JP2016089156A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 Download PDF

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智史 山下
Tomofumi Yamashita
山下  智史
吉田 和徳
Kazunori Yoshida
和徳 吉田
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Abstract

【課題】 金型離型性、樹脂基材への密着性及び低反り性に優れる硬化物を得るために用いられる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。【解決手段】 ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)、ウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)、リン酸エステル化合物(D)及び光重合開始剤(E)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、活性エネルギー線で硬化する光学レンズ、光学レンズ用シート、フィルムなどの光学用部品として有用な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、優れた離型性及び低反り性を兼ね備えた硬化膜を与える活性エネルギー線硬化性脂組成物に関する。
従来、液晶ディスプレイに使用されるプリズムシートや、プロジェクションTVに使用されるフレネルレンズ、レンチキュラーレンズといった光学レンズは、金型内面に樹脂基材がセットされた型内に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射し、硬化させることで製造されている。
これらのプリズムシートや光学レンズは、その表面に精細な形状を有することから、傷等により損傷し易く、その防止方法として、ビスフェノール骨格等の剛直な構造を導入する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、ビスフェノール骨格等の剛直な構造を導入する方法では、金型離型性が悪いという問題がある。
特開平11−240926号公報
本発明の目的は、金型離型性、樹脂基材への密着、低反り性および靱性に優れる硬化物を得るために用いられる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)、ウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)、リン酸エステル化合物(D)及び光重合開始剤(E)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物;この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線の照射により硬化されて得られる硬化物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、金型離型性、樹脂基材への密着性に優れ、低反り性、および靱性を有する。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)、ウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)、リン酸エステル化合物(D)及び光重合開始剤(E)を含有する。
尚、本明細書において、「エチレン性不飽和基」とは「アクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリル基及びプロペニル基」等を意味する。
[ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)]
ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)は、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とウレタン基を有する単量体である。
活性エネルギー線照射硬化性樹脂組成物中に(A)を含有させることにより、硬化物に靭性を付与することができ、硬化物の靭性、伸びの調整が可能となる。
ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)は、有機ジイソシアネート(a)、ジオール(b)及び水酸基を有する(メタ)アクリレート(c)を反応させることにより得られる。
(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機ジイソシアネート(a)としては、芳香環を有するジイソシアネート(a1)、脂環式ジイソシアネート(a2)及び脂肪族ジイソシアネート(a3)等が挙げられる。
(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
芳香環を有するジイソシアネート(a1)としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下、TMXDIと略記)等が挙げられる。
これらのうち、好ましいのはXDI、TMXDI、MDI及びTDIである。
脂環式ジイソシアネート(a2)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4−又は2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート(a3)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等が挙げられる。
本発明におけるウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のイソシアネート成分として芳香環を有するジイソシアネート(a1)を使用することにより、ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の結晶性が向上し、その結果、樹脂組成物の硬化物の離型性が向上し、かつ靭性にも優れる。
ジオール(b)としては、芳香環を有するジオール(b1)及び脂肪族ジオール(b2)等が挙げられる。
(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
芳香環を有するジオール(b1)としては、フェノール性水酸基含有ジオール(b11)及び芳香脂肪族ジオール(b12)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有ジオール(b11)としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、ナフタレンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等が挙げられる。
芳香脂肪族ジオール(b12)としては、フェノール性水酸基含有ジオール(b11)のアルキレンオキサイド1〜50モル付加物、例えばビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、プロピレンオキサイドを「PO」と略記することがある。)2モル付加物及びビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドを「EO」と略記することがある。)10モル付加物等が挙げられる。
本発明におけるウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のジオール成分として芳香環を有するジオール(b1)を使用することにより、硬化物の結晶性が向上し、金型離型性が向上する。
(b1)の内、ウレタン化反応の反応性及び活性エネルギー線照射により硬化させた硬化物の着色の観点から好ましくは芳香脂肪族ジオール(b12)であり、活性エネルギー線照射により硬化させた硬化物の結晶性向上の観点から、ビスフェノールAの1〜10モルのアルキレンオキサイド付加物が更に好ましい。
脂肪族ジオール(b2)としては、直鎖又は分岐の脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−ドデカンジオール等の直鎖アルコール;1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の分岐アルコール等];脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等]等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート(c)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(c1)、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(c2)及びアルキロール(メタ)アクリルアミド(c3)等が挙げられる。
(c)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(c1)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(c2)としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキロール(メタ)アクリルアミド(c3)としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらのうち、ウレタン化反応の反応性及び硬化物の金型離型性の観点から好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(c1)であり、更に好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
本発明のウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)としては、芳香環を有するジイソシアネート(a1)、芳香環を有するジオール(b1)及び水酸基を有する(メタ)アクリレート(c)を必須成分として反応させてなるものが好ましい。これは(a1)、(b1)及び(c)を反応させてなるものであり、好ましいのは(a1)と(b1)とを反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)と(c)とのウレタン化反応から形成されるウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。
芳香環を有するジイソシアネート(a1)と芳香環を有するジオール(b1)、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート(c)との反応におけるイソシアネート基/水酸基の当量比は特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から好ましくは1/0.5〜1/10、更に好ましくは1/0.7〜1/5、特に好ましくは1/1〜1/2である。
本発明のウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の製造においては、ウレタン化触媒を用いてもよい。
ウレタン化触媒としては、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物及び有機チタン化合物等)及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、500〜50,000であり、好ましくは700〜20,000である。500以上であると硬化物の靭性が優れ、50,000以下であると硬化物の硬化精度に優れる。
尚、本発明におけるMnは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により、以下の条件で測定することができる。
[1]装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
「HLC−8120GPC」、東ソー(株)製
[2]カラム :「TSKgel GMHXL」2本+「TSKgel
Multipore HXL−M 」、東ソー(株)製
[3]溶離液 :テトラヒドロフラン
[4]基準物質:標準ポリスチレン
(TSKstandard POLYSTYRENE)、
東ソー(株)製
[5]注入条件:サンプル濃度0.25重量%、カラム温度40℃
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のエチレン性不飽和単量体の合計重量に対するウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有量は、硬化物の金型離型性の観点から好ましくは25〜50重量%であり、更に好ましくは28〜50重量%であり、特に好ましくは30〜50重量%である。
尚、本発明におけるエチレン性不飽和単量体の合計重量とは、(A)、(B)、(C)及び必要により使用するその他のエチレン性不飽和単量体の合計重量を表す。
本発明におけるウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)としては、ウレタン基を有せず脂環式炭化水素基と1個のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体であれば特に限定されないが、耐熱性の観点から、ウレタン基を有せず脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(B1)が好ましい。
このようなウレタン基を有せず脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(B1)としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、化学構造上、ホモポリマーのガラス転移点(以下、Tgと略記)が高い(50℃以上)ことから、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の通常の硬化温度(50〜90℃)に耐える硬化精度向上の観点、及び活性エネルギー線硬化物自体の使用時の耐熱性の観点から好ましい。
(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のエチレン性不飽和単量体の合計重量に対するウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)の含有量は、金型離型性の観点から好ましくは5〜40重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。
本発明におけるウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)としては、ウレタン基を有せず芳香環と1個のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体であれば特に限定されないが、樹脂基材への密着性の観点から、ウレタン基を有せず芳香環を有する(メタ)アクリレート(C1)が好ましい。
このようなウレタン基を有せず芳香環を有する(メタ)アクリレート(C1)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−、m−又はp−フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモノ(メタ)アクリレート及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のエチレン性不飽和単量体の合計重量に対するウレタン基を有しない芳香環式単官能エチレン性不飽和単量体(C)の含有量は、樹脂基材への密着性の観点から好ましくは10〜70重量%であり、更に好ましくは15〜67重量%であり、特に好ましくは20〜65重量%である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて、ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有量は25〜50重量%であり、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)の含有量は5〜40重量%であり、ウレタン基を有しない芳香環式単官能エチレン性不飽和単量体(C)の含有量が10〜70重量%である。
本発明におけるリン酸エステル化合物(D)としては、リン酸モノエステル化合物又はリン酸ジエステル化合物であれば特に化学構造は限定されないが、例えば、アルキルリン酸エステル(d1)と3級アミン(d2)を反応させた塩の混合物(D1)が挙げられる。リン酸エステル化合物(D)は金型離型性付与剤としての効果を示す。
なお、(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
アルキルリン酸エステル(d1)としては、炭素数6〜24の高級アルコールと無機リン酸との反応物(d11)及び炭素数6〜24の高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物と無機リン酸との反応物(d12)等が挙げられる。
無機リン酸としては、リン酸、無水リン酸、酸化リン及びポリリン酸等が挙げられる。
なお、ここでのアルキレンオキサイドの炭素数は2〜4であり、単独でも2種以上の併用でもよい。
(d11)としては、2−エチルヘキシルアルコール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコールなどと無機リン酸との反応物が挙げられる。
(d12)としては、ドデカノールのEO2モル付加物、トリデカノールEO10モル付加物、テトラデカノールのPO2モル付加物、ステアリルアルコールEO10モル付加物などと無機リン酸との反応物が挙げられる。
アルキルリン酸エステル(d1)のうち、硬化物の金型離型性の観点から、好ましくは(d11)であり、更に好ましくは、トリデカノールと無機リン酸との反応物である。
3級アミン(d2)としては、3級脂肪族アミン(d21)、1級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(d22)、2級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(d23)、及びこれらの混合物である。
尚、ここでのアルキレンオキサイドの炭素数は2〜4であり、単独でも2種以上の併用でもよい。
3級脂肪族アミン(d21)としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン及びN,N−ジメチルステアリルアミン等が挙げられる。
1級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(d22)としては、ブチルアミンのEO4モル付加物、EO10モル付加物、PO4モル付加物又はPO10モル付加物、ラウリルアミンのEO10モル付加物、ステアリルアミンのEO10モル付加物又はEO15モル付加物等が挙げられる。
2級脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物(d23)としては、ジエチルアミンのEO4モル付加物又はPO10モル付加物、ジブチルアミンのEO4モル付加物又はPO10モル付加物、ラウリルメチルアミンのEO10モル付加物、メチルステアリルアミンのEO15モル付加物又はPO10モル付加物等が挙げられる。
3級アミン(d2)のうち、硬化物の金型離型性の観点から、好ましくは3級脂肪族アミン(d21)であり、更に好ましくはN,N−ジメチルステアリルアミンである。
リン酸エステル化合物(D)のうち、金型離型性付与及び基材密着性の観点から好ましいのは、炭素数6〜24の高級アルコールの無機リン酸反応物(d11)と3級脂肪族アミン(d21)からなる塩、更に好ましくは、トリデカノールの無機リン酸反応物とN,N−ジメチルステアリルアミンの塩であり、特に好ましいのは(d1)と(d2)の当量比(d1)/(d2)が1.1/1.0〜1.0/1.0の塩である。
本発明のリン酸エステル化合物(D)の含有量は、金型離型性の観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の重量に基づいて0.01〜1.0重量%である。好ましくは0.02〜0.8重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
本発明における光重合開始剤(E)としては、ベンゾイン化合物(E1)、アセトフェノン化合物(E2)、アントラキノン化合物(E3)、チオキサントン化合物(E4)、ケタール化合物(E5)、ベンゾフェノン化合物(E6)、ホスフィンオキシド(E7)、ケタール化合物(E8)、α−アミノアルキルフェノン系化合物(E9)及びオキシムエステル系化合物(E10)等が挙げられる。
(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ベンゾイン化合物(E1)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
アセトフェノン化合物(E2)としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
アントラキノン化合物(E3)としては、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等が挙げられる。
チオキサントン化合物(E4)としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
ケタール化合物(E5)としては、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物(E6)としては、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド及び4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
ホスフィンオキシド(E7)としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフォィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
ケタール化合物(E8)としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン系化合物(E9)としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロ−ブタノン−1及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン]等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物(E10)としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]及びエタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
これらの(E)のうち、硬化物が黄変しにくいという耐光性の観点から好ましいのは、アセトフェノン化合物(E2)及びホスフィンオキシド(E7)であり、更に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及びビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、特に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである。
本発明の光重合開始剤(E)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の重量に基づいて好ましくは0.5〜10重量%であり、更に好ましくは0.8〜8重量%であり、特に好ましくは1.0〜8.0重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要によりウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)及びウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)以外のウレタン基を有しないエチレン性不飽和単量体(I)を含有してもよい。
(B)及び(C)以外のウレタン基を有しないエチレン性不飽和単量体(I)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート(I1)、(メタ)アクリルアミド誘導体(I2)、及びその他のエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
(I)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリレート(I1)としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体(I2)としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に(I)を含有させることにより、硬化物の金型離型性を向上させることができる。
活性エネルギー性硬化性樹脂組成物中のウレタン基を有しないエチレン性不飽和単量体(I)の重量割合は、硬化物の金型離型性の観点から好ましくは1〜30重量%であり、更に好ましくは2〜20重量%であり、特に好ましくは3〜15重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の活性エネルギー線による硬化物の製造方法においては、活性エネルギー線発生装置によって異なるが、多くの場合成形温度は50〜90℃程度であり、機器内での暴走重合の回避や単量体の安定性向上の観点から、重合禁止剤(F)を加えることが好ましい。また、樹脂組成物の保存安定性の点からも、重合禁止剤(F)を含有するのが好ましい。
重合禁止剤(F)としては、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物(ジラウリルチオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルフォスファイト等)、アミン化合物(フェノチアジン等)等が挙げられる。
重合禁止剤(F)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の保存安定性及び重合速度の観点から、樹脂組成物に基づいて通常0.01〜5%、好ましくは0.05〜3%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、樹脂基材への塗布性の観点から、必要により界面活性剤(G)を含有してもよい。
この目的で含有させる界面活性剤(G)としては、PEG型非イオン界面活性剤[ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)1〜40モル付加物及びステアリン酸EO1〜40モル付加物等]、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル及びソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素含有界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩及びパーフルオロアルキルベタイン等)及び一部が置換基で変性されたポリシロキサン等が挙げられる。
界面活性剤(G)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の表面張力調整及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物の水に対する接触角の観点から、樹脂組成物に基づいて通常0.1〜10%、好ましくは0.1〜8%である。
活性エネルギー線照射硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤(H)を含有させることができる。
その他の添加剤(H)としては、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤及び充填剤等が含まれ、目的に応じて種々選択することができ、1種の単独使用又は2種以上の併用のいずれでもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた成形体の製造方法は、特に限定されないが、微細な凹凸構造を有する三次元形状のプラスチックレンズは、例えば微細な凹凸構造を有する平らな金型を用いて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させ金型から離型することにより得ることができる。
本発明の樹脂組成物を予め20〜50℃に温調し、成形体形状(例えば光学レンズ形状)が得られる金型(型温は通常20〜50℃、好ましくは25〜40℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが50〜150μmとなるように塗工(又は充填)し、塗膜上から透明基材(透明フィルムを含む)を空気が入らないように加圧積層し、更に該透明基材上から活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させた後に、型から離型し成形体(レンズシート)を得る。
透明基材(透明フィルムを含む)としては、メチルメタクリレート(共)重合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリシクロオレフィン等の樹脂からなるものが挙げられる。
本発明における活性エネルギー線としては、活性光線及び電子線等が挙げられる。
本発明において、活性光線とは250nm〜830nmの波長を有する光線を意味する。
本発明の樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合は、種々の活性エネルギー線照射装置[例えば、フュージョンUVシステムズ(株)製、活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」]が使用できる。
使用するランプとしては、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000mJ/cm、更に好ましくは100〜5,000mJ/cmである。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
製造例1
撹拌装置及び温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、ビスフェノールAのPO2モル付加物[商品名:ニューポールBP−2P、三洋化成工業(株)社製]57.0部、4,4’−MDI[商品名:タケネ−ト 300、武田薬品工業(株)製]を48.1部、触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)の2−エチルヘキサン酸50%溶液を0.5部仕込み、攪拌して均一溶液とした後、80℃に昇温した。容器内の温度を80℃に温度調整しながら、1段目のウレタン化反応を6時間行った。
イソシアネート含有量が2.29%以下になったのを確認した後、重合禁止の目的で酸素濃度を8%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気しながら、2−ヒドロキシエチルアクリレートを6.6部加え、75℃で2段目のウレタン化反応を2時間行った。イソシアネート含有量が0.01%以下になったのを確認した後、60℃に冷却し、本発明におけるウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−1)を得た。(A−1)のMnは2,900であった。
製造例2
ビスフェノールAのPO2モル付加物をビスフェノールAのEO10モル付加物[商品名:ニューポールBPE−100、三洋化成工業(株)製]73.5部に、MDIをTDI[商品名:タケネ−ト 80、武田薬品工業(株)社製]22.2部に、2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を4.3部に変更した以外は、製造例1と同様の操作で本発明におけるウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−2)を得た。(A−2)のMnは4,600であった。
製造例3
ビスフェノールAのPO2モル付加物の部数を51.0部に、MDIをXDI[商品名:タケネ−ト 500、武田薬品工業(株)社製]37.1部に、2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を11.8部に変更した以外は、製造例1と同様の操作で本発明におけるウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−3)を得た。(A−3)のMnは1,500であった。
製造例4
ビスフェノールAのPO2モル付加物の部数を55.6部に、MDIをヘキサメチレンジイソシアネート[商品名:デュラネート50M、旭化成ケミカルズ(株)製]34.2部に、2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を10.2部に変更した以外は、製造例1と同様の操作でウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−4)を得た。(A−4)のMnは1,800であった。
製造例5
ビスフェノールAのPO2モル付加物をポリテトラメチレングリコール[商品名:PTMG−1000、三菱化学(株)製]65.0部に、MDIをジシクロヘキシルメタンジイソシアネート[商品名:デスモジュールW、住化バイエルウレタン(株)製]26.6部に、2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を8.4部に変更した以外は、製造例1と同様の操作でウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A−5)を得た。(A−5)のMnは2,200であった。
製造例6
撹拌装置及び温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステル[商品名「AP−8」、大八化学(株)製]55.6部を仕込んだ。ここにN,N−ジメチルステアリルアミン[商品名「ファーミンDM8098」、花王(株)製]44.4部を投入し50℃で2時間攪拌し、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルとN,N−ジメチルステアリルアミンの塩(D−1)を得た。
製造例7
2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルをトリデカノールEO10モル付加物のリン酸エステル[商品名「イオネット1310R」、三洋化成工業(株)製]55.6部に変更した以外は、製造例6と同様の操作で本発明のリン酸エステルのアルキルアミン塩(D−2)を得た。
実施例1〜9、比較例1〜6
表1に示す配合組成(部)で、5℃〜80℃で混合して、実施例及び比較例の各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
なお、表1における記号が示す内容は以下のとおりである。
(B−1):4−t−ブチル−シクロヘキシルアクリレート[商品名「ブレンマーTBCHA」、日油(株)製、官能基数1]
(B−2):イソボルニルアクリレート[商品名「ライトアクリレートIBXA」、共栄社化学(株)製、官能基数1]
(B−3):ジシクロペンタニルアクリレート[商品名「ファンクリルFA−513A」、日立化成(株)製、官能基数1]
(B−4):1−アダマンチルアクリレート[商品名「1−AdA」、大阪有機化学工業(株)製、官能基数1]
(B’−1):ラウリルアクリレート[商品名「ライトアクリレートL−A」、共栄社化学(株)製、官能基数1]
(B’−2):ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート[商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製、官能基数2]
(C−1):ベンジルアクリレート[商品名「ファンクリルFA−BZA」、日立化成(株)製、 官能基数1]
(C−2):フェノキシエチルアクリレート[商品名「ビスコート#192,PEA」、大阪有機化学工業(株)製、官能基数1]
(C’−1):ビスフェノールAのEO4モル付加物のジアクリレート[商品名「ネオマーBA−641」、三洋化成工業(株)製、官能基数2]
(I−1):1,9−ノナンジオールジアクリレート[商品名「ライトアクリレート1,9ND−A」、共栄社化学(株)製、官能基数2]
(I−2)アクリロイルモルフォリン[商品名「ACMO」、(株)興人製、官能基数1]
(E−1):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[商品名「イルガキュア819」、BASF社製]
(E−2):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン[商品名「イルガキュア907」、BASF社製]
(E−3):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF社製]
(E−4):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド[商品名「ルシリンTPO」、BASF社製]
(F−1):フェノチアジン[和光純薬工業(株)製]
(F−2):ヒドロキノンモノメチルエーテル[和光純薬工業(株)製]
(F−3):ヒドロキノン[和光純薬工業(株)製]
(G−1):ポリエーテル変性シリコーンオイル[商品名「KF−355A」、信越化学工業(株)製]
(G−2):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK333」、ビックケミージャパン(株)製]
(H−1):ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート[商品名「IRGANOX1010」、BASFジャパン(株)製](酸化防止剤)
(H−2):2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと、オキシラン[(炭素数10〜16のアルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物/1−メトキシ−2−プロパノール=85/15[商品名「TINUVIN400」、BASFジャパン(株)製](紫外線吸収剤)
さらに、後述の硬化方法で活性エネルギー線照射硬化物を得て、その性能を評価した。結果を表1に示す。
実施例1〜11、比較例1〜7の各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を後述の硬化方法で照射して得られた硬化物の金型離型性、樹脂基材への密着性、反り性、引張破断強度、破壊エネルギー、及び靭性を下記の方法で測定した。
(1)金型離型性
溝の深さ200μm、ピッチ幅80μmで平行に線を刻んで、微細に凹凸処理を施したSUS製の金型の表面に、厚さが100μmになるように各樹脂組成物を塗工した後、厚さ150μmのポリカーボネート樹脂フィルムを塗工面に乗せ、ローラーを上から転がして空気を押し出して貼り合わせた。
ポリカーボネート樹脂フィルム側から活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、活性エネルギー線を1000mJ/cm照射して、各樹脂組成物を硬化させ、硬化膜を作成した。フィルムと密着した硬化膜を金型から剥離し、凹凸の転写が再現されているかをレーザー顕微鏡で判定した。
◎:金型に樹脂残りがなく、凹凸の転写が再現できており、しかも金型からスムースに離れる。
○:金型に樹脂残りがなく、凹凸の転写が再現できている。
×:金型に樹脂残りがあり、凹凸の転写が再現できていない。
(2)樹脂基材への密着性
上記の金型離型性評価で金型から剥離した硬化物をJIS K 5600−5−6に準拠し、25個(5個×5個)のマスができるよう2mm幅にカッターナイフで切込みを入れ密着性を測定する。
○:試験後にフィルム上に残ったマス目が25。
×:試験後にフィルム上に残ったマス目が24以下。
−:金型離型性の判定が「×」のものは試験できなかった。
(3)反り試験
ガラス板の表面に、厚さが10μmになるように各樹脂組成物を塗工した後、縦:100mm以上×横:100mm以上×厚さ:20〜150μmの平坦なポリカーボネート樹脂製の基材フィルムを塗工面に乗せ、ローラーを上から転がして空気を押し出して貼り合わせた。
ポリカーボネート樹脂フィルム側から上記の活性エネルギー線照射装置により、活性エネルギー線を1000mJ/cm照射して、各樹脂組成物を硬化させた。硬化物をガラス板から剥がし、試験評価用の硬化フィルム(基材のポリカーボネート樹脂フィルムに各樹脂組成物の硬化物をコートしたもの)を作成した。
作成した硬化フィルムを縦100mm×横100mmの正方形に切断し、室温で1時間温調した。
この後、隙間(厚み)ゲージを用い、硬化膜の四隅の反りレベルを測定し、それによって、反り特性について試験サンプルを評価した
○:4隅の反りのうち、4つすべてが30mm以下。
×:4隅の反りのうち、1つでも30mmより大きいのがあるもの。
(4)引張破断強度
引張試験機[(株)島津製作所製]を用いて、試験速度50mm/分で引張り、JIS K7113に準じて引張破断強度を測定した。
(5)破壊エネルギー
上記の(4)引張破断強度での測定の際、破断するまでに加わったエネルギーを、破断までの応力−ひずみ曲線の面積から求め、破壊エネルギーとした。
(6)靱性
上記の(4)引張破断強度と(5)破壊エネルギーの値から、下記の判定基準で靱性を判定した。
○:引張破断強度が20以上かつ破壊エネルギーが3.0以上
△:引張破断強度が20以上かつ破壊エネルギーが2.0以上
×:引張破断強度が20より小さく、破壊エネルギーが2.0より小さい
表1の結果から、実施例1〜11の本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は金型離型性、樹脂基材への密着性、低反り性、靭性のすべてに優れていることが分かる。
一方、(D)を含まない比較例1金型離型性が悪く、(A)を含まない比較例2は靭性が悪く、(B)を含まない比較例2、4、5は反り性が大きい。また、(C)を含まない比較例5、6は樹脂基材への密着性が不良である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性樹脂は、金型離型性、密着性、低反り性及び靭性が優れているため、光学部材、電気・電子部材としても有用である。
また、本発明の硬化物を用いた光学部品は、フィルム状やシート状で使われるほか、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角制御レンズ及びコントラスト向上レンズ等)、位相差フィムル、電磁波シールド用フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路として極めて有用である。

Claims (9)

  1. ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)、ウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)、リン酸エステル化合物(D)及び光重合開始剤(E)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の数平均分子量が、500〜50,000である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)が、芳香環を有するジイソシアネート(a1)と芳香環を有するジオール(b1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(c)とを反応させてなる請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)が、ウレタン基を有せず脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(B1)である請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. ウレタン基を有せず脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(B1)が、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. ウレタン基を有しない芳香環含有単官能エチレン性不飽和単量体(C)が、ウレタン基を有せず芳香環を有する(メタ)アクリレート(C1)である請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. ウレタン基を有せず芳香環を有する(メタ)アクリレート(C1)が、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−、m−又はp−フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  8. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて、ウレタン基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有量が25〜50重量%であり、ウレタン基を有しない脂環式単官能エチレン性不飽和単量体(B)の含有量が5〜40重量%であり、ウレタン基を有しない芳香環式単官能エチレン性不飽和単量体(C)の含有量が10〜70重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  9. 光学部品用である請求項1〜8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
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