JP6742256B2 - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにコーティング材、シート及びフィルム - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにコーティング材、シート及びフィルム Download PDF

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本発明は、硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにコーティング材、シート及びフィルムに関する。
硬化性(メタ)アクリル樹脂組成物は、その硬化物が耐候性および透明性に優れることから、コーティング材、シート及びフィルム等に代表される透明部材に広く使用されている。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル系重合体、芳香環を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、および熱重合開始剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の硬化物は透明性に優れるため、光学部材に使用されるフィルムやシート等に有用であることが開示されている。
特開2012−126896号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物はヘーズが高いため、その透明性は十分なものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物と、その硬化物、並びにその硬化物を用いたコーティング材、シートおよびフィルムを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、成分(A)以外の芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)、多官能の(メタ)アクリレート(C)、(メタ)アクリル系重合体(D)、縮合リン酸エステル化合物(E)、及び重合開始剤(F)を含有する硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の硬化物を含むコーティング材が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の硬化物を含むシートが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の硬化物を含むフィルムが提供される。
本発明によれば、透明性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物と、その硬化物、並びにその硬化物を用いたコーティング材、シートおよびフィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの総称である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称であり、CH=C(R)−C(=O)−(Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、成分(A)以外の芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)、多官能の(メタ)アクリレート(C)、(メタ)アクリル系重合体(D)、縮合リン酸エステル化合物(E)、及び重合開始剤(F)を含有する。
前記の成分(A)〜(E)の合計量100質量%に対して、成分(A)が1〜30質量%、成分(B)が10〜80質量%、成分(C)が5〜40質量%、成分(D)が1〜30質量%および成分(E)が1〜40質量%であり、成分(A)〜(E)の合計量100質量部に対して、(F)成分を0.1〜10質量部含有することが好ましい。
この硬化性樹脂組成物は、さらに帯電防止剤(G)を含有することができる。
(成分(A))
成分(A)は、水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、硬化性樹脂組成物の硬化物の透明性を向上する成分である。
成分(A)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノルボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の環状構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
硬化物の透明性の点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく(ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜6が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(成分(B))
成分(B)は、成分(A)以外の芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリレートであり、成分(D)である(メタ)アクリル系重合体を溶解し、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上する成分である。
成分(B)の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1−ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化物の透明性の点から、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(成分(C))
成分(C)は、多官能の(メタ)アクリレートであり、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上する成分である。
成分(C)の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
硬化物の透明性の点から、2官能の(メタ)アクリレートが好ましく、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(成分(D))
成分(D)は、(メタ)アクリル系重合体であり、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上する成分である。
(メタ)アクリル系重合体は、組成中に(メタ)アクリル系モノマー単位を50質量%以上含む重合体である。(メタ)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを意味する。「単位」は重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
(メタ)アクリル系モノマーは、単官能モノマーであっても多官能モノマーであっても良い。成分(A)および成分(B)への溶解性の点から、単官能モノマーが好ましい。
単官能モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1−ナフチル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等の環状構造を含有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート及びヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン、ウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
成分(D)に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位は、1種でも2種以上でも良い。また、成分(D)は、(メタ)アクリル系モノマー単位以外の他のモノマー単位を含んでいても良い。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なものであればよく、たとえばスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;アクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー等のビニル系モノマーが挙げられる。成分(D)中、(メタ)アクリル系モノマー単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。割合の上限は特に限定されず、100質量%であっても良い。
成分(D)の好ましい具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位とからなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルアクリレート単位とからなる共重合体等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の透明性の点から、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位からなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルアクリレート単位からなる共重合体が好ましい。
成分(D)の質量平均分子量は、10,000〜500,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがより好ましい。質量平均分子量が10,000以上であると、硬化性が良好になる。500,000以下であると、硬化物の透明性が良好になる。
成分(D)を得るための重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、部分重合法等の公知の方法で重合することができる。本発明においては、重合反応の制御や生成した重合体の分離が比較的容易であることから、懸濁重合法が好ましい。
成分(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(成分(E))
成分(E)は、縮合リン酸エステル化合物であり、硬化物の透明性を向上する成分である。
成分(E)の具体例としては、例えば難燃剤として市販されている(株)ADEKA製の「アデカスタブFP−600」(商品名)、「アデカスタブPFR」(商品名)、大八化学工業(株)製の「CR−733S」(商品名)、「CR−741」(商品名)、「PX−200」(商品名)、「DIGUARD−580」(商品名)、「DIGUARD−880」(商品名)等の非ハロゲン縮合リン酸エステル、「TMCPP」(商品名)、「CR−900」(商品名)等の含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。
硬化物の透明性の点から、非ハロゲン縮合リン酸エステルが好ましい。
(成分(F))
成分(F)は、重合開始剤であり、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス重合に用いられる過酸化物などが挙げられる。成分(F)の種類は重合方法に応じて適宜選択することができる。
光重合開始剤は光重合に用いられるラジカル重合開始剤である。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型化合物;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物などが挙げられる。
これらの中でも、硬化物の着色を抑制できる点で、アルキルフェノン型化合物が好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。また、硬化物の内部まで十分に硬化されやすくなる点で、アシルフォスフィンオキサイド型化合物が好ましく、硬化物の着色を抑制できる点で、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。これらの光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は熱重合に用いられるラジカル重合開始剤である。熱重合開始剤としては例えば有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
これらの熱重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、硬化物に気泡が生じにくい点で、有機過酸化物が好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化時間とポットライフとのバランスを考慮すると、有機過酸化物の10時間半減期温度は35〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜75℃であり、さらに好ましくは45〜70℃である。10時間半減期温度が35℃以上であれば、常温で硬化性樹脂組成物がゲル化しにくくなり、ポットライフが良好となる。一方、10時間半減期温度が80℃以下であれば、硬化性樹脂組成物の硬化時間を短縮できる。このような有機過酸化物としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの市販品としては、例えばパーオクタO(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:65.3℃)等が挙げられる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの市販品としては、例えばパーブチルO(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:72.1℃)等が挙げられる。ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートの市販品としては、例えばパーロイルTCP(商品名、日油株式会社製、10時間半減期温度:40.8℃)等が挙げられる。
レドックス重合に用いられる過酸化物としては、例えばジベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの過酸化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、レドックス重合には、通常、レドックス系重合開始剤が用いられる。レドックス系重合開始剤は、過酸化物と還元剤とを併用した重合開始剤である。上述した過酸化物をレドックス系重合開始剤として使用する場合、還元剤との組み合わせの一例は以下の通りである。
(1)ジベンゾイルパーオキサイド(過酸化物)と、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の芳香族3級アミン類(還元剤)との組み合わせ。
(2)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)と金属石鹸類(還元剤)との組み合わせ。
(3)ハイドロパーオキサイド(過酸化物)とチオ尿素類(還元剤)との組み合わせ。
これら成分(F)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(成分(G))
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、前記成分(A)〜(F)以外に成分(G)である帯電防止剤を含有してもよく、これにより、硬化物の表面抵抗率を低下させ、埃や粉塵が付着するのを防止することができる。
成分(G)の具体例としては、花王(株)の「エレクトロストリッパーQN」(商品名)等の陽イオン性帯電防止剤、「エレクトロストリッパーME−2」(商品名)等の陰イオン性帯電防止剤、「エレクトロストリッパーAC」(商品名)等の両イオン性帯電防止剤、「レオドールTW−L120」(商品名)、「エマゾールL−10V」(商品名)等の非イオン性帯電防止剤等が挙げられる。
帯電防止性能および透明性に優れることから、陰イオン性帯電防止剤が特に好ましい。
(その他の成分)
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分(A)〜(G)以外のその他の成分(H)を含有してもよい。このような成分(H)としては、例えば成分(A)および(B)以外の単官能のビニル基含有化合物、酸化防止剤、ゴム、シリカ粒子、ジルコニア、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、揺変剤、離型剤、充填剤、蛍光体、顔料等が挙げられる。これらの成分(H)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(A)および(B)以外の単官能のビニル基含有化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。ビニル基含有モノマー単位の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体及び酢酸ビニル等のビニルエステルが挙げられる。
(配合量)
硬化性樹脂組成物の成分(A)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計を100質量%とした場合、1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。成分(A)の含有量を1〜30質量%とすることで、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物の成分(B)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計を100質量%とした場合、10〜80質量%が好ましく、15〜70質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。成分(B)の含有量を10〜80質量%とすることで、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物の成分(C)の含有量は、(A)〜(E)成分の合計を100質量%とした場合、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。成分(C)の含有量を5〜40質量%とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性および、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物の成分(D)の含有量は、(A)〜(E)成分の合計を100質量%とした場合、1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。成分(D)の含有量を1〜30質量%とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性および、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物の成分(E)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計を100質量%とした場合、1〜40質量%が好ましく、2〜35質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。成分(E)の含有量を1〜40質量%とすることで、硬化物の透明性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物の成分(F)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。成分(F)の含有量を0.1〜10質量部とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性を良好なものとできる。
硬化性樹脂組成物が成分(G)を含有する場合、成分(A)〜(E)の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。成分(G)の含有量を0.1〜10質量部とすることで、硬化物の透明性および帯電防止性を良好なものとできる。
成分(A)及び(B)以外の単官能のビニル基含有化合物を含有する場合、硬化物の透明性の点で、成分(A)〜(E)と成分(A)及び(B)以外の単官能のビニル基含有化合物との合計量100質量部に対して、成分(A)及び(B)以外の単官能のビニル基含有化合物の含有量は30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
(硬化性樹脂組成物の製造方法)
硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば前記成分(A)〜(F)と、必要に応じて、更に成分(G)又は/及びその他の成分(H)とを常温で撹拌混合する方法、これらを加熱混合する方法などが挙げられる。
前記成分(F)として熱重合開始剤を用いる場合には、硬化性樹脂組成物の安定性の点から、常温で混合して硬化性樹脂組成物を得る方法、あるいは成分(F)以外を、加熱混合した後に冷却し、常温で成分(F)を加えて撹拌混合し、硬化性樹脂組成物を得る方法などが挙げられる。
加熱混合により硬化性樹脂組成物を製造する場合には、相溶性が良好となり、より均一に混合できる観点から、40〜100℃の加熱下で混合することが好ましい。また、同様の観点から、混合の際の攪拌時間は0.1〜5時間であることが好ましい。
(硬化物)
本発明に実施形態による硬化物は、上述の実施形態による硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる。硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、硬化性樹脂組成物に含まれる成分(F)の種類に応じて、光重合、熱重合及びレドックス重合のいずれかの方法を採用できる。
光重合で硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、硬化性樹脂組成物に照射する光の波長は特に制限されないが、波長が200〜400nmの紫外線を照射することが好ましい。紫外線の光源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、UV−LEDランプ、ケミカルランプ、ブラックライトなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物を光重合した後には、アフターキュアをさらに行ってもよい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、硬化物の強度をより高めることができる。アフターキュアの条件としては、70〜150℃で0.01〜24時間が好ましく、80〜130℃で0.1〜10時間がより好ましい。
熱重合で硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、硬化条件は特に限定されないが、着色が抑制された光学部材用樹脂が得られやすい観点から、硬化温度は40〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。硬化時間(加熱時間)は、硬化温度によっても異なるが、1〜120分が好ましく、1〜60分がより好ましい。
硬化性樹脂組成物を熱重合した後には、アフターキュアをさらに行うことが好ましい。アフターキュアの条件としては、50〜150℃で0.1〜10時間が好ましく、70〜130℃で0.2〜5時間がより好ましい。
レドックス重合により硬化性樹脂組成物を硬化して硬化物を得る場合、レドックス系重合開始剤を用いることで、5〜40℃の常温で硬化することができる。得られる光学部材用樹脂に残存する未反応の(メタ)アクリロイル基の量を減少させることができ、光学部材用樹脂の強度をより高めることができる点から、硬化温度は15〜40℃が好ましい。
また、硬化性樹脂組成物がゲル化しにくく、安定的に取り扱える点から、予め還元剤を硬化性樹脂組成物に溶解させておき、これに過酸化物を追加する手順で硬化を実施する方法が好ましい。
硬化性樹脂組成物を硬化する際は、酸素による硬化阻害を抑制するため、硬化性樹脂組成物を密閉した状態で硬化することが好ましい。密閉する方法としては、ガラスやPETフィルムに硬化性樹脂組成物を挟みこむ方法等が挙げられる。
(硬化物の透明性)
本発明の実施形態による硬化物の透明性について、硬化物の厚さが1mmの場合、全光線透過率が88%以上、ヘーズが3%以下であることが好ましく、全光線透過率が89%以上、ヘーズが2.5%以下であることがより好ましく、全光線透過率が90%以上、ヘーズが2%以下であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率及びヘーズは後述する方法により測定される値である。
(硬化物の帯電防止性)
硬化物の帯電防止性について、硬化物の表面抵抗率が1×1014Ω/□より低ければ、硬化物表面に埃や粉塵が付着するのを防止することができる。なお、表面抵抗値は後述する方法により測定される値である。
[コーティング材、フィルム、シート]
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、透明性に優れた硬化物が得られるため、この硬化物をコーティング材、フィルム、シートとして好適に使用できる。
コーティング材の具体例としては、壁面用コーティング材や床用コーティング材、屋根用コーティング材、橋梁用コーティング材、プラント用コーティング材、鉄構造物用コーティング材、コンクリート用コーティング材などの土木建築用コーティング材;滑り止めコーティング材や排水コーティング材、遮熱コーティング材、道路マーキング用コーティング材、床版防水工法用コーティング材などの道路用コーティング材が挙げられ、さらに、家具用コーティング材、装飾品用コーティング材、電子機器・モバイル用コーティング材、家電用コーティング材、防水用コーティング材、自動車用コーティング材、バイク用コーティング材、重機用コーティング材、鉄道車両用コーティング材、船舶用コーティング材などが挙げられる。
フィルム、シートの具体例としては、発光ダイオードモジュール、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、カメラ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、プロジェクター、家電、自動車、バイク、重機、鉄道車両、船舶、建材、防煙垂壁、防煙カーテン、化粧パネルに用いられるフィルム、シートなどが挙げられる。また、本発明の実施形態によるフィルム、シートは、高弾性や難燃性・不燃性を付与するために、FRPとして使用することもできる。FRPは、ガラス繊維などの繊維に、硬化性樹脂組成物を含浸した後に硬化することで得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例中の「部」は「質量部」を意味する。本実施例における測定および評価は、以下の方法に従って実施した。
[評価方法]
(質量平均分子量)
質量平均分子量は、ポリマーを溶剤であるテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算して求めた。
(硬化性)
10cm×10cmの2枚のガラス板の中央に硬化性樹脂組成物を直径約50mm×厚さ約1mmで挟み込み、ケミカルランプ(照射強度:5mW/cm)を30分間照射し、100℃で30分間アフターキュアしたときの硬化性を以下の基準で評価した。
○:端部(空気接触部)まで硬化。
△:端部(空気接触部)は未硬化で、液状成分が残存。
×:密閉中心部が未硬化で、液状成分が残存。
(透明性)
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物のヘーズをヘーズメーター(商品名:HM−150型、村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、透明性を評価した。
(帯電防止性)
直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を23℃、50%RHに24時間保管した後に、抵抗率計(商品名:ハイレスタUP<MCP−HT450型>、三菱化学アナリテック製)で、印加電圧1000Vの表面抵抗率を測定し、帯電防止性を評価した。測定値が、1×1014Ω/□より大きい場合は評価結果を「1014<」と記した。
〔製造例1〕ポリマー1の製造
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置内に、脱イオン水145部、分散安定剤として、ポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。
ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート93部、n−ブチルアクリレート7部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、n−オクチルメルカプタン0.25部を加えて再度撹拌した。撹拌下で重合装置内の雰囲気を窒素置換し、70℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。
得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。
脱水後、40℃で20時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、「ポリマー1」という。)を得た。ポリマー1の質量平均分子量(Mw)は70,000であった。
〔製造例2〕ポリマー2の製造
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置内に、脱イオン水145部、分散安定剤として、ポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。
ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート100部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.2部、n−ドデシルメルカプタン0.9部を加えて再度撹拌した。撹拌下で重合装置内の雰囲気を窒素置換し、70℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。
得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。
脱水後、40℃で20時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、「ポリマー2」という。)を得た。ポリマー2の質量平均分子量(Mw)は40,000であった。
〔実施例1〕
冷却器を備えた反応容器内に、成分(A)として2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを10部、成分(B)としてベンジルメタクリレートを40部、成分(C)としてニューフロンティアBPE−4を25部、成分(E)としてアデカスタブPFRを20部加え、反応容器内のこれらの成分を撹拌しながら、成分(D)として製造例1で製造したポリマー1を5部加えた。次いで、反応容器内の溶液を70℃に昇温し、温度を維持したまま1時間撹拌した。ポリマー1が完全に溶解したことを確認した後、23℃まで冷却した。更に(F)成分としてイルガキュア184を3部加えて30分間攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。
10cm×10cmの2枚のガラス板の中央に硬化性樹脂組成物を挟み込み、ケミカルランプ(照射強度:5mW/cm)を30分間照射し、さらに100℃で30分間アフターキュアすることで、直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を得た。得られた硬化物に対して各評価を行った。結果を表1に示す。表中の組成の「部」は「質量部」を意味する。
〔実施例2〜23〕
組成を表1及び表2のように変更した以外は、実施例1と同様に、硬化性樹脂組成物および直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を作製し、各評価を行った。
〔比較例1〜2〕
比較例1〜2では、組成を表1及び表2のように変更した以外は、実施例1と同様に、硬化性樹脂組成物および直径約50mm×厚さ約1mmの硬化物を作製し、各評価を行った。
Figure 0006742256
Figure 0006742256
表中に記載の各成分は以下の通りである。
・2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(商品名:アクリエステルHP、三菱レイヨン社製)。
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名:アクリエステルHO、三菱レイヨン社製)。
・ベンジルメタクリレート(商品名:アクリエステルBZ、三菱レイヨン社製)。
・オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(商品名:NKエステルA−LEN−10、新中村化学工業社製)。
・ニューフロンティアBPE−4:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:ニューフロンティアBPE−4、第一工業製薬社製)。
・ブレンマーPDP−400N:ポリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名:ブレンマーPDP−400N、日油社製)。
・ポリマー1:製造例1で製造した(メタ)アクリル系重合体(MMA/nBA=93/7、Mw=70,000)。
・ポリマー2:製造例2で製造した(メタ)アクリル系重合体(PMMA、Mw=40,000)。
・アデカスタブPFR:非ハロゲン縮合リン酸エステル(商品名:アデカスタブPFR、ADEKA社製)。
・アデカスタブFP−600:非ハロゲン縮合リン酸エステル(商品名:アデカスタブFP−600、ADEKA社製)。
・イルガキュア184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製、光重合開始剤)。
・テトラヒドロフルフリルメタクリレート(商品名:アクリエステルTHF、三菱レイヨン社製)。
・i−ブチルメタクリレート(商品名:アクリエステルIB、三菱レイヨン社製)。
・エレクトロストリッパーME−2:陰イオン性界面活性剤(商品名:エレクトロストリッパーME−2、花王社製)。
・エレクトロストリッパーAC:両イオン性帯電防止剤(商品名:エレクトロストリッパーAC、花王社製)。
・エレクトロストリッパーQN:陽イオン性帯電防止剤(商品名:エレクトロストリッパーQN、花王社製)。
・レオドールTW−L120:非イオン性帯電防止剤(商品名:レオドールTW−L120、花王社製)。
表1及び表2より、各実施例で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物は、高い透明性を有していることが分かる。また、帯電防止剤を配合した実施例18〜23は、高い透明性と帯電防止性を有していることが分かる。一方、成分(E)を配合しなかった比較例1、比較例2では、透明性が低い結果となった。

Claims (8)

  1. 水酸基を有する単官能の(メタ)アクリレート(A)、成分(A)以外の芳香環構造を有する単官能の(メタ)アクリレート(B)、多官能の(メタ)アクリレート(C)、(メタ)アクリル系重合体(D)、縮合リン酸エステル化合物(E)、及び重合開始剤(F)を含有する硬化性樹脂組成物。
  2. 成分(A)〜(E)の合計量100質量%に対して、成分(A)が1〜30質量%、成分(B)が10〜80質量%、成分(C)が5〜40質量%、成分(D)が1〜30質量%および成分(E)が1〜40質量%であり、
    成分(A)〜(E)の合計量100質量部に対して、成分(F)を0.1〜10質量部含有する請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 成分(A)がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、
    成分(B)がフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、
    成分(C)がポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、
    成分(D)がポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位からなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルアクリレート単位からなる共重合体から選ばれる少なくとも一種であり、
    成分(E)が非ハロゲン縮合リン酸エステルである請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 更に帯電防止剤(G)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  6. 請求項5に記載の硬化物を含むコーティング材。
  7. 請求項5に記載の硬化物を含むシート。
  8. 請求項5に記載の硬化物を含むフィルム。
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