JP5396998B2 - 2糖類の(メタ)アクリレートを含む硬化型組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらのプラスチック製品は、その表面に傷がつき易く、その原料樹脂が本来持つ透明性又は外観を損なうという欠点があり、耐摩耗性が要求される多くの分野では、その表面にハードコートが施される。
当該ハードコートに使用されるハードコート用コーティング剤(以下ハードコート剤という)としては、アクリル系ハードコート剤、シラン系ハードコート剤及びアクリル―シリコン系ハードコート剤等が知られている。これらの中でも、アクリル系ハードコート剤は、(メタ)アクリレートを含有するもので、紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化が可能であるために、硬化時間が短く優れた生産性を有し、原料樹脂コストがシラン系ハードコート剤の1/4〜1/8と安価である等の多くの利点があり、当該分野で広く使用されている。
しかしながら、これらの(メタ)アクリレートを主成分として使用すると、組成物を塗布、硬化させた後に、基材が変形する、あるいはコーティング膜にクラックが発生するという問題があった。そこで、このような成型時の不具合を防ぐ方法として、多官能(メタ)アクリレートにコロイダルシリカのような無機粒子を組み合わせる方法が報告されている(特許文献5)。
この方法によれば、基材の変形を防ぐことが出来、基材への密着性を改善することが出来るものの、無機粒子を安定に分散させるためには有機溶剤のような分散媒が必要なため、無溶剤でコーティング剤をえることができない。
均一に組成物に溶解する充填剤として、無機粒子の代わりに有機高分子を組み合わせた手法も報告されている(特許文献6)
この方法によれば、無溶剤でも基材変形の少ない組成物が得られるものの、硬度が低下する傾向がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
以下、(A)成分の詳細について説明する。
(A)成分は、前記式(1)で表されるトレハロースから得られる(メタ)アクリレートである。
(A)成分は、骨格中の水酸基の一部が(メタ)アクリロイル基で置換され、水酸基が残っていてもよく、置換割合が異なる反応混合物であっても良い。
混合物としては、(メタ)アクリロイル基が4〜8個置換した化合物の混合物が好ましい。
(A)成分の水酸基価は、10〜300mgKOH/gである。尚、本発明において(A)成分の水酸基価とは、仕込みのトレハロースから計算された水酸基価から、未反応原料を差し引いて計算された値をいう。
発明者の検討によれば、部分的に水酸基を残す構造のものが含まれていても、十分なハードコート性が得られており、他の多官能(メタ)アクリレートよりも優れた硬化性を示すことが明らかとなっている。
具体例としては、トレハロースの水酸基に(メタ)アクリロイル基が置換した構造の化合物〔以下(A-1)という〕及びトレハロース残基と(メタ)アクリロイル基がウレタン結合を介して結合された化合物〔以下(A-2)という〕等を挙げることができる。
以下、(A-1)及び(A-2)について説明する。
(A-1)の製造方法としては、トレハロースと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により製造する方法、トレハロースと(メタ)アクリレートとのエステル交換反応により製造する方法が挙げられる。
これらの中でも、トレハロースのカラメル化が起こり難く、低着色の(メタ)アクリレートを高収量で得ることできる点で、エステル交換で製造されたものが好ましい。
以下、好ましい製造方法であるエステル交換反応について詳細に説明する。
具体的には、トレハロース及び(メタ)アクリレートを、エステル交換触媒及びラジカル重合禁止剤の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。反応は、必要に応じて有機溶媒中で実施しても良い。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
触媒の使用割合としては、水酸基1モルあたり、0.01〜0.80モル%が好ましい。
反応は通常、常圧下で行われるが、用いる有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記温度範囲内になるように、加圧又は減圧下で行っても良い。
反応時間は、目的に応じて適宜設定すれば良く、1〜20時間が好ましい。
反応混合物中に残存する触媒や原料のアルキル(メタ)アクリレートが硬化型組成物の物性上問題となる場合は、適宜精製を行う。
晶析に用いる貧溶媒としては、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等の脂肪族低級アルコール等が挙げられ、これら以外にもn−ヘキサン等のような非極性溶媒も使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合した、混合溶媒系にしても良い。
好ましい具体例としては、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、エトキシハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、ジt−ブチルヒドロキシトルエン及び次亜リン酸等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
ラジカル重合禁止剤の使用割合としては、反応液に対して10〜10000ppmの範囲で使用することが好ましく、100〜5000ppmがより好ましい。
(A-1)は、硬化型組成物として使用するときに無溶剤であることが好ましいことから、容易に留去できるような有機溶媒が好ましい。
このようなものの例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、キュメン、ジクロロエタン及びトリクロロエタン等を挙げることができる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、通常は溶質に対して、5重量倍以下であり、好ましくは0.8〜2重量倍以下である。
(A-2)の製造方法としては、トレハロースとイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートによるウレタン化反応より製造する方法(以下、製法A-2-1という)、及びトレハロース、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートのウレタン化反応より製造する方法(以下、製法A-2-2という)等を挙げることができる。
ウレタン化反応は、トレハロースのカラメル化が起こり難く、低着色の(メタ)アクリレートを高収量で得ることできる。
製法A-2-1におけるウレタン化反応は、常法に従えば良い。
具体的には、製法A-2-1では、トレハロース及びイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを、有機溶媒中で、触媒及びラジカル重合禁止剤の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
製法A-2-2のウレタン化反応は、常法に従えば良い。
具体的には、トレハロース、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを、有機溶媒中で、触媒及びラジカル重合禁止剤の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート及び水添キシレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
トリイソシアネートとしては、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる
これらの中でも、得られる(A)成分が低粘度となるため、ジイソシアネートが好ましい。
これら原料化合物は、2種以上を併用することもできる。
トレハロースと有機ポリイソシアネートの割合は、最終的に得ようとするウレタン(メタ)アクリレートの構造に応じて適宜設定すれば良く、具体的には、トレハロースの水酸基1モルに対して、有機ポリイソシアネート0.5〜2モルの割合が好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの割合としては、得られるウレタン(メタ)アクリレート中にイソシアネート基が残存しない様な割合が好ましい。
前記した2段反応で製造する場合には、イソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基合計量1モルに対して、水酸基含有(メタ)アクリレートが1.0〜1.5モルが好ましい。
前記した1段反応で製造する場合には、最終的に得ようとするウレタン(メタ)アクリレートの構造に基づき計算された残存するイソシアネート基合計量1モルに対して、水酸基含有(メタ)アクリレートが1.0〜1.5が好ましい。
触媒の使用割合は、一般的なウレタン化反応における使用割合と同じで良く、反応溶液全体に対して50〜2000ppmが好ましい。
反応は通常、常圧下で行われるが、用いる有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記温度範囲内になるように、加圧又は減圧下で行っても良い。
反応時間は、目的に応じて適宜設定すれば良く、1〜40時間が好ましい。
又、精製方法としては、反応混合物中の有機層を濃縮した後に、晶析することもでき、前記と同様の方法で実施することができる。
本発明の組成物は、(A)成分のみの組成物として使用することも可能であるが、基材との密着性を向上させたり、硬化物の耐摩耗性を向上させるという点で、新規ジ(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性モノマーを併用して使用することが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単官能(メタ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多官能(メタ)アクリレートという〕等が挙げられる。
又、これら以外にも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等の低分子量で沸点の低い(メタ)アクリレートを使用することもできる。
又、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーも使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化させ使用することができる。活性エネルギー線としては、電子線、可視光線及び紫外線等が挙げられ、特別な装置を必要とせず、簡便であるため、可視光線又は紫外線が好ましい。
可視光線又は紫外線硬化型組成物とする場合、組成物に光重合開始剤を配合する。尚、電子線硬化型組成物とする場合は、光重合開始剤を必ずしも配合する必要はない。
光重合開始剤は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
光重合開始剤には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
光重合開始剤を配合する場合は、(A)成分100重量部、又は(A)成分の合計量100重量部に対して、0.05〜12重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部である。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これら熱重合開始剤の使用量としては、(A)成分100重量部、又は(A)成分及びラジカル重合性モノマーの合計量100重量部に対して、10重量部を超えないことが好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
本発明の硬化型組成物は、前記(A)成分を必須とするものであり、必要に応じて、前記したラジカル重合性モノマー、光重合開始剤、熱重合開始剤、又はその他成分と併用して使用することもできる。
前記成分以外にも、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、無機フィラー、有機フィラー及び光安定剤等を配合することもできる。
基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。
特に、本発明の組成物は、その硬化物物性から、コーティング剤に好適に使用でき、特にハードコート剤として好適に使用することができる。コーティング剤としては、木工等塗料、モルタル及びスレート等のトップコート用塗料並びに電子回路を構成するプリント基板の防水塗料等が挙げられる。ハードコート剤の具体的な使用形態としては、CDの裏面のコーティング、携帯電話本体のコーティング及び自動車用ヘッドライトのコーティング等が挙げられる。又、成形材料としても有用であり、透明アクリル板及び液晶用材料等が挙げられる。
尚、以下において「部」とは重量部を、「%」とは重量%を意味する。
冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた500mL容量3つ口フラスコに、(株)林原製トレハロース(以下、トレハという)25g、アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズAOI)65.27g、ジt−ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTという)0.023g、ジブチル錫ジラウレート(以下、DBTLという)0.0090gを仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温し、4時間反応させた。さらに110℃で2時間反応させた。
得られた反応液には未反応のトレハロースが沈殿していたため、これを濾過により除去し、得られた溶液として回収した。このときの重量は45.2g(収率50%)であった。
得られたアクリレート(以下、TLAという)の分析結果を以下に示す。
1)構造解析:MALDI−TOFMS分析より、トレハロースにアクリロイル基が5〜8個導入された反応混合物であることが確認された
2)水酸基価を計算した結果14.96mgKOH/gであった。
3)平均分子量:GPCにより平均分子量測定を行なったところ、数平均分子量(以下、Mnという):1610、重量平均分子量(以下、Mwという):1630のピークと、Mw500以下のブロードなピークが認められた。
製造例1と同様のフラスコに、トレハ:20g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズMOI)72.48g、BHTの0.031g、DBTLの0.03gを仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温し、4時間反応させた。さらに110℃で2時間反応させた。
得られた反応溶液はスラリー状であり、冷却により固化したため、精製処理は行なわず、そのまま回収した。
得られたメタクリレート(以下、TLMという)の分析結果を以下に示す。
1)構造解析:MALDI−TOFMS分析より、トレハロースにメタクリロイル基が8個導入された構造が主成分であることが確認された。
2)水酸基価を計算した結果10.68mgKOH/gであった。
3)平均分子量:GPCにより平均分子量測定を行なったところ、Mn:1730、Mw:1760のピークと、Mw500以下のブロードなピークが認められた。
製造例1と同様のフラスコに、トレハ:20g、イソホロンジイソシアネート65.8g、DBTLの0.03gを仕込み、攪拌しながら130℃まで昇温し、24時間反応させた。次いで、60℃に反応温度を下げた後に、ヒドロキシエチルアクリレート72.19g、BHTの0.08gを加え、さらに8時間反応させた。
なお、トレハは80℃で48時間減圧乾燥を行い、恒量に達したことを確認してから反応に用いた。また、ヒドロキシエチルアクリレートは、モレキュラーシーブを用いて脱水を行い、水分量を100ppmまで減らしたものを用いた。
得られた反応溶液はスラリー状であり、冷却により固化したため、精製処理は行なわず、そのまま新規(メタ)アクリレートとして回収した。
得られたメタクリレート(以下、TLAIPDIという)の分析結果を以下に示す。
1)水酸基価を計算した結果199.47mgKOH/gであった。
2)平均分子量:GPCにより平均分子量測定を行なったところ、Mn:13000、Mw:15000〜Mn:1300、Mw:1400にわたるブロードなピークと、Mw630程度のピークが認められた。
表1に示す成分を常法に従い混合し、あらかじめ80℃に保った乾燥機中で、光重合開始剤である固体状の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(以下、HCPKという)を15分かけて加熱溶解させ、紫外線硬化型組成物を得た。
これを引っ張り試験用ダンベルの型枠に膜厚1mmとなるように流し込み、出力160W/cmの高圧水銀ランプで14J/cm2の紫外線照射を行なった。得られた試験片を用いて、引っ張り速度10mm/分にて、引っ張り強度試験を行い、サンプルが破断する強度を求めた。
2)M−402:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、東亞合成(株)製アロニックスM−402
一方で、従来から使用されている多官能アクリレートを用いると、3つのアクリロイル基を有するアクリレートを含む比較例1の組成物では、十分な強度が得られず、さらにアクリロイル基の数を増やしたアクリレートを含む比較例1の組成物では硬化物が非常に脆くなり、強度を測定することが出来なかった。
表2に示す成分を使用する以外は、実施例1及び同2と同様の方法で紫外線硬化型組成物を得た。
バーコーターを使用して、ガラス平板上に厚さ50μmで、得られた組成物を塗布し、コンベアスピード5m/分、出力160W/cmの高圧水銀ランプで0.8J/cm2の条件で、紫外線照射を10回行なった。
得られた硬化物を、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
1)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準じ、鉛筆硬度を測定した。
出力160W/cmの高圧水銀ランプで、コンベア速度10m/分にて、塗膜表面のタックがなくなるまでのパス数を求め、硬化性を評価した。パス数が少ないものほど硬化性が良好である。
表2に示す成分を常法に従い混合し、あらかじめ130℃に保った乾燥機中で、固体状の熱重合開始剤を15分かけて加熱溶解させ、熱硬化型組成物を得た。
表2に示す成分を常法に従い攪拌・混合し、組成物を得た。
バーコーターを用いて、ガラス平板上に厚さ50μmで、得られた組成物を塗布し、次いで150℃の乾燥機中で3時間熱硬化を行った。
得られた硬化物を、実施例2と同様の方法で評価した。それらの結果を表2に示す。
4)M−309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−309
5)THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートTHF−A
6)POA:フェノキシエチルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートPO−A
7)VAm−110:2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド、和光純薬工業(株)製
一方、(A)成分を含まない組成物では、比較例3及び4から明らかなように、硬化性が低下したり、硬度が不十分となってしまった。
Claims (7)
- 前記(A)成分が、前記式(1)で表されるポリオールと、(メタ)アクリレートのエステル交換物、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートのウレタン化反応物又は有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートのウレタン化反応物である請求項1記載の硬化型組成物。
- 前記(A)成分が、前記式(1)で表されるポリオールと(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアートのウレタン化反応物である請求項1記載の硬化型組成物。
- ラジカル重合性モノマーをさらに含有してなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硬化型組成物。
- 光重合開始剤又は/及び熱重合開始剤をさらに含有してなる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の硬化型組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の組成物を含むコーティング剤。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の組成物を含むハードコート用コーティング剤。
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