JP4245217B2 - 新規な(メタ)アクリル酸エステル及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低臭気、低揮発性の一官能性(メタ)アクリル酸エステル及びそれを用いた樹脂組成物に関する。更に詳しくは、反応性希釈剤として、特にスクリーン印刷インキ、グラビア印刷インキ、オフセット印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキ用の反応性希釈剤に適する新規一官能性(メタ)アクリル酸エステル及び樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、放射線硬化型樹脂組成物は種々の塗料、接着剤や印刷インキ等への適用が検討され、使用されている。この放射線硬化型樹脂組成物には通常、反応性希釈剤として、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート等の種々のアクリル酸エステルが使用されている。テトラヒドロフルフリルアクリレートは、接着性に優れており、接着剤や印刷インキ等に使用されているが、臭気が強く問題となっている。その改良品として特開昭56−75482号公報には、例えばテトラヒドロフルフリルアルコールにエチレンオキサイドを1モル付加させたものをアクリレート化した2−(テトラヒドロ−2’−フラニル)メトキシエチルアクリレート等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開昭56−75482号公報記載の2−(テトラヒドロ−2’−フラニル)メトキシエチルアクリレートは、テトラヒドロフルフリルアクリレートに比べて臭気がやや改良されているが、十分ではない。又、印刷インキ等に使用した場合、スクリーン印刷機のスクリーン上にインキを放置するとインキが増粘したり、オフセット印刷機の転移ロール上ではインキが増粘又は固化し、その結果、インキが転移しないという問題が発生する場合がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため、本発明者らは鋭意研究した結果、反応性希釈剤として、樹脂組成物の安定性が良好で密着性に優れ、特に印刷インキに適する樹脂組成物を提供することができる、特定の(メタ)アクリル酸エステルの開発に成功し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
(1)式(1)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、R1は水素原子、メチル基又はエチル基、R2は水素原子又はメチル基であり、nは平均値で1.3〜3の数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(A)、
(2)(1)に記載の式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A)と分子中にエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物、
(3)化合物(B)がエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれたオリゴマーである(2)記載の樹脂組成物、
(4)印刷インキ用である(2)または(3)記載の樹脂組成物、
(5)光重合開始剤(C)を含有する(2)ないし(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
に関する。
【0007】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル(A)は前記式(1)で表される。この(メタ)アクリル酸エステル(A)は、低臭気性、低揮発性を有する。この化合物は、例えば2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフランにアルキレンオキサイドを平均1.3〜3モル付加させて2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフランのアルキレンオキサイド平均1.3〜3モル付加体を得、次いで(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られる。アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイド等のC2〜C4のアルキレンオキサイドがあげられる。
【0008】
上記、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフランのアルキレンオキサイド平均1.3〜3モル付加体は、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン1モルに、前記アルキレンオキサイド1.3〜3モルをアルカリ触媒(例えば、水酸化カリウム、水酸ナトリウム、トリエチルアミン等)の存在下で80〜200℃、好ましくは100〜160℃の温度で反応させることにより得られる。アルカリ触媒の使用量は、反応混合液中、0.005〜2重量%で用いるのが好ましい。
【0009】
このアルキレンオキサイド平均1.3〜3モル付加体と(メタ)アクリル酸との反応は、エステル化触媒の存在下に、50〜150℃で2〜10時間行なわれる。エステル化触媒としては、例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタン酸等の強酸等が挙げられる。その使用量は、反応混合液中、0.1〜10重量%が好ましい。
【0010】
この反応は、熱重合防止剤、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、フェノチアジン等から選ばれた重合禁止剤下で反応を行うことが好ましい。使用量は、反応混合液中、0.001〜3重量%が好ましい。また、この反応は、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の溶剤の存在下に行ってもよい。
【0011】
エステル化反応終了後、過剰の(メタ)アクリル酸をアルカリ水溶液で中和し、更に生成物を水洗後、水層を分離し、必要により溶媒を除去することにより式(1)で表される化合物が得られる。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A)と分子中にエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物(B)を使用する。式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A)を用いることにより低臭気、低揮発性で、接着性や安定性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0013】
本発明の樹脂組成物に使用する、分子中にエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物(B)としては、例えば多官能((メタ)アクリレート基を少なくとも2個有する)(メタ)アクリレート類が好ましく、例えば多官能(メタ)アクリレートモノマーや多官能(メタ)アクリレートオリゴマーがあげられる。
【0014】
化合物(B)の1種である多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えばトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールポリエトキシヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリプロポキシヘキサ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0015】
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0016】
化合物(B)の1種であるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られる化合物を挙げることができる。好適なエポキシ樹脂は、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂であり、液体樹脂及び固体樹脂を包含する。その他に、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂やクレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等もあげられる。
【0017】
化合物(B)の1種であるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えばポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)を反応させてウレタンプレポリマーを得、次いでこのウレタンプレポリマーにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させて得られるものや、前記有機ポリイソシアネート(b)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させて得られるもの等を挙げることができる。
【0018】
ポリオール(a)としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリマーポリオール、ポリシロキサンポリオール等を挙げることができる。
【0019】
有機ポリイソシアネート(b)としては、例えばトリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;テトラメチルキシリレンジイソシアネートのような芳香脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族又は環状脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0020】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル基を1つ有する1官能性(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル基を2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0021】
ポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)との反応は、ポリオール(a)中の水酸基1当量に対して、有機ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基1.1〜2.5当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、1.2〜2.2当量である。反応時間は、5〜20時間が好ましい。反応温度は80〜100℃が好ましい。次いで、得られたウレタンポリマー中のイソシアネート基1当量に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)中の水酸基の0.95〜1.1当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、0.99〜1.05当量である。反応温度は80〜100℃が好ましい。また、反応時間は、5〜20時間が好ましく、通常、反応を促進するために触媒を使用する。触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート等を挙げることができる。
【0022】
化合物(B)の1種であるポリエステル(メタ)アクリレートは、例えばポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸の反応生成物からなる。好適なポリエステルポリオールには、広い範囲の二官能性及び多官能性カルボン酸と広い範囲の二官能性及び多官能性アルコールとから得られる末端が水酸基のポリエステルポリオールが包含される。好適なカルボン酸には、無水コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸が包含される。好適なアルコールには、エチレングコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンが包含される。
【0023】
本発明の樹脂組成物を印刷インキに適応する場合、(B)成分としては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマー類を好ましく用いることができる。又、ハードコーティング剤等の耐摩耗性塗料に適応する場合、(B)成分としては、例えば多官能(メタ)アクリレートモノマー等の多官能性モノマー類を好ましく用いることができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物において、(A)及び(B)成分の使用割合は、(A)+(B)を100重量部とした場合、(A)成分は2〜60重量%が好ましく、特に好ましくは、5〜40重量%であり、(B)成分は40〜98重量%が好ましく、特に好ましくは、60〜95重量%である。
【0025】
本発明の樹脂組成物には、(A)及び(B)成分以外の成分として、公知の種々の1官能性エチレン性不飽和化合物(エチレン性不飽和基を1つ有する化合物)を使用することが好ましい。1官能性エチレン性不飽和化合物としては、例えばアクリレート基を1つ有するアクリレート類やN−ビニルホルムアミド等を挙げることができる。アクリレート基を1つ有するアクリレート類としては、例えばカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、公知の方法によって硬化することができる。紫外線による硬化の場合には、光重合開始剤(C)を使用する必要がある。光重合開始剤(C)を使用する必要がある場合、その使用量は、通常、組成物の0.1〜15重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤であっても良いが配合後の貯蔵安定性が良い事が要求される。この様な光重合開始剤としては、例えばベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2,4−ジチエルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等があげられる。これらは単独または2種以上を組合せて用いることができる。
【0027】
さらに、光重合開始剤(c)とともに三級アミン類のような光増感剤を単独あるいは2種以上と組合せて用いることができる。三級アミン類としては、例えばN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等があげられる。
【0028】
本発明の樹脂組成物には、さらに所望により、他の成分、例えば顔料や染料等の着色剤;ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、アクリルポリマー等の非反応性高分子樹脂:レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等の添加剤;タルク、酸化シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー等を添加することができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、(A)及び(B)、必要に応じ光重合開始剤(C)、さらに所望により1官能性エチレン性不飽和化合物その他の成分を混合、加熱、溶解することにより調製することができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、スクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキに好適に用いられるが、それ以外にも、塗料、接着剤、レジスト、レンズ、その他等に使用することができる。
【0031】
本発明の樹脂組成物を印刷インキとして用いた場合、印刷法としては、オフセット印刷法が適当である。オフセット印刷法によって、ロールから基材上にインキを転移させることにより2〜10μの厚さに印刷し、次いで紫外線又は電子線を照射し硬化させる。基材の種類は、各種紙類やポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル樹脂等のプラスチック類等が一般的である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の部は重量部である。
合成例1:式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A)の合成
テトラヒドロフルフリルアルコールのエチレンオキサイド平均2.5モル付加物212部、アクリル酸86部、トルエン105部、シクロヘキサン45部、p−トルエンスルホン酸10部及びハイドロキノン0.5部を仕込み、93〜107℃で脱水反応を行ない、生成水が18部になるまで反応を継続した。反応終了後、反応混合物にトルエン700部を追加し、20%NaOH水溶液で中和後、静置し、水層(下層)を廃棄し、トルエン層に15%NaCl水溶液を仕込み、攪拌してトルエン層を洗浄し、次いで静置し、水層(下層)を廃棄後、トルエンを留去し、残分をろ過し、液状のテトラヒドロフルフリルアルコールのエチレンオキサイド平均2.5モル付加物のアクリル酸エステル(上記式(1)においてR1とR2がいずれも水素原子でnの平均値が約2.5である化合物)204部を得た。生成物の粘度(25℃)11cps、屈折率(25℃)1.462であった。また、NMRの測定結果を表1に示す。
【0033】
【0034】
(ウレタン(メタ)アクリレートの合成例)
合成例2
ポリエステルジオール(ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなる分子量480のポリエステルジオール)230部、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量約2000)244.8部、イソホロンジイソシアネート200部を仕込み、85℃で約10時間反応し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート68.7部、p−メトキシフェノール0.37部、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.14部を仕込み85℃で約10時間、残存NCO濃度が0.3%以下になるまで反応を行ないウレタンアクリレートを得た。生成物の粘度は1510ポイズ(60℃)であった。
【0035】
合成例3
ポリテトラメチレングリコール(平均分子量2000)857.9部、トリシクロデカンジメチロール187.7部及びイソホロンジイソシアネート620.4部を仕込み、85℃で約10時間反応し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート334部、p−メトキシフェノール1.0部及びジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.4部を仕込み85℃で約10時間、残存NCO濃度が0.3%以下になるまで反応を行ないウレタンアクリレートを得た。生成物の粘度は8000ポイズ(60℃)であった。
【0036】
実施例1、2 比較例1、2
表2に示すような組成(数値は重量部を示す。)で各成分を混合し、三本ロールで混練し、樹脂組成物(印刷インキ組成物)を調製し、各種評価を行った。評価は以下の方法で行った。
【0037】
硬化性:調製された組成物を厚さ200μのポリカーボネート樹脂シートの上にRIテスターにより印刷(厚さ5μ)し、次いで高圧水銀灯(ランプ出力2KW)を平行し配した光源下8cmの位置で照射して(コンベアスピード20m/分)硬化させた。硬化するまでの照射量(mJ/cm2)を求めた。
密着性:上記の方法で硬化した印刷物についてクロスカットセロテープ剥離テストを行った。
○・・・・剥離目、目の欠けも全く生じない。
△・・・・若干、目の欠けがみられる。
×・・・・剥離目、目の欠けが生じた。
機上安定性:調製された組成物をRIテスターのロール上にのせ、3時間放置後、厚さ200μのポリカーボネート樹脂シートの上に印刷し、印刷の状態を観察した。
○・・・・印刷面に異常はなかった。
×・・・・印刷面にインキがのっていない部分が一部あるいは全面にみられる。
【0038】
【0039】
注)*1 イルガキュアー907:チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製、 2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリ ノ−プロパン−1−オン。
【0040】
表2から明らかなように、本発明の(メタ)アクリル酸エステル(A)を使用した実施例1の樹脂組成物は、硬化速度が184mJ/cm2であり、密着性も良好である。また、印刷機のロール上にのせ、3時間放置後印刷した場合でも正常に印刷され、印刷機上での安定性も良好である。これに対し、特開昭56−75482号公報記載の2−(テトラヒドロ−2’−フラニル)メトキシエチルアクリレートを使用した比較例2の樹脂組成物は、硬化速度性が138mJ/cm2であり、本発明の樹脂組成物より遅くなっている。また印刷機のロール上にのせ、3時間放置後印刷した場合には正常に印刷されず印刷機上での安定性も悪い。
【0041】
【発明の効果】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル(A)を使用した樹脂組成物は、硬化性、接着性が良好で印刷機上での安定性に優れている。
Claims (4)
- 化合物(B)がエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれたオリゴマーである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 印刷インキ用である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 光重合開始剤(C)を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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