JP7115015B2 - 硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学成型材、レンズ、カメラモジュール - Google Patents
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また、「モノマー単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表される(メタ)アクリレート(A)、ウレタン構造を有さない脂環式(メタ)アクリレート(B)、重合開始剤(C)を含有する。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)及び(B)成分以外の(メタ)アクリレート(D)を含有してもよい。以下、各成分について順番に説明する。
(A)成分は、前記式(1)で表される(メタ)アクリレートであり、本発明の硬化物のアッベ数を高める成分である。式(1)中のZ部分に分岐構造のアルキレングリコール基を有することで、硬化性樹脂組成物の低温における保管安定性と、硬化物の高いアッベ数を両立することができる。
本発明では、(A)成分の含有量を5~95質量%とすることで、硬化物のアッベ数をより高くすることができる。
(B)成分は、ウレタン構造を有さない脂環式(メタ)アクリレートであり、本発明の硬化物の屈折率を高める成分である。(B)成分は、単官能であってもよいし、多官能であってもよい。(B)成分は、ウレタン構造を有さないことで、硬化物の屈折率を高く、着色を小さくすることができる。ウレタン構造を有さない脂環式(メタ)アクリレートとしては、ウレタン構造を有さない炭素原子数3~20の脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。炭素原子数3~20の脂環構造としては、炭素原子数3~20の炭素原子を有する、飽和若しくは不飽和単環式又は飽和多環式脂肪族基等が挙げられ、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、トリシクロデカン、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル等が挙げられる。
本発明では、(B)成分の含有量を5~95質量%とすることで、硬化物の屈折率をより高くすることができる。
(C)成分である重合開始剤としてはラジカル重合開始剤が挙げられ、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物等が挙げられる。重合開始剤(C)の種類は重合方法に応じて適宜選択することができる。
アントラキノン型化合物としては、t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン等が挙げられ、
アルキルフェノン型化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド型化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ、
フェニルグリオキシレート型化合物としては、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が挙げられる。
これら光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられ、
パーオキシケタールとしては、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、
ハイドロパーオキサイドとしては、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、
ジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられ、
ジアシルパーオキサイドとしては、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等が挙げられ、
パーオキシジカーボネートとしては、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられ、
パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。
これら熱重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、レドックス重合には、通常、レドックス系重合開始剤が用いられる。レドックス系重合開始剤は、過酸化物と還元剤とを併用した重合開始剤である。上述した過酸化物をレドックス系重合開始剤として使用する場合、還元剤との組み合わせの一例は以下の通りである。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の粘度や、硬化物の硬度、ガラス転移点の調整の目的で、さらに(D)成分として、(A)及び(B)成分以外の(メタ)アクリレートを含有してもよい。(D)成分は、単官能であってもよいし、多官能であってもよい。
アルコキシ(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、
5官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、
6官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)~(D)成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤、蛍光体、顔料等が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(A)~(C)成分、必要に応じて(D)成分、その他の成分を撹拌混合する方法が挙げられる。撹拌混合は常温で実施してもよいし、必要に応じて30~100℃に加熱してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、輸送時や保管時に低温となる場合があるため、低温で成分の析出がなく、低温保管安定性が優れることが好ましい。低温で成分が析出すると、硬化性樹脂組成物の配合比率が変化するため、硬化物の特性が不安定になり好ましくない。
本発明の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物を硬化して得ることができる。
硬化物を得る方法としては、例えば、本発明に係る硬化性樹脂組成物を所定の形状としておき、これを硬化させて所定の形状を有する硬化物を得る方法が挙げられる。このようにして所定の形状を有する硬化物を得る方式としては、例えば、硬化性樹脂組成物を型に流し込むキャスティング成形方式、液体樹脂射出成形方式(LIM方式)、トランスファー成形方式等や、硬化性樹脂組成物を塗工するコーティング方式やプリンティング成形方式、ポッティング成形方式等が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤((C)成分)の種類に応じて、光重合、熱重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。
硬化性樹脂組成物を熱重合した後には、アフターキュアーをさらに行うことが好ましい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。アフターキュアーの条件としては、50~200℃で0.1~10時間が好ましく、70~150℃で0.2~5時間がより好ましい。
硬化物の屈折率(nD)は、1.48以上であることが好ましく、1.49以上であることがより好ましく、1.50以上であることは更に好ましい。硬化物の屈折率が1.48以上であれば、レンズ等の光学成型材に適用した場合に成型材を薄くすることができる。なお、屈折率は、後述する方法により測定される値である。
硬化物のアッベ数は、54以上であることが好ましく、54.5以上であることがより好ましく、55以上であることは更に好ましい。硬化物のアッベ数が54以上であれば、レンズ等の光学成型材に適用した場合に色収差が生じにくくなり、光学設計が容易となる。なお、アッベ数は、後述する方法により測定される値である。
本発明の光学成型材は、上述の硬化物を成形して作製される。該成形は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。
光学成型材としては、例えば、発光ダイオードモジュール、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコン、カメラ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、プロジェクター、自動車等に使用されるレンズ、光回折格子、フィルム、シート、光導波路、封止材、接着剤、反射材、波長変換材、硝子繊維強化プラスチック等が挙げられる。本発明の光学成型材は、高いアッベ数及び高いガラス転移点を有するため、カメラレンズ等のレンズとして特に有用である。
本発明のレンズは、本発明の硬化物を含む。該レンズは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコン、デジタルカメラ等の電子機器、自動車のバックカメラ、ドライブレコーダー、運転支援センサー等に備え付けられるカメラモジュールに用いられる。本発明のレンズは、本発明の硬化物のみで構成されてもよいが、平面ガラス、曲面ガラス又はガラスウエハー等の透明基材と、該透明基材の片面又は両面上に形成された本発明の硬化物とからなるハイブリッドレンズであってもよい。
本発明のカメラモジュールは、本発明のレンズを含む。図1に、本発明のカメラモジュールの一例の断面図を示す。図1に示すカメラモジュール100は、本発明のレンズであるカメラレンズ1a、1b及び赤外線カットフィルター5を備えるレンズホルダー2と、センサーチップ4及びボンディングワイヤ6a、6bを備える基板3とを具備する。基板3上に、レンズホルダー2が積層されている。なお、図1に示すカメラモジュール100が備えるカメラレンズは2枚であるが、カメラレンズは1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。複数枚のレンズを備える場合、本発明のレンズ以外の樹脂製レンズや、ガラス製のカメラレンズが混在していてもよい。
また、その他の構成のカメラモジュールとしては、ウエハー上に形成された、レンズとイメージセンサーウエハーとの接着積層体をダイシングするウエハーレベル方式によって形成されるカメラモジュールが挙げられる。
実施例及び比較例における数平均分子量、低温保管安定性、全光線透過率/ヘーズ、YI値、屈折率/アッベ数についての評価は以下の方法で実施した。
合成例1~5で得られた化合物を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて分子量を測定した。得られた分子量をポリスチレン換算して、数平均分子量を求めた。
得られた硬化性樹脂組成物を0℃で1週間保管し、以下の基準で安定性を評価した。
○:析出物無し。
×:析出物有り。
得られた厚さ1mmの硬化物の全光線透過率及びヘーズをヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、HM-150型)で測定し、透明性を評価した。
得られた厚さ1mmの硬化物のYI値を分光測色計(コニカミノルタ製、CM-5)で測定し、着色性を評価した。
得られた厚さ1mmの硬化物の屈折率をカルニュー精密屈折計(島津製作所製、KPR-2000)で測定した。測定は、23℃で、中間液にジヨードメタン、モノブロモナフタレン、流動パラフィンの混合液を用いて実施した。
アッベ数は、得られた屈折率から、式(6)を用いて算出した。
アッベ数=(nD-1)/(nF-nC)・・式(6)
但し、nDはフラウンホーファーのD線(589nm)に対する屈折率を示し、nFは、フラウンホーファーのF線(486nm)に対する屈折率を示し、nCは、フラウンホーファーのC線(656nm)に対する屈折率を示す。
[合成例1](1,4-テトラメチレングリコールと2-メチル-1,4-テトラメチレングリコールを共重合させた構造で表されるジオール(式(5)で表されるジオールのうち、式(3)で表される構成単位が、R2及びR3のいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であるもの、数平均分子量1000)を原料とするメタクリレート(PBOLM1000)の合成)
精留塔(内径35mm、理論段数20段)、攪拌羽根、温度計及びエアー吹き込み管を付した3Lの5つ口フラスコを準備した。フラスコに、1,4-テトラメチレングリコールと2-メチル-1,4-テトラメチレングリコールを共重合させた構造で表されるジオール(式(5)で表されるジオールのうち、式(3)で表される構成単位が、R2及びR3のいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であるもの、数平均分子量1000)900g、メチルメタクリレート(MMA)1070g、次亜リン酸ナトリウム1.9g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを入れた。フラスコの内液をエアーバブリング及び攪拌しながら、フラスコをオイルバスで加熱した。内温100~110℃でMMAと水を共沸により抜き出した。カールフィッシャー水分測定装置((株)三菱化学アナリティック製、商品名:CA-21)を用いてフラスコの内液の水分量を分析し、水分量が100ppm以下であることを確認した後、チタン酸テトラ-n-ブチルを10.1g添加した。その後内温100~120℃で塔頂温度が64~66℃の範囲になるように還流比を調整して、MMAとメタノールを共沸により抜き出しながら、反応を実施した。核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、商品名:JNM-EX270)を用いて反応液の分析を行い、原料のジオールが検出されないことを確認した後、内温を40℃に下げた。
反応液に水54gと珪藻土116gを加えて1時間攪拌した後、4μmのろ紙を用いて室温にてろ過を行った。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、MMAを留去した。残渣にヘキサンを1.2L加えて溶解させた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液100gで洗浄し、500mlの水で3回洗浄した。洗浄後、減圧にして加熱し、ヘキサンを留去した。得られたPBOLM1000は、収量980g、収率96%、であった。NMR測定による解析を行ったところ、PBOLM1000中に式(3)で表される構成単位を14質量%含んでいた。
[合成例1]と同様な装置を準備し、フラスコに、1,4-テトラメチレングリコールと2-メチル-1,4-テトラメチレングリコールを共重合させた構造で表されるジオール(式(5)で表されるジオールのうち、式(3)で表される構成単位が、R2及びR3のいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であるもの、数平均分子量1000)900g、メチルアクリレート1550g、次亜リン酸ナトリウム1.9g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.8gを入れた。以降は[合成例1]と同様に操作し、フラスコの内液の水分量が100ppm以下であることを確認した後、チタン酸テトラ-n-ブチルを10.4g添加した。その後内温80~100℃で塔頂温度が62~64℃の範囲になるように還流比を調整して、メチルアクリレートとメタノールを共沸により抜き出しながら、反応を実施した。核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、商品名:JNM-EX270)を用いて反応液の分析を行い、原料のジオールが検出されないことを確認した後、内温を40℃に下げた。
反応液に水54gと珪藻土116gを加えて1時間攪拌した後、4μmのろ紙を用いて室温にてろ過を行った。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、メチルアクリレートを留去した。ヘキサンを1.2L加えて溶解させた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液100gで洗浄し、500mlの水で3回洗浄した。洗浄後、減圧にして加熱し、ヘキサンを留去した。得られたPBOLA1000は、収量986g、収率92%であった。NMR測定による解析を行ったところ、PBOLA1000中に式(3)で表される構成単位を14質量%含んでいた。
[合成例1]と同様な装置を準備し、フラスコに、1,4-テトラメチレングリコール)とネオペンチルグリコールを共重合させた構造で表されるジオール(式(5)で表されるジオールのうち、式(4)で表される構成単位が、R4及びR5のいずれもメチル基であるもの、数平均分子量1800)900g、MMA650g、次亜リン酸ナトリウム1.1g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを入れた。以降は、チタン酸テトラ-n-ブチルの添加量を5.6gとした以外は[合成例1]と同様に操作し、原料のジオールが検出されないことを確認した後、内温を40℃に下げた。
反応液に水30gと珪藻土65gを加えて1時間攪拌した後、4μmのろ紙を用いて室温にてろ過を行った。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、MMAを留去した。残渣にヘキサンを1.2L加えて溶解させた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液56gで洗浄し、280mlの水で3回洗浄した。洗浄後、減圧にして加熱し、ヘキサンを留去した。得られたPBOLM1800は、収量910g、収率94%、であった。NMR測定による解析を行ったところ、PBOLM1800中に式(4)で表される構成単位を18質量%含んでいた。
[合成例1]と同様な装置を準備し、フラスコに、1,4-テトラメチレングリコール)と2-メチル-1,4-テトラメチレングリコールを共重合させた構造で表されるジオール(式(5)で表されるジオールのうち、式(3)で表される構成単位が、R2及びR3のいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であるもの、数平均分子量2000)900g、MMA600g、次亜リン酸ナトリウム1.9g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを入れた。以降は、チタン酸テトラ-n-ブチルの添加量を5.0gとした以外は[合成例1]と同様に操作し、原料のジオールが検出されないことを確認した後、内温を40℃に下げた。
反応液に水27gと珪藻土58gを加えて1時間攪拌した後、4μmのろ紙を用いて室温にてろ過を行った。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、MMAを留去した。残渣にヘキサンを1.2L加えて溶解させた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液50gで洗浄し、250mlの水で3回洗浄した。洗浄後、減圧にして加熱し、ヘキサンを留去した。得られたPBOLM2000は、収量913g、収率95%、であった。NMR測定による解析を行ったところ、PBOLM2000中に式(3)で表される構成単位を14質量%含んでいた。
[合成例1]と同様な装置を準備し、フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、商品名PTG1000、数平均分子量1000)600g、メチルメタクリレート(MMA)1150g、次亜リン酸ナトリウム2.5g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gを入れた。以降は、チタン酸テトラ-n-ブチルの添加量を5.0gとした以外は[合成例1]と同様に操作し、原料のジオールが検出されないことを確認した後、内温を40℃に下げた。
反応液に水36gと珪藻土75gを加えて1時間攪拌した後、4μmのろ紙を用いて室温にてろ過を行った。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、MMAを留去した。ヘキサンを1.2L加えて溶解させた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液130gで洗浄し、330mlの水で3回洗浄した。洗浄後、減圧にして加熱し、ヘキサンを留去した。得られたPBOM1000は、収量969g、収率95%であった。
冷却器を備えた反応容器に、(A)成分としてPBOLM1000を50部、(B)成分としてFA-513Mを50部、(C)成分としてIRGCURE184(光重合開始剤)を2部加え、50℃で1時間攪拌混合した。1時間後常温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いて、得られた硬化性樹脂組成物を2枚のガラス板で挟み込み、高圧水銀灯で積算光量3,000mJ/cm2の紫外線を照射した後、100℃で60分間加熱した。冷却後、シリコーンシート及び板ガラスを除去し、厚さ1mmの硬化物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物及びその硬化物を用い、各評価を実施した。評価結果を表1に記載した。
用いた成分を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物及び硬化物を作製し、各評価を実施した。
PBOLM1000:合成例1で合成したメタクリレート化合物。
PBOLA1000:合成例2で合成したアクリレート化合物。
PBOLM1800:合成例3で合成したメタクリレート化合物。
PBOLM2000:合成例4で合成したメタクリレート化合物。
FA-513M:ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成(株)製、商品名:ファンクリルFA-513M)。
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルCH)。
PBOM1000:合成例5で合成したポリテトラメチレングリコールジメタクリレート。
IRGACURE184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製、商品名:IRAGACURE184)。
MAC-SQ TM-100:メタクリロイル基を有するシルセスキオキサン化合物(東亜合成製、商品名:MAC-SQ TM-100)。
UA-4200:ウレタンアクリレート(新中村化学工業製、商品名:NKオリゴUA-4200)。
BPE-4:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬製、商品名:ニューフロンティアBPE-4)。
一方、(A)成分の代わりにポリテトラメチレングリコールジメタクリレートを用いた比較例1では、硬化性樹脂組成物を低温で保管すると析出物が確認された。また、(B)成分の代わりに、ウレタンアクリレートを用いた比較例2では、屈性率が低く、着色が大きかった。(B)成分の代わりに、エポキシアクリレートを用いた比較例3では、アッベ数が低く、着色が大きかった。
Claims (7)
- 下記式(1)で表される(メタ)アクリレート(A)、ウレタン構造を有さない脂環式(メタ)アクリレート(B)、及び重合開始剤(C)を含有する硬化性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリレート(A)及び(メタ)アクリレート(B)以外の(メタ)アクリレート(D)を含有する請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリレート(B)、並びに前記(メタ)アクリレート(A)及び(メタ)アクリレート(B)以外の(メタ)アクリレート(D)の合計100質量%に対して、(A)成分が5~95質量%、(B)成分が5~95質量%、(D)成分が50質量%以下であり、(A)、(B)及び(D)成分の合計量100質量部に対して、前記重合開始剤(C)を0.05~10質量部含有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物からなる光学成型材。
- 請求項5に記載の光学成型材を含むレンズ。
- 請求項6に記載のレンズを含むカメラモジュール。
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JP2013023678A (ja) | 2011-07-26 | 2013-02-04 | Nippon Kayaku Co Ltd | 光学シート用エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその硬化物 |
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