JP6915417B2 - 光学成型材用硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学成型材、レンズ、カメラモジュール - Google Patents

光学成型材用硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学成型材、レンズ、カメラモジュール Download PDF

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本発明は、光学成型材用硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学成型材、レンズ、カメラモジュールに関する。
モバイル用カメラ等に使用される小型カメラモジュールでは、高アッベ数のレンズと低アッベ数のレンズを複数枚組み合わせたレンズユニットを用いることで色収差を解消している。レンズ材料としては、易成型でコストにも優れることから、熱可塑性樹脂が用いられることが多い。例えば、高アッベ数レンズ用の材料としては、高アッベ数(ν=56)で、ガラス転移点が高いシクロオレフィン樹脂などが採用されている。
一方で、ガラス転移点が高く、より熱安定性に優れる樹脂が得られる「硬化性樹脂組成物」をレンズ材料に適用する検討が進められている。例えば、特許文献1には、側鎖に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体、芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリル系重合性単量体及びラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物が、透明性、耐熱性に優れ、カメラレンズ等の光学部材に好適であることが開示されている。また、特許文献2には、多官能共重合体、ポリオルガノシロキサン、分子内に1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び開始剤を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物が、光学特性、耐熱性に優れ、カメラレンズ等の光学材料に好適であることが開示されている。
特開2015−155533号公報 特開2013−133375号公報
しかしながら、特許文献1,2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、アッベ数が十分に高くないため、レンズ設計の自由度が低くなる問題があった。
本発明は、アッベ数及びガラス転移点が共に高い硬化物が容易に得られる光学成型材用硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学成型材、レンズ、カメラモジュールを提供することを目的とする。
本発明の一態様の光学成型材用硬化性樹脂組成物は、メタクリル系重合体(A)、アルキル基の炭素数が2〜8のアルキルメタクリレート(B)、多官能の(メタ)アクリレート(C)及びラジカル重合開始剤(D)を含有し、前記メタクリル系重合体(A)は、該重合体の主鎖が、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を50〜99.9質量%含有し、側鎖にラジカル重合性二重結合を有している。
上記態様においては、前記メタクリル系重合体(A)の主鎖が、アルキル基の炭素数2〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を5〜99質量%含有することが好ましい。
本発明の一態様は、上記光学成型材用硬化性樹脂組成物が硬化した硬化物である。
本発明の一態様は、上記硬化物からなる光学成型材である。
本発明の一態様は、上記硬化物を含むレンズである。
本発明の一態様は、上記レンズを含むカメラモジュールである。
本発明の光学成型材用硬化性樹脂組成物によれば、アッベ数及びガラス転移点が共に高い硬化物が容易に得られる。
本発明の硬化物、光学成型材、レンズは、アッベ数及びガラス転移点が共に高い。
本発明のカメラモジュールは、熱安定性に優れ、レンズ組み合わせの設計の自由度が高い。
本発明のカメラモジュールの一実施形態を示す断面図である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の総称、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の総称であり、CH=C(R)−C(=O)−(Rは水素原子又はメチル基)で表される基である。
また、「単官能」とは、ラジカル重合性二重結合を1つ有することを意味する。「多官能」とは、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有することを意味し、例えば「2官能」とは、ラジカル重合性二重結合を2つ有することを意味する。
また、「モノマー単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
<光学成型材用硬化性樹脂組成物>
本発明の一態様の光学成型材用硬化性樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」ともいう。)は、以下に説明する(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する。本態様の硬化性樹脂組成物は、その他の成分を含有してもよい。
[(A)成分]
(A)成分は、主鎖の組成中にアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を50〜99.9質量%含有し、側鎖にラジカル重合性二重結合を有するメタクリル系重合体である。すなわち、(A)成分は、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を50〜99.9質量%含有するメタクリル系重合体(以下、「ベースポリマー」という。)の主鎖に、側鎖としてのラジカル重合性二重結合を有する官能基が置換された化学構造を有する。
ここで、アルキルメタクリレートのアルキル基とは、アルキルメタクリレート:CH=C(CH)−C(=O)−ORにおけるRのことである。
(A)成分は(B)成分及び(C)成分に溶解していることが好ましい。(A)成分が(B)成分及び(C)成分に溶解していれば、硬化性樹脂組成物を成型する際の作業性が高くなる。
(ベースポリマー)
ベースポリマーは、(A)成分の主鎖となるポリマーであって、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を含有するメタクリル系重合体である。
該メタクリル系重合体は、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位以外のモノマー単位を含有してもよい。アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位以外のモノマー単位としては、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレート以外の単官能の(メタ)アクリル系モノマー単位及び単官能のビニル基含有モノマー単位が挙げられる。
ベースポリマー(すなわち(A)成分の主鎖)は、(A)成分の(B)成分及び(C)成分に対する溶解性が高くなることから、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位は50〜99.9質量%であり、80〜99質量%であることが好ましい。アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位が50質量%未満であると、硬化性樹脂組成物を成型する際の作業性が低下して光学成型材用として適さないものになるおそれがある。アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位が99.9質量%を超えると、(A)成分のラジカル重合性二重結合を有する側鎖が少なくなるので、該硬化性樹脂組成物が硬化した硬化物の強度及び透明性が不充分になることがある。
また、ベースポリマーは、アルキル基の炭素数2〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を5〜99質量%含有することが好ましく、10〜80質量%含有することがより好ましい。アルキル基の炭素数2〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位が前記下限値以上であれば、硬化性樹脂組成物の粘度がより低位となり、作業性がより良好となり、前記上限値以下であれば、ガラス転移点をより容易に高くできる。
アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を形成するアルキルメタクリレートの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、i−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化物のガラス転移点がより容易に高くなることから、アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレート単位以外の単官能(メタ)アクリル系モノマー単位を形成する単官能(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシ基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数1〜8のアルキルアクリレート;n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数9以上のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1−ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等のヘテロ環構造を有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。これらモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
単官能のビニル基含有モノマー単位を形成する単官能ビニル基含有モノマーは、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレート及び上記単官能(メタ)アクリル系モノマー以外の単官能ビニル基含有モノマーである。
単官能ビニル基含有モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体及び酢酸ビニル等のビニルエステル単量体が挙げられる。これらモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ベースポリマーの重量平均分子量(以下、「M」という。)としては、1,000〜300,000が好ましく、5,000〜200,000がより好ましく、10,000〜150,000がさらに好ましい。Mを1,000以上とすれば、硬化物の強度を高めることができる。また、Mを300,000以下とすれば、硬化性樹脂組成物中の(A)成分の溶解性を良好にできる。
(ラジカル重合性二重結合を有する官能基)
ラジカル重合性二重結合とは、ラジカル重合ができる二重結合のことを意味する。
側鎖に含まれるラジカル重合性二重結合を有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が挙げられる。(B)成分や(C)成分との重合性の点から、ラジカル重合性二重結合を有する官能基は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分は、1分子内に複数の二重結合を有することが好ましい。(A)成分の二重結合当量(二重結合1molあたりの重合体のg質量)としては、100〜10,000g/molであることが好ましく、500〜5,000g/molであることがさらに好ましい。(A)成分のラジカル二重結合当量を100g/mol以上とすれば、硬化物の強度が良好になる。一方、(A)成分のラジカル二重結合当量を10,000g/mol以下とすれば、硬化物の透明性が良好になる。
((A)成分の製造方法)
(A)成分の製造方法としては、モノマーを重合してベースポリマーを合成し、次いで、化学修飾法によりベースポリマーにラジカル重合性二重結合を有する官能基を導入する製造する方法が好ましい。
ベースポリマーの重合方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、部分重合法等の公知の方法で重合することができる。本発明においては、重合反応の制御や、生成したポリマーの分離が比較的容易であることから、懸濁重合法が好ましい。
ベースポリマーにラジカル重合性二重結合を有する官能基を導入する化学修飾法としては、例えば、カルボキシ基とグリシジル基の反応を利用する方法や、ヒドロキシ基とイソシアネート基の反応を利用する方法等が挙げられる。
化学修飾法として、カルボキシ基とグリシジル基の反応を利用する場合、例えば、下記(a),(b)の方法が挙げられる。
(a)メタクリル酸のようなカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸モノマー単位を含有したベースポリマーを製造し、得られたベースポリマーのカルボキシ基に、例えば、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基とラジカル重合性二重結合を有する修飾用化合物のグリシジル基を反応させる方法。
(b)グリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー単位を含有したベースポリマーを製造し、得られたベースポリマーのグリシジル基に、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基とラジカル重合性二重結合を有する修飾用化合物のカルボキシ基を反応させる方法。
カルボキシ基とグリシジル基の反応には、反応時間の短縮のため反応触媒を用いることが好ましい。反応触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の第四級ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物等が挙げられる。硬化物の着色が小さくなる点から、第四級アンモニウム塩が特に好ましい。
この反応触媒の量としては、修飾用化合物100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。反応触媒の量を上記範囲内とすることで、反応時間を短縮でき、かつ、硬化物の着色を小さくできる。
化学修飾法として、ヒドロキシ基とイソシアネート基の反応を利用する場合、例えば、下記(c),(d)の方法が挙げられる。
(c)2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー単位を含有したベースポリマーを製造し、得られたベースポリマーのヒドロキシ基に、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基とラジカル重合性二重結合を有する修飾用化合物のイソシアネート基を反応させる方法。
(d)イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマー単位を含有したベースポリマーを製造し、得られたベースポリマーのイソシアネート基に、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基とラジカル重合性二重結合を有する修飾用化合物のヒドロキシ基を反応させる方法。
ヒドロキシ基とイソシアネート基の反応には、反応時間の短縮のため反応触媒を用いることが好ましい。反応触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等のその他有機金属化合物、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物、トリエチルアミン等のアミン化合物及びそれらの塩が挙げられる。硬化物の着色が小さくなる点から、有機錫化合物が特に好ましい。
この反応触媒の量としては、修飾用化合物100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。反応触媒の量を上記範囲内とすることで、反応時間を短縮でき、かつ、硬化物の着色を小さくできる。
化学修飾法においては、ラジカル重合を抑制して官能基の導入を安定させるために、重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノt−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、カテコール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール等が挙げられる。これら重合禁止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
化学修飾法としては、(B)成分に修飾用化合物及びベースポリマーを溶解し、加熱してベースポリマーにラジカル重合性二重結合を導入する反応を行い、(A)成分を得る方法が好ましい。反応温度は、50℃〜150℃が好ましい。また、反応時間は、0.5〜30時間が好ましい。反応温度又は反応時間を上記範囲内とすることで、ラジカル重合性二重結合の導入率が高くなり、また、反応物のゲル化が抑制される。
[(B)成分]
(B)成分は、アルキル基の炭素数2〜8のアルキルメタクリレートである。
(B)の具体例としては、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、i−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
硬化物のガラス転移点がより容易に高くなることから、(B)成分は、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが好ましく、アッベ数がより高くなることから、i−ブチルメタクリレートがより好ましい。
これら(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[(C)成分]
(C)成分は、多官能の(メタ)アクリレートである。
(C)成分の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン、ウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、(C)成分としては、ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物等のラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンも挙げられる。ラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物は、分子内にラジカル重合性基を有するアルコキシシラン化合物等を縮合反応する方法等で得られる。ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシランなどが挙げられる。(A)成分及び(B)成分との相溶性や共重合性に優れる観点から、ラジカル重合性基としては(メタ)アクリロイル基が好ましく、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン化合物としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
ラジカル重合性基を有するラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物としては市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の「商品名:AC−SQTA−100」、「商品名:AC−SQ SI−20」、「商品名:MAC−SQ TM−100」、「商品名:MAC−SQ SI−20」などのラジカル重合性基を有するシルセスキオキサン化合物が挙げられる。
硬化物のアッベ数が高くできることから、(C)成分は芳香環構造を有さない化合物が好ましい。また、硬化物のガラス転移点がより容易に高くなることから、(C)成分は、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
これら(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[(D)成分]
(D)成分は、重合開始剤であり、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物などが挙げられる。(D)成分の種類は重合方法に応じて適宜選択することができる。
光重合開始剤は光重合に用いられるラジカル重合開始剤である。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型化合物;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物などが挙げられる。
これらの中でも、硬化物の着色を抑制できる点で、アルキルフェノン型化合物が好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。また、硬化物の内部まで十分に硬化されやすくなる点で、アシルフォスフィンオキサイド型化合物が好ましく、硬化物の着色を抑制できる点で、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。これらの光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は熱重合に用いられるラジカル重合開始剤である。熱重合開始剤としては例えば有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
これらの熱重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、硬化物に気泡が生じにくい点で、有機過酸化物が好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化時間とポットライフとのバランスを考慮すると、有機過酸化物の10時間半減期温度は35〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜75℃であり、さらに好ましくは45〜70℃である。10時間半減期温度が35℃以上であれば、常温で硬化性樹脂組成物がゲル化しにくくなり、ポットライフが良好となる。一方、10時間半減期温度が80℃以下であれば、硬化性樹脂組成物の硬化時間を短縮できる。このような半減期温度の有機過酸化物としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの市販品としては、例えばパーオクタO(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:65.3℃)等が挙げられる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの市販品としては、例えばパーブチルO(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:72.1℃)等が挙げられる。ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートの市販品としては、例えばパーロイルTCP(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:40.8℃)等が挙げられる。
レドックス重合に用いられる過酸化物としては、例えばジベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの過酸化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、レドックス重合には、通常、レドックス系重合開始剤が用いられる。レドックス系重合開始剤は、過酸化物と還元剤とを併用した重合開始剤である。上述した過酸化物をレドックス系重合開始剤として使用する場合、還元剤との組み合わせの一例は以下の通りである。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
これら(D)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[その他の成分]
本態様の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)〜(D)成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤、蛍光体、顔料等が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、本態様の硬化性樹脂組成物は、(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物を含有することで粘度や得られる硬化物のガラス転移点の調整を行うことができる。
(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシ基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数1〜8のアルキルアクリレート;n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数9以上のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1−ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等のヘテロ環構造を有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、硬化物のアッベ数を高くするという点では、(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物としては、芳香環を有さない化合物が好ましい。また、(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物として、芳香環を有する化合物を含まないことが好ましい。
本態様の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することで、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を向上することができ、また、硬化物の酸化による着色を抑制できる。
酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;トリエチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤;ジヘキシルスルフィド、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステリアル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。
酸化防止剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本態様の硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することで、耐候性を向上することができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノンなどの2―ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール或いはこれらのハロゲン化物;フェニルサリシレート、p−ターシャリイブチルフェニルサリシレート、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[配合量]
硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量%に対し、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜35質量%である。硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量を上記範囲とすることで、硬化性樹脂組成物を作業性が良好な粘度にできる。また、硬化性樹脂組成物中の(A)成分の配合量を上記範囲とすることで、硬化収縮率を抑制することができ、硬化物の白濁を防止することができる。
硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量%に対し、30〜80質量%が好ましく、より好ましくは35〜75質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合量を上記範囲とすることで、硬化性樹脂組成物を作業性が良好な粘度にできる。また、(B)成分の配合量を80質量%以下とすることで(A)成分と(C)成分の配合量を増加することができるため、硬化物のガラス転移点をより容易に高くすることができる。
硬化性樹脂組成物中の(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量%に対し、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。硬化性樹脂組成物中の(C)成分の配合量を1質量%以上とすることで硬化物のガラス転移点を良好にできる。また、(C)成分の配合量を50質量%以下とすることで、硬化物のアッベ数を良好にできる。
硬化性樹脂組成物中の(D)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対し、0.05〜10質量部が好ましく、0.3〜7.0質量部がより好ましく、0.5〜5.0質量部がさらに好ましい。硬化性樹脂組成物中の(D)成分の配合量を0.05質量部以上とすることで硬化性樹脂組成物の硬化性を良好なものとできる。また、10質量部以下とすることで、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物が(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物を含有する場合、その含有量は、硬化性樹脂組成物100質量%中、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。(B)成分以外の単官能のビニル基含有化合物を含有することで粘度や得られる硬化物のガラス転移点の調整を容易に行うことができる。また、その含有量を20質量%以下とすることで、硬化物のアッベ数をより容易に高くできる。
硬化性樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の含有量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましく、0.2〜2質量部であることがさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が0.05質量部以上であることにより、硬化物の酸化による着色を抑制できる。また、酸化防止剤の含有量が5質量部以下であることにより、硬化物の透明性が良好となる。
硬化性樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、(A)〜(C)成分の総量100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましく、0.2〜2質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.05質量部以上であることにより、硬化物の耐候性を向上できる。また、紫外線吸収剤の含有量が5質量部以下であることにより、硬化物の透明性が良好となる。
[硬化性樹脂組成物の製造方法]
硬化性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(B)成分に修飾用化合物及びベースポリマーを溶解して、前述した二重結合導入反応を行うことで(A)成分を合成し、更に、(C)成分、(D)成分及びその他の成分を適宜加え、攪拌混合することで、硬化性樹脂組成物を得る方法等が挙げられる。
[硬化性樹脂組成物の粘度]
硬化性樹脂組成物の粘度は、23℃においてB型粘度計を用いた測定値が50〜30,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは100〜20,000mPa・sであり、さらに好ましくは300〜15,000mPa・sである。硬化性樹脂組成物の粘度が上記範囲内であれば、型への流し込みや、コーティングの作業性が良好となる。
硬化性樹脂組成物の粘度は、各成分の配合量によって調整することができる。例えば、(A)成分の含有量が増える程、粘度は高くなる。また、(B)成分の含有量が増える程、粘度は低くなる。
<硬化物>
本態様の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物を硬化して得ることができる。
硬化物を得る方法としては、例えば、本態様に係る硬化性樹脂組成物を目的の形状に賦形し、その状態で硬化させて目的の形状を有する硬化物を得る方法が挙げられる。このようにして目的の形状を有する硬化物を得る方式としては、例えば、硬化性樹脂組成物を型に流し込むキャスティング成形方式、液体樹脂射出成形方式(LIM方式)、トランスファー成形方式などや、硬化性樹脂組成物を塗工するコーティング方式やプリンティング成形方式、ポッティング成形方式などが挙げられる。
また、硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤((D)成分)の種類に応じて、光重合、熱重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。いずれの場合にも、硬化の際には、(A)成分、(B)成分及び(C)成分がラジカル重合する。
光重合で硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、硬化性樹脂組成物に照射する光の波長は特に制限されないが、波長が200〜400nmの紫外線を照射することが好ましい。紫外線の光源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、UV−LEDランプ、ケミカルランプ、ブラックライトなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物を光重合した後には、アフターキュアーをさらに行ってもよい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。また、光重合開始剤の分解物による着色を退色できる。アフターキュアーの条件としては、70〜150℃で0.5〜24時間が好ましく、80〜130℃で1〜15時間がより好ましい。
熱重合により硬化性樹脂組成物を硬化して光学部材用樹脂を得る場合、硬化条件は特に限定されないが、着色が抑制された光学部材用樹脂が得られやすい点から、硬化温度は40〜150℃が好ましく、60〜130℃がより好ましい。LIM方式やトランスファー成形方式などのように、予め加熱された型に硬化性樹脂組成物を注入して成形する場合の硬化時間(加熱時間)は、硬化温度によっても異なるが、例えば硬化温度が100℃の場合、1〜180秒が好ましく、1〜120秒がより好ましく、1〜60秒がさらに好ましい。一方、キャスティング成形方式のように常温の型に硬化性樹脂組成物を注入後、加熱する場合の硬化時間は、硬化温度によっても異なるが、例えば硬化温度が70℃の場合、5分〜5時間が好ましく、10分〜3時間がより好ましい。
硬化性樹脂組成物を熱重合した後には、アフターキュアーをさらに行うことが好ましい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。アフターキュアーの条件としては、50〜200℃で0.1〜10時間が好ましく、70〜150℃で0.2〜5時間がより好ましい。
レドックス重合により硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、レドックス系重合開始剤を用いることで、5〜40℃の常温で硬化することができる。得られる硬化物に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる点から、硬化温度は15〜40℃が好ましい。また、硬化性樹脂組成物がゲル化しにくく、安定的に取り扱える点から、予め還元剤を硬化性樹脂組成物に溶解させておき、これに過酸化物を追加する手順で硬化を実施する方法が好ましい。
本態様の硬化性樹脂組成物は、硬化物のアッベ数を向上させることができる(B)成分と、硬化物のガラス転移温度を向上させることができる(A)成分及び(C)成分を含む。そのため、本態様の硬化性樹脂組成物の硬化物によれば、容易に下記の好ましいアッベ数及びガラス転移温度にすることができる。
[硬化物のアッベ数]
硬化物のアッベ数は、54.5以上であることが好ましく、55.0以上であることがより好ましく、55.5以上であることはさらに好ましい。硬化物のアッベ数が54.5以上であれば、レンズ等の光学成型材に適用した場合に多様な光学設計が可能となる。なお、アッベ数は、後述する方法により測定される値である。
[硬化物のガラス転移点]
硬化物のガラス転移点は、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。硬化物のガラス転移点が110℃以上であれば、85℃、85%RHの標準的な高温高湿試験環境においても硬化物の形状が安定する(すなわち、変形しにくい)ため、光学成型材に適用した場合に高い信頼性を得られる。なお、本発明において、「硬化物のガラス転移点」とは、動的粘弾性測定装置にて測定した損失正接(tanδ)が最大値を示す温度である。具体的には、硬化物のガラス転移点は、後述する方法により測定される値である。
<光学成型材>
本態様の光学成型材は、上述の硬化物からなる成型物である。該成型は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。
光学成型材の用途としては、例えば、レンズ、フィルム、シート、光導波路、封止材、接着剤、反射材、波長変換材、硝子繊維強化プラスチック等などが挙げられる。本態様に係る光学成型材は、高いアッベ数及び高いガラス転移点を有するため、カメラレンズ等のレンズとして特に有用である。
<レンズ>
本態様のレンズは、本態様の硬化物を含む。該レンズは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の電子機器、発光ダイオードモジュール、フォトトランジスタ等の半導体素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、プロジェクター等の画像表示装置、自動車のバックカメラ、ドライブレコーダー、運転支援センサー等に備え付けられるカメラモジュール、太陽電池などに用いることができる。
本態様のレンズは、本態様の硬化物のみで構成されてもよいし、平面ガラス、曲面ガラスまたはガラスウエハー等の透明基材と、該透明基材の片面または両面上に形成された本態様の硬化物とからなるハイブリッドレンズであってもよい。
レンズの成形方法としては、上下型で硬化性樹脂組成物を挟み込んだ後、加熱または光照射により樹脂を硬化することでレンズを得るキャスティング方式などが挙げられる。キャスティング方式としては、レンズ個片を1点ずつ成形する方法や、複数のレンズ形状が転写されたウエハーを成形した後、レンズ個片を切り出すウエハーレベル方式などが挙げられる。
<カメラモジュール>
本態様に係るカメラモジュールは、本態様のレンズを含む。図1に、本態様に係るカメラモジュールの一例の断面図を示す。図1に示すカメラモジュール100は、本態様のレンズである2枚のカメラレンズ1a,1b及び赤外線カットフィルター5を備えるレンズホルダー2と、撮像素子であるセンサーチップ4及びセンサーチップ4に電気的に接続されたボンディングワイヤ6a,6bが取り付けられた基板3とを具備する。レンズホルダー2は基板3上に積層されている。
なお、図1に示すカメラモジュール100が備えるカメラレンズは2枚であるが、カメラレンズは1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。複数枚のレンズを備える場合、本態様のレンズ以外の樹脂製レンズや、ガラス製のカメラレンズが混在していてもよい。
また、その他の態様のカメラモジュールとしては、ウエハー上に形成された、レンズとイメージセンサーウエハーとの接着積層体をダイシングするウエハーレベル方式によって形成されるカメラモジュールが挙げられる。
本態様のカメラモジュールは、ガラス転移点が高い本態様のレンズを備えるため、熱安定性に優れる。また、本態様のカメラモジュールは、アッベ数が高い本態様のレンズを使用するため、レンズ組み合わせの設計の自由度が高い。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の記載中、「部」は「質量部」を意味する。
<評価方法>
実施例及び比較例における重量平均分子量、酸価、二重結合当量、粘度、アッベ数、ガラス転移点についての評価は以下の方法で実施した。
[重量平均分子量]
製造した下記ベースポリマー1〜4をそれぞれ溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーを用いて分子量を測定した。測定した分子量は、ポリスチレンの標準物質を用いて求めた重量平均分子量である。
[酸価]
製造した下記ベースポリマー1〜4、及び下記樹脂液1〜6をそれぞれトルエンとエタノールの混合溶媒に溶解し、ベースポリマー1gまたは樹脂液1〜6中の(A)成分1gを中和する水酸化カリウムのmg数を測定し、酸価とした。ベースポリマー1〜4の酸価を「初期酸価」、樹脂液1〜6中の(A)成分の酸価を「反応後酸価」とした。
[二重結合当量]
以下の式(1),(2)を用いて、合成した(A)成分の二重結合当量を評価した。
(A)成分1g当たりの二重結合量(mol)={(初期酸価−反応後酸価)/(水酸化カリウムの分子量)}/1000・・・式(1)
(A)成分の二重結合当量(g/mol)=1/((A)成分1g当たりの二重結合量)・・・式(2)
[粘度]
得られた硬化性樹脂組成物の液温を23℃とし、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
[アッベ数]
約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物の25℃の屈折率(nD:D線(589nm)、nF:F線(486nm)、nC:C線(656nm))を多波長アッベ屈折計(商品名:DR−M2、株式会社アタゴ製)により測定した。なお、測定中間液として、1−ブロモナフタレンを用いた。得られた屈折率から、式(3)を用いてアッベ数を算出した。
アッベ数=(nD−1)/(nF−nC) ・・式(3)
[ガラス転移点の測定]
約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物の損失正接(tanδ)を測定し、損失正接が最大値を示す温度を、該硬化物のガラス転移点とした。測定には、動的粘弾性測定装置(商品名:RSA−II、レオメトリクス社製)を用いた。測定条件は引っ張りモードとした。測定周波数は10Hzとした。
<製造例>
[製造例1:ベースポリマー1の製造]
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、分散媒として脱イオン水145部、分散安定剤としてポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールが完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート60部、n−ブチルメタクリレート36部、メタクリル酸4部、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学株式会社製、商品名:AMBN)0.23部、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン0.93部を加えて、再度撹拌した。
撹拌下で窒素置換を行い、80℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、95℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、30℃に冷却した。得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。脱水後、40℃で24時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(これを「ベースポリマー1」と称する。表1で示した他のベースポリマーについても同様に番号を付して称する。)を得た。
得られたベースポリマー1の重量平均分子量(M)は42,000であった。また、酸価は、26mgKOH/gであった。
[製造例2〜4:ベースポリマー2〜4の製造]
表1に示した内容に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、ベースポリマー2〜4を製造し、重量平均分子量及び酸価の測定を行った。
ベースポリマー1〜4の製造で使用した成分の使用量と評価結果を表1に示す。なお、使用量は、モノマーの合計量を100部としたときの割合を示す。
Figure 0006915417
[製造例5:樹脂液1の製造]
冷却器を備えた反応容器に、(B)成分としてi−ブチルメタクリレート60部、重合禁止剤として、2−6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.04部、グリシジル基とラジカル重合性二重結合を有する化合物として、グリシジルメタクリレート3.2部、反応触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.12部を加えた。反応容器内の液を攪拌しながら、ベースポリマー1を40部加え、反応容器内を95℃に昇温した。温度を維持したまま10時間攪拌することで、ベースポリマー1への二重結合導入反応行い、(A)成分を得た。10時間後、常温まで冷却し、樹脂液(これを「樹脂液1」と称する。また、表2〜4で示した他の樹脂液についても同様に番号を付して称する。)を得た。樹脂液1中の(A)成分の酸価は、0.5mgKOH/gであった。酸価から算出した(A)成分の二重結合当量は、2290g/mol、生成量は42.6部であった。
[製造例6〜10:樹脂液2〜6の製造]
表2に示した内容に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、樹脂液2〜6を製造し、重量平均分子量及び酸価の測定、二重結合当量の算出を行った。主要成分の使用量と評価結果を表2に示した。なお、使用量は、ベースポリマー、及び(B)成分の合計量を100部とした場合の割合を示す。
Figure 0006915417
[実施例1]
冷却器を備えた反応容器に、樹脂液1を72部(内容物として、(A)成分29.7部、i−ブチルメタクリレート41.9部、グリシジルメタクリレート0.4部を含む。)加え、更に(B)成分として、i−ブチルメタクリレートを8.4部、(C)成分として、メタクリロイル基を有するシルセスキオキサン化合物(東亞合成株式会社製、商品名:MAC−SQ TM−100)を20部、(D)成分として光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRGACURE184)を1部加え、50℃で1時間攪拌混合した。1時間後常温まで冷却し、硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を、約6mm×35mmの長方形状の切り抜きを形成した厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いて、2枚のガラス板で挟み込み、高圧水銀灯で積算光量3,000mJ/cmの紫外線を照射した後、100℃で30分間加熱した。冷却後、シリコーンシート及び板ガラスを除去し、約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物を得た。
得られた硬化物を用い、アッベ数及びガラス転移点を測定した。
[実施例17]
冷却器を備えた反応容器に、樹脂液1を72部加え、更に(B)成分として、i−ブチルメタクリレートを8.4部、(C)成分として、メタクリロイル基を有するシルセスキオキサン化合物(東亞合成株式会社製、商品名:MAC−SQTM−100)20部を1部加え、50℃で1時間攪拌混合した。1時間後常温まで冷却し、(D)成分としてパーオクタO(熱重合開始剤)を加え、攪拌混合して硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を、約6mm×35mmの長方形状の切り抜きを形成した厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いて、2枚のガラス板で挟み込み、80℃で2時間加熱した後、さらに120℃で1時間加熱した。冷却後、シリコーンシート及び板ガラスを除去し、約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物を得た。
得られた硬化物を用い、アッベ数及びガラス転移点を測定した。
[実施例2〜16及び比較例1]
用いた成分を表3,4に記載の内容に変更した以外は、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物及び硬化物を作製し、アッベ数及びガラス転移点を測定した。
Figure 0006915417
Figure 0006915417
表3,4に示すとおり、実施例1〜17の硬化物はいずれも、アッベ数及び、ガラス転移点が高い結果となった。
一方、比較例1の硬化物は(B)成分の代わりに、芳香環構造を有するメタクリレート化合物(ベンジルメタクリレート)を用いたため、アッベ数が低い結果となった。
なお、表1〜4中の略語は下記の通りである。
MMA:メチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルM」)。
n−BMA:n−ブチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルB」)。
i−BMA:i−ブチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルIB」)。
MAA:メタクリル酸(三菱ケミカル株式会社製、製品名「メタクリル酸」)。
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学株式会社製、製品名:AMBN)。
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロマイド(富士純薬株式会社製、製品名「TBAB」)。
GMA:グリシジルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルG」)。
BZMA:ベンジルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社、製品名「アクリエステルBZ」)。
BHT:2−6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(本州化学株式会社製、製品名「H−BHT」)。
t−BMA:t−ブチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルTB」)。
MAC−SQ TM−100:メタクリロイル基を有するシルセスキオキサン化合物(東亞合成株式会社製、商品名「MAC−SQ TM−100」)。
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリエステルTMP」)。
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」)。
NKエステルNPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名「NKエステルNPG」)。
NKエステルDCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名「NKエステルDCP」)。
IRGACURE184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、製品名「IRAGACURE184」)。
IRGACURE TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、製品名「IRGACURE TPO」)。
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、製品名「パーオクタO」)。

Claims (8)

  1. メタクリル系重合体(A)(ただし、芳香族環構造を有するメタクリル系重合体及びウレタン結合を有するメタクリル系重合体を除く。)、アルキル基の炭素数が2〜8のアルキルメタクリレート(B)、多官能の(メタ)アクリレート(C)及びラジカル重合開始剤(D)を含有し、
    前記メタクリル系重合体(A)は、該重合体の主鎖が、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を50〜99.9質量%含有し、側鎖にラジカル重合性二重結合を有し
    硬化物のアッベ数が54.5以上となる、光学成型材用硬化性樹脂組成物。
  2. 前記メタクリル系重合体(A)の主鎖は、アルキル基の炭素数2〜8のアルキルメタクリレートモノマー単位を5〜99質量%含有する、請求項1に記載の光学成型材用硬化性樹脂組成物。
  3. 前記アルキルメタクリレート(B)が、i−ブチルメタクリレート及びt−ブチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1または2に記載の光学成型材用硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学成型材用硬化性樹脂組成物が硬化した硬化物。
  5. ガラス転移点が、110℃以上である、請求項に記載の硬化物。
  6. 請求項4または5に記載の硬化物からなる光学成型材。
  7. 請求項4または5に記載の硬化物を含むレンズ。
  8. 請求項に記載のレンズを含むカメラモジュール。
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