JP5528884B2 - 紫外線硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
プリズムレンズシートを用いて液晶表示画面の輝度を向上させるためには、プリズム部分の樹脂の屈折率を上げる方策や単位プリズムの形状を最適化する方策が知られている。
紫外線硬化法を用いたプリズムレンズシートの製造方法としては、プリズム形状がついた金型に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した後に、基材フィルムを押さえつけ、基材フィルム側から紫外線照射することで紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、次いで基材フィルムと硬化した紫外線硬化性樹脂組成物を金型から離型する方法が用いられている。
しかし硫黄原子を含むモノマーを使用する方法では、液晶表示画面で長期間使用した際に黄変が大きくなる耐光性の問題や硫黄系化合物特有の不快な臭気の問題がある。
また、芳香族多環構造を有するモノマーを使用する方法では、紫外線の吸収波長領域が一般的な材料よりも広いため、液晶表示画面で長期間使用した際に黄変が非常に大きい耐光性の問題がある。また無機微粒子を添加する方法では、プリズムレンズシートのヘイズが上がるため透明性が悪く、液晶表示画面の輝度が向上しない問題がある。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル化合物(A)および光重合開始剤(B)を必須性成分として含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物(Q)である。
このため、プリズムレンズシートとして用いた時、高屈折率紫外線硬化性樹脂組成物でありながら、製造時に不快な臭気を発生しないため生産性に優れ、かつ透明性に優れ、耐光性が良好なため、液晶画面で長期間使用することができる。
さらに、分子量1,000〜10,000のウレタンオリゴマー(C)を併用することで、紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の樹脂粘度の調整が可能になり、塗工装置に適する粘度に調整することが容易になる。また、2官能以上のアクリル基を含有する多官能(メタ)アクリル化合物(D)を併用することで、必要に応じて樹脂強度の調整することもできる。
そして、本発明の(メタ)アクリル化合物(A)は下記一般式(1)で表される。
[式(1)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、nは平均値0〜10の数、mは平均値1〜5の整数である。]
R2は、水素原子またはメチル基であり、光硬化後の屈折率の観点から、水素原子が好ましい。
また、R3は、水素原子またはメチル基であり、合成の容易さの観点から、水素原子が好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル化合物」とは、「アクリル化合物」及び「メタクリル化合物」を表す。
フェノールとスチレンとの反応は、通常、フェノール1モルに対して、スチレンを2.1〜5モル、好ましくは2.2〜4.5モル、さらに好ましくは2.3〜4.0モル反応させる。
エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとのアルキレンオキサイド(以後、AOと略称する。)付加反応は、通常、スチレン化フェノール化合物(I)1モルに対して、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを0〜10モル、好ましくは0.1〜8.0モル、さらに好ましくは0.3〜6.0モル、特に好ましくは0.5〜4.0モル付加反応させる。
AO付加反応物(II)1モルに対し、(メタ)アクリル酸を1〜5モル、好ましくは1.05〜3モル反応させる。エステル化触媒は使用する(メタ)アクリル酸に対して0.1〜15モル%の濃度で存在させる。
光重合開始剤(B)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
0.001重量%以上であれば光硬化反応性がさらに良好に発揮でき、10重量%以下であれば硬化物の物性がさらに良好に発揮できる。
この目的で併用するウレタンオリゴマー(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフによる数平均分子量(以後、Mnと略称する。)は、金型への流れ込み性と塗工時の液垂れ防止の観点から好ましくは1,000〜10,000、さらに好ましくは1,300〜9,000、とくに好ましくは1,500〜8,000である。Mnが1,000未満であると塗工時の液垂れの問題、および温度によるバラツキが大きい問題があり、10,000よりも金型への流れ込み性に問題がある。
これらのうち、取り扱いの容易さと光硬化物の物性の観点から、好ましくは(メタ)アクリル含有ウレタンオリゴマー(C1)および水酸基含有ウレタンオリゴマー(C2)、さらに好ましくは(メタ)アクリル含有ウレタンオリゴマー(C1)である。
水酸基含有ウレタンオリゴマー(C2)、および末端イソシアネート基ウレタンオリゴマー(C3)は有機イソシアネート(Ca)とポリオール(Cb)との反応により合成させる。
これらのうち、屈折率の観点から、炭素数8〜20の芳香脂肪族2価アルコール(Cb−3)および(Cb−3)のAO1〜50モル付加物が好ましい。
例えば、1H−NMRで、ベンゼン骨格含量を求める場合には、内部標準物質を添加し、内部標準物質由来の1Hのピークの積分値と、ウレタンオリゴマー(C)中のベンゼン骨格上の1Hのピーク(7〜8ppm付近)の積分値の比率からウレタンオリゴマー(C)中のベンゼン骨格のモル数が求められ、分子量を乗じることでベンゼン骨格含量を求めることができる。
これらのうち、屈折率の観点からビスフェノールのAO2〜10モル付加物のジ(メタ)アクリレートが好ましい。
その他成分としては、増感剤(F1)、重合禁止剤(F2)、光安定剤(F3)、および金型離型剤(F4)等が挙げられる。
塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃である。乾燥時間は通常10分以下、硬化膜の物性および生産性の観点から好ましくは1〜5分である。
<(メタ)アクリル化合物(A−1)の合成方法>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル34部入れ溶融させ、活性白土3.5部を加え、110℃まで昇温した後スチレン100部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後けいそう土を用いて濾過しスチレン化フェノ−ルを得た。
得られたスチレン化フェノ−ル105部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを0.2部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド16.4部を吹き込み、135〜160℃で3時間反応させスチレン化フェノ−ルエチレンオキサイド(1.3モル)付加物を得た。
<(メタ)アクリル化合物(A−2)の合成方法>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、フェノ−ル34部入れ溶融させ、活性白土3.5部を加え、110℃まで昇温した後、α−メチルスチレン85部を3時間かけて滴下し、110〜120℃で1時間熟成する。その後けいそう土を用いて濾過しα−メチルスチレン化フェノ−ルを得た。
得られたα−メチルスチレン化フェノ−ル90部を攪拌機、温度計、耐圧ボンベを備えたオ−トクレ−ブに入れ、水酸化カリウムを0.2部加え135℃に昇温し、エチレンオキサイド33部を吹き込み、135〜160℃で3時間反応させ、α−メチルスチレン化フェノ−ルエチレンオキサイド(3.0モル)付加物を得た。
<(メタ)アクリル化合物(A’−1)の製造方法>
エチレンオキサイドを150部に変更した以外は、合成例1と同様にして(メタ)アクリル化合物(A’−1)を得た。これは、一般式(1)において、R1=水素原子、R2=水素原子、R3=水素原子、n=11.5、m=2.8に該当する。
<(メタ)アクリル化合物(A’−2)の製造方法>
スチレンを60部に変更した以外は、合成例1と同様にして(メタ)アクリル化合物(A’−2)を得た。これは、一般式(1)において、R1=水素原子、R2=水素原子、R3=水素原子、n=2.3、m=1.7に該当する。
<硫黄原子含有(メタ)アクリル化合物(A’−3)の製造方法>
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ポンプを備えたフラスコに、トルエン300部、硫黄原子を含有するフェニルメルカプタン110部を投入し、50℃に昇温し、均一になるまで攪拌した。ついで、2−メタクリロキシエチル イソシアネート(カレンズ MOI:昭和電工社製)155部とビスマス系触媒(ネオスタンU−600:日東化成(株)製)0.1部を徐々に滴下した後、10時間攪拌した。その後トルエンを除去し、硫黄原子を含有する(メタ)アクリル化合物(A’−3)を得た。
<ウレタンオリゴマー(C−1)の製造方法>
攪拌機および空気導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物207部を投入し、撹拌下、減圧しながら70℃で加熱し含有水分を除去した。脱水後、酢酸エチル500部を投入し均一にした後に、50℃以下まで温度を低下させた。
ついでイソホロンジイソシアネート(IPDI)114部、キシリレンジイソシアネート(XDI)56部、およびウレタン化触媒としてビスマス系触媒(ネオスタンU−600:日東化成(株)製)0.4部加え、撹拌下、75℃で10時間反応させることにより両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。
得られたウレタンプレポリマーに2−ヒドロキシエチルアクリレート43部加え、空気通気化、75℃、4時間反応させた後、50℃以下まで温度を低下させ、酢酸エチルを減圧除去することで両末端にアクリロイル基を有するウレタンオリゴマー(C−1)を得た。このウレタンオリゴマー(C−1)の数平均分子量Mnは1,800であった。
攪拌機の付いた容器に、合成例1で作成した(メタ)アクリル化合物(A−1)50部、製造例1で作成したウレタンオリゴマー(C−1)20部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物ジアクリレート(ネオマーBA−641:三洋化成工業(株)製)20部、ベンジルアクリレート5部および光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184:長瀬産業(株)製)5部を投入し50℃で均一溶解させることで本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q−1)を得た。
表1に記載の原料と配合部数で、実施例1と同様にして、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q−2)、(Q−3)、および比較例の紫外線硬化型樹脂組成物(Q’−1)〜(Q’−5)を得た。
芳香族多環構造含有(メタ)アクリル化合物(A’−4):2−フェニルフェノキシポリエトキシアクリレート(NKエステル A−LEN−10:新中村化学(株)製)
酸化チタン(オプトレイク1820Z:触媒化成工業株式会社製)
紫外線硬化型樹脂組成物(Q−1)〜(Q−3)、および(Q’―1)〜(Q’―5)の性能評価として、光硬化後の屈折率、光硬化後のヘイズ、耐光性について以下の方法で評価した。
紫外線硬化型樹脂組成物を、厚さ40μmでガラス板に上に塗布した後に、PETフィルム(商品名 コスモシャインA4300−150μm:東洋紡社製)をかぶせて、500mJ/cm2の紫外線照射し光硬化した。その後、PETフィルムと光硬化樹脂をガラス板より離型し、樹脂フィルムを得た。この樹脂フィルムを23℃で屈折率計(DR−M2:アタゴ社製)を用いて屈折率の測定をおこなった。
上記樹脂フィルムを、ヘイズ測定装置(300A:日本電色社製)でヘイズの測定を行った。
上記樹脂フィルムを、耐光性促進試験機(SUV−131W:岩崎電気社製)で、60℃の条件下、60W/m2の照射を24時間実施した。この照射前後の樹脂フィルムを色差計(CM3600d:ミノルタ社製)で測定したJIS Z8729記載のL*値、a*値、b*値から、下記式で色差ΔEを算出した。
一方、アルキレンオキサイドの付加モル数が大きい(メタ)アクリル化合物(A’−1)を用いた比較例1、および導入スチレン骨格の数が小さい(メタ)アクリル化合物(A’−2)を用いた比較例2は、屈折率が小さい。
また硫黄原子を含有する(メタ)アクリル化合物(A’−3)を用いた比較例3および芳香族多環構造を含有する(メタ)アクリル化合物(A’−4)を用いた比較例4は、耐光性が悪い問題がある。
高屈折率化のために酸化チタンを使用した比較例5は、ヘイズが高く透明性が劣る問題があることが分かる。
Claims (5)
- さらに、分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を含有する多官能(メタ)アクリル化合物(D)を含有する請求項1 記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
- 該ウレタンオリゴマー(C)中のベンゼン骨格含有量が、15〜50重量%である請求項1または2記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
- 該ウレタンオリゴマー(C)が、有機イソシアネートとポリオールと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物である(メタ)アクリレート含有ウレタンオリゴマー(C1)である請求項1〜3いずれか記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
- 紫外線照射による硬化物の23℃での屈折率が1.560以上である請求項1〜4いずれか記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
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