JP6582413B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物、光学部材及び光学デバイス - Google Patents
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また、特許文献2には、メタクリル酸フェニルとメタクリル酸メチルを共重合させたメタクリル系樹脂が開示されている。また、同文献には、該メタクリル系樹脂は吸湿性が低く、光学記録基板用に適していることも記載されている。
また、特許文献3の実施例では、吸水率が高いメチル(メタ)アクリレートモノマーが用いられており、このようなモノマーを用いた硬化物に対してはんだリフロー処理を行うと、発泡する。また、同文献の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、化粧板等の大型成形品のトップコート層形成用である。
そこで本発明は、透明性が高く、低吸水率であり、耐リフロー性に優れる硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、並びに該硬化性樹脂組成物に係る硬化物、光学部材及び光学デバイスを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の構成を備える。
[1]側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)、芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)及びラジカル重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物。
[2]前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)の合計量に対し、前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)を5〜80質量%、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)を20〜95質量%含有する、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]さらに、多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)を含有する、[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)及び前記多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)の合計量に対し、前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)を5〜50質量%、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)を20〜94質量%、前記多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)を1〜50質量%含有する、[3]に記載の硬化性樹脂組成物。
[5]さらに、蛍光体を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
[7][6]に記載の硬化物からなる光学部材。
[8][7]に記載の光学部材を備える光学デバイス。
また、「モノマー単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する。
該硬化性樹脂組成物は、さらに(D)成分又は他の成分を含有していてもよい。
(A)成分は、側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体である。すなわち、(A)成分は、主鎖としての(メタ)アクリル系モノマー単位を有する(メタ)アクリル系重合体(以下、「ベースポリマー」という。)に、側鎖としての重合性二重結合を有する官能基が置換された化学構造を有する。
硬化性樹脂組成物において、(A)成分は(B)成分および(D)成分に溶解しているのが好ましい。
ベースポリマーは、単一の(メタ)アクリル系モノマー単位からなる重合体であってもよく、複数の(メタ)アクリル系モノマー単位からなる共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル系モノマー単位は、単官能モノマー単位であってもよく、多官能モノマー単位であってもよい。
重合性二重結合とは、ラジカル重合ができる二重結合のことを意味する。
側鎖に含まれる重合性二重結合を有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が挙げられる。(B)成分や(D)成分との重合性の点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量に対し、5〜80質量%が好ましく、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは15〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量%である。
また、硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分の合計量に対し、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%、さらに好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。
硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量を前記下限値以上とすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を高くすることができ、また、硬化物の吸水率が低下し、耐リフロー性も良好になる。一方、前記上限値以下とすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低くすることができ、また、硬化物の透明性が良好になる。
(A)成分は、モノマーを重合してベースポリマーを合成し、次いで、化学修飾法により該ベースポリマーに重合性二重結合を有する官能基を導入することにより得てもよく、化学修飾法により重合性二重結合を有する官能基を導入したモノマーを重合することにより得てもよい。
重合方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、部分重合法等の公知の方法で重合することができる。本発明においては、重合反応の制御や生成した重合体の分離が比較的容易であることから、懸濁重合法が好ましい。
例えば、カルボキシル基とグリシジル基の反応であれば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー又は該モノマー単位を含有するベースポリマーに、グリシジル基と二重結合とを有する化合物を反応させる。
該グリシジル基と二重結合を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。硬化物の透明性の点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
該カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等が挙げられる。
反応触媒の量としては、モノマー又はベースポリマー100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。反応触媒の量を前記範囲内とすることで、反応時間を短縮でき、また、硬化物の透明性が良好になる。
(B)成分は、芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体である。
(B)成分が有する芳香環構造としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも、(A)成分及び(D)成分との相溶性の観点から、ベンゼン環が好ましい。
ベンゼン環構造を有する(B)成分の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、エトキシ化オルト−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物の透明性の点から、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、低吸水の点とガラス転移点が高い点からフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分の合計量に対し、20〜94質量%が好ましく、より好ましくは30〜88質量%、さらに好ましくは40〜82質量%、特に好ましくは40〜76質量%である。
硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合量を前記下限値以上とすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低くすることができ、また、硬化物の透明性が良好となる。一方、前記上限値以下とすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を高くすることができ、また、(A)成分及び(C)成分の含有率を高くすることができ、耐リフロー性が良好になる。
(C)成分は、ラジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤、及びレドックス系重合に用いられる過酸化物が挙げられる。
(C)成分の種類は、硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化物を作製する際の重合方法に応じて、適宜選択される。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチル−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、及び、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト及び4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t−ブチルアントラキノン及び2−エチルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン及び2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン及びイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型化合物;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
レドックス系重合開始剤の具体例としては、ジベンゾイルパーオキサイド((C)成分)と、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との併用系;ハイドロパーオキサイド((C)成分)と金属石鹸類(還元剤)との併用系;ハイドロパーオキサイド((C)成分)とチオ尿素類(還元剤)との併用系等が挙げられる。
(D)成分は、多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体である。該(D)成分を硬化性樹脂組成物に含有させることで、該硬化性樹脂組成物から得られた硬化物の耐リフロー性を、さらに良好にすることができる。
また、(D)成分は、(メタ)アクリロイル基が多いほど硬化物の架橋密度を向上させることができるため、耐リフロー性がさらに良好になる。(D)成分の(メタ)アクリロイル基の数は、硬化物の強度の観点から2〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の(A)成分〜(D)成分以外の、他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、例えば、酸化防止剤、蛍光体、(B)成分及び(D)成分以外のビニル基含有単量体、ゴム、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、揺変剤、重合禁止剤、離型剤、硝子フレーク、硝子繊維、顔料、シリカ微粒子、シルセスキオキサン化合物等が挙げられる。
酸化防止剤は、硬化物の耐熱黄変性を良好にするために用いられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール系酸化防止剤;及びトリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステリアル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
硬化性樹脂組成物を、例えば、発光ダイオードや太陽電池に用いられる波長変換用の蛍光シートの作製又は蛍光塗料として使用する場合、蛍光体等の波長変換材料を配合することができる。
蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、サルファイド系蛍光体、チオガレート系蛍光体、シリケート系蛍光体、アルミネート系蛍光体、ナイトライド系蛍光体、オキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
(B)成分及び(D)成分以外のビニル基含有単量体で(メタ)アクリロイル基を有するものの具体例としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル及び、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及び、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及び、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を含有する(メタ)アクリルモノマー、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート及び、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のヘテロ環構造を含有する(メタ)アクリルモノマー、その他のものとして、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート及び、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有さないビニル基含有単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体及び酢酸ビニル等のビニルエステルが挙げられる。
透明性と低吸水性の点から、脂環式構造を含有する(メタ)アクリルモノマーが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
シリカ微粒子又はシルセスキオキサン化合物は、硬化物の熱変形や、熱又は光による劣化を抑制するために用いられる。
シリカ微粒子の場合、硬化性樹脂組成物への分散性が良好となることや、硬化物の透明性が良好となることから、質量平均粒子径は、1〜300nmが好ましく、化学修飾によって反応性二重結合を導入したものがより好ましい。化学修飾の方法としては、例えば、加水分解反応によって、コロイダルシリカと、反応性二重結合とアルコキシシラン構造を有する化合物の反応を行う方法が挙げられる。
反応性二重結合とアルコキシシラン構造を有する化合物の具体例としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。化学修飾時にコロイダルシリカとの反応性が高く、また、得られる反応性二重結合を導入したシリカ微粒子が、(A)成分、(B)成分及び(D)成分との反応性が高いことから、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
硬化性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(B)成分中でベースポリマーへの二重結合導入反応を行い、(A)成分と(B)成分の混合物を得た後、常温で、(C)成分、(D)成分及び他の成分を適宜加え、攪拌混合し、硬化性樹脂組成物を得る方法等が挙げられる。
本発明の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物を硬化して作製される。
硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、用いる(C)成分の種類により、熱重合、光重合及びレドックス反応のいずれかの方法が選択される。
成形方法としては、例えば、ポッティング成形方式、キャスティング成形方式、プリンティング成形方式、LIM(Liquid Injection Molding)方式及びトランスファー成形方式が挙げられる。
アフターキュアー条件としては、70〜150℃で0.1〜24時間が好ましく、80〜130℃で0.5〜10時間がより好ましい。
本発明の光学部材は、上述の硬化物を成形して作製される。該成形は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。
光学部材としては、例えば、レンズ、シート、フィルム、被覆塗料、光導波路、封止材、充填材、接着剤、反射材、粘着剤、波長変換材、硝子繊維強化プラスチック等が挙げられる。
中でも、より高度に透明性、低吸水性、耐リフロー性が要求される、カメラレンズ、発光ダイオード用レンズ、蛍光体シートが好ましい。
レンズの成形方法としては、キャスティング成形方式、トランスファー成形方式、LIM方式等が挙げられる。レンズは、硬化物の単独成形品を用いることもできるが、平面ガラス又はガラスウエハー上に、硬化物を成形することで、ハイブリッドレンズ用材料として使用することもできる。
レンズを成形する際の硬化方法は、透明性が良好となるため、熱重合、光重合が好ましい。
従来、白色発光ダイオードの蛍光体は、封止材に分散させていた。しかし、蛍光体が発光ダイオード素子の発熱で劣化しやすい点が問題となっていた。そこで蛍光体シートを用いれば、熱源である発光ダイオード素子から蛍光体を隔離したリモートフォスファー型の発光ダイオードとすることにより、蛍光体を熱源から隔離することができるので、発光ダイオードデバイスを長寿命化できる。
また、蛍光体シートを太陽電池の表層に設けることで、光の波長を変換効率の高い波長へ変換できるため、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
蛍光体シートの成形方法としては、例えば、キャスティング成形方式、トランスファー成形方式、LIM方式等が挙げられる。
本発明の光学デバイスは、上述の光学部材を備える。
光学デバイスとしては、カメラ(カメラモジュールを含む)、発光ダイオードデバイス、携帯電話、スマートフォン、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池等が挙げられる。
中でも、より高い透明性、低吸水性、耐リフロー性が要求される、カメラモジュール、発光ダイオードデバイスが好ましい。以下、図1〜3を使用して、カメラモジュール、発光ダイオードデバイスを説明する。
また、その他のカメラモジュールの実施形態としては、ウエハー状に成形したレンズとイメージセンサーウエハーの接着積層体をダイシングするウエハーレベル方式によって成形されるもの等が挙げられる。
<評価方法>
実施例及び比較例における質量平均分子量、酸価、二重結合当量、透明性、吸水率、及び耐リフロー性についての評価は以下の方法で実施した。
製造したベースポリマー1〜5をそれぞれ溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーを用いて分子量を測定した。測定した分子量をポリスチレンにより換算した値を質量平均分子量とした。
製造したベースポリマー1〜4、及び樹脂液1〜14をそれぞれアセトンとエタノールの混合溶媒に溶解し、ベースポリマー1gを中和する水酸化カリウムのmg数を測定し、酸価とした。ベースポリマー1〜4の酸価を「初期酸価」、樹脂液1〜12、14中のベースポリマーの酸価を「反応後酸価」とした。
以下の式(1)を用いて、二重結合当量を評価した。
・1g当たりの二重結合量(mol)={(初期酸価−反応後酸価)/(水酸化カリウムの分子量)}/1000
・二重結合当量(g/mol)=1/(1g当たりの二重結合量)・・・式(1)
得られた厚さ3mmの硬化物のヘーズで評価した。ヘーズはヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)で測定し、以下の基準で透明性を評価した。
(評価基準)
◎:ヘーズが1.5%未満。
○:ヘーズが1.5%以上、2.0%未満。
△:ヘーズが2.0%以上、3.0%未満。
×:ヘーズが3.0%以上。
以下の吸水試験を実施した。得られた硬化物を幅20mm、長さ20mm、厚さ3mmに切り出し、90℃で20時間乾燥後、質量を測定した。この質量を試験前質量とした。質量測定後、85℃、85%RHの環境に硬化物を168時間保管した。保管後の質量を試験後質量とした。次の式(2)を用いて吸水率を算出し、以下の基準で評価した。
吸水率={(試験後質量−試験前質量)/試験前質量}×100 ・・・式(2)
(評価基準)
◎:吸水率が、0.5%未満。
○:吸水率が、0.5%以上、1.0%未満。
△:吸水率が、1.0%以上、1.5%未満。
×:吸水率が、1.5%以上。
吸水率測定において、吸水試験後質量を測定したサンプルを用いて評価した。耐リフロー性の評価は、リフローシュミレーター((株)マルコム製、SRS−1C)を用いて、該サンプルに図4のグラフに示すように経時的(横軸)な温度(縦軸)負荷を与える、リフロー試験により実施した。1サイクル終了後の樹脂板の発泡数で、耐リフロー性を評価した。
(評価基準)
◎:発泡数が、0個。
○:発泡数が、1個以上、3個未満。
△:発泡数が、3個以上、10個未満。
×:発泡数が、10個以上。
[ベースポリマー1]
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、分散媒として脱イオン水145部、分散安定剤としてポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールが完全に溶解した後、撹拌を停止し、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル6部、フェニルメタクリレート94部、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学(株)製、商品名:AMBN)0.2部、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン0.4部を加えて、再度撹拌した。
得られたベースポリマー1の質量平均分子量(Mw)は200,000であった。また、酸価は、8.3mgKOH/gであった。
表1に示した内容に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、ベースポリマー2〜5を製造し、質量平均分子量及び酸価の測定を行った。
ベースポリマー1〜5の製造で使用した成分の使用量と評価結果を表1に示す。なお、使用量は、モノマーの合計量を100部とした場合の割合を示す。また、ベースポリマー5については、化学修飾を行わないため酸価を測定しなかった。
冷却器を備えた反応容器に、(B)成分としてフェニルメタクリレート75部、重合禁止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン0.03部、グリシジル基と二重結合を有する化合物として、グリシジルメタクリレート1.6部、反応触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.2部を加えた。反応容器内の液を攪拌しながら、ベースポリマー1を25部加え、反応容器内を95℃に昇温した。温度を維持したまま10時間攪拌することで、ベースポリマー1への二重結合導入反応行った。10時間後、常温まで冷却し、樹脂液(これを「樹脂液1」と称する。また、表2〜3で示した他の樹脂液についても同様に番号を付して称する。)を得た。樹脂液1中のベースポリマーの酸価は、2.5mgKOH/gであった。酸価から算出した(A)成分の二重結合当量は、9700g/molであった。
表2〜3に示した内容に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、樹脂液2〜11、14を製造し、質量平均分子量及び酸価の測定、二重結合当量の算出を行った。
主要成分の使用量と結果を表2〜3に示した。なお、使用量は、ベースポリマー、及び(B)成分又は(B’)成分、並びに後の表4〜5において(D)成分を加える場合には(D)成分の合計量を100部とした場合の割合を示す。
冷却器を備えた反応容器に、メチルメタクリレート65部、重合禁止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン0.03部、グリシジル基と二重結合を有する化合物としてグリシジルメタクリレート1.6部、反応触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.2部を加えた。反応容器内の液を攪拌しながら、ベースポリマー5を25部加え、反応容器内を95℃に昇温した。温度を維持したまま5時間攪拌することで、ベースポリマー5への二重結合導入反応を行った。5時間後、常温まで冷却し、(B)成分を含まない樹脂液12を得た。樹脂液12の酸価は、1.7mgKOH/gであった。反応後のベースポリマー5の二重結合当量は、2600g/molであった。
冷却器を備えた反応容器に、(B)成分としてフェニルメタクリレート65部、重合禁止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン0.03部、加えた。反応容器内の液を攪拌しながら、ベースポリマー5を25部加え、反応容器内を65℃に昇温し、温度を維持したまま2時間攪拌を行った。2時間後、常温まで冷却し、樹脂液13を得た。樹脂液13中の側鎖に重合性二重結合を有さない重合体(ベースポリマー5)を(A’)成分と称する。
[実施例1]
樹脂液1に酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASFジャパン(株)製、商品名:IRGANOX(登録商標)1076)0.2部、(C)成分として1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(製)、商品名:パーオクタO)2部を加え、常温で30分間攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を脱泡した後に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで被覆したガラス2枚をPETフィルム面が向き合うように対向させ、2枚のガラス板の隙間の端部に塩化ビニル樹脂製のガスケットを挟み込んで形成したセルの中に流し込み、密閉した。硬化性樹脂組成物を有するセルを70℃で5時間加熱して硬化を行い、さらに100℃で1時間のアフターキュアーを行った。次いで、セルを常温に冷却後、セル両面のガラス及びPETフィルムを剥がし取り、厚さ3mmの硬化物を得た。得られた硬化物を用いて各評価を実施した。結果を表4に示した。
樹脂液3に酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASFジャパン(株)製、商品名:IRGANOX1076)0.2部、(C)成分としてIRGACURE184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名:IRGACURE(登録商標)184)2部を加え、常温で30分間攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を脱泡した後に、2枚のガラス板の隙間の端部に塩化ビニル樹脂製のガスケットを挟み込んで形成したセルの中に流し込み、密閉した。ガラス面の一方からメタルハライドランプを用いて、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射した後、もう一方のガラス面からメタルハライドランプを用いて、更に積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、その後100℃で30分間加熱した。次いで、セルを常温に冷却後、セル両面のガラスを剥がし取り、厚さ3mmの硬化物を得た。得られた硬化物を用いて各評価を実施した。結果を表4に示した。
用いた成分を表4〜5に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物及び硬化物を作製し、各評価を実施した。
硬化性樹脂組成物中の主要成分の配合量と評価結果を表4〜5に示す。なお、配合量は、(A)成分又は(A’)成分、(B)成分又は(B’)成分、及び(D)成分の合計量を100部とした場合の割合を示す。
一方、比較例1の硬化物は(B)成分の代わりに、芳香環構造を有しないメチルメタクリレート((B’)成分)を用いたため、吸水率が高く、また、透明性、耐リフロー性が不良であった。
また、比較例2の硬化物は、(A)成分の代わりに、側鎖に重合性二重結合を有しない(メタ)アクリル系重合体((A’)成分)を用いたため、耐リフロー性が不良であった。
PHMA:フェニルメタクリレート。
PA:フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル。
MAA:メタクリル酸。
MMA:メチルメタクリレート。
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)。
GMA:グリシジルメタクリレート。
BZMA:ベンジルメタクリレート。
PHOEtMA:フェノキシエチルメタクリレート。
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン。
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロマイド。
TPP:トリフェニルホスフィン。
POO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーオクタO、10時間半減期温度=65.3℃)。
IRGACURE184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名:IRGACURE184)。
DCP−A:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDCP−A)。
PBOM:ポリブチレングリコールジメタクリレート、重合度n=8〜9(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルPBOM)。
PPOM:ポリプロピレンレングリコールジメタクリレート、重合度n≒7(日油(株)製、商品名:ブレンマー(登録商標)PDP−400N)。
M−327:ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、商品名:アロニックス(登録商標)M−327)。
EA−0200:9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル製、商品名:OGSOL(登録商標) EA−0200)。
IRGANOX1076:n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASFジャパン(株)製、商品名:IRGANOX1076)。
Claims (7)
- 側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)(ただし、反応性の不飽和基を複数有し、重量平均分子量が2,000〜100,000であり、更にトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であり、反応性の不飽和基を2つ有するモノマーと1つ有するモノマーを共重合させて得られる多官能共重合体を除く。)、芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)及びラジカル重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)の合計量に対し、前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)を10〜70質量%、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)を30〜90質量%含有し、
前記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の吸水率が1.0質量%未満である硬化性樹脂組成物。 - さらに、多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)を含有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)及び前記多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)の合計量に対し、前記側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体(A)を5〜50質量%、前記芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(B)を20〜94質量%、前記多官能の(メタ)アクリル系重合性単量体(D)を1〜50質量%含有する、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、蛍光体を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項5に記載の硬化物からなる光学部材。
- 請求項6に記載の光学部材を備える光学デバイス。
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