JPH1121470A - 活性エネルギー線硬化型被覆用組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型被覆用組成物

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JPH1121470A
JPH1121470A JP19186497A JP19186497A JPH1121470A JP H1121470 A JPH1121470 A JP H1121470A JP 19186497 A JP19186497 A JP 19186497A JP 19186497 A JP19186497 A JP 19186497A JP H1121470 A JPH1121470 A JP H1121470A
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栄一 岡崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】組成物の原料を容易に製造することができ、活
性エネルギー線の照射により容易に硬化し、特に紫外線
の照射においても容易に硬化、さらに得られる硬化膜が
耐候性及び耐摩耗性に優れる活性エネルギー線硬化型被
覆用組成物の提供。 【解決手段】環状イミド基を有するイミド(メタ)アク
リレート(A)、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)
アクリレート(B)及びこれら以外の(メタ)アクリレ
ート(C)からなり、(A)、(B)及び(C)成分が
特定割合で構成される活性エネルギー線硬化型被覆用組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線及び紫外線
等の活性エネルギー線の照射により硬化可能な、活性エ
ネルギー線硬化型被覆用組成物に関するものであり、本
発明の組成物は、被覆材、特にプラスチック用被覆材等
として好ましく利用することができ、これらの技術分野
において賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】活性エネルギー線硬化型組成物は、その
速硬化性により、従来の溶剤型樹脂組成物と比較して乾
燥に要するエネルギーと時間を大幅に減らすことができ
るだけでなく、乾燥装置等が不要なため省スペース化を
図ることができ、さらに該組成物は溶剤の使用量が少量
で済むか又は全く使用しないでも良いというものである
ため、地球環境にやさしい材料として年々使用量が増え
てきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】活性エネルギー線硬化
型組成物は、近年では、より様々な分野へと使用範囲が
広がっており、それらの分野で要求される性能は、従来
からその原料として使用されているオリゴマーやモノマ
ーだけの組み合わせでは、達成できない場合が出てきて
いる。
【0004】又、活性エネルギー線硬化型組成物の大部
分を占める、(メタ)アクリレートを主成分とする紫外
線硬化型組成物の場合、紫外線により硬化させるために
は、紫外線の照射により活性ラジカルを発生させる光重
合開始剤を組成物中に配合する必要がある。しかしなが
ら、当該光重合開始剤は、組成物の硬化後の硬化物中に
も残存してしまうため、得られる硬化物の耐候性を悪化
させ、着色や退色、塗膜の剥がれやクラック等が発生す
るため、紫外線硬化型組成物は、耐候性が要求される用
途には不充分なものであった。組成物に、紫外線吸収
剤、光安定剤及び酸化防止剤等の耐候性向上剤を配合す
ることにより、耐候性の改良が試みられているが、その
効果は不十分で、又耐候性向上剤が硬化反応を抑制する
ため、組成物の紫外線硬化性が低下して、生産性が低下
することもあった。
【0005】最近、光重合開始剤の配合なしに紫外線に
より硬化が可能な(メタ)アクリレート系組成物とし
て、(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイル基を
含有しないN−置換マレイミド化合物からなる組成物が
報告されてる〔Sonny Jonssonら、ラドテ
ック’95ヨーロッパ、予講集(アカデミックデイ)3
4頁〕。しかしながら、当該組成物で使用されるマレイ
ミド化合物は、固体であることが多いため取り扱い難
く、又液状で使用するためには(メタ)アクリレートに
溶解させて使用する必要があるが、マレイミド化合物は
(メタ)アクリレートに対する溶解度が低い場合があ
り、この場合にはマレイミド化合物の組成物中の配合量
を増やすと析出してしまうことがあった。従って、限ら
れた配合の組成物しか製造することができず、種々の用
途において要求される物性に応じて組成物の配合を変更
する場合には、目的の物性を満足できないことがあっ
た。さらに、原料のN−置換マレイミド化合物は、無水
マレイン酸とアミンの付加反応とそれに引き続いて脱水
反応することにより一般に製造されるが、当該製造方法
は収率が低く、これは原料無水マレイン酸の不飽和基の
副反応に起因するため、当該不飽和基を保護して合成す
る方法などが提案(特開平2−268155号)されて
いるが、脱保護反応というステップが増え、ワンポット
で合成できない等のデメリットが多い。
【0006】一方、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポ
リカーボネート樹脂等から製造されるプラスチック成形
品は、軽量で耐衝撃性に優れている上、成形加工が容易
であるなどの種々の利点を有しており、多くの分野で使
用されている。しかしながら、これらのプラスチック成
型品はその表面の耐摩耗性が不足しているため、表面に
損傷を受けやすく、耐摩耗性の向上が望まれている。
又、これら成型品は、自動車部品等の用に屋外で使用さ
れることもあり、耐候性も強く要求されている。耐摩耗
性を改善するため、これらプラスチック成形品の表面
を、紫外線硬化型組成物で被覆する方法も検討されてい
るが、耐摩耗性やプラスチックとの密着性が不充分であ
ことがある上、例えこれらの性能がある程度満足行く場
合にでも、前記の通り従来の紫外線硬化型組成物では耐
候性に問題のあるものであった。
【0007】本発明らは、組成物の原料を容易に製造す
ることができ、活性エネルギー線の照射により容易に硬
化し、特に紫外線の照射においても容易に硬化、さらに
得られる硬化膜が耐候性及び耐摩耗性に優れる活性エネ
ルギー線硬化型被覆用組成物を見出すため鋭意検討を行
ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため種々の検討を重ねた結果、環状イミド基
を有するイミド(メタ)アクリレートと特定の多官能
(メタ)アクリレートからなる活性エネルギー線硬化型
被覆用組成物が、紫外線による硬化を行う際において
も、光重合開始剤の配合なしで又はその配合量を低減さ
せても、十分な硬化速度で硬化し、さらには得られる硬
化膜が耐候性及び耐摩耗性にも優れることを見い出し、
本発明を完成したのである。以下、本発明を詳細に説明
する。尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/
又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、ア
クリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリ
レートと、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メ
タ)アクリル酸と表す。
【0009】
【発明の実施の形態】
○環状イミド基を有するイミド(メタ)アクリレート
(A) 本発明で使用する(A)成分の環状イミド基を有するイ
ミド(メタ)アクリレートとしては、種々の化合物が使
用できるが、容易に製造できる上、(メタ)アクリレー
トへの溶解性に優れ、又得られる組成物の硬化膜が耐候
性及び密着性に優れることから、下記式(1)〜式
(5)で表される化合物から選択される1種以上のイミ
ド(メタ)アクリレートが好ましい。
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】
【化10】
【0015】〔但し、式(1)〜式(5)において、R
1 ,R2 及びR3 はH又はCH3 であり、1分子中のR
1 ,R2 及びR3 は、それぞれ同一でも異なっていても
良い。R4 〜R7 はH又はCn 2n+1で、n=1〜6で
あり、1分子中のR4 〜R7 は、それぞれ同一でも異な
っていても良い。又l=2〜3、m=1〜3である。〕
【0016】式(1)で表される化合物は、フタルイミ
ド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、l
=2〜3である。式(1)において、l=1の化合物は
非常に結晶性が高く、他のモノマー又はオリゴマーに対
する溶解度も低く、結晶が析出しやすいため、取り扱い
上好ましくない。又、lが4以上のものは、分子中のイ
ミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性及
び硬化膜の密着性が低下してしまう。式(1)で表され
る化合物の中でも、R1 〜R7 が水素原子で、lが2の
ものが、組成物の硬化性及び硬化膜の密着性に優れるた
め特に好ましい。
【0017】式(2)で表される化合物は、ヘキサヒド
ロフタルイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレー
トであり、m=1〜3である。式(2)において、mが
4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してし
まうため、組成物の硬化性及び硬化膜の密着性が低下し
てしまう。式(2)で表される化合物の中でも、R1
7 が水素原子で、mが1のものが、組成物の硬化性及
び硬化膜の密着性に優れるため特に好ましい。
【0018】式(3)で表される化合物は、コハクイミ
ド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、m
=1〜3である。式(3)において、mが4以上のもの
は、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組
成物の硬化性及び硬化膜の密着性が低下してしまう。式
(3)で表される化合物の中でも、R1 〜R7 が水素原
子で、mが1のものが、組成物の硬化性及び硬化膜の密
着性が優れるため特に好ましい。
【0019】式(4)で表される化合物は、4及び5位
に2重結合を有するテトラヒドロフタルイミド骨格を有
するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3で
ある。式(4)において、mが4以上のものは、分子中
のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化
性及び硬化膜の密着性が低下してしまう。式(4)で表
される化合物の中でも、R1 〜R7 が水素原子で、mが
1のものが、組成物の硬化性及び硬化膜の密着性に優れ
るため特に好ましい。
【0020】式(5)で表される化合物は、1及び2位
に2重結合を有するテトラヒドロフタルイミド骨格を有
するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3で
ある。式(4)において、mが4以上のものは、分子中
のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化
性及び硬化膜の密着性が低下してしまう。式(5)で表
される化合物の中でも、R1 〜R7 が水素原子で、mが
1のものが、伸び率が優れるため特に好ましい。
【0021】本発明者らは、従来の(メタ)アクリレー
トと(メタ)アクリロイル基を含有しないN−置換マレ
イミド化合物からなる組成物だけでなく、1分子中に
(メタ)アクリロイル基と環状イミド基を有する化合物
でも、光重合開始剤を使用しないか、又は少量の光重合
開始剤の配合でも、紫外線照射により実用上充分な硬化
速度で硬化し、その硬化膜は実用上充分な物性を有する
ことを見出したのである。
【0022】特に、本発明で好ましく使用される、式
(1)〜(5)で表される化合物は、ワンポットで合成
することが可能なものである。例えば、これらの化合物
は、N−ヒドロキシアルキルフタルイミド誘導体、N−
ヒドロキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド誘導体、
N−ヒドロキシアルキルコハクイミド誘導体又はN−ヒ
ドロキシアルキルテトラヒドロフタルイミド誘導体と、
(メタ)アクリル酸との脱水縮合物反応によりワンポッ
トで得ることができる。さらに式(1)(2)(4)及
び(5)で表される化合物は、原料のN−ヒドロキシア
ルキルフタルイミド誘導体、N−ヒドロキシアルキルヘ
キサヒドロフタルイミド誘導体又はN−ヒドロキシアル
キルテトラヒドロフタルイミド誘導体が、無水フタル酸
誘導体、無水ヘキサヒドロフタル酸誘導体又は無水テト
ラヒドロフタル酸誘導体と、アミノアルコール類の付加
反応とそれと引き続いて起こる脱水反応により、不飽和
基を保護することなく、ワンポットで合成でき、又当該
反応は定量的に進行する。
【0023】本発明の(A)成分は、重合開始剤の配合
なしでも紫外線照射により硬化するだけでなく、(メ
タ)アクリロイル基及び環状イミド基を有する化合物で
あるので、(メタ)アクリレートに対する溶解性にも優
れ、特に式(1)で表される化合物ではベンゼン環、式
(2)、(4)及び(5)で表される化合物ではシクロ
ヘキシル環を有するためより溶解性に優れる。又、その
硬化膜は、適度な疎水性を有し、これにより、耐候性、
特に高湿度条件における耐候性に優れたものとなり、特
に式(1)で表される化合物ではベンゼン環、式
(2)、(4)及び(5)で表される化合物ではシクロ
ヘキシル環を有するため、より適度な疎水性を有しする
ため前記性能がより優れたものとなる。さらに、(A)
成分のイミド基単位が高極性であるため、その硬化膜は
種々のプラスチック成型品への密着性に優れ、又耐摩耗
性及び耐候性に優れたものとなる。
【0024】これら式(1)〜(5)で表される化合物
は、以下の文献及び特許に記載された方法により、合成
することができる。 ・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),89
7,(1972) ・Javier de Abajo ら、Polymer,vol33
(5),(1992) ・特開昭56−53119号、・特開平1−24256
9号
【0025】組成物中の(A)成分の配合割合は、
(A)、(B)及び(C)成分の合計量を基準として、
5〜50重量%である必要があり、好ましくは10〜5
0重量%である。この割合が5重量%より少ないと、組
成物の硬化性が劣ったり、組成物の密着性が不充分とな
ってしまう。他方この割合が50重量%を越えると、組
成物の硬化膜が耐摩耗性に劣ってしまう。
【0026】○ジペンタエリスリトールポリ(メタ)ア
クリレート(B) 本発明で使用されるジペンタエリスリトールポリ(メ
タ)アクリレート(B)は、得られる硬化膜に硬度及び
耐摩耗性を付与する成分である。(B)成分としては、
ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及
びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート
を使用することが、得られる硬化膜の硬度及び耐摩耗性
に優れていることから好ましく、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレートを使用することがより
好ましい。
【0027】組成物中の(B)成分の配合割合は、
(A)、(B)及び(C)成分の合計量を基準として、
20〜90重量%である必要があり、好ましくは30〜
70重量%である。この割合が20重量%より少ない
と、得られる硬化膜が硬度及び耐摩耗性に劣るものとな
り、他方この割合が90重量%を越えると、組成物の硬
化性が低下し、又得られる硬化膜の密着性が低下しさら
に脆いものとなってしまう。
【0028】(B)成分は、2種以上を併用することも
できる。
【0029】○(メタ)アクリレート(C) 本発明の組成物においては、上記必須成分の(A)及び
(B)成分に加え、必要に応じて、(A)及び(B)成
分以外の(メタ)アクリレート(C)を配合することが
できる。(メタ)アクリレート(C)としては、モノマ
ー及び/又はオリゴマーが使用できる。オリゴマーとし
ては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル
(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
【0030】モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の
フェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート
及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノ
又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコ
ールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロ
ピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等
のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート等のポリオール、並び
にこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物の
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
としては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物
に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレ
ートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリ
オールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレング
リコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子
量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエ
ーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及
びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステ
ルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は
/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク
酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸
等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙
げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソ
ホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル
基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴ
マーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アク
リル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリ
オールとしては、エチレングリコール、ポリエチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及
びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並
びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオール
と、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等
の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0033】エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に
(メタ)アクリル酸を付加反応させたもので、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、フェ
ノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリレート、ポリエーテルのジグリシジルエーテ
ルの(メタ)アクリル酸付物等が挙げられる。
【0034】(C)成分としては、(メタ)アクリロイ
ル基を2個以上分子内に有するものが、得られる組成物
の硬化物の耐摩擦性及び硬度に優れるため好ましく、又
芳香族を含まないものが硬化性、耐候性の点で好まし
い。
【0035】組成物中の(C)成分の配合割合は、
(A)、(B)及び(C)成分の合計量を基準として、
0〜40重量%である必要がある。この割合が40重量
%を越えると、組成物の硬化性が低下したり、得られる
硬化膜の耐摩耗性が低下する。
【0036】(C)成分は、2種以上を併用することも
できる。
【0037】○その他の成分 本発明の組成物は、活性エネルギー線照射により容易に
硬化するもので、紫外線による硬化においても、光重合
開始剤の配合なしに問題なく硬化するものであるが、さ
らなる硬化性の向上を目的として、耐候性を損なわない
範囲で光重合開始剤を配合することができる。
【0038】光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及び
ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとその
アルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ
−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセ
トフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−
1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリ
ノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチ
ルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−タ
ーシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラ
キノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノ
ン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,
4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;ア
セトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケ
タール等のケタール;ベンゾフェノン等のベンゾフェノ
ン類;並びにキサントン類等が挙げられる。これらの光
重合開始剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミ
ン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用すること
もできる。これら光重合開始剤の好ましい配合割合は、
組成物100重量部に対して5重量部以下で、より好ま
しくは2重量部以下である。
【0039】本発明の組成物には、さらなる耐候性の向
上を目的として、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止
剤から選択される1種以上の耐候性向上剤(D)を配合
することもできる。
【0040】紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル
−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び2
−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の紫
外線吸収剤等が挙げられる。
【0041】光安定剤としては、ヒンダードアミン系及
びベンゾエート系の光安定剤等が挙げられる。ヒンダー
ドアミン系の光安定剤としては、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート
及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられ
る。ベンゾエート系の光安定剤としては、2,4−ジ−
t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0042】酸化防止剤としては、トリエチレングリコ
ール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−
ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]及び1,6−
ヘキサンジオール−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダー
ドフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。
【0043】耐候性向上剤(D)の好ましい配合割合と
しては、組成物100重量部に対して、0.01〜5重
量部である。この割合が0.01重量部に満たないと、
(D)成分を配合した効果が得られず、他方5重量部を
超えると、組成物の硬化性が低下したり、得られる組成
物の硬化物の耐摩耗性が低下する場合がある。
【0044】○製造方法 本発明の組成物は、(A)、(B)及び(C)成分、並
びに必要に応じてその他の成分を、常法に従い撹拌混合
することにより得ることができる。
【0045】○使用方法 本発明の組成物は、種々の基材の被覆材として有用に使
用できるものであり、特に、構成成分の(A)成分のイ
ミド基部分が高極性であるため、種々のプラスチックに
対する密着性に優れ、さらにその硬化膜が耐摩耗性及び
耐候性に優れるため、プラスチックの被覆、即ちプラス
チックハードコートの用途に有用に使用できる。
【0046】使用方法としては、例えば適用される基材
に対して、通常の塗装方法により塗布した後、紫外線及
び電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬
化させる方法等の一般的な方法が採用できる。活性エネ
ルギー線の照射方法も、従来活性エネルギー線硬化型組
成物の硬化方法として知られている一般的な方法を採用
すれば良い。本発明の組成物が適用できる基材として
は、紙、木材、金属及びプラスチック等の種々の基材が
可能であるが、前記の通り、本発明の組成物は特にプラ
スチック基材に好ましく適用できる。プラスチックとし
ては、具体的にはポリカーボネート、ポリメチルメタク
リレート及びポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をより具体的に
説明する。尚、以下において、%は重量%を意味する。 ○製造例1 撹拌器、冷却管及び水分離器(ディーンスタークトラッ
プ)を備えたフラスコに、無水フタル酸296.2g
(2.0モル)及びトルエン500gを仕込み、100
℃に加熱した後、2−(2−アミノエトキシ)エタノー
ル210.3g(2.0モル)を10分かけて滴下し、
その後120℃で3時間撹拌しつつ、生成する水を共沸
脱水したところ、36gの水が脱水された。40℃に冷
却後、当該フラスコに、アクリル酸158.5g(2.
2モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.24
g及び硫酸14.1gを加え、120℃で3時間撹拌し
つつ、生成する水を共沸脱水したところ、さらに36g
の水が脱水された。冷却後、反応液に400gの10%
NaOH水を注ぎ、30分間撹拌した。その後、分液ロ
ートへ反応液を移し、水層を分離除去して合成触媒及び
過剰のアクリル酸を除いた。アルカリ洗浄したトルエン
を含む反応溶液をフラスコに移し、溶剤を減圧で留去す
ることにより、下記式(6)で示される化合物を500
g得た。粘度は1,290cps/25℃であった。当該化合
物は、式(1)において、R4 〜R7 が水素原子であ
り、lが2の化合物であり、これをアクリレートA−1
という。
【0048】
【化11】
【0049】○製造例2 製造例1において、無水フタル酸をヘキサヒドロ無水フ
タル酸308.2g(2.0モル)に、2−(2−アミ
ノエトキシ)エタノールをエタノールアミン122.2
g(2.0モル)に変更した以外は製造例1と同様に反
応及び後処理を行い、下記式(7)で示される化合物を
450g得た。粘度は、2,500cps/25℃であった。
当該化合物は、式(2)において、R4 〜R7 が水素原
子であり、mが1の化合物であり、これをアクリレート
A−2という。
【0050】
【化12】
【0051】○製造例3 製造例1と同様のフラスコに、N−ヒドロキシエチルコ
ハクイミド286g(2.0モル)、アクリル酸15
8.5g(2.2モル)、トルエン400g、ハイドロ
キノンモノメチルエーテル0.20g及び硫酸11.8
gを加え、120℃で3時間撹拌しつつ、生成する水を
共沸脱水したところ、さらに36gの水が脱水された。
反応後、製造例1と同様の方法で後処理し、下記式
(8)で示される化合物を380g得た。粘度は450
cps/25℃であった。当該化合物は、式(3)において、
4 及びR5 が水素原子であり、mが1の化合物であ
り、これをアクリレートA−3という。
【0052】
【化13】
【0053】○製造例4 製造例2において、ヘキサヒドロ無水フタル酸を1,
2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸304.2g
(2.0モル)に変更した以外は製造例2と同様に反応
及び後処理を行い、下記式(9)で示される化合物を4
50g得た。粘度は、3,000cps/25℃であった。当
該化合物は、式(4)において、R4 〜R7 が水素原子
であり、mが1の化合物であり、これをアクリレートA
−4という。
【0054】
【化14】
【0055】○製造例5 製造例2において、ヘキサヒドロ無水フタル酸を3,
4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸304.0g
(2.0モル)に変更した以外は製造例2と同様に反応
及び後処理を行い、下記式(10)で示される化合物を
410g得た。粘度は、890cps/25℃であった。当該
化合物は、式(5)において、R4 〜R7 が水素原子で
あり、mが1の化合物であり、これをアクリレートA−
5という。
【0056】
【化15】
【0057】○実施例1 製造例1で得られたアクリレートA−1の20部、ジペ
ンタエリスリトールのペンタアクリレート(約30%)
及びヘキサアクリレート(約70%)の混合物〔アロニ
ックスM−400、東亞合成(株)製〕の60部、トリ
メチロールプロパントリアクリレート〔アロニックスM
−309東亞合成(株)製〕の20部、光安定剤のチヌ
ビン144〔チバガイギー(株)製、2−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸ビス(1,2,2,6,6ーペンタメチル
−4−ピペリジル)〕の0.2部及び紫外線吸収剤のチ
ヌビン328〔チバガイギー(株)製、2−(3,5−
ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール〕の0.2部を常法に従い混合し、活性エネル
ギー線硬化型被覆用組成物を得た。得られた組成物につ
いて、下記の方法に従い、硬化性、耐候性、耐摩耗性、
密着性及び硬度を評価した。それらの結果を表2に示
す。
【0058】・硬化性 基材としてボンデライト鋼板(日本テストパネル社製P
B−144)を使用し、得られた組成物を基材に膜厚1
0μで塗工し、120W/cm集光型高圧水銀灯(1
灯)下を5m/minのコンベアスピードで通過させ、
手で触れて表面のタックが無くなるまでのパス回数で評
価した。
【0059】・耐候性 基材として日本テストパネル社製白色塩ビ板を使用し、
得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、120W
/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)下を5m
/minのコンベアスピードで通過させ、手で触れて表
面のタックが無くなるまで硬化させたものを試験体とし
た。加速暴露促進試験機としてスガ試験機(株)製デュ
ーパネル光コントロールウエザーメーターDPWL−5
Rを用い、試験体を6時間湿潤条件(100%RH/4
0℃)及び6時間照射条件(30W/m2 /40℃)に
さらし、これを交互に繰り返して500hr行い、目視
による外観の変化及び色差計による変色を評価した。色
差計は、日本電色製シグマ80を用いた。表2におい
て、外観の変化における○、△及び×は、以下の意味を
示す。 ○:クラック発生無し。 △:若干のクラックが発生。 ×:塗膜全体にクラック発生。
【0060】・耐摩耗性 基材として日本テストパネル社製ポリカーボネート板を
使用し、得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、
120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)
下を5m/minのコンベアスピードで通過させ、手で
触れて表面のタックが無くなるまで硬化させたものを試
験体とした。#000のスチールウールを直径25mm
の円筒先端に装着し、水平に置いた試験体の硬化膜に接
触させ、1.0kg荷重で5回転(20rpm)し、傷
の付着程度を目視にて観察した。表2における◎、○、
△及び×は、以下の意味を示す。 ◎:サンプル表面に傷が付いていない ○:サンプル表面に少し傷が付く △:サンプル表面にかなり傷が付く ×:傷の部分の基材表面が露出する。
【0061】・密着性 耐摩耗性試験で使用した試験体と同様のものを使用し、
JISK−5400の試験法に従って、セロハンテープ
剥離にて、100升中の残存した升目により以下のよう
に評価した。 ○:90以上 △:10〜90 ×:10以下
【0062】・鉛筆硬度 耐摩耗性試験で使用した試験体と同様のものを使用し、
JISK−5400の試験法に従って、手かき法で行っ
た。
【0063】○実施例2〜同7 製造例1〜同5で得られたアクリレートを使用し、表1
に示す配合物及び組成に従った以外は実施例1と同様に
して、活性エネルギー線硬化型被覆用組成物を得た。得
られた各組成物について、実施例1と同様の方法により
評価した。それらの結果を表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】1)M−400:東亞合成(株)製アロニ
ックM−400、ジペンタエリスリトールのペンタアク
リレート(約20重量%)及びヘキサアクリレート(約
80重量%)の混合物 2)M−8060:東亞合成(株)製アロニックM−8
060、ポリエステルポリアクリレート 3)M−309:東亞合成(株)製アロニックM−30
9、トリメチロールプロパントリアクリレート 4)Irg184:チバガイギー(株)製イルガキュア
184、ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン(光
重合開始剤) 5)チヌビン144:チバガイギー(株)製、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6ー
ペンタメチル−4−ピペリジル)(光安定剤) 6)チヌビン328:チバガイギー(株)製、2−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール (紫外線吸収剤)
【0066】
【表2】
【0067】○比較例1〜同6 表3に示す配合物及び組成に従った以外は実施例1と同
様にして、活性エネルギー線硬化型被覆用組成物を得
た。得られた各組成物について、実施例1と同様の方法
により評価した。それらの結果を表4に示す。
【0068】
【表3】
【0069】7)M−120:東亞合成(株)製アロニ
ックM−400、エチレンオキシド2モル変性2−エチ
ルヘキシルアクリレート 8)ビスコート#190:大阪有機化学工業(株)製、
エトキシエトキシエチルアクリレート 9)M−220:東亞合成(株)製アロニックM−22
0、トリプロピレングリコールジアクリレート
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】本発明の組成物は、原料(メタ)アクリ
レートを容易に製造することができ、又活性エネルギー
線の照射により容易に硬化し、さらに紫外線照射により
硬化させる場合においても、光重合開始剤の配合なしで
も優れた硬化性を有する。さらに、その硬化膜は、優れ
た耐候性を有する上、耐摩耗性及び密着性に優れ、特に
プラスチックへの密着性に優れるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状イミド基を有するイミド(メタ)アク
    リレート(A)、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)
    アクリレート(B)並びに(A)及び(B)成分以外の
    (メタ)アクリレート(C)からなり、(A)、(B)
    及び(C)成分の割合が、それぞれこれらの合計量を基
    準として、(A)成分が5〜50重量%、(B)成分が
    20〜90重量%及び(C)成分が0〜40重量%であ
    る活性エネルギー線硬化型被覆用組成物。
  2. 【請求項2】(A)成分が、下記式(1)〜式(5)で
    表される化合物から選択される1種以上のイミド(メ
    タ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー
    線硬化型被覆用組成物。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 〔但し、式(1)〜式(5)において、R1 ,R2 及び
    3 はH又はCH3 であり、1分子中のR1 ,R2 及び
    3 は、それぞれ同一でも異なっていても良い。R4
    7 はH又はCn 2n+1で、n=1〜6であり、1分子
    中のR4 〜R7 は、それぞれ同一でも異なっていても良
    い。又l=2〜3、m=1〜3である。〕
  3. 【請求項3】光重合開始剤を含有しない請求項1又は請
    求項2に記載の紫外線硬化型被覆用組成物。
  4. 【請求項4】紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤か
    ら選択される1種以上の耐候性向上剤(D)を、組成物
    100重量部当り0.01〜5重量部さらに含有する請
    求項1、請求項2又は請求項3記載の活性エネルギー線
    硬化型被覆用組成物。
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