JP7279454B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化物および光学部材 - Google Patents
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[1]下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する、硬化性樹脂組成物。
[2]前記B成分が、フェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基及びクミルフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香環を含む官能基を有する単官能の(メタ)アクリレートである、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]前記B成分が、下記式(2)で表される単官能の(メタ)アクリレートである、[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]前記D成分が、イオン性界面活性剤である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
[6][5]に記載の硬化物を含む光学部材。
「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、一般式CH2=C(R)-C(=O)-[Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する。
以下、本発明に係る硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
A成分は、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレートであり、硬化物の屈折率とガラス転移点を向上する成分である。
これらA成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
B成分は、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、D成分である帯電防止剤の溶解性を向上する成分である。
複数の芳香環としては、例えばフェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基、クミルフェニル基等が挙げられる。硬化物の屈折率を高くできることから、フェニルフェニル基であることが好ましい。
これらB成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
C成分は、B成分以外の(メタ)アクリレート(C)であり、硬化性樹脂組成物の粘度や硬化物のガラス転移点を調整する成分である。C成分としては、1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能の(メタ)アクリレートと、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらC成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
C成分の含有量を多くすることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低下できる。C成分の含有量を少なくすることで、硬化物の屈折率を高くできる。
D成分は帯電防止剤であり、硬化物の表面低効率を低下して埃や塵の付着を抑制する成分であり、イオン性界面活性剤等が挙げられる。
イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、花王(株)の「商品名:エレクトロストリッパーQN」等の陽イオン性帯電防止剤、「商品名:エレクトロストリッパーME-2」等の陰イオン性帯電防止剤、「商品名:エレクトロストリッパーAC」等の両イオン性帯電防止剤、「商品名:レオドールTW-L120」、「商品名:エマゾールL-10V」等の非イオン性帯電防止剤等が挙げられる。帯電防止性能および透明性に優れることから、陰イオン性帯電防止剤が特に好ましい。
D成分の含有量を多くすることで、硬化物の表面低効率を低下できる。D成分の含有量を少なくすることで、硬化物の透明性を良好にできる。
E成分は重合開始剤であり、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物などが挙げられる。E成分の種類は、重合方法に応じて適宜選択することができる。
レドックス重合に用いられる過酸化物としては、例えばジベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
これらE成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記A成分~E成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤、顔料等が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、前記A成分~E成分を常温で撹拌混合する方法や加熱混合する方法などが挙げられる。前記E成分として熱重合開始剤を用いる場合には、硬化性樹脂組成物の安定性の点から、常温で撹拌混合して硬化性樹脂組成物を得る方法、またはE成分以外の成分を加熱混合した後に冷却し、常温で前記E成分を加えて撹拌混合し、硬化性樹脂組成物を得る方法などが挙げられる。加熱混合により硬化性樹脂組成物を製造する場合には、相溶性が良好となり、より均一に混合できる観点から、40℃~100℃の加熱下で混合することが好ましい。また、同様の観点から、混合の際の攪拌時間は0.1時間~5時間であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物の粘度は、23℃においてB型粘度計を用いた測定値が100~20,000mPa・sの範囲にあることが好ましく、より好ましくは200~15,000mPa・sであり、さらに好ましくは300~10,000mPa・sである。硬化性樹脂組成物の粘度が上記範囲内であれば、良好な成形性が得られる。硬化性樹脂組成物の粘度が100mPa・s以上であればディスペンサや金型からの樹脂漏れを抑制でき、20,000mPa・s以下であれば金型への浸入性や移液時の作業性が良好なものとなる。
以上説明した本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)、A成分及びB成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)、帯電防止剤(D)、重合開始剤(E)を含有する。本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、透明性および屈折率が高く、帯電防止性に優れるため、光学部材として好適である。
本発明の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物を硬化して得ることができる。
硬化物を得る方法としては、例えば、本発明に係る硬化性樹脂組成物を所定の形状としておき、これを硬化させて所定の形状を有する硬化物を得る方法が挙げられる。このようにして所定の形状を有する硬化物を得る方式としては、例えば、硬化性樹脂組成物を型に流し込むキャスティング成形方式、液体樹脂射出成形方式(LIM方式)、トランスファー成形方式等や、硬化性樹脂組成物を塗工するコーティング方式やインプリント成形方式、ポッティング成形方式等が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤(C成分)の種類に応じて、光重合、熱重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。
硬化物の透明性について、硬化物の厚さが1mmの場合、全光線透過率が88%以上、ヘーズが2%以下であることが好ましく、全光線透過率が89%以上、ヘーズが1.5%以下であることがより好ましく、全光線透過率が90%以上、ヘーズが1%以下であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率及びヘーズは後述する方法により測定される値である。
硬化物の屈折率(nD:D線(589nm))は、1.58以上であることが好ましく、1.59以上であることがより好ましく、1.60以上であることは更に好ましい。硬化物の屈折率が1.58以上であれば、光学部材の光学設計の自由度を大きくできる。なお、屈折率は、後述する方法により測定される値である。
硬化物の帯電防止性について、硬化物の表面抵抗率が「1×1014Ω/□>」であれば、硬化物表面に埃や粉塵が付着するのを防止することができる。なお、表面抵抗値は後述する方法により測定される値である。
本発明の光学部材は、上述の硬化物を成形して作製される。このような成形は、硬化性樹脂組成物を硬化した後に行ってもよく、硬化と同時に行ってもよい。
本発明の光学部材の例として挙げられるレンズは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコン、デジタルカメラ等の電子機器、自動車のバックカメラ、ドライブレコーダー、運転支援センサー等に備え付けられるカメラモジュールに用いられる。本発明のレンズは、本発明の硬化物からなる光学成型材のみで構成されてもよいが、平面ガラス、曲面ガラス又はガラスウエハー等の透明基材と、該透明基材の片面又は両面上に形成された本発明の硬化物とからなるハイブリッドレンズであってもよい。
本発明の光学部材の例として挙げられるインプリント材は、基材表面に微細パターンを付与するために用いられ、例えば反射防止フィルムや輝度向上フィルム、半導体のパターニングに使用することができる。インプリント材料によって付与される微細パターンの
サイズは、特に限定はされないが、例えば、ナノメートルオーダー、マイクロメートルオーダー、ミリメートルオーダー等が挙げられる。
微細パターンの付与方法としては、例えば、任意の微細構造を有する型に本発明の硬化性樹脂組成物を流し込み、基材と接触・加圧後に硬化性樹脂組成物を硬化し、型を取り除く方法や、基材に本発明の硬化性樹脂組成物を流した部位に型を押し付けた後、硬化性樹脂組成物を硬化し、型を取り除く方法等が挙げられる。
<相溶性>
得られた硬化性樹脂組成物の外観を目視で確認し、不溶物が無かった場合は「○」、不溶物があった場合は「×」とした。
得られた硬化性樹脂組成物の液温を23℃とし、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物の全光線透過率及びヘーズを、ヘーズメーター(商品名:HM-150型、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物の25℃の屈折率(nD:D線(589nm)を多波長アッベ屈折計(商品名:DR-M2、アタゴ社製)により測定した。なお、測定中間液として、1―ブロモナフタレンを用いた。
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を23℃、50%RHに24時間保管した後に、抵抗率計(商品名:ハイレスタUP<MCP-HT450型>、三菱化学アナリテック製)で、印加電圧1000Vの表面抵抗率を測定し、帯電防止性を評価した。測定値が、「1×1014Ω/□<」の場合は評価結果を「1×1014Ω/□<」と記した。
冷却器を備えた反応容器に、A成分として、新中村化学工業社製の「商品名:NKエステルA-BPEF」(上記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4の全てが水素原子であり、m及びnがいずれも1であるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート)65部と、B成分として、2-ヒドロキシ-o-フェニルフェノールプロピルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステル401P」)10部、C成分として、m-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学社製の「商品名:ライトアクリレートPOB-A」)25部と、D成分として、花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーME-2」1部、重合開始剤(E)として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「商品名:IRGACURE184」)2部とを加え、70℃で2時間撹拌することで、硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして、2枚のガラス板で挟み込み、高圧水銀灯で積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して光重合した後、100℃で30分間加熱した。冷却後、板ガラスを除去し、全光線透過率及びヘーズ、表面低効率の測定に用いる直径約50mm、厚さ約1mmの硬化物を得た。同様の方法により、約6mm×35mmの長方形状を切り抜いた厚さ1mmのシリコーンシートをガスケットとして用いることで、屈折率の測定に用いる約6mm×35mm×厚さ1mmの硬化物を得た。
得られた光学部材用樹脂を用いて、前記方法により、全光線透過率、ヘーズ、屈折率及び表面低効率を測定した。結果を表1に示す。なお、表1における各成分の単位は「部」である。
表1に記載の配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物と硬化物を作製し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1~3]
表1に記載の配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物と硬化物を作製し、評価した。結果を表1に示す。
・NKエステルA-BPEF:上記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4の全てが水素原子であり、m及びnがいずれも1であるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(新中村化学工業製の「商品名:NKエステルA-BPEF」)
・NKエステル401P:2-ヒドロキシ-o-フェニルフェノールプロピルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステル401P」)、
・ライトアクリレートPOB-A:m-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学社製の「商品名:ライトアクリレートPOB-A」)、
・NKエステルA-LEN-10:o-フェニルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業社製の「商品名:NKエステルA-LEN-10」、
・ビスコート#160:ベンジルアクリレート(大阪有機化学社製の「商品名:ビスコート#160」)
・TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱ケミカル社製の「商品名:アクリエステルTMP」)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート(日本化薬社製の「商品名:KAYARAD DPHA」)
・Miramer M340:ペンタエリスリトールトリアクリレート(MIWON社製の「商品名:Miramer M340」)
・エレクトロストリッパーME-2:陰イオン性界面活性剤(花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーME-2」)
・エレクトロストリッパーQN:陽イオン性界面活性剤(花王社製の「商品名:エレクトロストリッパーQN」)
・IRGACURE184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「商品名:IRGACURE184」)
Claims (5)
- 下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(A)(A成分)、水酸基及び複数の芳香環を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)(B成分)、前記A成分及び前記B成分とは異なる(メタ)アクリレート(C)(C成分)、帯電防止剤(D)(D成分)、並びに重合開始剤(E)(E成分)を含有する、硬化性樹脂組成物であって、
前記B成分が、フェニルフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルフェニル基及びクミルフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香環を含む官能基を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、
前記A成分の含有量は、前記A成分、前記B成分及び前記C成分の総量100質量%中、35質量%以上85質量%以下である硬化性樹脂組成物。
- 前記D成分が、イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物を含む光学部材。
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