JP6958180B2 - 無溶剤型粘着剤組成物、それを用いて得られる粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、画像表示装置 - Google Patents

無溶剤型粘着剤組成物、それを用いて得られる粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、無溶剤型粘着剤組成物に関するものであり、詳しくは耐ブリスター性に非常に優れた粘着剤を得ることができる無溶剤型粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、画像表示装置に関するものである。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、前記表示装置と位置入力装置を組み合わせたタッチパネル等の入力装置が広く用いられるようになっている。
これらの製造においては、光学フィルムや基材等の光学部材の貼り合せに、透明な粘着シート、例えば、基材レス両面粘着シートが使用されている。このような透明粘着シート用の粘着剤には、粘着力等の粘着物性のみならず、外的衝撃による液晶ディスプレイの破損を防止するための衝撃吸収性や、優れた光学特性(透明性)が求められている。
このような透明粘着シート用の粘着剤として、例えば特許文献1では、(A)アクリル酸系誘導体、(B)アクリル酸系誘導体ポリマー、及び(C)高分子量架橋剤を含有してなることを特徴とする光学用樹脂組成物が提案されており、かかる組成物を硬化させることにより、優れた衝撃吸収性を有し、透明性にも優れた樹脂シートが得られることが記載されている。
特開2015−17278号公報
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物は、硬化モノマーを多量に用いるため、硬化して得られる粘着剤は、架橋度が高く、硬くなりすぎてしまう。そのため、粘着剤層と、基材や被着体との密着性が低下してしまい、高温または湿熱条件に曝されると、基材(特には、ポリカーボネート板)中の揮発成分による発泡や浮きが発生したり、未硬化の残存希釈モノマーの揮発による発泡が発生するなどして、耐ブリスター性に劣る粘着剤層となるものであった。
特に、基材レス両面粘着シートの粘着剤層を介して被着体として用いられる基材フィルム同士を貼り合せる場合においては、一方の基材フィルム上に粘着剤組成物を直接塗工して粘着剤層を形成し、他の基材フィルムを貼り合せる場合と比べて、基材フィルムと粘着剤層のなじみが悪く、粘着剤層と基材フィルムとの密着性が低くなりがちであり、ブリスターがより発生しやすくなるため、非常に高い耐ブリスター性が要求される。
そこで、本発明ではこのような背景下において、高温または湿熱条件に曝された場合でも、耐熱性(高温でも液ダレしないこと)、および高レベルの耐ブリスター性に優れる粘着剤を得ることができる粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
なお、液ダレとは、貼り合わされた粘着剤が高温下で外部にシミ出す(垂れる)ことを言うものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、無溶剤型の粘着剤組成物において、分子量が小さく、特定温度以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂と、特定量の単官能不飽和化合物を含有し、さらに、ガラス転移温度について特定の条件を満たすことにより、基材レス両面粘着シートの粘着剤層として用いた場合においても、非常に高レベルの耐ブリスター性を発揮できる粘着剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)およびエチレン性不飽和基を1つ有する
エチレン性不飽和化合物(B)を含有する無溶剤型粘着剤組成物であって、アクリル系樹
脂(A)の重量平均分子量が25万以下であり、エチレン性不飽和基を一つ有するエチレ
ン性不飽和化合物(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜
140重量部であり、アクリル系樹脂(A)がマレイミド基を含有せず、下記条件(X)
を満足することを特徴とする無溶剤型粘着剤組成物である。
条件(X):Tg(A)≧−30℃ かつ Tg(T)≧−30℃
ただし、
Tg(T):下記式(1)より求められる温度(℃)
1/Tg(T)=W(A)/Tg(A)+W(B)/Tg(B) ・・・式(1)
Tg(A):アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(℃)
Tg(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度(℃)
W(A):アクリル系樹脂(A)の重量分率
W(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)の重量分率
W(A)+W(B)=1
である。
さらに本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤、光学部材用粘着シート、光学部材用基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材、画像表示装置をも提供するものである。
なお、本発明における「粘着シート」とは、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含するものである。
本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、高レベルの耐ブリスター性を示すものである。従って、タッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに用いられる粘着剤として有用である。また、本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、粘着シートとして用いることが好ましく、基材レス両面粘着シートとして用いることも好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明の無溶剤型粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)およびエチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物(B)(以下、単官能不飽和化合物(B)と記載することがある。)を含有する粘着剤組成物である。
そして、本発明の無溶剤型粘着剤組成物は、下記条件(X)を満足することが必要である。
条件(X):Tg(A)≧−30℃ かつ Tg(T)≧−30℃
ただし、
Tg(T):下記式(1)より求められる温度(℃)
1/Tg(T)=W(A)/Tg(A)+W(B)/Tg(B) ・・・式(1)
Tg(A):アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(℃)
Tg(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度(℃)
W(A):アクリル系樹脂(A)の重量分率
W(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)の重量分率
W(A)+W(B)=1
である。
上記条件(X)および式(1)中のアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度Tg(A)については、Tg(A)≧−30℃を満足することが必要であり、−28℃≦Tg(A)≦100℃を満足することが好ましく、−25℃≦Tg(A)≦80℃を満足することが特に好ましく、−20℃≦Tg(A)≦50℃を満足することが更に好ましい。
かかるガラス転移温度Tg(A)が低すぎると、高温条件下に晒された際に、粘着剤層がシートからシミ出し(液ダレ)てしまい本発明の目的を達成することができない。また、高すぎても、塗工可能な粘度にするために必要な希釈モノマー量が増え、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
上記、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度Tg(A)は下記のFoxの式より算出されるものである。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの重量分率(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
即ち、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率を上記Foxの式に当てはめて算出した値である。
なお、本発明において、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度としては、示差走査熱量計(DSC)により測定して得られる値を用いるものである。
更に、上記条件(X)中のTg(T)については、Tg(T)≧−30℃を満足することが必要であり、−30℃≦Tg(T)≦50℃を満足することが好ましく、−25℃≦Tg(T)≦30℃を満足することが特に好ましく、−20℃≦Tg(T)≦20℃を満足することが更に好ましい。
かかる温度Tg(T)が低すぎると、高温下で粘着剤層の液ダレが発生してしまい、本発明の目的を達成することができない。また、高すぎても活性エネルギー線照射後のタック性が低下し、基材や被着体との密着性が低下しやすい傾向がある。
なお、温度Tg(T)は、上記式(1)より求められる温度であり、アクリル系樹脂(A)と単官能不飽和化合物(B)の総ガラス転移温度に相当するものである。
また、上記式(1)中のTg(B)については、−70℃≦Tg(B)≦120℃を満足することが好ましく、−60℃≦Tg(B)≦100℃を満足することが特に好ましく、−50℃≦Tg(B)≦50℃を満足することが更に好ましい。
かかる単官能不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度であるTg(B)が低すぎると、高温条件下に晒された際に、粘着剤層がシートからシミ出し(液ダレ)やすい傾向にあり、高すぎると、活性エネルギー線照射後のタック性が低下し、基材や被着体との密着性が低下しやすい傾向がある。
上記Tg(B)は、単官能不飽和化合物(B)として1種のモノマーを用いる場合はそのモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度を示し、2種以上のモノマーを用いる場合は、それぞれのモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率を上記のFoxの式に当てはめて算出したガラス転移温度を示すものである。
なお、本発明において、単官能不飽和化合物(B)をホモポリマーとした際のガラス転移温度としては、示差走査熱量計(DSC)により測定して得られる値を用いるものである。
さらに、本発明においては、下記式(2)より求められる温度Tg(Δ)が、100℃以下を満足することが好ましく、特には80℃以下満足することが特に好ましく、更には50℃以下を満足することが更に好ましい。
かかる温度Tg(Δ)が高すぎると、粘着シートにした際、局部的にガラス転移温度が高くなりやすく、その部分の基材や被着体との密着性が低下し、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
Tg(Δ)=|Tg(A)−Tg(B)|・・・式(2)
Tg(A):アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(℃)
Tg(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度(℃)
なお、温度Tg(Δ)は、上記式(2)より求められる温度であり、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度Tg(A)と単官能不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度Tg(B)の差である。
〈アクリル系樹脂(A)〉
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)としては、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)を含有し、必要に応じて、官能基含有モノマー(a2)、その他の重合性モノマー(a3)を含有する重合成分を重合してなるものである。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が通常1〜24(好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜18、更に好ましくは1〜12)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の中でも、共重合性、塗膜強度に優れる点、取り扱いやすさ、および原料入手しやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の重合成分中における含有割合としては、好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは30〜98重量%、更に好ましくは50〜95重量%であり、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の含有割合が少なすぎると、粘着剤として使用した場合の粘着性能が低下する傾向がある。
官能基含有モノマー(a2)としては、後述の架橋剤と反応することにより架橋点となりうる官能基を含有するモノマーであればよく、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられる。これらは単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
かかる官能基含有モノマー(a2)の中でも、効率的に架橋反応ができる点で水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーを用いることが好ましい。また、高温高湿下で使用される際の透明性に優れる点や、被着体に金属板を用いる際の耐腐食性に優れる点では、水酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
上記水酸基含有モノマーとして具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の1級の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
また、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のポリプロピレングリコールエステル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、特に好ましくは不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が0.5重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下、殊に好ましくは0.1重量%以下のものを使用することが好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが特に好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとして具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。なお、かかるカルボキシル基含有モノマーは、酸のまま用いても良いし、アルカリで中和された塩の形で用いても良い。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物、等が挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(例えば、共栄社化学製の「ライトエステルP−1M」、「ライトアクリレートP−1A」等)、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートのリン酸エステル(例えば、ローディア日華社製の「Sipomer PAM100」や「Sipomer PAM4000」等)、ポリエチレングリコールモノアクリレートのリン酸エステル(例えば、ローディア日華社製の「SipomerPAM5000」等)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートのリン酸エステル(例えば、ローディア日華社製の「Sipomer PAM200」等)、ポリプロピレングリコールモノアクリレートのリン酸エステル(例えば、ローディア日華社製の「Sipomer PAM300」等)等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、リン酸メチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸プロピレン(メタ)アクリレート、リン酸テトラメチレン(メタ)アクリレート等のリン酸アルキレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
官能基含有モノマー(a2)の重合成分中における含有割合としては、好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0.5〜45重量%、更に好ましくは1〜40重量%、殊に好ましくは5〜35重量%である。官能基含有モノマー(a2)の含有割合が多すぎるとアクリル系樹脂の極性が高くなりすぎるため、基材や被着体との密着性が低下する傾向がある。
その他の重合性モノマー(a3)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香環を含有するモノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基およびオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロイルモルフォリン等の窒素原子を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
その他の重合性モノマー(a3)の重合成分中における含有割合としては、好ましくは80重量%以下であり、特に好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下であり、その他の重合性モノマー(a3)の含有割合が多すぎると、アクリル系樹脂の極性が高くなりすぎるため、粘着性能が低下する傾向がある。
上記(a1)〜(a3)の共重合成分を適宜選択して重合することにより、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)を製造することができる。かかる重合に当たっては、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合、懸濁重合、乳化重合などの従来公知の重合方法により行うことができ、安定して目的のアクリル樹脂を得られる点からフリーラジカル重合、リビングラジカル重合が好ましく用いられ、有機溶剤や純水等を使用して重合する場合は、重合後に溶媒を留去して無溶剤化すればよい。
中でも、本発明においては、製造するアクリル系樹脂の分子量を調整しやすく、特に溶剤を使用せずに重合(塊状重合)する場合、反応制御がしやすい点で、リビングラジカル重合で製造することが好ましい。
リビングラジカル重合法としては、例えば、ニトロキシル法(TEMPO)、原子移動ラジカル重合(ATRP)法、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)法等があげられるが、これらの中でも、重合モノマーの選択性、制御の容易さなどの点から、ATRP法、RAFT法が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明においては、重合反応において溶媒を使用しないことが効率よく無溶剤系のアクリル系樹脂を得ることができる点で好ましいが、溶媒を使用して重合する場合、重合反応に用いられる反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等の有機溶剤があげられる。
これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや、溶液重合した後、溶媒を留去する際の留去のしやすさ、安全上の点から、酢酸エチル、アセトン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンが好ましく、特に好ましくは、酢酸エチル、アセトンである。
重合条件としては、還流状態あるいは0〜100℃、好ましくは40〜100℃で、通常5〜100時間重合すればよい。
かくして本発明のアクリル系樹脂(A)が製造される。
本発明のアクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量が25万以下であることが必要であり、好ましくは0.1万〜25万、特に好ましくは0.5万〜20万、更に好ましくは1万〜18万である。
かかる重量平均分子量が大きすぎると、塗工可能な粘度にするために必要な希釈モノマー量が増え、耐ブリスター性が低下する傾向にあり、小さすぎると高温条件下に晒された際に、粘着剤層がシートからシミ出し(液ダレ)やすい傾向にあり、光学部材の不良の原因となる。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、5以下であることが好ましく、特に好ましくは4.5以下、更に好ましくは4以下である。
かかる分散度が高すぎると、低分子量成分が多くなり、液ダレの原因となる傾向がある。また、分散度は製造の限界の点から通常1.1以下にすることは困難である。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
本発明のアクリル系樹脂(A)は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以上であることが必要であり、好ましくは−28〜100℃、特に好ましくは−25〜80℃、更に好ましくは−20〜50℃である。かかるガラス転移温度が低すぎると、高温条件下に晒された際に、粘着剤層がシートからシミ出し(液ダレ)やすい傾向にあり、高すぎると、塗工可能な粘度にするために必要な希釈モノマー量が増え、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
〈エチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物(B)〉
本発明で用いられる単官能不飽和化合物(B)としては、エチレン性不飽和基を1つ有する(メタ)アクリル酸エステル系化合物(B1)(後述の(B2)を除く。以下、「単官能(メタ)アクリル酸エステル系化合物(B1)」と記載することがある。)や、窒素原子を含有するエチレン性不飽和基を1つ含有するエチレン性不飽和化合物(B2)(以下、「窒素含有単官能不飽和化合物(B2)」と記載することがある。)を用いることが好ましい。
上記単官能(メタ)アクリル酸エステル系化合物(B1)としては、上記アクリル系樹脂(A)の重合成分として選択可能な(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)、およびその他の重合性モノマー(a3)の具体例に記載のモノマーのうち後述の(B2)に相当するものを除いたものが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、単官能(メタ)アクリル酸エステル系化合物(B1)はアクリル系樹脂(A)の重合成分(a1)〜(a3)と同一のモノマーを用いることもできる。
また、活性エネルギー線、とりわけ紫外線の照射による共重合性や、取り扱いやすさ、および原料入手のしやすさの点から、単官能(メタ)アクリル酸エステル系化合物(B1)の中でも、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、特に好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートである。
上記窒素含有単官能不飽和化合物(B2)としては、アミド基含有(メタ)アクリレートやアミノ基含有(メタ)アクリレート、その他アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
アミド基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、
(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;
N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;
N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n―ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;
などが挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、
アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;
t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート;
等が挙げられる。
本発明においては、単官能不飽和化合物(B)として、第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート(B2−1)を含有することが基材との密着性、特にはポリカーボネート基材への密着性が向上する点で好ましく、なかでも特に、その他モノマーとの共重合性、および原料入手しやすさの点で、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを用いることが好ましい。
上記単官能不飽和化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜140重量部であることが必要であり、好ましくは1〜140重量部、特に好ましくは10〜130重量部、更に好ましくは20〜120重量部である。単官能不飽和化合物(B)の含有量が多すぎると、活性エネルギー線照射後に残る残存モノマー量が多くなるため、粘着物性の低下や、耐ブリスター性が低下する傾向がある。少なすぎると、粘度が高いため、塗工ムラやスジが発生する傾向がある。
単官能不飽和化合物(B)として、第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート(B2−1)を用いる場合における含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0〜50重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.001〜30重量部、更に好ましくは0.01〜20重量部である。
また、無溶剤型粘着剤組成物中に占める第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート(B2−1)の割合が0〜33重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.001〜15重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%である。
かかる含有量が多すぎると粘着剤が着色しやすくなり、光学用途への使用は不向きとなる傾向がある。
〈エチレン性不飽和基を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物(C)〉
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらにエチレン性不飽和基を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物(C)を含有してもよい。
本発明で用いられるエチレン性不飽和基を2つ以上含有するエチレン性不飽和化合物(C)(以下、「多官能性不飽和化合物(C)」と記載することがある。)としては、例えば、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和モノマー、例えば、2官能モノマー、3官能以上のモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物を用いることができる。これらの中でも、エチレン性不飽和モノマー、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いることが硬化速度や到達物性の安定性に優れる点で好ましく、特に好ましくはウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
上記2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等があげられる。
上記3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3つ以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等があげられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート系化合物(必要に応じて、ポリオール系化合物)を、公知一般の方法により反応させて得られるものを用いればよく、その重量平均分子量としては、通常300〜4,000のものを用いればよい。
上記多官能性不飽和化合物(C)を含有する場合における含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは3重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。多官能性不飽和化合物(C)の含有量が多すぎると、活性エネルギー線照射により過度に硬化してしまい、基材や被着体との密着性が低下しやすく、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
〈光重合開始剤(D)〉
本発明においては、活性エネルギー線照射時の反応を安定化させることができる点で、光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。
本発明で用いられる光重合開始剤(D)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類、等があげられる。なお、これら光重合開始剤(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
光重合開始剤(D)の含有量としては、単官能性不飽和化合物(B)(多官能性化合物(C)を用いる場合においてはその合計)100重量部に対して、0.01〜40重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.05〜20重量部、殊に好ましくは0.1〜10重量部である。光重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると硬化不良となる傾向があり、多すぎると粘着剤組成物から析出するなど樹脂組成物の安定性が低下したり、脆化や着色の問題が起こりやすい傾向がある。
そして、本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに架橋剤(E)を含有してもよい。
上記架橋剤(E)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、耐久性や耐光漏れ性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。中でも特に、ポットライフが長い点や、樹脂との相溶性に優れる点で2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。中でも特に、反応性が高い点で1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン,N,N,N'N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンが好ましい。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
また、これらの架橋剤(E)は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤(E)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下、殊に好ましくは1.5重量部以下である。
架橋剤が多すぎると貼付直後の粘着力が低下したり、基材や被着体との密着性が低下しやすく、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
また、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。
また、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
これらの含有量としては、通常、粘着剤組成物全体に対して50重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、粘着剤が着色しやすくなり、また添加剤の可塑効果で糊ダレが発生しやすくなる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有しないものであることが必要であり、具体的には、溶剤含有量が1.0重量%以下であることが必要であり、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
かくして得られた本発明の無溶剤型粘着剤組成物が、活性エネルギー線及び/又は熱により硬化することにより本発明の粘着剤となる。本発明の粘着剤組成物は、光学部材の貼り合せに用いる光学部材用粘着剤組成物として用いることが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物は、支持基材の片面または両面に本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着シートとして用いることができ、特には、光学部材の貼り合せに用いる光学部材用粘着シートとして好適である。また、透明性に優れ、構成する厚みに対しての粘着力が高い点で、支持基材を有しない基材レス両面粘着シートとすることも好ましい。
粘着シートは、例えばつぎのようにして作製することができる。
<粘着シート>
まず、基材シート上に、アクリル系樹脂(A)、単官能不飽和化合物(B)を含有する本発明の無溶剤型粘着剤組成物を塗工し、必要により乾燥・養生した後に、活性エネルギー線を照射することにより、基材上に本発明の無溶剤型粘着剤組成物が硬化してなる粘着剤層を有する粘着シートが得られる。なお、製造あるいは保管する上での安定性の点で、上記粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることが好ましい。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼合する。
本発明で用いられる基材シートとしては、活性エネルギー線等が透過するフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂フィルム等の透明フィルムや紫外線透過が可能な着色フィルムが挙げられる。なかでも、ポリカーボネートフィルムや、ポリエチレン、ポリピロピレン等のポリオレフィンフィルム、アクリルフィルムを用いた場合に、本発明の効果である耐ブリスター性がより効果的に発揮される点で好ましい。
一方、離型シートとしては、上記基材シートにシリコーン処理やフッ素樹脂積層処理等を施したもの、例えば、シリコーン離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリコーン離型処理ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理ポリエチレンフィルム、シリコーン処理離型紙、フッ素樹脂積層系離型ポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素処理離型紙等が挙げられる。
上記塗工に際しては、溶剤で希釈しないことが好ましいが、希釈して塗工する場合において用いられる溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族化合物等が挙げられる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンが好ましい。
上記塗工に際して、溶剤で希釈する場合においては、塗工後、乾燥が必要となるが、乾燥温度として60〜120℃であることが好ましく、特に好ましくは70〜110℃、更に好ましくは80〜100℃である。かかる温度が低すぎると乾燥が不充分となる傾向があり、高すぎると基材シートや離型シートが熱で侵されてしまう傾向がある。
活性エネルギー線照射をするに際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト、LEDランプ等が用いられる。高圧水銀ランプの場合は、例えば5〜3000mJ/cm2、好ましくは10〜2000mJ/cm2の条件で行われる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒、場合によっては数分の1秒でもよい。電子線照射の場合には、例えば、50〜1000Kevの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜50Mradの照射量とするのがよい。
また、本発明においては、本発明の無溶剤型粘着剤組成物からなる粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。また、上記の基材レス両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼合することもできる。
かかる光学部材としては、ITO電極膜やポリチオフェン等の有機系導電膜等の透明電極膜、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の光学シート類、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム等が挙げられる。
上記粘着シート、基材レス両面粘着シート、粘着剤層付き光学部材の粘着剤層の乾燥後の厚みは、好ましくは5〜300μmであり、特に好ましくは10〜250μm、更に好ましくは15〜200μmである。かかる厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると厚みの均一性が低下したり、硬化に必要な活性エネルギー線の露光量が多くなり、生産性が低下する傾向がある。
本発明の無溶剤型粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、高レベルの耐ブリスター性を示すものであり、タッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに用いられる粘着剤として有用である。また、本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、粘着シートとして用いることが好ましく、基材レス両面粘着シートとして用いることも好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度Tg(A)、単官能不飽和化合物(B)を重合した際の樹脂のガラス転移温度Tg(B)については、前述のFoxの式を用いて算出し、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマー及び単官能不飽和化合物(B)のホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常DSCにより測定されてなる文献値及びカタログ記載値を用いた。
〔製造例1〕
アクリル系樹脂(A−1)の調製
2L丸底4ツ口フラスコに、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA:a1)50g、メチルアクリレート(MA:a1)350g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a2)100g、及びRAFT剤としてトリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)6.048g、重合触媒としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.248gを投入し、窒素ガスを導入しながら均一になるまで撹拌させた。次に、ウォーターバス温を調整し、反応系内の温度を50℃に保ちながら3時間反応させた。さらに、ウォーターバス温を95℃まで昇温し、反応系内の温度が安定した時点でアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.248gを追加投入し、4時間反応させ、アクリル系樹脂(A−1)(重量平均分子量5.5万、分散度1.28)を得た。アクリル系樹脂(A−1)のガラス転移温度は−7.0℃であった。
〔製造例2〕
アクリル系樹脂(A−2)の調製
2L丸底4ツ口フラスコに、メチルアクリレート(MA:a1)240g、tert−ブチルアクリレート(TBA:a1)180g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a2)180g、及びRAFT剤としてトリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)7.257g、重合触媒としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.299gを投入し、窒素ガスを導入しながら均一になるまで撹拌させた。次に、ウォーターバス温を調整し、反応系内の温度を50℃に保ちながら3時間反応させた。さらに、ウォーターバス温を95℃まで昇温し、反応系内の温度が安定した時点でADVN0.248gを追加投入し、4時間反応させ、アクリル系樹脂(A−2)(重量平均分子量6.2万、分散度1.34)を得た。アクリル系樹脂(A−2)のガラス転移温度は2.4℃であった。
〔製造例3〕
アクリル系樹脂(A’−1)の調製
2L丸底4ツ口フラスコに、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA:a1)240g、メチルアクリレート(MA:a1)180g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a2)180g、及びRAFT剤としてトリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)7.257g、重合触媒としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.299gを投入し、窒素ガスを導入しながら均一になるまで撹拌させた。次に、ウォーターバス温を調整し、反応系内の温度を50℃に保ちながら3時間反応させた。さらに、ウォーターバス温を95℃まで昇温し、反応系内の温度が安定した時点でADVN0.248gを追加投入し、4時間反応させ、アクリル系樹脂(A’−1)(重量平均分子量6.0万、分散度1.31)を得た。アクリル系樹脂(A’−1)のガラス転移温度は−35.0℃であった。
〔製造例4〕
アクリル系樹脂(A’−2)の調製
2L丸底4ツ口フラスコに、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA:a1)50g、メチルアクリレート(MA:a1)350g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a2)100g、及びRAFT剤としてトリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)1.210g、重合触媒としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.050gを投入し、窒素ガスを導入しながら均一になるまで撹拌させた。次に、ウォーターバス温を調整し、反応系内の温度を50℃に保ちながら3時間反応させた。さらに、ウォーターバス温を95℃まで昇温し、反応系内の温度が安定した時点でアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.050gを追加投入し、4時間反応させ、アクリル系樹脂(A’−2)(重量平均分子量52.7万、分散度2.63)を得た。アクリル系樹脂(A’−2)のガラス転移温度は−7.0℃であった。
Figure 0006958180
〔単官能不飽和化合物(B)〕
以下の化合物を用意した。
n−ブチルアクリレート(B1):大阪有機化学社製(Tg:54℃)
iso−ブチルアクリレート(B1):大阪有機化学社製(Tg:−26℃)
tert−ブチルアクリレート(B1):大阪有機化学社製(Tg:14℃)
ジメチルアミノエチルアクリレート(B2−1):KJケミカル社製(Tg:18℃)
〔光重合開始剤(D)〕
以下の化合物を用意した。
1−ヒドロキシ―シクロへキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物(1:1)(BASF社製、イルガキュア500「Irg500」)
〔実施例1〕
上記製造例で得られたアクリル系樹脂(A−1)100部、単官能不飽和化合物(B)としてiso−ブチルアクリレート(IBA)68部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)1.5部、光重合開始剤(D)として「イルガキュア500」(東ソー株式会社製)0.68部を撹拌機のついた遮光容器に入れ、2時間撹拌混合し溶解させ、無溶剤型粘着剤組成物(X−1)を得た。
上記で得られた無溶剤型粘着剤組成物(X−1)を、重剥離PET(三井化学東セロ社製:ルミラーSP38−03BU)に粘着剤層の厚みが60μmになるようアプリケータで塗布した後、軽剥離PET(三井化学東セロ社製:ルミラーSP38−01BU)を貼り合せ、紫外線照射(高圧水銀ランプにて1000mJ/cm2)を行い、基材レス両面粘着シートを得た(シート構成:重剥離PET/粘着剤層/軽剥離PET)。
〔実施例2、比較例1〜5〕
各配合成分を表2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、無溶剤型粘着剤組成物および基材レス両面粘着シートを得た。
Figure 0006958180
上記の実施例および比較例で得られた粘着剤組成物および基材レス両面粘着シートを用いて、下記の方法により、粘着剤組成物の塗工性、および粘着剤層の耐久性(耐高温液ダレ性)、耐ブリスター性を評価した。結果を併せて表3に示す。
〔塗工性〕
表2に記載の配合で得られた無溶剤型粘着剤組成物を重剥離PET(三井化学東セロ社製:ルミラーSP38−03BU)に塗布した際の、塗膜の外観を目視で評価した。
(評価基準)
○・・・塗工ムラ・スジがなかった(塗工可能)
×・・・塗工ムラまたはスジがあった(塗工不可)
〔耐久性〕
上記で得られた基材レス両面粘着シートから軽剥離PETを剥がし、厚み125μmの易接着PET(ポリエチレンテレフタレート)に押圧し、粘着剤層付きPETフィルムとした。得られた粘着剤層付きPETフィルムを40mm×40mmに切断した後、重剥離PETを剥がし、粘着剤層面をポリカーボネート板(日本テストパネル社製 標準試験板PC)に貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行い、粘着剤層付きポリカーボネート板を得た。
得られた粘着剤層付きポリカーボネート板を、85℃×dryの雰囲気下に12時間静置させた後、ポリカーボネート板から粘着剤のシミ出し(液ダレ)を目視で評価した。
(評価基準)
○・・・液ダレがなかった
×・・・液ダレがあった
〔耐ブリスター性〕
上記、耐熱性評価と同様にして、粘着剤層付きポリカーボネート板を作製し、85℃×dryの雰囲気下に12時間静置させた後、粘着剤層の発泡の有無を目視で評価した。
(評価基準)
○・・・発泡がなかった
×・・・発泡があった
Figure 0006958180
上記の結果から、特定の重量平均分子量、かつガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を使用し、かつ単官能不飽和化合物を特定量含有し、さらにガラス転移温度について特定の条件を満たす粘着剤組成物を用いてなる実施例1及び2は、塗工性に優れ、耐熱性、耐ブリスター性にも優れたものであった。
一方、ガラス転移温度が高すぎるアクリル系樹脂を用いてなる比較例1は耐ブリスター性に劣ることがわかる。
また、単官能不飽和化合物の含有量が多すぎる比較例2も耐ブリスター性に劣ることがわかる。
さらに、重量平均分子量の高いアクリル系樹脂を用いてなる比較例3では、塗工性に劣るものであり、実用に供することができないことがわかる。
また、ガラス転移温度について特定の条件を満たさない粘着剤組成物を用いてなる比較例4では、高温条件下で液ダレが生じ耐熱性に劣るとともに、耐ブリスター性にも劣るものであることがわかる。
本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、高レベルの耐ブリスター性を示すものである。従って、タッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに用いられる粘着剤として有用である。また、本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、粘着シートとして用いることが好ましく、基材レス両面粘着シートとして用いることも好ましい。

Claims (9)

  1. アクリル系樹脂(A)および
    エチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物(B)
    を含有する無溶剤型粘着剤組成物であって、
    アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が25万以下であり、
    エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)の含有量がアクリル系樹
    脂(A)100重量部に対して0.1〜140重量部であり、
    アクリル系樹脂(A)がマレイミド基を含有せず、
    下記条件(X)を満足することを特徴とする無溶剤型粘着剤組成物。
    条件(X):Tg(A)≧−30℃ かつ Tg(T)≧−30℃
    ただし、
    Tg(T):下記式(1)より求められる温度(℃)
    1/Tg(T)=W(A)/Tg(A)+W(B)/Tg(B) ・・・式(1)
    Tg(A):アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(℃)
    Tg(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)を重合した
    際の樹脂のガラス転移温度(℃)
    W(A):アクリル系樹脂(A)の重量分率
    W(B):エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)の重量分率
    W(A)+W(B)=1
    である。
  2. エチレン性不飽和基を一つ有するエチレン性不飽和化合物(B)が、第3級アミノ基含
    有モノマー(B2−1)を含有することを特徴とする請求項1記載の無溶剤型粘着剤組
    成 物。
  3. 下記式(2)より求められる温度Tg(Δ)が、Tg(Δ)≦100℃を満足すること
    を特徴とする請求項1または2記載の無溶剤型粘着剤組成物。
    Tg(Δ)=|Tg(A)−Tg(B)|・・・式(2)
  4. 光学部材の貼り合せに用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の無溶剤型粘
    着剤組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の無溶剤型粘着剤組成物を活性エネルギー線及び/又は熱に
    より硬化してなることを特徴とする粘着剤。
  6. 基材の片面または両面に、請求項5記載の粘着剤からなる粘着剤層が積層されてなるこ
    とを特徴とする光学部材用粘着シート。
  7. 請求項5記載の粘着剤からなる粘着剤層の両面に離型シートが積層されてなることを特
    徴とする光学部材用基材レス両面粘着シート。
  8. 請求項5記載の粘着剤からなる粘着剤層と光学部材が積層されてなることを特徴とする
    粘着剤層付き光学部材。
  9. 請求項8記載の粘着剤層付き光学部材を用いてなることを特徴とする画像表示装置。
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