JP5280706B2 - ハードコート剤 - Google Patents

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本発明はハードコート剤に関する。さらに詳しくは透明性と耐擦傷性を有するハードコート膜(以下、塗膜ということがある。)を与える活性エネルギー線硬化型ハードコート剤に関する。
従来、多官能(メタ)アクリレートを原料の一つとして用いるハードコート剤はプラスチックフィルム等の基材に耐擦傷性を付与することを主目的に広く使用されており、該性能を向上させる検討は現在でも数多く行われている。その主な方策にはハードコート膜の架橋密度の増大がある(特許文献1、2参照)。しかしながら、プラスチックフィルム等の基材の厚みに制限がある中で、架橋密度を増大させると、活性エネルギー線での硬化時にハードコート膜の体積収縮が起こり、その結果、フィルムがカールしたり、塗膜にクラックが生じる等の問題があった。
特公昭49−22951号公報 特開昭56−135526号公報
本発明の目的は、耐擦傷性に優れ、かつ低カールで、クラックが発生せず、また高い透明性を有する塗膜を形成することのできるハードコート樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、1分子中に4〜8個の水酸基および1個の6員環を有する糖類またはそのアルキレンオキサイド付加物(a1)と、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とをエステル化反応させて得られる、2〜8個の(メタ)アクリレート基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、並びに、必要により、ジ(メタ)アクリレート(B1)および3官能以上のポリ(メタ)アクリレート(B2)から選ばれる(A)以外の他の(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)、増感剤(D)、固体微粒子(E)、固体微粒子の分散剤(F)、消泡剤(G)、シランカップリング剤(H)、チクソトロピー性付与剤(I)、酸化防止剤(J)および紫外線吸収剤(K)からなる群から選ばれる1種以上の成分からなり、(A)の含有量が40.5〜99.5重量%、(B)の含有量が0〜59.4重量%であるハードコート剤である。
本発明のハードコート剤は、以下の効果を奏する。
・耐擦傷性に優れる。
・硬化収縮が小さく、フィルム上で塗膜を形成した際に低カールで、かつクラックが発生しない。
本発明の(A)を製造するための原料は、1分子中に2〜8個の水酸基、硬化膜となったときの耐擦傷性の観点から好ましくは4〜8個の水酸基、および1〜2個の環状構造、硬化膜となったときの低収縮性の観点から好ましくは1〜2個の環状構造を有する糖類、または該糖類の水酸基にアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるアルキレンオキサイド付加物(a1)である。
環状構造としては、5員環(フラノース)および6員環(ピラノース)などが挙げられる。
(a1)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(a11)1個の環状構造を有する糖類として、
(a111)環状構造が5員環である糖類
1個の環状構造を有し、かつその環状構造が5員環である糖類としてガラクツロン酸、グルクノラクトン、チミジン、シチジン、リキソース、リボースおよびそれらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、好ましくはリキソース、リボースおよびそれらのエチレンオキサイド付加物である。
(a112)環状構造が6員環である糖類
アラビノース、アルブチン、イドース、ウロン酸、ガラクトース、キシロース、グルクロン酸、グルコサミン、グルコース、ソルボース、フコース、マンノース、ガラクトサミン、ラミニトール、ラムノースおよびそれらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、好ましくはグルコース、ガラクトース、マンノースおよびそれらのエチレンオキサイド付加物である。
(a12)2個の環状構造を有する糖類
イソマルトース、ガラクチノール、グルクロノグルコース、ゲンチオビオース、コージビオース、トレハロース、スクロース、セロビオース、ソホロース、ニゲロース、マルトース、メリビオース、ラクトース、ラミナリビオース、ルチノースおよびそれらのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、好ましくはスクロース、ラクトースおよびそれらのエチレンオキサイド付加物である。
糖類の水酸基にアルキレンオキサイドを開環付加重合する方法としては、アルカリ性触媒または酸性触媒の存在下に、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加反応して製造することができる。
アルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)としては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイドおよび1,4−ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられる。
触媒としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどアルカリ金属酸化物(酸化ナトリウムおよび酸化カリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシドおよびカリウムメトキシドなど)およびアルカリ金属硫酸化物(硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムなど)が挙げられる。
反応温度は、通常60〜220℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃である。
水酸基1個当たりの平均のAOの付加モル数は、硬化膜となったときの硬度の観点から好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは0.8〜10である。
(a1)の数平均分子量(以下、Mnと略記、ゲルパーミュエションクロマトグラフィーによる測定値)は、好ましくは300〜3,000、さらに好ましくは400〜2,000である。
(a1)の水酸基とのエステル化反応またはウレタン化反応が可能な官能基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)における、該官能基としては、クロロホルミル基、ブロモホルミル基、グリシジル基、イソシアネート基およびカルボキシル基などが挙げられる。
(a2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸クロライド、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび(メタ)アクリル酸等が挙げられ、低温でも反応しやすいという観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸クロライドおよび2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである。
なお、上記及び以下において、例えば「(メタ)アクリレート」などの(メタ)を付した表現は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」などを意味する。
本発明における(A)は、2〜8個の水酸基を有する糖類およびそのAO付加物に、2〜8個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(a2)を反応させて製造することができる。
(a2)として(メタ)アクリル酸クロライドを使用する場合の製造法としては、例えば特開2002−241348に記載の方法に準じて、糖類またはそのアルキレンオキサイド付加物(a1)とアクリル酸クロライドとを反応して製造することができる。
(a2)として2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合の製造法としては、例えば特開2006−057025に記載の方法に準じて、糖類またはそのアルキレンオキサイド付加物(a1)とイソシアネート基含有(メタ)アクリレートとを反応して製造することができる。
上記製造工程で使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メトキノン、メチルハイドロキノン、酢酸銅およびフェノチアジン等が挙げられる。これらのうち重合禁止効果の観点から好ましいのはハイドロキノンである。重合禁止剤の使用量は、(a2)の重量に基づいて、重合禁止効果、重合物の生成量低減および除去工程における効率性の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.05〜2%である。
上記製造工程で使用できる有機溶媒としては、例えば、エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルアセテート、乳酸ブチル、レピリン酸ブチル等)、ケトン(メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アルコール(エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニルカルビトール、n−およびt−ブタノール等)、(アルキル置換)芳香族炭化水素(キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(石油エーテル、石油ナフサ等)が挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上併用してもよい。
有機溶媒の使用量は、原料の合計重量に基づいて、原料の溶解性および塗工時の溶剤選定の観点から好ましくは0〜70%、さらに好ましくは20〜50%である。
反応温度は、通常50〜100℃、反応時間、重合抑制の観点から好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは70〜85℃である。
(A)の具体例としては、グルコーストリアクリレート、グルコーステトラアクリレートなどが挙げられる。
本発明の(A)は、環構造を有しているので、その(メタ)アクリレート基が重合しても重合することによる収縮率が低い。従って、低収縮が特に望まれている活性エネルギー線硬化型ハードコート剤の原料として有用である。
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート剤(以下において、単に「ハードコート剤」と略記することがある)は、(A)を必須成分として含有してなる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、必要により前記(A)以外の他の(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)、増感剤(D)、固体微粒子(E)、固体微粒子の分散剤(F)、消泡剤(G)、シランカップリング剤(H)、チクソトロピー性付与剤(I)、酸化防止剤(J)および紫外線吸収剤(K)からなる群から選ばれる1種以上の任意の成分を含有することができる。なお、上記成分は、以下において、それぞれ単に(B)、(C)・・・および(K)と表記することがある。
前記(A)以外の他の(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)としては、以下の(B1)〜(B7)が挙げられる。本発明のハードコート剤は、(B)を含有させることでさらに硬化収縮を低減したり、プラスチックフィルムへの付着性や耐擦傷性をさらに向上させることができる。
(B1)ジ(メタ)アクリレート:
(B1−1)(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)(分子量62以上かつ3,000以下)のジ(メタ)アクリレート; ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(Mn400)、ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)(Mn200)およびポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記)(Mn650)の各ジ(メタ)アクリレート等
(B1−2)C2〜30の脂肪族2価アルコールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールの各ジ(メタ)アクリレート等
(B1−3)C6〜30の脂環式骨格を有する2価アルコールのジ(メタ)アクリレート;
ジメチロールトリシクロデカンのジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジ(メタ)アクリレートおよび水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等(B1−4)上記脂肪族または脂環式2価アルコールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート;
(B1−5)ビスフェノール化合物のAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA、−Fおよび−Sのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)2モルまたはプロピレンオキサイド(以下、POと略記)4モル付加物の各ジ(メタ)アクリレート等
(B2)ポリ(n=3〜6またはそれ以上)(メタ)アクリレート:
(B2−1)C3〜40の多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコール(ペンタエリスリトール(以下PEと略記)およびその分子間脱水物は除く)のポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン(以下TMPと略記)トリ(メタ)アクリレート、グリセリン(以下GRと略記)トリ(メタ)アクリレート;(B2−2)上記多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコール(PEおよびその分子間脱水物を含む)のAO付加物のポリ(メタ)アクリレート;
TMPのPO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、TMPのEO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、PEのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジPEのヘキサ(メタ)アクリレート等
(B3)ポリエステル(メタ)アクリレート:
多価(2価〜4価)カルボン酸、多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールおよびエステル形成性の(メタ)アクリロイル基含有化合物のエステル化により得られる複数のエステル結合と複数の(メタ)アクリロイル基を有する分子量150〜4,000のポリエステル(メタ)アクリレート
上記多価カルボン酸としては、例えば脂肪族[C3〜20、例えばマロン酸、マレイン酸(無水物)、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、酸無水物の反応物(ジPEと無水マレイン酸の反応物等)]、脂環式[C5〜30、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、メチルテトラヒドロ(無水)フタル酸]および芳香族多価カルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)、トリメリット酸(無水物)]が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えば脂肪族2価アルコール〔C2〜12、例えば(ジ)アルキレングリコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等]等〕、脂環含有2価アルコール[C5〜10、例えば1,3−シクロペンタンジオール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等]、芳香脂肪族2価アルコール[C8〜20、例えばキシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];3価〜8価もしくはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[GR、TMP、PE、ソルビトール(以下SOと略記)およびジPE、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等]等が挙げられる。
エステル形成性の(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、C2〜30、例えば(メタ)アクリル酸およびヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(B4)ウレタン(メタ)アクリレート:
ポリ(n=2〜3またはそれ以上)イソシアネート、多価(2価〜6価またはそれ以上)ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレートとのウレタン化反応により得られる複数のウレタン結合と複数の(メタ)アクリロイル基を有する分子量400以上かつMn5,000以下のウレタン(メタ)アクリレート
該ポリイソシアネートとしては、C6〜33(NCO基の炭素を除く)、例えば脂肪族ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート等)、芳香(脂肪)族ポリイソシアネート[2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等]、脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等]が挙げられる。
該ポリオールとしては、分子量62以上かつMn3,000、例えばEG、BD、NPG、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)が挙げられる。
該水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、C5〜30、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、PEトリ(メタ)アクリレート、ジPEペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(B5)エポキシ(メタ)アクリレート:
エポキシ樹脂〔ビスフェノールA型およびF型エポキシ樹脂、ポリイソシアネート(TDI等)変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのPO付加物の末端グリシジルエーテル等〕と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート
(B6)末端および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体:
ポリブタジエン(メタ)アクリレート(Mn500〜500,000)等
(B7)ジメチルポリシロキサンの末端および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するシロキサン重合体:
Mn300〜20,000、例えばジメチルポリシロキサンジ(メタ)アクリレート等
上記(B1)〜(B7)は1種単独または2種以上の併用ができる。併用の場合、低硬化収縮の観点から好ましいのは(B2)と(B3)の併用である。
(B)の含有量は、(A)と(B)との合計重量に基づいて通常40%以下、基材フィルムとの密着性および塗膜の耐擦傷性の観点から好ましくは5〜20%、さらに好ましくは、7〜15%である。
光重合開始剤(C)は、ハードコート剤の硬化エネルギー線が光(紫外線または可視光線)の場合に使用されることが多く、(C)としては、ベンゾイン化合物[ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等];アセトフェノン化合物〔アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等〕;アントラキノン化合物[2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等];チオキサントン化合物[2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等];ケタール化合物[アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等];ベンゾフェノン化合物[ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等];ホスフィンオキサイド化合物[2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等]が挙げられる。
上記(C)は、1種単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらのうち、活性エネルギー線照射後に黄変しにくいとの観点から好ましいのは、アセトフェノン化合物およびホスフィンオキサイド化合物、さらに好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、とくに好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
(C)の含有量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、組成物の活性エネルギー線硬化性および塗膜の耐擦傷性の観点から好ましくは25%以下、さらに好ましくは3〜20%である。
増感剤(D)としては、色素増感剤(キサンテン、チオキサンテン、クマリン、チオクマリン等)の他に、アルキルアミン増感剤(トリエチルアミン等)、アルカノールアミン増感剤(エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等)、アミノ安息香酸化合物増感剤(4−ジメチルアミノ安息香酸等)およびアミノ安息香酸エステル増感剤(4−ジメチルアミノ安息香酸−メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−エチルおよび4−ジメチルアミノ安息香酸−イソアミル等)等が挙げられる。
(D)の含有量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、組成物の活性エネルギー線硬化性および塗膜の耐擦傷性の観点から好ましくは0〜5%、さらに好ましくは1〜2%である。
固体微粒子(E)は、後述するハードコート膜に防眩性を付与するために含有させるものであり、無機微粒子(無機顔料を含む)および有機微粒子(有機顔料を含む)が挙げられる。
無機微粒子としては、体積平均粒径が0.01〜5μmのもの、例えばカーボンブラック、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻土、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩、タルク、等)、炭酸塩[沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等]、クレー、アルミナ(水和物)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、石膏、鉛白、マイカ、亜鉛華、酸化チタン、マイクロバルーン(シラス、ガラス)等が挙げられ、これらの無機微粒子は2種以上併用してもよい。
これらの無機微粒子のうち、後述のハードコートされた樹脂フィルムの透明性の観点から好ましいのはシリカ、タルク、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ(水和物)、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタン、さらに好ましいのは、コールターカウンター法による体積平均粒径が0.01〜0.1μmのシリカである。
無機微粒子の使用量は、(A)〜(E)の合計重量に基づいて通常200%以下、防眩性および塗膜の透明性の観点から、好ましくは0.5〜100%である。無機微粒子の形状は球状、針状、花弁状もしくは不定形状などのいずれでもよく、微粒子の中は中空状もしくは多孔質状などのいずれでもよく、乾式造粒させて得られたものであっても、湿式造粒させて得られたものであってもよい。
有機微粒子としては、アゾ顔料、多環式顔料および有機樹脂ビーズ(コールターカウンター法による体積平均粒径0.1〜2μmのアクリルビーズ、ポリスチレンビーズ、ウレタンビーズ、エポキシビーズ等)が挙げられ、具体例としては特開2004−2774号公報記載のものが挙げられる。これらの有機微粒子は、2種以上併用してもよい。
これらの有機微粒子のうち、後述のハードコートされた樹脂フィルムの透明性の観点から好ましいのは有機樹脂ビーズである。有機微粒子の使用量は、(A)の重量に基づいて通常200%以下塗膜の透明性の観点から、好ましくは0.1〜50%である。
有機微粒子の形状は球状、針状、花弁状もしくは不定形状などのいずれでもよく、微粒子の中は中空状もしくは多孔質状などのいずれでもよく、乾式造粒させて得られたものであっても、湿式造粒させて得られたものであってもよい。硬化塗膜の防眩性の観点から、好ましくは中空状、多孔質状および球状である。
固体微粒子の分散剤(F)としては、高分子有機分散剤、低分子有機分散剤および無機分散剤が挙げられる。
高分子有機分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
低分子有機分散剤としては、ポリオキシアルキレンジオール型分散剤、多価アルコール型分散剤、カルボン酸塩型分散剤、硫酸エステル型分散剤、スルホン酸塩型分散剤、リン酸エステル型分散剤、第1〜3級アミン塩型分散剤、および第4級アンモニウム塩型分散剤等が挙げられ、具体例としては特開2004−2774号公報記載のものが挙げられる。
無機分散剤としては、ポリリン酸塩、リン酸等のリン酸化合物が挙げられる。
消泡剤(G)としては、低級アルコール(C1〜4、例えばメタノール、ブタノール)、高級アルコール(C6〜30、例えばオクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール)、脂肪酸(C4〜30、例えばオレイン酸、ステアリン酸)、脂肪酸エステル(C7〜36、例えばグリセリンモノラウレート)、リン酸エステル(C6〜20、例えばトリブチルホスフェート)、金属石けん(C18〜30、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、鉱物油、ポリエーテル(例えばPEG、PPG)、シリコーン[例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル。但し本発明における(C)を除く。]等が挙げられる。
シランカップリング剤(H)としては、アミン化合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等)、ウレイド化合物(ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、ビニル化合物[ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリレート系(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシド(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート化合物(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型(ポリメトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、カチオン型[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等のシランカップリング剤が挙げられる。
チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(I)としては、無機チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(ベントナイト、有機処理ベントナイト、極微細表面処理炭酸カルシウム等)、有機チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(水添ヒマシ油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム、重合アマニ油等)等が挙げられる。
酸化防止剤(J)としては、ヒンダードフェノール〔トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル等〕、アミン(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等)等が挙げられる。
紫外線吸収剤(K)としては、ベンゾトリアゾール[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等〕、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)等が挙げられる。
本発明のハードコート剤における、ハードコート剤の固形分重量に基づく(A)〜(K)のそれぞれの好ましい含有量は下記表1の通りである。なお、本発明において「固形分」とは溶剤以外の成分を表す。
本発明のハードコート剤は、硬化後の架橋点間の数平均分子量が50〜200、好ましくは70〜150となるように(A)〜(K)の組成と含有量が設定されていることが好ましい。硬化後の架橋点間の数平均分子量が50以上であれば、さらに低カール性の効果を発揮しやすく、200以下であればさらに耐擦傷性の効果を発揮しやすい。
硬化後の架橋点間の数平均分子量の設定方法は計算分子量と(メタ)アクリロイル基の数からの算出値である。架橋点間の数平均分子量を小さくするには、(メタ)アクリロイル基の数を増加する手段、5員環を有する糖類を選択する手段、およびこれらの手段の併用が挙げられる。
また、本発明のハードコート剤は、基材への塗布に当たり有機溶剤で希釈して使用することもできる。有機溶剤としては、例えば、エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルアセテート、乳酸ブチル、レピリン酸ブチル等)、ケトン(メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アルコール(エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニルカルビトール、n−およびt−ブタノール等)、(アルキル置換)芳香族炭化水素(キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(石油エーテル、石油ナフサ等)が挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上併用してもよい。
有機溶剤の使用量は、有機溶剤を加える前の本発明の組成物の全重量に基づいて、通常400%以下、取扱いの容易さおよび塗工安定性の観点から好ましくは25〜250、さらに好ましくは、40〜150%である。
本発明のハードコート剤は通常は室温で液状であり、その粘度は、通常50〜5,000、好ましくは100〜3,000である。
本発明のハードコート樹脂フィルムの製造方法は、上記の活性エネルギー線硬化型ハードコート剤を、基材樹脂フィルムの少なくとも片面の少なくとも一部に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする、ハードコート樹脂フィルムの製造方法である。
ハードコート剤は基材フィルムの片面もしくは両面に塗布され、それぞれの面の全面に塗布しても一部に塗布してもよい。該基材樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホンが挙げられる。
基材樹脂フィルムの厚みは通常20〜220μm、ハードコート樹脂フィルムとしての取り扱いのし易さの観点から好ましくは80〜150μmであり、フィルムは、ハードコート剤との接着性を向上させるためのプライマー層を設けたものであってもよい。
ハードコート剤を基材樹脂フィルムに塗布する方法としては、塗工法(バーコーター、メイヤーバー、エアナイフ等を用いるもの)、および印刷法(グラビア印刷、リバースグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等)等が挙げられる。
塗布膜厚は、硬化後の膜厚として、ハードコート樹脂フィルムの表面硬度を向上させる観点および活性エネルギー線硬化によるハードコート樹脂フィルムのカール性の観点から好ましくは2〜38μm、さらに好ましくは4〜10μmである。
ハードコート剤を硬化させる際に照射する活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線および可視光線から選ばれる1種以上が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化の観点から好ましいのは紫外線と電子線である。
ハードコート剤を紫外線照射で硬化させるに際しては、種々の紫外線照射装置〔アイグランデージ[商品名、アイグラフィック(株)製]、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等〕を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、ハードコート剤の硬化性の観点から好ましい下限は100mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好ましい上限は5,000mJ/cm2である。
また、ハードコート剤を電子線照射で硬化させるに際しては、種々の電子線照射装置[例えばエレクトロンビーム、岩崎電気(株)製]を使用することができる。電子線の照射量は、通常0.5〜20Mrad、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は1Mrad、さらに好ましくは2Mrad、硬化物の可撓性、並びに硬化物または基材の損傷を避けるとの観点から、好ましい上限は15Mrad、さらに好ましくは7Mradである。
本発明のハードコート樹脂フィルムは、上記の製造方法で得られたハードコート樹脂フィルムである。
本発明のハードコート樹脂フィルムにおけるハードコート膜の活性エネルギー線の照射後の体積収縮率は、カール性の観点から好ましくは1〜5%、さらに好ましくは2〜4%である。
本発明のハードコート樹脂フィルムにおけるハードコート膜で被覆された表面の硬度(鉛筆硬度)は、傷つきにくさの観点から好ましくは3H〜5H、さらに好ましくは4H〜5Hである。
鉛筆硬度の測定は、JIS K 5600に準じ、斜め45度に固定した鉛筆の真上から荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆硬度 を表示した。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。以下の記述において、特に指定しない限り、「部」は「重量部」、%は重量%を示す。
製造例1
冷却管、撹拌装置および温度計を取り付けた反応容器に、D−(+)−グルコース(東京化成工業(株)製)83.8部、トルエン500部およびピリジン183.9部を仕込み、50℃に昇温した後、この溶液にアクリル酸クロライド(東京化成工業(株)製)231.8部、ハイドロキノン0.5部を加え、50℃で5時間撹拌し反応させた。放冷した後、ろ過にて反応中に発生した結晶を除去し、水200gを加えてトルエン層に目的物を抽出した後、トルエンを減圧下で留去し、D−(+)−グルコースの5官能アクリレート(モノマー1)を得た。
製造例2
2リットルのステンレス製オートクレーブに、D−(+)−グルコース(東京化成工業(株)製)67.4部および水酸化カリウム0.01部を投入し、系内を窒素で置換した。この時の酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、80℃にて30分間脱水を行った。次いでEO16.4部を80℃以下に保ちながらで滴下した後、110℃で4時間熟成しD−(+)−グルコースのエチレンオキサイド1モル付加物(化合物1)を得た。
製造例3
冷却管、撹拌装置および温度計を取り付けた反応容器に、化合物1を83.8部、トルエンを500部およびピリジンを183.9部を仕込み、50℃に昇温した後、この溶液にアクリル酸クロライド(東京化成工業(株)製)231.8部およびハイドロキノン0.5部を加え、50℃で5時間撹拌し反応させた。放冷した後、反応中に発生した白色結晶をろ過にて除去し、水200gを加えてトルエン層に目的物を抽出した後、トルエンを減圧下で留去し、D−(+)−グルコースのエチレンオキサイドモル付加物の5官能アクリレート(モノマー2)を得た。
(モノマー1)および(モノマー2)を用いて、活性エネルギー線硬化型ハードコート剤を作製した。
実施例1
撹拌装置および温度計を備えたガラス製容器に、(モノマー1)100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部を入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q1)を得た。(Q1)は、粘度3,300mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は56であった。
実施例2
実施例1と同じ容器に(モノマー1)80部、(モノマー3)20部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部を入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q2)を得た。(Q2)は、粘度3,620mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は57であった。
実施例3
実施例1と同じ容器に(モノマー2)80部、(モノマー4)20部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部を入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q3)を得た。(Q3)は、粘度1,750mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は64であった。
比較例1
実施例1と同じ容器に(モノマー3)100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部を入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q4)を得た。(Q4)は、粘度5,300mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は58であった。
比較例2
実施例1と同じ容器に(モノマー4)100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部、入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q5)を得た。(Q5)は、粘度140mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は152であった。
比較例3
実施例1と同じ容器に(モノマー3)80部、(モノマー4)20部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部、入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q6)を得た。(Q6)は、粘度2,450mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は66であった。
比較例4
実施例1と同じ容器に(モノマー3)20部、(モノマー4)80部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]2部、入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)ハードコート剤(Q7)を得た。(Q7)は、粘度290mPa・sであった。架橋点間の数平均分子量の設定値は115であった。
上記樹脂組成物(Q1)〜(Q7)の各50部に希釈有機溶剤としてトルエン100部を加え、ディスパーザーで均一になるまで撹拌したものを、タテ30cm、ヨコ30cm、厚さ80μm、の酢酸セルロースフィルム[商品名「フジタック」、富士写真フィルム(株)製]の片面にバーコーターを用い、乾燥硬化後の厚みが5μmとなるように塗布して被膜層を形成させ、60℃で3分間乾燥した後、該被膜層に紫外線照射装置[フュージョンUVシステムズ(株)製]により、照射強度200mW/cm2、搬送速度15m/sの条件で紫外線を照射し、硬化処理を行ってハードコート樹脂フィルムを作成した。得られたハードコート樹脂フィルムについて下記の方法で性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
<性能評価方法>
(1)体積収縮率
硬化させた樹脂の硬化前後の20℃での比重を電子比重計で測定し、次式により体積収縮率 として求めた。
体積収縮率 (%)=〔(硬化後の比重−硬化前の比重)/硬化後の比重〕×100
(2)鉛筆硬度
JIS K5400に準じ、鉛筆を45度の角度で、上から1kgの荷重をかけて5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。
2H 2Hの鉛筆では傷が付かないが、3Hの鉛筆では傷が付くもの
3H 3Hの鉛筆では傷が付かないが、4Hの鉛筆では傷が付くもの
4H 4Hの鉛筆では傷が付かないが、5Hの鉛筆では傷が付くもの
(3)耐擦傷性
スチールウール#0000を用い、1cm2あたり250gの荷重をかけて30往復擦傷後、外観を目視により下記の基準で評価した。
○ 全く傷が付かない。
△ 引っかき傷が数本程度認められる。
× 多数の引っかき傷が認められ、表面が白濁する。
(4)透明性
JIS−K7105(1981年制定)に準じ、ヘーズメータを用いて測定し、下記の基準で評価した。
○ ヘーズが0.5未満
△ ヘーズが0.5以上
× ヘーズが1.5以上
(5)カール性
作成したハードコート樹脂フィルムを10cm×10cmにカットして、80℃の乾燥機中に1時間静置した後、室温で1時間静置した。水平なガラス板上にフィルムを置いて、浮き上がった4辺それぞれの高さを測定し、4つの測定値の合計(単位:mm)をカール性とした。
○ 120mm未満
△ 120mm以上150mm未満
× 150mm以上
(5)外観
作成したハードコートフィルム表面の、クラック、ムラ、欠陥等の状態を目視にて判定した。
○ 良好
△ クラック、ムラ、欠陥がわずかに認められる。
× クラック、ムラ、欠陥が顕著に認められる。
本発明の多官能(メタ)アクリレートを必須成分として含有してなる活性エネルギー線硬化型ハードコート剤が塗布されて硬化させてなるハードコート樹脂フィルムは、硬度、耐擦傷性、低カール性、透明性、外観等に優れるため、特に液晶表示装置をはじめとするディスプレイに用いられる光学フィルムの高い透明性を阻害することなく、該フィルムの表面に耐擦傷性を付与するハードコート膜に使用することができ、極めて有用である。

Claims (4)

  1. 1分子中に4〜8個の水酸基および1個の6員環を有する糖類またはそのアルキレンオキサイド付加物(a1)と、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とをエステル化反応させて得られる、2〜8個の(メタ)アクリレート基を有する多官能(メタ)アクリレート(A)、並びに、必要により、ジ(メタ)アクリレート(B1)および3官能以上のポリ(メタ)アクリレート(B2)から選ばれる(A)以外の他の(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)、増感剤(D)、固体微粒子(E)、固体微粒子の分散剤(F)、消泡剤(G)、シランカップリング剤(H)、チクソトロピー性付与剤(I)、酸化防止剤(J)および紫外線吸収剤(K)からなる群から選ばれる1種以上の成分からなり、(A)の含有量が40.5〜99.5重量%、(B)の含有量が0〜59.4重量%であるハードコート剤。
  2. 硬化後の架橋点間の数平均分子量が50〜200となるように(A)〜(C)の組成と各々の含有量が設定された請求項1記載のハードコート剤。
  3. 請求項1または2記載のハードコート剤を、基材樹脂フィルムの少なくとも片面の少なくとも一部に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させて得られる、ハードコート層を有する樹脂フィルム。
  4. 基材フィルムが120±100μmの膜厚を有し、ハードコート層が20±18μmの膜厚を有し、ハードコートされた表面の鉛筆硬度が3H〜4Hである請求項3記載の、ハードコート層を有する樹脂フィルム。
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