JP6204098B2 - 光学部品用硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、光学部品用硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、光学レンズなどの光学部品用硬化性硬化性組成物、およびそれを活性エネルギー線等で硬化させて成型した光学部品に関する。
従来より、プラスチックレンズを成型する場合には、成形品の金型や樹脂型からの離型を容易にするため、離型剤を金型や樹脂型にあらかじめ塗布しておく方法(特許文献1)、もしくは、レンズ用樹脂に内部添加する方法が知られている。
上記の目的で使われる離型剤としては、樹脂表面にブリードアウトしやすく、表面張力が低いフッ素系離型剤(特許文献2)およびシリコーン系離型剤(特許文献3)が提案されている。
また、近年、最近、光学レンズのさらなる透明性のニーズを満たすために相溶性が良く、かつ金型に配向する特長を持つアルキルリン酸エステルを離型剤として使用することが提案されている(例えば特許文献4)。
特開2003−285335号公報 特開2000−94455号公報 特開2007−314715号公報 特開2008−044237号公報
しかしながら、特許文献1の離型剤を金型にあらかじめ塗布しておく方法では塗布するのに手間がかかり、かつ離型性が持続しないという問題があった。
そこで、離型剤をレンズ樹脂に添加して離型性を発現させる方法が用いられるようになったが、特許文献2のフッ素系離型剤および特許文献3のシリコーン系離型剤では、レンズ樹脂との相溶性が悪いため透明性を悪化させてしまう。
また、フッ素系離型剤およびシリコーン系離型剤では離型剤の表面張力が低すぎるため、レンズ表面にさらにコーティングする場合には、コーティング樹脂をはじいてしまうという問題があった。
さらに、特許文献4のアルキルリン酸エステルを用いた技術では、レンズ樹脂の透明性は良好であり、コーティング樹脂をはじくという問題は解決された。しかし、離型性を向上させるためには添加量を多くする必要があり、その結果、プラスチック基材との密着性を損なうという問題があった。
そこで、レンズ樹脂の透明性、金型からの離型性を損なうことなくプラスチック基材との密着性に優れる硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリレート(A)、並びにホスホン酸エステル(a1)および置換ホスフィン酸(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性化合物(a)と、アミン(b)から構成される塩(B)を必須成分とし、酸性化合物(a)の溶解度パラメーターSPaが8.0〜9.0、アミン(b)の溶解度パラメーターSPbが7.8〜9.5であり、かつ塩(B)の含有量が(メタ)アクリレート(A)に対して0.001〜3重量%であることを特徴とする光学部品用硬化性組成物;これを活性エネルギー線照射および/または熱処理で硬化させて得られる光学部品である。
本発明の光学部品用硬化性組成物は、金型との離型性に優れ、また、プラスチック基材との密着性にも優れる。さらに、その硬化物は透明性に優れる。
本発明の光学部品用硬化性組成物は、(メタ)アクリレート(A)、並びにホスホン酸エステル(a1)および置換ホスフィン酸(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性化合物(a)とアミン(b)から構成される塩(B)を必須成分として含有する。
そして、この酸性化合物(a)の溶解度パラメーターSPaが8.0〜9.0、アミン(b)の溶解度パラメーターSPbが7.8〜9.5であり、かつこの塩(B)の含有量が(A)の含有量に基づいて0.001〜3重量%である。
なお、ここで溶解パラメータ(SP)の値は次式で求められるものである。
SP=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal/モル)、Vはモル体積(cm3/モル)を表す。また、ΔHおよびVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F. Fedors.(147〜154頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計(ΔH)と、モル体積(△vi)の合計(V)を用いることができる。
本発明における(メタ)アクリレート(A)は、その少なくとも一部として、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)が1,000〜50,000(好ましくは1,300〜30,000)で、少なくとも1個、好ましくは2〜15個の(メタ)アクリロイル基を有する高分子(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。高分子(メタ)アクリレートとして、具体的には、ポリエステル(メタ)アクリレート(A1)、エポキシ(メタ)アクリレート(A2)、ウレタン(メタ)アクリレート(A3)等が挙げられる。
なお、上記の(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、以下同様の記載法を用いる。
本発明における数平均分子量測定は、HLC−8320GPC(東ソー(株)製)を使用し、THF溶媒、TSK標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を基準物質として、測定温度:40℃、カラム:Alliance(ウォーターズ製)、検出装置:屈折率検出器で測定した。また、解析ソフトとしてGPCワークステーションEcoSEC−WS(東ソー(株)製)を使用した。
ポリエステル(メタ)アクリレート(A1)としては、多価カルボン酸、ポリオール、および分子内に必ず1個以上の(メタ)アクリロイル基と少なくとも水酸基もしくはカルボキシル基を含有する化合物(c)のエステル化により得られる、2個以上のエステル結合と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の多価カルボン酸として、ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸、及びセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、及びグルタコン酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
3価〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。
上記ポリオールとして、ジオールとしては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、および1,10−デカンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、「炭素数2〜4のアルキレンオキサイド」をAOと略記する。)(1〜30モル)付加物;2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)〕のAO(2〜30モル)付加物;等が挙げられる。
3価〜8価もしくはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3価〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、及びジペンタエリスリトール);糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールのAO(1〜30モル)付加物;ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のAO(2〜30モル)付加物等が挙げられる。
原料となる上記の(メタ)アクリロイル基と水酸基もしくはカルボキシル基を含有する化合物(c)とは、水酸基含有(メタ)アクリレート(c1)およびカルボキシル基含有(メタ)アクリレート(c2)である。
水酸基含有(メタ)アクリレート(c1)の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレート(c2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸などが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート(A2)
2〜10個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の開環付加反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の2〜10個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート(A3)
ポリイソシアネート、ポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートとのウレタン化反応により得られる複数のウレタン結合と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族ポリイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート等]、芳香(脂肪)族ポリイソシアネート[2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等]、脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等]が挙げられる。
ポリオールとしては、前記(A1)に用いるのと同様のものが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記高分子(メタ)アクリレート(A1)〜(A3)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これら(A1)〜(A3)のうち、硬化物の金型離型性および基材の樹脂密着性の観点から好ましいのは(A1)および(A3)であり、さらに好ましいのは(A3)である。
(メタ)アクリレート(A)中の、高分子(メタ)アクリレートの含有量は、ハンドリング性の観点から、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10〜70重量%である。
(メタ)アクリレート(A)は、(A1)〜(A3)以外に、Mnが86〜1000未満(好ましくは150〜600)で、好ましくは1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する低分子(メタ)アクリレートを含有してもよい。低分子(メタ)アクリレートとして、具体的には以下のモノ(メタ)アクリレート(A4)、ジ(メタ)アクリレート(A5)、3価以上の(メタ)アクリレート(A6)が挙げられる。
モノ(メタ)アクリレート(A4)としては、以下の(A41)〜(A46)が挙げられる。
ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(A41)
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート等;
1価フェノール化合物のAO(1〜15モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート(A42)
1価フェノール化合物[フェノール、アルキル置換フェノール、ハロゲン置換フェノール、フェニル基置換フェノール(オルト−、メタ−およびパラ−フェニルフェノール)、クミルフェノール、ヒドロキシナフタレン]のAO付加物のモノ(メタ)アクリレート、例えば、フェノールのエチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する。)1モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、オルト−フェニルフェノールのEO1モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのプロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する。)5モル付加物のモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2価フェノール化合物のAO(2〜30モル)付加物のモノ(メタ)アクリレート(A43)
2価フェノール化合物[単環フェノール(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等)、縮合多環フェノール(ジヒドロキシナフタレン等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−Fおよび−S等)]のAO付加物のモノ(メタ)アクリレート、例えば、レゾルシノールのEO4モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシナフタレンのPO4モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO2モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、およびビスフェノールAのPO4モル付加物のモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
炭素数1〜15の脂肪族1価アルコールのモノ(メタ)アクリレート(A44)
メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等;
炭素数6〜30の脂環式1価アルコールのモノ(メタ)アクリレート(A45)
イソボルニルアルコールのモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサノールのモノ(メタ)アクリレート等;
炭素数6〜30の脂環式2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート(A46)
ジメチロールトリシクロデカンのモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのモノ(メタ)アクリレートおよび水素化ビスフェノールAのモノ(メタ)アクリレート等;
ジ(メタ)アクリレート(A5)としては、以下の(A51)〜(A54)が挙げられる。
ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート(A51)
ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等;
2価フェノール化合物のAO(2〜30モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(A52)
2価フェノール化合物[単環フェノール(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等)、縮合多環フェノール(ジヒドロキシナフタレン等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−Fおよび−S等)]のAO付加物のジ(メタ)アクリレート、例えば、カテコールのEO4モル付加物のジ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシナフタレンのPO4モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO4モルのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
炭素数2〜30の脂肪族2価アルコールのジ(メタ)アクリレート(A53)
ネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオールの各ジ(メタ)アクリレート等;
炭素数6〜30の脂環式2価アルコールのジ(メタ)アクリレート(A54)
ジメチロールトリシクロデカンのジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジ(メタ)アクリレートおよび水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等;
3価以上の(メタ)アクリレート(A6)
炭素数3〜40の水酸基を3個以上有するアルコールおよびそのAO付加物のポリ(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのEO3モルまたはPO3モル付加物の各トリ(メタ)アクリレート、グリセリンのEO3モルまたはPO3モル付加物の各トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等;
上記低分子(メタ)アクリレート(A4)〜(A6)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これら(A4)〜(A6)のうち、硬化物の基材密着性の観点から好ましいのは(A4)および(A5)、さらに好ましいのは(A4)、特に好ましいのは(A42)である。
本発明における第2の必須成分である塩(B)は、ホスホン酸エステル(a1)および置換ホスフィン酸(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性化合物(a)と、アミン(b)から構成される。ホスホン酸エステル(a1)または置換ホスフィン酸(a2)を用いると、塩(B)の添加量が少量であっても、硬化物に優れた金型離型性が付与される。
上記ホスホン酸エステル(a1)としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。

2

1O−P−OH (1)


式(1)中、R1は水素または炭素数1〜6のアルキル基であり、R2は炭素数6〜30のアルキル基、または炭素数6〜30の1価アルコールのAO1〜20モル付加物から水酸基を除いた残基である。
ここでAOとしては、基材との密着性、硬化性組成物の貯蔵安定性等の観点から、好ましいのはEOである。
1の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
2の炭素数6〜30のアルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基等が挙げられる。炭素数6〜30の1価アルコールのAO1〜20モル付加物から水酸基を除いた残基としては、ドデカノールEO5モル付加物、ドデカノールPO5モル付加物、トリデカノールEO5モル付加物、またはステアリルアルコールのEO10モル付加物から、各々水酸基を除いた残基が挙げられる。
これら(a1)のうち、塩(B)の金型離型性付与の観点から好ましいのは、R2がドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、およびトリデカノールEO1〜10モル付加物から水酸基を除いた残基の場合である。
上記置換ホスフィン酸(a2)としては下記一般式(2)で示されるものである。

4

3−P−OH (2)


式(2)中、R3、R4は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、または炭素数4〜18の芳香族炭化水素基であって、R3、R4の少なくとも一方は水素以外の基である。
これらのうち、好ましいのは、R3としては、炭素数6〜30のアルキル基、および炭素数1〜10のフッ素化アルキル基であり、R4としては、水素、炭素数6〜30のアルキル基、および炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。
(a2)の具体例としては、ドデシルホスフィン酸、トリデシルホスフィン酸、ステアリルホスフィン酸、トリフルオロメチルホスフィン酸、シクロヘキシルホスフィン酸、およびベンジルホスフィン酸等が挙げられる。
これら(a2)のうち、塩(B)の金型離型性付与の観点から好ましいのは、ドデシルホスフィン酸、およびトリデシルホスフィン酸である。
本発明に用いる塩(B)の構成部分であるアミン(b)は、炭素数が1〜24のものが好ましく、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環アミンおよびこれらのAO1〜30モル(好ましくは1〜20モル)付加物等が挙げられる。
なお、ここでのAOは、単独でも2種以上の併用でもよい。
脂肪族アミンとしては、1級アミン、2級アミン、および3級アミンのいずれでもよい。
1級アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミンおよびステアリルアミン等の1級脂肪族アミンが挙げられる。
2級アミンとしては、メチルヘキシルアミンおよびメチルオクチルアミン等の2級脂肪族アミンが挙げられる。
3級アミンとしては、3級脂肪族アミン(b1)、1級脂肪族アミンのAO付加物(b2)、および2級脂肪族アミンのAO付加物(b3)が挙げられる。
3級脂肪族アミン(b1)としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルラウリルアミンおよびジメチルステアリルアミン等が挙げられる。
1級脂肪族アミンのAO付加物(b2)としては、ブチルアミンのEO4モル付加物、EO10モル付加物およびPO10モル付加物、ラウリルアミンのEO10モル付加物、ステアリルアミンのEO10モル付加物およびEO15モル付加物等が挙げられる。
2級脂肪族アミンのAO付加物(b3)としては、ジエチルアミンのEO4モル付加物およびPO10モル付加物、ジブチルアミンのEO4モル付加物およびPO10モル付加物、ラウリルメチルアミンのEO10モル付加物、メチルステアリルアミンのEO15モル付加物およびPO10モル付加物等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、シクロブチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロオクチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミンおよびN−エチルシクロヘキシルアミンなどのシクロアルキル基の炭素数が4〜12のシクロアルキルアミンおよびこれらのアルキル(炭素数1〜6)置換体、並びにこれらのAO付加物が挙げられる。
芳香族アミンとしてはアニリン、ジフェニルアミン、ベンジルアミンなどの炭素数が6〜18の芳香族アミン、並びにこれらのAO付加物が挙げられる。
複素環アミンとしては、モルホリンなどの炭素数が4〜10の複素環アミン、並びにこれらのAO付加物が挙げられる。
これら(b)のうち、(B)の型離型性付与の観点から好ましいのは、3級脂肪族アミン(b1)、1級脂肪族アミンのAO付加物(b2)、および2級脂肪族アミンのAO付加物(b3)、およびこれらの混合物であり、さらに好ましいのは、3級脂肪族アミン(b1)、および1級脂肪族アミンのAO付加物(b2)であり、とくに好ましいのは、ジメチルステアリルアミン、およびステアリルアミンのEO10〜15モル付加物である。
酸性化合物(a)とアミン(b)との中和反応における(a)と(b)の当量比(a/b)は、特に限定はないが、硬化性組成物の貯蔵安定性および硬化物の金型離型性の観点から、好ましくは0.5/1〜3/1、さらに好ましくは0.8/1〜2/1である。
(B)には、(a)と(b)の中和反応により生成した塩、および未反応の(a)および/または(b)が含まれる。(B)中の該塩の含有量は、組成物の貯蔵安定性、金型離型性の観点から、好ましくは65〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。
塩(B)のうち、ホスホン酸エステル(a1)とアミン(b)からなる塩の具体例としては、ドデシルホスホン酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、以下同じ)−ジメチルステアリルアミンの塩、トリデシルホスホン酸エステル−ジメチルステアリルアミンの塩、ステアリルホスホン酸エステル−ジメチルステアリルアミンの塩、R2がトリデカノールEO2モル付加物から水酸基を除いた残基のホスホン酸エステル−ラウリルアミンのEO10モルまたはPO5モル付加物の塩等が挙げられる。
塩(B)のうち、置換ホスフィン酸(a2)とアミン(b)からなる塩の具体例としては、ドデシルホスフィン酸−ジメチルステアリルアミンの塩、トリデシルホスフィン酸−ジメチルステアリルアミンの塩、ステアリルホスフィン酸−ジメチルステアリルアミンの塩等が挙げられる。
上記(B)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このうち、金型離型性と基材密着性の観点から好ましいのは、ドデシルホスホン酸エステル−ジメチルステアリルアミンの塩、トリデシルホスホン酸エステル−ジメチルステアリルアミンの塩、トリデシルホスフィン酸−ジメチルステアリルアミンの塩であり、(a)と(b)の当量比(a/b)が1/1のこれらの塩がさらに好ましい。
本発明における塩(B)は、硬化性組成物を金型に塗工した際に選択的に金型表面にブリードアウトさせるため、(メタ)アクリレート(A)よりも疎水性であることが好ましい。
疎水性の指標として、溶解度パラメーター(SP)で表すことができ、酸性化合物(a)の溶解度パラメーター(SPa)は、通常8.0〜9.0、好ましくは8.2〜8.8である。また、アミン(b)の溶解度パラメーター(SPb)は、通常7.8〜9.5、好ましくは8.0〜9.4である。
なお、塩(B)を構成する(a)および/または(b)として複数種用いる場合は、含有モル比に応じて相加平均した値が上記範囲内であればよい。
さらに、酸性化合物(a)の溶解度パラメーターSPaとアミン(b)の溶解度パラメーターSPbの平均値SPBは、好ましくは8.0〜9.2であり、さらに好ましくは8.2〜9.0である。
また、(メタ)アクリレート(A)の溶解度パラメーター(SPA)は、(A)中の各成分の含有モル比に応じた相加平均として計算する。SPAは、好ましくは9.0〜11.5であり、さらに好ましくは9.5〜11.2である。
さらに、SPAとSPBとの差の絶対値|SPA−SPB|は、ヘイズおよび金型離型性の観点から、好ましくは0.5〜2.5、さらに好ましくは1.0〜2.4である
本発明の光学部品用硬化性組成物に塩(B)を含有させる方法には、(1)(a)と(b)を予め反応させた後に、他の成分と混合する方法、および(2)(a)と(b)を別々に他の成分と混合する方法が含まれる。これらの方法のうち、組成物の貯蔵安定性の観点から好ましいのは(1)の方法である。
(B)の含有量は、(A)の含有量に基づいて、金型離型性および基材の樹脂密着性の観点から、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.002〜2重量%、さらに好ましくは0.003〜1重量%である。
本発明の光学部品用硬化性組成物は、(メタ)アクリレート(A)、塩(B)以外に、光重合開始剤(C)および/または熱硬化触媒(D)を含有させることができ、光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
(C)および/または(D)を含有するものは、電子線以外に熱および/または活性光線でも硬化させることができ、耐薬品性および耐擦傷性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明における光重合開始剤(C)は、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
これらのうち硬化物の着色防止の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドである。
熱硬化触媒(D)としては、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等)およびアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。これらのうち組成物の安定性、反応性の観点から好ましいのはt−ブチルパーオキシベンゾエートおよびメチルエチルケトンパーオキシドである。
本発明の硬化性組成物中の(C)および/または(D)の含有量は、(A)の含有量に基づいて、硬化性および硬化物の着色の観点から、好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明の光学部品用硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、(A)以外の通常用いられる重合性物質や種々の添加剤を含有させてもよい。
添加剤には、有機溶剤、無機充填剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤が含まれる。
(A)以外の重合性物質の含有量、および種々の添加剤の合計の含有量は、本発明の硬化性組成物の全重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、添加効果および透明性の観点から、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。
本発明の硬化性組成物を用いた成形体の製造方法は、特に限定されないが、例えば次の方法で塗工、成形することができる。
すなわち、本発明の組成物を予め20〜50℃に温調し、成形体形状(例えば光学レンズ形状)が得られる金型(型温は好ましくは20〜50℃、さらに好ましくは25〜40℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが50〜150μmとなるように塗工(または充填)し、塗膜上から透明基材(透明フィルムを含む)を空気が入らないように加圧積層し、さらに該透明基材上から後述の活性エネルギー線を照射して、および/または熱処理して該塗膜を硬化させた後に、型から離型し成形体(レンズシート)を得る。
透明基材(透明フィルムを含む)としては、メチルメタクリレート(共)重合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリシクロオレフィン等の樹脂からなるものが挙げられる。
本発明における活性エネルギー線としては、活性光線及び電子線等が挙げられる。
本発明において、活性光線とは250nm〜830nmの波長を有する光線を意味する。
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合は、種々の活性エネルギー線照射装置[例えば、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]を使用できる。
使用する光源としては、例えばVバルブ、Dバルブ(それぞれフュージョンUVシステムズ(株)製のランプ)、高圧水銀灯、フュージョンLED等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量(mJ/cm2)は、組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000、さらに好ましくは100〜5,000である。
熱により硬化させる場合は、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃のオーブンで、1分〜20時間加熱処理することが望ましい。
これらの硬化方法の中では、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が好ましい。
本発明の硬化性組成物を、活性エネルギーを照射して、および/または熱処理して硬化させた硬化物のガラス転移温度は、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは30〜75℃である。
ガラス転移温度が10〜80℃であると、基材密着性がより良好となる。
本発明においてガラス転移温度は、JIS−K7244−4に準拠し、測定周波数10Hzでの引張貯蔵弾性率と引張損失弾性率から算出される引張損失係数が最大となる温度をガラス転移温度とし、その温度を読み取った。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1 <ポリエステルアクリレート(A−1)の製造>
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、1,4−ブタンジオール(東京化成(株)社製)39.4部、アジピン酸51.1部および48%水酸化ナトリウム水溶液0.01部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。水酸基価を測定し、108.5であるのを確認し、100℃まで冷却した。冷却した後、トルエン87.6部、パラトルエンスルホン酸1.8部を投入し、均一化した。ここにアクリル酸12.6部を投入した後、110℃まで昇温した後、12時間反応を行った。さらに、減圧下で6時間反応し、ポリエステルアクリレートのトルエン溶液を得た。これに10%水酸化ナトリウム溶液を26.3部入れ、遠心分離し、さらに溶剤留去してポリエステルアクリレート(A−1)を得た。GPCによるMnは1,450であった。
製造例2 <エポキシアクリレート(A−2)の製造>
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、滴下ロートおよび温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN−104S」(日本化薬(株)製、エポキシ当量218)73.9部とトルエン99.7部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸25.8部、トリフェニルホスフィン0.3部およびp−メトキシフェノール0.03部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。
エステル化の終点は酸価で規定し、酸価が1.0以下になったのを確認した後60℃に冷却した。
ここに、フェノキシエチルアクリレート[ライトアクリレートPO−A、共栄社化学(株)製]99.7部を仕込み攪拌して均一溶液とした後、重合禁止の目的で酸素濃度を8%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気し、80℃に昇温、減圧下トルエンを留去してアクリレートモノマーで希釈された高分子エポキシアクリレート(A−2)を得た。
なお、GPCに付属の計算ソフトで、希釈溶媒のアクリレートモノマーのクロマトグラムを除外する操作により計算された高分子エポキシアクリレートのみのMnは2,250であった。
製造例3 <ウレタンアクリレート(A−3)の製造>
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、ビスフェノールのPO2モル付加物[ニューポールBP−2P、三洋化成工業(株)製]27.3部、フェノキシエチルアクリレート49.5部を仕込み、攪拌して均一溶液とした。均一溶液の水分が500ppmであることを確認した後、ここに、キシレンジイソシアネート[タケネート500、三井武田ケミカル(株)製]を18.6部、ジブチルジンジラウレート0.02部仕込み、攪拌して均一溶液とした。均一溶液にした後、重合禁止の目的で酸素濃度を5%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気し、容器内の温度が85℃以上にならないように温度調整しながら、ウレタン化反応を6時間行った。
ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が1.20%以下になったのを確認した後、ヒドロキシエチルアクリレート(BHEA、日本触媒(株)製)を4.6部加え、75℃で2時間反応した。ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が0.01%以下になったのを確認した後、60℃に冷却し、アクリレートモノマーで希釈された高分子ウレタンアクリレート(A−3)を得た。
なお、製造例2と同様の操作で計算したGPCによる高分子ウレタンアクリレートのみのMnは2,750であった。
製造例4 <ウレタンアクリレート(A−4)の製造>
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、ポリテトラメチレングリコール[PTMG−1000、三菱化学(株)製]59.7部を仕込み、水分が500ppm以下であることを確認した後、ここに、イソホロンジイソシアネート[商品名:VESTANAT IPDI、BASFジャパン(株)製]を26.5部、触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)0.5部を仕込み、攪拌して均一溶液とした。均一溶液にした後、容器内の温度を110℃に温度調整しながら、ウレタン化反応を6時間行った。
ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が5.85%以下になったのを確認した後、重合禁止の目的で酸素濃度を8%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気し、ヒドロキシエチルアクリレート(BHEA、日本触媒(株)製)を13.8部加え、75℃で2時間反応した。ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が0.01%以下になったのを確認した後、60℃に冷却し、ウレタンアクリレート(A−4)を得た。
GPCによるMnは1,750であった。
製造例5
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、臭化ドデシル43.2部を仕込み、窒素雰囲気下とした。ここに亜リン酸トリエチル28.8部を仕込み、80℃で5時間反応を行った。さらに120℃に昇温した後、この温度で5時間反応させたのち、1N水酸化カリウムエタノール溶液を加えて3時間還流を行いモノエステルを得た。これを水で抽出したのち、塩酸で処理してSPaが8.4のホスホン酸エステル(a−1)を得た。
これにSPbが8.2のジメチルステアリルアミン(ファーミン DM8680、花王(株)製)(b−1)51.7部を投入し50℃で2時間攪拌し、ホスホン酸エステル(a−1)とアミン(b−1)との塩(B−1)を得た。
製造例6
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、臭化ステアリル50.5部を仕込み、窒素雰囲気下とした。ここに亜リン酸トリエチル25.2部を仕込み、80℃で5時間反応を行った。さらに120℃に昇温した後、この温度で5時間反応させたのち、1N水酸化カリウムエタノール溶液を加えて3時間還流を行いモノエステルを得た。これを水で抽出したのち、塩酸で処理してSPaが8.5のホスホン酸エステル(a−2)を得た。
ここにジメチルステアリルアミン(b−1)45.1部を投入、50℃で2時間攪拌し、ホスホン酸エステル(a−2)とアミン(b−1)との塩(B−2)を得た。
製造例7
製造例6で合成したホスホン酸エステル(a−2)18.6部にSPbが9.4のステアリルアミン(ファーミン86T、花王(株)製)のEO15モル付加物(b−2)81.4部を投入、50℃で2時間攪拌し、ホスホン酸エステル(a−2)とアミン(b−2)との塩(B−3)100部を得た。
製造例8
撹拌装置、温度計、滴下漏斗および還流冷却器を取り付けたガラス製の反応容器に、次亜リン酸6.1部、氷酢酸19.7部、n−ドデセン37.4部を仕込み、窒素雰囲気下として85℃に加熱した。ここに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.6部を加えたのち、さらに85℃で4時間反応させた。これを酸水溶液で洗浄し、酢酸を減圧留去することにより、SPaが8.4の置換ホスフィン酸(a−3)44.1部を得た。
ここにSPbが8.2のジメチルステアリルアミン(ファーミン DM8680、花王(株)製)(b−1)55.9部を投入し50℃で2時間攪拌し、置換ホスフィン酸(a−3)とアミン(b−1)との塩(B−4)を得た。
比較製造例1
撹拌装置、温度計、滴下漏斗および還流冷却器を取り付けたガラス製の反応容器に、次亜リン酸27.9部、氷酢酸30.7部、1−ペンテン29.5部を仕込み、窒素雰囲気下として85℃に加熱した。ここに2,2‘−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.6部を1時間かけて滴下して加えたのち、さらに85℃で4時間反応させた。これを酸水溶液で洗浄し、酢酸を減圧留去することにより、SPaが9.1の置換ホスフィン酸(a’−1)44.1部を得た。
ここにSPbが7.5のジメチルブチルアミン(b’−1)42.6部を投入し50℃で2時間攪拌し、置換ホスフィン酸(a’−1)とアミン(b’−1)との塩(B’−1)100部を得た。
比較製造例2
比較製造例1で合成した置換ホスフィン酸(a’−1)31.4部と、ジメチルステアリルアミン(b−1)68.6部を50℃で2時間配合し、置換ホスフィン酸(a’−1)とアミン(b−1)の塩(B’−2)100部を得た。
比較製造例3
製造例5で合成したホスホン酸エステル(a−1)73.4部とジメチルブチルアミン(b’−1)26.6部を50℃で2時間配合し、ホスホン酸エステル(a−1)とアミン(b’−1)の塩(B’−3)100部を得た。
実施例1
製造例1で合成したポリエステルアクリレート(A−1)を30部、フェノキシエチルアクリレート[商品名「ライトアクリレートPO−A」、共栄社化学(株)製、GPCによるMn:192](A−5)37部、ビスフェノールAのEO4モル付加物のジアクリレート[商品名「ネオマーBA−641」、三洋化成工業(株)製、GPCによるMn512](A−6)30部、製造例5で合成したホスホン酸エステル(a−1)とアミン(b−1)との塩(B−1)0.2部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF社製](C−1)3部を一括で配合し、ディスパーサーで均一に混合攪拌し、本発明の光学部品用硬化性組成物(E−1)を得た。
実施例2〜および比較例1〜7
表1に記載の各成分と配合量に従って、実施例1と同様にして光学部品用硬化性組成物(E−2)〜(E−7)および(E’−1)〜(E’−7)を得た。
実施例1〜で作成した本発明の組成物(E−1)〜(E−7)、および比較例1〜7で作成した比較のための組成物(E’−1)〜(E’−7)の、(1)透明性、(2)金型離型性、(3)湿熱処理前の密着性、(4)湿熱処理200時間後の密着性、(5)ガラス転移温度を下記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006204098
なお、表1中の実施例4で用いた(C−2)は以下のものである。
(C−2):2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド[商品名「ルシリンTPO」、BASF社製]
(1)透明性(ヘイズ)
上記組成物をガラス板の片面に厚さが100μmになるように塗工した後、厚さ100μmのPETフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。PETフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させた。PETフィルムに密着した硬化物をガラス板から剥離し、テストピースを作成した。
JIS−K7105に準拠し、上記テストピースを全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」BYK gardner(株)製]を用いてヘイズ(%)を測定した。
(2)金型離型性
溝の深さが200μmでピッチ幅を80μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したSUS製の金型を用意する。
上記組成物をこの金型の片面に厚さが100μmになるように塗工した後、厚さ100μmのPETフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。PETフィルム側から紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させ、硬化物を作成した。
上記硬化物を金型から剥離した際に、一部破損した樹脂が金属板に残らず、忠実に凹凸の転写が再現できた場合を○、できなかった場合を×とした。
(3)湿熱処理前の樹脂密着性
上記の金型離型性評価で忠実に凹凸の転写が再現できた硬化物をJIS K 5600−5−6に準拠し、100個(10個×10個)のマスができるよう1mm幅にカッターナイフで切込みを入れ樹脂密着性を測定する。
測定結果は「試験後に基材に残ったマス目/100」で表す。
(4)湿熱処理200時間後の樹脂密着性
上記の金型離型性評価で忠実に凹凸の転写が再現できた硬化物を60℃、相対湿度95%の条件下で200時間放置した後、上記の方法で測定し、評価した。
(5)ガラス転移温度
(サンプル作成方法)
ガラス板の片面に厚さ500μmのシリコンスペーサーを、縦4cm、横0.5cmの四角形になるように配置し、その枠内に上記組成物を乗せた。その上から厚さ75μmの両面未処理のPETフィルム[商品名「ルミラーT-60」東レ(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。
PETフィルム側から紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させた。硬化物をガラス板およびPETフィルムから剥離し、縦4cm、横0.5cm、厚さ500μmのテストピース作成した。
(測定方法)
JIS−K7244−4に準拠し、動的粘弾性測定装置[商品名「Rheogel−E4000」、ユービーエム(株)製]を用い、10Hzの振動をかけて、引張貯蔵弾性率および引張損失弾性率を測定した。
上記、引張貯蔵弾性率と引張損失弾性率から算出される引張損失係数が最大となる温度をガラス転移温度とし、その温度を読み取った。
本発明の光学部品用樹脂は、実施例1〜7で示す通り、透明性、湿熱処理前後の基材密着性、金型離型性のすべての点で優れている。
一方、酸性物質とアミンの塩を添加していない比較例1、SPaが高い置換ホスフィン酸とSPbが低いアミンとの組合せの塩(B’−1)を添加した比較例2、SPaが高い置換ホスフィン酸とアミンとの組合せの塩(B’−2)を添加した比較例3、ホスホン酸エステルとSPbが低いアミンとの組合せの塩(B’−3)を添加した比較例4、およびホスホン酸エステルのみを添加した比較例5は、いずれも金型離型性を満足しない。
また、ホスホン酸エステルとアミンの塩の含有量が多すぎる比較例6は、透明性および樹脂密着性を満足しない。反対に、ホスホン酸エステルとアミンの塩の含有量が少なすぎる比較例7は、金型離型性を満足しない。
本発明の光学部品用硬化性組成物は、硬化物作成時の金型離型性、湿熱処理前の基材密着性および湿熱処理後の基材密着性が優れ、硬化物の透明性に優れているため、光学部材、電気・電子部材としても有用である。
また、本発明の硬化物を用いた光学部品は、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角向上レンズ、光学補償フィルム、車載用フィルム等)、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路として有用である。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリレート(A)、並びにホスホン酸エステル(a1)および置換ホスフィン酸(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性化合物(a)と、アミン(b)から構成される塩(B)を必須成分とし、(メタ)アクリレート(A)の溶解度パラメーターSP A が9.0〜11.5であり、酸性化合物(a)の溶解度パラメーターSPaが8.0〜9.0、アミン(b)の溶解度パラメーターSPbが7.8〜9.5、塩(B)を構成する酸性化合物(a)の溶解度パラメーターSP a とアミン(b)の溶解度パラメーターSP b の平均値SP B が8.0〜9.2であり、かつその差の絶対値|SP A −SP B |が0.5〜2.5であり、かつ塩(B)の含有量が(メタ)アクリレート(A)に対して0.001〜3重量%であることを特徴とする光学部品用硬化性組成物。
  2. アミン(b)が、3級脂肪族アミン(b1)、1級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(b2)および2級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(b3)からなる群より選ばれる1種以上の3級アミンである請求項1記載の光学部品用硬化性組成物。
  3. (メタ)アクリレート(A)の少なくとも一部が、ポリエステル(メタ)アクリレート(A1)、エポキシ(メタ)アクリレート(A2)およびウレタン(メタ)アクリレート(A3)からなる群より選ばれ、数平均分子量が1,000〜50,000の1種以上の高分子(メタ)アクリレートである請求項1または2記載の光学部品用硬化性組成物。
  4. 塩(B)を構成するホスホン酸エステル(a1)が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1〜3いずれか記載の光学部品用硬化性組成物。
    2

    1O−P−OH (1)


    [式(1)中、R1は水素または炭素数1〜6のアルキル基であり、R2は炭素数6〜30のアルキル基、または炭素数6〜30の1価アルコールのアルキレンオキサイド1〜20モル付加物から水酸基を除いた残基である。]
  5. 塩(B)を構成する置換ホスフィン酸(a2)が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1〜3いずれか記載の光学部品用硬化性組成物。
    4

    3−P−OH (2)


    [式(2)中、R3、R4は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、または炭素数4〜18の芳香族炭化水素基であって、R3、R4の少なくとも一方は水素以外の基である。]
  6. 硬化物のガラス転移温度が10〜80℃である請求項1〜いずれか記載の光学部品用硬化性組成物。
  7. 請求項1〜いずれか記載の光学部品用硬化性組成物を活性エネルギー線照射および/または熱処理で硬化させて得られる光学部品。
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