JP5239169B2 - 光学部材 - Google Patents

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本発明は、硬化性樹脂組成物及びそれを用いた光学部材に関する。
光学部材用の硬化性樹脂組成物には、無溶剤系で室温において液状であり、成形及び硬化が容易であるとともに、その硬化物の透明性、耐光性、耐熱性及び機械特性に優れ、なおかつ低応力であることが望まれている。従来、光学部材用樹脂には、電子基板等への実装プロセスや高温動作下での耐熱性や機械特性が求められ、エポキシ系樹脂が広く用いられていた。しかし、近年、光・電子機器分野でも高強度のレーザ光や青色光、近紫外光の利用が広がりつつあり、従来以上に透明性、耐熱性及び耐光性に優れた樹脂が求められている。
一般にエポキシ樹脂は可視域での透明性は高いが、紫外から近紫外域では十分な透明性が得られない。また、エポキシ樹脂は熱や光によって着色し易く、光学特性に劣るという問題がある。このエポキシ樹脂の着色の問題を改善する方法として、例えば、下記特許文献1、2には、脂環式ビスフェノールAジグリシジルエーテルに含まれる着色原因の一つである不純物を低減する方法が開示されている。
また、エポキシ樹脂の着色性は、エポキシモノマーの化学構造や不純物以外に、硬化促進剤の種類にも大きく影響を受けることが知られている。例えば、リン系硬化促進剤を用いた方が、アミン系やイミダゾール系硬化促進剤を用いた場合よりも着色が少ない傾向がある。
特開2003−171439号公報 特開2004−75894号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された方法を用いても、エポキシ樹脂の着色性の改善は必ずしも十分ではなく、更なる耐熱着色性、耐紫外線着色性の向上が求められている。また、硬化促進剤としてリン系硬化促進剤を用いた場合であっても、エポキシ樹脂の着色性の改善は必ずしも十分ではなく、更なる耐着色性の向上が求められている。
一方、一般に光学特性に優れるアクリル系樹脂も光学部材用樹脂として用いられる。しかし、アクリル系樹脂は硬化収縮率が大きいという欠点がある。これはエポキシの開環重合反応と異なり、アクリレートではラジカル重合によってモノマーのファン・デル・ワールス距離が共有結合距離まで縮むためである。この硬化収縮によりアクリル系樹脂の硬化物に応力が発生し、被着体との接着性が劣るという問題がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光学的透明性が十分に高く、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ弾性率が十分に低い硬化物を形成可能であるとともに、硬化収縮率が十分に小さい硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、その硬化性樹脂組成物を用いてなり、光学的透明性が十分に高く、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ弾性率が十分に低い光学部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)エステル部分に(メタ)アクリロイル基及びシロキサン構造を含有する(メタ)アクリル共重合体を10〜70質量%と、(B)単官能又は二官能のシロキサン構造含有(メタ)アクリレートを10〜80質量%と、(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートを5〜50質量%と、(D)ラジカル重合開始剤と、を含有し、上記(A)(メタ)アクリル共重合体が、(a)グリシジルメタクリレート、(b)メチルメタクリレート、及び(c)(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを、(a)/(b)/(c)=40/10/50のモル比で共重合させて得られるエポキシ基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体であり、上記(B)単官能又は二官能のシロキサン構造含有(メタ)アクリレートが、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、及び/又は、シロキサン構造含有ジメタクリレートであり、上記(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートがグリシジル(メタ)アクリレートである硬化性樹脂組成物を提供する。
一般的に、シロキサン樹脂は優れた耐光性、耐熱性を有している。本発明の硬化性樹脂組成物は、シロキサン構造を導入した(A)(メタ)アクリル共重合体及び(B)アクリレートを含有するとともに、(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートを含有することで、光学的透明性が十分に高く、耐光性及び耐熱性に優れる硬化物を形成することができ、更にポリマーである(A)(メタ)アクリル共重合体の存在により、硬化収縮率も十分に低減することができる。また、(A)(メタ)アクリル共重合体及び(B)アクリレートがシロキサン構造を有するため、得られる硬化物は低弾性率となり、応力の緩和を図ることが可能となる。また、硬化収縮率及び硬化物の弾性率が十分に低いことにより、硬化性樹脂組成物により被着体上に硬化物を形成した場合、硬化物と被着体と間の応力を緩和することができ、優れた接着性を得ることができる。
このように、本発明の硬化性樹脂組成物は、光学的透明性が十分に高く、耐熱性及び耐光性に優れた硬化物を形成することができるとともに、硬化収縮低減と低弾性化とを実現することで応力を十分に軽減することができる。以上の性質から、本発明の硬化性樹脂組成物は、光半導体用封止樹脂等の電子材料用途の硬化性樹脂組成物として好適である。そして、耐熱性及び耐光性に優れる本発明の硬化性樹脂組成物を光学部材へ適用することで、光学素子の寿命及び信頼性を向上させることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記(A)(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましい。これにより、硬化収縮率をより十分に低減することができるとともに、光学的透明性、耐光性、耐熱性及び機械特性(低弾性率等)がより優れた硬化物を形成することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記(A)(メタ)アクリル共重合体は、モノマー単位として(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを、上記(A)(メタ)アクリル共重合体を構成するモノマー単位全量を基準として10〜80質量%含むことが好ましい。これにより、(A)(メタ)アクリル共重合体と(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとの相溶性をより向上させることができ、光学的透明性、耐光性、耐熱性及び機械特性がより優れた硬化物を形成することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとして、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを、硬化性樹脂組成物全量を基準として10〜80質量%含むことが好ましい。これにより、(A)(メタ)アクリル共重合体と(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとの相溶性をより向上させることができ、光学的透明性、耐光性、耐熱性及び機械特性がより優れた硬化物を形成することができる。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとして、シロキサン骨格を有する分子量200〜7,000の二官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これにより、得られる硬化物の架橋密度をより高めることができ、機械特性をより向上させることができる。特に、(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとして、上記(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランと、上記二官能(メタ)アクリレートとを併用することにより、二官能(メタ)アクリレートを加えたことによる硬化物の透明性の低下を十分に抑制することができ、光学的透明性に優れ、且つ、機械特性が非常に優れた硬化物を得ることができる。
本発明はまた、上記本発明の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなり、光半導体素子において被着体上に形成される封止用の光学部材を提供する。かかる光学部材は、上記本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成されているため、十分に高い光学的透明性と、優れた耐光性及び耐熱性と、十分に低い弾性率とを得ることができる。
本発明によれば、光学的透明性が十分に高く、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ弾性率が十分に低い硬化物を形成可能であるとともに、硬化収縮率が十分に小さい硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いてなる、光学的透明性が十分に高く、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ弾性率が十分に低い光学部材を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリル共重合体」とは、「アクリル共重合体」及びそれに対応する「メタクリル共重合体」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)エステル部分に(メタ)アクリロイル基及びシロキサン構造を有する(メタ)アクリル共重合体(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレート(以下、場合により「(B)成分」という)と、(C)非シリコーン系(メタ)アクリレート(以下、場合により「(C)成分」という)と、(D)ラジカル重合開始剤(以下、場合により「(D)成分」という)と、を含有してなるものである。かかる本発明の硬化性樹脂組成物は、室温(25℃)で液状であることが好ましく、加熱又は光照射によって硬化するものであることが好ましい。従来のアクリル系樹脂は、硬化収縮率が大きく、それに伴い硬化に際して大きな応力が発生するという問題があったが、上記本発明の硬化性樹脂組成物は、低分子量ポリマーである(A)(メタ)アクリル共重合体を含有することで、硬化収縮率を十分に低減することができ、応力を軽減することができる。
(A)成分である(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜8,000であることがより好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると、得られる硬化物の機械特性、光学特性が低下する傾向にあり、10,000を超えると、粘度が高くなり、他の重合成分との相溶性が低下する傾向にある。
(A)(メタ)アクリル共重合体は、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランをモノマー単位として含むことが好ましい。このシロキサン含有メタアクリレートをモノマー単位として含むことで、(A)(メタ)アクリル共重合体と(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとの相溶性をより向上させることができる。
(A)(メタ)アクリル共重合体中に含まれる(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランは、(A)(メタ)アクリル共重合体を構成するモノマー単位全量を基準として10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。この量が80質量%を超えると、(A)(メタ)アクリル共重合体中の(メタ)アクリロイル基の数が少なくなり、硬化物の架橋密度が不十分となる傾向にあり、10質量%未満では、(A)成分と(B)成分との相溶性が低下する傾向にある。
(A)(メタ)アクリル共重合体は、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランと、1分子中に(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物とを、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合法などの公知の方法にて共重合させ、エポキシ基含有共重合体とした後、更にその共重合体中のエポキシ基と(メタ)アクリル酸とを反応させることで得ることができる。このように、(A)(メタ)アクリル共重合体は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートを用いて得られるものであることが好ましい。そして、このエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を含有するカルボン酸等の化合物とを反応させることで、(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分を容易に得ることができる。
(A)(メタ)アクリル共重合体の合成方法のより具体的な一例は以下の通りである。まず、反応容器中に溶剤を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm)程度の加圧条件にて攪拌しながら140℃程度まで加熱する。次に、加熱した溶剤中に、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、1分子中に(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物、及びラジカル重合開始剤からなる混合液を均一滴下し、滴下終了後、更に反応を続けてエポキシ基含有共重合体を得る。そして、得られたエポキシ基含有共重合体中のエポキシ基と(メタ)アクリル酸とを反応させることで、(メタ)アクリル共重合体を得ることができる。
ここで、エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、1,4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルメタクリレートが好ましい。
また、ラジカル熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等、通常のラジカル重合に使用できるものをいずれも使用することができる。アゾ系開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等が挙げられる。また、過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ヘキシルパーオキシド等が挙げられる。
更に、エポキシ基含有共重合体と(メタ)アクリル酸との配合比は、エポキシ基とカルボニル基の当量比(共重合体中のエポキシ基/(メタ)アクリル酸中のカルボニル基)が0.95〜1.1となるように配合することが好ましい。この配合比が0.95未満では過剰に残存する(メタ)アクリル酸の影響により、得られた硬化物の機械特性が低下する傾向があり、1.1を超えると得られた樹脂組成物の硬化性、及び貯蔵安定性が全般的に低下する傾向がある。また、エポキシ基含有共重合体と(メタ)アクリル酸との反応は、例えば、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基性触媒や、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒の存在下、105℃程度で8〜10時間反応させることにより行うことができる。
(A)(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、上述したように1,000〜10,000であることが好ましいが、この範囲の重量平均分子量を有する共重合体を作製する手法としては、連鎖移動剤を用いる方法、ラジカル重合開始剤を多量に加える方法、より高温条件下で反応を行なう方法等が挙げられる。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定可能である。この測定条件は、例えば次の通りである。
(GPC条件)
使用機器:日立L−6000型〔(株)日立製作所製、商品名〕、
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)〔いずれも日立化成工業(株)製、商品名〕、
溶離液:テトラヒドロフラン、
測定温度:40℃、
流量:1.75ml/min.、
検出器:L−3300RI〔(株)日立製作所、商品名〕。
本発明において、(A)(メタ)アクリル共重合体は、上述した方法により合成した(メタ)アクリル共重合体を更に精製して得られるものであることが好ましい。精製を行うことにより、得られる硬化物の耐光性及び耐熱着色性をより向上させることができる。精製法としては、公知の精製方法を用いることができるが、例えば、再沈法により精製することができる。精製方法のより具体的な一例を示すと、上述した合成方法により得られた低分子量アクリル共重合体の溶液を、その10倍量の貧溶媒(メタノール:水=50:50)に攪拌しながら滴下し、滴下終了後、上澄液を除去して沈殿物を得る。次に、その沈殿物を溶剤で溶かし、硫酸マグネシウムで脱水した後ろ過し、ろ液を脱溶剤することで、精製した(A)(メタ)アクリル共重合体を得ることができる。
(B)成分であるシロキサン構造含有(メタ)アクリレートは、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを含むことが好ましい。また、(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートは、シロキサン骨格を有する分子量200〜7,000の多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが、上記(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを含むことにより、上記多官能(メタ)アクリレートを加えても透明性の高い硬化物が得られ、且つ、上記多官能(メタ)アクリレートを含むことで架橋密度が高くなり、機械特性に優れた硬化物が得られる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物においては、上述した(A)(メタ)アクリル共重合体、及び(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートの一成分として(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを用いることで、(B)成分としてシロキサン含有の多官能(メタ)アクリレートを加えることが可能になり、それによる上記効果を有効に得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、(B)成分である上記(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランの含有量は、硬化性樹脂組成物全量を基準として10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。この含有量が80質量%を超えると、(A)成分による硬化収縮低減の効果を十分に活かすことができない傾向にある。一方、この含有量が10質量%未満では、(B)成分による低弾性率化の効果が低下するとともに、光学特性が低下する傾向にある。
また、(B)成分である上記多官能(メタ)アクリレートは、分子量が200〜7,000であることが好ましく、500〜5,000であることがより好ましい。分子量が200未満では十分な低弾性率化が図れない傾向にあり、7,000を超えると相溶性が低下して硬化物の透明性が低下する傾向にある。
シロキサン含有多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物(ジメタクリレート)等が挙げられる。これらは一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0005239169


[式中、nは0〜200の整数を示し、Rは水素原子、炭素原子1〜9のアルキル基又はアリール基を示し、R’はアルキレン基を示す。なお、同一分子中の複数のR及びR’は同一でも異なっていてもよい。]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(C)成分として、シロキサン構造を有しない非シリコーン系(メタ)アクリレートを含有する。かかる(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシ(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシ(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンを有するモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)クリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ―ルジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、カプロラクトン変性トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらは一種を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(D)成分であるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等、通常のラジカル重合に使用できるものをいずれも使用することができる。アゾ系開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等が挙げられる。また、過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。
また、ラジカル重合を光ラジカル重合により行う場合には、ラジカル重合開始剤として、上記のアゾ系開始剤や過酸化物開始剤等のラジカル熱重合開始剤の替わりに、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、工業的UV照射装置の紫外線を効率良く吸収して活性化し、硬化樹脂を黄変させないものであれば特に制限されるものではなく、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4―(1−メチルビニル)フェニル)プロパノンとトリプロピレングリコールジアクリレートとの混合物、及び、オキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステルとの混合物等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、(A)(メタ)アクリル共重合体の含有量は、硬化性樹脂組成物全量を基準として10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。この含有量が70質量%を超えると低弾性率化の効果、及び光学特性が低下する傾向があり、10質量%未満であると硬化収縮率の低減が不十分となる傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性樹脂組成物全量を基準として10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。この含有量が80質量%を超えると硬化収縮率が大きくなる傾向があり、10質量%未満であると低弾性率化の効果、及び光学特性が低下する傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性樹脂組成物全量を基準として5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。この含有量が50質量%を超えると低弾性率化の効果、及び光学特性が低下する傾向があり、5質量%未満であると(C)成分の効果が十分に得られない傾向がある。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物において、(D)ラジカル重合開始剤の含有量は、アクリレート成分((A)成分、(B)成分及び(C)成分)の総量100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜1質量部とすることが特に好ましい。この含有量が5質量部を超えると得られる硬化物が熱や紫外線によって着色し易くなる傾向があり、0.01質量部未満では樹脂組成物を硬化し難くなる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記(A)〜(D)成分以外に、更にヒンダードアミン系の光安定剤、フェノール系やリン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、重合禁止剤等を添加することができる。また、成形性の観点から離型剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加してもよい。これらは、得られる樹脂硬化物の光透過性を確保する観点から液状のものであることが好ましいが、固形の場合には、用いる波長以下の粒径を有するものとすることが望ましい。
次に、本発明の光学部材について説明する。本発明の光学部材は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなるものである。
本発明の光学部材は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成されているため、光学的透明性が十分に高く、耐光性、耐熱性及び機械特性に優れたものとなる。本発明の光学部材としては、例えば、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路、発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子用途の光学部材が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いた光学部材の製造方法として、例えば、硬化性樹脂組成物の溶液を所望の部分に注型、ポッティング、又は金型へ流し込み、加熱又は光照射によって硬化させる方法が挙げられる。また、硬化阻害や着色防止のため、予め窒素バブリングによって硬化性樹脂組成物中の酸素濃度を低減することが望ましい。
熱硬化の場合の硬化条件は、各成分の種類、組み合わせ、添加量にもよるが、最終的にラジカル重合が完結する温度、時間であればよく、特に限定されないが、好ましくは、60〜140℃で3〜6時間程度である。また、急激な硬化反応により発生する内部応力を低減するために、硬化温度を段階的に昇温することが望ましい。さらに、より短時間で簡易に硬化物を得るために、光照射により光ラジカル重合を行うことも可能である。
図1は、本発明の光学部材を備えた光半導体素子の一実施形態を示す概略端面図である。図1に示す光半導体素子100は、発光ダイオード素子2と、発光ダイオード素子2が封止されるように設けられた透明な光学部材1とを備える実装型の発光ダイオードである。発光ダイオード素子2は、ケース部材5に形成されたキャビティー10の底部に配置されている。発光ダイオード素子2は、接着層20を介してケース部材5に接着されており、ワイヤー8を介してリードフレーム7と接続されている。
光学部材1は、発光ダイオード素子2を覆うとともにキャビティー10を充填している。光学部材1は、例えば、上述した硬化性樹脂組成物の溶液をキャビティー10内に流し込み、キャビティー10内の硬化性樹脂組成物を、上述した加熱又は光照射によって硬化する方法により形成される。
以上説明した本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化収縮率が十分に小さく、その硬化物の光学的透明性が十分に高く、耐熱性、耐光性、機械特性に優れる樹脂組成物であり、その硬化物は、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路、発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子用途の光学部材として好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1)
反応容器中にトルエン101質量部を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm)の加圧条件にて攪拌しながら140℃まで加熱した。この140℃のトルエン中に、(a)グリシジルメタクリレート20.4質量部、(b)メチルメタクリレート3.6質量部、(c)(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン76.0質量部、及び、(d)ラジカル重合開始剤としてパーヘキシルD(日本油脂株式会社製)14質量部の配合からなる成分114質量部を2時間かけて均一滴下した。滴下終了後、更に4時間反応させ続け、共重合体を合成した。得られた共重合体の各モノマー成分のモル比は、(a)/(b)/(c)=40/10/50であり、重量平均分子量は2,000であった。
次に、この共重合体214質量部に、アクリル酸10.7質量部、トリフェニルホスフィン1質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3質量部を加え、大気圧状態にて空気を吹き込みながら100℃で10時間加熱攪拌し、エステル部分にアクリロイル基及びシロキサン構造を有するメタクリル共重合体(酸価:1.5mgKOH/g)の溶液(固形分50質量%)を得た。
更に、このメタクリル共重合体溶液を、10倍量の貧溶媒(メタノール:水=50:50)に攪拌しながら滴下し、数時間静置させた後、上澄液を除去して沈殿物を得た。得られた沈殿物をテトラヒドロフラン(THF)で溶かし、硫酸マグネシウムで脱水した後、ろ過した。その溶液を、エバポレータによりトルエン含有量が1質量%以下になるまで脱溶剤し、精製したメタクリル共重合体(A1)を得た。
(製造例2)
反応容器中にトルエン101質量部を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm)の加圧条件にて攪拌しながら140℃まで加熱した。この140℃のトルエン中に、(a)グリシジルメタクリレート58.7質量部、(b)メチルメタクリレート41.3質量部、及び、(d)ラジカル重合開始剤としてパーヘキシルD(日本油脂株式会社製)14質量部の配合からなる成分114質量部を2時間かけて均一滴下した。滴下終了後、更に4時間反応を続け、共重合体を合成した。得られた共重合体の各モノマー成分のモル比は、(a)/(b)=50/50であり、重量平均分子量は2,000であった。
次に、この共重合体214質量部に、アクリル酸30.7質量部、トリフェニルホスフィン1質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3質量部を加え、上記製造例1と同様の条件で加熱攪拌して、エステル部分にアクリロイル基を有するメタクリル共重合体(酸価:1.5mgKOH/g)の溶液(固形分50質量%)を得た。更に、このメタクリル共重合体溶液を上記製造例1と同様の方法で精製し、メタクリル共重合体(A2)を得た。
(実施例1)
(A)成分として製造例1で得られたメタクリル共重合体(A1)30質量部、(B)成分として(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)30質量部、及びシロキサン構造含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)20質量部、(C)成分としてグリシジルメタクリレート(ライトエステルG、共栄社化学株式会社製)20質量部、並びに、(D)成分として過酸化ラウロイル(パーロイルL、日本油脂株式会社製)0.5質量部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルI、日本油脂株式会社製)0.5質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製した。
この硬化性樹脂組成物溶液を、3mm厚及び1mm厚のシリコーン製のスペーサーをガラス板で挟んだ型の中に流し入れ、オーブン中で80℃、100℃、120℃及び140℃で各1時間(合計4時間)の条件で加熱し、3mm厚及び1mm厚の樹脂硬化物を得た。
(実施例2)
製造例1で得られたメタクリル共重合体(A1)20質量部、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)30質量部、シロキサン含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)30質量部、グリシジルメタクリレート(ライトエステルG、共栄社化学株式会社製)20質量部、過酸化ラウロイル(パーロイルL、日本油脂株式会社製)0.5質量部、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルI、日本油脂株式会社製)0.5質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製した。この硬化性樹脂組成物溶液を用いて、実施例1と同様に3mm厚及び1mm厚の樹脂硬化物を得た。
(実施例3)
製造例1で得られたメタクリル共重合体(A1)30質量部、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)30質量部、シロキサン含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)20質量部、グリシジルメタクリレート(ライトエステルG、共栄社化学株式会社製)20質量部、及び、光ラジカル重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURR 184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製した。
この硬化性樹脂組成物溶液を、3mm厚及び1mm厚のシリコーン製のスペーサーをガラス板で挟んだ型の中に流し入れ、超高圧水銀ランプを用い、照度11.6mW/cm、積算露光量3000mJ/cmで露光してラジカル重合させ、3mm厚及び1mm厚の樹脂硬化物を得た。
(比較例1)
グリシジルメタクリレート(ライトエステルG、共栄社化学株式会社製)20質量部に、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)40質量部、シロキサン含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)40質量部、及び、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURR 184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製した。この硬化性樹脂組成物溶液を用いて、実施例3と同様に3mm厚及び1mm厚の樹脂硬化物を得た。
(比較例2)
製造例2で得られたシロキサン構造を有さないメタクリル共重合体(A2)40質量部、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)40質量部、シロキサン含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)20質量部、過酸化ラウロイル(パーロイルL、日本油脂株式会社製)0.5質量部、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルI、日本油脂株式会社製)0.5質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製したが、相溶性が悪く透明な溶液とはならなかった。
(比較例3)
製造例1で得られたメタクリル共重合体(A1)10質量部、シロキサン含有ジメタクリレート(X−22−164A、信越化学工業株式会社製)90質量部、過酸化ラウロイル(パーロイルL、日本油脂株式会社製)0.5質量部、及び、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート(パーブチルI、日本油脂株式会社製)0.5質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製したが、相溶性が悪く透明な溶液とはならなかった。
(比較例4)
水添ビスフェノールAグリシジルエーテル(デナコールEX−252、ナガセケムテックス株式会社製)90質量部、CEL2021(ダイセル化学工業株式会社製)10質量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(HN−5500F、日立化成工業株式会社製)90質量部、及び、エポキシ硬化促進剤としてテトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート(ヒシコーリンPX−4ET、日本化学工業株式会社製)1質量部を室温(25℃)にて混合し、液状の硬化性樹脂組成物溶液を調製した。この硬化性樹脂組成物溶液を用い、オーブン中の加熱を80℃、100℃、120℃及び150℃で各1時間(合計4時間)の条件で行った以外は実施例1と同様にして、3mm厚及び1mm厚の樹脂硬化物を得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の配合をまとめて表1に示した。
Figure 0005239169

表1中の数字は質量部を示し、A1:製造例1で得られたメタクリル共重合体、A2:製造例2で得られたメタクリル共重合体、B1:(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、B2:シロキサン構造含有ジメタクリレート、C:グリシジルメタクリレート、D1:過酸化ラウロイル、D2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、D3:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンをそれぞれ示す。
(樹脂硬化物の特性評価)
上記実施例1〜3、比較例1及び4で得られた樹脂硬化物について、硬化収縮率、曲げ弾性率、光透過率、及び黄変度を下記に示す方法により測定した。
硬化収縮率(ΔV)は、硬化性樹脂組成物溶液の比重(ρ)と樹脂硬化物の比重(ρ)とから、下記式;
ΔV(%)={(ρ−ρ)/ρ}×100
を用いて算出した。ここで、硬化性樹脂組成物溶液の比重は、ピクノメータ法によって測定した。また、樹脂硬化物の比重は、電子比重計(SD−200L、ミラージュ社製)を用いてアルキメデス法により測定した。
曲げ弾性率は、3mm厚の樹脂硬化物から3×20×50mmの試験片を切り出し、この試験片に対して、三点曲げ試験装置(インストロン社製、5548型)を用いてJIS−K−6911に準拠した3点支持による曲げ試験を行い、下記式(I)から算出した。なお、曲げ試験は、支点間距離は24mm、クロスヘッド移動速度は0.5mm/分、測定温度は室温(25℃)の条件で行った。
Figure 0005239169


[式(I)中、Ef:曲げ弾性率(MPa)、Lv:支点間距離(mm)、P:加重(N)、Y:変位量(mm)、W:試験片の幅(mm)、h:試験片の厚さ(mm)である。]
光透過率と黄変度は、分光光度計(日立分光光度計V−3310)を用い、1mm厚の樹脂硬化物を試験片として測定した。光透過率は、波長400nmの光の透過率を、硬化後(初期)及び耐熱変色性の評価として150℃で72時間の高温放置した後に測定した。また、黄色味を示す黄変度(YI)は、測定した透過スペクトルを用い、標準光Cの場合の三刺激値XYZを求め、下記式(II)から求めた。
Figure 0005239169

耐光性試験及び評価は次のように行った。すなわち、1mm厚の樹脂硬化物に近紫外光を30時間照射し(照射波長365nm、照度5000mW/cm、スポットUV照射装置SP−7、ウシオ電機社製)、照射部分における波長380nmの光の透過率を測定した。
なお、比較例2及び3では、硬化性樹脂組成物溶液の相溶性が悪く、透明均一な硬化物が得られなかった。そのため、これらについては硬化収縮率、曲げ弾性率、光透過率、黄変度及び耐光性の評価は行わなかった。
上記実施例1〜3、比較例1及び4の硬化収縮率、室温(25℃)での曲げ弾性率、光学特性、すなわち硬化後(初期)と高温放置後の波長400nmでの光透過率及び黄変度を表2に示した。
Figure 0005239169

表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜3では、いずれも硬化収縮が比較例1に比べて小さいことが確認された。また、実施例1〜3では、室温(25℃)における曲げ弾性率も10MPa以下と十分に小さく、硬化収縮低減と合わせて応力を大きく軽減できることが確認された。また、実施例1〜3では、比較例4と比較して高温放置後の光透過率が十分に高く、黄変度も十分に小さく、耐熱変色性に優れていることが確認された。更に、実施例1〜3では、比較例4と比較して近紫外光照射後の光透過率が高く、耐光性に優れていることが確認された。なお、比較例2及び3では材料の相溶性が悪く、透明な硬化物を得ることは出来なかった。
本発明の光学部材を備えた光半導体素子の一実施形態を示す概略端面図である。
符号の説明
1・・・光学部材、2・・・発光ダイオード素子、5・・・ケース部材、7・・・リードフレーム、8・・・ワイヤー、10・・・キャビティー、100・・・光半導体素子。

Claims (4)

  1. (A)エステル部分に(メタ)アクリロイル基及びシロキサン構造を有する(メタ)アクリル共重合体を10〜70質量%と、
    (B)単官能又は二官能のシロキサン構造含有(メタ)アクリレートを10〜80質量%と、
    (C)非シリコーン系(メタ)アクリレートを5〜50質量%と、
    (D)ラジカル重合開始剤と、
    を含有し、前記(A)(メタ)アクリル共重合体が、(a)グリシジルメタクリレート、(b)メチルメタクリレート、及び(c)(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを、(a)/(b)/(c)=40/10/50のモル比で共重合させて得られるエポキシ基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリル共重合体であり、前記(B)単官能又は二官能のシロキサン構造含有(メタ)アクリレートが、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、及び/又は、シロキサン構造含有ジメタクリレートであり、前記(C)非シリコーン系(メタ)アクリレートがグリシジル(メタ)アクリレートである硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなり、光半導体素子において被着体上に形成される封止用の光学部材。
  2. 前記(A)(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、1,000〜10,000である、請求項1記載の光学部材。
  3. 前記(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとして、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランを、硬化性樹脂組成物全量を基準として10〜80質量%含む、請求項1又は2記載の光学部材。
  4. 前記(B)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートとして、シロキサン骨格を有する分子量200〜7,000の二官能(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の光学部材。
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