JP7279454B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物および光学部材 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物および光学部材 Download PDF

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本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化物および光学部材に関する。
ビスアリールフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレートは、高い透過率や、屈折率、ガラス転移温度、耐擦り傷性を有する材料である。このため、レンズやハードコート、反射防止膜、インプリント材料等への適応が提案されている。
例えば、特許文献1には、重合性不飽和結合を有するフルオレン化合物と、ヒドロキシル基およびカルボキシル基から選択された少なくとも1種の官能基を有する非フルオレン系(メタ)アクリルモノマーと、ヒドロキシル基及びカルボキシル基を有しない非フルオレン系(メタ)アクリルモノマーおよびで構成された他の重合成分とを含む硬化性組成物の硬化膜が、高屈折率および高硬度、基材に対する優れた密着性を有するため、光学材料に好適であることが開示されている。
特開2012-224845号公報
しかしながら、特許文献1に記載の硬化膜は帯電防止性に乏しいため、埃や塵が表面に付着しやすいことが懸念される。特許文献1に記載の硬化性組成物は、帯電防止剤の溶解性が悪いため、帯電防止剤の配合によって帯電防止効果を得ることが困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性および屈折率が高く、帯電防止性に優れた硬化物を製造可能な硬化性樹脂組成物、これを硬化した硬化物および光学部材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[6]を包含する。
[1]下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する、硬化性樹脂組成物。
Figure 0007279454000001
(式(1)中、Z、Zは、各々独立に、芳香族炭化水素環を示す。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子またはメチル基を示し、mは0~5の整数を示し、nは0~5の整数を示す。)
[2]前記B成分が、フェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基及びクミルフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香環を含む官能基を有する単官能の(メタ)アクリレートである、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]前記B成分が、下記式(2)で表される単官能の(メタ)アクリレートである、[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 0007279454000002
(式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、1つ以上の水素原子が水酸基で置換された炭素数1~6のアルキレン基である。)
[4]前記D成分が、イオン性界面活性剤である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
[6][5]に記載の硬化物を含む光学部材。
本発明によれば、透明性および屈折率が高く、帯電防止性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、これを硬化した硬化物および光学部材を提供することができる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、一般式CH=C(R)-C(=O)-[Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
[硬化性樹脂組成物]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する。
以下、本発明に係る硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
(A成分)
A成分は、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレートであり、硬化物の屈折率とガラス転移点を向上する成分である。
Figure 0007279454000003
(式(1)中、Z、Zは、各々独立に、芳香族炭化水素環を示す。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子またはメチル基を示し、mは0~5の整数を示し、nは0~5の整数を示す。)
式(1)中、Z、Zは、各々独立に、芳香族炭化水素環を示す。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アントラセン環等が挙げられる。A成分との相溶性が良好となる点で、Z、Zはベンゼン環が好ましい。
式(1)中、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子またはメチル基を示す。硬化物の屈折率がより高まる観点から、R、R、R及びRは、水素原子であることが好ましい。
式(1)中、mは0~5の整数を示し、nは0~5の整数を示す。m及びnがそれぞれ5以下の整数であれば、硬化物の屈折率やガラス転移点が高くなる。硬化性樹脂組成物の粘度が成形性に適した値となり、成形性が向上することから、m及びnはそれぞれ1~2の整数が好ましい。
A成分としては市販品を用いることができる。A成分の市販品としては、R、R、R、Rがいずれも水素原子であり、m及びnがいずれも1の化合物である大阪ガスケミカル株式会社社製の「商品名:オグソールEA-0200」や、新中村化学工業株式会社製の「商品名:NKエステルA-BPEF」などが挙げられる。
これらA成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
A成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量%中、25質量%以上85質量%以下であることが好ましく、35質量%以上75質量%以下であることがさらに好ましい。A成分の含有量を多くすることで、硬化物の屈折率及びガラス転移点が高くできる。A成分の含有量を少なくすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低くできる。
(B成分)
B成分は、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、D成分である帯電防止剤の溶解性を向上する成分である。
複数の芳香環としては、例えばフェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基、クミルフェニル基等が挙げられる。硬化物の屈折率を高くできることから、フェニルフェニル基であることが好ましい。
B成分としては、特に下記(2)式で表される単官能の(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 0007279454000004
(式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、1つ以上の水素原子が水酸基で置換された炭素数1~6のアルキレン基である。)
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、1つ以上の水素原子が水酸基で置換された炭素数1~6のアルキレン基である。Rの構造としては、例えば、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシヘキシレン基等が挙げられる。D成分の溶解性が良好となることから、Rは水素原子、Rは、ヒドロキシプロピレン基であることが好ましい。
これらB成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
B成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量%中、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。B成分の含有量を多くすることで、D成分の溶解性が良好となり、硬化物の透明性が向上する。B成分の含有量を少なくすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低くできる。
(C成分)
C成分は、B成分以外の(メタ)アクリレート(C)であり、硬化性樹脂組成物の粘度や硬化物のガラス転移点を調整する成分である。C成分としては、1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能の(メタ)アクリレートと、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、コハク酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2-ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1-ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等のヘテロ環構造を含有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート及びヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化物の屈折率を高くできる点からは、芳香環構造を有する(メタ)アクリレートが好ましく、特に2つ以上のベンゼン環を有するフェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。硬化物のガラス転移点を高くできる点からは、多官能の(メタ)アクリレートが好ましく、特に3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
これらC成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
C成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量%に対して、10質量%以上70質量%以下が好ましく20質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
C成分の含有量を多くすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低下できる。C成分の含有量を少なくすることで、硬化物の屈折率を高くできる。
(D成分)
D成分は帯電防止剤であり、硬化物の表面低効率を低下して埃や塵の付着を抑制する成分であり、イオン性界面活性剤等が挙げられる。
イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、花王(株)の「商品名:エレクトロストリッパーQN」等の陽イオン性帯電防止剤、「商品名:エレクトロストリッパーME-2」等の陰イオン性帯電防止剤、「商品名:エレクトロストリッパーAC」等の両イオン性帯電防止剤、「商品名:レオドールTW-L120」、「商品名:エマゾールL-10V」等の非イオン性帯電防止剤等が挙げられる。帯電防止性能および透明性に優れることから、陰イオン性帯電防止剤が特に好ましい。
D成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量部に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
D成分の含有量を多くすることで、硬化物の表面低効率を低下できる。D成分の含有量を少なくすることで、硬化物の透明性を良好にできる。
(E成分)
E成分は重合開始剤であり、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物などが挙げられる。E成分の種類は、重合方法に応じて適宜選択することができる。
光重合開始剤は、光重合に用いられるラジカル重合開始剤である。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等のアルキルフェノン型化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド型化合物;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物などが挙げられる。これらの中でも、硬化物の着色を抑制できる点で、アルキルフェノン型化合物が好ましく、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。また、硬化物の内部まで十分に硬化されやすくなる点で、アシルホスフィンオキサイド型化合物が好ましく、硬化物の着色を抑制できる点で、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。
熱重合開始剤は、熱重合に用いられるラジカル重合開始剤である。熱重合開始剤としては例えば有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリック酸、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
レドックス重合に用いられる過酸化物としては、例えばジベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
なお、レドックス重合には、通常、レドックス系重合開始剤が用いられる。レドックス系重合開始剤は、過酸化物と還元剤とを併用した重合開始剤である。上述した過酸化物をレドックス系重合開始剤として使用する場合、還元剤との組み合わせの一例は以下の通りである。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
これらE成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
E成分の含有量は、A成分、B成分及びC成分の総量100質量部に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく0.5質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
E成分の含有量を多くすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性を良好とできる。E成分の含有量を少なくすることで、硬化物の透明性を良好とできる。
(その他の成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記A成分~E成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤、顔料等が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することで、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を向上することができ、また、硬化物の酸化による着色を抑制できる。酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリエチルホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジヘキシルスルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステリアル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β-ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することで、耐候性を向上することができる。紫外線吸収剤の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-デシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジブトキシベンゾフェノン等の2―ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール或いはこれらのハロゲン化物;フェニルサリシレート、p-ターシャリイブチルフェニルサリシレート、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤として多官能チオールを含有することで、硬化性を向上することができる。多官能チオールの具体例としては、1,4-ビス(3-メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリス-[(3-メルカプトブチリルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
(硬化性樹脂組成物の製造方法)
硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、前記A成分~E成分を常温で撹拌混合する方法や加熱混合する方法などが挙げられる。前記E成分として熱重合開始剤を用いる場合には、硬化性樹脂組成物の安定性の点から、常温で撹拌混合して硬化性樹脂組成物を得る方法、またはE成分以外の成分を加熱混合した後に冷却し、常温で前記E成分を加えて撹拌混合し、硬化性樹脂組成物を得る方法などが挙げられる。加熱混合により硬化性樹脂組成物を製造する場合には、相溶性が良好となり、より均一に混合できる観点から、40℃~100℃の加熱下で混合することが好ましい。また、同様の観点から、混合の際の攪拌時間は0.1時間~5時間であることが好ましい。
(硬化性樹脂組成物の粘度)
硬化性樹脂組成物の粘度は、23℃においてB型粘度計を用いた測定値が100~20,000mPa・sの範囲にあることが好ましく、より好ましくは200~15,000mPa・sであり、さらに好ましくは300~10,000mPa・sである。硬化性樹脂組成物の粘度が上記範囲内であれば、良好な成形性が得られる。硬化性樹脂組成物の粘度が100mPa・s以上であればディスペンサや金型からの樹脂漏れを抑制でき、20,000mPa・s以下であれば金型への浸入性や移液時の作業性が良好なものとなる。
<作用効果>
以上説明した本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)、A成分及びB成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)、帯電防止剤(D)、重合開始剤(E)を含有する。本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、透明性および屈折率が高く、帯電防止性に優れるため、光学部材として好適である。
<硬化物>
本発明の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物を硬化して得ることができる。
硬化物を得る方法としては、例えば、本発明に係る硬化性樹脂組成物を所定の形状としておき、これを硬化させて所定の形状を有する硬化物を得る方法が挙げられる。このようにして所定の形状を有する硬化物を得る方式としては、例えば、硬化性樹脂組成物を型に流し込むキャスティング成形方式、液体樹脂射出成形方式(LIM方式)、トランスファー成形方式等や、硬化性樹脂組成物を塗工するコーティング方式やインプリント成形方式、ポッティング成形方式等が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤(C成分)の種類に応じて、光重合、熱重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。
光重合で硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、硬化性樹脂組成物に照射する光の波長は特に制限されないが、波長が200~400nmの紫外線を照射することが好ましい。紫外線の光源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、UV-LEDランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が挙げられる。硬化性樹脂組成物を光重合した後には、アフターキュアーをさらに行ってもよい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。また、光重合開始剤の分解物による着色を退色できる。アフターキュアーの条件としては、70~150℃で0.5~24時間が好ましく、80~130℃で1~15時間がより好ましい。
熱重合により硬化性樹脂組成物を硬化して光学部材用樹脂を得る場合、硬化条件は特に限定されないが、着色が抑制された光学部材用樹脂が得られやすい点から、硬化温度は40~150℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。LIM方式やトランスファー成形方式等のように、予め加熱された型に硬化性樹脂組成物を注入して成形する場合の硬化時間(加熱時間)は、硬化温度によっても異なるが、例えば硬化温度が100℃の場合、1~180秒が好ましく、1~120秒がより好ましく、1~60秒がさらに好ましい。一方、キャスティング成形方式のように常温の型に硬化性樹脂組成物を注入後、加熱する場合の硬化時間は、硬化温度によっても異なるが、例えば硬化温度が70℃の場合、5分~5時間が好ましく、10分~3時間がより好ましい。
硬化性樹脂組成物を熱重合した後には、アフターキュアーをさらに行うことが好ましい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。アフターキュアーの条件としては、50~200℃で0.1~10時間が好ましく、70~150℃で0.2~5時間がより好ましい。
レドックス重合により硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、レドックス系重合開始剤を用いることで、5~40℃の常温で硬化することができる。得られる硬化物に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる点から、硬化温度は15~40℃が好ましい。また、硬化性樹脂組成物がゲル化しにくく、安定的に取り扱える点から、予め還元剤を硬化性樹脂組成物に溶解させておき、これに過酸化物を追加する手順で硬化を実施する方法が好ましい。
(硬化物の透明性)
硬化物の透明性について、硬化物の厚さが1mmの場合、全光線透過率が88%以上、ヘーズが2%以下であることが好ましく、全光線透過率が89%以上、ヘーズが1.5%以下であることがより好ましく、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1%以下であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率及びヘーズは後述する方法により測定される値である。
(硬化物の屈折率(nD:D線(589nm)))
硬化物の屈折率(nD:D線(589nm))は、1.58以上であることが好ましく、1.59以上であることがより好ましく、1.60以上であることは更に好ましい。硬化物の屈折率が1.58以上であれば、光学部材の光学設計の自由度を大きくできる。なお、屈折率は、後述する方法により測定される値である。
(硬化物の帯電防止性)
硬化物の帯電防止性について、硬化物の表面抵抗率が「1×1014Ω/□>」であれば、硬化物表面に埃や粉塵が付着するのを防止することができる。なお、表面抵抗値は後述する方法により測定される値である。
<光学部材>
本発明の光学部材は、上述の硬化物を成形して作製される。このような成形は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。
光学成型材が適用される光学部材としては、例えば、発光ダイオードモジュール、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコン、カメラ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、プロジェクター、自動車、建材等に使用されるレンズ、インプリント材、コーティング材、光回折格子、フィルム、シート、光導波路、封止材、接着剤、反射材、波長変換材、硝子繊維強化プラスチック等が挙げられる。
本発明の硬化物は、透明性および屈折率が高く、帯電防止性に優れるため、カメラレンズ等のレンズやインプリント材、コーティング材として特に有用である。
<レンズ>
本発明の光学部材の例として挙げられるレンズは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコン、デジタルカメラ等の電子機器、自動車のバックカメラ、ドライブレコーダー、運転支援センサー等に備え付けられるカメラモジュールに用いられる。本発明のレンズは、本発明の硬化物からなる光学成型材のみで構成されてもよいが、平面ガラス、曲面ガラス又はガラスウエハー等の透明基材と、該透明基材の片面又は両面上に形成された本発明の硬化物とからなるハイブリッドレンズであってもよい。
レンズの成形方法としては、上下型で硬化性樹脂組成物を挟み込んだ後、加熱又は光照射により樹脂を硬化することでレンズを得るキャスティング方式等が挙げられる。キャスティング方式としては、レンズ個片を1点ずつ成形する方法や、複数のレンズ形状が転写されたウエハーを成形した後、レンズ個片を切り出すウエハーレベル方式等が挙げられる。
<インプリント材>
本発明の光学部材の例として挙げられるインプリント材は、基材表面に微細パターンを付与するために用いられ、例えば反射防止フィルムや輝度向上フィルム、半導体のパターニングに使用することができる。インプリント材料によって付与される微細パターンの
サイズは、特に限定はされないが、例えば、ナノメートルオーダー、マイクロメートルオーダー、ミリメートルオーダー等が挙げられる。
基材としては、例えば、PETフィルムやTACフィルム、PENフィルム、COPフィルム等の樹脂フィルムや、PMMAシート、ポリカーボネートシート等の樹脂シート、ガラスウエハー、シリコンウエハー等が挙げられる。
微細パターンの付与方法としては、例えば、任意の微細構造を有する型に本発明の硬化性樹脂組成物を流し込み、基材と接触・加圧後に硬化性樹脂組成物を硬化し、型を取り除く方法や、基材に本発明の硬化性樹脂組成物を流した部位に型を押し付けた後、硬化性樹脂組成物を硬化し、型を取り除く方法等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例中の「部」は「質量部」を意味する。また、本実施例における測定及び評価は、以下の方法に従って実施した。
[評価方法]
<相溶性>
得られた硬化性樹脂組成物の外観を目視で確認し、不溶物が無かった場合は「○」、不溶物があった場合は「×」とした。
<粘度>
得られた硬化性樹脂組成物の液温を23℃とし、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
<全光線透過率及びヘーズの測定>
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物の全光線透過率及びヘーズを、ヘーズメーター(商品名:HM-150型、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
<屈折率の測定>
約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物の25℃の屈折率(nD:D線(589nm)を多波長アッベ屈折計(商品名:DR-M2、アタゴ社製)により測定した。なお、測定中間液として、1―ブロモナフタレンを用いた。
<表面抵抗率の測定>
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を23℃、50%RHに24時間保管した後に、抵抗率計(商品名:ハイレスタUP<MCP-HT450型>、三菱化学アナリテック製)で、印加電圧1000Vの表面抵抗率を測定し、帯電防止性を評価した。測定値が、「1×1014Ω/□<」の場合は評価結果を「1×1014Ω/□<」と記した。
<実施例1>
冷却器を備えた反応容器に、A成分として、新中村化学工業社製の「商品名:NKエステルA-BPEF」(上記一般式(1)において、R、R、R、Rの全てが水素原子であり、m及びnがいずれも1であるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート)65部と、B成分として、2-ヒドロキシ-o-フェニルフェノールプロピルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステル401P」)10部、C成分として、m-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学社製の「商品名:ライトアクリレートPOB-A」)25部と、D成分として、花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーME-2」1部、重合開始剤(E)として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「商品名:IRGACURE184」)2部とを加え、70℃で2時間撹拌することで、硬化性樹脂組成物を得た。
<硬化物の作製>
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして、2枚のガラス板で挟み込み、高圧水銀灯で積算光量3000mJ/cmの紫外線を照射して光重合した後、100℃で30分間加熱した。冷却後、板ガラスを除去し、全光線透過率及びヘーズ、表面低効率の測定に用いる直径約50mm、厚さ約1mmの硬化物を得た。同様の方法により、約6mm×35mmの長方形状を切り抜いた厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いることで、屈折率の測定に用いる約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物を得た。
得られた光学部材用樹脂を用いて、前記方法により、全光線透過率、ヘーズ、屈折率及び表面低効率を測定した。結果を表1に示す。なお、表1における各成分の単位は「部」である。
[実施例2~10]
表1に記載の配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物と硬化物を作製し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1~3]
表1に記載の配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物と硬化物を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007279454000005
表1中に記載の各成分の詳細を以下に記す。
・NKエステルA-BPEF:上記一般式(1)において、R、R、R、Rの全てが水素原子であり、m及びnがいずれも1であるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業製の「商品名:NKエステルA-BPEF」)
・NKエステル401P:2-ヒドロキシ-o-フェニルフェノールプロピルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステル401P」)、
・ライトアクリレートPOB-A:m-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学社製の「商品名:ライトアクリレートPOB-A」)、
・NKエステルA-LEN-10:o-フェニルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステルA-LEN-10」、
・ビスコート#160:ベンジルアクリレート(大阪有機化学社製の「商品名:ビスコート#160」)
・TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱ケミカル社製の「商品名:アクリエステルTMP」)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート(日本化薬社製の「商品名:KAYARAD DPHA」)
・Miramer M340:ペンタエリスリトールトリアクリレート(MIWON社製の「商品名:Miramer M340」)
・エレクトロストリッパーME-2:陰イオン性界面活性剤(花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーME-2」)
・エレクトロストリッパーQN:陽イオン性界面活性剤(花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーQN」)
・IRGACURE184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「商品名:IRGACURE184」)
表1より、各実施例で得られた硬化性樹脂組成物は相溶性が良好であり、その硬化物は、高い透明性と屈折率、帯電防止性を有していた。一方、D成分を配合しなかった比較例1、並びにB成分及びD成分を配合しなかった比較例2では、帯電防止性が低い結果となった。B成分を配合しなかった比較例3は、相溶性が不良であった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する、硬化性樹脂組成物であって、
    前記B成分が、フェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基及びクミルフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香環を含む官能基を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、
    前記A成分の含有量は、前記A成分、前記B成分及び前記C成分の総量100質量%中、35質量%以上85質量%以下である硬化性樹脂組成物。
    Figure 0007279454000006
    (式(1)中、Z、Zは、各々独立に、芳香族炭化水素環を示す。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子またはメチル基を示し、mは0~5の整数を示し、nは0~5の整数を示す。)
  2. 前記B成分が、下記式(2)で表される単官能の(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0007279454000007
    (式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、1つ以上の水素原子が水酸基で置換された炭素数1~6のアルキレン基である。)
  3. 前記D成分が、イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
  5. 請求項に記載の硬化物を含む光学部材。
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