JP4923344B2 - アゾ系重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物に関するものであり、本発明の組成物から得られる硬化物は、着色が少なく、又硬化物の経時的な着色の進行を抑制することができ、非常に透明性の高い硬化物が得られるため、特にハードコート材及び成形材として有用なものであり、当該技術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
(メタ)アクリレートモノマーや(メタ)アクリレートオリゴマーと光重合開始剤からなる活性エネルギー線硬化型組成物は、環境にやさしい無溶剤型組成物として、塗料及びハードコート材等のコーティング材、接着剤並びに成形材等の種々の用途に、近年使用されて来ている。
【0003】
当該活性エネルギー線硬化型組成物において、特定の性能が要求される用途、特にハードコート材や成形材として使用する場合には、耐溶剤性及び表面硬度等の硬化物の物性を改良する目的で、(メタ)アクリレートと光重合開始剤とからなる組成物に、さらに熱重合開始剤を配合させた組成物が使用されている。当該組成物は、活性エネルギー線の照射の後、さらに加熱することにより、前記した種々の物性を向上させることができる。
【0004】
ところで、活性エネルギー線硬化型組成物には、保存時の熱安定性を確保する目的で、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテルのような重合禁止剤を通常添加している。
しかしながら、熱重合開始剤を配合した活性エネルギー線を使用する場合においては、熱重合開始剤から発生するラジカル種が、酸素ラジカルや1級の炭素ラジカル等であるときには、重合禁止剤の水素が引き抜かれてキノン類が生成するため、加熱工程において硬化物が着色することがあった。即ち、キノン類は一般に非常に大きい吸光係数を有しているため、硬化物中でごくわずかがキノンになっただけでも、硬化物は著しく着色する。
この問題を低減する方法として、組成物中の熱重合開始剤量を減らす方法があるが、この方法では、必然的に(メタ)アクリレートの反応率が低下してしまい、硬化物の経時的な寸法変化、吸水率の低下及び耐溶剤性の低下等を起こすことがあった。
【0005】
又、この問題を解決する方法として、熱重合開始剤として、水素引き抜き反応が抑制されるような、比較的安定なラジカルを重合開始ラジカルとして発生するものを使用する方法があり、具体的には3級の炭素ラジカルを発生する熱重合開始剤、即ち、アゾビスイソブチロニトリルに代表されるようなアゾ系熱重合開始剤が使用する方法がある。しかしながら、有機溶媒を含有しない(メタ)アクリレート系活性エネルギー線硬化型組成物に、これらアゾ系熱重合開始剤を配合させようとしても、(メタ)アクリレートに容易に均一に溶解しないという問題を有するものであった。
これら熱重合開始剤の(メタ)アクリレートへの溶解性を改善させるために、組成物の製造時に重合開始剤を添加した後に加温する方法があるが、一般にこれらアゾ系熱重合開始剤の分解温度はさほど高くないために、均一溶解する前に、組成物の一部が硬化してしまい、不溶解分が発生してしまうという問題を有するものであった。
【0006】
本発明者は、均一な組成物が得られ、反応率が高く、かつ硬化物の耐溶剤性等の物性に優れ、着色の問題のない透明性の高い硬化物が得られる活性エネルギー線硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行なったのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決するため種々の検討を行なった結果、特定構造を有するアゾ系熱重合開始剤を含有する組成物が、(メタ)アクリレートへの溶解性に優れ、得られる硬化物が耐熱性、耐溶剤性及び透明性に優れ、かつ加熱処理や経時変化によっても着色がないことを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表す。
【0008】
【発明の実施の形態】
1.(メタ)アクリレート
本発明の組成物で使用される(メタ)アクリレート〔以下(a)成分という〕は、使用目的や所望物性に合わせて、任意の化合物を任意の割合で使用することができる。
(a)成分は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
(a)成分としては、具体的には、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単官能(メタ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多官能(メタ)アクリレートという〕、並びにエポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びポリブタジエン(メタ)アクリレート等のオリゴマー等が挙げられる。
【0009】
単官能(メタ)アクリレートとしては、フェノールエチレンオキサイド変性(以下EO変性という)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の高沸点(メタ)アクリレート等を挙げることができる。又、これら以外にも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等の低分子量で沸点の低い(メタ)アクリレートを使用することもできる。
【0010】
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールF EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールZ EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、並びにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性(以下PO変性という)トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これら以外にも4官能以上の(メタ)アクリレートも使用可能である。
【0011】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0012】
ポリウレタン(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと多価イソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、エチレングリコールアジペート、ブタンジオールアジペート、ブタンジオールフタレート及びヘキサンジオールフタレート等のポリエステルジオールが挙げられる。
多価イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及び水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0013】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ポリエステル型の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる。
ポリエステル型の多価アルコールとしては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の多塩基酸、並びにその無水物等が挙げられる。アルコール成分としては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド、又はプロピレンオキサイド付加物のトリオール、グリセリンのエチレンオキサイド、又はプロピレンオキサイド付加物のトリオール、及びペンタエリスリトールのエチレンオキサイド、又はプロピレンオキサイド付加物のテトラオール等を反応させたポリエステルアルコール等が挙げられる。
【0014】
2.アゾ系重合開始剤
本発明の組成物は、下記一般式(1)で示されるアゾ系重合開始剤〔以下(b)成分という〕を含有してなるものである。
【0015】
【化2】
【0016】
式(1)において、R1は炭素数が1から12のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖状のものであっても、環状のものであってもよい。
【0017】
(b)成分の好ましい具体例としては、R1がn―ブチル基である、2,2‘−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミドや、R1がシクロヘキシル基である2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド等を挙げることができる。
【0018】
3.光重合開始剤
本発明の組成物は、電子線、可視光線及び紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、光重合開始剤〔以下(c)成分という〕を配合する。これにより、膜厚の硬化物を得ることが可能となる。
【0019】
(c)成分の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
(c)成分は単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
(c)成分には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0020】
4.組成物の製造方法
本発明の組成物は前記(a)〜(c)成分を必須とするものである。
本発明の組成物において、(a)及び(b)成分の割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良いが、(a)成分100質量部に対して(b)成分0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。この割合が0.01質量部に満たない場合は、(a)成分の重合が十分に進行しない場合があり、一方10質量部を超える場合は、(b)成分の溶解に時間がかかり、作業工程上の問題を生じる他、(b)成分が淡黄色を有するものである場合には、着色の原因となったり、(b)成分の分解で発生する窒素ガスにより、硬化膜に気泡が発生する場合がある。
(c)成分の配合割合は、(a)成分100質量部に対して、0.05〜12質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。この割合が0.05質量部に満たないと、硬化が不充分となる場合があり、一方12質量部を超えると、経済的に不利になるばかりか、得られる硬化物の物性が低下する場合がある。
【0021】
本発明の組成物の製造方法としては、常法に従えば良く、(a)成分に(b)及び(c)成分を添加・混合すれば良い。
室温において、(b)成分の溶解性が不充分である場合は、各成分を配合した後加温することが好ましい。
攪拌速度を速くして(b)成分を溶解させることも可能ではあるが、この攪拌により組成物中に多数の気泡が発生してしまい、均一な硬化物を得ることができなくなる場合があり、又一旦発生した気泡を組成物から除去するためには、長時間の静置を必要とするため作業効率が低下してしまう。
これに対して、本発明における(b)成分は、通常のアゾ開始剤と比べて分解温度が高いため、加温により(a)成分に問題なく溶解させることが可能である。この方法によれば組成物の攪拌速度を最小限に抑える事ができるため、脱泡が非常に容易であり好ましい。
組成物の加温方法としては、各成分を配合した後、乾燥機等加温可能な装置を用いて溶解させることが可能である。このときの加熱温度は、(a)成分の熱安定性及び(b)成分の分解特性により決定すれば良い。(b)成分は、10時間半減期温度が100〜130℃程度の範囲内であるため、加温に際してはこの温度を超えないことが好ましく、具体的には90℃以下が好ましい。溶解に必要な時間は、(b)成分の構造に依存するが、通常上記温度範囲であれば、5〜30分程度で完全に溶解させることができる。
【0022】
本発明の組成物には、前記以外にも目的に応じて種々の成分を配合することができる。例えば、ヒンダードフェノール、ホスファイト、チオエーテルのような酸化防止剤、ヒンダードアミンのような光安定剤、顔料、染料、充填材及び重合禁止剤等が挙げられる。
【0023】
5.組成物の使用方法
本発明の組成物は、種々の用途に使用可能であり、塗料及びハードコート材等のコーティング材、並びに成形材等が挙げられ、特にハードコート材及び成形材として有用なものである。
組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
コーティング材として使用する場合には、基材にバーコーター等を用いて組成物を塗布し、この後活性エネルギー線を照射し、さらに加熱する方法等が挙げられる。この場合の基材としては、プラスチック、金属及び木材等の種々のものが使用できる。
成形材として使用する場合には、硬質ガラス、鉄及びアルミ等の平板を用い、当該平板の四方を樹脂板等により囲って空間部を形成したり、又目的の形状で切り抜いた他の平板を前記平板上に設置する等の方法で、目的の形状の空間部を形成させ、この空間部に組成物を満たした後に、活性エネルギー線を照射し、さらに加熱して組成物を硬化させ、硬化後平板を取り除く方法等が挙げられる。
【0024】
活性エネルギー線としては、電子線、可視光線及び紫外線が挙げられる。可視光線及び紫外線を照射する場合の光源としては、使用する光重合開始剤に応じて適宜選択すれば良く、高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプ等を挙げることができる。
【0025】
加熱には、従来使用されている乾燥機を使用することができる。乾燥機としては窒素やアルゴン等の不活性ガスを通気可能なものが好ましく、形状や仕様は限定されない。又、乾燥機中が十分に不活性ガスで置換されていればガスの流量は特に限定されない。
組成物を成形材として使用する場合における活性エネルギー線照射の後の加熱工程は、活性エネルギー線照射による硬化物を平板を取り除いた後加熱しても良く、又平板を取り除かずそのまま引き続き加熱しても良い。
【0026】
加熱温度としては、60〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜230℃である。加熱温度が60℃に満たない場合は、(b)成分が十分に分解しなかったり、活性エネルギー線照射後の硬化物の加熱硬化速度が不充分になる場合がある。他方250℃を超えると、硬化物の主鎖骨格の分解やエステル部分の分解してしまう場合がある。
加熱時間は、目的に応じて適宜設定すれば良く、通常は10分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。但し、目的の反応率を100%近くにする必要がない場合は、時間を短縮することも可能であるし、硬化物のひずみを緩和したいという目的がある場合は、加熱時間を長くしても良い。
加熱硬化後の冷却は、特に硬化物のガラス転移温度(Tg)が高いものほど急激な冷却によりシートが割れやすくなる傾向があるため、徐々に室温まで下げるようにすることが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において、「部」とは質量部を意味する。
【0028】
◎実施例1〜同4
○組成物の製造
下記表1に示す(a)、(b)及び(c)成分を攪拌・混合した後、80℃で加温した乾燥機中で30分間静置し、(b)成分を溶解させ組成物を製造した。
いずれの組成物も、均一に溶解していた。
得られた組成物を使用して、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表1に示す。
【0029】
○評価
長さ90mm×幅90mm×厚さ1.2mmの鋼板(JIS K 5410に準じたもの)上に、得られた組成物を30μmの厚さで塗工し、コンベアスピード5m/分、出力160W/cmの高圧水銀ランプで0.8J/cm2の条件で紫外線照射を、10回行なった。
紫外線硬化した後の硬化物を、あらかじめ窒素置換・加熱しておいた200℃乾燥機中に10分静置した。
得られた硬化物をさらに、空気中210℃で1時間加熱した。
【0030】
・反応率の測定
加熱後の硬化物について、ラマンスペクトル測定により反応率を測定した。
反応率の算出は、硬化前後でのアクリレートにおけるカルボニルの吸収(およそ1690〜1770cm-1)とエチレン性二重結合(およそ1620〜1660cm-1)の強度比から求めた。すなわち、硬化の前後においてカルボニルの吸収強度は不変であるが、二重結合の吸収強度は反応の進行により低下するために反応率を知ることができる。
【0031】
・溶剤性
耐溶剤性は、アセトンラビング試験により評価した。すなわち、アセトンを染込ませたガーゼを用いて硬化物を擦り、白化した回数により評価した。擦った回数は一往復で一回として数えた。
【0032】
・光線透過率
(株)島津製作所製の分光光度計(UV−2400)を用いて、波長400〜700nmの範囲について連続的に測定を行い、最少の透過率になるところを光線透過率とした。
【0033】
【表1】
【0034】
尚、表1における略号は、以下の意味を示す。
1)M−315:東亞合成(株)製、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
2)M−203:東亞合成(株)製、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート
3)VAm−110:和光純薬工業(株)製、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド
4)VAm−111:和光純薬工業(株)製、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド
5)HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
6)BDMK:ベンジルジメチルケタール
【0035】
◎比較例1〜同4
下記表2に示す成分に変更する以外は実施例と同様の方法により組成物を製造した。
得られた組成物を使用し、実施例と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
尚、表2における略号は、以下以外は表1と同様の意味を示す。
7)DBP:ジt−ブチルパーオキサイド
8)V−30:和光純薬工業(株)製、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル
【0038】
実施例の結果から明らかなように、本発明の組成物によれば、光線透過率の低下が少ない透明性の高い硬化物が得られ、硬化物は耐溶剤性にも優れている。
一方、熱重合開始剤として過酸化物を使用した比較例1及び同2の組成物では、熱重合開始剤から発生したラジカルの反応性が高いために、アクリレート中に含まれる重合禁止剤からキノン類が生成し、硬化物が着色していた。
又、アゾ系熱重合開始剤で分解温度が高いが、本発明の(b)成分と異なる2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルを配合した比較例3の組成物では、当該開始剤は強い黄色をしているため、使用量を低く抑えても、組成物及び硬化物の着色を有するものであった。
又、熱重合開始剤を配合しない比較例4の組成物では、硬化物の光線透過率の低下はなかったものの、反応率が不充分なため、硬化物の耐溶剤性が不充分なものであった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、均一の組成物とすることができ、又(メタ)アクリレートの反応率が高いため硬化物の耐溶剤性等の各種物性に優れ、さらに硬化物の着色の問題がなく、しかも残存重合禁止剤の影響による硬化後の経時的な着色も進行しないため、特に高い透明性を要求されるハードコート材及び成形材料の分野に利用価値が極めて大きいものである。
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