本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)は、上記式(1)で表される化合物を含有する重合性不飽和二重結合を有する単量体である。式(1)で表される化合物はビスフェノールフルオレン骨格を有する二官能(メタ)アクリレート化合物である。式(1)で表される化合物は下記一般式(3)
(式中、R1、aおよびbは式(1)と同一である。)で表されるジオール化合物に(メタ)アクリル酸を適当な有機溶剤を用いて公知の方法によりエステル化反応することによって得ることができる。前記一般式(3)で表されるジオール化合物に対する(メタ)アクリル酸の仕込み割合は、モル比で前記一般式(3)で表されるジオール化合物:(メタ)アクリル酸=1.0:2.0〜1.0:4.0であることが好ましく、より好ましくは1.0:2.4〜1.0〜2.6である。また、ここで反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−へキサン、n−へプタン等を挙げることができる。なおこのエステル化反応は、反応を促進させるために通常、酸触媒を使用する。ここで用いられる酸触媒の具体例としては、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。反応中は重合を防止するために重合禁止剤を使用するのが好ましい。
ここで使用できる重合禁止剤の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を挙げることができる。反応温度は70〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃であり、反応時間は2〜20時間が好ましく、より好ましくは3〜8時間である。なお、前記一般式(1)で表される二官能(メタ)アクリレート化合物(A)は、R1およびR2がともに水素原子であり、なおかつa=b=1である化合物、すなわち9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)フェニル)フルオレン(商品名:オグソールEA−0200、大阪ガスケミカル(株)製)のように市販品として入手できるものもある。
また前記一般式(3)で表されるジオール化合物は、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを公知の方法により反応することによって得ることができる。また、前記一般式(3)で表される化合物の中には、R1が水素原子であって、なおかつa=b=1である化合物、すなわち9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(商品名:BPEF、JFEケミカル(株)製)のように市販品として入手できるものもある。
ここで本発明で用いる一般式(1)で表される化合物の中で最も好ましい化合物としては、屈折率が高い硬化物が得られることから、R1およびR2が水素原子であり、なおかつa=b=1である9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)フェニル)フルオレンである。ここで、R1およびR2のどちらか、あるいはR1とR2の両方がメチル基の場合はガラス転移温度、耐熱性の向上が期待できる。また、aおよびbの値が大きくなると、硬化物が柔軟になるので耐衝撃性に優れた硬化膜を得ることが可能となる。
本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)としては、式(1)で表される化合物を単量体(A)の重量を基準として10〜80重量%含有する単量体が高屈折率の理由から好ましく、20〜60重量%含有する単量体がより好ましい。また式(1)で表される化合物は1種類だけを使用してもよいが、ガラス転移温度や硬化物の柔軟性を調節する目的で2種類以上を併用しても構わない。
本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)としては、下記式(2)で
表される化合物を含有する単量体が高屈折率を維持しかつ低粘度ゆえの注型のし易さという点から好ましい。
(式中、R
3、R
4はH又はCH
3であり、nの平均値は1〜5の数である。)
前記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエトキシエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシエトキシエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシエトキシエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なおこれら例示した式(2)で表される化合物の中でも特に好ましいものとしては、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートおよびo−フェニルフェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
前記式(2)で表される化合物は、例えば、下記一般式(4)
(式中、R3、R4およびnは式(2)と同一である。)で表されるアルコール化合物に(メタ)アクリル酸を適当な有機溶剤を用いて公知の方法によりエステル化反応することによって得ることができる。前記一般式(4)で表されるアルコール化合物に対する(メタ)アクリル酸の仕込み割合は、モル比で前記一般式(4)で表されるアルコール化合物:(メタ)アクリル酸=1.0:1:0〜1.0:2.0であることが好ましく、より好ましくは1.0:1.2〜1.0〜1.3である。また、ここで反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−へキサン、n−へプタン等を挙げることができる。なおこのエステル化反応は、反応を促進させるために通常、酸触媒を使用する。ここで用いられる酸触媒の具体例としては、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。反応中は重合を防止するために重合禁止剤を使用するのが好ましい。ここで使用できる重合禁止剤の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を挙げることができる。反応温度は70〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃であり、反応時間は2〜20時間が好ましく、より好ましくは3〜8時間である。
前記式(2)で表される化合物を合成するために用いられる式(4)で表されるアルコール化合物は、o−フェニルフェノールにエチレンオキサイドを公知の方法により反応させて付加することにより得ることができる。なお、前記式(2)で表される化合物は、R4が水素原子であり、なおかつm=1である化合物、すなわちo−フェニルフェノキシエチルアクリレート(商品名:KAYARAD OPP−1、日本化薬(株)製)およびR4が水素原子であり、なおかつm=2〜4である化合物、すなわちo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(商品名:KAYARAD OPP−2、日本化薬(株)製)のように市販品として入手できるものもある。
本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)としては、式(2)で表される化合物を単量体(A)の重量を基準として10〜80重量%含有する単量体が注型性の理由から好ましく、20〜60%含有する単量体がより好ましい。また式(2)で表される化合物は1種類だけを使用してもよいが、ガラス転移温度や硬化物の柔軟性を調節する目的で2種類以上を併用しても構わない。
本発明で用いる単量体(A)には、上記式(1)で表される化合物以外の単量体を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。具体的には、例えば、上記式(1)や式(2)で表される化合物以外の芳香環を有する重合性単量体、環状脂肪族構造を有する重合性単量体、複素環構造を有する重合性単量体、スチレン系化合物、直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体等が挙げられる。
前記芳香環を有する重合性単量体としては、例えば、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシアルコキシフェニル)プロパン、2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物構造を含む単量体、具体的には、例えば、下記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレート
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。m1、m2はそれぞれ繰り返し単位数を示す整数であり、m1とm2との合計は平均値で1〜20である。);
ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物に(メタ)アクリル酸がエステル結合した化合物;
ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフォン;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールA型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレートやフェノールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格のエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物;
ポリオールと環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有するジオールと有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記環状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルシクロカーボネート(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
前記複素環系化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、アクリロイルホルモリン;
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドあるいはεカプロラクトンを開環付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を有する化合物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したイソシアヌル酸構造を有する化合物等が挙げられる。
直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭素数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル類等が挙げられる。
また、以下の重合性単量体も本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)として例示する事ができる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等の重合性不飽和二重結合及びエポキシ基を有する重合性単量体;
(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2ーアクリロイルオキシエチルコハク酸、2ーアクリロイルオキシエチルフタル酸、2ーアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の重合性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する重合性単量体;
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体類;ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物類;塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン類;メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル類;アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如きフッ素含有α−オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートもしくはパーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート類等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体類;
(16)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸フォスフォエチル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、トリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールにカプロラクトン付加した化合物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールメタン、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドを付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を3つ以上有する化合物に(メタ)アクリル酸が3分子以上エステル結合した化合物等が挙げられる。
本発明で用いる単量体(A)としては、環境安定性に優れる硬化物が得られる注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類を含有する単量体が好ましい。
また、本発明で用いる単量体(A)としては、得られる硬化物の形状復元性に優れる硬化物が得られる注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることからアルキレンオキサイド鎖を有する単量体が好ましい。
更に、本発明で用いる単量体(A)としては、得られる硬化物が環境安定性に優れ、且つ、形状復元性にも優れることから芳香環とアルキレンオキサイド鎖を有する単量体が好ましく、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物構造を含む単量体がより好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物構造を含む単量体の中でも、上記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレートを含む単量体が更に好ましい。
上記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレンオキシドの平均付加モル数〔前記一般式(1)中のm1とm2との合計の平均値〕が1〜20のエチレンオキシド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドの平均付加モル数〔前記一般式(1)中のm1とm2との合計の平均値〕が1〜20のプロピレンオキシド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合計の平均付加モル数〔前記一般式(1)中のm1とm2との合計の平均値〕が1〜20のエチレンオキシド・プロピレンオキシド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレート中のR1は形状復元性に優れる硬化物が得られる注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから水素原子が好ましい。また、一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート中のR1は密着性が良好で、環境安定性にも優れる硬化物が得られる光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることからメチル基が好ましい。
前記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレート中のR2は硬化性が良好な光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから水素原子が好ましい。
前記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレート中のm1とm2との合計の平均値は6〜14が形状復元性に優れる硬化物が得られる光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから好ましい。
前記一般式(5)で表される2官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、アロニックスM−210、同M−211B〔以上、東亜合成(株)製〕、ライトアクリレートBP−4EA、同BP−4PA、ライトエステルBP−2EM〔以上、共栄社化学(株)製〕、NKエステルA−BPE−4、同BPE−100、同BPE−200、NKエステルBPE−500〔以上、新中村化学工業(株)製〕、カヤラッドR−55〔以上、日本化薬(株)製〕、ビームセット750〔荒川化学工業(株)製〕、SR−348、SR−349、SR−601、SR−602、SR−480〔以上、化薬サートマー(株)製〕、ニューフロンティアBPE−4、同BPP−4、同BPE−10、同BPE−20、BPEM−10〔以上、第一工業製薬(株)製〕、ビスコート#700〔大阪有機化学工業(株)製〕、フォトマー4028、フォトマー4025〔以上、コグニス社製〕、エベクリル150、同1150、BPA(EO3)DMA〔以上、ダイセルユーシービー(株)製〕、ファンクリルFA−321M〔日立化成工業(株)製〕、ブレンマーADBE−200、同PDBE−200、同ADBPシリーズ、同PDBPシリーズ、同ADBEPシリーズ、同PDBEPシリーズ、同PDBE−450、同43PDBPE−800B〔以上、日本油脂(株)製〕等が挙げられる。
更に本発明においては、前記重合性不飽和二重結合を有する単量体(A)としては、式(1)で表される化合物を単量体(A)の重量を基準として30〜50重量%含有し、且つ、式(2)で表される2官能(メタ)アクリレートを単量体(A)の重量を基準として30〜50重量%含有する請求項1記載の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が好ましい。
また、アルキレンオキサイド構造を有し二つ以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いる単量体(A)として用いることで硬化物の脆さの改善効果がある。アルキレンオキサイド構造を有し二つ以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールメタンに1〜20モルのアルキレンオキサイドを付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を3つ以上有する化合物に(メタ)アクリル酸が3分子以上エステル結合した化合物等が挙げられる。
本発明で用いる重合体(B)は、重合性不飽和二重結合を1分子あたり一つ有する単量体を重合して得られる構造を主骨格とする重合体であって、その重量平均分子量が2,000〜100,000であり、更に、該重合体構造中(側鎖)に重合性不飽和二重結合を含有する。このような重合体を用いることによって初めて硬化性に優れる光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となり、且つ、得られる硬化物も環境安定性が良好となる。また、本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を母型に注ぐ際に気泡を巻き込まない等の作業性が良好であるという利点もある。本発明で用いる重合体(B)の重量平均分子量としては、3,000〜50,000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、3000〜20000が更に好ましく、3000〜10000がとくにこのましい。重合体(B)の重量平均分子量は形成させる微細形状を有する硬化層の厚さ、微細形状を有する硬化層形成の目的や条件に応じて2,000〜100,000の範囲内で適宜選択することができる。
本発明で用いる重合体(B)としては、例えば、(メタ)アクリル系重合体を好ましく用いる事ができる。(メタ)アクリル系重合体としては、は、例えば、以下の(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
重合体(B1):エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(b1)と不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)とを反応することにより得られる重合体。
重合体(B2):カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体(b2)と不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)とを反応することにより得られる重合体。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体と、不飽和二重結合およびカルボキシル基を有する単量体とを反応させて得られる重合体を含む(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
前記重合体(B1)の調製に用いる(メタ)アクリル系重合体(b1)は、例えば、不飽和二重結合及びエポキシ基を有する重合性単量体と必要に応じて他の重合性単量体との共重合反応によって得られる。
前記不飽和二重結合及びエポキシ基を有する重合性単量体しては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記重合体(B2)の調製に用いる(メタ)アクリル系重合体(b2)は、例えば、不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する重合性単量体と必要に応じて他の重合性単量体との共重合反応によって得られる。
不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2ーアクリロイルオキシエチルコハク酸、2ーアクリロイルオキシエチルフタル酸、2ーアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
(メタ)アクリル系重合体(b1)や(メタ)アクリル系重合体(b2)の調製時に必要に応じて共重合させる他の重合性不飽和単量体としては、例えば、以下の重合性単量体等が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭素数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;
(2)(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂環式のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(3)(メタ)アクリル酸ベンゾイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(4)(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール;ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール基を有する(メタ)アクリル酸エステル等のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル類;
(5)フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル類;
(6)スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体類;
(7)ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物類;
(8)塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン類;
(9)メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類;
(10)酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;
(11)メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
(12)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル類;
(13)アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;
(14)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;
(15)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如きフッ素含有α−オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートもしくはパーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート類等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体類;
(16)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート類;
(17)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系重合体(b1)や(メタ)アクリル系重合体(b2)を調製する際に用いる他の重合性不飽和単量体は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記(メタ)アクリル系重合体(b1)と(b2)は、公知慣用の方法を用いて重合(共重合)させれば得られ、その共重合形態は特に制限されない。触媒(重合開始剤)の存在下に、付加重合により製造することができ、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。また共重合方法も塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法が使用できる。
ここで、溶液重合等に用いることができる溶媒として代表的なものを挙げれば、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン等のケトン系溶媒;
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;
ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−nーブチル、酢酸−n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のエステル系溶媒等が挙げられる。
前記触媒としては、ラジカル重合開始剤として一般的に知られるものが使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物および過酸化水素等が挙げられる。
触媒として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
(メタ)アクリル系重合体の一例である重合体(B1)は、前述の通りエポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(b1)と不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)とを反応させる。不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)としては、例えば、(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2ーアクリロイルオキシエチルコハク酸、2ーアクリロイルオキシエチルフタル酸、2ーアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
(メタ)アクリル系重合体の一例である重合体(B2)は、前述の通りカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体(b2)と不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)とを反応することにより得られる。不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(b1)と不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)との反応や、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体(b2)と不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)との反応は、例えば、前記特許文献2に記載された方法により行なう事ができる。また、以下の方法でも行なう事もできる。
方法1:(メタ)アクリル系重合体(b1)を溶液重合法にて重合して得た後に一旦脱溶剤し、反応系に不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)を加えて反応させる方法。
方法2:(メタ)アクリル系重合体(b2)を溶液重合法にて重合して得た後に一旦脱溶剤し、不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)を加えて反応させる方法。
前記方法1や方法2において(メタ)アクリル系重合体を製造する際に、前記単量体(A)に該当する化合物に(b1)や(b2)を再溶解し、不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する単量体(d)や不飽和二重結合及びエポキシ基を有する単量体(e)と反応させて得られるものは重合体(B)と単量体(A)との混合溶液となる。このような混合溶液を得ることにより本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。この場合においても、特許文献2に記載された如き開環付加反応は触媒を用い、必要に応じ重合禁止剤の存在下、例えば60〜150℃の反応温度にて反応させることができる。
尚、本発明で用いる重合体(B)は重合性不飽和二重結合を1分子あたり一つ有する単量体を重合して得られる構造を主骨格とする重合体であるが、本発明の効果を損なわない範囲で重合性不飽和二重結合を二つ以上有する単量体を併用しても良い。
本発明で重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により求めた。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本発明で用いる重合体(B)の二重結合当量、即ち不飽和二重結合1つあたりの分子量は、200〜10,000の範囲内であることが優れた硬化性を発現できることから好ましく、200〜6,000の範囲内であることがより好ましく、300〜2000の範囲内であることが更に好ましく、400〜1000の範囲内であることが特に好ましくい。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、単量体(A)と重合体(B)とを重量比〔(A)/(B)〕で、97/3〜55/45となる範囲で含有する。単量体(A)と(メタ)アクリル系重合体(B)とをこのような重量比で配合する事により、型再現性に優れる光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が始めて得られる。また、注型重合を行う際の作業性も向上する。本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、単量体(A)と重合体(B)とを重量比〔(A)/(B)〕で、97/3〜60/40となる範囲で含有する組成物がより好ましく、90/10〜70/30となる範囲で含有する組成物がより好ましい。
本発明で用いる光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;
キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;
ベンジル、ジアセチルなどのα-ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸類;
3,3′-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフオリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4′−メチルジメチルスルフィド、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリルニ量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン等が挙げられる。
前記光重合開始剤(C)は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、感度を良好に保ち、結晶の析出、塗膜物性の劣化等防止するため、本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100重量部に対して0.05〜20重量部用いることが好ましく、なかでも0.1〜10重量部が特に好ましい。
光重合開始剤(C)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系が、硬化性が高い光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
前記光重合開始剤(C)の市販品としては、例えば、Irgacure−184、同149、同261、同369、同500、同651、同754、同784、同819、同907、同1116、同1664、同1700、同1800、同1850、同2959、同4043、Darocur−1173(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASFF社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA〔日本化薬(株)製〕、VICURE−10、同55(STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(WARD BLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
さらに、本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物では、前記光重合開始剤(C)に種々の光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた物品の製造では、紫外線等の活性エネルギー線は、支持体となる透明基材面を通して照射される場合が多い。そのため、光重合開始剤は、長波長領域に吸光能力を有する開始剤が好ましく、例えば、紫外線が360〜450nmの範囲において光開始能力を発揮する光重合開始剤が好ましい。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、粘度や透明基板への接着性改良等を目的として、前記(メタ)アクリル系重合体(B)以外の樹脂(G)を併用することができる。
前記その他の樹脂(G)としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン系共重合物;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリブタジエンやブタジエン−アクリロニトリル系共重合物などのポリブタジエン樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度は、母型へ均一に塗布することができ、さらに微細構造を有する母型の複製が可能であるようにするため、25℃で100〜30000mPa・sの範囲にあることが好ましく、なかでも150〜20000mPa・sであることが特に好ましい。上記範囲以外の粘度であっても、樹脂組成物の温度をコントロールして粘度を調節するなどの方法を取れば、使用することができる。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の酸価(試料1g中に存在する酸分を規定の方法に基き、中和するのに要した水酸化カリウムのミリグラム数)は、5.0mgKOH/g以下であることが環境安定性に優れる硬化物が得られる光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから好ましく、0mgKOH/g〜3.0mgKOH/gが特に好ましい。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、基材上に形成された硬化樹脂成形層に更なる耐光性が要求される場合等、必要に応じて、紫外線吸収剤を添加することができる。さらに、塗膜の改質や塗装適性、母型からの離型性を改善させる場合には、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等を添加することも可能である。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。
シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン類が挙げられる。
上記した如き種々の添加剤の使用量としては、その効果を十分発揮し、また紫外線硬化を阻害しない範囲であることから、該光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100重量部に対し、それぞれ0.01〜10重量部の範囲であることが好ましい。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には必要に応じて溶剤を含有させても良いが、溶剤の含有率は少ないほうが作業環境を汚染しにくい光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることから好ましい。具体的には、本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の溶剤含有率は1重量%以下が好ましい。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、フィルム状、シート状、板状の透明基材上の樹脂硬化物からなる成形樹脂層を設けた構造の各種物品に適した材料である。なかでも、レンズ等の透明性を必要とする物品の製造に用いる場合には、厚み200±25μmの硬化物において400〜900nmの波長領域の光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上となるように各樹脂組成物成分を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明の硬化物は本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる。該硬化物は、微細形状を賦した樹脂硬化層に加わる圧力が小さい場合は変形しない程度の硬さを有し、また一時的に強い圧力が加わった場合に変形が生じても、剛直すぎずに使用条件で形状復元できる硬さとするために、25℃における弾性率が1500MPa以下であることが好ましく、50〜1000MPaがより好ましい
本発明の硬化物を製造する方法としては、本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、必要とされる微細形状を有する母型上に充填した後、充填された該樹脂組成物上にプラスチック基材を空気が混入しないように加圧積層して密着させ、プラスチック基材側から紫外線等の活性エネルギー線を照射して該樹脂組成物を硬化させた後、母型から離型する方法などが挙げられる。また例えば、ロール状の母型に該樹脂組成物を連続的に充填した後、充填された該樹脂組成物上にプラスチック基材を空気が混入しないように連続的に密着させ、プラスチック基材側から紫外線等の活性エネルギー線を照射して該樹脂組成物を硬化させた後、ロール状の母型から離型する連続製造方法などが挙げられる。
これに用いることができるフィルム状、シート状、板状の透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物などのアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等が挙げられる。また、プラスチック基材ではないが、ガラス基材などの無機基材も同様に用いることが可能である。
本発明の光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させる活性エネルギー線は、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合、架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、例えば、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、または電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの内で実用上良く用いられるのは、可視光線、紫外線である。紫外線の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて重量基準である。
合成例1〔不飽和二重結合及び環状構造を有する単量体(A)の合成〕
温度計、攪拌器、及びコンデンサ−を備えたフラスコに、フェノキシエチルアクリレート300g、キシリレンジイソシアネート214g及びジ酢酸ジブチル錫0.2gを仕込み攪拌しながら70℃に昇温し、平均付加モル数が6のビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(OH価=230KOH-mg/g)417gを発熱に注意しながら1時間かけて添加反応した。反応を5時間行い、その後、ヒドロキシエチルアクリレート69gを添加し、更に5時間反応を行った。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収が消滅したことを確認し、不飽和二重結合及び環状構造を有する単量体(A)であるウレタンアクリレート(A−1)のフェノキシエチルアクリレート溶液を得た。ウレタンアクリレート(A−1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は2200であった。該フェノキシエチルアクリレート溶液中のウレタンアクリレート(A−1)の含有率は70%であった。
合成例2〔(メタ)アクリル系重合体(B)の合成〕
温度計、環流冷却管、撹拌機および窒素ガス導入口を備えた四つフラスコに、キシレン150gを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら130℃まで昇温したのち、メタクリル酸メチル30g、アクリル酸エチル63g、メタクリル酸グリシジル7g及びt−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエートの5gの混合溶解物を6時間かけて滴下した。滴下終了後130℃にて2時間保持したのち、t−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエート0.5gを加え、さらに同温度で4時間反応させた。次に、得られた樹脂溶液を減圧下、徐々に加熱しながら温度を上げキシレンを減圧留去した。次に雰囲気を酸素濃度7%雰囲気下(窒素:空気=2:1混合気)に変更し、フェノキシエチルアクリレート44gを加えて均一な溶液とした後、アクリル酸3.5g、トリフェニルホスフィン0.3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを加えて、120℃に昇温し5時間反応させ、不飽和二重結合を分子内に有する(メタ)アクリル系重合体(B−1)のフェノキシエチルアクリレート溶液を得た。(メタ)アクリル系重合体(B−1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は7200であった。該フェノキシエチルアクリレート溶液中の(メタ)アクリル系重合体(B−1)の含有率は70%であった。また、(メタ)アクリル系重合体(B−1)中の不飽和二重結合当量は2100であった。尚、ガスクロマトグラフ法によりフェノキシエチルアクリレート溶液中のキシレンの含有率を測定したところ、キシレンの含有率は1重量%以下であった。
合成例3(同上)
温度計、環流冷却管、撹拌機および窒素ガス導入口を備えた四つフラスコに、キシレン150gを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら130℃まで昇温したのち、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸n−ブチル10g、メタクリル酸グリシジル30g及びt−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエートの5gの混合溶解物を6時間かけて滴下した。滴下終了後130℃にて2時間保持したのち、t−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエート0.5gを加え、さらに同温度で4時間反応させた。次に、得られた樹脂溶液を減圧下、徐々に加熱しながら温度を上げキシレンを減圧留去した。次に雰囲気を酸素濃度7%雰囲気下(窒素:空気=2:1混合気)に変更し、トリプロピレングリコールジアクリレート50gを加えて均一な溶液とした後、アクリル酸15g、トリフェニルホスフィン0.3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを加えて、120℃に昇温し5時間反応させ、不飽和二重結合を分子内に有する(メタ)アクリル系重合体(B−2)のトリプロピレングリコールジアクリレート溶液を得た。(メタ)アクリル系重合体(B−2)のGPCによる重量平均分子量は6500であった。該トリプロピレングリコールジアクリレート溶液中の(メタ)アクリル系重合体(B−2)の含有率は70%であった。また、(メタ)アクリル系重合体(B−2)中の不飽和二重結合当量は520であった。尚、合成例2と同様にしてトリプロピレングリコールジアクリレート溶液中のキシレンの含有率を測定したところ、キシレンの含有率は1重量%以下であった。
合成例4(同上)
温度計、環流冷却管、撹拌機および窒素ガス導入口を備えた四つフラスコに、キシレン150gを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら130℃まで昇温したのち、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸n−ブチル25g、メタクリル酸15g及びt−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエート5gの混合溶解物を6時間かけて滴下した。滴下終了後130℃にて2時間保持したのち、t−ブチルパーオキシ−2ーエチルヘキサノエートの0.5gを加え、さらに同温度で4時間反応させた。次に、得られた樹脂溶液を減圧下、徐々に加熱しながらキシレンを減圧留去した。次に雰囲気を酸素濃度7%雰囲気下(窒素:空気=2:1混合気)に変更し、トリプロピレングリコールジアクリレート53gを加えて均一な溶液とした後、メタクリル酸グリシジル24g、トリフェニルホスフィン0.3g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gを加えて、120℃に昇温し5時間反応させ、不飽和二重結合を分子内に有する(メタ)アクリル系重合体(B−3)のトリプロピレングリコールジアクリレート溶液を得た。(メタ)アクリル系重合体(B−3)のGPCによる重量平均分子量は11500であった。該トリプロピレングリコールジアクリレート溶液中の(メタ)アクリル系重合体(B−3)の含有率は70%であった。また、(メタ)アクリル系重合体(B−3)中の不飽和二重結合当量は730であった。尚、合成例2と同様にしてトリプロピレングリコールジアクリレート溶液中のキシレンの含有率を測定したところ、キシレンの含有率は1重量%以下であった。
合成例5〔式(1)式で表される化合物の合成〕
2L4つ口フラスコに攪拌機、温度計、コンデンサー付水分離器等を装着した後、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(商品名:BPEF、JFEケミカル(株)製)400.0g、アクリル酸161.0g、トルエン 600mL、p−トルエンスルホン酸45.6g、ハイドロキノン4.6gを仕込み、攪拌しながら加熱し、脱水することによりエステル化反応を行った。反応時間は5時間であり、反応温度は103〜120℃であり、脱水反応による留出水は38gであった。次いで反応液を冷却した後、反応液をトルエン 1500mlで希釈し、20重量%水酸化ナトリウム水溶液200gを仕込んで中和した後、15重量%塩化ナトリウム水溶液500gを用いて洗浄し、さらにトルエンを留去し、式(1)においてR1及びR2が共に水素原子である化合物458.2g(収率91.9%)を得た。この得られた反応物の25℃における屈折率は1.6198であり、外観は無色〜微黄色透明の固体であった。なお、屈折率はアッベ屈折率計(型番:DR−M2、(株)アタゴ製)で測定した。この化合物を化合物1と略記する。
実施例1
第1表に示す配合により、光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を調製した。得られた光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の粘度を測定すると共に、該組成物1を用いて形状付き硬化物(L)、硬化樹脂フィルム(F)、平滑硬化物(S)を製造した。各物品に係る評価を下記の通り行った。結果を第3表に示す。
形状付き硬化物(L)については製造時の注型作業性の評価と得られた硬化物の型再現性及び硬化物の屈折率の評価を行った。
硬化樹脂フィルム(F)については、透明性の評価と環境安定性の評価を行った。
平滑硬化物(S)については、形状復元性と耐光性の評価を行った。
組成物1の粘度を測定方法、形状付き硬化物(L)、硬化樹脂フィルム(F)、平滑硬化物(S)の製造方法及び各物品の評価方法を下記に示す。
(1)光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の粘度の測定方法。
E型回転粘度計を用い、25℃での粘度(mPa・s)を測定した。
(2−1)形状付き硬化物(L)の製造方法。
必要により加熱することにより樹脂組成物の粘度の粘度を5000mPa・s以下に調製した。調整後の組成物を、幅120μm、高さ100μmの山形繰り返し形状を有するクロムメッキした金属母型と透明基材(透明で易接着処理されたPETフィルム)を重ね合わせた複合体の金属母型と透明基材との隙間に充填(注型)した後、超高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線をPETフィルム側から照射して硬化させ、次いで、PETフィルムを活性エネルギー線硬化樹脂層と共に金属母型から剥離し、金属母型の形状が転写された形状付き硬化物(L)を作製した。
(2−2)注型作業性の評価方法。
形状付き硬化物(L)作製時に光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を金属母型とPETフィルムとの間に樹脂組成物を入れる作業を行う際に母型への樹脂延転性が良好で充填作業性が良いものを◎、母型への樹脂延転性が困難で充填作業性が悪いものを×として評価した。
(2−3)型再現性の評価方法。
金属母型から剥離後の形状付き硬化物(L)の外観を目視にて観察し、下記基準に従って評価した。
◎:均一な表面形状が得られたもの。
×:金属母型細部へ樹脂が未到達状態、又は割れ・欠けや形状の抜け落ちが見られたもの。
(2−4)屈折率の測定方法。
METRICON社製、プリズムカプラ式屈折率計モデル2010にて樹脂硬化物の屈折率を測定した。
(3−1)硬化樹脂フィルム(F)の製造方法。
必要により加熱することにより樹脂組成物の粘度の粘度を5000mPa・s以下に調製した。調整後の組成物をガラス板上にアプリケーターにて塗布し、窒素雰囲気下、超高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた後、ガラス板から活性エネルギー線硬化樹脂層を剥離し、表面が平滑な厚さが160±25μmの硬化樹脂フィルム(F)を作製した。
(3−2)透明性の評価方法
400〜900nmの波長領域の光透過率を分光光度計測定し、全領域で85%以上の透過率を示すものを◎とし、透過率がそれ未満のものを×とした。
(3−3)環境安定性の評価方法(環境安定性1)
硬化樹脂フィルム(F)を、温度85℃、相対湿度95%の環境に240時間放置した。次いで、ヘイズ値を直読ヘーズコンピューター〔スガ試験機(株)製HGM−2DP〕を用いて測定し、測定値が1未満の場合を◎、1以上の場合を×とした。
(3−4)環境安定性の評価方法(環境安定性2)
硬化樹脂フィルム(F)を、温度120℃の環境に240時間放置した。次いで、日本電色製色差計(ZE2000)を用いて、加温前後における黄変度(ΔYI)をXYZ値より計算し、その差を示す数値が3未満の場合を◎、3〜7の場合を○、7以上の場合を×とした。
(4−1)平滑硬化物(S)の製造方法。
光学物品用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を、アクリル樹脂板と、クロムメッキした金属板との隙間に充填(注型)した後、超高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線をアクリル樹脂板側から照射して硬化させた。アクリル樹脂板を硬化した活性エネルギー線硬化樹脂層と共に金属板から剥離し、プラスチック基材に厚さ200±25μmの表面が平滑な硬化樹脂層を有する平滑硬化物(S)を作製した。
(4−2)形状復元性の評価方法
超微小硬度計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製、H−100)を用いたユニバーサル硬さ試験を応用し、下記(i)〜(v)の手順に従い形状復元性を評価した。圧子として、半径Rが0.2mmφのタングステンカーバイド製のボール圧子を使用した。
(i)40℃にて、侵入深さ(=変形量)が15〜20μmとなる圧縮荷重まで10秒間で荷重を増加させる。
(ii)この圧縮荷重値を60秒間維持する。
(iii)荷重値0.4mN(=試験機最低荷重)まで4秒間で減少させる。
(iv)荷重値0.4mNのまま60秒間維持し侵入深さを回復させる。
(v)以上の(i)〜(iv)を三回繰返し復元率の平均値を得る。
回復した平均の侵入深さが3μm未満の場合を◎、3μm以上5μm未満の場合を○、5μm以上8μm未満の場合を△、8μm以上の場合を×とした。
実施例2〜5及び比較例1〜2
第1表及び第2表に示す配合以外は実施例1と同様にして注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物2〜5及び比較対照用注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1´〜2´を調製した。実施例1と同様の評価を行った。その結果を第3表に示す。なお比較例3は、硬化性が非常に悪かったため、4000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。
<第1表及び第2表の脚注>
化合物1:9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)フェニル)フルオレン
(A−2):一般式(1)においてR1及びR2が水素原子で、m1+m2の平均値が10であるエチレンオキシド変性ビスフェノールAのジアクリレート。
(A−3):一般式(1)においてR1及びR2が水素原子で、m1+m2の平均値が4であるエチレンオキシド変性ビスフェノールAのジアクリレート
(A−4):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量640g/eq)とアクリル酸を反応させたエポキシアクリレート。
(A−5):フェノキシエチルアクリレート。
(A−6):フェニルグリシジルエーテルとアクリル酸の反応物。
(A−7):アクリロイルモルフォリン。
(C−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン。
(C−2):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
(TPGDA):トリプロピレングリコールジアクリレート。
(HDDA):1,6−ヘキサンジオールジアクリレート。
(TMP−EO3−TA):トリメチロールプロパンにエチレンオキシドが平均3モル付加した多価アルコールのトリアクリレート。
(PMMA―1):重量平均分子量が9000のポリメチルメタクリレート
(PMMA―2):重量平均分子量が80000のポリメチルメタクリレート
合成例2〜4において合成したアクリル系重合体(B)は重合性不飽和二重結合を有する単量体(例えば、合成例2においてはフェノキシエチルアクリレート)中に溶解した状態(溶液)である。第1表及び第2表においてはこの溶液中のアクリル系重合体(B)及び重合性不飽和二重結合を有する単量体をそれぞれ分けて記載してある。例えば、第1表においてフェノキシエチルアクリレートを15重量部、重合体(B−1)を35重量部用いている。これは、合成例2で合成した重合体(B)の溶液中の重合体(B)の含有率が70重量%であり、この溶液を50重量部用いると、第1表に示したように重合体(B−1)が35重量部、フェノキシエチルアクリレートを15重量部用いることになる。