JP2017043702A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、光学部材、レンズ及びカメラモジュール - Google Patents
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本発明に係る硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で示されるフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(A)(以下、(A)成分とも記す。)、前記(メタ)アクリレート(A)以外の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)(以下、(B)成分とも記す。)、23℃で液体の有機硫黄化合物(C)(以下、(C)成分とも記す。)、23℃で液体のホスファイト化合物(D)(以下、(D)成分とも記す。)、および重合開始剤(E)(以下、(E)成分とも記す。)を含有する。
(A)成分は、前記式(1)で示されるフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートであり、ラジカル重合性単量体である。(A)成分は、硬化物の屈折率やガラス転移点を高め、リフロー処理による黄変を少なくすることができる。
(B)成分は、前記(A)成分以外の(メタ)アクリル系重合性単量体であり、ラジカル重合性単量体である。(B)成分は、硬化性樹脂組成物を成形に適した粘度とすることができる。
(C)成分は、23℃で液体の有機硫黄化合物である。(C)成分は、硬化物のリフロー処理による黄変を少なくすることができる。また、(C)成分は23℃で液体であることにより、(A)成分および(B)成分との相溶性が良好となり、硬化物の透明性を向上させることができる。なお、有機硫黄化合物が23℃で、流動性を有し、外観が透明である場合、液体であると判断する。
(D)成分は、23℃で液体のホスファイト化合物である。(D)成分は、硬化物のリフロー処理による黄変を少なくすることができる。また、(D)成分は23℃で液体であることにより、(A)成分および(B)成分との相溶性が良好となり、硬化物の透明性を向上させることができる。なお、ホスファイト化合物が23℃で流動性を有し、外観が透明である場合、液体であると判断する。
(E)成分としてはラジカル重合開始剤が挙げられ、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物などが挙げられる。(E)成分の種類は重合方法に応じて適宜選択することができる。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
その他のラジカル重合性単量体成分は、前記(A)成分および前記(B)成分以外のラジカル重合性単量体である。硬化性樹脂組成物がその他のラジカル重合性単量体成分を含有することで粘度をより調整しやすくなる。加えて、硬化物のガラス転移点もより向上しやすくなる。
硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)〜(E)成分、及び前記その他のラジカル重合性単量体成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えばアクリル系重合体、ゴム、フェノール系酸化防止剤、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、揺変剤、重合禁止剤、離型剤、充填剤、蛍光体、顔料等が挙げられる。これらの他の成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば前記(A)〜(E)成分と、必要に応じて、前記その他のラジカル重合性単量体成分、前記他の成分とを常温で撹拌混合する方法、これらを加熱混合する方法などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物の粘度は、100〜50,000mPa・sが好ましく、より好ましくは200〜40,000mPa・sであり、さらに好ましくは500〜30,000mPa・sである。硬化性樹脂組成物の粘度が上記範囲内であれば、良好な成形性が得られる。特に、硬化性樹脂組成物の粘度が100mPa・s以上であれば、ディスペンサや金型からの樹脂漏れを抑制できる。また、該粘度が50,000mPa・s以下であれば、金型への浸入性や移液時の作業性が良好になる。なお、該粘度は、23℃においてB型粘度計を用いて得られる測定値である。
以上説明した本発明に係る硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分を含む。したがって、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、成形性に適した粘度を有する。また、本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いることにより、透明性、屈折率及びガラス転移点が高く、リフロー処理による黄変が少ない硬化物が得られる。
本発明に係る硬化物は、上述した本発明に係る硬化性樹脂組成物の硬化物である。
硬化物の透明性について、硬化物の厚さが1mmの場合、全光線透過率が80%以上、ヘーズが2%以下であることが好ましく、全光線透過率が85%以上、ヘーズが1.5%以下であることがより好ましく、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1%以下であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率及びヘーズは後述する方法により測定される値である。
硬化物の屈折率について、25℃におけるナトリウムD線(589nm)での測定値が、1.600以上であることが好ましく、1.605以上であることがより好ましく、1.610以上であることがさらに好ましい。硬化物の屈折率が1.600以上であれば、光学部材に適用した場合に多様な光学設計が可能となり、様々な用途へ適用できる。なお、屈折率は後述する方法により測定される値である。
硬化物のガラス転移点は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。硬化物のガラス転移点が90℃以上であれば、85℃、85%RHの標準的な高温高湿試験環境においても硬化物の形状が安定するため(すなわち、変形しにくいため)、光学部材に適用した場合に光学部材としての信頼性が向上する。なお、本発明において、「硬化物のガラス転移点」とは、動的粘弾性測定装置にて硬化物の動的粘弾性及び損失正接を測定し、損失正接(tanδ)が最大値を示す温度である。具体的には、硬化物のガラス転移点は後述する方法により測定される値である。
本発明に係る光学部材は、本発明に係る硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。例えば、該光学部材は、該硬化物を成形して作製される。該成形は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。成形方法としては、コーティング方式、ポッティング成形方式、キャスティング成形方式、プリンティング成形方式、LIM方式、トランスファー成形方式などが挙げられる。成形時の硬化方法は、光学部材の透明性が良好となる点で、光重合、熱重合が好ましい。
本発明に係るレンズは、本発明に係る硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。該レンズは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ等の電子機器、自動車のバックカメラ、ドライブレコーダー、運転支援システム等に備え付けられるカメラモジュール等に用いられる。
本発明に係るカメラモジュールは、本発明に係るレンズを含む。
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物の全光線透過率およびヘーズを、ヘーズメーター(商品名:HM−150型、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
厚さ約100μmの硬化物の屈折率(ナトリウムD線(589nm)、25℃)を、多波長アッベ屈折計(商品名:DR−M2、株式会社アタゴ製)により測定した。なお、測定中間液として、イオウヨウ化メチレン(株式会社アタゴ製)を用いた。
約4mm×35mm×厚さ1mmの硬化物の動的粘弾性及び損失正接を測定し、損失正接(tanδ)が最大値を示す温度を、該硬化物のガラス転移点とした。測定には、動的粘弾性測定装置(商品名:RSA−II、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いた。測定条件は引っ張りモードとした。測定周波数は10Hzとした。
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を、リフロー処理の最大温度である260℃で30分間保管する耐熱試験を実施した後、分光測色計(商品名:CM−5、コニカミノルタ社製)により、該硬化物のb値を測定した。測定タイプは透過測定を選択した。該b値により耐熱黄変性を評価した。
<硬化性樹脂組成物の調製>
冷却器を備えた反応容器に、(A)成分としてNKエステルA−BPEF(商品名、新中村化学工業株式会社製、前記式(1)において、R1、R2、R3およびR4の全てが水素原子であり、n及びmがいずれも1である化合物)70部と、(B)成分としてベンジルメタクリレート(商品名:アクリエステルBZ、三菱レイヨン製)15部、およびオルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(商品名:MIRAMER M1142、MIWON社製)15部と、(C)成分としてチオジプロピオン酸ジトリデシル(商品名:アデカスタブAO−503、ADEKA製、23℃で液体)1部と、(D)成分としてトリデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ3010、ADEKA製、23℃で液体)1部と、(E)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE184、BASF社製)2部とを加えた。これを70℃で2時間撹拌することで、硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして、2枚のガラス板で挟み込み、高圧水銀灯で積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射した後、100℃で30分間加熱した。冷却後、板ガラスを除去し、全光線透過率およびヘーズの測定、並びに耐熱黄変性の評価に用いる、直径約50mm、厚さ約1mmの硬化物を得た。同様の方法により、約4mm×35mmの長方形状を切り抜いた厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いることで、ガラス転移点の測定に用いる約4mm×35mm×厚さ1mmの硬化物を得た。また、同様の方法により、厚さ約100μmのポリエステルテープを用いることで、屈折率の測定に用いる厚さ約100μmの硬化物を得た。
表1に記載の配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を調製し、硬化物を作製し、評価した。結果を表1に示す。
・BZMA:ベンジルメタクリレート(商品名:アクリエステルBZ、三菱レイヨン社製)
・MIRAMER M1142:オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(商品名:MIRAMER M1142、MIWON社製)
・アデカスタブAO−503:チオジプロピオン酸ジトリデシル(商品名:アデカスタブAO−503、ADEKA社製、23℃で液体)
・1−デカンチオール(商品名:1−デカンチオール、東京化成社製、23℃で液体)
・SFI−6R:ジヘキシルスルフィド(商品名:SFI−6R、大八化学工業社製、23℃で液体)
・カレンズMT PE1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1、昭和電工社製、23℃で液体)
・アデカスタブ3010:トリデシルホスファイト(商品名:アデカスタブ3010、ADEKA社製、23℃で液体)
・JP−308E:トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト(商品名:JP−308E、城北化学工業社製、23℃で液体)
・JP−318−O:トリオレイルホスファイト(商品名:JP−318−O、城北化学工業社製、23℃で液体)
・アデカスタブC:ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト(商品名:アデカスタブC、ADEKA社製、23℃で液体)
・JP−218−OR:ジオレイルハイドロゲンホスファイト(商品名:JP−218−OR、城北化学工業社製、23℃で液体)
・IRGACURE184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE184、BASF社製)
・LUCIRIN TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:LUCIRIN TPO、BASF社製)
・SUMILIZER GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(商品名:SUMILIZER GP、住友化学社製、23℃で固体)。
1a、1b カメラレンズ
2 レンズホルダー
3 基板
4 センサーチップ
5 赤外線カットフィルター
6a、6b ボンディングワイヤ
Claims (6)
- 前記(メタ)アクリレート(A)と前記(メタ)アクリル系重合性単量体(B)の総量100質量%に対して、前記(メタ)アクリレート(A)が55〜95質量%、前記(メタ)アクリル系重合性単量体(B)が5〜45質量%である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
- 請求項3に記載の硬化物を含む光学部材。
- 請求項3に記載の硬化物を含むレンズ。
- 請求項5に記載のレンズを含むカメラモジュール。
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