JP4072880B2 - (メタ)アクリル酸エステル、これを用いた樹脂組成物 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル、これを用いた樹脂組成物 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な(メタ)アクリル酸エステル、これを用いた樹脂組成物に関する。更に詳しくは、スクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキ用に適する新規な(メタ)アクリル酸エステル及びそれを用いた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線硬化性のアクリル系オリゴマーは高粘度のものが多く、特定の用途のための適切な粘度の組成物を造るために単量体と混合する必要がある。このようなオリゴマーの代表的なものとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例えば、特開昭48−25095、特開昭49−133491、特開昭57−83562等にはポリウレタン(メタ)アクリレートを含む光硬化性組成物が記載されている。又、これらを印刷インキ、コーティング剤等に使用する割合が増加してきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記オリゴマー類は、粘度が高いため、使用にさいしては、低粘度の単量体で希釈する必要がある。従来、各種基材(例えばポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル等)に対する密着性の問題からN−ビニルピロリドンを使用する場合が多い。N−ビニルピロリドンを使用することによって、硬化性、密着性等が優れた塗料、印刷インキ、コーティング剤及び接着剤等を作ることができるが、N−ビニルピロリドンを含有する組成物は経時的に増粘やゲル化したりする。又、硬化物が着色し、特に白色顔料(酸化チタン等)を含む組成物の場合に問題となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、新規な(メタ)アクリル酸エステルを見出し、これを用いることにより液組成物の安定性が良好で密着性に優れ、硬化物の着色が少ない印刷インキに適する樹脂組成物を提供することに成功し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
(1)式(1)
【0005】
【化2】
Figure 0004072880
【0006】
(式中、R1は水素原子、メチル基又はエチル基、R2は水素原子又はメチル基、a+b+cは平均値で1〜15の数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル、
(2)3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールとアルキレンオキサイドの反応物と(メタ)アクリル酸を反応させてなる(1)記載の(メタ)アクリル酸エステル、
(3)(1)または(2)記載の(メタ)アクリル酸エステル(A)を含有することを特徴とする樹脂組成物、
(4)エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれたオリゴマー(B)を含有する(3)記載の樹脂組成物、
(5)印刷インキ用である(3)または(4)記載の樹脂組成物、
(6)光重合開始剤(C)を含有する(3)ないし(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
に関する。
【0007】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル(A)は、前記式(1)で表される。式(1)において、a+b+cは平均値で1〜15の数である。この数は、例えばNMR等の方法で測定される。この(メタ)アクリル酸エステル(A)は、3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールとアルキレンオキサイドを反応させ、次いで(メタ)アクリル酸を反応させることにより得ることができる。アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の(C2〜C4)アルキレンオキサイドがあげられる。
【0008】
3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールとアルキレンオキサイドとの反応においては、3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオール1モルに対してアルキレンオキサイド1〜15モルの範囲で反応させるのが好ましい。また、この反応は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ触媒下、反応温度100〜200℃の間で行われる。
【0009】
次いで、この様にして得られた3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールのアルキレンオキサイド反応物と(メタ)アクリル酸を反応させる。反応溶媒として、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の非反応性有機溶剤の1種又は2種以上を混合して使用するのが好ましい。3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールのアルキレンオキサイドの反応物1モルに対して(メタ)アクリル酸を2〜5モルを反応させるのが好ましく、特に好ましくは3〜4モルである。反応を促進させるために、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタスルホン酸等を使用するのが好ましい。反応温度は80〜150℃が好ましく、反応時間は1〜20時間が好ましい。反応中、重合を防止するために重合禁止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、フェノチアジン等を挙げることができる。
【0010】
本発明の組成物では、前記の新規な(メタ)アクリル酸エステル(A)を使用する。通常、後述するオリゴマー(B)と併用される。この新規な(メタ)アクリル酸エステル(A)はオリゴマー(B)の希釈剤としての機能を有し、オリゴマー(B)の粘度が低減される。また、貯蔵安定性に優れ、硬化性が良好で、基材への密着性、着色性等に優れた硬化物を得ることができる。併用されるオリゴマー(B)は、エポキシ(メタ)アクリレート(B−1)、ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)、ポリエステル(メタ)アクリレート(B−3)からなる群から選択することができる。
【0011】
エポキシ(メタ)アクリレート(B−1)は、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。好適なエポキシ樹脂は、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂である。その他に、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂やクレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等も包含される。
【0012】
ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)としては、例えばポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)を反応させてウレタンプレポリマーを得、次いでこのウレタンプレポリマーにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させて得られるものや、前記有機ポリイソシアネート(b)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させて得られるもの等を挙げることができる。
【0013】
ポリオール(a)としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリマーポリオール、ポリシロキサンポリオール等を挙げることができる。
【0014】
有機ポリイソシアネート(b)としては、例えばトリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;テトラメチルキシリレンジイソシアネートのような芳香脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族又は環状脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0015】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル基を1つ有する1官能性(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル基を2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0016】
ポリオール(a)と有機ポリイソシアネート(b)との反応は、ポリオール(a)中の水酸基1当量に対して、有機ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基1.1〜2.5当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、1.2〜2.2当量である。反応時間は、5〜20時間が好ましい。反応温度は80〜100℃が好ましい。次いで、得られたウレタンポリマー中のイソシアネート基1当量に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(c)中の水酸基の0.95〜1.1当量を反応させるのが好ましく、特に好ましくは、0.99〜1.05当量である。反応温度は80〜100℃が好ましい。また、反応時間は、5〜20時間が好ましく、通常、反応を促進するために触媒を使用する。触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート等を挙げることができる。
【0017】
ポリエステル(メタ)アクリレート(B−3)は、例えばポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸の反応生成物からなる。好適なポリエステルポリオールには、広い範囲の二官能性及び多官能性カルボン酸と広い範囲の二官能性及び多官能性アルコールとから得られる末端が水酸基のポリエステルポリオールが包含される。好適なカルボン酸には、無水コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸が包含される。好適なアルコールには、エチレングコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンが包含される。
【0018】
本発明の樹脂組成物を構成する(A)及び(B)成分の使用割合は、(A)+(B)を100重量%とした場合、(A)成分は、2〜60重量%が好ましく、特に好ましくは、5〜50重量%であり、(B)成分は40〜98重量%が好ましく、特に好ましくは、50〜95重量%である。
【0019】
本発明の樹脂組成物には、(A)及び(B)成分以外の成分として、公知の種々のエチレン性不飽和化合物を使用することが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、例えばN−ビニルカプロラクトン、アクリル基を有するモノマー等があげられる。これらエチレン性不飽和化合物は、必要に応じて1種又は2種以上の化合物を任意の割合で混合使用することができる。エチレン性不飽和化合物の使用量は、樹脂組成物中、0〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。これらエチレン性不飽和化合物は、容易に市場より入手できる。
【0020】
アクリル基を有するモノマーとしては、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシルジエトキシ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールポリエトキシヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリプロポキシヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は公知の方法によって硬化する事ができる。紫外線による硬化の場合には、光重合開始剤(C)を使用する必要がある。光重合開始剤(C)を使用する必要がある場合、その使用量は、通常、組成物の0.1〜15重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。
【0022】
光重合開始剤(C)としては、公知のどのような光重合開始剤であっても良いが配合後の貯蔵安定性の良い事が要求される。この様な光重合開始剤としては、例えばベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等のケタール類:ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類があり、単独または2種以上を組合せて用いることができる。
【0023】
さらに、光重合開始剤(C)とともに三級アミン類のような光増感剤を単独あるいは2種以上と組合せて用いることができる。三級アミン類としては、例えばN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等があげられる。
【0024】
本発明の樹脂組成物には、さらに所望により、他の成分、例えば顔料や染料等の着色剤;ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、アクリルポリマー等の非反応性高分子樹脂:レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等の添加剤;タルク、酸化シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー等を添加することができる。
光重合開始剤(C)を使用する必要がある場合、その使用量は、通常、組成物の0.1〜15重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。
【0025】
本発明の組成物は、(A)及び(B)成分、必要に応じ光重合開始剤(C)、さらに所望により他の成分を混合、加熱、溶解することにより調製することができる。
【0026】
光重合開始剤を含有する組成物は、例えば基板の表面に施され、次いで紫外線を照射することにより硬化する。その膜厚は2〜30μ程度が好ましい。この組成物は、紙、硬質及び可撓性プラスチック、金属基板、セメント、ガラス、石、セラミック、木材、その他を含む広い範囲の基板上へ適用できる。
【0027】
本発明の組成物は、スクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキに好適に用いられるが、それ以外にも、塗料、接着剤、レジスト、レンズ、他等に使用することができる。本発明の組成物をスクリーン印刷インキとして用いた場合、印刷法としては、スクリーン印刷法が適当である。スクリーン印刷法によって基材(例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル等のプラスチック)に10〜30μの厚さに印刷し、次いで紫外線照射により硬化する。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の部は重量部である。
(ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)の合成例)
合成例1
ポリエステルジオール(ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなる分子量480のポリエステルジオール)230部、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量約2000)244.8部、イソホロンジイソシアネート200部を仕込み、85℃で約10時間反応し、次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート68.7部、p−メトキシフェノール0.37部、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.14部を仕込み、85℃で約10時間、残存NCO濃度が0.3%以下になるまで反応を行ないウレタンアクリレート(B−2−▲1▼))を得た。生成物の粘度は1510ポイズ(60℃)であった。
【0029】
合成例2
ポリテトラメチレングリコール(平均分子量2000)857.9部、トリシクロデカンジメチロール187.7部及びイソホロンジイソシアネート620.4部を仕込み、85℃で約10時間反応し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート334部、p−メトキシフェノール1.0部及びジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.4部を仕込み、85℃で約10時間、残存NCO濃度が0.3%以下になるまで反応を行ない、ウレタンアクリレート(B−2−▲2▼)を得た。生成物の粘度は、8000ポイズ(60℃)であった。
【0030】
合成例3
ポリエステルジオール(ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなる平均分子量480)384部、プロピレングリコール変成ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学(株)製、PPTG−2000、平均分子量2000)400部及びコロネート2094(日本ポリウレタン(株)製、ジイソシアネート化合物、水添ビスフェノールA1モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モルとの反応物、NCO%は14.6%)864部を仕込み、85℃で約10時間反応し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート176.4部、p−メトキシフェノール0.9部を仕込み、85℃で約15時間、残存NCO濃度が約0.3%以下になるまで反応を行ない、ウレタンアクリレート(B−2−▲3▼)を得た。生成物の粘度は6800ポイズ(60℃)であった。
【0031】
合成実施例1
3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの3モルエチレンオキサイド反応物196g、アクリル酸182g、トルエン140g、シクロヘキサン60g、濃硫酸3.5gを及びハイドロキノン、1.2gを仕込み93〜105℃で脱水反応を行ない、生成水が37gになるまで反応を継続した。反応終了後、反応混合物にトルエン280g及びシクロヘキサン120gを追加し、20%NaOH水溶液で中和後、静置し、水層(下層)を廃棄し、溶剤層に15%NaCl水溶液を仕込み、攪拌、静置して溶剤層を洗浄し、水層(下層)を廃棄後、メトキノン20mgを添加し、溶剤を留去し、残分をろ過し、生成物(前記式(1)において、R1、R2がいずれも水素原子で、a+b+cが平均値で約3である化合物)295gを得た。生成物の粘度(25℃)は54cps、屈折率(25℃)1.472であった。NMRでの測定結果は、以下の様であった。
【0032】
Figure 0004072880
Figure 0004072880
【0033】
応用実施例1〜3、比較例1
表2に示すような処方(数値は重量部を示す。)で各成分を混合し、三本ロールで混練し、樹脂組成物(印刷インキ組成物)を調製した。得られた印刷インキの安定性、硬化性、硬化物の着色性、密着性を評価した。評価は、以下の方法で行った。
【0034】
硬化性:
調製された組成物を厚さ200μの易接着ポリエステルシート上にスクリーン印刷法により印刷(厚み15μ)し、次いで高圧水銀灯(ランプ出力2kw)を平行し配した光源下8cmの位置で照射して(コンベア・スピード20m/min)硬化させた。硬化するまでの照射量(mJ/cm2)を求めた。
【0035】
着色性:
上記の方法で硬化した印刷物を90℃で24時間放置した後の印刷面の着色の程度を観察した。
○・・・・ほとんど変色していない。
△・・・・やや変色している。
×・・・・著しく変色している。
【0036】
密着性:
上記の方法で硬化した印刷物について、クロスカットセロテープ剥離テストを行った。
○・・・・剥離目、目の欠けも全く生じない。
△・・・・若干、目の欠けがみられる。
×・・・・剥離目、目の欠けが生じた。
液の安定性:
調製された組成物の100gを茶色の100mlのポリビンに入れ、70℃で放置し、30日後、ゲル化の有無を観察した。
○・・・・ゲル化していない。
×・・・・ゲル化している。
【0037】
Figure 0004072880
【0038】
注)
*1:
イルガキュアー907:チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製、2−メチル−1−〔4−(メチルメオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン。
【0039】
表2の評価結果から、本発明の新規の(メタ)アクリル酸エステルを使用した樹脂組成物は、安定性に優れ、硬化物は着色が少なく、密着性も良好である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の新規な(メタ)アクリル酸エステルを使用した樹脂組成物は、組成物の安定性が良好で、硬化物の着色が少なく密着性も良好であり、印刷インキ用に適する。

Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004072880
    (式中、R1は水素原子、メチル基又はエチル基、R2は水素原子又はメチル基、a+b+cの平均値は1〜15の数である。)
    で表される(メタ)アクリル酸エステル。
  2. 3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールとアルキレンオキサイドの反応物と(メタ)アクリル酸を反応させてなる請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステル。
  3. 請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸エステル(A)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  4. エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれたオリゴマー(B)を含有する請求項3記載の樹脂組成物。
  5. 印刷インキ用である請求項3または4に記載の樹脂組成物。
  6. 光重合開始剤(C)を含有する請求項3ないし5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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