JP6619993B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物と硬化物から得られる各種光学部品に関する。
従来、液晶ディスプレイに使用されるプリズムシートや拡散シート、プロジェクションTVに使用されるフレネルレンズ、レンチキュラーレンズといった光学レンズや光学部品は、熱可塑性樹脂の射出成形、あるいは熱プレス成形により製造されるのが一般的であった。
これらの製造方法では、製造時の加熱と冷却に長時間を必要とするため生産性が低く、また、光学レンズの熱収縮により微細構造の再現性が悪いという問題点があった。
これらの問題点を解決するため、金型内面に透明樹脂基材がセットされた型内に活性エネルギー硬化性組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が実施されている。
近年、ディスプレイの高輝度化に伴い、光学レンズの輝度を向上させるという試みがなされており、この目的のため例えば芳香環の含有量を高くした高屈折率のレンズを成型する技術(特許文献1)が検討されている。
しかし、特許文献1の芳香環の含有量を高くした高屈折率タイプの活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物は剛性が高く、硬化時の硬化収縮が大きくなり、フィルムが反るという問題が発生する。更に、硬化成型後の光学レンズの微細な形状が変形したり、壊れたりして傷となり、時間が経ってもその傷が元の状態に回復しない。また組立時、搬送時に他の部材と接触することにより傷が発生する問題がある。
硬化物が硬く、微細な凹凸形状であるため構造が壊れてしまう問題点を解決する手法として、光学レンズの形状そのものを工夫して、光学レンズの微細な形状を壊れにくくする方法(例えば特許文献2)や、多官能(メタ)アクリレートを導入する方法(特許文献3)等が提案されている。
特開2008−094987号公報 特開2006−309248号公報 特開2004−131520号公報
しかしながら、特許文献2の方法では硬化収縮によるフィルムの反りの低減や微細な凹凸形状のレンズについた傷の回復のし易さ(傷の回復性)が不十分であるという問題があり、特許文献3の方法では、硬化物の屈折率が低下する問題がある。
そこで、本発明の課題は、高屈折率、傷の回復性、プラスチック基材との密着性、透明性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)、芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有し、その硬化物の25℃での屈折率が1.57〜1.65であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物であって、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)が、分子内にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物;それを硬化させて得られる硬化物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は高屈折率(1.57以上)かつ傷の回復性に優れ、更に、プラスチック基材との密着性、透明性に優れた硬化物を与える。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基又はメタクリロイル基」を意味する。
また、2官能以上とは、(メタ)アクリロイル基の数が2個以上であることを意味し、以下同様の記載法を用いる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)、芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)および光重合開始剤(C)を必須成分として含有する。
本発明の必須成分である芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)としては、高屈折率の観点から分子内に芳香環骨格を有し、(メタ)アクリロイル基の数が2個以上であれば特にその化学構造は限定されない。好ましくは芳香環骨格としてフルオレン骨格を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
更に好ましい芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)としては、具体的には下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートである。
式中、R、Rは水素原子又はメチル基を表し、x、yはそれぞれ独立に0または1〜8の整数を表す。硬化性の観点からRは水素原子が好ましく、傷の回復性の観点からx+yの合計値は2〜12が好ましく、特に4〜10が好ましい。
なお、フルオレン骨格以外の芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)としては、2価フェノール化合物[単環フェノール化合物(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等)、縮合多環フェノール化合物(ジヒドロキシナフタレン等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)]のアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記することがある。)付加物のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、カテコールのエチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記することがある。)2モル付加物のジ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシナフタレンのプロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記することがある。)2モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO4モルのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、フルオレン骨格以外の芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)としては、分子内に1個以上の芳香環と2個の(メタ)アクリロイル基を含有するウレタン化合物が挙げられる。例えば、芳香族ポリオール骨格および芳香族イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと水酸基含有(メタ)アクリレートとのウレタン化反応から形成される芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分の合計重量に対する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)の含有量は、高屈折率の観点から、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における必須成分である芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)としては、分子内に芳香環骨格を含有していれば特に限定されないが、高屈折率の観点から芳香環骨格を3個以上含有しているものが好ましい。
例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート(t−BDP)、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)、プロピル化フェニルホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)等が挙げられる。そのうち好ましいのは、トリフェニルホスフェート(TPP)およびビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)である。
また、例えば、オキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物、及びフェノール(またはアルキルフェノール)との反応生成物である芳香族縮合リン酸エステル化合物であり、そのうち好ましいのは、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート等が挙げられる。
これらのうちで好ましい構造として具体的には下記一般式(2)〜(5)で表される化合物である。またこれらを2種以上含んでいてもよい。
式中、mとnはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分の合計重量に対する芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)の含有量は、硬化物の傷の回復性の観点から、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜45重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における光重合開始剤(C)としては、フォスフィンオキサイド系化合物(C1)、ベンゾイルホルメート系化合物(C2)、チオキサントン系化合物(C3)、オキシムエステル系化合物(C4)、ヒドロキシベンゾイル系化合物(C5)、ベンゾフェノン系化合物(C6)、ケタール系化合物(C7)、1,3αアミノアルキルフェノン系化合物(D8)などが挙げられる。
フォスフィンオキサイド系化合物(C1)としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系化合物(C2)としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系化合物(C3)としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物(C4)としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1(O−アセチルオキシム))等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系化合物(C5)としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物(C6)としては、ベンゾフェノン等が挙げられる。
ケタール系化合物(C7)としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
1,3αアミノアルキルフェノン系化合物(C8)としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロ−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(C)のうち、硬化性及び硬化物の着色の観点から好ましいのは、フォスフィンオキサイド系化合物(C1)であり、更に好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分の合計重量に対する光重合開始剤(C)の含有量は、硬化性および透明性の観点から、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.2〜7重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、基材に対する密着性および粘度調整の観点から、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)、芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)および光重合開始剤(C)以外にさらに、単官能(メタ)アクリレート(D)を含有することが好ましい。
この単官能(メタ)アクリレート(D)としては、単官能の脂肪族(メタ)アクリレート(D1)、単官能の芳香環含有(メタ)アクリレート(D2)等が挙げられる。
単官能脂肪族(メタ)アクリレート(D1)としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能芳香環含有(メタ)アクリレート(D2)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−、m−又はp−フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモノ(メタ)アクリレート、2.5モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(D)の内、高屈折率および基材に対する密着性の観点から、単官能の芳香環含有(メタ)アクリレート(D2)が好ましく、さらに好ましいのはベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましいのはフェノキシエチル(メタ)アクリレートでありである。
活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分の合計重量に対する単官能(メタ)アクリレート(D)の含有量は、高屈折率の観点から、好ましくは1〜40重量%であり、更に好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化物の傷の回復性の観点から、さらに、オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)を含有することが好ましい。
この目的で併用するオキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)は、分子内にオキシアルキレン基とシロキサン結合を含有する化合物であれば特に限定されない。
オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)としては、本発明で用いる2官能以上の(メタ)アクリレート(A)、芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)と相溶することが好ましい。
この相溶性の指標として、溶解度パラメーター〔SP、単位は(cal/cm3)1/2〕で表すことができ、オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)の溶解度パラメーターは、好ましくは8.0〜9.0であり、更に好ましくは8.1〜8.8である。
オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)は、分子内に2〜100個のオキシアルキレン基を有するものが好ましい。
オキシアルキレン基を2個以上含有するポリシロキサンは、活性エネルギー線硬化性組成物を構成する他の原料との相溶性が良好であり、オキシアルキレン基が100個以下のポリシロキサンは、傷の回復性が良好になり、好ましい。
上記オキシアルキレン基の数は、1H−NMRによる積分比で求められる。
オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)としては、例えば、AO変性ポリジアルキルシロキサンが挙げられ、末端がAOで変性されたポリジアルキルシロキサン(E1)、側鎖がAOで変性されたポリジアルキルシロキサン(E2)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。なお、(E1)及び(E2)は、更に(メタ)アクリロイル変性されたものであってもよい。
(E1)としては、末端がEOで変性されたポリジメチルシロキサン、末端がEO及びPOで変性されたポリジメチルシロキサン、末端がEOで変性されたポリジエチルシロキサン、及びこれらの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E2)としては、側鎖がPOで変性されたポリジメチルシロキサン、側鎖がEO及びブチレンオキサイドで変性されたポリジメチルシロキサン、側鎖がEO及びPOで変性されたポリジメチルシロキサン、及びこれらの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのAO変性ポリジアルキルシロキサンのうち、傷回復性の観点から好ましいのは(E2)であり、更に好ましくは側鎖がEO及びPOで変性されたポリジメチルシロキサンである。
オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)のMnの好ましい範囲は300〜50,000である。
オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)のMnが300以上であると、プラスチック基材との密着性が良好である。また、50,000以下であると、樹脂との相溶性が良好であり好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分の合計重量に基づいて、オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)の含有量は、硬化物の傷の回復性の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜7重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により種々の添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いた成形体の製造方法は、特に限定されないが、例えば次の方法で塗工、成形することができる。すなわち、本発明の組成物を予め20〜50℃に温調し、成形体形状(例えば光学レンズ形状)が得られる金型(型温は好ましくは20〜50℃、更に好ましくは25〜40℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが50〜150μmとなるように塗工(又は充填)し、塗膜上から透明基材(透明フィルムを含む)を空気が入らないように加圧積層し、更に該透明基材上から後述の活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させた後に、型から離型し成形体(例えばレンズシート)を得る。
上記透明基材(透明フィルムを含む)としては、メチルメタクリレート(共)重合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリトリアセチルセルロース及びポリシクロオレフィン等の樹脂からなるものが挙げられる。
本発明における活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化の観点から好ましいのは紫外線と電子線である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を紫外線により硬化させる場合は、種々の紫外線照射装置[例えば、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]を使用できる。使用するランプとしては、例えば高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。紫外線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000mJ/cm2、更に好ましくは100〜5,000mJ/cm2である。
本発明の硬化物の屈折率は、光学部材への適用の観点から通常、1.57〜1.65、好ましくは1.58〜1.65である。屈折率は、組成物中の(A)の割合を高くするか、芳香族環の含量を増すことにより高めることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのPO2モル付加物[商品名:ニューポールBP−2P、三洋化成工業(株)製]288.4部、キシリレンジイソシアネート[商品名:タケネート500(株)製]181部およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)0.2部仕込み、80℃で6時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート[商品名:ライトエステルHOA、共栄社化学(株)製]部を加え、80℃で3時間反応させてウレタンアクリレート(A−5)を得た。(NCO含量:0.1%)
実施例1〜8及び比較例1、2
表1に記載の各成分と配合量に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一になるまで混合攪拌し、実施例1〜7及び比較例1〜2の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
なお、表1中に記載した化合物の記号は、以下の化合物を表す。
(A−1):フルオレンアクリレート(x+y=10)[商品名「KONOMER−D104」、KPX(株)製]
(A−2):フルオレンアクリレート(x+y=6)[商品名「KONOMER−D064」、KPX(株)製]
(A−3):フルオレンアクリレート(x+y=4)[商品名「EA−HC912」、大阪ガスケミカル(株)製]
(A−4):フルオレンアクリレート(x+y=2)[商品名「EA−0200」、大阪ガスケミカル(株)製]
(A−6):ビスフェノールAのEO4モル付加物のジアクリレート[商品名「ネオマーBA−641」、三洋化成工業(株)製]
(A’−1):ポリエチレングリコール(分子量400)ジアクリレート[商品名「NKエステル A−400」、新中村化学工業(株)製]
(B−1):リン酸エステル化合物[商品名「CR−741」、大八化学工業(株)製]、本品は一般式(3)および(5)(nは1または2)の混合物に該当する。
(B−2):リン酸エステル化合物[商品名「CR−733S」、大八化学工業(株)製]、本品は一般式(2)および(4)(mは1または2)の混合物に該当する。
(B’−1):トリエチルホスフェート[商品名「TEP」、大八化学工業(株)製]
(C−1):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド[商品名「ルシリンTPO」、BASF社製]
(C−2):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[商品名「イルガキュアー819」、BASF社製]
(C−3):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF製]
(D−1):フェノキシエチルアクリレート[商品名「ライトアクリレート PO−A」、共栄社化学製]
(D−2):o-フェニルフェノキシエチルアクリレート[商品名「A−LEN−10」、新中村化学工業製]
(E−1):アルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン[商品名「KF−352A」、信越化学工業(株)製]
(E−2):アルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK−333」、ビックケミー・ジャパン(株)製]
(E−3):アルキレンオキサイド及びアクリロイル変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK−UV3500」、ビックケミー・ジャパン(株)製]
本発明及び比較のための活性エネルギー線硬化性組成物の屈折率、傷の回復性、成形直後の密着性及び全光線透過率を下記の方法で測定した。
その結果を表1に示す。
<屈折率の評価>
樹脂組成物を、PETフィルム[商品名:ルミラーS、東レ(株)製]2枚で該組成物が約5μmになるように挟み、紫外線照射装置[商品名:VPS/I600、フュージョンUVシステムズ(株)製、以下同じ]を用いて1000mJ/cmの紫外線を照射して硬化させて被覆物を得た。
この被覆物からPETフィルムを除き、得られた硬化膜の屈折率を25℃の環境下で屈折率計[商品名:アッベ屈折率計4T、(株)アタゴ製]を用いて測定した。
<傷の回復性の評価>
(1)溝の深さが50μmでピッチ幅を20μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したステンレス製の金型を用意する。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物をこの金型の片面に厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させ、硬化膜を作成した。
(3)硬化膜の表面を、クロムキャップを装着した鉛筆でJIS K 5600−5−4に準拠して引っかき試験を行った。
(4)引っかき試験後の硬化膜の表面を目視で観察し、下記の基準で判定した。
◎:引っかき傷が1秒以内で完全に消失している
○:引っかき傷が1〜3秒で完全に消失している
△:引っかき傷が3秒経ってもその一部が残っている
×:引っかき傷が3秒経っても全て残っている
<テストピースの作成>
活性エネルギー線硬化性組成物をガラス板の片面に厚さが20μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのPETフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させた。PETフィルムに密着した硬化物をガラス板から剥離し、テストピースを作成した。
<成形直後の密着性の評価>
前記テストピースを23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置した後、JIS K5600−5−6に準拠し、1mm幅にカッターナイフで切込みを入れて碁盤目(10×10個)を作成し、該碁盤目上にセロハン粘着テープを貼り付け90度剥離を行い、PETフィルムからの硬化物の剥離状態を目視で観察し、評価した。
下記の基準で判定した。
○:100個の碁盤目のうち90個以上が剥離せずに基材に残っている
△:100個の碁盤目のうち10〜89個が剥離せずに基材に残っている
×:100個の碁盤目のうち9個以下が剥離せずに基材に残っている
<全光線透過率(硬化物の透明性)の評価>
前記テストピースを、JIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。
表1の結果から、実施例1〜8の本発明の光学部品活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化フィルムは、高い屈折率を有したうえで、傷の回復性、密着性及び透明性のすべてに優れることがわかる。
一方、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)を含まない比較例1は、硬化物の屈折率が不十分であった。また芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)を含まない比較例2は硬化物の屈折率は高いものの、傷の回復性が悪かった。
芳香環骨格を有さない2官能以上の(メタ)アクリレート(A’)を(A)の代わりに用いた比較例3、および芳香環骨格を有さないリン酸エステル化合物(B’)を(B)の代わりに用いた比較例4はともに硬化物の屈折率が不十分であった。
本発明の光学部品活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる本発明の硬化物は、高い屈折率を有した上で、傷の回復性、基材密着性及び透明性優れているため、光学部材、電気・電子部材としても有用である。また、本発明の硬化物を用いた光学部品は、光学レンズ、光学レンズ用シート又はフィルムとして、具体的には、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角向上レンズ等)、光学補償フィルム、位相差フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路として有用である。

Claims (9)

  1. 芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)、芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)および光重合開始剤(C)を含有し、その硬化物の25℃での屈折率が1.57〜1.65であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物であって、芳香環骨格を有する2官能以上の(メタ)アクリレート(A)が、分子内にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物
  2. 2官能以上の(メタ)アクリレート(A)が、下記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
    (式中、R とR はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、xとyはそれぞれ独立に0または1〜8の整数を表す。)
  3. 芳香環骨格を有するリン酸エステル化合物(B)が、下記一般式(2)〜(5)で表されるリン酸エステル化合物の1種以上を含有する請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
    (式中、mとnはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。)
  4. 活性エネルギー線硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基を含有する成分の合計重量に基づいて、(A)の含有量が10〜70重量%であり、(B)の含有量が1〜50重量%であり、(C)の含有量が0.1〜10重量%である請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. さらに、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレート(D)を含有する請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. さらに、オキシアルキレン基含有ポリシロキサン(E)を含有する請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 光学部品用である請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  9. 請求項に記載の硬化物を用いた光学レンズ、光学レンズ用シートまたはフィルム。
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