JP3861680B2 - ポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に関するものであり、本発明の組成物は、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性に優れ、更に当該プライマー表面に塗工される、塗料、インキ及び接着剤等との密着性に優れるものであり、これら技術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装部品、家電製品及び事務用品等の分野においては、軽量化、防錆及びその他の目的で、従来の金属に代え、プラスチックが使用されてきている。それらの中でも、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、成形性、軽量性、低コスト及びリサイクル性等の優れた点を有していることから、使用量が拡大している。
【0003】
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は一般に結晶性が高く、極性も小さいことから、ポリオレフィン系樹脂に塗装、印刷及び接着等を行う場合においては、これらに使用する塗料、インキ及び接着剤等(以下これらをまとめて塗料等という)が密着しにくいという欠点を有しているものであった。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂に対する塗料等の密着性を改良する方法としては、ポリオレフィン系樹脂表面に表面処理を行う方法がある。具体的には、研磨等の物理的処理、クロム酸混液及び溶剤等による化学的処理、並びにその他プラズマやコロナ放電による処理等があるが、これら前処理工程には、大がかりな設備を必要とすること、樹脂の形状によっては均一に処理できない等の問題を有するものであった。
【0005】
前記表面処理以外の方法としては、ポリオレフィン系樹脂に密着性に優れる各種プライマーを塗工する方法が知られている。
しかしながら、従来のプライマーは、トップコートとの層間付着や耐候性等の塗膜性能が不十分であり、実用性に乏しい問題を有するものであった。
ポリオレフィン系樹脂に対する密着性、耐溶剤性及び硬度等の塗膜性能に優れるプライマーとしては、塩素化ポリオレフィンとアクリル系重合体とからなる組成物が知られている。しかしながら、当該プライマーは、塩素化ポリオレフィンとアクリル系重合体との相溶性が不十分であり、樹脂との密着性が不十分であるいう問題があるため、使用する塩素化ポリオレフィンとして、特定塩素含有率のものや、グラフト化した樹脂を配合した組成物が知られているが、それでも保存安定性や密着性が満足の行くものでなかった。これらの問題を解決するため、塩素化ポリオレフィンのグラフト化樹脂について、種々の改良が試みられているが、プライマー表面にトップコートとしてアクリル系塗料を使用した場合には、密着性が低下するという問題を有するものであった。さらに、近年では、環境問題等の点で、塩素系化合物の使用が敬遠される傾向にあり、塩素化ポリオレフィンを使用しないてポリオレフィン系樹脂に対する密着性を改善する方法が要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記課題を解決するプライマーとして、(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化型組成物が知られている。
しかしながら、当該組成物で使用されるベンゾフェノン等の光重合開始剤は、水素引き抜き能の強いものであり、基材から水素をラジカル的に引き抜き化学結合を形成させ付着性を向上させるというものである。しかしながら、この方法も、ベンゾフェノン等の低分子量の光重合開始剤が、組成物の硬化後の硬化物中にも残存してしまい、得られる硬化物の耐候性を悪化させ、着色や退色、塗膜の剥がれやクラック等を発生させるため、耐候性が要求される用途には不充分なものであった。又、硬化後に硬化物中に存在する、ベンゾフェノン等の低分子の分解物は、硬化物の臭気の原因となる場合があった。
【0007】
本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂との密着性、及びその表面に塗装される塗料等との密着性に優れ、硬化物が着色及び臭気の問題がないポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため種々の検討を行った結果、マレイミド基を有する重合体を含む組成物が、得られる硬化物がポリオレフィン系樹脂樹脂との密着性、及びその表面に塗装される塗料等との密着性に優れ、さらに該組成物は、光重合開始剤を配合しないか、又は少量の配合で活性エネルギー線の照射で容易に硬化するため、得られる硬化物に着色及び臭気等の問題がないことを見出し本発明を完成した。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と総称して表す。又、酸価の単位はmgKOH/gであり、以下その記載を省略する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、マレイミド基を有する重合体(A)及び (A) 成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物 (B)を含有してなる組成物であって、前記 (B) 成分が、溶解性パラメータ7.5〜9.5の範囲にあるポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に関するものである。
まず、マレイミド基を有する重合体について説明する。
【0010】
1. マレイミド基を有する重合体 (A)
本発明のマレイミド基を有する重合体(A)〔以下(A)成分という〕を含有するものである。(A)成分は、マレイミド基を有するため、活性エネルギー線の照射によりマレイミド基同志が二量化反応して容易に架橋し、その被膜は密着性、硬度、耐水性及び耐薬品性に優れたものとなる。さらに紫外線により架橋させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で優れた架橋性を有するため、着色や臭気の問題もない。
(A)成分において、マレイミド基としては、種々のものを使用することが可能であり、下記式(1)で表されるものが好ましい。
【0011】
【化1】
Figure 0003861680
【0012】
〔但し、式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基若しくはアリール基を表すか、又はR1及びR2は一つとなって5員環若しくは6員環を形成する飽和の炭化水素基を表す。〕
【0013】
アリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。一つとなって5員環若しくは6員環を形成する飽和の炭化水素基としては、基−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が挙げられる。
【0014】
1及びR2としては、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が、重合体を容易に製造でき、溶解性、保存安定性に優れ、得られる組成物の架橋塗膜の耐水性に優れる点で好ましい。さらに、これらの中でも、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基がより好ましく、特に好ましくは基−CH2CH2CH2CH2−である。
マレイミド基の具体例を以下の式(2)〜式(7)に示す。これらの中でも、溶解性、保存安定性に優れる点で、式(2)又は式(3)で表されるマレイミド基が好ましい。
【0015】
【化2】
Figure 0003861680
【0016】
【化3】
Figure 0003861680
【0017】
【化4】
Figure 0003861680
【0018】
本発明の(A)成分は、種々の方法で製造されたものが使用できる。
(A)成分としては、製造が容易である点で、マレイミド基を有するエチレン性不飽和単量体(以下マレイミド単量体という)の単独重合体、又はマレイミド単量体及びこれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下単に不飽和単量体という)の共重合体が好ましい。
以下、マレイミド単量体及び不飽和単量体について説明する。
【0019】
1-1-1. マレイミド単量体
マレイミド単量体としては、エチレン性不飽和基と、前記式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物が好ましい。
【0020】
マレイミド単量体における、エチレン性不飽和基としては、ビニル基、及び、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0021】
マレイミド単量体としては、下記一般式(8)で表される化合物〔以下イミド(メタ)アクリレートという〕が好ましい。
【0022】
【化5】
Figure 0003861680
【0023】
但し、式(8)において、R1及びR2は前記と同様の基である。
3はアルキレン基で、R4は水素又はメチル基であり、nは1〜6の整数である。
【0024】
式(8)の中でも、nが1〜2のものが好ましく、より好ましいものは、1のものである。
3としては、炭素数1〜6のものが好ましく、より好ましくはエチレン基及びプロピレン基が挙げられる。
【0025】
1-1-2. 不飽和単量体
本発明における(A)成分としては、マレイミド単量体と不飽和単量体の共重合体が、得られる組成物の紫外線照射時の硬化速度に優れる点で好ましい。
不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル及び(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレートの具体的としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の置換アリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、並びにアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
又、これら単量体以外にも、マクロモノマー型単量体を使用することができる。これにより(A)成分は、グラフト共重合体又はブロック共重合体となる。マクロモノマー型単量体としては、ポリシロキサンを有するもの、フッ素系ポリマー鎖を有するもの等を挙げることができる。
これら単量体は、2種類以上併用しても良い。
【0026】
1-1-3.(A) 成分の製造方法
(A)成分の製造方法としては、前記単量体を溶液重合法、乳化重合法及び高温連続重合法等の常法に従い重合して製造することができる。
溶液重合法で合成する場合は、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解し、熱重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。
溶液重合法でラジカル重合により合成する場合は、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解し、熱ラジカル重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。使用される熱重合開始剤の例としては、熱によりラジカル種を発生する過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤等が挙げられる。
過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩等が挙げられる。
使用される有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、キサントゲン酸ジスルフィド、ジアゾチオエーテル、2−プロパノール等が挙げられる。
【0027】
又、(A)成分は、必要に応じて高温連続重合により製造することもできる。
高温連続重合法によれば、低分子量で粘度の低いプレポリマーを得ることができ、さらに当該重合方法は、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量のプレポリマーが得られるため、共重合体は熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高いものとなり安定した物性が得られるため好ましい。
高温連続重合法としては、特開昭57-502171号、同59-6207号、同60-215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
又、単量体混合物には、必要に応じて熱重合開始剤を配合することもできる。反応温度は150〜350℃が好ましい。圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。単量体混合物の滞留時間は、2〜60分であることが好ましい。
【0028】
(A)成分におけるマレイミド基の割合としては、0.04〜4mmol/gが好ましく、より好ましくは0.2〜4mmol/gである。この割合が0.04mmol/gに満たない場合は、耐候性が不足したり、硬化又は架橋(以下単に硬化という)が不十分になり硬度不足になってしまうことがあり、他方4mmol/gを超えると厚膜硬化した場合、硬化膜が表面だけで進行し、密着性が不良となってしまうことがある。
(A)成分の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましく、より好ましくは3000〜50万である。この値が1000に満たないものは、耐候性が不足したり、密着性が不十分になったりし、他方100万を超えるものは、溶液の安定性が損なわれることがある。
尚、本発明において、数平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略する)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
【0029】
本発明の組成物は、(A)成分を必須とするものであり、その形態としては、(A)成分の有機溶剤溶液、(A)成分の水性分散体及び(A)成分と後記する(B)成分からなる組成物等が挙げられる。
この場合、(A)成分の割合としては、有機溶剤溶液の場合は、5〜95重量%が好ましく、水性分散体の場合は、10〜70重量%が好ましく、より好ましくは20〜60重量%であり、(B)成分と併用する場合は、後記の通りである。
【0030】
1-2. マレイミド基及びエチレン性不飽和基を有する重合体
本発明における(A)成分としては、活性エネルギー線による硬化性に優れるため、マレイミド基にさらにエチレン性不飽和基を有する重合体(以下不飽和重合体という)が好ましい。
不飽和重合体としては、種々の方法で得られた重合体が使用できる。製造方法としては、種々の方法があり、以下の▲1▼〜▲5▼に示す、官能基及びマレイミド基を有するプレポリマーを製造しておき、これに当該官能基と反応し得る官能基を有する化合物を反応させる方法、及び以下の▲6▼及び▲7▼に示す、官能基を有するプレポリマーを製造しておき、これに当該官能基と反応し得る官能基とマレイミド基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
【0031】
▲1▼マレイミド基及び水酸基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物(以下イソシアネート系不飽和化合物という)を付加する方法。
▲2▼マレイミド基及び酸性基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物(以下エポキシ系不飽和化合物という)を付加する方法。
▲3▼マレイミド基及びエポキシ基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及び酸性基を有する化合物(以下酸性不飽和化合物という)を付加する方法。
▲4▼マレイミド基及びイソシアネート基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及び水酸基を有する化合物(以下水酸系不飽和化合物という)を付加する方法。▲5▼マレイミド基及び酸無水物基含有プレポリマーに、水酸系不飽和化合物を付加する方法。
▲6▼酸無水物基含有プレポリマーに、マレイミド基及び水酸基を有する化合物(以下マレイミドアルコールという)及び水酸系不飽和化合物を付加する方法。
▲7▼エポキシ基含有プレポリマーに、マレイミド基及びカルボキシル基を有する化合物及び酸性不飽和化合物を付加する方法。
以下、それぞれの製造方法について説明する。
【0032】
1-2-1. プレポリマーの製造方法
上記の▲1▼〜▲5▼の方法におけるマレイミド基を有するプレポリマーを製造する方法としては、マレイミド単量体と、水酸系不飽和化合物〔前記▲1▼の方法〕、酸性不飽和化合物〔前記▲2▼の方法〕、エポキシ系不飽和化合物〔前記▲3▼の方法〕、イソシアネート系不飽和化合物〔前記▲4▼の方法〕及びエチレン性不飽和基及び酸無水物基を有する化合物(以下酸無水物系化合物という)〔前記▲4▼の方法〕をそれぞれ共重合することによりプレポリマーを得ることができる。
【0033】
マレイミド単量体としては、前記1-1-1項で挙げたものと同様のものが使用できる。
【0034】
水酸系不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
酸性不飽和化合物において、酸性基としては、カルボキシル基、スルホニル基及びリン酸基等が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、得られる組成物の安定性に優れ、硬化膜が耐水性に優れる点で、カルボキシル基を有する不飽和化合物が好ましい。当該化合物の例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸の2量体以上のオリゴマー、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びコハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
エポキシ系不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート及び下記式(9)で表されるシクロヘキセンオキサイド基含有(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
【化6】
Figure 0003861680
【0039】
イソシアネート系不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び下記式(10)で表されるジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
【化7】
Figure 0003861680
【0041】
酸無水物系不飽和化合物としては、無水マレイン酸及びイタコン酸等を挙げることができる。
【0042】
又、前記▲6▼の方法においては、酸無水物系不飽和化合物を重合することにより、又前記▲7▼の方法においては、エポキシ系不飽和化合物を重合することによりプレポリマーを得ることができる。
【0043】
プレポリマーには、必要に応じてこれら化合物と共重合可能な単量体を共重合させることができる。当該単量体としては、前記不飽和単量体と同様のものが使用できる。
【0044】
プレポリマーの製造方法としては、前記単量体を溶液重合法、乳化重合法及び高温連続重合法等の常法に従い重合して製造することができる。具体的方法は、前記1-1-3項で挙げた方法と同様の方法が挙げられる。
【0045】
1-2-2. 不飽和重合体の製造方法
前記▲1▼〜▲5▼の方法においては、各種官能基を有するマレイミド基含有プレポリマーに、それぞれイソシアネート系不飽和化合物〔前記▲1▼の方法〕、エポキシ系不飽和化合物〔前記▲2▼の方法〕、酸性不飽和化合物〔前記▲3▼の方法〕及び水酸系不飽和化合物〔前記▲4▼の方法〕を付加することにより重合体を得ることができる。
又、前記▲6▼の方法においては、酸無水物基含有プレポリマーに、マレイミド基及び水酸基を有する化合物及び水酸系不飽和化合物を付加し、前記▲7▼の方法においてはエポキシ基含有プレポリマーに、マレイミド基及びカルボキシル基を有する化合物及び酸性不飽和化合物を付加することにより重合体を得ることができる。
【0046】
イソシアネート系不飽和化合物、エポキシ系不飽和化合物、酸性不飽和化合物及び水酸系不飽和化合物を有する化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0047】
▲6▼の方法におけるマレイミドアルコールとしては、下記式(11)で表される化合物等が挙げられる。
【0048】
【化8】
Figure 0003861680
【0049】
〔但し、式(11)において、R1、R2は前記と同様の意味を示す。又、R5は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表す。〕
【0050】
▲7▼の方法で用いるマレイミド基を有するカルボキシル基含有化合物としては、下記式(12)で表される化合物等が挙げられる。
【0051】
【化9】
Figure 0003861680
【0052】
〔但し、式(12)において、R1、R2は前記と同様の意味を示す。又、R5は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表す。〕
【0053】
いずれの場合においても、有機溶媒中、水媒体中又は無溶剤で、プレポリマーに各化合物を付加することにより製造することができる。各付加反応の条件としては、各反応に応じて反応温度、反応時間及び触媒を選択すれば良い。
【0054】
不飽和重合体中のマレイミド基の割合としては、前記と同様の理由で、0.04〜4mmol/gが好ましく、より好ましくは0.2〜4mmol/gである。
不飽和重合体におけるエチレン性不飽和基の割合としては、0.1〜4mmol/gであることが好ましい。この割合が0.1mmol/gに満たない場合は、耐候性が不足したり硬化が不十分になり硬度不足にとなってしまい、他方4mmol/gを超えると、密着性が不良となってしまうことがある。
不飽和重合体の数平均分子量は、前記と同様の理由で、1000〜100万であることが好ましく、より好ましくは3000〜50万である。
【0055】
1-3. マレイミド基及び酸性基を含有する重合体又はその塩
本発明における組成物を水系組成物として使用する場合には、(A)成分として、マレイミド基及び酸性基を含有する重合体(以下酸性重合体いう)又はその塩〔以下酸性重合体(塩)という〕を使用することが好ましい。
酸性重合体(塩)酸性基又はその塩の親水性により、水性媒体中に溶解するか、又は自己分散するものである。
【0056】
酸性重合体におけるマレイミド基及びエチレン性不飽和基としては、前記と同様のものが好ましい。
【0057】
酸性重合体としては、種々の重合体が使用可能であり、以下の(1)〜(6)に挙げる重合体等を挙げることができる。
(1)マレイミド単量体と酸性不飽和化合物を重合して得られる重合体
(2)カルボキシル基又は酸無水物基を有する重合体とマレイミドアルコールのエステル化物
(3)カルボキシル基を有する重合体とマレイミド基及びアミノ基を有する化合物(以下マレイミドアミンという)のアミド化物
(4)カルボキシル基を有する重合体とマレイミド基及びエポキシ基を有する化合物の付加物
(5)イソシアネート基を有する重合体と、マレイミドアルコール又はマレイミドアミンの付加物
(6)エポキシ基を有する重合体とマレイミド基及びカルボキシル基を有する化合物の付加物
(7)マレイミド基及び水酸基を有する重合体と酸無水物とのエステル化物等が挙げられる。
【0058】
これらの酸性重合体の中でも、製造が容易である点で、(1)の製造方法で得るられた重合体、即ちマレイミド単量体と酸性不飽和化合物を構成単量体単位とする共重合体〔以下共重合体(1)という〕が、1段階で製造することができるため好ましい。
以下、前記(1)の製造方法について説明する。
【0059】
マレイミド単量体としては、前記1-1-1項で挙げたものと同様のものが使用でき、酸性不飽和化合物としては、前記1-2-1項で挙げたものと同様のものが使用できる。
【0060】
酸性不飽和化合物の共重合割合としては、得られる共重合体の酸価が、後記する好ましい酸価を満たす値となる割合が好ましい。
【0061】
共重合体(1)は、マレイミド単量体と酸性不飽和化合物に加え、必要に応じてこれら単量体と共重合可能なエチレン性不飽和基含有単量体(以下その他単量体という)とを共重合したものであっても良い。
【0062】
その他単量体としては、マレイミド単量体及び酸性不飽和化合物以外のものであれば種々のものが使用でき、前記と同様のものを使用できる。
【0063】
これらの単量体の中でも、共重合体(1)が乳化剤として優れた性能を示すことから、疎水性単量体が好ましい。本発明において疎水性単量体とは、20℃における水への溶解度が2重量%以下の単量体を意味する。具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜22のアルキル基を有するメタクリレート及び炭素数が2〜22のアクリレート、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、プロピオン酸ビニル、スチレン、並びにα−メチルスチレン等が挙げられ。共重合体(1)中の疎水性単量体単位の割合は、全単量体に対して20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上である。
【0064】
又、これら単量体以外にも、マクロモノマー型単量体を使用することができる。これにより、共重合体(1)はグラフト共重合体となり、マクロモノマーの種類により、ポリシロキサン鎖、フッ素系ポリマー鎖をグラフトした共重合体となる。
【0065】
共重合体(1)は、上記単量体を常法に従い重合したものであれば良く、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等が挙げられる。これらの重合方法は、目的に応じて採用すれば良く、経済性が要求される場合は、乳化重合方法が好ましく、酸性不飽和化合物の水溶性が高い場合は、溶液重合法が好ましい。
【0066】
溶液重合法を採用する場合、常法に従えば良いが、組成分布を狭くするために原料単量体を逐次反応器に仕込む半回分法が好ましい。溶剤としては公知のものが使用することができるが、生成する共重合体を溶解するものが好ましい。重合開始剤としては熱によりラジカル種を発生する過酸化物、アゾ化合物、及びレドックス重合開始剤等が挙げられ、前記と同様のものが使用できる。
又必要に応じて、重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用することもができる。連鎖移動剤としては、前記と同様のものが使用できる
溶液重合により得られた共重合体の水溶化、又は水分散化についても常法に従えば良い。例えば、水性媒体中へ攪拌下に共重合体を添加する方法、共重合体をアルカリ性化合物により中和して共重合体の塩とした後、これを水性媒体中へ攪拌下に添加する方法等が挙げられる。
共重合体としては、共重合後の有機溶剤溶液をそのまま用いても良いし、又は共重合体の有機溶剤溶液を、あらかじめ蒸留又は再沈殿法等により有機溶剤を除いた固体又は液体状の共重合体を用いても良い。共重合体の有機溶剤溶液を使用する場合は、これを水性媒体中に分散させた後、減圧下で有機溶剤を留去することが好ましい。
本発明では、有機溶剤を除いた共重合体を使用することが、本発明で最終的に得られる水性組成物の臭気や着色等の問題がほとんどないため好ましい。
共重合体(1)は、乳化重合法により製造することもできる。但し、乳化重合においては、酸性不飽和化合物として水溶性が大きいものを使用した場合、重合が不安定になったり、酸性不飽和化合物がポリマー粒子内に取り込まれず主に水相で重合することがある。従って、乳化重合法を採用する場合は、使用する酸性不飽和化合物としては、メタクリル酸程度の親油性を有するものが好ましい。
【0067】
乳化重合における共重合体(1)の製造においては、後記する好ましい分子量に調整するために、重合開始剤量を多くしたり、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤としては、後記の重合で挙げられるものが例示され、連鎖移動剤は、前記と同様のものが挙げられる。
【0068】
乳化剤としては、種々のものが使用できるが、耐水性が要求される用途においては、乳化剤による耐水性低下を防止するために、反応性乳化剤を使用する方法や、乳化剤を使用せず重合開始剤切片により粒子を乳化させ重合を行う無乳化剤重合法が好ましい。
【0069】
乳化重合法では、重合終了後に直接アルカリ性化合物を添加して、共重合体の塩として、水溶化又は水分散化させることができる。
【0070】
酸性重合体の重量平均分子量は、1,000〜500,000が好ましく、より好ましくは2,000〜100,000である。この値が1000より小さい場合は、硬化膜の強度、耐水性、ポリオレフィン系樹脂への密着性が不十分になってしまうことがあり、他方、この値が500,000を超える場合は、酸性重合体(塩)の存在下に行われる重合反応が不安定となり凝集等の問題が発生することがある。
【0071】
酸性重合体中のマレイミド基の割合としては、0.04〜4mmol/gが好ましく、より好ましくは0.2〜4mmol/gである。この割合が0.04mmol/gに満たないと、架橋性が低下し、満足な硬化膜物性が得られない場合があり、他方4mmol/gを超えると、製造が困難となったり、後記する(メタ)アクリロイル基を有する化合物を配合した場合、硬化膜に白濁を生じることがある。
【0072】
酸性重合体の酸価は20〜400であることが好ましく、より好ましくは40〜200である。酸価が20に満たない場合は、酸性重合体(塩)の存在下に行う単量体の重合において重合安定性が低下することがあり、酸価が400を超えると硬化膜の耐水性や耐アルカリ性、ポリオレフィン系樹脂への濡れ性が低下してしまうことがある。共重合体を構成する単量体として、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びスチレン等の疎水性の強い単量体を使用する場合は、酸価が100〜400であることが好ましい。
【0073】
酸性重合体の酸性基がカルボキシル基である場合、アルカリ性化合物により共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部を中和して、共重合体の塩とすることが好ましい。これにより得られる水性組成物が安定性に優れるものとなる。
アルカリ性化合物としては、アンモニア、有機アミン、並びに水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基等を挙げることができる。これらの中でも、乾燥時に硬化膜中から蒸発飛散し、最終的に得られる硬化膜が耐水性に優れるため、アンモニア又は低分子量の有機アミンが好ましい。
低分子量有機アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、並びにN,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のヒドロキシアルキルアミン等が挙げられる。
【0074】
組成物に、後記する(メタ)アクリロイル基を有する化合物を配合する場合は、上記アミンの中でも(メタ)アクリロイル基に付加することが無い3級アミンを使用することが好ましい。
【0075】
酸性重合体の中和割合としては、重合体中のカルボキシル基の全量に対して、10〜100モル%が中和されていることが好ましく、より好ましくは30〜100モル%である。この割合が10モル%に満たない場合は、共重合体が水系媒体中に溶解又は分散し難くなる場合がある。アルカリ性化合物の添加割合としては、同様に重合体中のカルボキシル基の全量に対して、10〜100モル%が好ましく、より好ましくは30〜100モル%である。この割合が10モル%に満たない場合は、前記と同様に、重合体が水性媒体中に溶解又は分散し難くなる場合があり、他方100モル%を越える場合は、特にアルカリ性化合物としてアンモニア又はアミンを使用した場合、得られる水系組成物に臭気が残る場合がある。
【0076】
1-4. マレイミド基、エチレン性不飽和基及び酸性基を含有する重合体又はその塩本発明の酸性重合体としては、マレイミド基及び酸性基に加え、さらにエチレン性不飽和基を有する重合体(以下酸性不飽和重合体という)又はその塩〔以下酸性不飽和重合体(塩)という〕が、硬化性に優れるため好ましい。
マレイミド基、エチレン性不飽和基及び酸性基としては、前記と同様のものが挙げられ、前記と同様のものが好ましい。
【0077】
本発明における酸性不飽和重合体としては、種々の方法で製造されたものが使用でき、以下の(1)'〜(6)'に示す方法で製造されたものが好ましい。
(1)'マレイミド基及び酸性基を有するプレポリマーに、エポキシ系不飽和化合物を付加する方法。
(2)'マレイミド基及びエポキシ基を有するプレポリマーに、酸性不飽和化合物を付加させ、この反応で生成する水酸基に酸無水物を付加する方法。
(3)'マレイミド基、水酸基及び酸性基を有するプレポリマーに、イソシアネート系不飽和化合物を付加する方法。
(4)'マレイミド基、イソシアネート基及び酸性基を有するプレポリマーに、水酸系不飽和化合物を付加する方法。
(5)'マレイミド基及び酸無水物基を有するプレポリマーに、水酸系不飽和化合物を付加する方法。
(6)'酸無水物基を有するプレポリマーに、マレイミドアルコール及び水酸系不飽和化合物を付加する方法。
【0078】
1-4-1. プレポリマーの製造方法
前記の(1)'〜(5)'の方法におけるマレイミド基を有するプレポリマーを製造する方法としては、マレイミド単量体と、それぞれ酸性不飽和化合物〔前記(1)'の方法〕、エポキシ系不飽和化合物〔前記(2)'の方法〕、水酸系不飽和化合物及び酸性系不飽和化合物〔前記(3)'の方法〕、イソシアネート系不飽和化合物及び酸性系不飽和化合物〔前記(4)'の方法〕、並びに酸無水物系不飽和化合物〔前記(5)'の方法〕を共重合することによりプレポリマーを得ることができる。これら不飽和化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0079】
プレポリマーには、必要に応じてその他の単量体を共重合させることができる。その他の単量体としては、前記と同様のものを挙げることができる。
【0080】
プレポリマーの製造方法としては、原料単量体を溶液重合法、乳化重合法及び高温連続重合法等の常法に従い重合して製造することができる。尚、プレポリマーの製造において、水による分解を受けてしまうイソシアネート系不飽和化合物及び酸無水物系不飽和化合物を使用しない、前記(1)'及び(2)'製造方法においては、溶液重合法、乳化重合法及び高温連続重合法のいずれも採用することができ、イソシアネート系不飽和化合物を使用する前記(3)'〜(6)'の製造方法においては、溶液重合法及び高温連続重合法を採用することが好ましい。
但し、乳化重合においては、酸性系不飽和化合物として水溶性が大きいものを使用した場合、重合が不安定になったり、酸性系不飽和化合物がポリマー粒子内に取り込まれず主に水相で重合することがある。従って、乳化重合法を採用する場合は、使用する酸性系不飽和化合物としては、メタクリル酸程度の親油性を有するものが好ましい。
【0081】
溶液重合法、高温連続重合法及び乳化重合法としては、前記と同様の方法を挙げることができる。
【0082】
本発明においては、重合安定性をより向上させるために、耐水性、耐薬品性等の物性を損わない範囲内で、組成物に、さらにその他の乳化剤を併用することができる。その他の乳化剤としては、前記したものと同様のものを挙げることができる。
【0083】
1-4-2. 酸性不飽和重合体の製造方法
前記(1)'〜(5)'の方法においては、各種官能基を有するマレイミド基含有プレポリマーに、それぞれエポキシ系不飽和化合物〔前記(1)'の方法〕、酸性不飽和化合物及び酸無水物〔前記(2)'の方法〕、イソシアネート系不飽和化合物〔前記(3)'の方法〕、水酸系不飽和化合物〔前記(4)'、(5)'の方法〕を付加することにより酸性不飽和重合体を得ることができる。
又、前記(6)'の方法においては、酸無水物基含有プレポリマーに、マレイミドアルコールを付加することにより酸性重合体を得ることができる。
これら不飽和化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0084】
プレポリマーの製造又は不飽和化合物の付加反応において、水による分解を受けてしまうイソシアネート系不飽和化合物及び酸無水物系不飽和化合物を使用することのない、前記(1)'及び(2)'製造方法においては、有機溶媒中、水媒体中又は無溶剤で、プレポリマーに各不飽和化合物を付加することにより酸性重合体を製造することができる。又、イソシアネート系不飽和化合物及び酸無水物系不飽和化合物を使用する前記(3)'〜(6)'の製造方法においては、有機溶媒中又は無溶剤で、プレポリマーに各不飽和化合物を付加することが好ましい。
各付加反応の条件としては、各反応に応じて反応温度、反応時間及び触媒を選択すれば良い。
【0085】
酸性不飽和重合体中のマレイミド基の割合としては、前記と同様の理由で0.04〜4mmol/gが好ましく、より好ましくは0.2〜4mmol/gである。
酸性不飽和重合体におけるエチレン性不飽和基の割合としては、前記と同様の理由で0.1〜4mmol/gであることが好ましい。
酸性不飽和重合体の重量平均分子量は、前記と同様の理由で1,000〜500,000が好ましく、より好ましくは2,000〜100,000である。 酸性不飽和重合体の酸価は、前記と同様の理由で20〜400であることが好ましく、より好ましくは40〜200である。
【0086】
本発明の組成物においては、酸性不飽和重合体における酸性基の一部又は全部をアルカリ性化合物により中和し、酸性不飽和重合体の塩として、水性媒体中に溶解又は分散させて、水性組成物として使用することが好ましい。これより得られる水性組成物が安定性に優れるものとなる。
酸性不飽和重合体の塩とする方法としては、前記と同様の方法が挙げられる。
【0087】
酸性不飽和重合体の中和割合としては、前記と同様の理由で、、重合体中の酸性基の全量に対して、10〜100モル%が中和されていることが好ましく、より好ましくは30〜100モル%である。
【0088】
2.その他の成分
2-1. エチレン性不飽和基を有する化合物
本発明の組成物には、塗膜の強度、柔軟性及び生産性の調整を行う目的のため、必要に応じて(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合することができる。
当該化合物としては、(A)成分以外のものであれば種々のものが使用でき、モノマー及びオリゴマーのいずれも使用できる。
【0089】
2-1-1. モノマー
モノマーとしては、(メタ)アクリレート及びビニルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールの(メタ)アクリレート、並びにこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0090】
ビニルエーテルとしては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル及びヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0091】
上記以外のモノマーの例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0092】
2-1-2. オリゴマー
オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0093】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0094】
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付物等が挙げられる。
【0095】
当該化合物としては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが、得られる硬化物の硬度及び耐摩耗性に優れるため好ましい。又、当該化合物としては、脂肪族及び脂環族の化合物を使用することが、芳香族環を有する化合物に比べ耐候性及び硬化性に優れるため好ましい。
【0096】
本発明では、前記化合物のうち、相溶性パラメーター(以下SP値と略す)が7.5〜9.5の範囲にあるもの〔以下、 (B) 成分という〕を必須成分として使用し、好ましくは、8.0〜9.3の範囲にあるものである。(B)成分のSP値が7.5未満の場合は、硬化膜の上に塗装される塗料等との密着性が低下する場合があり、9.5より大きいと、組成物のポリオレフィン系樹脂に対する濡れ性が低下することがある。
尚、本発明におけるSP値とは、マイケル コールマン(Michael M. Coleman)等著;スペシフィック インターアクション アンド ザ ミシビリティー オブ ポリマー ブレンズ(Specific Interactions and the miscibility of Polymer Blends);テクノミック出版社(Techomic Publishing Co., Inc.)(ペンシルバニア州),1991年発行で定義されている値である。
【0097】
(B)成分を配合する場合、(B)成分の組成物中の割合としては、(A)成分と(B)成分の合計量を基準として、(B)成分が95〜0質量%であることが好ましく、より好ましくは90〜20質量%である。(B)成分の割合が95重量%を超えると、硬化性が低下してしまうことがある
又、組成物の界面張力が、45dyn/cm以下であること好ましく、より好ましくは、41dyn/cm以下である。
【0098】
2-2. 光重合開始剤
本発明の組成物は、活性エネルギー線照射により硬化するもので、紫外線による硬化においても、光重合開始剤の配合なしに問題なく硬化するものであるが、さらなる硬化性の向上を目的として、耐候性を損なわない範囲で光重合開始剤を配合することができる。
【0099】
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン、並びにキサントン等がある。
これら光重合開始剤は、単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。
これら光重合開始剤の好ましい配合割合は、組成物100重量部に対して5重量部以下で、より好ましくは2重量部以下である。
【0100】
2-3. 耐候性向上剤
本発明の組成物には、さらなる耐候性の向上を目的として、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選択される1種以上の耐候性向上剤を配合することもできる。
【0101】
紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0102】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系及びベンゾエート系の光安定剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。ベンゾエート系の光安定剤としては、2、4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0103】
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]及び1,6−ヘキサンジオール−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。
【0104】
耐候性向上剤の好ましい配合割合としては、組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部である。この割合が0.01質量部に満たないと、耐候性向上剤成分を配合した効果が得られず、他方5質量部を超えると、組成物の硬化性が低下したり、得られる組成物の硬化物の耐摩耗性が低下する場合がある。
【0105】
3.ポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物
本発明の組成物は、ポリオレフィン系樹脂のプライマーとして使用する。
用途としては、自動車内装部品、家電製品及び事務用品等の分野おけるポリオレフィン樹脂のプライマーとして使用できる。
本発明の組成物が適用可能なポリオレフィン系樹脂としては、種々のものに適用可能であり、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、TPO樹脂、EPDMゴム等及びこれらと他材料のアロイ・複合樹脂等が挙げられる。
【0106】
組成物の使用方法としては、常法に従えばよい。
具体的には、所望のポリオレフィン系樹脂に対して、例えばスプレー塗装、ロール塗装及びハケ塗り等の一般的な塗装方法により塗布した後、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
【0107】
得られた硬化膜表面には、目的に応じて、塗料、インキ及び接着剤等が、常法に従い、塗装、印刷及び接着される。塗料、インキ及び接着剤等を構成する樹脂としては、ウレタン系樹脂及びシリコン系樹脂等が好ましい。
【0108】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。尚、以下において、%は質量%を、部は質量部を意味する。又、使用した略号を以下に示す。
MMA:メチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
MOI:メタクリロキシエチルイソシアネート
THPI−A:3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドエチルアクリレート、下記式で表される化合物
【0109】
【化10】
Figure 0003861680
【0110】
DMI−M:ジメチルマレイミドエチルメタクリレート、下記式で表される化合物
【0111】
【化11】
Figure 0003861680
【0112】
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
M−350:東亞合成(株)製アロニックスM−350、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル変成トリアクリレート
M−320:東亞合成(株)製アロニックスM−320、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド6モル変成トリアクリレート
M−305:東亞合成(株)製アロニックスM−305、ペンタエリスリトールトリアクリレート
イルガキュア184:光重合開始剤、チバガイギー(株)製、ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン
【0113】
○製造例1(重合体A−1の製造)
攪拌機、温度計及び冷却管を備えたフラスコに、室温でTHPI−Aを30g、MMAを15g、BAを10g、CHMAを20g、MAAを15g及びPGMを100g仕込み、攪拌して溶解させた後、さらにAMBNを3g仕込み、均一に溶解させた。
窒素気流下、85℃で2時間、100℃で1時間攪拌し、重合体A−1を含む溶液を得た。これを重合体溶液A−1という。
得られた重合体溶液A−1について、重合体A−1の数平均分子量(以下Mnと略す)及び重量平均分子量(以下Mwと略す)、並びに不揮発分(以下Nvと略す)を表1に示す。
【0114】
○製造例2(不飽和重合体A−2の製造)
製造例1で得られた重合体A−1の溶液に、GMAを10g、トリエチルアミンを0.5g及びハイドロキノンを0.1g添加し、攪拌溶解させた。さらに100℃で5時間、加熱攪拌して、不飽和重合体A−2を含む溶液を得た。これを重合体溶液A−2という。
得られた重合体溶液A−2について、重合体A−2のMn、Mw及びNvを表1に示す。
【0115】
○製造例3(不飽和重合体A−3の製造)
製造例1においてTHPI−Aを30g、MMAを26g、BAを20g、MAAを14g、PGMを100g及びAMBNを3g使用した以外は製造例1と同様の方法で、重合体を得た。
得られた重合体の溶液に、GMAを10g、トリエチルアミンを0.5g及びハイドロキノンを0.1g添加し、攪拌溶解させた。さらに100℃で5時間、加熱攪拌し、不飽和重合体A−3を含む溶液を得た。これを重合体溶液A−3という。
得られた重合体溶液A−3について、重合体A−3のMn、Mw及びNvを表1に示す。
【0116】
○製造例4(不飽和重合体A−4の製造)
製造例1においてDMI−Mを40g、MMAを20g、BAを14g、HEAを11g、酢酸ブチルを100g及びAMBNを3g使用した以外は製造例1と同様の方法で、重合体を得た。
得られた重合体の溶液に、MOIを15g、ジブチルスズラウレートを0.1g及びハイドロキノンを0.1g添加し、攪拌溶解した。さらに60℃で3時間加熱攪拌し、不飽和重合体A−4を含む溶液を得た。これを重合体溶液A−4という。
得られた重合体溶液A−4について、重合体A−4のMn、Mw及びNvを表1に示す。
【0117】
【表1】
Figure 0003861680
【0118】
○製造例5(酸性重合体塩A−5の製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備えたフラスコに、イオン交換水145gを仕込み、ウォーターバスにセットして窒素を吹き込みながら内温を80℃とした。次いで重合開始剤の過硫酸アンモニウム1gを、イオン交換水3gに溶解させて添加した。添加後5分後、THPI−Aを30g、MMAを15g、BAを10g、CHMAを25g、MAAを15g、OTGを5g混合した単量体及び連鎖移動剤を含む混合物100部を2時間かけて滴下して重合させた。単量体混合物の滴下終了後1.5時間熟成した。尚、反応温度は80℃±1℃の範囲で制御した。重合は極めて安定であり、凝集物の生成はなかった。
その結果、酸価98、Mw10,400の酸性重合体A−5を含むエマルションを得た。この重合体のエマルションの性状は固形分40.1%(155℃で30分の加熱により揮発性分を除去した後に残留する不揮発性分の割合、以下同じ)であった。
さらに、このエマルションにトリエチルアミン(以下TEAと略す)17.6部を加え、さらに固形分が30%となるようにイオン交換水を加えて攪拌し、酸性重合体A−5の塩が、水中に分散した液を得た。これを重合体水溶液A−5という。
得られた重合体水溶液A−5について、重合体A−5のMw、酸価及びNvを表2に示す。
【0119】
○製造例6(酸性重合体塩A−6の製造)
THPI−Aを30g、MMAを23g、BAを20g、MAAを14g、OTGを3g混合した単量体及び連鎖移動剤の組成に変更する以外は製造例5と同様の方法に従い、酸性重合体A−6を製造した。
得られた酸性重合体2のエマルションの性状は、固形分40.3%であった。さらに、製造例5と同様にこのエマルションにTEA9.9gを加え、固形分が30%となるようにイオン交換水を加えて攪拌し、酸性重合体A−6の塩が、水中に分散した液を得た。これを重合体水溶液A−6という。
得られた重合体水溶液A−6について、重合体A−6のMw、酸価及びNvを表2に示す。
【0120】
○製造例7(酸性不飽和重合体A−7の製造)
製造例6の重合体水溶液A−6に、GMAを9.2g及びハイドロキノンを0.1g添加し、攪拌溶解した。さらに100℃で5時間、加熱攪拌し、酸性不飽和重合体A−7の塩が、水中に分散した液を得た。これを重合体水溶液A−7という。
得られた重合体水溶液A−7について、重合体A−7のMw、酸価及びNvを表2に示す。
【0121】
【表2】
Figure 0003861680
【0122】
○比較製造例1(重合体C−1の製造)
製造例1において、下記表3に示す成分及び組成を使用する以外は製造例1と同様の方法で重合を行ない、重合体C−1を含む溶液を得た。これを重合体溶液C−1という。
得られた重合体溶液C−1について、重合体C−1のMn、Mw及びNvを表3に示す。
【0123】
【表3】
Figure 0003861680
【0124】
○比較製造例2
製造例5において、下記表4に示す成分及び組成を使用する以外は製造例5と同様の方法で重合を行ない重合体C−2の塩が、水中に分散した液を得た。これを重合体水溶液C−2という。
得られた重合体水溶液C−2について、重合体C−2のMw、酸価及びNvを表4に示す。
【0125】
【表4】
Figure 0003861680
【0126】
○実施例1
製造例1で得られた重合体溶液A−1の50部(ただし、固形分換算した部数)、M−350(SP値:9.24)の50部及び組成物の固形分100部に対してイルガキュア184の3部を、常法に従い混合して活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
得られた組成物について、下記の方法に従い、表面張力、硬化性及び密着性を評価した。それらの結果を表5に示す。
【0127】
○評価
▲1▼組成物の界面張力
自動界面張力計〔CBVP−Z型、協和界面科学(株)社製〕を使用し、測定開始から10分後の値を組成物の界面張力とした。
【0128】
▲2▼硬化性
基材としてEPDMゴム基材を使用し、得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、下記の条件で乾燥させた後、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯)下、5m/minのコンベアスピードで通過させ、手で触れて表面のタックが無くなるまでのパス回数で評価した。
【0129】
<乾燥条件>
実施例1〜12及び比較例1〜4:50℃×15min乾燥
実施例13〜20及び比較例5〜8:90℃×15min乾燥
【0130】
▲3▼ポリオレフィン系樹脂との密着性
硬化性試験後のサンプルを使用し、JISK−5400の試験法に従って、セロハンテープ剥離にて、100升中の残存した升目により、以下の4段階で評価した。
◎:100、○:90以上、△:10〜90、×:10以下
【0131】
▲4▼トップコート塗料との密着性
得れた硬化膜上にトップコート塗料を塗装し、トップコート塗料との密着性を評価した。トップコート塗料としては、以下の組成の紫外線硬化型組成物を使用した。
<使用した塗料組成物>
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(80部)、ポリマー(20部、下記単量体組成)及びIrg1844)(光重合開始剤)3部からなる組成物。
・ポリマー組成
メチルメタクリレート(50部)、イソボルニルメタクリレート(10部)、スチレン(40部)の共重合体で、Mw45000のポリマー。
<密着性試験>
塗料組成物を膜厚10μmになるように塗布し、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯)下、5m/minのコンベアスピードで3回、通過させ硬化させた後、JISK−5400の試験法に従って、セロハンテープ剥離にて、100升中の残存した升目により、以下の4段階で評価した。
◎:100、○:90以上、△:10〜90、×:10以下
【0132】
○実施例2〜12
下記表5に示す重合体溶液及び(B)成分を使用した以外は実施例1と同様の方法で、プライマー用組成物を調整した。尚、全ての組成物には、組成物の固形分100部に対してイルガキュア184の3部を配合したが、表5ではその記載を省略する。
得れた組成物を使用し、実施例1と同様の方法で評価した。それらの結果を表5に示す。
【0133】
【表5】
Figure 0003861680
【0134】
○比較例1
下記表6に示す重合体溶液及び(B)成分を使用した以外は実施例1と同様の方法で、プライマー用組成物を調整した。尚、全ての組成物には、組成物の固形分100部に対してイルガキュア184の3部を配合したが、表6ではその記載を省略する。
得れた組成物を使用し、実施例1と同様の方法で評価した。それらの結果を表6に示す。
【0135】
【表6】
Figure 0003861680
【0136】
○実施例14
製造例5で得られた酸性重合体A−5の50部(ただし、固形分換算した部数)、M−350の50部及び組成物の固形分100部に対してイルガキュア184の3部を常法に従い混合し、プライマー用組成物を調製した。
得れた組成物を使用し、実施例1と同様の方法で評価した。それらの結果を表7に示す。
【0137】
○実施例15〜21
下記表7に示す重合体溶液及び(B)成分を使用した以外は実施例13と同様の方法で、プライマー用組成物を調製した。尚、全ての組成物には、組成物の固形分100部に対してイルガキュア184の3部を配合したが、表7ではその記載を省略する。
得れた組成物を使用し、実施例1と同様の方法で評価した。それらの結果を表7に示す。
【0138】
【表7】
Figure 0003861680
【0139】
○比較例2
下記表8に示す重合体水溶液及び(B)成分を使用した以外は実施例13と同様の方法で、プライマー用組成物を調整した。
得れた組成物を使用し、実施例1と同様の方法で評価した。それらの結果を表8に示す。
【0140】
【表8】
Figure 0003861680
【0141】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性に優れ、更にトップにコートされる塗料等との密着性にも優れ、自動車内装部品、家電製品及び事務用品等の種々の分野で使用されるおけるポリオレフィン系樹脂用プライマーとして有用であり、工業的価値は極めて大きい。

Claims (5)

  1. マレイミド基を有する重合体(A)及び (A) 成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物 (B)を含有してなる組成物であって、前記 (B) 成分が、溶解性パラメータ7.5〜9.5の範囲にあるポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
  2. 前記(A)成分が、マレイミド基及びエチレン性不飽和基を有する重合体である請求項1記載のポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
  3. 前記(A)成分が、マレイミド基及び酸性基を含有する重合体又はその塩であり、さらに水性媒体を含んでなる請求項1又は請求項2記載のポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
  4. 前記(A)成分が、マレイミド基、エチレン性不飽和基及び酸性基を含有する重合体又はその塩である請求項3記載のポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
  5. 組成物の界面張力が45dyn/cm以下である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
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