JP2003026716A - アゾ系重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

アゾ系重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】均一な組成物が得られ、反応率が高く、かつ硬
化物の耐溶剤性等の物性に優れ、着色の問題のない透明
性の高い硬化物が得られる活性エネルギー線硬化型組成
物の提供。 【解決手段】(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で
示されるアゾ系重合開始剤及び光重合開始剤を含有して
なる活性エネルギー線硬化型組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、活性エネルギー線
硬化型組成物に関するものであり、本発明の組成物から
得られる硬化物は、着色が少なく、又硬化物の経時的な
着色の進行を抑制することができ、非常に透明性の高い
硬化物が得られるため、特にハードコート材及び成形材
として有用なものであり、当該技術分野で賞用され得る
ものである。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】(メ
タ)アクリレートモノマーや(メタ)アクリレートオリ
ゴマーと光重合開始剤からなる活性エネルギー線硬化型
組成物は、環境にやさしい無溶剤型組成物として、塗料
及びハードコート材等のコーティング材、接着剤並びに
成形材等の種々の用途に、近年使用されて来ている。 【0003】当該活性エネルギー線硬化型組成物におい
て、特定の性能が要求される用途、特にハードコート材
や成形材として使用する場合には、耐溶剤性及び表面硬
度等の硬化物の物性を改良する目的で、(メタ)アクリ
レートと光重合開始剤とからなる組成物に、さらに熱重
合開始剤を配合させた組成物が使用されている。当該組
成物は、活性エネルギー線の照射の後、さらに加熱する
ことにより、前記した種々の物性を向上させることがで
きる。 【0004】ところで、活性エネルギー線硬化型組成物
には、保存時の熱安定性を確保する目的で、ハイドロキ
ノンやハイドロキノンモノメチルエーテルのような重合
禁止剤を通常添加している。しかしながら、熱重合開始
剤を配合した活性エネルギー線を使用する場合において
は、熱重合開始剤から発生するラジカル種が、酸素ラジ
カルや1級の炭素ラジカル等であるときには、重合禁止
剤の水素が引き抜かれてキノン類が生成するため、加熱
工程において硬化物が着色することがあった。即ち、キ
ノン類は一般に非常に大きい吸光係数を有しているた
め、硬化物中でごくわずかがキノンになっただけでも、
硬化物は著しく着色する。この問題を低減する方法とし
て、組成物中の熱重合開始剤量を減らす方法があるが、
この方法では、必然的に(メタ)アクリレートの反応率
が低下してしまい、硬化物の経時的な寸法変化、吸水率
の低下及び耐溶剤性の低下等を起こすことがあった。 【0005】又、この問題を解決する方法として、熱重
合開始剤として、水素引き抜き反応が抑制されるよう
な、比較的安定なラジカルを重合開始ラジカルとして発
生するものを使用する方法があり、具体的には3級の炭
素ラジカルを発生する熱重合開始剤、即ち、アゾビスイ
ソブチロニトリルに代表されるようなアゾ系熱重合開始
剤が使用する方法がある。しかしながら、有機溶媒を含
有しない(メタ)アクリレート系活性エネルギー線硬化
型組成物に、これらアゾ系熱重合開始剤を配合させよう
としても、(メタ)アクリレートに容易に均一に溶解し
ないという問題を有するものであった。これら熱重合開
始剤の(メタ)アクリレートへの溶解性を改善させるた
めに、組成物の製造時に重合開始剤を添加した後に加温
する方法があるが、一般にこれらアゾ系熱重合開始剤の
分解温度はさほど高くないために、均一溶解する前に、
組成物の一部が硬化してしまい、不溶解分が発生してし
まうという問題を有するものであった。 【0006】本発明者は、均一な組成物が得られ、反応
率が高く、かつ硬化物の耐溶剤性等の物性に優れ、着色
の問題のない透明性の高い硬化物が得られる活性エネル
ギー線硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行なったの
である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決するため種々の検討を行なった結果、特定構造を
有するアゾ系熱重合開始剤を含有する組成物が、(メ
タ)アクリレートへの溶解性に優れ、得られる硬化物が
耐熱性、耐溶剤性及び透明性に優れ、かつ加熱処理や経
時変化によっても着色がないことを見出し、本発明を完
成した。以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書
においては、アクリレート又はメタクリレートを(メ
タ)アクリレートと表し、アクリロイル基又はメタクリ
ロイル基を(メタ)アクリロイル基と表す。 【0008】 【発明の実施の形態】1.(メタ)アクリレート 本発明の組成物で使用される(メタ)アクリレート〔以
下(a)成分という〕は、使用目的や所望物性に合わせ
て、任意の化合物を任意の割合で使用することができ
る。 (a)成分は、単独で使用しても、2種以上を併用しても
良い。 (a)成分としては、具体的には、1個の(メタ)アクリロ
イル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単官能(メ
タ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)アクリロ
イル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多官能(メ
タ)アクリレートという〕、並びにエポキシ(メタ)ア
クリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリ
エステル(メタ)アクリレート及びポリブタジエン(メ
タ)アクリレート等のオリゴマー等が挙げられる。 【0009】単官能(メタ)アクリレートとしては、フ
ェノールエチレンオキサイド変性(以下EO変性とい
う)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO
変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトー
ル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アク
リレート等の高沸点(メタ)アクリレート等を挙げるこ
とができる。又、これら以外にも、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等の
低分子量で沸点の低い(メタ)アクリレートを使用する
こともできる。 【0010】多官能(メタ)アクリレートとしては、ビ
スフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールZ EO変性ジ(メタ)アクリレート、イ
ソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポ
リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2
官能(メタ)アクリレート、並びにペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプ
ロピレンオキサイド変性(以下PO変性という)トリ
(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変
性トリ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパ
ンEO変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。これら以外
にも4官能以上の(メタ)アクリレートも使用可能であ
る。 【0011】エポキシ(メタ)アクリレートとしては、
グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ
パントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシ
アヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレ
ート並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。 【0012】ポリウレタン(メタ)アクリレートとして
は、多価アルコールと多価イソシアネート化合物と、水
酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物等が挙げられ
る。多価アルコールとしては、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等のポリエーテルポリオールや、エチレングリ
コールアジペート、ブタンジオールアジペート、ブタン
ジオールフタレート及びヘキサンジオールフタレート等
のポリエステルジオールが挙げられる。多価イソシアネ
ート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及び水添ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。水酸基
含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ートが挙げられる。 【0013】ポリエステル(メタ)アクリレートとして
は、ポリエステル型の多価アルコールと(メタ)アクリ
ル酸との反応物を挙げることができる。ポリエステル型
の多価アルコールとしては、例えば、コハク酸、マレイ
ン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸
等の多塩基酸、並びにその無水物等が挙げられる。アル
コール成分としては、エチレングリコール、ブタンジオ
ール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパンのエチレンオキサイド、又はプロピレンオキ
サイド付加物のトリオール、グリセリンのエチレンオキ
サイド、又はプロピレンオキサイド付加物のトリオー
ル、及びペンタエリスリトールのエチレンオキサイド、
又はプロピレンオキサイド付加物のテトラオール等を反
応させたポリエステルアルコール等が挙げられる。 【0014】2.アゾ系重合開始剤 本発明の組成物は、下記一般式(1)で示されるアゾ系重
合開始剤〔以下(b)成分という〕を含有してなるもので
ある。 【0015】 【化2】【0016】式(1)において、R1は炭素数が1から12
のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖状のも
のであっても、環状のものであってもよい。 【0017】(b)成分の好ましい具体例としては、R1
n―ブチル基である、2,2‘−アゾビス(N−ブチル
−2−メチルプロピオンアミドや、R1がシクロヘキシ
ル基である2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−
2−メチルプロピオンアミド等を挙げることができる。 【0018】3.光重合開始剤 本発明の組成物は、電子線、可視光線及び紫外線等の活
性エネルギー線の照射により硬化するものであり、光重
合開始剤〔以下(c)成分という〕を配合する。これによ
り、膜厚の硬化物を得ることが可能となる。 【0019】(c)成分の具体例としては、ベンゾイン、
ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエー
テル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロア
セトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,
N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノ
ン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキ
ノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノ
ン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,
4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサント
ン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメ
チルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベ
ンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、
4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラ
ーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニ
ルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド等が挙げられる。(c)成分は単独で使用しても、2種
以上を併用しても良い。(c)成分には、必要に応じて光
増感剤を併用することができる。光増感剤としては、
N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,
N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリ
エチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられ
る。 【0020】4.組成物の製造方法 本発明の組成物は前記(a)〜(c)成分を必須とするもので
ある。本発明の組成物において、(a)及び(b)成分の割合
としては、目的に応じて適宜設定すれば良いが、(a)成
分100質量部に対して(b)成分0.01〜10質量部
が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
この割合が0.01質量部に満たない場合は、(a)成分
の重合が十分に進行しない場合があり、一方10質量部
を超える場合は、(b)成分の溶解に時間がかかり、作業
工程上の問題を生じる他、(b)成分が淡黄色を有するも
のである場合には、着色の原因となったり、(b)成分の
分解で発生する窒素ガスにより、硬化膜に気泡が発生す
る場合がある。(c)成分の配合割合は、(a)成分100
質量部に対して、0.05〜12質量%が好ましく、よ
り好ましくは0.1〜2質量%である。この割合が0.
05質量%に満たないと、硬化が不充分となる場合があ
り、一方12質量%を超えると、経済的に不利になるば
かりか、得られる硬化物の物性が低下する場合がある。 【0021】本発明の組成物の製造方法としては、常法
に従えば良く、(a)成分に(b)及び(c)成分を添加・混合
すれば良い。室温において、(b)成分の溶解性が不充分
である場合は、各成分を配合した後加温することが好ま
しい。攪拌速度を速くして(b)成分を溶解させることも
可能ではあるが、この攪拌により組成物中に多数の気泡
が発生してしまい、均一な硬化物を得ることができなく
なる場合があり、又一旦発生した気泡を組成物から除去
するためには、長時間の静置を必要とするため作業効率
が低下してしまう。これに対して、本発明における(b)
成分は、通常のアゾ開始剤と比べて分解温度が高いた
め、加温により(a)成分に問題なく溶解させることが可
能である。この方法によれば組成物の攪拌速度を最小限
に抑える事ができるため、脱泡が非常に容易であり好ま
しい。組成物の加温方法としては、各成分を配合した
後、乾燥機等加温可能な装置を用いて溶解させることが
可能である。このときの加熱温度は、(a)成分の熱安定
性及び(b)成分の分解特性により決定すれば良い。(b)成
分は、10時間半減期温度が100〜130℃程度の範
囲内であるため、加温に際してはこの温度を超えないこ
とが好ましく、具体的には90℃以下が好ましい。溶解
に必要な時間は、(b)成分の構造に依存するが、通常上
記温度範囲であれば、5〜30分程度で完全に溶解させ
ることができる。 【0022】本発明の組成物には、前記以外にも目的に
応じて種々の成分を配合することができる。例えば、ヒ
ンダードフェノール、ホスファイト、チオエーテルのよ
うな酸化防止剤、ヒンダードアミンのような光安定剤、
顔料、染料、充填材及び重合禁止剤等が挙げられる。 【0023】5.組成物の使用方法 本発明の組成物は、種々の用途に使用可能であり、塗料
及びハードコート材等のコーティング材、並びに成形材
等が挙げられ、特にハードコート材及び成形材として有
用なものである。組成物の使用方法としては、常法に従
えば良い。コーティング材として使用する場合には、基
材にバーコーター等を用いて組成物を塗布し、この後活
性エネルギー線を照射し、さらに加熱する方法等が挙げ
られる。この場合の基材としては、プラスチック、金属
及び木材等の種々のものが使用できる。成形材として使
用する場合には、硬質ガラス、鉄及びアルミ等の平板を
用い、当該平板の四方を樹脂板等により囲って空間部を
形成したり、又目的の形状で切り抜いた他の平板を前記
平板上に設置する等の方法で、目的の形状の空間部を形
成させ、この空間部に組成物を満たした後に、活性エネ
ルギー線を照射し、さらに加熱して組成物を硬化させ、
硬化後平板を取り除く方法等が挙げられる。 【0024】活性エネルギー線としては、電子線、可視
光線及び紫外線が挙げられる。可視光線及び紫外線を照
射する場合の光源としては、使用する光重合開始剤に応
じて適宜選択すれば良く、高圧水銀ランプ及びメタルハ
ライドランプ等を挙げることができる。 【0025】加熱には、従来使用されている乾燥機を使
用することができる。乾燥機としては窒素やアルゴン等
の不活性ガスを通気可能なものが好ましく、形状や仕様
は限定されない。又、乾燥機中が十分に不活性ガスで置
換されていればガスの流量は特に限定されない。組成物
を成形材として使用する場合における活性エネルギー線
照射の後の加熱工程は、活性エネルギー線照射による硬
化物を平板を取り除いた後加熱しても良く、又平板を取
り除かずそのまま引き続き加熱しても良い。 【0026】加熱温度としては、60〜250℃が好ま
しく、より好ましくは180〜230℃である。加熱温
度が60℃に満たない場合は、(b)成分が十分に分解し
なかったり、活性エネルギー線照射後の硬化物の加熱硬
化速度が不充分になる場合がある。他方250℃を超え
ると、硬化物の主鎖骨格の分解やエステル部分の分解し
てしまう場合がある。加熱時間は、目的に応じて適宜設
定すれば良く、通常は10分〜2時間が好ましく、30
分〜1時間がより好ましい。但し、目的の反応率を10
0%近くにする必要がない場合は、時間を短縮すること
も可能であるし、硬化物のひずみを緩和したいという目
的がある場合は、加熱時間を長くしても良い。加熱硬化
後の冷却は、特に硬化物のガラス転移温度(Tg)が高
いものほど急激な冷却によりシートが割れやすくなる傾
向があるため、徐々に室温まで下げるようにすることが
好ましい。 【0027】 【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をよ
り具体的に説明する。尚、以下において、「部」とは質
量部を意味する。 【0028】◎実施例1〜同4 ○組成物の製造 下記表1に示す(a)、(b)及び(c)成分を攪拌・混合した
後、80℃で加温した乾燥機中で30分間静置し、(b)
成分を溶解させ組成物を製造した。いずれの組成物も、
均一に溶解していた。得られた組成物を使用して、以下
の方法に従い評価した。それらの結果を表1に示す。 【0029】○評価 長さ90mm×幅90mm×厚さ1.2mmの鋼板(J
IS K 5410に準じたもの)上に、得られた組成
物を30μmの厚さで塗工し、コンベアスピード5m/
分、出力160W/cmの高圧水銀ランプで0.8J/
cm2の条件で紫外線照射を、10回行なった。紫外線
硬化した後の硬化物を、あらかじめ窒素置換・加熱して
おいた200℃乾燥機中に10分静置した。得られた硬
化物をさらに、空気中210℃で1時間加熱した。 【0030】・反応率の測定 加熱後の硬化物について、ラマンスペクトル測定により
反応率を測定した。反応率の算出は、硬化前後でのアク
リレートにおけるカルボニルの吸収(およそ1690〜
1770cm-1)とエチレン性二重結合(およそ162
0〜1660cm-1)の強度比から求めた。すなわち、
硬化の前後においてカルボニルの吸収強度は不変である
が、二重結合の吸収強度は反応の進行により低下するた
めに反応率を知ることができる。 【0031】・溶剤性 耐溶剤性は、アセトンラビング試験により評価した。す
なわち、アセトンを染込ませたガーゼを用いて硬化物を
擦り、白化した回数により評価した。擦った回数は一往
復で一回として数えた。 【0032】・光線透過率 (株)島津製作所製の分光光度計(UV−2400)を
用いて、波長400〜700nmの範囲について連続的
に測定を行い、最少の透過率になるところを光線透過率
とした。 【0033】 【表1】【0034】尚、表1における略号は、以下の意味を示
す。 1)M−315:東亞合成(株)製、イソシアヌル酸E
O変性トリアクリレート 2)M−203:東亞合成(株)製、ジシクロペンタジ
エンジメタノールジアクリレート 3)VAm−110:和光純薬工業(株)製、2,2’
−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド 4)VAm−111:和光純薬工業(株)製、2,2’
−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオ
ンアミド 5)HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン 6)BDMK:ベンジルジメチルケタール 【0035】◎比較例1〜同4 下記表2に示す成分に変更する以外は実施例と同様の方
法により組成物を製造した。得られた組成物を使用し、
実施例と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。 【0036】 【表2】 【0037】尚、表2における略号は、以下以外は表1
と同様の意味を示す。 7)DBP:ジt−ブチルパーオキサイド 8)V−30:和光純薬工業(株)製、2−(カルバモ
イルアゾ)イソブチロニトリル 【0038】実施例の結果から明らかなように、本発明
の組成物によれば、光線透過率の低下が少ない透明性の
高い硬化物が得られ、硬化物は耐溶剤性にも優れてい
る。一方、熱重合開始剤として過酸化物を使用した比較
例1及び同2の組成物では、熱重合開始剤から発生した
ラジカルの反応性が高いために、アクリレート中に含ま
れる重合禁止剤からキノン類が生成し、硬化物が着色し
ていた。又、アゾ系熱重合開始剤で分解温度が高いが、
本発明の(b)成分と異なる2−(カルバモイルアゾ)イ
ソブチロニトリルを配合した比較例3の組成物では、当
該開始剤は強い黄色をしているため、使用量を低く抑え
ても、組成物及び硬化物の着色を有するものであった。
又、熱重合開始剤を配合しない比較例4の組成物では、
硬化物の光線透過率の低下はなかったものの、反応率が
不充分なため、硬化物の耐溶剤性が不充分なものであっ
た。 【0039】 【発明の効果】本発明の活性エネルギー線硬化型組成物
は、均一の組成物とすることができ、又(メタ)アクリ
レートの反応率が高いため硬化物の耐溶剤性等の各種物
性に優れ、さらに硬化物の着色の問題がなく、しかも残
存重合禁止剤の影響による硬化後の経時的な着色も進行
しないため、特に高い透明性を要求されるハードコート
材及び成形材料の分野に利用価値が極めて大きいもので
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で
    示されるアゾ系重合開始剤及び光重合開始剤を含有して
    なる活性エネルギー線硬化型組成物。 【化1】
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