JP2004323557A - 硬化型組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に活性エネルギー線硬化型組成物として有用な硬化型組成物に関するものであり、インキ、接着剤、塗料及び成形材の用途に使用可能なもので、特に高屈折率であるため光学材料用として有用であり、これら技術分野において賞用され得るものである。
尚、本明細書においてはアクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表わす。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性エネルギー線硬化型組成物は、その速硬化性等の機能を利用して、コーティング材、印刷インキ及び成型材等の種々の用途に用いられている。
近年においては、エレクトロニクス分野の進歩に伴い、活性エネルギー線硬化型組成物は、レンズシート等の各種光学材料への応用が検討されてきている。レンズシートの具体例としては、パソコン等のカラー液晶表示装置に用いるプリズムシート、及びプロジェクションテレビ等の投射スクリーンとして用いられるフレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシート等が挙げられる。レンズシート以外の光学材料関連用途としては、偏光フィルム等の光学フィルムのコーティング材等といった光学材料用への応用が検討されてきている。
例えば、ウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレートと芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型組成物が検討されている(特許文献1及び特許文献2等)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−65318号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平11−92539公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
活性エネルギー線硬化型組成物を使用した光学材料、特にレンズシートの製造方法としては、レンズ形状を有する金型と透明シート基材との間に活性エネルギー線硬化型組成物を流し込み、基材の側から紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が一般に採用される。
しかしながら、前記組成物は、プロジェクションテレビの薄膜化や液晶表示装置の輝度向上に対応したレンズシートへの応用した場合、透明シート基材への密着性の点で不十分なものであった。特に、透明性や耐候性に優れ、レンズシートの基材として好適とされているメタクリル系の透明シート基材への密着性が不十分なものであった。
本発明者らは、硬化性に優れ、高屈折率で、透明シート基材、特にメタクリル系の透明シート基材との密着性に優れる硬化型組成物、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物、より好ましくは光学物品製造に適して活性エネルギー線硬化型組成物を見出すべく鋭意検討を行ったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明者らは種々の研究の結果、特定構造を有する(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型組成物が、活性エネルギー線による硬化が速く、その硬化物が高屈折率で透明性及び基材との密着性に優れることを見出し本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
1.(A)成分
本発明における(A)成分は、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートである。
【0007】
【化2】
【0008】
〔但し、式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水酸基を有しても良いアルキレン基を表す。nは1〜10の整数を表し、aは1又は2の整数を表わす。〕
【0009】
R3のアルキレン基としては、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。水酸基を有するアルキレン基としては、−(CH2)CH(OH)CH2−が好ましい。
nは、オキシアルキレン基の繰り返し数を意味し、1〜10の整数であり、好ましくは1〜4である。
(A)成分におけるPh−CH(R2)−の置換位置としては、フェノール性酸素に対して、オルト位かパラ位に付加したものが好ましい。
(A)成分は、2種以上併用することもできる。
【0010】
(A)成分は、種々の方法で製造されたものが使用できる。(A)成分の好ましい製造方法としては、下記式(2)で表わされる化合物〔以下化合物(2)という〕に(メタ)アクリル酸をエステル化させる方法、又は下記式(3)で表わされる化合物〔以下化合物(3)という〕に(メタ)アクリル酸を付加させる方法等が挙げられる。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
但し、式(2)及び式(3)におけるR2、R3、n及びaは、前記式(1)と同様の意味を示す。
【0014】
化合物(2)としては、例えば2−(1−フェニルエチル)フェノール、4−(1−フェニルエチル)フェノール及び2,4−ジ(1−フェニルエチル)フェノール等が挙げられる。
化合物(2)と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応の条件は常法に従えば良く、有機溶媒を使用し、酸触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・攪拌する方法が好ましい。
化合物(3)としては、例えば2−(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、4−(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル及び2,4−ジ(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
化合物(3)と(メタ)アクリル酸との反応条件は常法に従えば良く、触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・攪拌する方法が好ましい。触媒としては、3級アミン類、4級アンモニウム塩類及びリン化合物等が挙げられる。又、必要に応じて有機溶剤を使用することもできる。
【0015】
2.(B)成分
本発明における(B)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。
(B)成分としては、種々の化合物が使用でき、具体的には、水酸基含有(メタ)アクリレート、多価イソシアネート化合物及び多価アルコール化合物の反応物〔以下(B−1)という〕、並びに水酸基含有(メタ)アクリレート(a)と多価イソシアネート化合物(b)の反応物〔以下(B−2)という〕等が挙げられる。
【0016】
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
多価アルコール化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルポリオール、エチレングリコールアジペート、ブタンジオールアジペート、ブタンジオールフタレート及びヘキサンジオールフタレート等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0017】
前記(B−1)としては、多価イソシアネート化合物及び多価アルコール化合物を反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ製造したものが好ましい。
(B)成分は、2種以上併用することもできる。
【0018】
3.その他の成分
本発明の組成物は、前記(A)及び(B)成分を必須とする硬化型組成物であるが、必要に応じてその他の成分を含有するものであっても良い。
その他の成分の好ましい例としては、ビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレート〔以下(C)成分という〕、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の化合物〔以下(D)成分という〕、重合開始剤〔以下(E)成分という〕、前記(A)〜(D)成分以外の(メタ)アクリレート〔以下(F)成分という〕を配合することができる。
以下、それぞれの成分について説明する。
【0019】
1)(C)成分
本発明の組成物では、硬化性をさらに向上させる目的で、(C)成分のビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレートを含有させることが好ましい。
(C)成分としては、下記式(4)で表わされるジ(メタ)アクリレート及び/又はビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
【化5】
【0021】
但し、式(4)において、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は水酸基を有しても良いアルキレン基を表し、Xは−CH2−、−C(CH3)2−、−S−、又は−SO2−を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立して水素原子、メチル基、又は臭素原子を表す。k、lはそれぞれ1〜5の整数を表す。
R5のアルキレン基としては、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。水酸基を有するアルキレン基としては、−(CH2)CH(OH)CH2−が好ましい。
k及びlは、オキシアルキレン基の繰り返し数を意味し、1〜5の整数であり、k+lは、1〜10が好ましい。
【0022】
式(4)で表わされる化合物〔以下化合物(4)という〕の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS又はビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸の反応物であるジ(メタ)アクリレートが挙げられる。この場合のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
化合物(4)としては、より具体的には、ビスフェノールAジエトキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジエトキシ(メタ)アクリレート及びビス(4−(メタ)アクリロイルエトキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
【0023】
ビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル等のビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の付加反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(C)成分は、2種以上を併用することもできる。
【0024】
2)(D)成分
本発明においては、メタクリル系の透明基材への密着性をさらに向上させるために、(D)成分として、エチレン性不飽和結合を1個有する分子量200以下の化合物を含有させることが好ましい。
(D)成分としては、エチレン性不飽和結合を1個有し、分子量200以下の化合物であれば種々の化合物が使用でき、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
(D)成分は、2種以上併用することもできる。
【0025】
3)(E)成分
本発明は硬化型組成物であり、この場合活性エネルギー線により硬化させることもでき、加熱により硬化させることもできる。この場合、組成物に、重合開始剤を配合することもできる。
【0026】
本発明の組成物を可視光線又は紫外線硬化型の組成物として使用する場合には、光重合開始剤〔以下(E−1)成分という〕を配合する。尚、電子線硬化型組成物とする場合は、必ずしも(E−1)成分を配合する必要はない。
【0027】
(E−1)成分としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が挙げられる。
これらの光重合開始剤は単独で用いることも、安息香酸系及びアミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて用いることもできる。
(E−1)成分は、2種以上を併用することもできる。
【0028】
本発明の組成物を熱硬化型組成物として使用する場合、熱重合開始剤〔以下(E−2)成分という〕を配合することが好ましい。
(E−2)成分の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、並びに1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン及びアゾジ−t−ブタン等のアゾ系化合物が挙げられる。
これらの(E−2)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることも可能である。
(E−2)成分を配合する場合、その割合としては硬化性成分)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
【0029】
4)(F)成分
本発明の硬化型組成物では上記(A)〜(E)成分以外に、組成物の粘度、硬化性、密着性等の物性を調整するために、前記(A)〜(D)成分以外の(メタ)アクリレート化合物をさらに配合してもよい。
(F)成分の具体例としては、モノ(メタ)アクリレート、ポリオールポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等がある。
【0030】
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;フェノキシポリエトキシ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロポキシ(メタ)アクリレート等のフェノールのポリアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート;2−フェニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート及び4−クミルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート等の置換フェノールアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルフォリン;並びにイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
ポリオールポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステル化ジオールのジ(メタ)アクリレート等のジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;並びにトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート及びジ(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の多塩基酸類又はその無水物類と、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物のトリオール、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物のトリオール、及びペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物のテトラオール等の多価アルコール類との反応よって得られるポリエステル型の多価アルコール類と(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる。
【0033】
4.硬化型組成物
本発明の組成物は、(A)及び(B)成分を、必要に応じてさらに(C)〜(F)成分やその他成分を常法に従い攪拌混合して得ることができる。
【0034】
本発明の組成物における(A)成分及び(B)成分の割合としては、これらの合計100質量部に対し、(A)成分が20〜70質量部及び(B)成分が80〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは(A)成分が30〜70質量部及び(B)成分が70〜30質量部である。(A)成分の割合が20質量部に満たない場合は、硬化物の屈折率が低下し、又透明基材との密着性が不十分になることがあり、他方(A)成分が70質量部を越える場合には、硬化性が低下することがある。又(B)成分が30質量部に満たない場合は、透明基材との密着性が不十分になることがあり、他方(B)成分が80質量部を越える場合には、組成物の粘度が高くなりすぎて成形性が悪くなる。
【0035】
本発明の組成物に(C)成分を配合する場合の(C)成分の割合としては、(A)成分〜(C)成分の合計100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。(C)成分が5質量部に満たない場合は、十分な硬化性を得ることができない場合があり、他方(C)成分が40質量部を越える場合には、透明基材との密着性が不十分になることがある。
【0036】
本発明の組成物に(D)成分を配合する場合、(D)成分の割合としては、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して、10〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜40質量部である。(D)成分が10質量部に満たない場合は、透明基材との密着性が十分に得られない場合があり、他方(D)成分が40質量部を越える場合には、屈折率が低下し硬化性が低下することがある。
【0037】
本発明の組成物に(E)成分を配合する場合、(E)成分の割合としては、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは1〜5質量部ある。(E)成分の割合が0.1質量部に満たない場合には、組成物の硬化性が不十分となり、他方10質量部を越える場合には、耐候性や熱安定性が低下することがある。
【0038】
本発明の組成物には、必要に応じて、さらに離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えばヒンダードアミン等)、酸化防止剤、重合防止剤、帯電防止剤及び密着性改良剤(例えば各種ポリマー類)等のその他成分を添加することもできる。
【0039】
5.使用方法及び用途
本発明の組成物は種々の用途に使用可能であり、例えばハードコート塗料等のコーティング材、接着剤及び成型材等が挙げられる。
特に、本発明の組成物は、その硬化物の屈折率に優れるため、光学物品用に好ましく使用することができる。
【0040】
本発明の組成物は、その速硬化性により生産性を向上させることができることから、活性エネルギー線硬化型組成物として使用することが好ましい。
硬化型組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合、活性エネルギー線としては可視光線、紫外線及び電子線等が挙げられ、特別な装置を必要とせず簡便であるため、可視光線及び紫外線が好ましい。
【0041】
本発明の組成物の使用方法として塗料及び接着剤等として使用する場合は、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線硬化性組成物の場合は活性エネルギー線を照射し、熱硬化性組成物の場合は加熱する。又、成型材として使用する場合は組成物を空間部を有する型に流し込み、その後前記と同様にして硬化させる方法等が挙げられる。成型材及びハードコート剤の用途に使用する場合は、組成物として光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用したものを使用し、これを活性エネルギー線照射した後に加熱硬化させることにより硬化物の性能を向上させるか、又は基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
【0042】
基材としてはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。
【0043】
活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において活性エネルギー線の照射方法及び条件は常法に従えば良い。又、熱重合型組成物として使用する場合において、熱重合方法及び条件は常法に従えば良い。
【0044】
前記の通り、本発明の組成物は、光学部材に好ましく使用することができ、特に光学レンズとして好ましく使用できる。さらに透明プラスチック基材との密着性に優れるため、液晶表示装置等に正面輝度向上のために使用されるプリズムレンズ、プロジェクションテレビ等に用いられるフレネルレンズ及びレンチキュラーレンズ等のレンズシートの製造に好ましく使用できる。
レンズシートの製造例としては、プリズムレンズ及びフレネルレンズ等の目的の形状を有するスタンパーに、常法に従い塗布して該組成物の層を設け、その層の上に適用される透明プラスチック基板を接着させ、次いで当該基材を通して、活性エネルギー線を照射して組成物を硬化させた後、スタンパーから剥離する方法等が挙げられる。
この場合の活性エネルギー線の照射方法は、一般的な方法を採用することができる。
透明プラスチック基板としては、メタクリル系樹脂が好ましい。
【0045】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
【0046】
○合成例1〔(A)成分の合成〕
式(5)で表される化合物131部、アクリル酸40部、トルエン171部、p−トルエンスルホン酸6.8部及びメチルハイドロキノン0.2部を、ディーンスタークトラップ(水分離器)、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた500mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら加熱した。
エステル化反応中の生成水はトルエンとともに共沸させて除き、水が9.8部生成した時点で反応を停止した。反応温度は120〜140℃であった。
【0047】
【化6】
【0048】
得られた反応液を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、4%硫酸アンモニウム水溶液で洗浄した。この洗浄した反応液から溶媒を減圧除去し、下記式(6)で表されるアクリレート(以下A−1という)を145部得た。
A−1の粘度(25℃)は128mPa・sであり、屈折率(25℃)は1.558であった。
【0049】
【化7】
【0050】
○合成例2〔(A)成分の合成〕
下記式(7)で表わされる化合物141部、アクリル酸40部、トルエン181部、p−トルエンスルホン酸7.2部及びメチルハイドロキノン0.2部を使用する以外は、合成例1と同様に反応を行ない、式(8)で表わされるアクリレート(以下A−2という)を149部得た。
A−2の粘度(25℃)は145mPa・sであり、屈折率(25℃)は1.546であった。
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
○合成例3〔(B)成分の合成〕
ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)200部、トリレンジイソシアネート34.8部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.25部及びメチルハイドロキノン0.13部を、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた500mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら60℃で1時間攪拌した。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレートを23.2部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−1という)を得た。
【0054】
○合成例4〔(B)成分の合成〕
トリレンジイソシアネート139.2部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.32部及びメチルハイドロキノン0.16部を、合成例3と同様のフラスコに仕込み、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート185.6部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−2という)を得た。
【0055】
○合成例5〔(B)成分の合成〕
ビスフェノールAのエチレンオキサイド3モル付加物(数平均分子量360)72部、トリレンジイソシアネート69.6部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.27部、メチルハイドロキノン0.13部を、合成例3と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら60℃で1時間攪拌した。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート46.4部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−3という)を得た。尚、反応性希釈剤として、フェノキシエチルアクリレートを80部用いた。
【0056】
○実施例1〜5、比較例1、2
(A)成分〜(E)成分を表1に示す配合組成に従い、攪拌混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
得られた組成物について、下記に示す方法に従い、屈折率、透明性、硬化性及び密着性を評価した。それらの結果を、表1に示す。
【0057】
1)硬化性
基材としてボンデライト鋼板〔日本テストパネル社(株)製PB−144〕を使用し、得られた組成物を膜厚10μmで塗工し、これを80W/cm集光型高圧水銀灯による紫外線を照射したコンベアを速度20m/分で通過させた。
通過後の硬化膜に手を触れ、表面のタックがなくなるまでの通過パス回数で評価した(1通過の照射量約150mJ/cm2)。
【0058】
2)密着性
基材としてポリメタクリル板〔(株)エンジニアリングテストサービス製MMA〕を使用し、得られた組成物を膜厚100μmで塗工し、80W/cm集光型高圧水銀灯により、硬化性試験と同様の条件で紫外線を7パス照射して硬化膜を作成した。
得られた硬化膜に1mm間隔で100個のマス目を作成し、粘着テープの商品名セロハンテープを使用し、これを塗膜に密着させて急激に剥がした際に、硬化膜がマス目に残る程度で判断した。表1における○、△及び×は、以下の意味を示す。
○:硬化膜の残りが100/100
△:硬化膜の残りが95〜99/100
×:硬化膜の残りが0〜95/100
【0059】
3)透明性
密着性試験で得られた硬化膜について目視で観察し、次の基準で評価した。
○:透明である。
×:濁りがある。
【0060】
4)屈折率:
1辺5cmで100μmの深さを有する正方形の型に、得られた組成物を流し込み、これを硬化性試験と同様の紫外線照射条件及びコンベア速度で7回通過させて硬化物を得た。
得られた硬化物を1辺1cmの大きさの正方形に切って試験片とし、アッベ屈折率計により589.3nmのD線における25℃の屈折率を測定した。
【0061】
【表1】
【0062】
表1における略号は、以下の意味を示す。
1)C−1:ビスフェノールA型エポキシアクリレート〔昭和高分子(株)製リポキシSP−1509〕
2)C−2:ビスフェノールA ジエトキシジアクリレート
3)D−1:フェノキシエチルアクリレート〔共栄社化学(株)製ライトアクリレートPO−A〕
4)E−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184〕
【0063】
上記の結果から、実施例の本発明の組成物は、活性エネルギー線による硬化が速く、得られた硬化物は、高屈折率であり、透明性及び透明基材との密着性に優れるものであった。
【0064】
【本発明の効果】
本発明の組成物は、硬化性に優れ、得られる硬化物は、高屈折率で、透明性及び密着性に優れるものであり、光学部材として、特にレンズシートとして有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に活性エネルギー線硬化型組成物として有用な硬化型組成物に関するものであり、インキ、接着剤、塗料及び成形材の用途に使用可能なもので、特に高屈折率であるため光学材料用として有用であり、これら技術分野において賞用され得るものである。
尚、本明細書においてはアクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表わす。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性エネルギー線硬化型組成物は、その速硬化性等の機能を利用して、コーティング材、印刷インキ及び成型材等の種々の用途に用いられている。
近年においては、エレクトロニクス分野の進歩に伴い、活性エネルギー線硬化型組成物は、レンズシート等の各種光学材料への応用が検討されてきている。レンズシートの具体例としては、パソコン等のカラー液晶表示装置に用いるプリズムシート、及びプロジェクションテレビ等の投射スクリーンとして用いられるフレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシート等が挙げられる。レンズシート以外の光学材料関連用途としては、偏光フィルム等の光学フィルムのコーティング材等といった光学材料用への応用が検討されてきている。
例えば、ウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレートと芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型組成物が検討されている(特許文献1及び特許文献2等)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−65318号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平11−92539公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
活性エネルギー線硬化型組成物を使用した光学材料、特にレンズシートの製造方法としては、レンズ形状を有する金型と透明シート基材との間に活性エネルギー線硬化型組成物を流し込み、基材の側から紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が一般に採用される。
しかしながら、前記組成物は、プロジェクションテレビの薄膜化や液晶表示装置の輝度向上に対応したレンズシートへの応用した場合、透明シート基材への密着性の点で不十分なものであった。特に、透明性や耐候性に優れ、レンズシートの基材として好適とされているメタクリル系の透明シート基材への密着性が不十分なものであった。
本発明者らは、硬化性に優れ、高屈折率で、透明シート基材、特にメタクリル系の透明シート基材との密着性に優れる硬化型組成物、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物、より好ましくは光学物品製造に適して活性エネルギー線硬化型組成物を見出すべく鋭意検討を行ったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明者らは種々の研究の結果、特定構造を有する(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型組成物が、活性エネルギー線による硬化が速く、その硬化物が高屈折率で透明性及び基材との密着性に優れることを見出し本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
1.(A)成分
本発明における(A)成分は、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートである。
【0007】
【化2】
【0008】
〔但し、式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水酸基を有しても良いアルキレン基を表す。nは1〜10の整数を表し、aは1又は2の整数を表わす。〕
【0009】
R3のアルキレン基としては、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。水酸基を有するアルキレン基としては、−(CH2)CH(OH)CH2−が好ましい。
nは、オキシアルキレン基の繰り返し数を意味し、1〜10の整数であり、好ましくは1〜4である。
(A)成分におけるPh−CH(R2)−の置換位置としては、フェノール性酸素に対して、オルト位かパラ位に付加したものが好ましい。
(A)成分は、2種以上併用することもできる。
【0010】
(A)成分は、種々の方法で製造されたものが使用できる。(A)成分の好ましい製造方法としては、下記式(2)で表わされる化合物〔以下化合物(2)という〕に(メタ)アクリル酸をエステル化させる方法、又は下記式(3)で表わされる化合物〔以下化合物(3)という〕に(メタ)アクリル酸を付加させる方法等が挙げられる。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
但し、式(2)及び式(3)におけるR2、R3、n及びaは、前記式(1)と同様の意味を示す。
【0014】
化合物(2)としては、例えば2−(1−フェニルエチル)フェノール、4−(1−フェニルエチル)フェノール及び2,4−ジ(1−フェニルエチル)フェノール等が挙げられる。
化合物(2)と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応の条件は常法に従えば良く、有機溶媒を使用し、酸触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・攪拌する方法が好ましい。
化合物(3)としては、例えば2−(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、4−(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル及び2,4−ジ(1−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
化合物(3)と(メタ)アクリル酸との反応条件は常法に従えば良く、触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・攪拌する方法が好ましい。触媒としては、3級アミン類、4級アンモニウム塩類及びリン化合物等が挙げられる。又、必要に応じて有機溶剤を使用することもできる。
【0015】
2.(B)成分
本発明における(B)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。
(B)成分としては、種々の化合物が使用でき、具体的には、水酸基含有(メタ)アクリレート、多価イソシアネート化合物及び多価アルコール化合物の反応物〔以下(B−1)という〕、並びに水酸基含有(メタ)アクリレート(a)と多価イソシアネート化合物(b)の反応物〔以下(B−2)という〕等が挙げられる。
【0016】
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
多価アルコール化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルポリオール、エチレングリコールアジペート、ブタンジオールアジペート、ブタンジオールフタレート及びヘキサンジオールフタレート等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0017】
前記(B−1)としては、多価イソシアネート化合物及び多価アルコール化合物を反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ製造したものが好ましい。
(B)成分は、2種以上併用することもできる。
【0018】
3.その他の成分
本発明の組成物は、前記(A)及び(B)成分を必須とする硬化型組成物であるが、必要に応じてその他の成分を含有するものであっても良い。
その他の成分の好ましい例としては、ビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレート〔以下(C)成分という〕、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の化合物〔以下(D)成分という〕、重合開始剤〔以下(E)成分という〕、前記(A)〜(D)成分以外の(メタ)アクリレート〔以下(F)成分という〕を配合することができる。
以下、それぞれの成分について説明する。
【0019】
1)(C)成分
本発明の組成物では、硬化性をさらに向上させる目的で、(C)成分のビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレートを含有させることが好ましい。
(C)成分としては、下記式(4)で表わされるジ(メタ)アクリレート及び/又はビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
【化5】
【0021】
但し、式(4)において、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は水酸基を有しても良いアルキレン基を表し、Xは−CH2−、−C(CH3)2−、−S−、又は−SO2−を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立して水素原子、メチル基、又は臭素原子を表す。k、lはそれぞれ1〜5の整数を表す。
R5のアルキレン基としては、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。水酸基を有するアルキレン基としては、−(CH2)CH(OH)CH2−が好ましい。
k及びlは、オキシアルキレン基の繰り返し数を意味し、1〜5の整数であり、k+lは、1〜10が好ましい。
【0022】
式(4)で表わされる化合物〔以下化合物(4)という〕の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS又はビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸の反応物であるジ(メタ)アクリレートが挙げられる。この場合のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
化合物(4)としては、より具体的には、ビスフェノールAジエトキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジエトキシ(メタ)アクリレート及びビス(4−(メタ)アクリロイルエトキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
【0023】
ビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル等のビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の付加反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(C)成分は、2種以上を併用することもできる。
【0024】
2)(D)成分
本発明においては、メタクリル系の透明基材への密着性をさらに向上させるために、(D)成分として、エチレン性不飽和結合を1個有する分子量200以下の化合物を含有させることが好ましい。
(D)成分としては、エチレン性不飽和結合を1個有し、分子量200以下の化合物であれば種々の化合物が使用でき、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
(D)成分は、2種以上併用することもできる。
【0025】
3)(E)成分
本発明は硬化型組成物であり、この場合活性エネルギー線により硬化させることもでき、加熱により硬化させることもできる。この場合、組成物に、重合開始剤を配合することもできる。
【0026】
本発明の組成物を可視光線又は紫外線硬化型の組成物として使用する場合には、光重合開始剤〔以下(E−1)成分という〕を配合する。尚、電子線硬化型組成物とする場合は、必ずしも(E−1)成分を配合する必要はない。
【0027】
(E−1)成分としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が挙げられる。
これらの光重合開始剤は単独で用いることも、安息香酸系及びアミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて用いることもできる。
(E−1)成分は、2種以上を併用することもできる。
【0028】
本発明の組成物を熱硬化型組成物として使用する場合、熱重合開始剤〔以下(E−2)成分という〕を配合することが好ましい。
(E−2)成分の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、並びに1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン及びアゾジ−t−ブタン等のアゾ系化合物が挙げられる。
これらの(E−2)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることも可能である。
(E−2)成分を配合する場合、その割合としては硬化性成分)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
【0029】
4)(F)成分
本発明の硬化型組成物では上記(A)〜(E)成分以外に、組成物の粘度、硬化性、密着性等の物性を調整するために、前記(A)〜(D)成分以外の(メタ)アクリレート化合物をさらに配合してもよい。
(F)成分の具体例としては、モノ(メタ)アクリレート、ポリオールポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等がある。
【0030】
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;フェノキシポリエトキシ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロポキシ(メタ)アクリレート等のフェノールのポリアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート;2−フェニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート及び4−クミルフェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート等の置換フェノールアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルフォリン;並びにイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
ポリオールポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステル化ジオールのジ(メタ)アクリレート等のジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;並びにトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート及びジ(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の多塩基酸類又はその無水物類と、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物のトリオール、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物のトリオール、及びペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物のテトラオール等の多価アルコール類との反応よって得られるポリエステル型の多価アルコール類と(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる。
【0033】
4.硬化型組成物
本発明の組成物は、(A)及び(B)成分を、必要に応じてさらに(C)〜(F)成分やその他成分を常法に従い攪拌混合して得ることができる。
【0034】
本発明の組成物における(A)成分及び(B)成分の割合としては、これらの合計100質量部に対し、(A)成分が20〜70質量部及び(B)成分が80〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは(A)成分が30〜70質量部及び(B)成分が70〜30質量部である。(A)成分の割合が20質量部に満たない場合は、硬化物の屈折率が低下し、又透明基材との密着性が不十分になることがあり、他方(A)成分が70質量部を越える場合には、硬化性が低下することがある。又(B)成分が30質量部に満たない場合は、透明基材との密着性が不十分になることがあり、他方(B)成分が80質量部を越える場合には、組成物の粘度が高くなりすぎて成形性が悪くなる。
【0035】
本発明の組成物に(C)成分を配合する場合の(C)成分の割合としては、(A)成分〜(C)成分の合計100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。(C)成分が5質量部に満たない場合は、十分な硬化性を得ることができない場合があり、他方(C)成分が40質量部を越える場合には、透明基材との密着性が不十分になることがある。
【0036】
本発明の組成物に(D)成分を配合する場合、(D)成分の割合としては、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して、10〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜40質量部である。(D)成分が10質量部に満たない場合は、透明基材との密着性が十分に得られない場合があり、他方(D)成分が40質量部を越える場合には、屈折率が低下し硬化性が低下することがある。
【0037】
本発明の組成物に(E)成分を配合する場合、(E)成分の割合としては、(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは1〜5質量部ある。(E)成分の割合が0.1質量部に満たない場合には、組成物の硬化性が不十分となり、他方10質量部を越える場合には、耐候性や熱安定性が低下することがある。
【0038】
本発明の組成物には、必要に応じて、さらに離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えばヒンダードアミン等)、酸化防止剤、重合防止剤、帯電防止剤及び密着性改良剤(例えば各種ポリマー類)等のその他成分を添加することもできる。
【0039】
5.使用方法及び用途
本発明の組成物は種々の用途に使用可能であり、例えばハードコート塗料等のコーティング材、接着剤及び成型材等が挙げられる。
特に、本発明の組成物は、その硬化物の屈折率に優れるため、光学物品用に好ましく使用することができる。
【0040】
本発明の組成物は、その速硬化性により生産性を向上させることができることから、活性エネルギー線硬化型組成物として使用することが好ましい。
硬化型組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合、活性エネルギー線としては可視光線、紫外線及び電子線等が挙げられ、特別な装置を必要とせず簡便であるため、可視光線及び紫外線が好ましい。
【0041】
本発明の組成物の使用方法として塗料及び接着剤等として使用する場合は、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線硬化性組成物の場合は活性エネルギー線を照射し、熱硬化性組成物の場合は加熱する。又、成型材として使用する場合は組成物を空間部を有する型に流し込み、その後前記と同様にして硬化させる方法等が挙げられる。成型材及びハードコート剤の用途に使用する場合は、組成物として光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用したものを使用し、これを活性エネルギー線照射した後に加熱硬化させることにより硬化物の性能を向上させるか、又は基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
【0042】
基材としてはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。
【0043】
活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において活性エネルギー線の照射方法及び条件は常法に従えば良い。又、熱重合型組成物として使用する場合において、熱重合方法及び条件は常法に従えば良い。
【0044】
前記の通り、本発明の組成物は、光学部材に好ましく使用することができ、特に光学レンズとして好ましく使用できる。さらに透明プラスチック基材との密着性に優れるため、液晶表示装置等に正面輝度向上のために使用されるプリズムレンズ、プロジェクションテレビ等に用いられるフレネルレンズ及びレンチキュラーレンズ等のレンズシートの製造に好ましく使用できる。
レンズシートの製造例としては、プリズムレンズ及びフレネルレンズ等の目的の形状を有するスタンパーに、常法に従い塗布して該組成物の層を設け、その層の上に適用される透明プラスチック基板を接着させ、次いで当該基材を通して、活性エネルギー線を照射して組成物を硬化させた後、スタンパーから剥離する方法等が挙げられる。
この場合の活性エネルギー線の照射方法は、一般的な方法を採用することができる。
透明プラスチック基板としては、メタクリル系樹脂が好ましい。
【0045】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
【0046】
○合成例1〔(A)成分の合成〕
式(5)で表される化合物131部、アクリル酸40部、トルエン171部、p−トルエンスルホン酸6.8部及びメチルハイドロキノン0.2部を、ディーンスタークトラップ(水分離器)、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた500mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら加熱した。
エステル化反応中の生成水はトルエンとともに共沸させて除き、水が9.8部生成した時点で反応を停止した。反応温度は120〜140℃であった。
【0047】
【化6】
【0048】
得られた反応液を、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、4%硫酸アンモニウム水溶液で洗浄した。この洗浄した反応液から溶媒を減圧除去し、下記式(6)で表されるアクリレート(以下A−1という)を145部得た。
A−1の粘度(25℃)は128mPa・sであり、屈折率(25℃)は1.558であった。
【0049】
【化7】
【0050】
○合成例2〔(A)成分の合成〕
下記式(7)で表わされる化合物141部、アクリル酸40部、トルエン181部、p−トルエンスルホン酸7.2部及びメチルハイドロキノン0.2部を使用する以外は、合成例1と同様に反応を行ない、式(8)で表わされるアクリレート(以下A−2という)を149部得た。
A−2の粘度(25℃)は145mPa・sであり、屈折率(25℃)は1.546であった。
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
○合成例3〔(B)成分の合成〕
ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)200部、トリレンジイソシアネート34.8部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.25部及びメチルハイドロキノン0.13部を、冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた500mL容量の3つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら60℃で1時間攪拌した。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレートを23.2部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−1という)を得た。
【0054】
○合成例4〔(B)成分の合成〕
トリレンジイソシアネート139.2部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.32部及びメチルハイドロキノン0.16部を、合成例3と同様のフラスコに仕込み、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート185.6部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−2という)を得た。
【0055】
○合成例5〔(B)成分の合成〕
ビスフェノールAのエチレンオキサイド3モル付加物(数平均分子量360)72部、トリレンジイソシアネート69.6部、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.27部、メチルハイドロキノン0.13部を、合成例3と同様のフラスコに仕込み、撹拌しながら60℃で1時間攪拌した。次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート46.4部仕込み、80℃で2時間攪拌し、ウレタンアクリレート(以下B−3という)を得た。尚、反応性希釈剤として、フェノキシエチルアクリレートを80部用いた。
【0056】
○実施例1〜5、比較例1、2
(A)成分〜(E)成分を表1に示す配合組成に従い、攪拌混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
得られた組成物について、下記に示す方法に従い、屈折率、透明性、硬化性及び密着性を評価した。それらの結果を、表1に示す。
【0057】
1)硬化性
基材としてボンデライト鋼板〔日本テストパネル社(株)製PB−144〕を使用し、得られた組成物を膜厚10μmで塗工し、これを80W/cm集光型高圧水銀灯による紫外線を照射したコンベアを速度20m/分で通過させた。
通過後の硬化膜に手を触れ、表面のタックがなくなるまでの通過パス回数で評価した(1通過の照射量約150mJ/cm2)。
【0058】
2)密着性
基材としてポリメタクリル板〔(株)エンジニアリングテストサービス製MMA〕を使用し、得られた組成物を膜厚100μmで塗工し、80W/cm集光型高圧水銀灯により、硬化性試験と同様の条件で紫外線を7パス照射して硬化膜を作成した。
得られた硬化膜に1mm間隔で100個のマス目を作成し、粘着テープの商品名セロハンテープを使用し、これを塗膜に密着させて急激に剥がした際に、硬化膜がマス目に残る程度で判断した。表1における○、△及び×は、以下の意味を示す。
○:硬化膜の残りが100/100
△:硬化膜の残りが95〜99/100
×:硬化膜の残りが0〜95/100
【0059】
3)透明性
密着性試験で得られた硬化膜について目視で観察し、次の基準で評価した。
○:透明である。
×:濁りがある。
【0060】
4)屈折率:
1辺5cmで100μmの深さを有する正方形の型に、得られた組成物を流し込み、これを硬化性試験と同様の紫外線照射条件及びコンベア速度で7回通過させて硬化物を得た。
得られた硬化物を1辺1cmの大きさの正方形に切って試験片とし、アッベ屈折率計により589.3nmのD線における25℃の屈折率を測定した。
【0061】
【表1】
【0062】
表1における略号は、以下の意味を示す。
1)C−1:ビスフェノールA型エポキシアクリレート〔昭和高分子(株)製リポキシSP−1509〕
2)C−2:ビスフェノールA ジエトキシジアクリレート
3)D−1:フェノキシエチルアクリレート〔共栄社化学(株)製ライトアクリレートPO−A〕
4)E−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア184〕
【0063】
上記の結果から、実施例の本発明の組成物は、活性エネルギー線による硬化が速く、得られた硬化物は、高屈折率であり、透明性及び透明基材との密着性に優れるものであった。
【0064】
【本発明の効果】
本発明の組成物は、硬化性に優れ、得られる硬化物は、高屈折率で、透明性及び密着性に優れるものであり、光学部材として、特にレンズシートとして有用である。
Claims (6)
- ビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレートをさらに含有してなる請求項1記載の硬化型組成物。
- エチレン性不飽和結合を1個有する分子量200以下の化合物をさらに含有してなる請求項1又は請求項2に記載の硬化型組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の組成物からなる活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の組成物の硬化物。
- 請求項5記載の組成物の硬化物からなる光学用物品。
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