JPWO2012011434A1 - 活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、前者のプレス法は加熱、加圧及び冷却のサイクルで製造するため、生産性が悪いという問題があった。また、後者のキャスト法は、金型にモノマーを流し込んで重合するため製作時間が長くかかるとともに金型が多数個必要なため、製造コストが上がるという問題があった。
また、光学部材に対しては、熱による着色がないことが要求されるが、従来の活性エネルギー線硬化型組成物では、前記した性能に優れる場合であっても、硬化物が熱による着色が見られることがあった。
本発明者は、低粘度であり、得られる硬化物がスタンパーからの離型性や転写フィルムへの密着性に優れ、かつ高屈折率を両立でき、得られる硬化物は熱による着色が少ない活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
ナフタレンジイソシアネート(A-1)と芳香族基含有グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物(A-2)との反応物(A)、芳香族基含有モノ(メタ)アクリレート(B)、及び、光重合開始剤(C)を含み、前記(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物(D)を含んでいてもよく、(A)、(B)及び(D)成分の合計量100重量部に対して、(A)成分を10〜60重量部、(B)成分を40〜90重量部、(C)成分を0.01〜20重量部及び(D)成分を含まないか、又は、(D)成分を0重量部を超え50重量部以下含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
尚、本明細書においては、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
芳香族基含有モノ(メタ)アクリレート(B)(以下、「(B)成分」という)及び、
光重合開始剤(C)を含み、
前記(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物(D)を含んでいてもよく、
(A)、(B)及び(D)成分の合計量100重量部に対して、
(A)成分を10〜60重量部、
(B)成分を40〜90重量部、
(C)成分を0.01〜20重量部及び
(D)成分を含まないか、又は、(D)成分を0重量部を超え50重量部以下含むことを特徴とする
活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)に関する。
以下、それぞれの構成成分について詳細に説明する。
(A)成分は、ナフタレンジイソシアネート(A-1)(以下、「化合物(A-1)」という)と芳香族基含有グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物(A-2)(以下、「化合物(A-2)」という)との反応物である。
化合物(A-2)における芳香族基含有グリシジルエーテルの具体例としては、モノグリシジルエーテルが好ましく、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、p−フェニルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられ、これら化合物の芳香族基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されている化合物であっても良い。
化合物(A-2)は、市販されており、例えばフェニルグリシジルエーテルとアクリル酸との付加物〔東亞合成(株)製アロニックスM−5700〕、o−フェニルフェニルグリシジルエーテルとアクリル酸との付加物である〔東亞合成(株)製アロニックスTO−1317〕等が挙げられる。
化合物(A-2)は、常法に従い製造されたもので良く、製造方法としては、芳香族基含有グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸を、触媒の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
この場合、芳香族基含有グリシジルエーテルのエポキシ基1モル当量に対して、(メタ)アクリル酸を好ましくは0.7〜1.5モル当量、さらに好ましくは0.9〜1.1モル当量となる比率で反応させて得られたものが好ましい。
また、化合物(A-1)に対する化合物(A-2)の割合としては、化合物(A-1)中のイソシアネート基合計量1モルに対して、化合物(A-2)中の水酸基合計量1.0〜1.3モルであることが、化合物(A-1)を未反応で残存させることがなく好ましい。化合物(A-1)が未反応で残存しないようにすることで、保存や使用の際に溶解性が悪いウレア等の生成し、光学部材用途に使用する場合に濁りの発生を防止することができる。
このため、(A)成分としては、化合物(A-2)として、フェニルフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物〔以下、「PPGE(M)A」という〕及びフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物〔以下、「PGE(M)A」という〕を併用し、これと化合物(A-1)を反応させ得られた化合物が、結晶化をより抑制し、他の成分との相溶性により優れるため好ましい。
この反応で得られる(A)成分は、前記式(1)において、Ar1が水素原子でAr2がフェニル基である化合物、Ar1及びAr2が水素原子である化合物及びAr1及びAr2がフェニル基である化合物の混合物が得られる。
PGE(M)Aを20モル%以上、又はPPGE(M)Aを80モル%以下で使用することにより、得られる(A)成分が、反応溶媒中に溶解せずに濁りを生じたり結晶化して析出することを防止することができ、また、組成物として使用する場合、他の成分との相溶性が低下してしまうことを防止することができる。一方、PGE(M)Aを90モル%以下、又はPPGE(M)Aを10モル%以上で使用することにより、得られる(A)成分を高い屈折率の化合物とすることができ、(A)成分の粘度を低くすることができるため、有機溶媒の添加量を少なくすることができる。
PGE(M)A及びPPGE(M)Aの割合としては、前記合計量に対してPGE(M)Aを20〜60モル%及びPPGE(M)Aを40〜80モル%の割合が好ましい。
(B)成分は、芳香族基含有モノ(メタ)アクリレートである。
(B)成分は、組成物を低粘度化し、又組成物の結晶化を防ぐことができるうえ、硬化物に屈折率等の光学特性を付与することができる成分である。
(B)成分における芳香族基としては、フェニル基、p−クミルフェニル基及びフェニルフェニル基等が挙げられ、これらの基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
これらの基の中でも、得られる組成物の硬化物の屈折率が高いものとなる点で、p−クミルフェニル基及びフェニルフェニル基が好ましい。
これらの中でも、室温で液状であり扱いやすく、入手しやすい点で、o−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。さらにこれらの中でも、組成物の粘度を低く抑えることができることから、p=0であるo−フェニルフェニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(C)成分の光重合開始剤は、前記した硬化性成分を紫外線又は可視光線の照射により硬化させるために配合するものである。
(C)成分の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
これらの中でも、(C)成分は、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類を併用することが好ましく、アセトフェノン類が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、アシルフォスフィンオキシド類が2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドであることがより好ましい。(C)成分として、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類を併用することにより、組成物が表面硬化及び内部硬化に優れるという硬化性に優れるものとなる。
(C)成分は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
本発明の組成物は、エチレン性不飽和化合物として前記(A)及び(B)成分のみを含む組成物であっても良いが、必要に応じて(D)成分である(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物を含んでいても良い。
(D)成分としては、エチレン性不飽和基を含有する化合物であれば種々の化合物が使用でき、ビニル化合物及び(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートの具体例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「多官能(メタ)アクリレート」という)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用でき、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(D)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。(D)成分の割合を50重量部以下とすることにより得られる光学部材の屈折率をより高くできる。
N−ビニルカルバゾールは、他の成分との相溶性、及び、配合液における結晶化を抑制する観点から、硬化性成分の合計100重量部に対して、0重量部以上40重量部以下とすることが好ましく、0.5〜30重量部を配合することがより好ましい。
3官能以上の(メタ)アクリレートの含有割合としては、硬化性成分の合計100重量部に対して、0.5〜30重量部を配合することが好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。
0.5重量部以上とすることにより、転写フィルムへの密着性に優れるものとすることができるうえ、硬化物が柔軟性に優れるため、脆くなりレンズ形状に欠陥が出ることを防止することができる。一方、30重量部以下とすることで、十分な離型性が得ることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートは、市販されており、東亞合成(株)製、アロニックスM−305(以下、「アロニックス」の記載は省略)、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−402、M−404、M−408及びM−450等が挙げられる。
本発明の組成物は、前記(A)〜(C)成分を必須とし、任意成分として(D)成分を含んでいてもよいものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
以下、(E)及び(F)成分について説明する。
(E)成分は、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH3)2R(Rはアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物である。
(E)成分のRのアルキル基としては、炭素数1〜10のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
フェニル基中の基−C(CH3)2Rの数としては、1個又は2個が好ましい。
また、式(4)のR7におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。
式(4)の化合物としては、下記式(4)’又は/及び式(4)”で表される化合物が好ましい。
1価の基としては、アルキル基、1つ以上のエステル結合(−COO−及び/又は−OCO−)を有する基、ベンゾトリアゾイル基及びヒンダードアミノ骨格を含む基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数2以上のアルキル基が、硬化物の着色防止に優れる点で好ましい。
1つ以上のエステル結合を有する基としては、アルコキシカルボニルアルキル基が例示でき、−R13COOR11で表される基であることが好ましい。ここで、R13は、エチレン基等の炭素数1〜12のアルキレン基であり、R11は炭素数1〜20のアルキル基を表す。R13としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。
2価の基としては、アルキレン基及び1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられる。1つ以上のエステル結合を有する基としては、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上のエステル結合を有する2価の基が例示でき、スピロオルソエーテル環及び1つ以上のエステル結合を有する2価の基であることが好ましい。
3価の基としては、イソシアヌル基(1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン−1,3,5−トリイル基)等が挙げられる。
4価の基としては、1つ以上のエステル結合を有する基等が挙げられ、1価〜4価のアルキル基、エステル結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた構造を2以上連結し、かつ1つ以上のエステル結合を有する4価の基が好ましく挙げられる。より具体的には、C(CH2OCOR13−)4等が挙げられる。R13は、前記と同様に、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、前記と同様のものが好ましい。
式(4)'''において、R11の炭素数が1以上であると、組成物に対する溶解性が十分であり、また、炭素数が20以下であると、少量で所望の効果を得ることができ、均一な組成物が得られる。
(F)成分は、亜リン酸エステル化合物であり、組成物に溶解性を有する必要がある。本発明において「溶解性を有する」とは、組成物を−10℃で7日間静置し、析出が見られないことを意味する。
(F)成分としては、下記式(6)〜(8)で表される化合物等が挙げられる。
〔但し、式(6)において、R10はアルキル基又は芳香族基を表す。複数個のR12は、それぞれ同一であっても異なっていても良い〕
〔但し、式(7)において、R14はアルキル基を表し、R15は芳香環を有する2価の基を表す。複数個のR14は、それぞれ同一であっても異なっていても良い〕
R12及びR16の芳香族基としては、フェニル基、アルキル置換フェニル基等が挙げられる。アルキル置換フェニル基において、アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも良い。炭素数としては1〜18のものが挙げられ、組成物に対する溶解性に優れるため炭素数としては6〜15のものが好ましい。
P(ORal)3 ・・・(6-1)
RarOP(ORal)2 ・・・(6-2)
(RarO)2P(ORal) ・・・(6-3)
(RarO)3P ・・・(6-4)
(6-2)>(6-1)>(6-3)>(6-4)
(6-1):亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリラウリル
(6-2):亜リン酸フェニルジアルキル(アルキル基としては炭素数8〜12のもの)
(6-3):亜リン酸ジフェニルアルキル(アルキル基としては炭素数8〜12のもの)
(6-4):亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(4−ノニルフェニル)、亜リン酸トリス(2,4−ジ−t−ブチル)
その他の成分としては、前記(E)及び(F)成分以外にも、必要に応じて種々の成分を配合することができる。
以下、それぞれの成分について説明する。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
本発明の組成物は、前記した(A)〜(C)成分を必須とし、任意成分として(D)成分を含んでいてもよく、これらを前記した割合で含有するものであり、好ましくはさらに(E)及び(F)成分を含むものである。
(A)成分は、常温(5〜35℃)で粘度が高かったり、固体であるものも多いため、組成物が室温で液状にならない場合は、組成物を攪拌・混合した後に加熱しても良い。加熱温度としては、50〜100℃が好ましい。
組成物の好ましい粘度としては、取り扱いが容易で、スタンパーへの流入が容易である点で、E型粘度計により25℃で測定した値として、200〜30,000mPa・sが好ましく、より好ましくは300〜3,000mPa・sである。
レンズシートとしては、更に詳細には、ビデオプロビェクター、プロジェクションテレビ及び液晶ディスプレイ等用途が挙げられる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
具体的には、レンズ形状を有するスタンパーに組成物を塗布し、フィルム又はシート基材(以下、これらをまとめてフィルム基材という。)でラミネートした後に、活性エネルギー線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。
紫外線照射には、一般に紫外線硬化型組成物の硬化に用いられる超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク及びキセノンランプ、LED等を使用すれば良い。好ましくは、波長365nmを中心とした紫外線が比較的多い高圧水銀灯又はメタルハライドランプを使用するのが好ましい。紫外線の照射量は200mJ/cm2以上あれば好適に硬化させることができ、300〜2,000mJ/cm2がより好適である。
比較的膜厚の薄いレンズシートを製造する場合は、本発明の組成物を、目的のレンズの形状を有するスタンパーと称される金型に塗布し、該組成物の層を設け、その層の上にレンズシートを転写させる透明基板を密着させる。
次いで、透明基板側から活性エネルギー線を照射して、組成物を硬化させ、この後、金型から剥離させる。
次いで、透明基板側から活性エネルギー線を照射して、組成物を硬化させ、この後、金型から脱型させる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた1L容量3つ口フラスコに、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート〔三井化学(株)製コスモネートND。以下、「ND」という。〕42.04g(0.200モル)、反応溶媒としてo−フェニルフェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスTO−1463。以下、「PPEA」という。〕60g、重合禁止剤としてジtert−ブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」という)0.04g、合成触媒としてジブチルスズジラウレート(以下、「DBTL」という)0.019gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、フェニルグリシジルエーテルとアクリル酸の付加物〔東亞合成(株)製アロニックスM−5700。以下、「PGEA」という。〕88.90g(0.400モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌、反応させた。
得られた反応液は、NDとPGEAの反応物(以下、「UA1」という)を31.4%含むPPEAとの混合物であり、粘度は490,500mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5869であった。
尚、反応溶媒として用いたPPEAの屈折率(nD 25)は1.5770である。
製造例1と同様のフラスコに、NDの42.04g(0.200モル)、PPEAの70g、BHTの0.04g、DBTLの0.023gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの48.90g(0.220モル)、o−フェニルフェニルグリシジルエーテルのエポキシアクリレート〔東亞合成(株)製TO−1317。前記式(3)において、R5及びR6が水素原子、mが1である化合物。以下、「PPGEA」という。〕65.63g(0.214モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌、反応させた。
得られた反応液は、ND、PGEA及びPPGEAの反応物(以下、「UA2」という)を30.9%含むPPEAとの混合物であり、粘度は1,055,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5941であった。
製造例1と同様のフラスコに、NDの42.04g、PPEAの105g、BHTの0.05g、DBTLの0.024gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの29.34g(0.132モル)、PPGEAの91.89g(0.308モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌、反応させた。
得られた反応液は、ND、PGEA及びPPGEAの反応物(以下、「UA3」という)を39.1%含むPPEAとの混合物であり、粘度は1,782,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5971であった。
製造例1と同様のフラスコに、トリレンジイソシアネート〔日本ポリウレタン(株)製コロネートT−80。以下、「TDI」という。〕34.83g、PPEAの60g、BHTの0.04g、DBTLの0.019gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの88.90gを1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌、反応させた。
得られた反応液は、TDI及びPGEAの反応物を含むPPEAとの混合物であり、粘度は212,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5466であった。ウレタンアクリレートにおいて、原料が脂肪族イソシアネートである場合よりも芳香族イソシアネートの場合の方が、屈折率が高くなることはよく知られているが、イソシアネートとして芳香族イソシアネートであるTDIを使用した場合であっても、ナフタレンジイソシアネート以外を原料として製造された反応物は、屈折率が不十分なものであった。
得られた反応物は屈折率が不充分であったため、以降の評価で使用しなかった。
表1〜表3に示す化合物及び割合で使用し、常法に従い攪拌・混合して活性エネルギー線硬化型光学材料用組成物を調製した。尚、表1〜表3において、製造例1〜3で得られた反応混合物は、組成物を構成する(A)及び(B)成分として分けて記載した。
・PPA:o−フェニルフェニルアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスTO−2344。前記式(3)において、R5及びR6が水素原子、mが0である化合物。〕
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 イルガキュア184)
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(BASF社製 ルシリンTPO)
・M305:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物〔東亞合成(株)製アロニックスM−305〕
・NVC:N−ビニルカルバゾール
・M211B:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスM−211B〕
・AO−80:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〔(株)アデカ製AO−80、式(5)の化合物)
・AO−50:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〔(株)アデカ製AO−50、式(3)においてR1がオクタデシル基である化合物〕
・HQ:ハイドロキノン
・135A:亜リン酸ジフェニルイソデシル〔(株)アデカ製アデカスタブ135A〕
・3010:亜リン酸トリイソデシル〔(株)アデカ製アデカスタブ3010〕
・T479:2−(ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〔BASF社製TINUVIN479〕
・AO−412S:ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)〔(株)アデカ製AO−412S〕
得られた組成物を使用し、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表1〜表3に示す。
E型粘度計を用いて、25℃における組成物の粘度を測定した。
得られた組成物を、コンベアを備えた高圧水銀ランプを用いて、365nm付近の照射量が500mJ/cm2となるような条件で硬化させたものを使用した。
得られた硬化物について、ナトリウムD線における屈折率(25℃)を、(株)アタゴ製アッベ屈折計DR−M2により測定した。
転写フィルムに対する密着性を、碁盤目試験で評価した。
基材フィルムとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムを用い、これにバーコーターを用いて膜厚30μmで得られた組成物を塗布し、コンベアを備えた高圧水銀ランプを用いて、365nm付近の照射量が500mJ/cm2となるような条件で紫外線硬化を行い得られた硬化物を使用した。
JIS K5400に記載の方法に従い、硬化物層のもろさやフィルム基材への付着性を測定し、次の3段階で評価した。
○:碁盤目残数90以上、△:碁盤目残数70以上89以下、×:碁盤目残数69以下
レンズ形状を有するニッケル製スタンパーに、得られた組成物を膜厚50μmで塗布し、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでラミネートした。PETフィルム側から前記と同様の条件で紫外線を照射し、硬化物(レンズ)を製造した。
ニッケルスタンパーとPETフィルムとの間を90°に保ち、サンプル幅50mm、引張り速度1m/minで行い、PETフィルムに密着したものをレンズとして用い、顕微鏡で観察し、レンズ形状に欠陥がないかを確認した。
顕微鏡としては、(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVH−6300を用い、倍率1,500倍でレンズ形状を観察し、以下の2段階で評価した。
○:欠陥がない、×:欠陥が認められた。
組成物を−10℃の冷蔵庫にて7日間静置し、析出の有無を目視で確認し、以下の基準で判定した。
○:7日後も析出が見られない。△:3〜7日後に析出が見られた。×:1〜2日後に析出が見られた。
密着性試験と同様の方法で作製した試験片を用い、80℃×500時間後の着色を評価した。積分球式分光透過率測定器((株)村上色彩技術研究所製DOT−3C)を使用し、試験前の試験体のYI値(黄色度)、並びに、耐熱試験後の試験体のYI値を測定した。
尚、前記表には、試験後の着色について、ΔYI(各試験後の試験体BのYI値と各試験前の試験体BのYI値との差)で示した。
一方、硬化性成分の100重量部に対して、(A)成分を60重量部より超過して含み、(B)成分を40重量部未満で含む比較例1、同2及び同6の組成物は、硬化物の屈折率が高くなるものの、粘度が高く取り扱い難いものであった。さらに、転写フィルムへの密着性が低く、良好なレンズ形状も得られなかった。
(A)成分を含まない比較例3〜同5の組成物は、屈折率を高くするためには(B)成分の割合を多くせざるを得ないため、硬化物の硬さが不十分となり、密着性やレンズシート形状が悪化してしまった。
さらに、(E)成分以外のフェノール系酸化防止剤を含む比較例6の組成物は、熱による着色が大きくなってしまった。また、(F)成分に代えイオウ系酸化防止剤を含む比較例5の組成物は、熱による着色を防ぐことはできるが、低温で析出しやすいため組成物の安定性に問題があった。
Claims (15)
- ナフタレンジイソシアネート(A-1)と芳香族基含有グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物(A-2)との反応物(A)、
芳香族基含有モノ(メタ)アクリレート(B)、及び、
光重合開始剤(C)を含み、
前記(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物(D)を含んでいてもよく、
(A)、(B)及び(D)成分の合計量100重量部に対して、
(A)成分を10〜60重量部、
(B)成分を40〜90重量部、
(C)成分を0.01〜20重量部及び
(D)成分を含まないか、又は、(D)成分を0重量部を超え50重量部以下含むことを特徴とする
活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。 - 前記(A)成分において、化合物(A-2)が、フェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加物又は/及びフェニルフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加物である請求項1又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 前記(D)成分を含み、かつ前記(D)成分が、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又は/及びN−ビニルカルバゾールを含み、(A)、(B)及び(D)成分の合計量100重量部に対してこれらを0.5〜30重量部含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- さらに、フェニル基中に少なくとも1個の基−C(CH3)2R7(R7はアルキル基又はフェニル基を表す)を有するフェノール化合物(E)、及び亜リン酸エステル化合物(但し、組成物に溶解性を有するもの)(F)を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 前記(E)成分が、上記式(4)においてXが1つ以上のエステル結合を有する基である化合物(E1)を含む請求項7記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 前記(F)成分が、下記式(7)で表される化合物である請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
P(OR12)3 ・・・(7)
〔但し、式(7)において、R12はアルキル基又は芳香族基を表す。〕 - 前記(C)成分が、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類を含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 前記アセトフェノン類が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、前記アシルフォスフィンオキシド類が2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドである請求項12記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- 硬化後の25℃、ナトリウムD線における屈折率が1.570以上である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
- レンズシート用である請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物。
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