JP2005029774A - 活性エネルギー線硬化用組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 未処理のPET等のプラスティック素材等に対して密着性を有するとともに、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性を有する活性エネルギー線硬化用組成物を提供する。
【解決手段】 N−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分から形成される共重合体に活性エネルギー線硬化性を有する二重結合が導入された変性重合体を必須成分として含む活性エネルギー線硬化用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化用組成物に関する。より詳しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等のプラスティック素材に対するインキ、コーティング材、塗料、接着剤等に使用することができる活性エネルギー線硬化用組成物に関する。
活性エネルギー線硬化用組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合して硬化皮膜等を形成する組成物であり、例えば、インキ、コーティング材、塗料、接着剤等の各種用途において用いられている。このような活性エネルギー線硬化用組成物は、硬化特性等が良好であることから、プラスティック素材等に印刷するためのインキ組成物として適用することが可能であり、特に近年ではクレジットカードやプリペイドカード等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、DVD(digital versatile disk)等の光ディスク用材料として使用されるポリカーボネート(PC)、各種の包装用紙や容器等のラミネート材として使用されるポリプロピレン(PP)等に対する密着性が良く、かつ、紫外線(UV)硬化性を有する材料が求められている。
現状では、例えばプラスティック基材の場合、プラズマ放電処理やコロナ放電処理等により表面処理した上に活性エネルギー線硬化用組成物のコーティングが施されている場合が多いが、表面処理のためのランニングコストが高いという問題がある。プラスティック基材の中でも、例えばPETの場合には表面処理のランニングコストが高いことに加えて、表面処理装置の腐食の問題もある。この腐食は、おそらく表面処理するとテレフタル酸等の酸成分が分解生成することに起因すると考えられる。このようなことから、未処理のPET等のプラスティック素材等にコーティング剤(液状)を塗布し、UV等の活性エネルギー線を照射するという工程だけで各種の性能に優れた硬化皮膜等を形成することができるものが求められている。
また、ポリプロピレン(PP)の場合、プラズマ放電処理やコロナ放電処理等により表面処理をした上に、通常、塩素化ポリエチレン等の塩素化ポリオレフィンをコーティングしているが、ハロゲン含有の材料を使用することは環境への付加低減の観点からは好ましくない。更に、プラズマ放電処理やコロナ放電処理等されたポリプロピレン表面の経時劣化(表面張力の上昇)が起こりやすく、表面処理を施されたポリプロピレンでさえも良好な密着性を有する紫外線(UV)硬化性を有する材料がないのが現状であり、これらの問題を解決できる材料が求められている。
従来のUV等で硬化する共重合体に関し、ビニルラクタム(a)、並びに、疎水性ビニル単量体、親水性ビニル単量体及び官能性ビニル単量体からなる群から選ばれる異なるタイプの少なくとももう一つのビニル単量体(b)から実質的になる単量体混合物の共重合生成物を含む水溶性の架橋させ得る共重合体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この共重合体においては、水溶性の架橋させ得る共重合体とされており、単量体混合物の組成比の範囲について、30〜95モル%のビニルラクタム(a)、並びに、5〜70モル%のビニル単量体(b)と開示されている。しかしながら、未処理のPET等のプラスティック素材等に対して密着性を有するとともに、インキ用途等において要求される耐メタノール性等の耐溶剤性等の特性が充分に発揮されるように、単量体の組み合わせや共重合体の特性等を最適なものとする工夫の余地があった。
感光性記録素子に関し、少なくとも1つのN−ビニルアミド10〜50重量%、アクリル酸及び/又はメタクリル酸8〜30重量%並びにそれ自体水及びアルカリ性水溶液に不溶の単独重合体を形成する少なくとも1つの疎水性コモノマー30〜80重量%からなる、カルボキシル基が部分的にグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によってエステル化されている皮膜形成性共重合体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、この共重合体がN−ビニルピロリドン及び/又はN−ビニルカプロラクタムをN−ビニルアミドコモノマーとして重合導入して含有すること、多官能価の光重合可能のエチレン性不飽和化合物や光重合開始剤を含有してもよいこと、UV−レーザーによりレジストパターンを製造することが開示されている。しかしながら、カルボキシル基が部分的にグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によってエステル化されている共重合体がKOH20〜100mg/gの酸価を有するレジストパターンを製造するのに適当である感光性記録素子であることから、未処理のPET等のプラスティック素材に対して、コーティング剤やインキ等として好適に用いることができるようにするための工夫の余地があった。
ところで、N−ビニルアミド単位を有する重合体と、活性水素と反応する官能基を2個以上有する化合物とを必須成分として含む硬化性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、ポリビニルピロリドン(PVP)と水溶性メラミンとの熱硬化物がPETに対して硬化皮膜を形成できることが開示されている。この硬化性樹脂組成物は、親水性と耐水性を両立できる熱硬化性の樹脂組成物であることから、UV等の活性エネルギー線を照射するという工程により各種の性能に優れた硬化皮膜等を形成することができるようにするための工夫の余地があった。
また化学線透過性のキャリヤーフィルムとキャリヤーフィルムに相溶性であるインキの少なくとも1層からなるグラフィックパターンと化学線に感応する連続的な接着剤層からなる乾式転写用製品が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、イソオクチルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、N−ビニルピロリドン(NVP)の混合モノマーの酢酸エチル溶液をキャリヤーフィルム上に塗布して予備乾燥を行い、接着剤層を形成させ、その後、部分的にUV照射した後、接着剤層側を鋼板に圧着し、それから、キャリヤーフィルムを剥がすと、UV硬化した部分はキャリヤーフィルムに引っ付いて剥がれることが開示されている。このことは、UV照射されて硬化した部分(NVP含有ポリマーの部分)は鋼板に引っ付かずに、キャリヤーフィルムに引っ付いて剥がれることを表している。キャリヤーフィルムとしては、PETが挙げられている。しかしながら、キャリヤーフィルムへの接着性について、碁盤目試験のような具体的な結果の記載はない。したがって、未処理のPET等のプラスティック素材等に対して充分な密着性を有し、活性エネルギー線硬化用組成物として好適なものとなるようにしたうえで、更に、クレジットカードやプリペイドカード等の用途に対して広く適用することができるように、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性等についても優れた特性を発揮することができるようにするための工夫の余地があった。
特開平7−196744号公報(第1、18−23頁) 特許公報第2592454号(第1−2、10、13、17頁) 特開2003−113220号公報(第1−2、7頁) 昭58−212981号公報(第1、4、8−11頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、未処理のPET等のプラスティック素材等に対して密着性を有するとともに、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性を有する活性エネルギー線硬化用組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、活性エネルギー線硬化用組成物について種々検討したところ、N−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分から形成された共重合体に活性エネルギー線硬化性を有する二重結合が導入された変性重合体を必須成分とすると、N−ビニルアミドにより未処理のPET等のプラスティック素材等に対する密着性を発現することができ、二重結合が導入されることにより、好ましくは、側鎖にラジカル重合性二重結合を有することによりUV硬化性等の活性エネルギー線硬化性を付与することができ、また、アルキル(メタ)アクリレートにより塗膜に可撓性及び耐溶剤性を付与することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。従来の技術においては、このようにN−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートにより形成される共重合体に活性エネルギー線硬化性を有する二重結合が導入された変性重合体を必須成分とした活性エネルギー線硬化用組成物をPET等のプラスティック素材のコーティングに使用した先行技術はなく、本発明においては、未処理のPET等のプラスティック素材等に対する密着性、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性等のコーティング(塗膜)等に対する要求性能を満たすことが可能であり、この点において従来の技術に対して有利な効果を奏するものである。
また本発明における二重結合が導入された変性重合体を(1)多官能単量体及び/又は(2)単官能単量体と共に、好ましくは所定の配合比で混合し、UV硬化性等の活性エネルギー線硬化用シラップの状態で使用すると、硬化物物性を向上させることができ、特に上記(1)と(2)との単量体配合比、また、上記変性重合体を合わせた全体の配合比が、本発明の活性エネルギー線硬化用組成物の硬化物物性に影響を与え、これを最適化すると更に優れた物性を発揮させることができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、N−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレー卜を必須とする単量体成分から形成された共重合体に活性エネルギー線硬化性を有する二重結合が導入された変性重合体を必須成分として含む活性エネルギー線硬化用組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、活性エネルギー線により重合する二重結合が導入された変性重合体を必須成分として含む。本発明においては、変性重合体を形成する単量体成分がN−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートを必須とすることにより、変性重合体がこれらの単量体により形成される構成単位を有することになる。このような変性重合体は、水溶性ではないことが好ましく、これにより、未処理のPET等のプラスティック素材等に対して密着性を有するとともに、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性を有するという本発明の作用効果がより充分に発揮されることになる。
上記変性重合体は、更にエポキシ基含有ラジカル重合性単量体を含む単量体成分から形成される共重合体が有するエポキシ基とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体との反応により形成されたものである、又は、更にカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体含む単量体成分から形成される共重合体が有するカルボキシル基とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体との反応により形成されるものであることが好ましい。これにより、共重合体の側鎖にラジカル重合性二重結合を導入することができ、UV硬化用等の活性エネルギー線硬化用として好適なものとなる。このような形態、すなわち1.N−ビニルアミド単位、2.側鎖にラジカル重合性二重結合を有する重合性単量体単位、3.アルキル(メタ)アクリレート単位を構成単位とする変性重合体を必須成分とする活性エネルギー線硬化用組成物は、本発明の好ましい実施形態の一つである。
なお、変性重合体を形成する上記各単量体は、それぞれ1種又は2種以上で用いることができる。また、本発明の作用効果が発揮されることになる限り、上記必須の単量体以外の単量体を用いてもよい。
上記N−ビニルアミド単量体としては、下記一般式(1);
Figure 2005029774
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。R及びRは、同一又は異なって、水素、メチル基又はエチル基を示し、R及びRとは、結合して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよい。)で表される化合物が好適であり、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド等の脂肪族カルボン酸アミド;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニルラクタムが好適である。中でも、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであり、アルキル部分が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、ドデシル基、ステアリル基等の炭素数1〜18の脂肪族アルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシブチル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜10のアルコキシアルキル基;フェニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、4−エチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、4−ドデシルフェニル基等の炭素数が6〜24の芳香族アルキル基であるものが好適である。なお、これらアルキル基を形成する炭素に結合している水素の一部が、塩素、臭素、フッ素等のハロゲンで置換されていてもよい。
上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体としては、エポキシ基とラジカル重合性基とを分子内に有する単量体であればよく、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等が好適である。中でも、グリシジルメタクリレートが好ましい。また、分子内に少なくとも1種類以上の脂環式骨格を有するエポキシ基含有不飽和化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートやそのカプロラクトン変性物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートやそのカプロラクトン変性物等、式(2)〜(14)に示す化合物も好ましい。
Figure 2005029774
(上記各式中Rは水素原子又はメチル基を、Rは炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素を示す。)
上記カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、カルボキシル基とラジカル重合性基とを分子内に有する単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに酸無水物を付加させたもの等が好適である。
上記酸無水物としては、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸等の酸無水物等を挙げることができ、これらの中でも、コハク酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸の酸無水物が好ましい。
本発明の好ましい形態としては、(1)(A)N−ビニルアミド、(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体及び(C)アルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分から形成された重合体(以降、共重合体と称す)のエポキシ基が、部分的に又は全部が(D)カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体との反応によってエステル化された重合体(以降、変性重合体と称す)を必須成分として含む活性エネルギー線硬化用組成物、又は、(2)(A)N−ビニルアミド、(D)カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体及び(C)アルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分から形成された重合体(以降、共重合体と称す)のカルボキシル基が、部分的に又は全部が(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体との反応によってエステル化された重合体(以降、変性重合体と称す)を必須成分として含む活性エネルギー線硬化用組成物が挙げられる。
上記(1)の形態においては、(A)N−ビニルアミドを5〜50モル%、好ましくは8〜45モル%、更に好ましくは10〜40モル%、(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を5〜50モル%、好ましくは8〜45モル%、更に好ましくは10〜40モル%、(C)アルキル(メタ)アクリレートを20〜80モル%、好ましくは25〜70モル%、更に好ましくは30〜60モル%を必須とする単量体成分から形成された重合体(ただし、(A)+(B)+(C)=100モル%)であり、重合体中のエポキシ基の10〜100モル%が(D)カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体によってエステル化されていることが好ましい。
上記(2)の形態においては、(A)N−ビニルアミドを5〜50モル%、好ましくは8〜45モル%、更に好ましくは10〜40モル%、(D)カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体を5〜50モル%、好ましくは8〜45モル%、更に好ましくは10〜40モル%、(C)アルキル(メタ)アクリレートを20〜80モル%、好ましくは25〜70モル%、更に好ましくは30〜60モル%を必須とする単量体成分から形成された重合体(ただし、(A)+(D)+(C)=100モル%)であり、重合体中のカルボキシル基の10〜100モル%が(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体によってエステル化されていることが好ましい。
本発明においては、(A)N−ビニルアミド及び(C)アルキル(メタ)アクリレートを必須とし、更にカルボキシル基を有する単位を構成単位とする共重合体を製造し、これに(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を反応させて得られた変性重合体を活性エネルギー線硬化用組成物の必須成分とする場合、上記(2)のように、(A)N−ビニルアミド、(D)カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体及び(C)アルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分を共重合してから(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を反応させて得られた変性重合体を用いてもよく、(3)水酸基含有単量体を(A)N−ビニルアミド及び(C)アルキル(メタ)アクリレートと共重合した後、酸無水物と反応させてカルボキシル基を導入した後、(B)エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を反応させて得られた変性重合体を用いてもよい。
上記酸無水物としては、上述したものと同様のものを用いることができる。
上記の水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明にかかる共重合体を調製するための重合方法としては、溶液重合、沈殿重合、乳化重合、懸濁重合が使用できる。乳化重合又は懸濁重合を行う際には、通常では分散剤を使用することになる。例えば、乳化重合の際の乳化剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が使用でき、懸濁重合の安定化剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を使用することができる。
上記溶液重合に使用可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
上記沈殿重合に使用可能な溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記重合方法においては、通常では重合開始剤を用いることになる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジブチルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が使用できる。
上記重合開始剤の含有量としては、本発明にかかる重合体を調製するのに使用する重合性単量体の総量に対して、0.01〜20質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%以下である。
上記重合方法における重合条件としては、重合温度は特に限定されないが、40〜150℃で重合を行う。また、通常は常圧下で重合を行うが、加圧条件下でも減圧条件下でもよい。重合時間は特に限定されないが、通常では3〜15時間である。
本発明にかかる変性重合体の合成、すなわち、本発明にかかる共重合体にラジカル重合性二重結合を導入する反応に関して、使用溶媒としては、共重合体を溶液重合によって得た場合には、そのままの溶媒を使用すればよい。沈殿重合、懸濁重合、乳化重合によって共重合体を得た場合には、通常の方法でろ過、洗浄、乾燥させて共重合体を取り出し、共重合体が溶解する溶媒に溶かして反応を行えばよい。使用可能な溶媒は、上記溶液重合に使用可能な溶媒と同様である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化用組成物の構成成分として使用することができる多官能単量体や単官能単量体を溶剤として用いることもできる。
上記二重結合導入に使用する単量体の使用量は、所望する物性を発現させるために必要な量を使用すればよく、例えば、共重合体中のエポキシ基又はカルボキシル基に対して、10〜100モル%のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体又はエポキシ基含有ラジカル重合性単量体を使用することが好ましい。
上記二重結合導入反応には、触媒を使用することが好ましい。例えば、エポキシ基とカルボキシル基の反応に際して使用する触媒としては、エステル化において使用することができる触媒が使用でき、トリフェニルホスフィン、トリス(パーフルオロフェニル)ホスフィン等のホスフィン類;テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩;テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルイミダゾール等のアミン類を使用することができる。
上記二重結合導入反応には、ペンダント二重結合の導入に使用される単量体が重合しないように、重合禁止剤の1種又は2種以上を使用することができる。重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤等が好適である。これらの中でも、キノン系やN−オキシル類の重合禁止剤が好ましく、ベンゾキノン、フェノチアジンや4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が好適に用いられる。
上記二重結合導入反応の反応条件としては、反応温度は特に限定されないが、通常では50〜150℃であり、好ましくは70〜120℃である。反応温度が50℃より低いと、反応時間が長くなりすぎたり、触媒が反応途中で失活する場合があるので好ましくなく、150℃より高いと、二重結合導入に使用した単量体の重合が進行する等の副反応が起こる場合があるので好ましくない。反応時間は特に限定されないが、通常では3〜20時間である。
上記変性重合体の重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で、1000〜100000であることが好ましい。Mwが1000より低いと、塗膜が脆くなる等硬化物の特性が充分とはならないおそれがあり、100000を超えると、後述する多官能単量体及び/又は単官能単量体と配合して得られるシラップの粘度が高くなって作業性が充分なものとはならず、取り扱いが困難となるおそれがある。より好ましくは、2000〜80000であり、更に好ましくは、3000〜50000である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、上記変性重合体を活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体及び/又は単官能単量体と配合してなるものであることが好ましい。多官能単量体、単官能単量体はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールといったポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールといったポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールベンゼン等の二価アルコールの(メタ)アクリレート、上記二価アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる二価アルコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリンにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる三価アルコールのジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる四価アルコールのトリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物類;同一分子内に(メタ)アクリル基とビニルエーテル基とを有する2−ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の異種重合性化合物等を挙げることができ、いずれも好適に使用できる。
近年、塗料やインキ等の業界においては、作業従事者や環境への配慮から、一次皮膚刺激性(PII)の低い多官能単量体を使用する傾向にあり、一次皮膚刺激性の高い多官能単量体の使用は敬遠されている。本発明の活性エネルギー線硬化用組成物に使用できる多官能単量体は、上述した多官能単量体に属するものであれば一次皮膚刺激性の高低に関係なく使用できるが、上述の理由により、一次皮膚刺激性の低い多官能単量体を使用することが好ましい。一次皮膚刺激性の低い多官能単量体としては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる二価アルコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリンにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる三価アルコールのジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させて得られる四価アルコールのトリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、いずれも好適に使用できる。
また単官能単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の単官能N−ビニル化合物類等を挙げることができ、いずれも好適に使用できるが、上述した理由により、単官能単量体に関しても一次皮膚刺激性の低いものを使用することが好ましい。一次皮膚刺激性の低い単官能単量体としては、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類を挙げることができ、いずれも好適に使用できる。
上記多官能単量体及び/又は単官能単量体は、変性重合体100重量部に対して、活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体と単官能単量体との総和が10〜500重量部で配合され、かつ、該多官能単量体と該単官能単量体との重量比が100/0〜20/80であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、上記変性重合体を多官能単量体及び/又は単官能単量体に溶かして、液状のUV硬化用シラップ等の活性エネルギー線硬化用シラップとすることが好ましい。
このようなUV硬化用シラップの調製方法としては、溶剤中で上記共重合体を生成する共重合反応と二重結合を導入するUV硬化性二重結合導入反応を行って変性重合体とし、変性重合体の溶液に、多官能単量体及び/又は単官能単量体を所定量配合した後、溶媒を留去してUV硬化用シラップを調製してもよいし、変性重合体溶液を貧溶媒中に投じて変性重合体を析出させ、通常の方法でろ過、乾燥させて変性重合体を取り出し、これに多官能単量体及び/又は単官能単量体を所定量配合してUV硬化用シラップを調製してもよい。
上記UV硬化用シラップ等の活性エネルギー線硬化用シラップの配合比としては、変性重合体100重量部に対して、活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体と単官能単量体の総和が10〜500重量部であり、かつ前記多官能単量体と前記単官能単量体との重量比が100/0〜20/80であることが好ましく、所望する硬化物の物性に応じて配合比を設定すればよい。変性重合体100重量部に対して配合する活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体と単官能単量体の総和は、好ましくは15〜400重量部であり、更に好ましくは20〜300重量部である。
また、配合に使用する多官能単量体と単官能単量体の重量比は、好ましくは100/0〜30/70であり、更に好ましくは100/0〜40/60である。変性重合体100重量部に対して、活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体と単官能単量体の総和が10重量部よりも少ない場合には、活性エネルギー線硬化用シラップの粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合があるので好ましくなく、500重量部よりも多い場合には、硬化物のタックフリー性や耐溶剤性といった物性が低下する場合がある。また、配合に使用する多官能単量体と単官能単量体の重量比が100/0〜20/80以外の場合、つまり、単官能単量体の使用量が多い場合には、硬化物のタックフリー性や耐溶剤性といった物性が低下する場合がある。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、インキ、コーティング材、塗料、接着剤等の各種用途に用いることができる。特に、クレジットカードやプリペイドカード等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、DVD(digital versatile disk)等の光ディスク用材料として使用されるポリカーポネート(PC)、各種の包装用紙や容器等のラミネート材として使用されるポリプロピレン(PP)等に対する密着性が良く、かつ、紫外線(UV)硬化性を有する材料であり、このような用途に有用なものである。
上記各種用途において、本発明の活性エネルギー線硬化用組成物には、着色剤を配合することができる。このように、着色剤を配合した活性エネルギー線硬化用組成物は、本発明の好ましい実施形態の一つである。着色剤としては、染料、顔料が好適であり、これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。また、染料と顔料とを併用してもよい。
上記染料としては、直接染料、酸性染料、反応性染料、油溶性染料等、各種染料を用いることができるが、これらの中で、特に油溶性染料が好適である。
上記顔料としては、無機顔料や有機顔料が挙げられ、無機顔料としては、亜鉛華、二酸化チタン、べんがら、コバルトブルー、鉄黒等の酸化物;アルミナホワイト、黄色酸化鉄等の水酸化物;硫化亜鉛、朱等の硫化物やセレン化物;紺青等のフェロシアン化物;ジンククロメート、モリブデンレッド等のクロム酸塩;沈降性硫酸バリウム等の硫酸塩;沈降性炭酸カルシウム等の炭酸塩;含水ケイ酸塩、群青等のケイ酸塩;マンガンバイオレット等のリン酸塩;アルミニウム粉(ペースト)、ブロンズ粉、亜鉛末等の金属粉;カーボンブラック等が好適である。
上記有機顔料としては、ナフトールグリーン等のニトロソ顔料;ナフトールエローS等のニトロ顔料;リソールレッド、レーキレッドC、ウオッチングレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー10B等のアゾレーキ顔料、ファストエロー、ジスアゾエロー、ピラゾロンオレンジ、レーキレッド4R、ナフトールレッド等の不溶性アゾ顔料、クロモフタールエロー、クロモフタールレッド等の縮合アゾ顔料等のアゾ顔料;ピーコックブルーレーキ、アルカリブルーレーキ等の酸性染料レーキ、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、マラカイトグリーンレーキ等の塩基性染料レーキ等の染付レーキ顔料;フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン顔料;アントラピリミジンエロー、ペリノンオレンジ、ペリレンレツド、チオインジゴレッド、インダントロンブルー等のスレン顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン顔料、イソインドリノンエロー等のイソインドリノン等の縮合多環顔料;昼光螢光顔料等の染料樹脂固溶体等が好適である。
上記着色剤の含有量としては、活性エネルギー線硬化用組成物を100質量%とすると、0.01質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上、35質量%以下であり、更に好ましくは、0.1質量%以上、30質量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、更に、重合開始剤を含んでなることが好ましい。重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類。これらの中でも、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類が好適である。特に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1オン。
上記重合開始剤の含有量としては、活性エネルギー線硬化用組成物を100質量%とすると、0.01質量%以上であることが好ましく、また、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上であり、また、20質量%以下である。更に好ましくは、0.1質量%以上であり、また、10質量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物においては、光(特には、紫外線)を照射する際に、染料や顔料等によって、光(特には、紫外線)が吸収又は隠蔽されることによる硬化速度の低下を防止する目的で、増感剤を使用することもできる。
上記増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物、O−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムシエチルチオホスフェート又は芳香族スルフィン酸の可溶性塩等の硫黄化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン又はナトリウムジエチルジチオホスフェート等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物においてはまた、硬化性樹脂を含んでいてもよい。硬化性樹脂とは、硬化可能な重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーであって、熱及び/又は紫外線、電子線、ガンマー線等の活性エネルギー線により硬化するものをいう。このような硬化性樹脂としては、ラジカル重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーを用いることができる。
上記硬化性樹脂の数平均分子量としては、300以上が好ましく、1000000以下が好ましい。300未満であると、顔料等の分散安定剤が低下するおそれがあり、1000000を超えると、活性エネルギー線硬化用組成物の粘度が高くなるおそれがある。より好ましくは、500000以下であり、更に好ましくは、100000以下であり、特に好ましくは、50000以下である。
上記ラジカル重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーとしては、飽和若しくは不飽和の多塩基酸又はその無水物酸(例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸等)と飽和又は不飽和の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールベンゼン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)と(メタ)アクリル酸との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート;飽和又は不飽和の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)との反応で得られるウレタンポリ(メタ)アクリレート;ポリシロキサンと(メタ)アクリル酸との反応によって得られるポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート;ポリアミドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られるポリアミドポリ(メタ)アクリレート;ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等とカチオン重合性化合物(例えば、ビニルエーテル類、アルキレンオキサイド類、グリシジルエーテル類等)との反応によって得られる(メタ)アクリロイル基ペンダントポリマー等が好適である。
上記硬化性樹脂の含有量としては、活性エネルギー線硬化用組成物を100質量%とすると、0.1質量%以上が好ましく、また、90質量%以下が好ましい。より好ましくは、1質量%以上であり、また、80質量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物はまた、上記構成要素以外の添加剤等を1種又は2種以上を含んでいてもよく、例えば、希釈溶剤、バインダー、フィラー、顔料分散剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防かび剤、界面活性剤、可塑剤、ワックス、レベリング剤、空気接触面における硬化促進剤等が好適である。
上記希釈溶剤としては、ミネラルスピリット、石油ナフサ S−100、石油ナフサ S−150、トルエン、キシレン、テトラリン、テレピン油等の炭化水素;酢酸n−ブチル、酢酸メトキシブチル等のエステル;メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン等のアルコール;イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール等のアルコール;メチルセロソルブ:エチルセロソルブ:ブチルセロソルブ:セロソルブアセテート:ブチルセロソルブアセテート:ブチルカルビトール等の多価アルコール誘導体等が好適である。
上記希釈溶剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、50質量%以下が好ましい。より好ましくは、30質量%以下である。
上記バインダーとしては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アルキッド樹脂、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン樹脂、水性樹脂等が好適である。
上記バインダーの使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、20質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以上、10質量%以下である。
上記フィラーとしては、ガラスフリット、シリカ微粒子、有機微粒子、金属微粒子等が好適である。
上記フィラーの使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、2質量%以上、20質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以上、10質量%以下である。
上記顔料分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等が好適である。
上記顔料分散剤の使用量としては、顔料100質量部に対して10質量部以上、200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、20質量部以上、100質量部以下である。
上記導電性付与剤としては、活性エネルギー線硬化用組成物に可溶な塩であればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硝酸塩、チオシアン酸塩が用いられる。これらの中でも、硝酸リチウム、三酸化硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、塩化水素酸ジメチルアミン等が好適である。
上記導電性付与剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上、5質量%以下である。更に好ましくは、0.5質量%以上、3質量%以下である。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、下記の化合物が好適である。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−4′−n−オクトキシ−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−4′−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物。
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。
フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリシレート類;N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)エタンジアミド、N−(2−エトキシフェニル)−N′−(2−エチル)エタンジアミド等のシュウ酸アニリド誘導体;2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリル酸オクチル、2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3−フェニル−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル酸−(2−エチルヘキシル)、2−シアノ−3−(p−メトキシフェニル)−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル酸−(2−エチルヘキシル)、p−メトキシ−α−(3,4−キシリル)ベンジリデンマロノニトリル等の不飽和ニトリル基を含有する紫外線吸収剤。
上記紫外線吸収剤としては、これらの中でも、紫外線硬化を阻害しにくい点から、トリアジン系化合物、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノンの使用が好ましい。
上記紫外線吸収剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上であり、また、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.001質量%以上であり、また、5質量%以下である。
上記酸化防止剤としては、4,4′−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−エチリデンビス−(4,6,−ジ−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス−3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、2,2′−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリル酸−t−ブチル、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、N.N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)、1,6−ヘキサンジオールビス−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−チオジエチルビス−{3−(3′,5′−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール系化合物
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピン[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物;ジラウリルジチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス―(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジ−ミリスチルチオジプロピオネート、ジ−トリデシルチオプロピオネート等の有機硫黄系化合物;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸ジエチルエステル、3,5―ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸ジオクタデシルエステル等のリン酸エステル類等が好適である。これらの中でも、耐久性向上効果の点から特にヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
上記酸化防止剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.001質量%以上、5質量%以下である。
上記乾燥防止剤としては、グリセリン、ポリグリセリン、グリコール等が好適である。浸透剤としては、アルコール、グリコールエーテル等が好適である。乾燥防止剤及び浸透剤の使用量としては、いずれも活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、0.05質量%以上、20質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、10質量%以下である。
上記空気接触面における硬化促進剤としては、活性エネルギー線の照射により得られた硬化塗膜の表面をタックフリーにする作用を有する化合物であればよく、トリエチルアミンやトリエタノールアミン等のアミノ基や水酸基を有する化合物、油性インキのドライヤーとして通常使用されるオクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等が挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。空気接触面における硬化促進剤の使用量としては、いずれも活性エネルギー線硬化用組成物100質量%に対して、0.005質量%以上、5質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上、3質量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物としては、上述した必須の構成要素と、必要に応じてその他の成分とを含むことになるように混合等することにより得ることができる。混合方法としては、三本ロール、ビーズミル等の通常の分散機を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、顔料分散性に優れており、かつ柔軟性、密着性、可撓性、耐溶剤性、高靱性等の硬化後における特性にも優れることから、インキ、コーティング材、塗料、接着剤等の各種用途、特にインキの用途において好適であり、この場合、活性エネルギー線硬化用インキ組成物として用いられることになり、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の各種印刷方式に好適に適用することができる。このような活性エネルギー線硬化用インキ組成物の粘度としては、グラビアインキとして用いる場合には、25℃において、10mPa・s以上、600mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、20mPa・s以上、400mPa・s以下である。更に好ましくは、30mPa・s以上、300mPa・s以下である。
スクリーンインキとして用いる場合には、25℃において、500mPa・s以上、40000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000mPa・s以上、20000mPa・s以下である。更に好ましくは、2000mPa・s以上、10000mPa・s以下である。
オフセットインキとして用いる場合には、25℃において、5000mPa・s以上、500000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、8000mPa・s以上、300000mPa・s以下である。更に好ましくは、10000mPa・s以上、200000mPa・s以下である。
凸版インキとして用いる場合には、25℃において、10mPa・s以上、300000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、20mPa・s以上、150000mPa・s以下である。更に好ましくは、30mPa・s以上、80000mPa・s以下である。
インクジェットインキとして用いる場合には、25℃において、0.1mPa・s以上、200mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5mPa・s以上、100mPa・s以下である。更に好ましくは、1mPa・s以上、50mPa・s以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、基材に塗膜として塗布され、また、インキとして印刷等され、活性エネルギー線を照射することで硬化することになる。このような本発明の活性エネルギー線硬化用組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させて得られる硬化物もまた、本発明の一つである。
上記基材としては、PET等のプラスティック、プラスティックフィルム、金属、セラミック、ガラス、紙、木等が好適である。プラスティック素材としては、ポリエステルやポリアミド等に対して本発明は顕著な作用効果を発揮することになる。
上記活性エネルギー線としては、電磁波、紫外線(UV)、可視光線、赤外線、電子線、ガンマー線等が好適である。これらの中でも、紫外線や電子線が好ましい。
上記紫外線の照射による硬化の場合、波長150〜450nmの光を含む光源を用いることが好ましい。このような光源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等が好適である。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
上記電子線の照射による硬化においては、電子線の加速電圧が10kV以上であることが好ましく、また、500kV以下であることが好ましい。より好ましくは、20kV以上であり、また、300kV以下である。更に好ましくは、30kV以上であり、また、200kV以下である。また、照射量としては、2kGy以上であることが好ましく、また、500kGy以下であることが好ましい。より好ましくは、3kGy以上であり、また、300kGy以下である。更に好ましくは、5kGy以上であり、また、200kGy以下である。また、電子線と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化用組成物は、上述の構成よりなり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等のプラスティック素材に対する密着性が良く、UV硬化性を有し、可撓性、耐溶剤性及びタックフリー性に優れることから、インキ、コーティング材、塗料、接着剤等の各種用途、特に各種印刷用方式に用いられるインキとして有用なものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下、ラジカル重合させた重合体を共重合体(I)と称し、ラジカル重合性二重結合を導入した共重合体を変性重合体(II)と称す。
得られた共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、重合後の各単量体成分の転化率は液体クロマトグラフィー(LC)により内部標準法を用いて算出した。
また共重合体(I)にラジカル重合性二重結合を導入するために使用した成分の転化率は、液体クロマトグラフィー(LC)により内部標準法を用いて算出した。
得られた変性重合体(II)の重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、酸価(mgKOH/g)は通常の電位差滴定法を用いて測定した。
<GPC測定方法及び測定条件>
得られた共重合体(I)又は得られた変性重合体(II)を固形分濃度が約0.5質量%濃度となるように溶離液に溶かした後、下記の測定条件により測定した。
(測定条件)
カラム :TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperHM−M、TSKgel Super2000各1本ずつを直列に連結(いずれも東ソー社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン
溶離液の流量:0.6ml/分
重量平均分子量は、東ソー社製スタンダードポリスチレンにより作製した検量線より算出した。
<LC測定方法及び測定条件>
100mlのメスフラスコに、得られた共重合体(I)又は得られた変性重合体(II)の溶液約0.5g(精秤する)と、内部標準として使用するN,N−ジメチルホルムアミド約30mg(精秤する)とを添加して溶離液で100mlに希釈した後、下記の測定条件により測定した。
(測定条件)
カラム :TSK−gel ODS−80Ts(25cm)
溶離液 :0.05質量%リン酸二水素アンモニウム水溶液/アセトニトリル=50/50(質量比)
溶離液の流量:0.5ml/分
検出波長 :210nm
(合成例1)
1.共重合体(I−1)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン30部、及び、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す。)126部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(83℃)になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート83部及びグリシジルメタクリレート23部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また、他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル[V−60]0.816部、及び、溶媒としてIPA40部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度をIPAが還流する温度(83℃)に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IPAが還流する温度で更に4時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各単量体の転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は97.3%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−1)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=25.4/59.3/15.3(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−1)の重量平均分子量は8700であった。
2.変性重合体(II−1)の合成
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−1)溶液40部、メタクリル酸1.3部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.001部、及び、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.12部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で10時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、メタクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−1)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが変曲点は観測されず、メタクリル酸は共重合体(I−1)中のエポキシ基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−1)の二重結合当量(g/eq)が1263.5であり、重量平均分子量(Mw)は9200であった。
最後に、得られた変性重合体(II−1)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−1)を得た。
(合成例2)
1.共重合体(I−2)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン30部、及び、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す。)100部を仕込み、撹拌しながら容器内の温度が75℃になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート46.1部、及び、グリシジルメタクリレート38.4部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル[V−60]0.687部、及び、溶媒としてIPA40部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度を75℃に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、容器内を加熱してIPAを還流させ(内温85〜88℃)、この温度で更に3時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各単量体の転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は94.6%、n−ブチルアクリレートの転化率は100%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−2)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=28.9/40.6/30.5(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−2)の重量平均分子量は10200であった。
2.変性重合体(II−2)の合成
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−2)溶液30部、メタクリル酸1.9部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.002部、及び、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.19部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で10時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、メタクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−2)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが変曲点は観測されず、メタクリル酸は共重合体(I−2)中のエポキシ基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−2)の二重結合当量(g/eq)が690.4であり、重量平均分子量(Mw)は12200であった。
最後に、得られた変性重合体(II−2)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−2)を得た。
(合成例3)
1.共重合体(I−3)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン60部、及び、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)170部を仕込み、撹拌しながら容器内の温度が65℃になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート51.9部及びアクリル酸29.1部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また、他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)[V−59]0.705部、及び、溶媒としてIPA40部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度を65℃に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、容器内を加熱してIPAを還流させ(内温87℃前後)、この温度で更に3時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各単量体の転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は100%、アクリル酸の転化率は100%であった。ただし、N−ビニルピロリドンが加水分解して得られた2−ピロリドンが9.2%(N−ビニルピロリドン基準)の収率で副生していたことから、重合に使用されたN−ビニルピロリドンの転化率は90.8%であることが分かった。この結果より、得られた共重合体(I−3)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=37.7/31.1/31.1(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−3)はテトラヒドロフランに溶けなかったので、分子量測定はできなかった。
2.変性重合体(II−3)の合成
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−3)溶液40部、グリシジルメタクリレート4.6部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.005部、及び、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.14部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で10時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、グリシジルメタクリレートの転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−3)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したところ、酸価(mgKOH/g)が38.6であり、グリシジルメタクリレートは共重合体(I−3)中のカルボキシル基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−3)の二重結合当量(g/eq)が613.5であり、重量平均分子量(Mw)は7500であった。
最後に、得られた変性重合体(II−3)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−3)を得た。
(合成例4)
1.共重合体(I−4)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン15部、及び、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)102部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(83℃)になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート63.4部、及び、グリシジルメタクリレート38.4部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また、他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル[V−60]0.467部、及び、溶媒としてIPA40部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度をIPAが還流する温度(83℃)に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IPAが還流する温度で更に4時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各単量体の転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は98.9%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−4)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=15.1/54.7/30.2(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−4)の重量平均分子量は15100であった。
2.変性重合体(II−4)の合成
撹拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−4)溶液40部、メタクリル酸2.52部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.003部、及び、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.128部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で12時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、メタクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−4)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが変曲点は観測されず、メタクリル酸は共重合体(I−4)中のエポキシ基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−4)の二重結合当量(g/eq)が700であり、重量平均分子量(Mw)は16000であった。
最後に、得られた変性重合体(II−4)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−4)を得た。
(合成例5)
1.共重合体(I−5)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン20部、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)90部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(83℃)になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート34.6部、2−エチルヘキシルアクリレート16.6部、グリシジルメタクリレート51.1部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル[V−60]0.611部、溶媒としてIPA60部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度をIPAが還流する温度(83℃)に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IPAが還流する温度で更に4時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各モノマーの転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は97.5%、n−ブチルアクリレートの転化率は95.8%、2−エチルヘキシルアクリレートの転化率は96%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−5)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/グリシジルメタクリレート=19.9/29.4/9.8/40.9(モノ比)となった。また、得られた共重合体(I−5)の重量平均分子量は16700であった。
2.変性重合体(II−5)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−5)溶液40部、メタクリル酸2.95部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.003部、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.12部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で10時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。反応終了後、メタクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−5)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが変曲点は観測されず、メタクリル酸は共重合体(I−5)中のエポキシ基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−5)の二重結合当量(g/eq)が606であり、重量平均分子量(Mw)は21300であった。
最後に、得られ変性重合体(II−5)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−5)を得た。
(合成例6)
1.共重合体(I−6)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン20部、溶媒としてイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)90部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(83℃)になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート23.1部、2−エチルヘキシルアクリレート33.1部、グリシジルメタクリレート51.1部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また他の1つの滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル[V−60]0.637部、溶媒としてIPA65部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度をIPAが還流する温度(83℃)に維持し、撹拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IPAが還流する温度で更に4時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各モノマーの転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は98.4%、n−ブチルアクリレートの転化率は96.7%、2−エチルヘキシルアクリレートの転化率は96.8%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−6)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/グリシジルメタクリレート=20/19.7/19.7/40.6(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−6)の重量平均分子量は15600であった。
2.変性重合体(II−6)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−6)溶液40部、メタクリル酸2.85部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.003部、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.12部を仕込み、撹拌しながらIPAが還流する温度(86〜88℃)で10時間反応させて、微黄色透明の均一溶液を得た。反応終了後、メタクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−6)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが変曲点は観測されず、メタクリル酸は共重合体(I−6)中のエポキシ基と反応したことが分かった。また、変性重合体(II−6)の二重結合当量(g/eq)が622であり、重量平均分子量(Mw)は18900であった。最後に、得られた変性重合体(II−6)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−6)を得た。
実施例1〜18、比較例1〜2
合成例で得られた変性重合体を使って、表1に示す配合組成に従って活性エネルギー線硬化用組成物を調製し、未処理ポリエチレンテレフタレート(厚さ125ミクロン)基材上に、バーコーターを用いて膜厚が40ミクロンになるように塗布した。次いで、紫外線露光装置を用いて1J/cm及び2J/cmの紫外線照射を行い塗膜を硬化させ、以下の方法でタックフリー性、密着性、靱性(可撓性)、耐溶剤性の評価を行った。それらの結果を表2に示す。
比較例で使用した共重合体(I−1)は、合成例1の1.で得られた共重合体(I−1)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状にしたものを使用した。
なお、表1中の「イルガキュアー907」とは、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)である。
〔指触試験〕
塗膜表面を指触して、タックの有無を評価した。評価方法は、○=タックフリー、△=わずかにタックあり、×=タックありとした。
〔密着性試験〕
粘着テープ(ニチバン社製、セロテープ(R)CT−15S)を塗膜面に貼付し、フィルム面に対して90°角度で勢いよくテープを剥離して塗膜面の変化を目視で評価した。評価方法は、○=剥離なし、△=部分的に剥離、×=大部分が剥離とした。
〔折り曲げ試験〕
塗膜面が山になるようにフィルムを90°の角度で折り曲げ、塗膜がフィルムから剥離するかどうかを目視で評価した。評価方法は、○=剥離なし、△=部分的に剥離、×=大部分が剥離とした。
〔耐溶剤性試験〕
布にメタノールを含浸し、フィルム上を往復100回ラビングした。その後、塗膜の変化を目視で評価した。評価方法は、○=変化なし、△=部分的に剥離又は膨潤、×=大部分が剥離又は膨潤とした。
Figure 2005029774
Figure 2005029774
(合成例7)
1.共重合体(I−7)の合成
攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン30部、溶媒として2−ブタノール85部を仕込み、攪拌しながら容器内の温度が100℃になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート43.25部、グリシジルメタクリレート9.6部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また、他の1つの滴下ロートに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂製、商品名=パーブチルO)0.249部、溶媒として2−ブタノール15部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度を100℃に維持し、攪拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、容器内の温度を100℃に維持して、更に3時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各モノマーの転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は100%、グリシジルメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−7)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/グリンジルメククリレート=40/50/10(モル比)であり、重量平均分子量は4,000であった。
2.変性重合体(II−7)の合成
攪拌装置、温度計、還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−7)溶液50部アクリル酸0.89部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.017部、触媒としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド0.154部を仕込み、攪拌しながら2−ブタノールが還流する温度(100℃)で8時間反応させて、淡褐色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、アクリル酸の転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−7)の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法により測定したが、変曲点は検出されず、アクリル酸全量が共重合体中のエポキシ基と100%反応したことが分かった。また、変性重合体(II−7)の二重結合当量(g/eq)は1867であり、重量平均分子量(Mw)は4,100であった。
最後に、得られた変性重合体(II−7)溶液を大量の水に投人して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて固体状の変性重合体(II−7)を得た。
(合成例8)
1.共重合体(I−8)の合成
攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン30部、溶媒としてトルエン90部を仕込み、攪拌しながら内温が100℃になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、n−ブチルアクリレート38.44部、ジエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、商品名=プレンマーPE−90)5.22部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間室素ガス置換した。また他の1つの滴下ロートに、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシ 2−エチルへキサノエート(日本油脂製、商品名=パーブチルO)1.473部、溶媒としてトルエン10部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度を100℃に維持し、攪拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、内温を100℃に維持して更に3時間反応を熟成させて、無色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各モノマーの転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は100%、ジエチレングリコールモノメタクリレートの転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−8)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/ジエチレングリコールモノメタクリレート=45/50/5(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−8)の重量平均分子量は8200であった。
2.変性重合体(II−8)の合成
(共重合体(I−8)中の水酸基と無水コハク酸の反応)
攪拌装置、温度計、還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−8)溶液66部、無水コハク酸(新日本理化製、商品名=リカシッドSA)0.93部、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.134部を仕込み、攪拌しながらトルエンが還流する温度(112℃)で7時間反応させて、淡褐色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、無水コハク酸の転化率を算出したところ100%であり、得られた反応物の酸価(mgKOH/g)は23.54であった。
(反応物中のカルボキシル基とグリシジルメタクリレートとの反応)
引き続いて、上記反応溶液にグリンジルメタクリレート1.25部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.017部を添加して、トルエンが還流する温度(112℃)で8時間反応させて、淡褐色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、グリシジルメタクリレートの転化率を算出したところ100%であり、得られた変性重合体(II−8)の酸価(mgKOH/g)は0.85、二重結合当量(g/eq)は3385であることが分かった。また、変性重合体(II−8)の重量平均分子量は9000であった。
最後に得られた変性重合体(II−8)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−8)を得た。
(合成例9)
1.共重合体(I−9)の合成
(無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応)
攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、無水コハク酸(以後、SANと称す)2.56部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以後、HEAと称す)3.2部、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.373部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.0048部、溶楳としてトルエン10部を仕込み、攪拌しながら100℃で5時間反応を行った。SANの転化率を算出したところ100%、HEAの転化率は92.8%であり、HEA/HEAとSANとの反応物=1/12.9(モル比)の混合モノマー溶液(A液と称す)を得た。
(共重合体(I−9)の合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、N−ビニルピロリドン30.0g、溶媒としてトルエン95gを仕込み、容器内の粘度が100℃になるまで加熱した。その後、10分間フラスコ内を窒素ガス置換した。
一方、滴下ロートを2つ用意し、その1つの滴下ロートに、上記反応で得られたA液全量、n−ブチルアクリレート38.9部を仕込んだ後(混合液1とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。また他の1つの滴下ロートに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルへキサノエート(日本油脂製、商品名=パーブチルO)1.378部、溶媒としてトルエン15部を仕込んだ後(混合液2とする)、滴下ロート内を3分間窒素ガス置換した。
容器内及び滴下ロート内の窒素ガス置換終了後、容器内の温度を100℃に維持し、攪拌を継続しながら、混合液1及び2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、容器内の温度を100℃に維持して、更に3時間反応を熟成させて、淡褐色透明の均一溶液を得た。
熟成終了後、各モノマーの転化率を算出したところ、N−ビニルピロリドンの転化率は100%、n−ブチルアクリレートの転化率は100%、HEAの転化率は100%、HEAとSANとの反応物の転化率は100%であった。この結果より、得られた共重合体(I−9)の組成は、N−ビニルピロリドン/n−ブチルアクリレート/HEA/HEAとSANとの反応物=45/50/0.36/4.64(モル比)となった。また、得られた共重合体(I−9)の重量平均分子量は9300であった。
2.変性重合体(II−9)の合成
攪拌装置、温度計、還流冷却器を備えた容器に、上記共重合体(I−9)溶液50部、グリンジルメタクリレート0.88部、重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル0.01部、触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.15部を仕込み、攪拌しながら容器内の温度が100%になるように調節して8時間反応させて、淡褐色透明の均一溶液を得た。
反応終了後、グリシジルメタクリレートの転化率を算出したところ100%であった。また、得られた変性重合体(II−9)の酸価(mgKOH/g)は0.95、二重結合当量(g/eq)は3100であり、重量平均分子量(Mw)は11200であった。
最後に、得られた変性重合体(II−9)溶液を大量の水に投入して沈殿させ、沈殿物を十分乾燥させて、固体状の変性重合体(II−9)を得た。
(比較合成例1)
ウレタンアクリレート樹脂(1)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、アジピン酸ジメチル100部、エチレングリコール38部、1,6−ヘキサンジオール80部、及び、テトラブトキシチタネート0.1部を仕込み、内温80〜180℃で2時間反応を行い、エステル交換反応により生成したメタノールを留去した。
次いで、反応系を10mmHgに減圧して内温を250℃まで上昇させて1時間反応を行い、残存するジオール類を留去して共縮合ポリエステルポリオールを合成した。留去物をガスクロマトグラフィーにより定量したところ、エチレングリコール21.9部、1,6−へキサンジオール46部から成ることが分かった。従って、生成したポリエステルポリオールの構成は、アジピン酸/エチレングリコール/1,6−へキサンジオール=100/50/50(モル比)から成ることが分かった。また、このポリエステルポリオールの重量平均分子量は1500であった。
次いで、このポリエステルポリオールに、溶媒としてのトルエン200部を添加して70℃で加熱撹拌しながら均一に溶解させた。溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネート25.5部、ジブチルスズジラウレート0.05部を仕込み、70℃で2時間反応させた後、更に、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.07部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、ペンタエリスリトールトリアクリレート12.8部を加えて70℃で更に2時間反応させた後、反応系を10mmHgに減圧して内温を100℃まで上昇させて1時間反応を行い、トルエンを留去してウレタンアクリレート樹脂(1)を得た。このウレタンアクリレート樹脂(1)の重量平均分子量は2800であった。
(比較合成例2)
ウレタンアクリレート樹脂(2)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入管及び滴下ロートを備えた容器に、アジピン酸ジメチル40部、テレフタル酸ジメチル66.9部、エチレングリコール38部、ネオペンチルグリコール70.5部、及び、テトラブトキシチタネート0.1部を仕込み、内温80〜180℃で2時間反応を行い、エステル交換反応により生成したメタノールを留去した。次いで、反応系を10mmHgに減圧して内温を250℃まで上昇させて1時間反応を行い、残存するジオール類を留去して共縮合ポリエステルポリオールを合成した。留去物をガスクロマトグラフィーにより定量したところ、エチレングリコール22部、ネオペンチルグリコール40.8部から成ることが分かった。従って、生成したポリエステルポリオールの構成はアジピン酸/テレフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/50/50/50(モル比)となった。また、このポリエステルポリオールの重量平均分子量は6200であった。
次いで、このポリエステルポリオールに、溶媒としてのトルエン220部を添加して70℃で加熱撹拌しながら均一に溶解させた。溶解後、イソホロンジイソシアネート7.5部、ジブチルスズジラウレート0.05部を仕込み、70℃で2時間反応させた後、更に、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.07部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.6部を加えて70℃で2時間反応させた後、反応系を10mmHgに減圧して内温を100℃まで上昇させて1時間反応を行い、トルエンを留去してウレタンアクリレート樹脂(2)を得た。このウレタンアクリレート樹脂(2)の重量平均分子量は10200であった。
上記比較合成例において、留去したジオール類の定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により行った。定量時の測定条件を下記に示す。
<GC測定方法及び測定条件>
得られた留去物約0.5g(精秤する)に、内部標準として使用するメチルシクロへキサン約20mg(精秤する)を添加した後、希釈剤として使用するアセトン約3gを添加して均一溶液とし、下記の測定条体により測定した。
(測定方法)
カラム :SPB−1 30m(SUPELCO社製)
温度条件 :60℃×3分間保持 → 20℃/分で昇温 →240℃×8分間保持
キャリア :ヘリウムガス
キャリア圧:0.5kg/cm
実施例19〜36、比較例3〜8
上記の合成例で得られた変性重合体及び比較合成例で得られたウレタンアクリレート樹脂を使って、表3に示す配合組成に従って活性エネルギー線硬化性インキ組成物を調製し、未処理ポリエチレンテレフタレート(厚さ125ミクロン)基材上に、バーコーターを用いて膜厚が20ミクロンになるように塗布した。次いで、紫外線露光装置を用いて1J/cm及び2J/cmの紫外線照射を行い塗膜を硬化させ、以下の方法でタックフリー性、密着性、靭性、耐溶剤性の評価を行った。それらの結果を表4に示す。
〔指触試験〕
塗膜表面を指触して、タックの有無を評価した。評価方法は、○=タックフリー、△=わずかにタックあり、×=タックあり、とした。
〔密着性試験〕
JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に準じて評価した。
1mm四方の升目100個を作成し、粘着テープ(ニチバン社製、セロテープ(R)CT−15S)を塗膜面に貼付し、フィルム面に対して60°角度でテープの端をつかみ、約0.5秒で粘着テープを剥離し、塗膜面の変化を目視で評価した。評価方法は、○=剥離なし、△=約半分が剥離、×=大部分が剥離、とした。
〔折り曲げ試験〕
塗膜面が山になるようにフィルムを90°の角度で折り曲げ、塗膜がフィルムから剥離するかどうかを目視で評価した。評価方法は、〇=剥離なし、△=部分的に剥離、×=大部分が剥離、とした。
〔耐溶剤性試験〕
布にエタノールを含浸し、フィルム上を往復100回ラビングした。その後、塗膜の変化を目視で評価した。評価方法は、○=変化なし、△=部分的に剥離又は膨潤、×=大部分が剥離又は膨潤、とした。
Figure 2005029774
Figure 2005029774
実施例37〜60、比較例9〜24
上記の合成例で得られた変性重合体及び比較合成例で得られたウレタンアクリレート樹脂を使って、表5に示す配合組成に従って活性エネルギー線硬化性インキ組成物を調製し、未処理ポリカーボネート(厚さ300ミクロン)基材上に、バーコーターを用いて膜厚が20ミクロンになるように塗布した。次いで、紫外線露光装置を用いて1J/cm及び2J/cmの紫外線照射を行い塗膜を硬化させ、上記と同様の方法でタックフリー性、密着性、靭性、耐溶剤性の評価を行った。それらの結果を表6に示す。また、基材をコロナ処理ポリプロピレン(両面コロナ処理、厚さ100ミクロン)に変えて同様の評価を行った。それらの結果を表7に示す。
Figure 2005029774
Figure 2005029774
Figure 2005029774
表2より、本発明の変性重合体(II−1)〜(II―6)を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物は、指触試験、密着性試験、折り曲げ試験及び耐溶剤性試験のいずれの試験においても良好な結果が得られ、共重合体(I―1)を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物に比べて密着性、可撓性、耐溶剤性に優れるものであった。また、表4より、本発明の変性重合体(II−7)〜(II―9)を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物は、指触試験、密着性試験、折り曲げ試験及び耐溶剤性試験のいずれの試験においても良好な結果が得られ、PET等のプラスティック基材に対する密着性をあげることを目的として使用されることの多いウレタンアクリレート樹脂を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物に比べて密着性、可撓性、耐溶剤性に優れるものであった。更に、表6及び7より、本発明の変性重合体(II−2)、(II−7)及び(II―9)を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物は、基材として未処理ポリカーボネート又はコロナ処理ポリプロピレンを用いた場合においても、指触試験、密着性試験、折り曲げ試験及び耐溶剤性試験のいずれの試験においても良好な結果が得られ、PET等のプラスティック基材に対する密着性をあげることを目的として使用されることの多いウレタンアクリレート樹脂を含む活性エネルギー線硬化用インキ組成物に比べて密着性、可撓性、耐溶剤性に優れるものであった。

Claims (6)

  1. N−ビニルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートを必須とする単量体成分から形成される共重合体に活性エネルギー線硬化性を有する二重結合が導入された変性重合体を必須成分として含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化用組成物。
  2. 前記N−ビニルアミドは、N−ビニルピロリドン及び/又はN−ビニルカプロラクタムである
    ことを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化用組成物。
  3. 前記変性重合体は、更にエポキシ基含有ラジカル重合性単量体を含む単量体成分から形成される共重合体が有するエポキシ基とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体との反応により形成されたものである、又は、更にカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体を含む単量体成分から形成される共重合体が有するカルボキシル基とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体との反応により形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化用組成物。
  4. 前記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体は、グリシジルメタクリレートである
    ことを特徴とする請求項3記載の活性エネルギー線硬化用組成物。
  5. 前記変性重合体を、活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体及び/又は単官能単量体と配合してなる
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の活性エネルギー線硬化用組成物。
  6. 前記変性重合体100重量部に対して、活性エネルギー線硬化性を有する多官能単量体と単官能単量体との総和が10〜500重量部で配合され、かつ、該多官能単量体と該単官能単量体との重量比が100/0〜20/80である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の活性エネルギー線硬化用組成物。
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