JP5516177B2 - ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、前者のプレス法は加熱、加圧及び冷却のサイクルで製造するため、生産性が悪いという問題があった。又、後者のキャスト法は、金型にモノマーを流し込んで重合するため製作時間が長くかかるとともに金型が多数個必要なため、製造コストが上がるという問題があった。
さらに、多官能(メタ)アクリレートを製造する場合において、得られる生成物が結晶性を有したり高粘度を有するため、ハンドリングが困難であった。さらに、光学材料を製造する場合には、レンズ形状を有するスタンパーへ組成物を流し入れるため、組成物は低粘度であること、より好ましくは室温で低粘度であるのが好ましいが、従来の多官能(メタ)アクリレートを含む組成物は、高粘度であるためスタンパーへ組成物の流し入れが困難になる場合があった。
本発明者は、得られる(メタ)アクリレートが低粘度で取り扱いが容易であるうえ、その硬化物が高屈折率を有する多官能(メタ)アクリレートを見出すため鋭意検討を行ったのである。
さらに、得られるウレタン(メタ)アクリレートとして、2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物を使用した生成物が屈折率により優れることを見出したが、通常の反応方法では、得られるウレタン(メタ)アクリレートが有機溶媒に溶解せずに濁りを生じたり、結晶化して析出する問題が発生し、又、組成物として使用する場合、他の成分との相溶性が低下してしまうことが判明した。
そこで、本発明者は、1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物と2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物を併用することで前記問題を解消できることを見出し、本発明を完成した。
尚、本明細書においては、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
従って、本発明で得られるウレタン(メタ)アクリレートは、硬化型組成物として、透明性、高屈折率及び高光線透過率が要求されるレンズシート及びプラスチックレンズ等の光学部材に好適に使用できる。
化合物(a-1)及び化合物(a-2)の合計量に対して化合物(a-1)を20〜90モル%及び化合物(a-2)を80〜10モル%の割合で使用する、
ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
以下、原料化合物及び製造方法について詳細に説明する。
本発明の原料化合物である化合物NDは、ナフタレンジイソシアネートである。
化合物NDとしては、ナフタン環の任意の位置に2個のイソシアネート基を有する化合物を使用できるが、反応性の観点からは、分子中のイソシアネート基の距離が近いと2個目のイソシアネートの反応性が低下するために、これらの位置は離れていたほうが良く、さらには工業的に入手しやすいという理由で、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートが好ましい。
本発明の原料化合物である化合物(a-1)は、1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物である。
化合物(a-1)における1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルにおいて、芳香族基としてはフェニル基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
化合物(a-1)における1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルの具体例としては、モノグリシジルエーテルが好ましく、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられ、これら化合物の芳香族基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されている化合物であっても良い。
化合物(a-1)は、常法に従い製造されたもので良く、製造方法としては、芳香族基含有グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸を、触媒の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
この場合、1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルのエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を好ましくは0.7〜1.5当量、さらに好ましくは0.9〜1.1当量となる比率で反応させて得られたものが好ましい。
本発明の原料化合物である化合物(a-2)は、2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物である。
化合物(a-2)における2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルにおいて、芳香族基としては、p−クミルフェニル基及びフェニルフェニル基等が挙げられ、これらの基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
化合物(a-2)における2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルの具体例としては、モノグリシジルエーテルが好ましく、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル及びp−フェニルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられ、これら化合物の芳香族基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されている化合物であっても良い。
化合物(a-2)は、常法に従い製造されたもので良く、前記化合物(a-1)と同様の製造方法に従えば良い。
ウレタン化反応触媒としては、従来のウレタン化反応で使用されるものが使用でき、ジブチルスズジラウレート等のスズ触媒及びトリエチルアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
又、反応液中のスズ触媒が問題となる用途によっては、ウレタン化触媒として、下記一般式(a)で表される金属化合物を触媒として使用することもできる。
M(X)n ・・・(a)
〔式(a)において、MはFe、Ru又はZnを表し、Xは同一又は異なってβ−ジケトン、ハロゲン原子、アシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、nは2又は3の整数を表す。〕
これらの金属化合物は、従来のスズ触媒に対して優れた活性を有するため、少ない使用量で目的とするウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。
芳香族有機溶媒としては、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
ArMAは、得られるウレタン(メタ)アクリレートの溶解性に優れ、得られたウレタン(メタ)アクリレートの使用に際しては、有機溶媒を使用する場合の様に、蒸留等の操作により有機溶媒を除去する必要がない。さらに、そのまま組成物として使用する場合には、組成物を低粘度化し、又組成物の結晶化を防ぐことができるうえ、硬化物に屈折率等の光学特性を付与することができる成分である。
ArMAにおける芳香族基としては、フェニル基、p−クミルフェニル基及びフェニルフェニル基等が挙げられ、これらの基は、アルキル基又はハロゲン原子で置換されていても良い。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
これらの基の中でも、得られる組成物の硬化物の屈折率が高いものとなる点で、p−クミルフェニル基及びフェニルフェニル基が好ましい。
これらの中でも、室温で液状であり扱いやすく、入手しやすい点で、o−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。さらにこれらの中でも、組成物の粘度を低く抑えることができることから、p=0であるo−フェニルフェニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
芳香族有機溶媒としてArMAを使用する場合は、最終的な組成物中の硬化性成分の割合を勘案して割合を決定することが好ましい。例えば、硬化性成分の合計量100重量部に対して、40〜90重量部であり、好ましくは45〜80重量部である。ArMAの割合を40重量部以上とすることにより、硬化物の屈折率を高くでき、後記フェノール化合物や亜リン酸エステル等を配合する場合は、これらの相溶性を向上させることができ、一方、90重量部以下とすることにより、硬化物の耐熱性や機械的強度を高くすることができる。
本発明は、化合物ND、化合物(a-1)及び化合物(a-2)を、ウレタン化触媒の存在下に芳香族有機溶媒中で加熱・攪拌する製造方法であって、
化合物(a-1)及び化合物(a-2)の合計量に対して化合物(a-1)を20〜90モル%及び化合物(a-2)を80〜10モル%の割合で使用する、
ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
化合物(a-1)を20モル%以上、又は化合物(a-2)を80モル%以下で使用することにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートが、芳香族有機溶媒中に溶解せずに濁りを生じたり結晶化して析出することを防止することができ、又、組成物として使用する場合、他の成分との相溶性が低下してしまうことを防止することができる。一方、化合物(a-1)を90モル%以下、又は化合物(a-2)を10モル%以上で使用することにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートを高い屈折率の化合物とすることができ、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度を低くすることができるため、芳香族有機溶媒の添加量を少なくすることができる。
化合物(a-1)及び化合物(a-2)の割合としては、前記合計量に対して化合物(a-1)20〜60モル%及び化合物(a-2)を40〜80モル%の割合が好ましい。
ウレタン化反応の反応温度としては、通常40〜150℃であり、好ましくは60〜100℃である。
反応は通常、常圧下で行われるが、用いる有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記温度範囲内になるように、加圧又は減圧下で行っても良い。
反応時間は、目的に応じて適宜設定すれば良く、1〜20時間が好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、ベンゾキノン、フェノチアジン等の有機系重合禁止剤、塩化銅及び硫酸銅等の無機系重合禁止剤、並びにジブチルジチオカルバミン酸銅等の有機塩系重合禁止剤等が挙げられる。重合禁止剤は、一種を単独で使用しても又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。重合禁止剤の割合としては、反応液中に5〜20,000wtppmが好ましく、より好ましくは25〜3,000wtppmである。
含酸素ガスとしては、例えば空気、酸素と窒素の混合ガス、酸素とヘリウムの混合ガス等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
本発明で得られるウレタン(メタ)アクリレートは、種々の用途に使用することができる。
特に、本発明で得られたウレタン(メタ)アクリレートに、光又は熱重合開始剤を配合して、硬化型組成物として使用することが好ましい。
以下、硬化型組成物で使用する各成分について説明する。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
光重合開始剤は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
光重合開始剤の含有割合としては、ウレタン(メタ)アクリレート、又は後記するエチレン性不飽和基を有する化合物を配合する場合は、ウレタン(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、これらをまとめて「硬化性成分」という)の合計100重量部に対して、0.01〜20重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。光重合開始剤の割合を0.01重量部以上とすることにより、少ないエネルギーの活性エネルギー線照射により光学部材が得られるため生産性に優れ、一方、20重量部以下とすることにより、開始剤の分解物による光学部材の着色を防ぐことができる。
硬化型組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これら熱重合開始剤の使用量としては、硬化性成分の合計量100重量部に対して、10重量部を超えないことが好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
エチレン性不飽和基を含有する化合物であれば種々の化合物が使用できビニル化合物及び(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートの具体例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「多官能(メタ)アクリレート」という)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用でき、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオール等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化型組成物の使用方法としては、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合は、活性エネルギー線を照射し、熱硬化型組成物の場合は、加熱する。又、ハードコート剤の用途に使用する場合は、組成物として光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用したものを使用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。
光学材料の具体例としては、フレネルレンズ及びレンチキュラーレンズ、液晶表示装置のバックライト用プリズムシート等のレンズシート並びにプラスチックレンズ等の種々の光学材料に使用できる。
レンズシートとしては、更に詳細には、ビデオプロビェクター、プロジェクションテレビ及び液晶ディスプレイ等用途が挙げられる。
又、この用途の場合、硬化を進行させる目的で、硬化型組成物に光重合開始剤と熱重合開始剤を併用し、活性エネルギー線照射後に、加熱することもできる。
尚、以下で使用した略号は、下記を意味する。
・ND:ナフタレン−1,5−ジイソシアネート:三井化学(株)製コスモネートND〔化合物ND〕
・PGEA:フェニルグリシジルエーテルとアクリル酸の付加物。東亞合成(株)アロニックスM−5700〔化合物(a-1)〕
・PPGEA:o−フェニルフェニルグリシジルエーテルのエポキシアクリレート。東亞合成(株)製TO−1317〔化合物(a-2)〕
・PPEA:o−フェニルフェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスTO−1463。前記式(3)において、R5及びR6が水素原子、mが1である化合物〔化合物(b-2)〕
・BHT:ジtert−ブチルヒドロキシトルエン
・DBTL:ジブチルスズジラウレート
冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた1L容量3つ口フラスコに、NDの42.04g(0.200モル)、反応溶媒としてPPEAの70g、重合禁止剤としてBHTの0.04g、合成触媒としてDBTLの0.023gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの48.90g(0.220モル)、PPGEAの65.63g(0.214モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌して、反応させた。
※PGEAとPPGEAの合計量に対する割合
PGEA:50.7モル%、PPGEA:49.3モル%
得られた反応液は、ND、PGEA及びPPGEAのウレタンアクリレートを30.9重量%含むPPEAとの混合物であり、粘度は1,055,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5941であった。
尚、反応溶媒として用いたPPEAの屈折率(nD 25)は1.5770である。
実施例1と同様のフラスコに、NDの42.04g(0.200モル)、PPEAの105g、BHTの0.05g、DBTLの0.024gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの29.34g(0.132モル)、PPGEAの91.89g(0.308モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌して、反応させた。
※PGEAとPPGEAの合計量に対する割合
PGEA:30.0モル%、PPGEA:70.0モル%
得られた反応液は、ND、PGEA及びPPGEAのウレタンアクリレートを39.1重量%含むPPEAとの混合物であり、粘度は1,782,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5971であった。
実施例1と同様のフラスコに、NDの42.04g(0.200モル)、PPEAの60g、BHTの0.04g、DBTLの0.019gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PPGEAの131.27g(0.44モル)を連続的に滴下した。
滴下30分程度で、NDが一旦反応液に均一溶解した後に発熱を伴い不溶なウレタンプレポリマーが生成し、その後30分で全量を滴下させてもウレタンプレポリマーは溶解せず、さらに5時間攪拌、反応させたが不溶なままであった。
実施例1と同様のフラスコに、NDの42.04g(0.200モル)、PPEAの60g、BHTの0.04g、DBTLの0.019gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの88.90g(0.400モル)を1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌して、反応させた。
得られた反応液は、NDとPGEAのウレタンアクリレートを31.4重量%含むPPEAとの混合物であり、粘度は490,500mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5869であった。
反応は問題なく進行し、得られた反応液は、濁り等の問題はなかったものの、前記実施例1及び同2で得られた反応液より屈折率が不充分なものであった。
実施例1と同様のフラスコに、トリレンジイソシアネート〔日本ポリウレタン(株)製 コロネートT−80。以下、「TDI」という。〕34.83g、PPEAの60g、BHTの0.04g、DBTLの0.019gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの88.90gを1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに5時間攪拌、反応させた。
得られた反応液は、TDI及びPGEAの反応物を含むPPEAとの混合物であり、粘度は212,000mPa・s(25℃)、屈折率(nD 25)は1.5466であった。
ウレタンアクリレートにおいて、原料が脂肪族イソシアネートである場合よりも芳香族イソシアネートの場合の方が、屈折率が高くなることはよく知られているが、イソシアネートとして芳香族イソシアネートであるTDIを使用した場合であっても、本発明のナフタレンジイソシアネート以外を原料として製造された反応物は、屈折率が不十分なものであった。
製造例1と同様のフラスコに、NDの52.55g、PPEAの50g、BHTの0.03g、DBTLの0.016gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート58.06gを連続的に滴下した。
滴下開始から約30分で反応性希釈剤に不溶な反応物が生成し、さらに加熱・攪拌を続けても不溶であった。
このことから、2−ヒドロキシエチルアクリレートとNDから得られるウレタンアクリレートは、有機溶媒に対する相溶性が悪く、硬化性組成物の原料としては不適であった。
製造例1と同様のフラスコに、NDの52.55g、ラウリルアクリレートの100g、BHTの0.05g、DBTLの0.020gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、PGEAの111.12gを連続的に滴下した。
滴下に伴いウレタン化反応が進行したが、反応液は白濁したままであり、さらに加熱・攪拌を続けても均一透明な反応液は得られなかった。
このことから、ラウリルアクリレートのような芳香族基を有さない化合物を希釈剤として用いると、PGEAとNDから得られるウレタンアクリレートは相溶性が悪く、活性エネルギー線硬化性組成物の原料としては不適であった。
Claims (6)
- ナフタレンジイソシアネート〔以下、「化合物ND」という〕、1個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物(a-1)〔以下、「化合物(a-1)」という〕及び2個の芳香族環を有するグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物(a-2)〔以下、「化合物(a-2)」という〕を、ウレタン化触媒の存在下に芳香族有機溶媒中で加熱・攪拌する製造方法であって、
化合物(a-1)及び化合物(a-2)の合計量に対して化合物(a-1)を20〜90モル%及び化合物(a-2)を80〜10モル%の割合で使用する、
ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。 - 化合物ND中のイソシアネート基合計1モルに対して、化合物(a-1)及び化合物(a-2)中の水酸基の合計1.0〜1.3モルの割合で反応させる請求項1又は請求項2に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
- 化合物(a-1)が、フェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物であり、化合物(a-2)がフェニルフェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
- 芳香族有機溶媒が、芳香族基含有モノ(メタ)アクリレートである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
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