JP4974547B2 - 活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、表面に傷が付きやすい欠点があるため、該フィルムの表面は通常耐擦傷性の付与を目的にハードコートされている。ハードコート材としては、オルガノポリシロキサンやメラミン等の熱硬化型ハードコート材、および多官能アクリレート等の活性エネルギー線硬化型ハードコート材が知られているが、生産性の観点から後者が主流となっている。該活性エネルギー線硬化型ハードコート材のうち、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する多官能アクリレートを使用したハードコート材は、古くから知られ公知の技術である。(例えば、特許文献1、2参照)。
本発明の目的は、耐擦傷性に優れ、かつ低カールで、クラックが発生せず、また高い透明性を有する塗膜を形成する、活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物を提供することにある。
(A):下記の(A1)〜(A3)、または必要によりさらに(A4)を加えたものから
なり、(A1)〜(A4)の合計重量に基づいて、(A1)が40〜70%、(
A2)が20〜50%、(A3)が10〜30%および(A4)が0〜5%であ
るアクリレート混合物
(A1)ジペンタエリスリトールのペンタアクリレートおよび/またはヘキサアク
リレート
(A2)ペンタエリスリトールの3〜7量体のアクリレート
(A3)ペンタエリスリトールの8またはそれ以上の多量体のアクリレート
(A4)ペンタエリスリトールのトリアクリレートおよび/またはテトラアクリレ
ート
(B):光重合開始剤
(C):下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノポリシロキサン
(1)耐擦傷性に優れる。
(2)低カールである。
(3)塗膜にクラックが発生することがない。
(4)透明性および外観に優れる。
(A1)ジペンタエリスリトールのペンタアクリレートおよび/またはヘキサアク
リレート
(A2)ペンタエリスリトールの3〜7量体のアクリレート
(A3)ペンタエリスリトールの8またはそれ以上の多量体のアクリレート
(A4)ペンタエリスリトールのトリアクリレートおよび/またはテトラアクリレ
ート
(A)中の(A1)の割合は、(A)の重量に基づいて40〜70%、好ましくは50〜60%である。(A1)が40%未満では、(A2)〜(A4)の比率が高くなるため、本発明のハードコート用樹脂組成物の粘度が高くなり平滑な塗膜が得られず、耐擦傷性が劣り、また70%を超えると硬化収縮が大きくなるため、フィルムが高カールとなったり、塗膜にクラックが発生しやすくなる。
酸触媒の使用量は、アクリル酸の重量に基づいて、反応時間の短縮、並びに除去工程における効率性の観点から好ましくは0.5〜15%、さらに好ましくは1〜10%である。
重合禁止剤の使用量は、アクリル酸の重量に基づいて、重合禁止効果、重合物の生成量低減および除去工程における効率性の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.05〜2%である。
有機溶媒の使用量は、原料の合計重量に基づいて、原料の溶解性、目的物得量の観点から好ましくは0〜70%、さらに好ましくは20〜50%である。
これらの方法のうち、生産性の観点から好ましいのは、(1)の方法である。
式(1)中、R1は炭素数(以下Cと略記)1〜4(好ましくは1〜3)のアルキル基を表す。
Xは−(CH2)3−O−[(C2H4O)p/(C3H6O)q]−R2で表されるポリエーテル鎖で、R2はH、C1〜4(好ましくは1〜3)のアルキル基もしくはアセチル基を表し、p、qはp+q=2〜100を満たすそれぞれ0以上の整数を表す。[ ]内の/はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい結合形式を表す。
またMeはメチル基を表し、m、nはm+n=10〜200を満たす、それぞれ0以上の整数であり、a、b、cはそれぞれ0または1を表し、n=0のときはaとcは同時に1になることはなく、n=0でないときはaとbとcは同時に1になることはない。
ここにおいて、塗布性とは、樹脂組成物のプラスチックフィルムへの塗布に際して、フィルム上でのハジキ、ブツ等の塗膜欠陥の発生の有無、すなわちレベリング性を意味し、以下においても同じである。
該化合物としては、架橋可能な公知の(メタ)アクリロイル基含有化合物を特に限定なく使用することができ、下記(1)〜(8)およびこれらの混合物が挙げられる。
(1−1)炭素数(以下、Cと略記)1〜30の脂肪族1価アルコールの(メタ)アクリレート
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等
(1−2)C6〜30脂環式1価アルコールの(メタ)アクリレート
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等
(1−3)上記脂肪族または脂環式1価アルコールのアルキレンオキシド(以下AOと略記)1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
ラウリルアルコールのエチレンオキシド(以下、EOと略記)2モル付加物の(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのプロピレンオキシド(以下、POと略記)3モル付加物の(メタ)アクリレート;シクロヘキサノールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、イソボルネオールのPO4モル付加物の(メタ)アクリレート等
(1−4)C6〜30の[アルキル(C1〜20)]フェノールのAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
フェノールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート等
(1−5)複素環含有(メタ)アクリロイル基含有化合物
アクリロイルモルホリン等
(2−1)(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)(分子量62以上かつMn3,000以下)のジ(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(Mn400)、ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)(Mn200)およびポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと略記)(Mn650)の各ジ(メタ)アクリレート等
(2−2)C2〜30の脂肪族2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールの各ジ(メタ)アクリレート等
(2−3)C6〜30の脂環式骨格を有する2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
ジメチロールトリシクロデカンのジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジ(メタ)アクリレートおよび水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等
(2−4)上記脂肪族または脂環式2価アルコールのAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート
(2−5)ビスフェノール化合物のAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート
ビスフェノールA、−Fおよび−SのEO2モルまたはPO4モル付加物の各ジ(メタ)アクリレート等
(3−1)C3〜40の多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコール(PEおよびその分子間脱水物は除く)のポリ(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパン(以下TMPと略記)トリ(メタ)アクリレート、グリセリン(以下GRと略記)トリ(メタ)アクリレート
(3−2)上記多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコール(PEおよびその分子間脱水物を含む)のポリ(メタ)アクリレート
TMPのPO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、TMPのEO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、PEのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジPEのヘキサ(メタ)アクリレート等
多価(2価〜4価)カルボン酸、多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールおよびエステル形成性の(メタ)アクリロイル基含有化合物のエステル化により得られる複数のエステル結合と複数の(メタ)アクリロイル基を有する分子量150以上かつMn4,000以下のポリエステル(メタ)アクリレート
上記多価カルボン酸としては、例えば脂肪族[C3〜20、例えばマロン酸、マレイン酸(無水物)、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、酸無水物の反応物(ジPEと無水マレイン酸の反応物等)]、脂環式[C5〜30、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、メチルテトラヒドロ(無水)フタル酸]および芳香族多価カルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)、トリメリット酸(無水物)]が挙げられる。
2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えば脂肪族2価アルコール〔C2〜12、例えば(ジ)アルキレングリコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等]等〕、脂環含有2価アルコール[C5〜10、例えば1,3−シクロペンタンジオール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等]、芳香脂肪族2価アルコール[C8〜20、例えばキシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価もしくはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[GR、TMP、PE、ソルビトール(以下SOと略記)およびジPE、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等]等が挙げられる。
ポリ(n=2〜3またはそれ以上)イソシアネート、多価(2価〜6価またはそれ以上)ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレートとのウレタン化反応により得られる複数のウレタン結合と複数の(メタ)アクリロイル基を有する分子量400以上かつMn5,000以下のウレタン(メタ)アクリレート
該ポリイソシアネートとしては、C6〜33(NCO基の炭素を除く)、例えば脂肪族ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート等)、芳香(脂肪)族ポリイソシアネート[2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等]、脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等]が挙げられる。
該ポリオールとしては、分子量62以上かつMn3,000、例えばEG、BD、NPG、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)が挙げられる。
該水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、C5〜30、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、PEトリ(メタ)アクリレート、ジPEペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ樹脂〔ビスフェノールA型およびF型エポキシ樹脂、ポリイソシアネート(TDI等)変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのPO付加物の末端グリシジルエーテル等〕と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート
(7)末端および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体
ポリブタジエン(メタ)アクリレート(Mn500〜500,000)等
(8)ジメチルポリシロキサンの末端および/または側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するシロキサン重合体
Mn300〜20,000、例えばジメチルポリシロキサンジ(メタ)アクリレート等
上記他の(メタ)アクリロイル基含有化合物の使用量は(A)〜(C)の合計重量に基づいて通常40%以下、基材フィルムとの密着性および塗膜の耐擦傷性の観点から好ましくは5〜20%、さらに好ましくは、7〜15%である。
無機微粒子としては、体積平均粒径が0.01〜5μmのもの、例えばカーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻土、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、白亜、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、アルミナ(水和物)(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト等)、ジルコニア(酸化ジルコニウム等)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、石膏(無水および半水石膏等)、鉛白、マイカ、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、ゼオライト、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、アスベスト、ガラスファイバー、ロックファイバー、マイクロバルーン(シラス、ガラス)等が挙げられ、これらの無機微粒子は2種以上併用してもよい。
無機微粒子の使用量は、(A)〜(C)の合計重量に基づいて通常200%以下、防眩性および塗膜の透明性の観点から、好ましくは0.5〜100%である。
無機微粒子の形状は、特に限定されず、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状、造粒状、球状等が挙げられ、硬化塗膜の防眩性の観点から、好ましいのは中空状、多孔質状および球状である。これらは、顔料としての役目も有する。
(1)アゾ顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、溶性アゾ顔料(アゾレーキ)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等;
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド等
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートーナー等)
(4)有機ビーズ(コールターカウンター法による体積平均粒径0.1〜2μm)
アクリルビーズ、ポリスチレンビーズ、ウレタンビーズ、エポキシビーズ等
(5)その他
アジン顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等
これらの有機微粒子は、2種以上併用してもよい。
有機微粒子の使用量は、(A)〜(C)の合計重量に基づいて通常100%以下、塗膜の透明性の観点から、好ましくは0.1〜50%である。
有機微粒子の形状は、特に限定されず、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状、造粒状、球状等が挙げられ、硬化塗膜の防眩性の観点から、好ましくは中空状、多孔質状および球状である。
上記添加剤(分散剤〜紫外線吸収剤)の使用量は、それぞれ本発明の樹脂組成物の全体の重量に基づいて通常5%以下、好ましくは2%以下である。
低分子有機分散剤としては、下記の(1)〜(8)が挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレンジオール型
C4〜30の脂肪族2価アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物、C7〜30のアルキルフェノールのAO1〜30モル付加物、C4〜30の脂肪族ジアミンのAO1〜30モル付加物、C4〜30の脂肪族アミドのAO1〜30モル付加物等;
(2)多価アルコール型
C4〜30の脂肪酸とGR、PE、SOまたはソルビタンとのモノエステル化合物等;
(3)カルボン酸塩型
C4〜30の脂肪酸ナトリウム等;
(4)硫酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコールの硫酸エステルナトリウム、C4〜30の脂肪族アルコール硫酸エステルアンモニウム、C4〜30の脂肪族アルコールのAO1〜30モル付加物の硫酸エステルナトリウム等;
(5)スルホン酸塩型
C7〜30のアルキルフェノールのスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸カルシウム等;
(6)リン酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコールのリン酸モノエステルのナトリウム塩、リン酸ジエステルのナトリウム塩およびリン酸モノエステルの4級アンモニウム塩等;
(7)第1〜3級アミン塩型
C4〜30の脂肪族アミン(第1〜3級)塩酸塩、トリエタノールアミンとC4〜30の脂肪酸のモノエステルの塩酸塩等;
(8)第4級アンモニウム塩型
C4〜30の脂肪族4級アンモニウムの塩酸塩等;
フィルムの厚みは通常20〜200μm、ハードコートフィルムとしての取り扱いのし易さの観点から好ましくは80〜150μmであり、基材としてはフィルムの他にシート状のもの(厚みは通常50〜500μm、好ましくは100〜200μm)であってもよい。また、フィルムまたはシートは、樹脂組成物との接着性を向上させるためのプライマー層を設けたものであってもよい。
塗布膜厚は、硬化後の膜厚として、ハードコートフィルムの表面硬度を向上させる観点および活性エネルギー線硬化による樹脂組成物の硬化収縮性の観点から好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは4〜10μmである。
本発明の組成物を紫外線照射で硬化させるに際しては、種々の紫外線照射装置〔アイグランデージ[商品名、アイグラフィック(株)製]、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等〕を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は100mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好ましい上限は5,000mJ/cm2である。
また、本発明の組成物を電子線照射で硬化させるに際しては、種々の電子線照射装置[例えばエレクトロンビーム、岩崎電気(株)製]を使用することができる。電子線の照射量は、通常0.5〜20Mrad、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は1Mrad、さらに好ましくは2Mrad、硬化物の可撓性、並びに硬化物または基材の損傷を避けるとの観点から、好ましい上限は15Mrad、さらに好ましくは7Mradである。
製造例1〜5[アクリレート混合物(A)の製造]
製造例1
撹拌装置、冷却管、温度計および生成水除去用のガラス管を備えたガラス製反応容器に、PE1.7%、ジPE86.9%、トリPE7.1%、その他組成物4.3%である混合物[商品名「ジペンタエリスリトール」、広栄化学工業(株)製、水酸基価39。以下同じ。]300部、アクリル酸510部、硫酸25部、ハイドロキノン5部、トルエン300部を仕込み、110℃で15時間加熱還流し反応させた。生成水は127部得られた。次いで、冷却しトルエン1,500部を追加し、15%NaOH水溶液で中和洗浄した。分液後、水層を除去し、さらに15%NaCl水溶液300mlで3回洗浄し、次いでp−メトキシフェノール0.25部をトルエン層に仕込み、トルエンを減圧留去することにより、アクリレート混合物(A−1)586部を得た。(A−1)は、粘度7,300mPa・s(25℃)、比重1.19(25℃)であり、本発明における各成分(A1)〜(A4)の比率をGPCを用いて確認したところ、それぞれ(A1)ジPEのペンタアクリレートおよび/またはヘキサアクリレート55%、(A2)PEの3〜7量体のアクリレート28%、(A3)PEの8またはそれ以上の多量体のアクリレート16%、および(A4)PEのトリアクリレートおよび/またはテトラアクリレート1%であった。以下において各成分は(A1)〜(A4)の記号のみで示す。
製造例1において、「ジペンタエリスリトール」[広栄化学工業(株)製]300部に代えて、PE2.8%、ジPE96.9%、トリPE0.3%である混合物[商品名「ジペンタエリスリトール」、セラニーズ(株)製、水酸基価40。]300部を用いたこと以外は製造例1と同様に行い、アクリレート混合物(A−2)571部を得た。(A−2)は、粘度6,800mPa・s(25℃)、比重1.19(25℃)であり、(A1)〜(A4)の比率をGPCを用いて確認したところ、(A1)60%、(A2)23%、(A3)14%、(A4)3%であった。
製造例1と同様の反応容器に、「ジペンタエリスリトール」[広栄化学工業(株)製]300部、硫酸25部、トルエン300部を仕込み、120℃で2時間加熱還流し反応させた。ガスクロマトグラフィーによる成分分析の結果、PE0.4%、ジPE73.4%、トリPE16.1%、PEの3〜7量体6.5%、PEの8またはそれ以上の多量体0.5%、その他組成物3.1%であるである混合物が得られた。続いてアクリル酸510部を仕込み、110℃で15時間加熱還流し反応させた。生成水は112部得られた。次いで、冷却しトルエンを1,500部を追加し、15%NaOH水溶液で中和洗浄した。分液後、水層を除去し、さらに15%NaCl水溶液300mlで3回洗浄し、次いでp−メトキシフェノール0.25部をトルエン層に仕込み、トルエンを減圧留去することにより、アクリレート混合物(A−3)559部を得た。(A−3)は、粘度10,300mPa・s(25℃)、比重1.20(25℃)であり、(A1)〜(A4)の比率をGPCを用いて確認したところ、(A1)42%、(A2)48%、(A3)10%、(A4)0%であった。
製造例3において、「ジペンタエリスリトール」[広栄化学工業(株)製]300部、硫酸25部、トルエン300部を仕込み後、120℃で2時間加熱還流して反応させるところを、120℃で6時間加熱還流して反応させることに代えた以外は製造例3と同様に行った。ガスクロマトグラフィーによる成分分析の結果、PE0.1%、ジPE48.6%、トリPE31.2%、PEの3〜7量体12.1%、PEの8またはそれ以上の多量体6.9%、その他組成物1.1%である混合物が得られた。続いて製造例3と同様に行い、アクリレート混合物(A−4)460部を得た。(A−4)は、粘度17,100mPa・s(25℃)、比重1.22(25℃)であり、(A1)〜(A4)の比率をGPCを用いて確認したところ、(A1)18%、(A2)51%、(A3)31%、(A4)0%であった。
製造例1と同様の反応容器に、PE2.8%、ジPE96.9%、トリPE0.3%である混合物[商品名「ジペンタエリスリトール」、セラニーズ(株)製、水酸基価40。]300部、アクリル酸660部、硫酸15部、ハイドロキノン5部、トルエン300部を仕込み、105℃で15時間加熱還流し反応させた。生成水は121部得られた。次いで、冷却しトルエン1,500部を追加し、15%NaOH水溶液で中和洗浄した。分液後、水層を除去し、さらに15%NaCl水溶液300mlで3回洗浄し、次いでp−メトキシフェノール0.25部をトルエン層に仕込み、トルエンを減圧留去することにより、アクリレート混合物(A−5)587部を得た。(A−5)は粘度5500mPa・s(25℃)、比重1.18(25℃)であり、(A1)〜(A4)の比率をGPCを用いて確認したところ、(A1)77%、(A2)14%、(A3)6%、(A4)3%であった。
(A−1)〜(A−5)を用いて、活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物を作成した。
実施例1
撹拌装置、温度計を備えたガラス製容器に、(A−1)95部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[商品名「イルガキュア184」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]4.5部、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン[商品名「BYK−333」、BYK Chemie(株)製]0.01部を入れ、ディスパーザーで混合撹拌して(温度50〜60℃、撹拌時間30分)樹脂組成物(Q1)を得た。(Q1)は、粘度3,700mPa・s、表面張力36mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−2)95部、「BYK−333」0.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q2)を得た。(Q2)は、粘度4,100mPa・s、表面張力29mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−3)95部、「BYK−333」0.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q3)を得た。(Q3)は、粘度5,900mPa・s、表面張力30mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部に代えて、(A−2)65部、(A−3)30部、「BYK−333」0.01部に代えて、「BYK−333」0.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q4)を得た。(Q4)は、粘度4,700mPa・s、表面張力29mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4.5部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−1)80部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン20部、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン[商品名「BYK−373」、BYK Chemie(株)製]0.1部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q5)を得た。(Q5)は、粘度3,500mPa・s、表面張力32mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4.5部に代えて、(A−1)90部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン10部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q6)を得た。(Q6)は、粘度3,600mPa・s、表面張力33mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4.5部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−1)90部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン10部、「BYK−333」2部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q7)を得た。(Q7)は、粘度3,200mPa・s、表面張力20mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−4)95部、「BYK−333」0.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q8)を得た。(Q8)は、粘度8,500mPa・s、表面張力30mN/mであった。
実施例1において、(A−1)95部、「BYK−333」0.01部に代えて、(A−5)95部、「BYK−333」0.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q9)を得た。(Q9)は、粘度2,800mPa・s、表面張力29mN/mであった。
実施例1において、(C)を用いないこと以外は、実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q10)を得た。(Q10)は、粘度4,200mPa・s、表面張力41mN/mであった。
実施例1において「BYK−333」0.01部に代えて、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン[商品名「BYK−323」、BYK Chemie(株)製]0.1部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(Q11)を得た。(Q11)は、粘度4,100mPa・s、表面張力28mN/mであった。
(1)表面張力
ウィルヘルミー式表面張力計[A−3型、協和界面化学(株)製]を用いて、25℃における表面張力を測定した。単位はmN/m。
(2)付着性
JIS K5400に準じ、碁盤目テストにより、下記の基準で評価した(隙間間隔1mm)。
○ 硬化層が全く剥がれない。
△ 全体の50%未満が剥がれる。
× 全体の50%以上が剥がれる。
(3)耐擦傷性
スチールウール#0000を用い、250g/cm2荷重にて30往復擦傷後、外観を目視により下記の基準で評価した。
○ 全く傷が付かない。
△ 引っかき傷が数本程度認められる。
× 多数の引っかき傷が認められ、表面が白濁する。
(4)透明性
JIS−K7105(1981年制定)に準じ、ヘーズメータを用いて測定し、下記の基準で評価した。
○ ヘーズが0.5未満
△ ヘーズが0.5以上
× ヘーズが1.5以上
(5)カール性
作成したハードコートフィルムを10cm×10cmにカットして、80℃の乾燥機中に1時間静置した後、室温で1時間静置した。水平なガラス板上にフィルムを置いて、浮き上がった4辺それぞれの高さを測定し、4つの測定値の合計(単位:mm)をカール性とした。
○ 120mm未満
△ 120mm以上150mm未満
× 150mm以上
(5)外観
作成したハードコートフィルム表面の、クラック、ムラ、欠陥等の状態を目視にて判定した。
○ 良好
△ クラック、ムラ、欠陥がわずかに認められる。
× クラック、ムラ、欠陥が顕著に認められる。
Claims (7)
- 下記(A)、(B)および(C)からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(A):下記の(A1)〜(A3)、または必要によりさらに(A4)を加えたものから
なり、(A1)〜(A4)の合計重量に基づいて、(A1)が40〜70%、(
A2)が20〜50%、(A3)が10〜30%および(A4)が0〜5%であ
るアクリレート混合物
(A1)ジペンタエリスリトールのペンタアクリレートおよび/またはヘキサアク
リレート
(A2)ペンタエリスリトールの3〜7量体のアクリレート
(A3)ペンタエリスリトールの8またはそれ以上の多量体のアクリレート
(A4)ペンタエリスリトールのトリアクリレートおよび/またはテトラアクリレ
ート
(B):光重合開始剤
(C):下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノポリシロキサン
- (B)の含有量が、(A)の重量に基づいて、1〜25%である請求項1記載の組成物。
- (C)の含有量が、(A)の重量に基づいて、0.01〜2.5%である請求項1または2記載の組成物。
- 25℃における表面張力が、20〜40mN/mである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を硬化させてなるハードコート膜。
- 請求項5に記載のハードコート膜を基材フィルムの片面の少なくとも一部に有するハードコートフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を基材フィルムの片面の少なくとも一部に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
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