JPWO2012066770A1 - 蓄電デバイス用非水溶媒 - Google Patents

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Abstract

下記一般式(1)で表され、かつ、1または2個の置換基Rがシクロペンタン環に導入された構造を有するフッ素含有環状飽和炭化水素を含む蓄電デバイス用非水溶媒(一般式(1)中、RはCnX2n+1で表され、nは1以上の整数であり、2n+1個のXのうちの少なくとも1つはFであり、それ以外のXはHである。)。

Description

本発明は、電気化学エネルギーを貯蔵あるいは蓄積する蓄電デバイスに用いられる非水溶媒に関する。
近年、蓄電素子単体の充電電圧および放電電圧が1.5Vを超える高電圧型の蓄電デバイスの開発が進められており、このような高電圧型の蓄電デバイスとして、リチウム一次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、電気二重層キャパシタ等が実用化されている。
高電圧型の蓄電デバイスには、有機化合物を溶媒とする非水電解液が用いられる。電解液の溶媒として水を用いると、高い充電電圧および放電電圧によって水の電気分解が生じてしまうからである。また、水と反応する活性なリチウムを含み、リチウムの吸蔵または放出を利用する電極を備えた蓄電デバイスにも非水電解液が用いられる。
非水電解液には、使用される蓄電デバイスの放電性能を高めるため、高い導電性と、粘度の低さが望まれる。また、二次電池や電気二重層キャパシタ等の溶媒として用いられる場合には、充放電を繰り返すことによって蓄電デバイスの性能が劣化しないように、化学的かつ電気化学的に安定であることが必要とされる。
これらの観点から、例えば、リチウムイオン二次電池の電解液の主溶媒には、エチレンカーボネートに代表される環状カーボネートとエチルメチルカーボネートやジメチルカーボネートに代表される鎖状カーボネートとの混合系が従来より用いられている。また、電気二重層キャパシタの電解液の主溶媒には、プロピレンカーボネートに代表される環状カーボネートが用いられている。
上述したような蓄電デバイスは、移動体通信機器や携帯電子機器の主電源、バックアップ電源および電気回路用電源として広く利用されている。これらの機器は、近年より一層小型で高性能であることが求められており、蓄電デバイスの体積エネルギー密度を、より一層、向上させることが求められている。
体積エネルギー密度を向上させるためには、平均放電電圧の向上および体積容量密度の向上を図る必要があり、その実現手段の1つとして、充電電圧の高電圧化が検討されている。
リチウムイオン二次電池の場合、充電電圧を高くすることにより、正極材料のリチウムの利用効率を向上させることが可能になり、体積容量密度が高くなる。正極材料としては、一般的に、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウム等のリチウム含有層状遷移金属酸化物が用いられる。また、電気二重層キャパシタの場合、充電電圧を高くすることにより電気二重層容量の値を大きくすることが可能になり、体積容量密度を高めることができる。
しかしながら、一対の電極群のいずれか一方の電極をリチウムの溶解析出電位を基準として4.3V以上まで充電した場合、耐酸化性に優れ、高電圧型の蓄電デバイスに適した非水溶媒として知られる従来の鎖状カーボネート類や環状カーボネート類を用いても、これらの酸化分解が起き、ガスが発生する。この分解反応は特に高温状態において顕著に進行し、多量のガス発生を伴う。このため、例えば、電池の過充電に対して充電電流を遮断する内圧感知型電流遮断機構(Current Interrupt Device)が、このような非水溶媒を含む高電圧型のリチウムイオン二次電池に搭載されている場合、CIDが誤作動して、電池としての機能が損失されてしまうことがある。また、CIDが搭載されていない場合には、ガスの発生量が多くなると電池が膨張するといった問題が生じる。
特許文献1は、鎖状カーボネート類や環状カーボネート類の超高電位下での酸化分解を抑制するために、環状スルホン酸エステルを含有する非水電解液を用いた非水電解質二次電池を開示している。このような非水電解質二次電池では、正極が4.5V以上の電位に充電されると、環状スルホン酸エステルが正極側で酸化分解され、正極表面に被膜が形成される。この被膜が形成されることにより、正極表面での溶媒の分解が抑制される。
一方、特許文献2および3では、非水溶媒に、「フッ素原子を有していてもよい炭化水素化合物」を0.01重量%以上5重量%以下含有させることを提案している。これらの特許文献によれば、電極表面の活性点に、酸化および還元に対して安定な炭化水素化合物が存在することにより、高温状態での電解液成分と電極活物質との副反応を抑制することができると記載されている。
さらに、特許文献4では、シクロへキサン環に1つ又は、2つのフッ素置換されたアルキル基を導入したフッ素含有環状飽和炭化水素を溶媒として用いることが提案されている。この特許文献によれば、前記フッ素含有環状飽和炭化水素は、高い耐酸化性を有し、リチウムの溶解析出電位に対して正極を4.4Vという超高電圧状態とした場合でも、溶媒の酸化分解に伴うガス発生を抑制できると記載されている。なお、特許文献4に対応する米国特許出願番号12/468,554、公開番号2009/0297954号の開示をここに参考として援用する。
特開2005−149750号公報 特開2004−111359号公報 特開2006−286650号公報 国際公開第2009/141999号
しかし、特許文献1に開示されている非水電解質二次電池では、鎖状カーボネート類や環状カーボネート類の分解反応を抑制することができるものの、その効果は十分ではない。さらに、正極表面に被膜が形成されるため、正極活物質界面における電荷移動抵抗が増大し、電池の内部抵抗が上昇するとともに高率放電性能が低下するという問題が発生する。
また、特許文献2および3に開示されている非水電解質二次電池では、「フッ素原子を有していてもよい炭化水素化合物」によって、高温状態での電解液成分と電極活物質との副反応を抑制することができると記載されているが、炭化水素化合物の含有率は、5重量%以下と少ない。また、炭化水素化合物は、正極表面に吸着または配位等する性質を有しているものでもないため、正極表面に選択的に高濃度で存在するということもない。したがって、特許文献2および3では、副反応抑制の効果が十分に得られるとはいえない。
さらに、特許文献4に開示されている蓄電デバイス用溶媒では、高い耐酸化性を有しているため、溶媒の酸化分解に伴うガス発生を抑制するという観点では効果が認められるものの、電解液中でリチウムイオンを運搬するという溶媒の役割を担うための重要なパラメータである粘性という観点では、改善の余地がある。
本発明はこのような従来技術の課題の少なくとも1つを解決し、耐酸化性に優れ、分解してもガスの発生量が少ない粘性の低い蓄電デバイス用非水溶媒を提供することを目的とする。
本発明の蓄電デバイス用非水溶媒は、下記一般式(1)で表され、かつ、1または2個の置換基Rがシクロペンタン環に導入された構造を有するフッ素含有環状飽和炭化水素を含む(一般式(1)中、RはCn2n+1で表され、nは1以上の整数であり、2n+1個のXのうちの少なくとも1つはFであり、それ以外のXはHである。)。
Figure 2012066770
ある好ましい実施形態において、前記nは1または2である。
ある好ましい実施形態において、前記フッ素含有環状飽和炭化水素はトリフルオロメチルシクロペンタンである。
ある好ましい実施形態において、前記フッ素含有環状飽和炭化水素は1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンである。
ある好ましい実施形態において、前記フッ素含有環状飽和炭化水素は2−フルオロエチルシクロペンタンである。
ある好ましい実施形態において、蓄電デバイス用非水溶媒は、溶媒成分として、前記フッ素含有環状飽和炭化水素を5重量%以上100重量%以下の割合で含有する。
ある好ましい実施形態において、蓄電デバイス用非水溶媒は、溶媒成分として、前記フッ素含有環状飽和炭化水素を10重量%以上100重量%以下の割合で含有する。
本発明の蓄電デバイス用非水溶媒は、置換基にフッ素が導入されたシクロペンタン骨格を有するフッ素含有環状飽和炭化水素を含むことにより高い耐酸化性および蓄電デバイスに一般的に用いられる有機溶媒との相溶性を備えている。フッ素含有環状飽和炭化水素は酸素を含まないため、酸化分解によってガスもほとんど生成しない。また、分子体積が小さいため、粘性が小さく、優れた拡散性を備えている。
本発明の蓄電デバイス用非水溶媒を構成する各フッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントと最高被占軌道(HOMO)との関係を示す図である。 本発明の蓄電デバイス用非水溶媒を構成する各フッ素含有環状飽和炭化水素、および、対応する置換基を有し、シクロヘキサン骨格を含むフッ素含有環状飽和炭化水素の分子体積を示す図である。 耐酸化性の評価に用いた3極式ガラスセルを示す断面図である。 実施例4の耐酸化性を示す電圧−電流曲線のグラフである。 (a)は、実施例5の実験で、充電正極を作製するために用いたラミネート型リチウムイオン二次電池の斜視図であり、(b)は、図5(a)のI-I線に沿った断面図であり、(c)は、図5(a)、(b)に示す電極群13の断面を拡大して示す図である。 実施例5の実験の手順を示すフローチャートである。 (a)および(b)は、それぞれ実施例5における正極および負極のサイズを示す図である。
以下、本発明による蓄電デバイス用非水溶媒の実施形態を説明する。本実施形態の非水溶媒は、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電デバイスに用いられる。
本発明の蓄電デバイス用非水溶媒は、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素を含む。このフッ素含有環状飽和炭化水素は、1または2個の置換基Rがシクロペンタン環に導入された構造を有する。
Figure 2012066770
置換基Rは、Cn2n+1で表される。nは1以上の整数であり、2n+1個のXのうちの少なくとも1つはFであり、それ以外のXはHである。つまり置換基Rは、少なくともひとつの水素(H)がフッ素(F)で置換された鎖状の飽和炭化水素基である。
一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、環状カーボネートや鎖状カーボネートよりも高い酸化還元電位、具体的には4.3V以上の酸化還元電位を有しており、蓄電デバイス用非水溶媒の耐酸化性を高める。また、分解してもCO2を発生しない。
一般に、飽和炭化水素は耐酸化性が高い。しかしながら、誘電率が低く極性溶媒との相溶性が低いという性質を有するため、従来から、蓄電デバイスの非水電解液の溶媒として用いることは困難であると考えられてきた。このため、特許文献2および3のように、5重量%以下の少量の飽和炭化水素を溶媒に含有させるといった限定的な使用方法が従来提案されているにすぎなかった。
しかし、本願発明者は、以下の実施例において詳細に説明するように、水素がフッ素で置換された炭化水素基を置換基として有するシクロペンタンは、分子の対称性が低く、1.6debye以上の双極子モーメントを有するため極性溶媒との相溶性に優れ、また、環状飽和炭化水素骨格を有するため耐酸化性に優れることを見出した。
一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、分子内に酸化安定性に劣る官能基を有していないため、酸化安定性に優れている。また、置換基Rに結合したフッ素原子が強い電子吸引性の効果を有するため、フッ素置換しない場合に比べて、環状飽和炭化水素の耐酸化性をより高めることができる。
蓄電デバイスが使用される温度範囲において液体である点および入手や取り扱いが容易である点から、環状飽和炭化水素は、五員環以上の環状構造を有していることが好ましい。蓄電デバイス用電解液における溶媒の役割は、例えば、リチウムイオン二次電池の場合にはリチウムカチオンの運搬を、電気二重層キャパシタの場合には4級アンモニウムカチオンと四フッ化ホウ酸アニオンの運搬を迅速に行うことにある。したがって、蓄電デバイス用電解液に用いる溶媒は粘性が低く、電解液中での拡散速度が速い方が好ましい。溶液中における分子の拡散運動は、式(2)で表されるEinstein−Stokesの式で表現することが可能である。
Figure 2012066770

ここで、Dは溶媒分子の拡散係数、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、rは分子半径、ηは溶媒分子が置かれる微視的な周囲環境の粘性を表す。式(2)から、溶媒分子の拡散係数Dを増加させるためには、分子半径、つまり分子体積を小さくすることが有効であることがわかる。式(2)より、同じ置換基Rが導入される場合、例えば、シクロヘプタンよりも、シクロヘキサンの方が溶媒分子の拡散係数Dは小さくなり、シクロペンタンのほうがより拡散係数Dが小さくなることが分かる。
また、1,2−ジフルオロシクロペンタンや1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタンのように、シクロペンタン環に直接フッ素原子が結合している化合物よりも、置換基Rにフッ素が結合している一般式(1)の化合物の方が、分子の対称性が低くなるため、一般式(1)の化合物は比較的大きな極性および誘電率を有する。このため、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、極性溶媒との相溶性に優れる。
置換基Rにおけるフッ素原子の数が多いほど置換基Rがシクロペンタン環から電子を吸引するため、シクロペンタン環の耐酸化性は向上する。したがって、置換基Rがトリフルオロメチル基またはペンタフルオロエチル基であればより好ましい。
また、置換基Rの個数は、1個または2個が好ましい。置換基Rが2個の場合、置換基Rのシクロペンタンへの導入位置に特に制限はない。ただし、融点を低くするという観点からは、1つの置換基Rが結合した炭素原子と隣り合う炭素原子に他方の置換基Rが結合した分子構造を有することが好ましく、同一の炭素原子に2つの置換基Rが結合した分子構造を有することがより好ましい。
置換基Rが2個の場合、2つの置換基Rは互いに同じ構造を有していてもよいし、異なる構造を有していてもよい。置換基Rの数が2個よりも多い場合には、分子量が大きくなるため、分子の拡散速度が低下する。また、置換基Rが大きくなりすぎると分子量が大きくなり、分子の拡散速度が低下するため、Rの炭素数(n)は、1または2であることが好ましい。
一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の具体的な化合物としては、例えば、フルオロメチルシクロペンタン、ジフルオロメチルシクロペンタン、トリフルオロメチルシクロペンタン、(1−フルオロエチル)シクロペンタン、(2−フルオロエチル)シクロペンタン、(1,1−ジフルオロエチル)シクロペンタン、(1,2−ジフルオロエチル)シクロペンタン、(2,2−ジフルオロエチル)シクロペンタン、(1,1,2−トリフルオロエチル)シクロペンタン、(1,2,2−トリフルオロエチル)シクロペンタン、(2,2,2−トリフルオロエチル)シクロペンタン、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)シクロペンタン、(1,2,2,2−テトラフルオロエチル)シクロペンタン、(ペンタフルオロエチル)シクロペンタン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1,2−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1−(ペンタフルオロエチル)−1−(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1−(ペンタフルオロエチル)−2−(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1−(ペンタフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)シクロペンタン、1,1−ビス(ペンタフルオロエチル)シクロペンタン、1,2−ビス(ペンタフルオロエチル)シクロペンタン、1,3−ビス(ペンタフルオロエチル)シクロペンタン等を挙げることができる。
耐酸化性と粘性の観点から、フッ素含有環状飽和炭化水素として、トリフルオロメチルシクロペンタン、(ペンタフルオロエチル)シクロペンタン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンを用いることが特に好ましい。
これらの化合物は、フッ素化試薬、例えばF2やNF3、HF、XeF2、SF4、CF3I、C25I、DAST(ジメチルアミノサルファートリフルオリド)、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、トリメチル(トリフルオロメチル)シランなどを用いたフッ素化方法により合成することができる。より具体的には、例えば、DASTを用いてOH基をフッ素化したり、SF4を用いてCOOH基をフッ素化したり、F2を用いてC=Cをフッ素化したりすることによって、上述の化合物を合成することができる。
出発原料は、特段、限定されるものではなく、例えば、シクロペンタン骨格やシクロヘプテン骨格、シクロヘプタ−1,3−ジエン骨格を有する化合物を用いることができる。出発原料にフッ素化したい部位に水酸基やトシル基、ケトン基、カルボキシル基を結合したアルキル基を導入し、前記フッ素化試薬を用いてフッ素化することにより、目的とする化合物を合成することができる。また、目的とする化合物の構造により、出発原料に直接的に水酸基やトシル基、ケトン基、カルボキシル基を導入し、上述のフッ素化試薬を用いてフッ素化することにより、式(1)で示される化合物を合成することもできる。
本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒は上述した理由により、高い耐酸化性と低い粘性を有する。また、蓄電デバイスの非水電解液として一般的に用いられる有機溶媒との相溶性に優れるため、本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒を蓄電デバイスの非水電解液に高い割合で添加することができる。したがって、蓄電デバイスの非水電解液として本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒を用いたり、蓄電デバイスの非水電解液に本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒を添加することによって、非水電解液の耐酸化性と非水電解液中のカチオンやアニオンの拡散性を向上させることができる。
また、本実施形態の蓄電デバイス用溶媒は、たとえ酸化分解してもCO2の発生を伴わない。したがって、本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒を用いた蓄電デバイスでは、溶媒の酸化分解によって安全機構(CID)が作動したり、電池が膨張するという問題を回避することができる。
蓄電デバイスにおける非水電解液の酸化は、濃度に依存した反応速度により支配されるため、このような効果は、非水電解液への添加の割合に応じて発揮する。したがって、本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒を含む限り、蓄電デバイスの非水電解液の耐酸化性は向上し、また、ガス発生が抑制される。本発明の顕著な効果を得るためには、一般式(1)で表されるフッ素含有環状炭化水素化合物が溶媒中に5重量%以上100重量%以下の含有率で含まれていることが好ましい。溶媒中の含有量が5重量%以上であれば、非水電解液の酸化が効果的に抑制され、ガスの発生量が低減され、10重量%以上100重量%以下であれば、これらの効果が顕著に得られる。
本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒は、充電電圧の高いデバイス(超高耐電圧型非水系蓄電デバイス)に好適に用いることができる。特に、本実施形態の蓄電デバイス用非水溶媒をリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタといった蓄電デバイスに用いることにより、高電圧動作、高温保存、および長期にわたる充放電サイクルの繰り返しにおける非水電解液の酸化劣化が抑制される。
本実施形態の溶媒をリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタといった蓄電デバイス用の非水電解液として用いる場合には、公知の支持電解質、溶媒と混合して用いることができる。混合される支持電解質や他の溶媒の種類は、特に限定されない。
支持電解質としては、一般的にアニオンとカチオンとからなる塩が用いられる。例えば、アニオン種としては、ハロゲン化物アニオン、過塩素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアニオンなどが、カチオン種は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属カチオンや、マグネシウムなどのアルカリ土類金属カチオン、テトラエチルアンモニウムや1、3−エチルメチルイミダゾリウム(EMI)に代表される4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
上述したアニオン種とカチオン種から構成される塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22などのリチウム塩、(C254NBF4、EMI−BF4などの4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、混合溶媒としては、エチレンカーボネ−ト、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類等を挙げることができる。
1.一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントおよび最高被占軌道(HOMO)エネルギーおよび分子体積の評価
一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントおよび最高被占軌道エネルギー、分子体積を計算した。また、比較のため、フッ素を有さないメチルシクロヘキサン(MCH)およびメチルシクロペンタン(MCP)、六員環であるシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントおよび最高被占軌道エネルギー、分子体積も計算した。
双極子モーメントは、分子内分極の大きさを示す指標であり、本発明により発現する極性溶媒との相溶性と関係がある。また、最高被占軌道エネルギーは、分子から電子を1個引き抜く際に必要なエネルギーを示す指標であり、溶媒の耐酸化性能と関係がある。さらに分子体積は溶媒分子の大きさを示す指標であり、分子体積が小さいほど分子半径も小さくなるため、(2)で示したように溶媒分子の拡散性は向上する。
双極子モーメントおよび最高被占軌道エネルギー、分子体積は、量子化学的計算手法を用いて計算した。具体的には、市販の第一原理分子軌道計算ソフトウェアで行い、計算手法としては、密度汎関数法(B3LYP)を、基底関数には6−31G(d)を用いた。なお、エネルギー値の最適化は自己無頓着場計算により行った。分子体積は分子軌道計算結果に基づいた原子配置から、Space−filling modelを用いて見積もった。
計算結果を表1に示す。また、図1に一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントおよび最高被占軌道エネルギーを横軸および縦軸にとった図を示す。また、図2は、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素とシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素の分子体積を、置換基(R)ごとに比較した結果を示している。
Figure 2012066770

Figure 2012066770
図1に示すように、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の双極子モーメントは、いずれも約1.66debye以上である。最も双極子モーメントが小さい本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素は、(1−フルオロエチル)シクロペンタンであり、双極子モーメントは1.66debyeである。これに対し、メチルシクロペンタンやメチルシクロへキサンの双極子モーメントは、それぞれ、0.07、0.08debyeであった。
特許文献4の実施例において、双極子モーメント1.66debyeを有する(1−フルオロエチル)シクロへキサンは、一般的な極性溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)と相溶するが、双極子モーメント0.08debyeのメチルシクロへキサンは、PCと相溶しないことが開示されている。従って、本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素は、いずれも極性溶媒と相溶する能力を有していることが分かる。
また、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の最高被占軌道エネルギーは、メチルシクロペンタンと同程度かそれより小さい。酸化反応は、分子から電子を引き抜く反応であるので、最高被占軌道エネルギーが小さい(負に大きい)ほど、電子を引く抜くために大きなエネルギーを必要とし、耐酸化性が高いといえる。よって、シクロペンタン環構造にフッ素原子を有するアルキル基を置換基として導入した本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素は、いずれも高い耐酸化性を有することが分かる。
表1において、左側に示す各実施例と右側に示す各参考例とは、同じ置換基(R)を有している。各置換基(R)について、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素とシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素とを比較した場合、いずれの置換基(R)においても、シクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素よりも、一般式(1)で表され、シクロペンタン骨格を有するフッ素含有環状飽和炭化水素のほうが最高被占軌道エネルギーが小さい(負に大きい)ことが分かる。したがって、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、置換基(R)が同じであるシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素よりも高い耐酸化性を有していると言える。
さらに、図2に示すように一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素と、同じ置換基(R)を有するシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素とを比較した場合、いずれの置換基(R)であっても、シクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素よりもシクロペンタン骨格を有するフッ素含有環状飽和炭化水素のほうが分子体積は小さい。
このように、本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素は、同じ置換基(R)を有する場合、環状飽和炭化水素骨格が五員環であるため、特許文献4に提案されている六員環構造を有するフッ素含有環状飽和炭化水素よりも、分子体積が小さく、かつ、最高被占軌道エネルギーも小さい。
分子体積が小さいということは、分子半径rが小さいということであり、式(2)で表されるEinstein−Stokes式から、溶媒分子の拡散性が高いということを意味する。加えて、分子体積が小さいということは、一般的に、分子の表面積が小さいというと相関する。分子の表面積が小さくなると、分子表面−分子表面間で発生する相互作用が小さくなる。つまり、分子の表面積が小さくなると、溶媒分子が置かれる微視的な周囲環境の粘性は小さくなる。式(2)から、溶媒分子が置かれる微視的な周囲環境の粘性ηが小さくなると溶媒分子の拡散性が向上することが分かる。
これらのことから、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、高い耐酸化性および極性溶媒との高い親和性を有し、かつ、粘性が低いことが分る。
2.一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の極性溶媒に対する相溶性の評価
2.1試料の調製
[トリフルオロメチルシクロペンタン]の合成
トリフルオロメチルシクロペンタン(TFMCP)は、以下に示す合成法により得た。
3.4gのシクロペンタンカルボン酸(関東化学製)を30mLのバルブ付きステンレス製オートクレーブに収納し、ドライアイス-アセトン浴で冷却した。オートクレーブ内を減圧にして、バルブから10gのSF4(関東電化工業製)を導入した。オートクレーブを密閉し、130℃に加熱した状態で24時間反応させた。反応後、バルブからガス成分を除去した後、反応混合物を飽和重曹水で洗浄した。洗浄後の反応混合物を、回転バンド式精密分留装置(大科工業製)で精製し、無色の液体2.4gを得た。
1H−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、1.50〜1.92ppmにピークを持つ水素8原子に相当するマルチプレット、2.46〜2.66ppmにピークを持つ水素1原子に相当するマルチプレットが観測され、この化合物の水素原子数は、9個であることが分かった。また19F−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、−71.78ppmにピークを持つフッ素3原子に相当するダブレットが観測された。
以上の結果より、上記の無色の液体は、トリフルオロメチルシクロペンタンであることが分かった。なお、純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフ使用)により測定したところ、99.1%であった。
[1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン]の合成
1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン(11BTFMCP)は、以下に示す合成法により得た。
4.7gのシクロペンタン−1,1−ジカルボン酸(Syntechem社製)を30mLのバルブ付きステンレス製オートクレーブに収納し、ドライアイス-アセトン浴で冷却した。オートクレーブ内を減圧にして、バルブから20gのSF4(関東電化工業製)を導入した。オートクレーブを密閉し、120℃に加熱した状態で24時間反応させた。反応後、バルブからガス成分を除去した後、反応混合物を飽和重曹水で洗浄した。洗浄後の反応混合物を、回転バンド式精密分留装置(大科工業製)で精製し、無色の液体3.5gを得た。
1H−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、1.70〜1.81ppmにピークを持つ水素4原子に相当するマルチプレット、2.00〜2.10ppmにピークを持つ水素4原子に相当するマルチプレットが観測され、この化合物の水素原子数は、8個であることが分かった。また19F−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、−72.79ppmにピークを持つフッ素6原子に相当するシングレットが観測された。
以上の結果より、上記の無色の液体は、1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンであることが分かった。なお、純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフ使用)により測定したところ、99.0%であった。
[2−フルオロエチルシクロペンタン]の合成
2−フルオロエチルシクロペンタン(2FECP)は、以下に示す合成法により得た。
4.7gの2−シクロペンタンエタノール(東京化成工業製)を100mLの反応器に収納し、8.6mLのトリエチルアミン(東京化成工業製)と47mLの脱水ジクロロメタン(関東化学製)を加え、氷を用いて5℃に冷却した。この溶液に3.8mLのメタンスルホニルクロリド(関東化学製)をゆっくりと加え、5℃で1時間撹拌した。撹拌後、展開溶媒としてヘキサンと酢酸エチルの3:1の混合溶媒を用いたシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料のスポットが消失し新たなスポットができていることを確認した。この溶液に蒸留水50mLを加え2層に分離し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを添加し高真空下で乾燥し、淡橙色を呈した7.8gの2−シクロペンチルエチルメタンスルホネートを得た。純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフ使用)により測定したところ、97.0%であった。
7.8gの2−シクロペンチルエチルメタンスルホネートを100mLの反応器に収納し、25.4gのテトラブチルアンモニウムフルオリド(和光純薬工業製)と12.0gのアセトニトリルを加え50℃で18時間撹拌した。撹拌後の反応混合物のガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフ使用)分析により、2−シクロペンチルエチルメタンスルホネートに由来するピークが消失し、反応が完了していることを確認した。この反応混合物に20mLの蒸留水と30mLのペンタン(関東化学製)を加え2層に分離し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを添加し高真空下で乾燥し、さらに60℃のバス温で溶媒のペンタンを留去した。残渣の反応混合物を、回転バンド式精密分留装置(大科工業製)で精製し、無色の液体2.8gを得た。
1H−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、4.54、4.52、4.51、4.42、4.40、4.39ppmに水素2原子に相当するトリプレットがフッ素原子とカップリングした6個のピーク、1.49〜1.96ppmにピークを持つ水素9原子に相当するマルチプレット、1.08〜1.17ppmにピークを持つ水素2原子に相当するマルチプレットが観測され、この化合物の水素原子数は、13個であることが分かった。また19F−NMRスペクトル(CDCl3)の測定より、−218.4ppmにピークを持つフッ素1原子に相当するシングレットが観測された。
以上の結果より、上記の無色の液体は、2−フルオロエチルシクロペンタンであることが分かった。なお、純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフ使用)により測定したところ、99.6%であった。
[トルフルオロメチルシクロヘキサン]
トリフルオロシクロへキサン(TFMCH)[CAS RN:401−75−2]は市販品を用いた。市販品の精製を回転バンド式精密分留装置(大科工業製)により行った。得られた精製物の純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により測定したところ、純度は99.5%であった。
[1,2−ビス(トリフルオロメチル)シクロへキサン]
特許文献4の実施例において開示されている合成方法を用いて合成した。なお、純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により測定したところ、99.0%であった。
[2−フルオロエチルシクロヘキサン]
特許文献4の実施例において開示されている合成方法を用いて合成した。なお、純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により測定したところ、99.2%であった。
2.2相溶性の評価
上述した2つの一般式(1)で表わされるフッ素含有環状飽和炭化水素を、極性溶媒として一般的に用いられる化合物と混合し、フッ素含有環状飽和炭化水素の相溶性を評価した。
<トリフルオロメチルシクロペンタンの相溶性>
合成したトリフルオロメチルシクロペンタン(TFMCP))を、プロピレンカーボネート(PC)(市販バッテリーグレード)と、5:95、10:90、30:70、50:50、70:30、90:10の混合比(重量%比)で混合し、混合体の状態を観察した。結果を表2に示す。表3では、完全に相溶し透明化したものを「○」と、層分離もしくは完全に相溶せず白濁したものを「×」と表記した。以下の表3、表4および表5においても、同様の記号を用いて結果を示す。
Figure 2012066770
表2に示す結果から、すべての混合比で、トリフルオロメチルシクロペンタンとプロピレンカーボネートとが完全に相溶したことが分かる。
<1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンの相溶性>
同様に1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタン(11BTFMCP)とプロピレンカーボネート(PC)との混合体を作製し、混合体の状態を観察した。結果を表3に示す。
Figure 2012066770
表3に示す結果から、すべての混合比で、1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンとプロピレンカーボネートとが完全に相溶したことが分かる。
<2−フルオロエチルシクロペンタンの相溶性>
同様に2−フルオロエチルシクロペンタン(2FECP)とプロピレンカーボネート(PC)との混合体を作製し、混合体の状態を観察した。結果を表4に示す。
Figure 2012066770
表4に示す結果から、すべての混合比で、2−フルオロエチルシクロペンタンとプロピレンカーボネートとが完全に相溶したことが分かる。
比較例として、フッ素原子を持たないメチルシクロペンタン(MCP)とプロピレンカーボネートとの相溶性を評価した。結果を表5に示す。なお、メチルシクロへキサンは市販品(関東化学製)を回転バンド式精密分留装置(大科工業製)にて精製して用いた。純度をガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフを使用)により測定したところ、99.1%であった。
Figure 2012066770
表5に示す結果から、すべての混合比で、メチルシクロペンタンとプロピレンカーボネートとは相溶しなかったことが分かる。
以上の結果をまとめると、本実施例の3つのフッ素含有環状飽和炭化水素はプロピレンカーボネートと任意の割合で相溶することが分かった。また、メチルシクロペンタンは、プロピレンカーボネートと全く相溶しないことが分かった。
2−フルオロエチルシクロペンタン(2FECP)の双極子モーメントは、1.94debyeであり、表1に示した一般式(1)で示されるフッ素含有環状飽和炭化水素中、3番目に小さい値である。蓄電デバイスの電解液には極性溶媒が用いられ、極性溶媒との相溶性は、溶媒の双極子モーメントに依存する。双極子モーメントが大きいほど極性溶媒との相溶性は高いと考えられるため、実施例2の結果から、少なくとも、2FECPの双極子モーメントである1.94debye以上の双極子モーメントを有する一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、PCなど蓄電デバイスの電解液に一般的に用いられる極性溶媒と良好な相溶性を示すと考えられる。
また、表1に示すように(1−フルオロエチル)シクロへキサンの双極子モーメントは、1.66debyeであり、特許文献4の実施例1によれば、PCと50:50比率で混合した場合を除き、(1−フルオロエチル)シクロへキサンはPCと相溶すること示されている。
一方、表1に示される一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素中、最も双極子モーメントが小さい化合物は、(1−フルオロエチル)シクロペンタンであり、その双極子モーメントは1.66debyeである。
したがって、(1−フルオロエチル)シクロペンタンも(1−フルオロエチル)シクロへキサンと同程度のPCに対する相溶性を示すものと考えられる。また、表1に示す他の一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、1.66debye以上の双極子モーメントを有するため、(1−フルオロエチル)シクロペンタン以外の1.66debye以上1.94debye未満の双極子モーメントを有する一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素も、PCなど蓄電デバイスの電解液に一般的に用いられる極性溶媒と良好な相溶性を示すと考えられる。
3.一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素の粘性と拡散性の評価
3.1粘度の評価
本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素として、実施例2で用いたTFMCPと11BTFMCP、2FECPの粘度を、また、比較例として、TFMCP、11BTFMCPとそれぞれ同じ置換基を同じ数備えたトリフルオロメチルシクロヘキサン(TFMCH)、1,2−ビス(トリフルオロメチル)シクロへキサン(12BTFMCH)、2−フルオロエチルシクロヘキサン(2FECH)の粘度を評価した。
測定は、マイクロチップ方式微量サンプル粘度計(RheoSense社製)を用いて、室温環境で、以下の条件で3回測定し、その平均値を粘度とした。結果を表6に示す。
Chip Type : B
Syrine size : 2.5cm3
Flow Channel Depth : 92μm
Flow Rate : 0.525cm3/min
Shear Rate : 2000 1/sec
Figure 2012066770
表6の結果から、同じ置換基を同じ数だけ備えた化合物で比較した場合、本発明のシクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素は、比較例であるシクロへキサン環(六員環構造)を有するものより、粘度が低いことが分かる。シクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素は、シクロへキサン環(六員環構造)を有するものより分子体積が小さい。従って、分子の表面積が小さくなるため、隣接分子間で発生する分子表面−分子表面間相互作用が小さくなった結果、粘度が低下したものと考えられる。
3.2拡散性の評価
本発明のフッ素含有環状飽和炭化水素として、実施例2で用いたTFMCPと11BTFMCP、2FECPの拡散係数を、また、比較例として、TFMCP、11BTFMCP、2FECPとそれぞれ同じ置換基を同じ数備えたトリフルオロメチルシクロヘキサン(TFMCH)、1,2−ビス(トリフルオロメチル)シクロへキサン(12BTFMCH)、2−フルオロエチルシクロヘキサン(2FECH)の拡散係数を評価した。
測定は、パルス磁場勾配スピンエコー核磁気共鳴法(PGSE−NMR)により実施した。核磁気共鳴分析装置は日本電子製を用い、30℃の温度環境で、観測核は1H、観測周波数は395.8843MHzとした。詳細な測定条件を以下に示す。また、評価結果を表7に示す。
パルス : 90°パルス
最大磁場勾配強度 : 0.8T/m
拡散時間 : 0.1sec
磁場勾配ステップ数 : 16step


Figure 2012066770
表7の結果から、同じ置換基を同じ数だけ備えた化合物で比較した場合、本実施例のシクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素は、比較例であるシクロへキサン環(六員環構造)を有するものより、拡散係数が大きいことが分かる。シクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素は、シクロへキサン環(六員環構造)を有するものより分子体積が小さい。従って、分子半径は小さくなる。式(2)で表されるEinstein−Stokes式から、本実施例のシクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素の拡散性向上の原因は、ペンタン環を採用したことによる分子体積の低下と、粘度低減のためであることが理解できる。
また、実施例1の結果(図2)を考慮すると、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素と、同じ置換基(R)を有するシクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素とを比較した場合、いずれの置換基(R)であっても、シクロへキサンを骨格に持つフッ素含有環状飽和炭化水素よりもシクロペンタン骨格を有するフッ素含有環状飽和炭化水素のほうが、分子体積が小さいことにより、粘度が小さく、かつ、拡散係数が大きいと考えられる。
4.蓄電デバイス用溶媒の耐酸化性の評価
本発明による蓄電デバイス用溶媒を用いて非水電解液を調製し、非水電解液に対して電圧を印加して流れる電流値を測定することにより、蓄電デバイス用溶媒の耐酸化性の評価を行った。
まず、図3に示す3極式ガラスセル30を準備した。3極式ガラスセル30は、ガラス容器38内に、作用極36と、作用極36に対向する対極34と、参照極35とが配置された構造を有する。作用極36としては1cm×1cmのPtプレート(純度:99.9重量%)を、対極34としては2cm×2cmのステンレス(SUS304)製メッシュ33aに厚さ150μmのLi箔33bを圧着したものを、参照極35としてはΦ2mmのLiワイヤーを用いた。作用極36はPtワイヤー37と接続され、対極34はステンレスワイヤー32と接続されている。Ptワイヤー37、参照極35およびステンレスワイヤー32は、ゴム栓31によって固定されている。
次に、耐酸化性の評価を行うサンプルとして、実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3、参考例4−1、4−2、比較例4−1、比較例4−2を調製した。
(実施例4−1)
実施例2で合成したTFMCPとジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した実施例4−1の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(実施例4−2)
実施例2で合成した11BTFMCPとジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した実施例4−1の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(実施例4−3)
実施例2で合成した2FECPとジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した実施例4−1の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(参考例4−1)
実施例2で精製したTFMCHとジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した参考例4−1の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(参考例4−2)
実施例2で合成した12BTFMCHとジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した参考例4−2の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(比較例4−1)
PC(市販バッテリーグレード)とジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)との体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した比較例4−1の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
(比較例4−2)
エチルメチルカーボネート(EMC)(市販バッテリーグレード)とジエチルカーボネート(DEC)(市販バッテリーグレード)の体積比10:90の混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解した比較例4−2の電解液を調整した。電解液中のLiPF6濃度は0.1mol/Lに調製した。
図3に示すように、3極式ガラスセル30に実施例4−1、4−2、4−3、参考例4−1、4−2、比較例4−1、4−2のそれぞれの電解液を注入し、評価セルとした。極間最大電圧26Vの電気化学アナライザー(ALS社製)を用い、リニア−・スイープ・ボルタンメトリー(LSV)法により、電圧−電流曲線を測定した。測定は、参照極に対する作用極の電圧を、自然開回路電圧から8Vまで、5mV/secで掃引することによって行った。なお、別途、DEC(市販バッテリーグレード)単溶媒に支持塩として0.1mol/LのLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解したブランク電解液を調整し、LSV法により電圧−電流曲線を測定したものを、実施例4−1、4−2、4−3、参考例4−1、4−2、比較例4−1、4−2の電圧−電流曲線から差し引き、TFMCP、11BTFMCP、2FECP、TFMCH、12BTFMCH、PC、およびEMCの酸化挙動を示す電圧−電流曲線とした。これらの測定結果を図4に示す。LSV法によって測定される電流値は溶媒の酸化反応の速度を示す指標であり、電流値が小さいということは、溶媒の耐酸化性が優れることを示す。
図4に示すように、実施例4−1、4−2、4−3の電解液の電流値は、作用極-参照極間の電圧が大きくなっても、ほとんど増加しないか減少した。特許文献4の実施例において、高い耐酸化性を有することが開示されているシクロへキサン環(六員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素を用いた参考例4−1、4−2の電解液の電流値の増加挙動と比べても実施例4−1、4−2、4−3の電解液の電流値の増加は小さい。特に、実施例4−2、4−3の電解液の電流値は、作用極-参照極間の電圧が大きくなるに従って負の値を示した。これは、作用極-参照極間の電圧が大きくなるにつれて、実施例4−2の11BTFMCPを用いた評価セルおよび実施例4−3の2FECPを用いた評価セルの電流値が、DECのみを含むブランク電解液よりも電流値が小さくなったためである。これは、理由は定かではないが、実施例4−2および実施例4−3の評価セルでは、DECの酸化反応が抑制されていることを示している。
これに対し、従来からリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタに用いられている環状および鎖状のカーボネートを用いた比較例4−1、4−2の電解液では、5.0V程度から電流が増加し始めていることが分かる。
これらの結果から、実施例4−1、4−2、4−3の電解液は、極めて優れた耐酸化性を有していることが分かる。特に、実施例で用いた本発明の溶媒は、充電電圧4〜5Vのリチウムイオン二次電池や、2.5V以上の充電を行う電気二重層キャパシタにおいて重要になる作用極-参照極間電圧6V付近において電流値が小さく、高電圧型の蓄電デバイス用溶媒として優れていることが分かる。
また、表1に示すように、実施例4−3用いた2FECPの最高被占起動エネルギーは、−8.26eVと一般式(1)で表される実施例のフッ素含有環状飽和炭化水素のうちで、最高被占軌道エネルギーは2番目に大きな値を示す。先述したように最高被占軌道エネルギーと耐酸化性は関係があり、最高被占軌道エネルギーが小さいほど、耐酸化性が優れていることを示す。従って、少なくとも、最高被占軌道エネルギーが−8.26eVよりも小さい値を示す一般式(1)で表される実施例のフッ素含有環状飽和炭化水素は、優れた耐酸化性を示すと考えられる。また、表1に示す(1−フルオロエチルシクロ)ペンタンの最高被占軌道エネルギーは、−8.25eVであるが、2FECPとの差は、僅か0.01eVであり、2FECPと同等の耐酸化性を示すと考える。
5.ガス発生能の評価
リチウムイオン二次電池を作製し、高電圧で充電後、充電された正極を本発明による蓄電デバイス用溶媒に浸漬し、高温で保持することにより発生するガスの量を測定した。図5および図6を参照しながら実験に用いたリチウムイオン二次電池の製造方法および実験手順を説明する。図5(a)は作製したリチウムイオン二次電池の模式的な斜視図であり、(b)は(a)におけるI−I断面を示している。また、(c)は、電極群の断面構造を示している。図6はリチウムイオン二次電池の製造方法および実験手順を示すフローチャートである。
<正極の作製(ステップ101)>
まず、正極活物質としてLiCoO2(平均粒径10μm、BET法による比表面積0.38m2/g)を準備した。100重量部の活物質に、導電剤であるアセチレンブラックを3重量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデンを4重量部、および適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌・混合して、スラリー状の正極合剤を得た。なお、ポリフッ化ビニリデンは、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解した状態で用いた。
次に、図5(c)に示すように厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体1aの片面に、スラリー状の正極合剤を塗布し、塗膜を乾燥し、ローラーで圧延することによって、正極集電体1a上に正極活物質層1bを形成した。
正極活物質として用いたLiCoO2の調製法は以下の通りである。硫酸コバルト飽和水溶液を低速で撹拌しながら水酸化ナトリウムを溶解したアルカリ溶液を滴下して、Co(OH)2の沈殿を得た。この沈殿物をろ過、水洗した後、空気中で80℃に加熱することにより乾燥した。得られた水酸化物の平均粒径は、約10μmであった。
次に、得られた水酸化物に対して、空気中で380℃の熱処理を10時間行うことにより、酸化物Co34を得た。粉末X線回折により、得られた酸化物が単一相を有することを確認した。
さらに、得られた酸化物に、Coのモル数とLiのモル数との比が1.00:1.00になるように炭酸リチウムの粉末を混合し、乾燥空気中で850℃の熱処理を10時間行うことにより、目的とするLiCoO2を得た。粉末X線回折(リガク製)により、得られたLiCoO2が単一相の六方晶層状構造を有することを確認した。粉砕および分級の処理を行った後、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製)による観察から、粒径が6〜15μm程度であることを確認した。なお、平均粒径は、散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製)を用いて求めた。
得られた極板を、図7(a)に示す寸法に打ち抜いて、リード取り付け部であるタブの部分の正極活物質層1bを剥離し正極1を得た。正極活物質層1bが設けられた正極集電体1aは30mm×40mmの長方形状を有する。
<負極の作製(ステップ102)>
まず、ステンレス(SUS304)製メッシュを図7(b)に示す寸法に打ち抜いて、負極集電体2aを形成した。負極集電体2aは、31mm×41mmの長方形状を有する電極部と、7mm×7mmの正方形状を有するリード取り付け部とを有する。負極集電体2aのうちの電極部の上に、厚さ150μmの金属リチウムからなる負極活物質層2bを圧着して、負極2を得た。
<組み立て(ステップ103)>
図5(c)に示すように、得られた正極1および負極2を、セパレータ3を介して積層し、電極群13を作製した。セパレータとしては、厚さ20μmのポリエチレン製微多孔質シートを用いた。
次に、図5(a)に示すように、電極群13の正極1にアルミニウム製正極リード11を、負極2にニッケル製負極リード12を溶接した。その後、電極群13を、3方向が開口している厚さ0.12mmのアルミラミネートフィルム製の電池ケース14の内部に収容し、PP製のテープで電池ケース14の内面に固定した。正極リード11および負極リード12が出ている開口部を含む開口部を熱溶着し、1つの開口部のみを熱溶着せずに残して、電池ケース14を袋状とした。図5(b)に示すように、熱溶着していない開口部から所定量の非水電解液15を注入し、減圧および脱気後、減圧状態で開口部を熱溶着することにより、電池内部を密封した。
非水電解液15としては、体積比1:3のエチレンカーボネート(市販バッテリーグレード)(EC)とEMC(市販バッテリーグレード)との混合溶媒に、支持塩としてLiPF6(市販バッテリーグレード)を溶解したものを用いた。LiPF6は、電解液中のモル数が1mol/Lとなるように溶解させた。
<充電(ステップ104)>
ステップ101から103にしたがって作製した電池に対して、電流値4mAで4.4Vまで定電流充電を行い、その後、電流値が0.8mAに減衰するまで、4.4Vでの定電圧充電状態を保った。
<分解(ステップ105)>
充電終了後の電池を露点−70℃の不活性ガス雰囲気下で開封して、正極リード11が溶接された正極1を取り出した。次に、取り出した正極1のタブ部を切断し正極リード11を除去した。さらに、タブ部を切断した正極1をジメチルカーボネート(DMC)(市販バッテリーグレード)中に浸漬して正極1中に含まれる電解液を抽出除去した。その後、正極1をDMC中から取り出し、室温真空乾燥によりDMCを除去し、高電圧に充電された正極を得た。
<溶媒と充電正極の高温保存(ステップ106)>
前記充電正極の存在下における溶媒の高温保存時ガス発生能の評価を行うサンプルとして、実施例5−1から5−6、参考例5−1、5−2、比較例5−1、5−2の10個のサンプルを次に示す方法で作製した。
(実施例5−1)
幅50mm、高さ100mmの一辺が開口した袋状のアルミラミネートフィルムに、前記充電正極を収納した。評価用溶媒として合成したTFMCPを3mL注入した後、減圧状態で開口部を熱溶着することにより、アルミラミネートフィルムを密封した。
(実施例5−2)
評価用溶媒として合成したTFMCPとPC(市販バッテリーグレード)の重量比90:10の混合物を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(実施例5−3)
評価用溶媒として合成したTFMCPとPC(市販バッテリーグレード)の重量比50:50の混合物を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(実施例5−4)
評価用溶媒として合成したTFMCPとPC(市販バッテリーグレード)の重量比10:90の混合物を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(実施例5−5)
評価用溶媒として合成したTFMCPとPC(市販バッテリーグレード)の重量比5:95の混合物を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(実施例5−6)
評価用溶媒として合成した11BTFMCPを用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(実施例5−7)
評価用溶媒として合成した2FECPを用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(参考例5−1)
評価用溶媒として合成したTFMCHを用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(参考例5−2)
評価用溶媒として合成した12BTFMCHを用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(参考例5−3)
評価用溶媒として合成した2FECHを用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(比較例5−1)
評価用溶媒としてPC(市販バッテリーグレード)を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
(比較例5−2)
評価用溶媒としてEMC(市販バッテリーグレード)を用いた。それ以外の構成は実施例5−1と同様とした。
実施例5−1から5−7、参考例5−1から5−3、比較例5−1、5−2の12個のサンプル、すなわち、密封されたアルミラミネートフィルムを恒温槽中に入れ、85℃で、3日間保持した。その後、恒温槽中から取り出し、発生したガスの定量分析をガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により行った。その結果から算出されたガスの総発生量を表8に示す。
Figure 2012066770
表8に示すように、一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素である、TFCPのみを溶媒として含む実施例5−1、11BTFMCPのみを溶媒として含む実施例5−6および2FECPのみを溶媒として含む実施例5−7では、発生するガス量が極めて少ない。これらの実施例において発生したガス量は、ガス発生しないことが特許文献4により開示されている参考例5−1、5−2、5−3に示すTFMCHおよび12BTFMCH、2FECHと同等である。従って、一般式(1)で表される本発明のシクロペンタン環(五員環構造)を有するフッ素含有環状飽和炭化水素もガス発生しないことが分かる。つまり、耐酸化性が高いため、溶媒が分解せず、分解生成物であるガスが発生していないと考えられる。
実施例1で計算した最高被占軌道エネルギーの値を考慮すると、4.4Vの充電電圧では、理論的には、TFCPおよび11BTFMCP、2FECPは酸化しない。また、たとえ酸化したとしても、分子構造内にカーボネート構造を有さないためCO2を発生しない。このため、実施例5−1、5−6、5−7において、0.02から0.03cm3の微量のガスが発生しているのは、充電正極を作製する際に用いた電解液(カーボネートを含む)が残存し、これらが分解されたためと考えられる。
実施例5−2から5−5では、電解液の溶媒中におけるPCの含有量が増えるにつれて、発生するガス量も増加している。実施例5−1、5−6の結果を考慮すると、発生するガス量は添加したPCに由来し、PCが酸化により分解しているからと考えられる。しかし、いずれの実施例においても、発生量は、従来からリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタに用いられている環状および鎖状のカーボネートを用いた比較例5−1、5−2よりも少なくなっている。これらの結果から、5重量%以上のTFMCPを含めば、ガスの発生量が1.14cm3以下(5%以上の発生量低減)に低減されており、有意な耐酸化性の効果が得られることが分かる。また、10重量%以上のTFMCPを含めば、ガスの発生量が1.07cm3以下(10%以上の発生量低減)に低減されており、顕著な耐酸化性の効果が得られることが分かる。つまり、溶媒中に、TFMCPを5%以上含むことが好ましく、10%以上含むことがより好ましいことが分かる。
また、表1に示す最高被占軌道エネルギーの値および実施例4の結果から、TFCP、11BTFMCPおよび2FECP以外の一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素も、4.4Vの充電電圧で酸化されず、分解生成物であるガスを発生しないと考えられる。十分な耐酸化性の効果を得るために、これらのフッ素含有環状飽和炭化水素も溶媒中に5重量%以上含まれることが好ましく、10重量%以上含まれることがより好ましいと考えられる。
以上のように、TFMCP、11BTFMCP、2FECPおよび、これら以外の一般式(1)で表されるフッ素含有環状飽和炭化水素は、PCに代表される環状カーボネートやEMCに代表される鎖状カーボネートと比べ、高い耐酸化性を有し、高電圧が印加されてもガスを発生しない優れた信頼性を有することが明らかとなった。
本発明の蓄電デバイス用非水溶媒は、高エネルギー密度を有する超高電圧型非水系蓄電デバイスを具現化するための電解液の溶媒として有用である。また、従来電圧型のリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの溶媒として用いることも可能であり、高い高温信頼性が実現される。特に、高い信頼性が求められる大型電池や電気自動用電池の電解液の溶媒として好適である。
1 正極
1a 正極集電体
1b 正極活物質層
2 負極
2a 負極集電体
2b 負極活物質層
3 セパレータ
11 正極リード
12 負極リード
13 電極群
14 電池ケース
15 非水電解液
30 3極式ガラスセル
31 ゴム栓
32 ステンレスワイヤー
33a ステンレスメッシュ
33b Li箔
34 対極
35 参照極
36 作用極
37 Ptワイヤー
38 ガラス容器

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表され、かつ、1または2個の置換基Rがシクロペンタン環に導入された構造を有するフッ素含有環状飽和炭化水素を含む蓄電デバイス用非水溶媒(一般式(1)中、RはCn2n+1で表され、nは1以上の整数であり、2n+1個のXのうちの少なくとも1つはFであり、それ以外のXはHである。)。
    Figure 2012066770
  2. 前記nは1または2である請求項1に記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
  3. 前記フッ素含有環状飽和炭化水素はトリフルオロメチルシクロペンタンである請求項1に記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
  4. 前記フッ素含有環状飽和炭化水素は1,1−ビス(トリフルオロメチル)シクロペンタンである請求項1に記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
  5. 前記フッ素含有環状飽和炭化水素は2−フルオロエチルシクロペンタンである請求項1に記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
  6. 溶媒成分として、前記フッ素含有環状飽和炭化水素を5重量%以上100重量%以下含有する請求項1から4のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
  7. 溶媒成分として、前記フッ素含有環状飽和炭化水素を10重量%以上100重量%以下含有する請求項1から4のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水溶媒。
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