがある。一方、分散液のpH値は0.5以上とすることが好ましい。分散液のpH値が0.5未満であると、銅イオンが過度に溶出し、銅粒子の表面改質が円滑に進行し難くなるおそれがある。分散液のpH値は、0.5以上2以下とすることがより好ましい。なお、分散液のpH値が3以下の場合は、この分散液をそのまま還元処理してもよい。
(3)銅分散液の還元処理
pH値を調整した銅分散液に還元剤を添加して還元処理を行う。
銅分散液に添加する還元剤としては、金属水素化物、ヒドリド還元剤、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン、およびギ酸から選ばれる少なくとも1種を使用できる。金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムが挙げられる。ヒドリド還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、および水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらのうち、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムを好適に用いることができる。
なお、上記のように、ギ酸はpH調整剤としても用いられる。このため、分散媒中にギ酸を添加した場合には、還元剤として作用するとともにpH調整剤としても作用する。
銅分散液に添加する還元剤は、粒子表面の銅原子量に対して大過剰に添加することが好ましい。具体的には、分散液に含まれる銅粒子の全モル数に対して、モル比で1倍量以上の還元剤を添加することが好ましく、銅粒子の全銅原子のモル数に対し、モル比で1.2〜10倍量の還元剤を用いることがよい。
銅の全モル数に対して、10倍以上の量の還元剤を添加すると、コスト面で不利となり、生産コストが過度に高くなるおそれがある。また、還元剤からの分解生成物の量が過多となり、その除去が煩雑となるおそれもある。
還元反応は、分散媒の温度を5〜60℃として行うことが好ましく、35〜50℃として行うことがより好ましい。分散液の温度を60℃以下とすることで、銅分散液から分散媒を蒸発させて除去したときの、分散液全体の濃度変化の影響を低減できる。
銅粒子の還元は、上記のように銅分散液に還元剤を添加して行うか、または還元剤を添加した分散媒に、銅粒子を分散させて行うことができる。
なお、還元剤を添加後の銅分散液のpH値は、反応開始時点から反応終了時まで3以下の状態を保持することが好ましい。これにより、銅粒子表面の酸化膜の除去を円滑に行うことができる。
銅分散液の酸化還元電位は、還元剤の添加量や種類等により、適宜調整できる。銅分散液の酸化還元電位は、標準水素電極(SHE)の電位に対して100〜300mVであることが好ましく、100〜220mVであることがより好ましい。銅分散液の酸化還元電位を、標準水素電極(SHE)の電位に対して100〜300mVとすることで、銅イオンの還元反応を円滑に進行させることができる。
なお、酸化還元電位は、標準電極からの電位差として求めることができる。本明細書では、酸化還元電位は、標準電極として、標準水素電極を用いて測定した電位差で表記する。
還元剤の分解がほぼ終了した後、表面改質された銅粒子を分散液から分離する。そして、必要に応じて水などで洗浄、乾燥して、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の表面改質銅粒子、すなわち銅粒子(A)粉末を得ることができる。銅粒子(A)の表面酸素濃度比O/Cuは、上記(1)〜(3)の工程において、例えば銅分散液のpH値の調整や、銅分散液の酸化還元電位の調整により、所望の範囲に調整できる。
上記工程(1)〜(3)の表面処理を行うことで、出発原料としての銅粒子表面に存在していた酸化銅(CuO、CuO)を、銅原子に還元でき、導電性を阻害する要因となる酸化銅の存在量を低減できる。
なお、還元剤分解物などの副生物は、通常、分散媒に可溶な成分である。このため、濾過や遠心分離することで、これらの成分から銅粒子を分離できる。
また、上記工程(1)〜(3)の表面処理後の銅粒子表面では、還元剤によって銅原子の一部が還元され、水素化銅が生成することがある。このため、表面処理後の銅粒子は、分散液から分離した後、40〜120℃で加熱処理することで、水素化銅を銅に変化してもよい。
本発明における「複合金属銅粒子」は、既に述べたように、金属銅粒子表面の少なくとも一部に、金属銅微粒子を付着させたものである。「複合金属銅粒子」は、金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着してなる「銅複合粒子」を加熱し、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換して得られるものである。なお、金属銅粒子表面の微粒子の付着の有無は、SEM像を観察して確認できる。また、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の同定は、X線回折装置(リガク社製、TTR−III)を用いて行うことができる。
銅複合粒子の金属銅粒子は、導電ペーストに一般的に用いられる公知の銅粒子を使用できる。金属銅粒子の粒子形状は、球状であってもよく、板状であってもよい。
銅複合粒子の金属銅粒子の平均粒子径は、0.3〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
金属銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストとしたときに、十分な流動特性を得られない。一方、金属銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストによる、微細配線の作製が困難となるおそれがある。金属銅粒子の平均粒子径は、1〜10μmであることがより好ましい。なお、金属銅粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、この測定値を平均して算出したものである。
銅複合粒子の水素化銅微粒子は、主として1〜20nm程度の一次粒子が凝集した二次粒子として存在している。水素化銅微粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、20〜400nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。特に好ましくは80〜150nmである。水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が20nm未満であると、水素化銅微粒子の融着・成長が生じ易くなり、導電膜としたときに、体積収縮に伴うクラック等の不具合が発生するおそれがある。一方、水素化銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が400nmを超えると、粒子表面積が十分でなく、表面融解現象が生じ難くなり、緻密な導電膜を形成するのが困難となる。水素化銅微粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の水素化銅微粒子のFeret径を測定し、その測定値を平均して算出したものである。
銅複合粒子としては、金属銅粒子であって、その平均一次粒子径が0.3〜20μmである金属銅粒子と、この金属銅粒子表面に付着した水素化銅微粒子であって、その凝集粒子の平均粒子径が20〜400nmである水素化銅微粒子と、を有する複合粒子(銅複合粒子(A2))であることが好ましい。
金属銅粒子表面に付着する水素化銅微粒子の量は、金属銅粒子の量の5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
水素化銅微粒子の量が、金属銅粒子の量に対して5質量%未満であると、金属銅粒子間に導電パスが十分に形成されず、導電膜の体積抵抗率を低減する効果を十分に得られないおそれがある。一方、水素化銅微粒子の量が、金属銅粒子の量に対して50質量%を超えると、導電ペーストとして十分な流動性を確保するのが困難となる。
なお、金属銅粒子の表面に付着した水素化銅微粒子の量は、例えば、還元剤を加える前の水溶性銅化合物溶液中の銅イオン濃度と、水素化銅微粒子生成終了後の反応液中に残存する銅イオン濃度との差から算出できる。
銅複合粒子は、例えば、(i)反応系(R)で水素化銅微粒子を形成する工程、(ii)反応系(R)に金属銅粒子を投入し、水素化銅微粒子を金属銅粒子表面に付着させて「銅複合粒子」を形成する工程、(iii)「銅複合粒子」を反応系(R)から分離する工程の、下記の(i)〜(iii)の工程を有する湿式還元法により製造できる。この銅複合粒子を加熱して、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換することで、「複合金属銅粒子」を得ることができる。
なお、本明細書において、「反応系(R)」とは、水素化銅微粒子が生成する系をいう。反応系(R)は、(α)水溶性銅化合物溶液に還元剤を加えた未反応状態の系だけでなく、(β)水溶性銅化合物と還元剤との反応により、水素化銅微粒子の生成が進行中の状態の系、(γ)水素化銅微粒子の生成反応が終了し、生成後の水素化銅粒子が分散した状態の系、をも包括するものである。
すなわち、「反応系(R)」とは、水などの溶媒に、水溶性銅化合物、銅イオン、各種陰イオンと共に、水素化銅微粒子の生成後に溶媒中に残留する各種イオン、その他の残渣、還元剤やその分解物等が存在するものをいう。したがって、生成後の水素化銅微粒子を溶液中から単離して、新たに分散媒に分散させて得た分散液は、本明細書における反応系(R)には該当しないものとする。
以下に、銅複合粒子を製造する工程(i)〜(iii)、およびこの銅複合粒子から複合金属銅粒子を製造する方法について説明する。
(i)水素化銅微粒子の形成
反応系(R)は、水溶性銅化合物を溶媒に添加して形成した水溶性銅化合物溶液に、少なくとも還元剤を添加して形成できる。
反応系(R)を形成する水溶性の銅化合物としては、銅塩が好ましい。銅塩としては、銅(II)イオンと、無機酸またはカルボン酸との塩がより好適に用いられる。銅塩を形成するカルボン酸としては、カルボキシル基の炭素原子も含めた炭素数が1〜4であるカルボン酸が好ましく、ギ酸、酢酸、またはプロピオン酸が特に好ましい。水溶性の銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が特に好適に用いられる。
なお、上記の水溶性銅化合物溶液の溶媒としては、水溶性銅化合物が溶解し得るものであれば特に限定することなく使用できる。水溶性銅化合物溶液の溶媒としては、特に水を好適に使用できる。
水溶性銅化合物溶液に含まれる水溶性銅化合物の濃度は、溶液100質量%に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%未満であると、溶液中の水分量が過多となり、水素化銅微粒子の生産効率が低下する。一方、水溶性銅化合物の濃度が30質量%を超えると、水素化銅微粒子の収率がかえって低下するおそれがある。
還元剤を添加する水溶性銅化合物溶液は、pH値を所定値以下に調整することが好ましい。水溶性銅化合物溶液のpH調整剤としては、表面改質銅粒子の製造工程の説明において、銅分散液のpH調整剤として列挙した酸成分と同様のものを使用できる。具体的には、例えばギ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等を使用できる。
これらの中でも、水溶性銅化合物溶液のpH調整剤としては、ギ酸を特に好適に用いることができる。ギ酸は、還元性を有するアルデヒド基(−CHO)を有するため、粒子表面に残存し、銅微粒子の酸化を抑制できる。
水溶性銅化合物溶液のpH値は、3以下とすることが好ましい。水溶性銅化合物溶液のpH値を3以下とすることで、水素化銅微粒子の生成効率を向上させることができる。これは、銅イオンと水素イオンとが溶液中に混在する状態で還元処理できるためであると推定される。水溶性銅化合物溶液のpH値が3を超えると、金属銅微粒子が生成し易くなり、水素化銅微粒子の生成率が低下することがある。水素化銅微粒子の生成率を向上させる観点から、水溶性銅化合物溶液のpH値は0.5〜2とすることがより好ましい。
還元剤としては、金属水素化物、ヒドリド還元剤、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン、およびギ酸から選ばれる少なくとも1種を使用できる。金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化カリウム、および水素化カルシウムが挙げられる。ヒドリド還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、および水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムを好適に使用できる。なお、上記のように、ギ酸はpH調整剤としても用いられるため、分散媒中にギ酸を添加した場合には、還元剤として作用するとともにpH調整剤としても作用する。
水溶性銅化合物溶液の還元剤は、溶液中の銅イオンに対して1.2〜10倍の当量数添加することが好ましい。水溶性銅化合物溶液に添加する還元剤の量が、銅イオンの量に対して1.2倍の当量数未満であると、十分な還元作用を得るのが困難となる。一方、還元剤の添加量が、銅イオンの量に対して10倍の当量数を超えると、水素化銅微粒子の、ナトリウム、ホウ素、リン等の不純物の含有量を増大させることがある。
反応系(R)は、例えば、上記の還元剤と水等の溶媒とを混合した還元剤溶液を、水溶性銅化合物溶液と混合して形成できる。また、反応系(R)は、固体状態の還元剤を、水溶性銅化合物溶液に添加して形成することもできる。このようにして形成した反応系(R)では、酸性条件下で、銅イオンが還元剤により還元されて水素化銅微粒子が生成、粒成長する。
(ii)銅複合粒子の形成
上記(i)で形成した反応系(R)に金属銅粒子を投入し、この金属銅粒子表面に水素化銅微粒子を付着させて「銅複合粒子」を形成する。
まず、金属銅粒子を反応系(R)に投入する。なお、金属銅粒子の形状、粒子径については、上述したとおりである。
金属銅粒子は、銅イオンが存在する段階の反応系(R)、または水溶性銅化合物溶液に添加することが好ましい。
銅イオンが存在する反応系(R)に金属銅粒子を加えることで、金属銅粒子と水素化銅微粒子とが共存する環境下で、銅イオンの還元反応が進行する。従って、金属銅粒子と水素化銅微粒子間に、強固な結合状態を形成できる。なお、反応系(R)の中での銅イオンの存在の有無は、銅イオン電極や可視光吸収スペクトルを用いた銅イオンの濃度測定によって確認できる。また、銅イオンの存在の有無は、水溶液の酸化還元電位の測定によっても確認できる。
すなわち、金属銅粒子は、水素化銅微粒子の生成途中の反応系(R)に添加することが好ましい。または還元剤を添加する前の水溶性銅化合物溶液に金属銅粒子を添加し、その後還元剤を添加して反応系(R)を形成することが好ましい。好ましくは、水素化銅微粒子の生成途中の反応系(R)に金属銅粒子を添加することがよい。
なお、金属銅粒子を添加する反応系(R)は、上記の状態のものに限定されない。例えば、還元反応の進行により反応系(R)中の銅イオン量や還元剤量が減少し、水素化銅微粒子の生成や、生成後の水素化銅微粒子の成長が停止した状態の反応系(R)に金属銅粒子を添加してもよい。すなわち、金属銅粒子は、水素化銅微粒子の生成前の反応系(R)に投入してもよく、水素化銅微粒子生成途中の反応系(R)に投入してもよく、また水素化銅微粒子生成後の反応系(R)に投入してもよい。
反応系(R)に金属銅粒子を投入することで、この金属銅粒子表面に水素銅微粒子が付着し、反応系(R)中に「銅複合粒子」を形成できる。
金属銅粒子を添加する反応系(R)に含まれる銅イオンの存在量は、還元剤添加前の水溶性銅化合物溶液の銅イオンの存在量に対して、1〜100質量%であることが好ましく、5〜100質量%であることがより好ましい。なお、水溶性銅化合物溶液中の銅は、全てイオン化しているものとする。
反応系(R)の温度は、60℃以下であることが好ましい。反応系(R)の温度を60℃以下とすることで、反応系(R)中での水素化銅微粒子の分解を抑制できる。
金属銅粒子は、反応系(R)の酸化還元電位が100〜300mVSHEの範囲、より好ましくは100〜220mVSHEの範囲の状態で添加することが好ましい。
なお、「SHE」は標準水素電極を意味するものである。また、「mVSHE」は、標準水素電極を基準として測定した酸化還元電位を示すものである。本明細書において、酸化還元電位の測定値は、標準水素電極を基準にして測定したものである。
(iii)銅複合粒子の分離
反応系(R)中に形成した銅複合粒子を、この反応系(R)から分離する。
銅複合粒子を反応系(R)から分離する方法としては、特に限定されない。銅複合粒子を反応系(R)から分離する方法としては、例えば、遠心分離、ろ過等の方法により、反応系(R)から粉末状の銅複合粒子を分離できる。
反応系から銅複合粒子を分離した後、粒子表面に付着した溶解性不純物を、水等の洗浄液で除去する等の洗浄を行う。このようにして分離後の銅複合粒子を精製処理することで、金属銅粒子表面に水素化銅微粒子が付着した、粉末状の銅複合粒子が得られる。なお、銅複合粒子の分離を行う前に、反応系(R)の溶媒を置換して、溶媒とともに、還元剤の分解物等の不純物を除去することも可能である。
反応系(R)から分離した銅複合粒子を加熱処理して、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換する。これにより、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下である複合金属銅粒子が得られる。
複合金属銅粒子は、金属銅粒子間に存在する金属銅微粒子によって、導電パスを確実に形成でき、導電膜としたときの体積抵抗率を低減できる。また、上記のように、水素化銅微粒子を金属銅微粒子に変換することで、金属銅粒子からの金属銅微粒子の剥離を生じ難いものとできる。従って、導電ペースト中に金属銅微粒子が遊離することによる、導電ペーストの粘度上昇が抑制された導電ペーストとできる。
銅複合粒子の加熱処理は、60〜120℃の温度で行うことが好ましい。加熱温度が120℃を超えると、金属銅微粒子同士の融着が生じ易くなり、導電膜としたときの体積抵抗率が高くなるおそれがある。一方、加熱温度が60℃未満であると、加熱処理に要する時間が長くなり、製造コストの面から好ましくない。
銅複合粒子の加熱処理は、60〜100℃で行うことがより好ましく、さらに好ましくは、60〜90℃で行うことがよい。なお、加熱処理後に得られた複合金属銅粒子の残存水分量は、3質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
銅複合粒子の加熱処理は、相対圧力で−101〜−50kPaの減圧下で行うことが好ましい。−50kPaより大きい圧力下で加熱処理を行うと、乾燥に要する時間が長くなり、製造コストの面から好ましくない。一方、加熱処理時の圧力を−101kPa未満とすると、例えば水等の余分な溶媒の除去、乾燥に、大型の装置を用いることが必要となり、かえって製造コストが高くなる。
「複合金属銅粒子」の表面酸素濃度比O/Cuは、上記(i)〜(iii)の工程において、水溶性銅化合物溶液のpH値、反応系(R)の酸化還元電位、または反応系(R)の温度等を調整するか、もしくは銅複合粒子の加熱処理の際の酸素分圧等を調整することで、所望の範囲に調整できる。
上記の各工程を経て得られた複合金属銅粒子の金属銅粒子の平均一次粒子径は0.3〜20μmであることが好ましい。また、この金属銅粒子表面に付着する金属銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は20〜400nmであることが好ましい(複合金属銅粒子(A4))。
「複合金属銅粒子」の金属銅粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、導電ペーストとしたときに、十分な流動特性を得られない。一方、金属銅粒子の平均粒子径が20μmを超えると、得られる導電ペーストによる、微細配線の作製が困難となる。「複合金属銅粒子」における金属銅粒子の平均粒子径は、1〜10μmであることがより好ましい。
「複合金属銅粒子」の銅微粒子は、銅複合粒子における水素化銅微粒子と同様に、主として1〜20nm程度の一次粒子が凝集した二次粒子として存在している。銅微粒子の粒子形状は球状であってもよく、板状であってもよい。銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が20nm未満であると、銅微粒子の融着・成長が生じ易くなり、導電膜としたときに、体積収縮に伴うクラック等の不具合が発生するおそれがある。一方、銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径が400nmを超えると、粒子表面積が十分でなく、表面融解現象が生じ難くなり、緻密な導電膜を形成するのが困難となる。銅微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、30〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。特に好ましくは80〜150nmである。
なお、金属銅粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の金属銅粒子のFeret径を測定し、この測定値を平均して算出したものである。また、銅微粒子の平均粒子径は、TEM像またはSEM像の中から無作為に選出した100個の水素化銅微粒子のFeret径を測定し、その測定値を平均して算出したものである。
その他の銅粒子(A)としては、凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである水素化銅微粒子(A3)も好ましく用いられる。水素化銅微粒子(A3)は、例えば「銅複合粒子」の製造工程で使用した水溶性銅化合物の溶液を用いて形成できる。具体的には、例えば、この水溶性銅化合物の溶液に、pH値が3以下で、かつ酸化還元電位が100〜300mVSHE、好ましくは100〜220mVSHEの条件下で還元剤を添加することで得ることができる。還元剤としては、「銅複合粒子」の製造工程で使用した還元剤と同様のものを使用できる。
なお、水素化微粒子の凝集粒子の平均粒子径は、還元反応時の反応温度や反応時間を制御するか、または分散剤を添加することで調整できる。
銅粒子(A)としては、この水素化銅微粒子(A3)を加熱処理して得られる金属銅微粒子(A5)も好適に用いられる。すなわち、銅粒子(A)としては、金属銅微粒子であってその凝集粒子の平均粒子径が10nm〜1μmである金属銅微粒子(A5)も好適に用いられる。
また、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得る方法としては、上記のような湿式還元による方法に限定されない。表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得る方法としては、例えば銅粉末の表面に形成された酸化膜を、塩酸、硫酸、硝酸等の酸を用いて洗浄し、酸化膜を溶解させて除去することによっても行うことができる。
また、表面酸素濃度比O/Cuが0.5以下の銅粒子(A)を得るための方法としては、上記の方法以外にも、例えば、銅粒子表面に還元性のガスを導入し、このガス中で銅粒子を加熱処理等することによっても行うことができる。
具体的には、例えば、まず、水素、一酸化炭素、天然ガス、アンモニア分解ガス等の還元性気体を導入するか、または内部を真空にすることで、還元炉内を還元性雰囲気とする。そして、この還元炉内に銅粒子を入れて、120〜400℃の温度範囲で銅粒子を還元処理することで、粒子表面の酸化物を除去することが可能である。
また、還元性ガスを用いるその他の方法としては、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス中で、プラズマを生起させ、銅粒子表面をプラズマ処理する方法によっても、銅粒子表面を還元処理できる。
例えば図1に示すように、反応槽1のガス導入口7から、不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスを供給し、平板状の上部電極2に接続された交流電源5を稼働する。そして、上部電極2と下部電極3間で、グロー放電によりプラズマを生起させるとともに、上部電極2と、下部電極3との間の領域、具体的には下部電極3上に載置した固体誘電体6上に、被処理物4、すなわち銅粒子を配置することで、この銅粒子表面を還元処理できる。
また、銅粒子の表面酸素濃度を調整するその他の方法としては、銅粒子と、下記に述べる熱硬化性樹脂(B)等を混合する際に、3本ロールミルやビーズミルを用いて混合物(ペースト)全体を撹拌することによっても行うことができる。
<熱硬化性樹脂(B)>
本発明の実施形態の導電ペーストに含有される熱硬化性樹脂(B)としては、通常の導電ペーストの樹脂バインダとして用いられる公知の熱硬化性樹脂を使用できる。
熱硬化性樹脂(B)としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等を好適に使用できる。これらの中でも、フェノール樹脂が特に好適に使用できる。フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂を使用できるが、これらの中でも、レゾール型フェノール樹脂を特に好適に使用できる。
なお、樹脂のガラス転移点(Tg)を調節するために、上述の熱硬化性樹脂中に、ジアリルフェタレート樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
熱硬化性樹脂(B)は、硬化後の樹脂成分が導電性を阻害しない範囲で添加できる。導電ペーストにおける熱硬化性樹脂(B)の含有量は、銅粒子の体積と、銅粒子間に存在する空隙の体積との比率に応じて適宜選択できる。銅粒子(A)100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。熱硬化性樹脂(B)の含有量が5質量部未満であると、導電ペーストとして十分な流動特性を得るのが困難となる。一方、熱硬化性樹脂(B)の含有量が50質量部を超えると、硬化後の樹脂成分により銅粒子間の接触が妨げられて、導電体の体積抵抗率を上昇させるおそれがある。
<芳香族化合物(C)>
本発明の実施形態の導電ペーストに含有される芳香族化合物(C)は、下記一般式(1)で表される、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する化合物である。
Figure 2013140687
…………(1)
式(1)中、RおよびRは、脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。脂肪族炭化水素基としては、短鎖、長鎖の鎖状炭化水素基、シクロヘキシル基のような環状炭化水素基、ビニル基、アリル基等の不飽和結合を有する炭化水素基など、1価の脂肪族炭化水素基であれば特に制限なく用いることができる。脂肪族炭化水素基としては、特に、炭素数1〜6のn−、sec−、tert−の鎖状炭化水素基が好ましい。
およびRは、脂肪族炭化水素基、水素原子、または後述する式(2)で表されるエステル結合含有基を表す。脂肪族炭化水素基としては、短鎖、長鎖の鎖状炭化水素基、シクロヘキシル基のような環状炭化水素基、ビニル基、アリル基等の不飽和結合を有する炭化水素基など、1価の脂肪族炭化水素基であれば特に制限なく用いることができる。脂肪族炭化水素基としては、特に、炭素数1〜6のn−、sec−、tert−の鎖状炭化水素基が好ましい。
は下記式(2)で表されるエステル結合含有基を表す。
Figure 2013140687
…………(2)
式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基としては、短鎖、長鎖の鎖状炭化水素基、シクロヘキシル基のような環状炭化水素基、ビニル基、アリル基等の不飽和結合を有する炭化水素基など、1価の脂肪族炭化水素基であれば特に制限なく用いることができる。nは1〜4の整数であり、2〜3の整数が特に好ましい。
前記式(1)で表される芳香族化合物(C)が好適に使用できる理由としては、以下のことが挙げられる。
(i)芳香族化合物(C)の分子中に少なくとも1つのエステル結合含有基(式(2))を有するため、このエステル部位が熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂)のフェノールOH基、またはメチロールOH基とエステル交換反応を起こす。その結果、芳香族化合物(C)は、導電膜形成時にマトリクスである樹脂と結合できるため、長期間に亘り酸化防止効果を発現できる。
(ii)芳香族化合物(C)の分子中に存在するエステル結合含有基(式(2))が熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂)のフェノールOH基、またはメチロールOH基とエステル交換反応を起こす結果、芳香族化合物(C)は、導電膜形成時にマトリクスである樹脂と結合できる。そのため、冷熱サイクル試験において、酸化防止効果を発現できる十分の量の芳香族化合物(C)を配合することができ、十分な酸化防止効果を発現できる。
前記熱硬化性樹脂(B)との相溶性が良好で、初期および冷熱サイクル等の印加時の銅粒子(A)の酸化を防止する効果が大きい点から、前記式(1)で表される芳香族化合物(C)としては、RおよびRが炭素数1〜6のn−、sec−、tert−の鎖状炭化水素基または水素原子で、RおよびRが水素原子であり、ベンゼン環の4位にのみ前記エステル結合含有基を有する化合物が特に好ましい。
実施形態の導電ペーストに含有される芳香族化合物(C)の具体例としては、下記の化合物を挙げることができるが、これらの化合物に限定されない。
前記式(2)におけるnが1のエステル結合含有基を有する化合物としては、(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)酢酸オクタデシル、(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)酢酸メチルなどが挙げられる。
前記式(2)におけるnが2のエステル結合含有基を有する化合物としては、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸6−メチルヘプチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、3−(3‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオン酸メチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸テトラデシル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ペンタデシル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸プロピル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヘキシル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンゼンプロピオン酸オクチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヘキサデシル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−メチル‐3‐オキサノナデカン‐1‐イル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ブチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
前記式(2)におけるnが3のエステル結合含有基を有する化合物としては、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸メチル、4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸オクタデシルなどが挙げられる。
前記式(2)におけるnが4のエステル結合含有基を有する化合物としては、5−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン酸メチル、5−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン酸2−エチルヘキシル、5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル]ヘキサン酸エチルなどが挙げられる。
このような芳香族化合物(C)の市販品としては、以下の化学式(3)を有するIRGANOX1076(BASF社製、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)や、化学式(4)を有するIRGANOX1135(BASF社製、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがある。
Figure 2013140687
………(3)
Figure 2013140687
………(4)
導電ペーストにおける前記芳香族化合物(C)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して0.005〜0.5質量部の割合であることが好ましい。前記芳香族化合物(C)の含有量が0.005質量部未満であると、銅粒子(A)の酸化を防止する効果が不十分であり、導電膜としたとき、冷熱サイクル後の体積抵抗率の上昇を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。一方、前記芳香族化合物(C)の含有量が0.5質量部を超えると、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。
<アミノ基含有高分子化合物のカルボン酸塩(D)>
本発明の実施形態の導電ペーストは、前記した(A)〜(C)の各成分とともに、分子中に1級アミノ基を有する高分子化合物(以下、アミノ基含有高分子化合物と示す。)のカルボン酸塩(D)をさらに含有できる。アミノ基含有高分子化合物は、分子中に少なくとも1個好ましくは複数個の1級アミノ基を含有し、平均分子量(質量平均分子量Mw)が300〜20000である高分子量のアミンである。アミノ基含有高分子化合物の平均分子量(Mw)は、600〜10000の範囲がより好ましい。
このアミノ基含有高分子化合物は、少なくとも1個好ましくは複数個の1級アミノ基とともに、2級アミノ基および/または3級アミノ基を含有することが好ましく、アミン価(JIS K7237の規定に拠る)が700〜1500mgKOH/gであるものが好ましく、850〜1200mgKOH/gであるものが特に好ましくい。アミノ基含有高分子化合物は、直鎖状の主鎖を有する化合物であっても、分岐構造を有する化合物であってもよい。なかでも、分岐構造を有する高分子アミンであることが好ましい。アミノ基含有高分子化合物としては、具体的には、前記範囲の平均分子量(Mw)を有するポリエチレンイミンやポリアリルアミンが挙げられる。特に、ポリエチレンイミンが好ましい。
(D)成分において、このようなアミノ基含有高分子化合物は、含有されるアミノ基(1級アミノ基、ならびに2級アミノ基および/または3級アミノ基)がカルボン酸と反応して塩を形成した形で含有される。アミノ基含有高分子化合物のアミノ基と塩を形成する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、カルボン酸、スルホン酸等を挙げることができるが、アミノ基との結合性の強さが適度であることから、カルボン酸が好ましい。カルボン酸の中でも、カルボニル基の炭素原子を含めた炭素数が10以下のカルボン酸が好ましく、炭素数が4以下のカルボン酸が特に好ましい。具体的には、ギ酸が特に好ましい。
(D)アミノ基含有高分子化合物のカルボン酸塩の配合量は、前記銅粒子100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。すなわち、(D)アミノ基含有高分子化合物カルボン酸塩の銅粒子(A)に対する配合割合は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%の範囲が特に好ましい。(D)アミノ基含有高分子化合物カルボン酸塩の配合量が前記銅粒子(A)100質量部に対して0.05質量部以上であれば、得られる導電膜のITO膜表面との密着性が良好となる。5質量部以下であれば、導電性を阻害して導電膜の体積抵抗率を悪化させることが少なく、良好な導電性を有する導電膜を形成できる。
<キレート剤(E)>
本発明の実施形態の導電ペーストは、25℃でイオン強度が0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(E)を含有できる。このキレート剤(E)は、銅イオンに配位し、下記反応式(5)で示す反応により銅イオンと錯体を形成し得る化合物からなるものである。
Figure 2013140687
…………(5)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
M:銅イオン
Z:キレート剤(B)
MZ:錯塩
x:銅1個と結合するキレート剤(B)の数
キレート剤(E)は、25℃、イオン強度0.1mol/Lでの、上記反応式のx=1の場合における銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるものである。安定度定数logKCuは、キレート剤と金属との結合力の強さを示す指標であり、上記式(5)の平衡定数KCuの対数値として求めることができる。KCuは、具体的には、下記式(6)により求めることができる。
Figure 2013140687
…………(6)
(上記式(6)において、[ ]は括弧内の各成分の濃度を表す。)
本発明における「安定度定数logKCu」に関し、種々の化合物についての具体的な数値としては、例えば、化学便欄(丸善)、Stability Constants of Metal−Ion Complexes(PERGAMON PRESS)、Journal of Chemical Engineering Data(ACS Publications)等の文献に記載されている。
キレート剤(E)として、銅イオンとの前記安定度定数logKCuが5以上の化合物を配合することで、ペースト内で生じた銅イオンの少なくとも一部は、キレート剤(E)と錯体を形成すると考えられる。そのため、大気中の水分や酸素等(例えばO、HO等。)と反応する銅イオンの量を低減でき、ペースト内での酸化銅の形成を抑制できる。また、キレート剤(E)は、銅イオンと解離しにくいため、高湿度の環境下で放置しても錯体の状態を長期間維持できる。そのため、酸化被膜が形成されにくく、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成可能な導電ペーストとできる。
キレート剤(E)の前記安定度定数logKCuが5未満であると、銅イオンに対する結合力が十分でないため、大気中の水分や酸素等と反応する銅イオンの量を十分に低減できず、酸化銅の生成を抑制することが困難となる。また、キレート剤(E)の前記安定度数logKCuが15を超えると、キレート剤(E)の銅イオンに対する結合力が強すぎて、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。これは、キレート剤(E)が、銅粒子表面に存在する銅イオンだけでなく、銅(金属銅)にも作用するためと推定される。安定度定数logKCuは、より好ましくは7〜14である。
キレート剤(E)としては、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置されており、官能基(a)の「窒素原子」と官能基(b)の「孤立電子対を有する原子」とが、2個または3個の原子を介在して結合した芳香族化合物を好適に使用できる。
上記の分子構造を有する化合物を、キレート剤(E)として配合することで、銅イオンと安定した錯体を形成できる。
官能基(a)の「窒素原子」と官能基(b)の「孤立電子対を有する原子」との間に介在する原子としては、炭素原子が挙げられる。すなわち、キレート剤(E)としては、前記芳香族化合物の中でも、官能基(a)の窒素原子と官能基(b)の孤立電子対を有する原子とが、2個または3個の炭素原子を介在して結合しているものが、好適に用いられる。
孤立電子対を有する、窒素原子以外の原子を含む官能基(b)として好適なものとしては、例えば、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができる。
キレート剤(E)として、具体的には、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、o−アミノフェノールから選択される少なくとも1種を使用できる。キレート剤(E)として、サリチルアルドキシムを用いた場合には、下記反応式(I)で示す反応により、銅イオンとの錯体が形成される。
Figure 2013140687
…………(I)
導電ペーストにおけるキレート剤(E)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して0.01〜1質量部の割合であることが好ましい。
キレート剤(E)の含有量が0.01質量部未満であると、導電膜としたとき、体積抵抗率の上昇を抑制する効果を十分に得られないおそれがある。一方、キレート剤(E)の含有量が1質量部を超えると、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。
<有機酸のエステルまたは有機酸のアミド(F)>
本発明の実施形態の導電ペーストは、pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミド(F)を含有できる。(F)成分である有機酸のエステルまたは有機酸のアミドは、pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミドであり、前記熱硬化性樹脂(B)の硬化を促進する機能を有する。このエステルまたはアミド(F)を配合した場合は、120〜140℃の低い温度で加熱することで、導電ペーストを十分に硬化できる。したがって、大気中に含まれる酸素と反応する銅イオンの量を低減でき、酸化銅の形成が抑制された導電ペーストとできる。
(F)成分であるエステルまたはアミドを構成する有機酸は、pKaが1〜4のものとする。有機酸のpKaが1未満であると、導電ペーストの保存性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、有機酸のpKaが4を超えると、前記熱硬化性樹脂(C)の硬化を促進する中間体の生成が遅くなり、結果として樹脂の硬化促進効果が得られないおそれがある。有機酸のpKaは、より好ましくは1〜3である。
pKaが1〜4である有機酸としては、シュウ酸(1.27)、マレイン酸(1.92)、マロン酸(2.86)、サリチル酸(2.97)、フマル酸(3.02)、酒石酸(3.06)、クエン酸(3.16)、ギ酸(3.76)等が挙げられる。
これらのpKaが1〜4である有機酸の中で、エステルまたはアミドが好適に使用できる理由としては、以下のことが挙げられる。
(1)pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミドを用いると、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂やメラミン樹脂、尿素樹脂)の中間体を安定に存在させる効果が大きい。なぜならば、上述のエステルまたはアミドは、前記熱硬化性樹脂の中間体であるジメチレンエーテル型の中間体に配位する。この配位により、反応部位の一方のメチロール基の酸素上の電子密度が増大し、相対するメチロール基の炭素上の電子密度が減少するので、ジメチレンエーテル型の中間体が安定に存在する。そのため、中間体の反応確率が上昇し硬化が促進される結果、硬化後の導電膜の冷熱サイクルに対する耐久性を向上できる。
(2)pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミドの配位により、上述の中間体のメチレンカルボニウムイオンの反応性を大きく向上できる。そのため、硬化促進への寄与が大きく、硬化後の導電膜の冷熱サイクルに対する耐久性を向上できる。
(3)前記有機酸のエステルやアミドは、有機酸と比較して金属との反応性が小さいために金属を腐食する効果が小さく、硬化後の導電膜の体積抵抗率の上昇を抑えることができる。pKaが1〜4である有機酸単体を使用した場合は、導電ペースト中の金属を腐食して硬化後の導電膜の体積抵抗率を上昇させるおそれがある。
(4)前記有機酸のエステルやアミドは、ペースト保存時にペースト中の熱硬化性樹脂の硬化を促進する効果が小さいので、導電ペーストの保存性(ポットライフ)に与える悪影響が小さい。
前記したpKaが1〜4である有機酸の、エステルまたはアミドとしては、例えば、ホルムアミド、サリチル酸メチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、シュウ酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチル等が挙げられる。これらに限定されるものではないが、これらから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらのpKaが1〜4である有機酸の、エステルまたはアミドの中でも、硫黄(S)を含有しない有機酸の、エステルまたはアミドを好適に使用できる。この理由としては、Sが銅と反応して硫化物を生成するおそれがあるので、有機酸のエステルやアミドであってもペースト保存性に悪影響を与えるおそれがあるからである。具体的には、ホルムアミド、サリチル酸メチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチル、マレイン酸ジメチルを好適に使用できる。
導電ペーストにおける前記有機酸のエステルまたはアミド(F)の含有量は、前記熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して0.5〜15質量部の割合であることが好ましい。前記有機酸のエステルまたはアミド(F)の含有量が0.5質量部未満であると、樹脂の硬化を促進する効果を十分に得られないおそれがある。一方、前記有機酸のエステルまたはアミド(F)の含有量が15質量部を超えると、銅粒子同士の接触を阻害し、導電性を低下させるおそれがある。
<その他の成分>
本発明の導電ペーストは、必要に応じて、前記各成分に加えて溶剤や各種添加剤(レベリング剤、カップリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤、密着剤等。)等のその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。特に、適度な流動性を有するペースト体を得るために、熱硬化性樹脂を溶解し得る溶剤を含有させることが好ましい。
導電ペーストに含有させる溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、テルピネオール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を好適に使用できる。
印刷用ペースト体として適度な粘度範囲とする観点から、導電ペーストに含有させる溶剤の量は、銅粒子(A)に対して1〜10質量%が好ましい。
本発明の実施形態の導電ペーストは、前記各成分を、溶剤等のその他の成分と混合して得ることができる。各成分の混合は、前記熱硬化性樹脂(B)の溶液に前記芳香族化合物(C)を加えて混合した後、混合物に前記銅粒子(A)を添加して混合する順で行うことが好ましい。前記(D)〜(F)の各成分を配合する場合には、前記芳香族化合物(C)とともに熱硬化性樹脂(B)に加えて混合することが好ましい。
前記(A)〜(F)の各成分の混合時には、熱硬化性樹脂の硬化や溶剤の揮発が生じない程度の温度で、加熱しながら行うことができる。混合、撹拌時の温度は、10〜40℃とすることが好ましい。より好ましくは20〜30℃とする。導電ペーストを形成するときに、10℃以上の温度にすることで、ペーストの粘度を十分に低下させることができ、撹拌を円滑かつ十分に行うことができる。また、銅粒子表面に生成した水素化銅を銅原子とできる。一方、導電ペーストを形成するときの温度が120℃を超えると、ペースト中で熱硬化性樹脂(B)の硬化が生じたり、粒子同士の融着が生じたりするおそれがある。
なお、混合時に銅粒子が酸化されるのを防止するため、不活性ガスで置換した容器内で混合することが好ましい。
以上説明した本発明の導電ペーストによれば、空気中でも酸化されにくく、従来の導電ペーストと比較して、酸化銅の生成による体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜を形成できる。
[導電膜付き基材]
本発明の実施形態の導電膜付き基材10は、例えば図2に示すように、基材11上に上述した導電ペーストを硬化させて形成された導電膜12を有する。この導電膜付き基材10は、前記導電ペーストを基材11の表面に塗布して導電ペースト膜を形成し、溶剤等の揮発性成分を除去した後、導電ペースト中の熱硬化性樹脂を硬化させて導電膜12を形成することにより、製造できる。
基材11としては、ガラス基板、プラスチック基材(例えば、ポリイミド、ポリエステル等からなるフィルム状基材や板状基材(基板)。)、繊維強化複合材料からなる基板(例えば、ガラス繊維強化樹脂基板。)、セラミックス基板等を用いることができる。本発明の導電ペーストを使用した場合には、後述するように、150℃未満(例えば、120〜140℃)の温度での加熱により熱硬化性樹脂(C)を硬化させて導電膜12を形成することも可能であるので、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチック基材を好適に使用できる。
導電ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法等の公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、表面および側面における凹凸の発生が抑制された滑らかな配線形状を、基材11上に効率的に形成できるので、スクリーン印刷法が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂(B)の硬化は、導電ペースト膜を形成した基材を120〜200℃の温度で保持することにより行うことができる。硬化温度が120℃未満であると、熱硬化性樹脂を十分に硬化させるのが難しくなるおそれがある。一方、硬化温度が200℃を超えると、熱硬化性樹脂の劣化を招き、硬化膜として、十分な耐久性を得られないおそれがある
特に、基材としてプラスチックフィルム等の基材を用いた場合には、基材の変形を防止するために、120〜140℃の温度で保持することが好ましい。こうして、冷熱サイクル試験後の体積抵抗率の変動がより少ない導電膜が形成される。
加熱方法としては、温風加熱、熱輻射、IR加熱等の方法が挙げられる。なお、導電膜の形成は、空気中で行ってもよく、また酸素量が少ない窒素雰囲気下等で行ってもよい。
基材11上の導電膜12の厚さは、安定な導電性を確保し、かつ配線形状を維持し易くする観点から、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。また、導電膜12の体積抵抗率は、1.0×10−4Ωcm以下であることが好ましい。導電膜12の体積抵抗率が1.0×10−4Ωcmを超えると、電子機器用の導電体として、十分な導電性を得られないおそれがある。
本発明に係る導電膜付き基材10においては、上述した本発明の導電ペーストを用いて導電膜12を形成しているため、酸化銅による酸化被膜が生成しにくく、従来の導電膜付き基材と比較して、体積抵抗率が低く、また冷熱サイクルのような熱衝撃性の環境下で使用しても、体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材とできる。
以上、本発明の導電膜付き基材について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて適宜構成を変更できる。また、本発明の導電膜付き基材の製造方法では、各部の形成順序等についても、導電膜付き基材の製造が可能な限度において適宜変更できる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。例1〜15は本発明の実施例であり、例16〜20は比較例である。
<銅粒子の製造>
銅粒子に還元処理を施し、銅粒子(A−1)(表面改質銅粒子)を得た。まず、ガラス製ビーカーにギ酸3.0gと50質量%次亜リン酸水溶液9.0gとを投入し、このビーカーをウォーターバスに入れて40℃に保持した。
次いで、このビーカー内に、銅粒子(三井金属鉱業社製、商品名:1400YP、平均一次粒子径7μm)5.0gを徐々に添加し、30分間撹拌して銅分散液を得た。得られた銅分散液を、遠心分離器を使用し回転数3000rpmで10分間遠心分離して、沈殿物を回収した。この沈殿物を蒸留水30gに分散させ、遠心分離によって再び凝集物を沈殿させ、沈殿物を分離した。得られた沈殿物を、−35kPaの減圧下、80℃で60分間加熱し、残留水分を揮発させて徐々に除去して、粒子表面が改質された銅粒子(A−1)を得た。
得られた銅粒子(A−1)について、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製、装置名:ESCA5500)により、下記の条件で表面酸素濃度(原子%)および表面銅濃度(原子%)の測定を行った。
・分析面積:800mmΦ
・Pass Energy:93.9eV
・Energy Step:0.8eV/step
得られた表面酸素濃度を表面銅濃度で除して、表面酸素濃度比O/Cuを算出したところ、銅粒子(A−1)の表面酸素濃度比O/Cuは0.16であった。
なお、銅粒子(A−1)中の酸素量を、酸素量計(LECO社製、装置名:ROH−600)を用いて測定したところ、460ppmであった。
(例1)
フェノール樹脂(群栄化学社製、商品名:レジトップPL6220、樹脂固形分58質量%)0.74gとエチレングリコールモノブチルエーテル0.43gとを混合した樹脂溶液に、本発明の芳香族化合物(C)に該当するIRGANOX1076(BASF社製、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの商品名)0.005gを添加した。次いで、こうして得られた樹脂溶液に、前記銅粒子(A−1)5.0gを配合し、乳鉢中で混合して導電ペースト1を得た。なお、IRGANOX1076の添加量は、銅粒子(A−1)に対して0.1質量%の割合であった。
(例2)
IRGANOX1076の添加量を0.0025gにした以外は、例1と同様にして、導電ペースト2を得た。
(例3)
IRGANOX1076の添加量を0.025gにした以外は、例1と同様にして、導電ペースト3を得た。
(例4)
IRGANOX1076を0.005g添加する代わりに、本発明の芳香族化合物(C)に該当するIRGANOX1135(BASF社製、)0.005gを添加した。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト4を得た。
(例5)
IRGANOX1076を0.005g添加する代わりに、メチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.005gを添加した。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト5を得た。なお、メチル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートは、本発明の芳香族化合物(C)に該当する、以下の化学式で表される化合物である。
Figure 2013140687
(例6)
水温を50℃に設定したウォーターバスにガラス製ビーカーを設置し、ビーカー内にポリエチレンイミン(日本触媒社製、商品名:SP012、Mw1200、アミン価1064mmol/g)50gを入れ、撹拌を激しく行いながらギ酸43gをゆっくりと滴下した。薄黄色をした前記ポリエチレンイミンは煙を出しながら激しく反応し、茶褐色の液体に変化した。滴下終了後、30分間そのまま撹拌した後、ガラス容器に生成物を回収した。生成物をFT−IR(Nicolet社製、装置名:Avatar370)で観察したところ、1700cm−1付近に現れるカルボン酸由来のカルボニル基のピークが消失していた。これにより、ポリエチレンイミンとギ酸との塩が生成していることが確認できた。
例1の樹脂溶液に、(D)成分である前記ポリエチレンイミンのギ酸塩(以下、PEI塩と示す。)を0.07g配合した。それ以外は、例1と同様にして、導電ペースト6を得た。なお、PEI塩の配合量は、銅粒子(A−1)に対して1.4質量%の割合であった。
(例7)
例1の樹脂溶液に、キレート剤(E)であるサリチルアルドキシムを0.005g配合した。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト7を得た。なお、サリチルアルドキシムの配合量は、銅粒子(A−1)に対して0.1質量%の割合であった。
(例8)
例1の樹脂溶液に、(F)成分であるシュウ酸ジメチルを0.0215g配合した。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト8を得た。シュウ酸ジメチルの配合量は、(B)成分であるフェノール樹脂に対して5質量%の割合であった。
(例9)
シュウ酸ジメチル0.0215gに代えてホルムアミド0.0215gを配合した以外は、例8と同様にして、導電ペースト9を得た。
(例10)
例1の樹脂溶液に、サリチルアルドキシム0.005g、シュウ酸ジメチル0.0215g、PEI塩0.07gを配合した。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト10を得た。
(例11)
例2の樹脂溶液に、サリチルアルドキシム0.005g、シュウ酸ジメチル0.0215g、PEI塩0.07gを配合した。それ以外は例2と同様にして、導電ペースト11を得た。
(例12)
例3の樹脂溶液に、サリチルアルドキシム0.005g、シュウ酸ジメチル0.0215g、PEI塩0.07gを配合した。それ以外は例3と同様にして、導電ペースト12を得た。
(例13)
例4の樹脂溶液に、サリチルアルドキシム0.005g、シュウ酸ジメチル0.0215g、PEI塩0.07gを配合した。それ以外は例4と同様にして、導電ペースト13を得た。
(例14)
例11におけるIRGANOX1076の0.0025gを、IRGANOX1135 0.0025gに代えた。それ以外は例11と同様にして、導電ペースト14を得た。
(例15)
例14におけるIRGANOX1135の添加量を0.025gにした。それ以外は例14と同様にして、導電ペースト15を得た。
(例16)
例1の樹脂溶液に、IRGANOX1076を添加しなかった。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト16を得た。
(例17)
IRGANOX1076の0.005gをBHT(2,6−−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)の0.005gに代えた。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト17を得た。なお、2,6−−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールは、以下の化学式で表される化合物である。この化合物は、化学式から明らかなように、ベンゼン環の4位にエステル結合含有基を持たず、前記式(1)で表される芳香族化合物(C)には該当しない。
Figure 2013140687
(例18)
IRGANOX1076の0.005gをIRGANOX1010(BASF社製、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.005gに代えた。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト18を得た。なお、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]2,6−−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの化学式を以下に示す。この化合物は、化学式から明らかなように、ベンゼン環の4位に前記式(2)で表されるエステル結合含有基を持たず、式(1)で表される芳香族化合物(C)には該当しない。
Figure 2013140687
(例19)
IRGANOX1076の0.005gをIRGANOX1098(BASF社製、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)0.005gに代えた。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト19を得た。なお、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)の化学式を以下に示す。この化合物は、化学式から明らかなように、ベンゼン環の4位にエステル結合含有基を持たず、式(1)で表される芳香族化合物(C)には該当しない。
Figure 2013140687
(例20)
IRGANOX1076の0.005gをIRGANOX1330(BASF社製、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.005gに代えた。それ以外は例1と同様にして、導電ペースト20を得た。1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンの化学式を以下に示す。
Figure 2013140687
なお、Rは、下記化学式で表される3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基である。
Figure 2013140687
この化合物は、前記化学式から明らかなように、ベンゼン環の4位にエステル結合含有基を持たず、式(1)で表される芳香族化合物(C)には該当しない。
次に、例1〜20で得られた導電ペースト1〜20を、それぞれガラス基板上にスクリーン印刷法により幅1mm、厚さ20μmの配線形状(帯状)に塗布し、130℃で10分間加熱してフェノール樹脂を硬化させた。こうして、導電膜1〜20を有する導電膜付き基板1〜20をそれぞれ形成した。
次に、得られた導電膜1〜20の抵抗値を、抵抗値計(ケースレー社製、装置名:ミリオームハイテスタ)を用いて測定し、初期の体積抵抗率(μΩcm)を求めた。
また、例1〜20で得られた導電膜付き基板1〜20について、ヒートサイクルの耐久性試験を行った。すなわち、導電膜付き基板1〜20を、−40℃の低温にした槽内と85℃の高温にした槽内とでそれぞれ30分間保持し、交互に熱衝撃を与えるヒートサイクルを100サイクル加えた。そして、このような耐久性試験の後、導電膜1〜20の抵抗値を測定し、体積抵抗率を求めた。
こうして得られた初期の体積抵抗率と、耐久性試験後の体積抵抗率の変動率(上昇率)を、表1に示す。
Figure 2013140687
表1からわかるように、銅粒子(A)と熱硬化樹脂(B)であるフェノール樹脂とともに、分子中にフェノール性水酸基を有しかつベンゼン環の4位に前記式(2)で表されるエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)を配合した導電ペースト1〜15により、ガラス基板上に導電膜1〜15を形成した導電膜付き基板1〜15(例1〜15)では、初期の体積抵抗率が十分に低いうえに、冷熱サイクル試験後の体積抵抗率の上昇率が低く抑えられていた。
特に、前記した芳香族化合物(C)とともに、アミノ基含有高分子化合物のカルボン酸塩(D)であるPEI塩、キレート剤(E)およびpKaが1〜4の有機酸のエステル(F)であるしゅう酸ジメチルを全て配合した導電ペースト10〜15により、ガラス基板上に導電膜10〜15を形成した導電膜付き基材10〜15(例10〜15)では、冷熱サイクル試験後の体積抵抗率の上昇率が6%以下と極めて低く抑えられていた。
これに対して、分子中にフェノール性水酸基を有するが、ベンゼン環の4位にエステル結合含有基を持たない芳香族化合物を配合した導電ペースト17〜20により得られた導電膜付き基材17〜20(例17〜20)では、冷熱サイクル試験後の体積抵抗率の上昇率が100〜500%以上と極めて高く、耐久性に劣るものであった。
また、前記芳香族化合物(C)を配合しなかった導電ペースト16により得られた導電膜付き基材16(例16)でも、冷熱サイクル試験後の体積抵抗率の上昇率が約200%と高く、耐久性に劣るものであった。
本発明によれば、体積抵抗率が低く、かつ冷熱サイクル等による熱衝撃に対して優れた耐久性を有する導電膜を形成できる。また、このような導電ペーストを用いることで、信頼性が高く、また酸化被膜の形成による体積抵抗率の上昇が抑制された導電膜付き基材を得ることができる。本発明で得られた導電膜付き基材は、電子部品や印刷配線板(プリント基板)等として好適に使用できる。
1…反応槽、2…上部電極、3…下部電極、4…被処理物、5…交流電源、6…固体誘電体、7…ガス導入口、8…ガス排出口、9…絶縁物、10…導電膜付き基材、11…基材、12…導電膜。

Claims (18)

  1. 銅粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、下記一般式(1)で表される、分子中にフェノール性水酸基と少なくとも1つのエステル結合含有基を有する芳香族化合物(C)とを含有することを特徴とする導電ペースト。
    Figure 2013140687
    …………(1)
    式(1)中の記号は以下の通りである。
    :脂肪族炭化水素基、または水素原子。
    :脂肪族炭化水素基、水素原子、または下記式(2)で表されるエステル結合含有基。
    :下記式(2)で表されるエステル結合含有基。
    :脂肪族炭化水素基、水素原子、または下記式(2)で表されるエステル結合含有基。R:脂肪族炭化水素基、または水素原子。
    Figure 2013140687
    …………(2)
    (式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
  2. 前記芳香族化合物(C)は、ベンゼン環の4位にのみ前記エステル結合含有基を有する請求項1に記載の導電ペースト。
  3. 前記芳香族化合物(C)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して0.005〜0.5質量部である請求項1または2に記載の導電ペースト。
  4. 分子中に1級アミノ基を有する高分子化合物のカルボン酸塩(D)をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  5. 前記1級アミノ基を有する高分子化合物は、ポリエチレンイミンまたはポリアリルアミンである請求項4に記載の導電ペースト。
  6. 前記(D)成分のカルボン酸塩は、ギ酸塩である請求項4または5に記載の導電ペースト。
  7. 25℃でイオン強度が0.1mol/Lにおける銅イオンとの安定度定数logKCuが5〜15である化合物からなるキレート剤(E)をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  8. 前記キレート剤(E)は、窒素原子を含む官能基(a)と、窒素原子以外の孤立電子対を有する原子を含む官能基(b)とが、芳香環のオルト位に配置された芳香族化合物である請求項7に記載の導電ペースト。
  9. 前記キレート剤(E)の前記官能基(a)の窒素原子と、前記官能基(b)の窒素原子以外の孤立電子対を有する原子とは、2個または3個の原子を介在して結合している、請求項8に記載の導電ペースト。
  10. 前記キレート剤(E)は、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシムおよびo−アミノフェノールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  11. pKaが1〜4の有機酸の、エステルまたはアミド(F)をさらに含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  12. 前記有機酸のエステルまたはアミド(F)は、ホルムアミド、サリチル酸メチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチルおよびマレイン酸ジメチルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の導電ペースト。
  13. 前記有機酸のエステルまたはアミド(F)の含有量は、前記熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して0.5〜15質量部である、請求項11または12に記載の導電ペースト。
  14. 前記熱硬化性樹脂(B)は、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  15. 前記熱硬化樹脂(B)の含有量は、前記銅粒子(A)100質量部に対して5〜50質量部である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の導電ペーストを硬化させて形成された導電膜を、基材上に有してなる導電膜付き基材。
  17. 前記導電膜の体積抵抗率は1.0×10−4Ωcm以下である、請求項16に記載の導電膜付き基材。
  18. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の導電ペーストを基材上に塗布した後、この導電ペーストを150℃未満の温度で加熱し硬化させて導電膜を形成することを特徴とする導電膜付き基材の製造方法。
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