JP7326835B2 - 眼内レンズ用硬化性組成物及び眼内レンズ - Google Patents

眼内レンズ用硬化性組成物及び眼内レンズ Download PDF

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Description

本発明は、眼内レンズ用硬化性組成物及び眼内レンズに関する。
白内障の治療方法の一つとして、濁った水晶体の代わりに、眼内レンズを挿入する方法が広く採用されている。切開創を小さくすることを目的に、眼内レンズは小さく折りたたんだ状態で挿入されるため、眼内レンズの材料としては、薄く折りたたむことが可能な高屈折率の軟質アクリル樹脂が主に用いられている。
アクリル樹脂としては、例えば特許文献1にあるような、ホモポリマーの屈折率が少なくとも約1.50であるモノマー成分、ホモポリマーのガラス転移温度が約30℃未満であるモノマー成分、架橋用モノマー成分を含む組成物の重合物等が用いられてきた。しかしながら、近年、特許文献1のようなアクリル樹脂を眼内レンズとして使用した場合に「グリスニング(眼内レンズ内での水の凝集によって白斑が出現し、透明性が損なわれる現象)」が発生することが知られてきた。グリスニングの対策としては、例えば、親水性の2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを含有する重合物を眼内レンズに用いることで、含有した水を分散し、グリスニングを解消する方法が開示されている(特許文献2)。
特表平8-503506号公報 特開平11-56998号公報
しかしながら、特許文献2の眼内レンズは、耐グリスニング性が不十分であり、浸水した場合に白濁しやすい課題がある。また、屈折率が低いため眼内レンズを十分に薄くすることができない。
本発明は、柔軟性及び形状回復性、屈折率が高く、耐グリスニング性の良好な硬化物が得られる眼内レンズ用硬化性組成物、及び眼内レンズを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、水酸基を有さず芳香環を2つ以上有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)及び多官能の(メタ)アクリレート(C)を含有し、
前記(A)成分が、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、メタフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、メタフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、パラフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェニルベンジル(メタ)アクリレート、メタフェニルベンジル(メタ)アクリレート、パラフェニルベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、メタフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、パラフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、オルトベンジルフェニル(メタ)アクリレート、メタベンジルフェニル(メタ)アクリレート又はパラベンジルフェニル(メタ)アクリレートであり、
前記(B)成分が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであり、
前記(A)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して、30~95質量%であり、
前記(B)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して、1~50質量%であり、
前記(C)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.1~20質量部である眼内レンズ用硬化性組成物が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の眼内レンズ用硬化性組成物を硬化した硬化物を含
む眼内レンズが提供される。
本発明によれば、柔軟性及び形状回復性、屈折率が高く、耐グリスニング性の良好な硬化物が得られる眼内レンズ用硬化性組成物及び眼内レンズを提供することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の総称、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の総称であり、CH=C(R)-C(=O)-(Rは水素原子又はメチル基)で表される基である。
また、「モノマー単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
<眼内レンズ用組成物>
本発明の眼内レンズ用硬化性組成物(以下、樹脂組成物とも記す。)は、水酸基を有さず芳香環を2つ以上有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)及び多官能の(メタ)アクリレート(C)を含有する。更に重合開始剤(D)を含有してもよい。また、この他に(A)及び(B)成分以外の単官能のビニル系化合物(E)を含有してもよい。
[(A)成分]
(A)成分は、水酸基を有さず芳香環を2つ以上有する単官能の(メタ)アクリレートであり、本発明の眼内レンズの屈折率を高める成分である。なお、芳香環を2つ以上有するとは、ベンゼン環等の単環を2つ以上有してもよく、ナフタレン環等の縮合環を一つ以上有してもよく、これらの組み合わせであってもよい。このような芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。また芳香環上の水素原子は、アルキル基等により置換されていてもよい。また芳香環と単官能の(メタ)アクリレートとは、フェニル基、ナフチル基等のように芳香環が直接結合してもよいし、ベンジル基、フェノキシ基、フェノキシエチル基等のようにメチレン鎖、酸素原子あるいはそれらの組み合わせ等を介して結合してもよい。
(A)成分の具体例としては、オルトフェニルフェニル(メタ)アクリレート、メタフェニルフェニル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェニル(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、メタフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、メタフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、パラフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェニルベンジル(メタ)アクリレート、メタフェニルベンジル(メタ)アクリレート、パラフェニルベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、メタフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、パラフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、オルトベンジルフェニル(メタ)アクリレート、メタベンジルフェニル(メタ)アクリレート、パラベンジルフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート及び(1-ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の中では、芳香環を2つ有する単官能の(メタ)アクリレート、特にベンゼン環を2つ有する単官能の(メタ)アクリレートが好ましく、ガラス転移点が低く、眼内レンズの柔軟性を高くできることから、フェニル基、ベンジル基及びフェノキシ基のうち何れか2つの基を有する単官能の(メタ)アクリレート、具体的には、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、メタフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、メタフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、パラフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェニルベンジル(メタ)アクリレート、メタフェニルベンジル(メタ)アクリレート、パラフェニルベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、メタフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、パラフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、オルトベンジルフェニル(メタ)アクリレート、メタベンジルフェニル(メタ)アクリレート及びパラベンジルフェニル(メタ)アクリレートが好ましい。
(A)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%、さらに(E)成分を含有する場合は、これら3成分の合計100質量%に対して、30~95質量%が好ましく、35~90質量%より好ましく、40~85質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量は、多いほど眼内レンズの屈折率が高くなり、少ないほどグリスニング性が良くなる傾向がある。
本発明では(A)成分の含有量を30~95質量%とすることで、眼内レンズの屈折率をより高くすることができる。
[(B)成分]
(B)成分は、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、本発明の眼内レンズの耐グリスニング性を高める成分である。(B)成分において、水酸基の個数は1つ以上有していればよいが、好ましくは1個以上3個以下であり、より好ましくは1又は2個であり、最も好ましくは1個である。
(B)成分の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の中では、耐グリスニング性を良好にできることから、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%、さらに(E)成分を含有する場合は、それらの合計100質量%に対して、1~50質量%が好ましく、2~45質量%より好ましく、5~40質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量は、多いほど眼内レンズのグリスニング性が良くなり、少ないほど屈折率が高くなる傾向がある。
本発明では、(B)成分の含有量を1~50質量%とすることで、眼内レンズの耐グリスニング性をより高くすることができる。
[(C)成分]
(C)成分は、多官能の(メタ)アクリレートであり、本発明の硬化物の弾性率を向上する成分である。(C)成分は、弾性率を向上することで、折りたたんで挿入した眼内レンズが元の形状に回復しやすくなる。また、(C)成分によって、架橋構造を設けることで、眼内レンズの耐薬品性や耐グリスニング性を高めることができる。
(C)成分としては、2~6官能の(メタ)アクリレートを挙げることができる。2官能の(メタ)アクリレートとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー及び、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また上記以外の2官能の(メタ)アクリレートとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン及びウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート及びε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げられ、5官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げられ、6官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の中では、2官能の(メタ)アクリレート、特に、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、少量の配合で、弾性率や耐グリスニング性を向上できることから、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
(C)成分の含有量は、(A)、及び(B)成分の合計100質量部、さらに(E)成分を含有する場合は、それらの合計100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~15質量部がより好ましく、1~10質量部がさらに好ましい。
(C)成分の含有量は、多いほど耐グリスニング性が良くなり、少ないほど眼内レンズの柔軟性が良くなる傾向がある。
[(D)成分]
本発明の樹脂組成物には、さらに(D)成分として、重合開始剤を含有してもよい。(D)成分である重合開始剤としてはラジカル重合開始剤が挙げられ、例えば熱重合開始剤、光重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物等が挙げられる。重合開始剤(D)の種類は重合方法に応じて適宜選択することができる。
熱重合開始剤は熱重合に用いられるラジカル重合開始剤であり、熱重合開始剤としては例えば有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート及びパーオキシエステル等が挙げられる。
ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられ、
パーオキシケタールとしては、ケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、
ハイドロパーオキサイドとしては、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びp-メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、ジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド及びジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられ、
ジアシルパーオキサイドとしては、ジラウロイルパーオキサイド及びジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド等が挙げられ、
パーオキシジカーボネートとしては、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート及びジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられ、
パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート及び1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリック酸及び2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等が挙げられる。
これら熱重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、硬化物に気泡が生じにくい点で、有機過酸化物が好ましい。樹脂組成物の硬化時間とポットライフのバランスを考慮すると、有機過酸化物の10時間半減期温度は35℃~80℃の範囲にあることが好ましく、より好ましくは40~75℃であり、さらに好ましくは45℃~70℃である。10時間半減期温度が35℃以上であれば、常温で樹脂組成物がゲル化しにくくなり、ポットライフが良好となる。一方、10時間半減期温度が80℃以下であれば、樹脂組成物の硬化時間を短縮できる。このような有機過酸化物としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(市販品としては、日油株式会社製の「商品名:パーオクタO」、10時間半減期温度=65.3℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(市販品としては、日油株式会社製の「商品名:パーブチルO」、10時間半減期温度=72.1℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(市販品としては、日油株式会社製の「商品名:パーロイルTCP」、10時間半減期温度=40.8℃)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は光重合に用いられるラジカル重合開始剤である。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン型化合物、アントラキノン型化合物、アルキルフェノン型化合物、チオキサントン型化合物、アシルフォスフィンオキサイド型化合物、フェニルグリオキシレート型化合物等が挙げられる。
ベンゾフェノン型化合物としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4-フェニルベンゾフェノン等が挙げられ、
アントラキノン型化合物としては、t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン等が挙げられる。
アルキルフェノン型化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。
チオキサントン型化合物としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられ、
アシルフォスフィンオキサイド型化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ、
フェニルグリオキシレート型化合物としては、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が挙げられる。
光重合開始剤の中でも、硬化物が着色するのを抑制できる点で、アルキルフェノン型化合物が好ましく、その中でも2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。また、硬化物の内部まで十分に硬化しやすくなる点ではアシルフォスフィンオキサイド型化合物が好ましく、その中でも、硬化物の着色を抑制できる点で、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。
これら光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
レドックス重合に用いられる過酸化物としては、例えばジベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これら過酸化物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、レドックス重合には、通常、レドックス系重合開始剤が用いられる。レドックス系重合開始剤は、過酸化物と還元剤とを併用した重合開始剤である。上述した過酸化物をレドックス系重合開始剤として使用する場合、還元剤との組み合わせの一例は以下の通りである。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
(D)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部、さらに(E)成分を含有する場合は、それらの合計100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。(D)成分の含有量は、多いほど樹脂組成物の硬化性が良好となり、少ないほど眼内レンズの透明性が良好になる傾向がある。
[(E)成分]
本発明の樹脂組成物は、その粘度や、眼内レンズの弾性率、ガラス転移点及び屈折率の調整等の目的で、さらに(E)成分として、(A)及び(B)成分以外の単官能のビニル系化合物を含有してもよい。単官能のビニル系化合物は、分子構造内にラジカル重合性の2重結合を1つ有する化合物であり、(メタ)アクリレートに該当する場合、芳香環を2つ以上有さず、水酸基を有さない単官能の(メタ)アクリレートである。
(E)成分の具体例としては、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式構造を含有する(メタ)アクリレート、芳香環を一つ有する(メタ)アクリレート、ヘテロ環構造を含有する(メタ)アクリレート、アルコキシ(メタ)アクリレート、芳香族ビニル系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル及びヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂環式構造を含有する(メタ)アクリレートとしては、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及び(1R)-フェンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香環を一つ有する(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヘテロ環構造を含有する(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられ、
アルコキシ(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート及びブトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられ、シアン化ビニル系モノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられ、
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル等が挙げられ、
(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記以外の(E)成分として、さらに、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、並びにヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら(E)成分の中でも、屈折率を低下せずに各種特性を調整しやすいことから、芳香環構造を含有する(メタ)アクリレートが好ましく、眼内レンズの柔軟性を向上しやすいことから、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
(E)成分の含有量は、(A)、(B)及び(E)成分の合計100質量%に対して、0~50質量%以下、つまり50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。(E)成分の含有量は、少ないほど本発明の効果を損なわずに、眼内レンズの弾性率、ガラス転移点及び屈折率の調整等を行うことができる。
[他の成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)~(E)成分以外の成分(以下、「他の成分」という。)を含有してもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、連鎖移動剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤及び蛍光体が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することで、眼内レンズの酸化による着色を抑制できる。酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリエチルホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト及びトリストリデシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジヘキシルスルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステリアル-3,3’-チオジプロピオネート及びペンタエリスリトールテトラキス(β-ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することで、眼内レンズの耐候性を向上することができる。紫外線吸収剤の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-デシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン及び2-ヒドロキシ-4,4’-ジブトキシベンゾフェノン等の2―ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール或いはこれらのハロゲン化物;フェニルサリシレート、p-ターシャリイブチルフェニルサリシレート、並びにヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、連鎖移動剤として多官能チオールを含有することで、硬化性を向上することができる。多官能チオールの具体例としては、1,4-ビス(3-メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリス-[(3-メルカプトブチリルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(A)~(C)成分、必要に応じて(D)及び(E)成分、その他の成分を撹拌混合する方法が挙げられる。撹拌混合は常温で実施してもよいし、必要に応じて30~100℃に加熱してもよい。
以上説明した本発明の樹脂組成物は、柔軟性及び形状回復性、屈折率が高く、耐グリスニング性の良好な硬化物が得られることから、眼内レンズとして好適に用いられる。
<眼内レンズ>
本発明の眼内レンズは、上述の本発明の樹脂組成物の硬化物を含む。
眼内レンズを製造する方法としては、例えば、樹脂組成物を眼内レンズ形状の型に注入し、これを硬化することで眼内レンズを得る方法や、樹脂組成物をガラス等で挟んだ状態で硬化するキャスティング方式で得られたシート状の硬化物から、眼内レンズ形状を切り出す方法が挙げられる。
樹脂組成物を硬化する方法としては、樹脂組成物に含まれる重合開始剤((D)成分)の種類に応じて、熱重合、光重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。
熱重合により樹脂組成物を硬化させる場合、硬化条件は特に限定されないが、着色が抑制された硬化物が得られやすい点から、硬化温度は30~150℃が好ましく、40~130℃がより好ましい。硬化時間(加熱時間)は、硬化温度によっても異なるが、例えば硬化温度が60℃の場合、1~10時間が好ましい。樹脂組成物を熱重合した後には、アフターキュアーをさらに行うことが好ましい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、眼内レンズの耐グリスニング性をより高めることができる。アフターキュアーの条件としては、50~200℃で0.1~5時間が好ましく、70~150℃で0.5~3時間がより好ましい。
光重合で樹脂組成物を硬化させる場合、樹脂組成物に照射する光の波長は特に制限されないが、波長が200~400nmの紫外線を照射することが好ましい。紫外線の光源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、UV-LEDランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が挙げられる。樹脂組成物を光重合した後には、アフターキュアーをさらに行ってもよい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。また、光重合開始剤の分解物による着色を退色できる。アフターキュアーの条件としては、70~150℃で0.5~24時間が好ましく、80~130℃で1~15時間がより好ましい。
レドックス重合により樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、レドックス系重合開始剤を用いることで、5~40℃の常温で硬化することができる。得られる硬化物に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる点から、硬化温度は15~40℃が好ましい。また、樹脂組成物がゲル化しにくく、安定的に取り扱える点から、予め還元剤を樹脂組成物に溶解させておき、これに過酸化物を追加する手順で硬化を実施する方法が好ましい。
[眼内レンズの屈折率(ナトリウムD線)]
25℃における眼内レンズの屈折率(ナトリウムD線)は、1.53以上であることが好ましく、1.54以上であることがより好ましく、1.55以上であることは更に好ましい。硬化物の屈折率が1.53以上であれば、眼内レンズを十分に薄くすることができる。
[眼内レンズの弾性率]
23℃における眼内レンズの引張弾性率は、0.1~100MPaであることが好ましく、1~90MPaであることがより好ましく、3~80MPaであることがさらに好ましい。0.1以上とすることで折りたたんで挿入した眼内レンズの形状回復性が良好となる。100MPa以下とすることで、眼内レンズの柔軟性が良好となる。
本発明の眼内レンズは、光学性能を担うレンズ部分と、眼内でレンズを固定する支持部分で構成される。本発明の樹脂組成物の硬化物はレンズ部分に用いられる。支持部分も本発明の樹脂組成物の硬化物であってもよいが、PMMAやポリプロピレンが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の記載中、「部」は「質量部」を意味する。
<評価方法>
実施例及び比較例における全光線透過率/ヘーズ、屈折率、弾性率、耐グリスニング性は以下の方法で評価した。
[全光線透過率/ヘーズ]
得られた厚さ約1mmのシート状硬化物の全光線透過率及びヘーズをヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、HM-65W型)で測定し、透明性を評価した。
[屈折率]
得られた厚さ約1mmのシート状硬化物の屈折率を、アッベ屈折計(アタゴ製、DR-M2)で。25℃の条件で、中間液としてモノブロモナフタレンを用いて測定した。
[弾性率]
得られた厚さ約1mmのシート状硬化物から、JISK6251のダンベル状3号形を打ち抜き、引張試験によって弾性率を評価した。引張試験は、23℃、チャック間距離:20mm、引張速度:500mm/minで実施した。
[耐グリスニング性試験]
得られた厚さ約1mmのシート状硬化物を約2cm×2cmに切り出し、ガラス瓶中の純水に浸漬し、ガラス瓶を密閉した。ガラス瓶ごと恒温槽に入れ、次の温冷サイクル試験を5サイクル実施した。
(温冷サイクル試験)
60℃×3時間→23℃×3時間→60℃・・・(各温度間は0.5時間。7時間/1サイクル)。
5サイクル終了後、更に23℃で24時間養生した後、硬化物を純水から取り出し、全光線透過率及びヘーズをヘーズメーターで測定した。
[実施例1]
ガラスフラスコに、(A)成分としてメタフェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートPOB-A)を50部、(B)成分として2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルHO)を15部、(C)成分として、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルBD)を6部、(D)成分として、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油製、商品名:パーオクタO)を0.5部、(E)成分として、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数n≒4、東亜合成製、商品名:アロニックスM-113)を35部加え、常温で30分間撹拌混合して、硬化性組成物を得た。
硬化性組成物を真空脱泡した後、PETフィルムで被覆した2枚の板ガラスと、塩化ビニル製のガスケットで作製したガラスセルに流し込み、60℃で8時間、100℃で1時間加熱して硬化性組成物を硬化した。硬化後、両面のガラス及びPETフィルムを取り除き、縦:約25cm、横:約25cm、厚さ:約1mmのシート状硬化物を得た。
得られた厚さ約1mmのシート状硬化物を用いて、前述の各評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例2~9及び比較例1]
用いた成分を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様に硬化性組成物及び硬化物を作製し、各評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0007326835000001
なお、表1中の略語は下記の通りである。
ライトアクリレートPOB-A:メタフェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートPOB-A)。
MIRAMER M1142:オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(MIWON製、商品名:MIRAMER M1142)。
2-HOMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルHO)。
2-HPMA:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルHP)。
4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:4-HBA)。
BDMA:1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルBD)。
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリエステルED)。
パーオクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油製、商品名:パーオクタO)。
アロニックスM-113:ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールの繰り返し数n≒4、東亜合成製、商品名:アロニックスM-113)。
ビスコート#192:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:ビスコート#192)。
EA:エチルアクリレート(三菱ケミカル製、商品名:アクリル酸エチル)。
表1に示すとおり、実施例1~9では、硬化物の屈折率が高く、弾性率と耐グリスニング性も良好であった。
一方、(A)成分を用いなかった比較例1は、屈折率が低かった。また、耐グリスニング性試験後に白濁した。

Claims (5)

  1. 水酸基を有さず芳香環を2つ以上有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)及び多官能の(メタ)アクリレート(C)を含有し、
    前記(A)成分が、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、メタフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、メタフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、パラフェノキシベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェニルベンジル(メタ)アクリレート、メタフェニルベンジル(メタ)アクリレート、パラフェニルベンジル(メタ)アクリレート、オルトフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、メタフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、パラフェノキシフェニル(メタ)アクリレート、オルトベンジルフェニル(メタ)アクリレート、メタベンジルフェニル(メタ)アクリレート又はパラベンジルフェニル(メタ)アクリレートであり、
    前記(B)成分が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであり、
    前記(A)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して、30~95質量%であり、
    前記(B)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量%に対して、1~50質量%であり、
    前記(C)成分の含有量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.1~20質量部である眼内レンズ用硬化性組成物。
  2. さらに重合開始剤(D)を含有する請求項1に記載の眼内レンズ用硬化性組成物。
  3. さらに(A)成分及び(B)成分以外の単官能のビニル系化合物(E)を含有する請求項1又は2に記載の眼内レンズ用硬化性組成物。
  4. 前記(A)成分、(B)成分、並びに(A)成分及び(B)成分以外の単官能のビニル系化合物(E)の合計100質量%に対して、(A)成分が30~95質量%、(B)成分が1~50質量%、(E)成分が0~50質量%であり、(A)成分、(B)成分及び(E)成分の合計100質量部に対して、(C)成分を0.1~20質量部、重合開始剤(D)を0~10質量部含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の眼内レンズ用硬化性組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の眼内レンズ用組成物を硬化した硬化物を含む眼内レンズ。
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