JP3937082B2 - シート状光学物品用活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

シート状光学物品用活性エネルギー線硬化型組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ及びプリズムシート等の光学シートの製造に適した活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フレネルレンズ等の光学シートは、熱可塑性樹脂の射出成形や熱プレス成形により製造されるのが一般的であった。しかしながら、これらの製造方法では、製造時の加熱及び冷却に長時間を必要とし、生産性が低いという問題があった。
そこで、近年においては、上記問題を解決する光学シートの製造方法として、金型又は樹脂型等のレンズ型母材と透明性樹脂基板又はフィルム等の透明基材との間に、活性エネルギー線硬化型組成物を流し込み、これに紫外線等の活性エネルギー線を照射して組成物を硬化させて製造する方法が採用されるようになってきた。
当該製造方法に使用される活性エネルギー線硬化型組成物としては、一般にはウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーからなる、活性エネルギー線開始ラジカル重合により硬化する(メタ)アクリレート系組成物が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記製造方法に使用される活性エネルギー線硬化型組成物に要求される特性としては、[1]レンズ型母材に組成物を流し込む際に泡を噛まないか、又は泡を噛んだとしても脱泡が容易であるため、低粘度であること、[2]硬化後、得られる光学シートを、割れや欠けがなく、レンズ型母材から剥離できるように、硬化物が柔軟でかつ強度が高いこと、[3]透明基材との密着性が優れていること等が挙げられる。これら以外にも、剥離後のシートの表面の耐殺傷性、シートの反りがないことも要求される。
当該組成物で使用される、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーは、粘度が高いためそのまま使用することは困難であった。そのため粘度低減を目的として、組成物に単官能アクリレートのような反応性希釈剤を多量に配合する必要があるが、反応性希釈剤を多量に含む
組成物は、得られる硬化物が脆いもので、レンズ型母材から剥離するときに割れたり、又透明基材との密着性が不充分で、剥離することがあった。
特に、光学シートの製造には、ウレタン(メタ)アクリレートからなる組成物が、その硬化物が伸び及び柔軟性に優れるため好ましく使用されている。しかしながら、当該組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートの粘度が非常に高いため、その粘度を低減するために組成物中に多量の反応性希釈剤を配合する必要があり、その結果、組成物が多量の反応性希釈剤を含むため、ウレタン(メタ)アクリレートの特長である、硬化物の伸びと強度に優れるという性能が低下してしまい、又透明基材との密着性も低下してしまうものであった。
又、これら以外にも種々の組成物が検討されてきているが、上記の要求すべてを満足するものは、未だ得られていない。
本発明者らは、低粘度であり、硬化後のレンズ型母材からの離型性に優れ、硬化物が透明基材との密着性に優れ、柔軟かつ強靭で反りが少ない光学シートを製造するのに適した活性エネルギー線硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、こうした現状を鑑み、種々の検討を行った結果、イミド(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物とからなる組成物が、低粘度であり、硬化後にレンズ型母材型から容易に離型でき、又硬化物が透明基材との密着性に優れ、柔軟でしかも強靭性に優れさらに反りが少ないことを見出し本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート又は/及びメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基又は/及びメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリル酸又は/及びメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
【0005】
【発明の実施の形態】
◎(A)イミド(メタ)アクリレート
本発明で使用する(A)成分のイミド(メタ)アクリレートは、種々の化合物が使用可能であり、下記式(1)〜式(5)で表される化合物から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0006】
【化6】
Figure 0003937082
【0007】
【化7】
Figure 0003937082
【0008】
【化8】
Figure 0003937082
【0009】
【化9】
Figure 0003937082
【0010】
【化10】
Figure 0003937082
【0011】
(ただし、各式において、R1 ,R2 及びR3 は水素原子又はメチル基であり、R4 は水素原子又はCn 2n+1であり、n=1〜6である。又l=2〜3、m=1〜3である。)
【0012】
式(1)で表される化合物は、4及び5位に2重結合を有するテトラヒドロフタルイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3である。式(1)において、mが4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性が低下したり、硬化物の強靭性が低下してしまい脆くなってしまう場合がある。
【0013】
式(2)で表される化合物は、1及び2位に2重結合を有するテトラヒドロフタルイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3である。式(2)において、mが4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性が低下したり、硬化物の強靭性が低下してしまい脆くなってしまう場合がある。
【0014】
式(3)で表される化合物は、ヘキサヒドロフタルイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3である。式(3)において、mが4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性が低下したり、硬化物の強靭性が低下してしまい脆くなってしまう場合がある。
【0015】
式(4)で表される化合物は、コハクイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、m=1〜3である。式(4)において、mが4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性が低下したり、硬化物の強靭性が低下してしまい脆くなってしまう場合がある。
【0016】
式(5)で表される化合物は、フタルイミド骨格を有するイミド(メタ)アクリレートであり、l=2〜3である。式(5)において、l=1の化合物は非常に結晶性が高く、他のモノマー又はオリゴマーに対する溶解度も低く、結晶が析出しやすいため、取り扱い上好ましくない。又、lが4以上のものは、分子中のイミド部位濃度が低下してしまうため、組成物の硬化性が低下したり、硬化物の強靭性が低下してしまい脆くなってしまう場合がある。
【0017】
式(1)で表される化合物の中でも、R1 〜R4 が水素原子で、mが1のものが、式(2)で表される化合物の中でも、R1 〜R4 が水素原子で、mが1のものが、式(3)で表される化合物の中でも、R1 〜R4 が水素原子で、mが1のものが、式(4)で表される化合物の中でも、R1 〜R4 が水素原子で、mが1のものが、式(5)で表される化合物の中でも、R1 〜R4 が水素原子で、lが2のものが、組成物の硬化性、並びに硬化物の強靭性及び柔軟性に優れるためより好ましい。
【0018】
さらに、これら式(1)〜式(5)で表される化合物の中でも、式(3)で表される化合物が、硬化物の強靭性及び柔軟性が特に優れるため特に好ましい。
【0019】
これら式(1)〜式(5)で表される化合物は、例えば以下の文献及び特許に記載された方法により、合成することができる。
・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),897,(1972)
・Javier de Abajo ら、Polymer,vol33(5),(1992)
・特開昭56−53119号
・特開平1−242569号
【0020】
◎(B)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物
本発明では、組成物に(B)成分のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を配合する。これにより、硬化物に強靭性を付与することができる。他方、イミド(メタ)アクリレートのみからなる組成物は、イミド(メタ)アクリレートが単官能(メタ)アクリレートであるため、硬化物が脆くなってしまう。
(B)成分としては、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であれば、種々の化合物が使用でき、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ポリ(メタ)アクリレート、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル系ポリマーのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートが、得られる硬化物の伸び及び柔軟性に優れるため好ましい。
【0021】
○ポリ(メタ)アクリレート
ポリ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン核置換体及びビスフェノールFジ(メタ)アクリレート又はそのハロゲン核置換体等のビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;前記ポリオールのアルキレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸アルキレンオキシドのジ又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら以外にも、文献「最新UV硬化技術」〔(株)印刷情報協会、1991年発行〕の53〜56頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
【0022】
○ウレタンポリ(メタ)アクリレート
ウレタンポリ(メタ)アクリレートとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた化合物等が挙げられる。
【0023】
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等が挙げられ、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、並びにポリエチレンポリプロポキシブロックポリマージオール等のブロック又はランダムポリマーのジオール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
【0024】
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート3量体、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート2量体、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート相互付加物、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリス(トリレンジイソシアネート)付加物及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ、ジ又はモノ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンジ又はモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
これら以外のウレタンポリ(メタ)アクリレートの例としては、文献「UV・EB硬化材料」〔(株)シーエムシー、1992年発行〕の70〜74頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
【0027】
○ポリエステルポリ(メタ)アクリレート
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。
ここで、ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとのカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられ、ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられ、カルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
これら以外のポリエステルポリ(メタ)アクリレートとしては、前記文献「UV・EB硬化材料」の74〜76頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
【0028】
○エポキシポリ(メタ)アクリレート
エポキシポリ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物であり、前記文献「UV・EB硬化材料」の74〜75頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフエノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号 エポキシ樹脂〔高分子刊行会、昭和48年発行〕の4〜6頁、9〜16頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
【0030】
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ーブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ、トリ又はテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。これら以外にも、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。
【0031】
エポキシポリ(メタ)アクリレートとしては、脂肪族エポキシ(メタ)アクリレートが、硬化物の伸び及び柔軟性に優れている点で好ましい。これら芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂以外にも、トリアジン核を骨格に持つエポキシ化合物、例えばTEPIC〔日産化学(株)〕、デナコールEX−310〔ナガセ化成(株)〕等が挙げられ、又前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の289〜296頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
【0032】
○(メタ)アクリル系ポリマーのポリ(メタ)アクリレート
(メタ)アクリル系ポリマーのポリ(メタ)アクリレートとしては、官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに、側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入したものであり、前記文献「UV・EB硬化材料」の78〜79頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
【0033】
以上挙げた(B)成分の中でも、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタンポリ(メタ)アクリレートを使用すると、硬化物が柔軟で強靭となり、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートを使用すると、硬化物が可とう性に優れ及び柔軟で強靭となり、エポキシ(メタ)アクリレートを使用すると、硬化物が柔軟で強靭となる。
さらにこれらの中でも、ウレタンポリ(メタ)アクリレートが、硬化物の伸び、柔軟性及び強靭性に特に優れるためより好ましい。
【0034】
◎その他の成分
本発明の組成物には、上記必須成分の他、必要に応じて、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物や、無機充填剤、染料、顔料、粘度調節剤、処理剤及び紫外線遮断剤等の不活性成分を配合することができる。
【0035】
1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、モノ(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
モノ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド変成(メタ)アクリレート及びフェノールプロピレンオキシド変成(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、並びにそのハロゲン核置換体;ノニルフェノールエチレンオキシド変成(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキシド変成(メタ)アクリレート及びパラクミルフェノールアルキレンオキシド変成(メタ)アクリレート等のアルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類、並びにそのハロゲン核置換体;フェニルフェノールのアルキレンオキシド変成(メタ)アクリレート及びそのハロゲン置換体;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及びそのハロゲン核置換体;フェニルフェノールグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物及びそのハロゲン核置換体並びにシクロヘキセンオキシドの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシモノ(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート;イソボロニル(メタ)アクリレート;並びに(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これら以外にも、文献「最新UV硬化技術」〔(株)技術情報協会、1991年発行〕 48〜52頁に記載されているような化合物等を挙げることができる。
【0036】
本発明において、組成物を紫外線により硬化させる場合には、光ラジカル重合開始剤を配合する。光ラジカル重合開始剤としては、種々のものを用いることができる。具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン;並びにキサントン等が挙げられる。
これら以外にも、前記文献「UV・EB硬化材料」の82〜98頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
光ラジカル開始剤は、2種以上を併用することもでき、又さらに安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて用いることもできる。
【0037】
これらの光ラジカル重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準にして、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。0.1重量%に満たない場合は、硬化性が充分となり、一方、10重量%を越える場合は、光透過性が不良となり、厚膜での内部硬化性が悪くなることがある。
【0038】
又、組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤等を配合することができる。
紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダードアミン系光安定剤、並びに2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチルー5ーメチルー4ーヒドロキシルフェニル)プロピオネート]及び1,6−ヘキサンジオールービス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0039】
◎製造方法
本発明の組成物は、上記必須成分、及び必要に応じてその他の成分を、常法に従い混合することにより得られる。
【0040】
本発明において、組成物中の(A)及び(B)成分の割合は、これらの合計量を基準にして、(A)成分が20〜95重量%で(B)成分が80〜5重量%である。(A)成分の割合が20重量%に満たない場合は、組成物の硬化性が劣ったり、得られる組成物の粘度が高くなり、レンズ型母材に組成物を流し込む際に泡を噛み易くなり、さらに泡を組成物から脱泡しにくいものとなってしまったり、又硬化物が柔軟性のない硬いものとなり、レンズ型母材から剥がす際に割れたり、フィルムが反ったりする。他方、(A)成分の割合が95重量%を超えると、硬化物が脆くなり、レンズ型母材から剥がす時に割れたり、又耐殺傷性も悪くなる。
(A)及び(B)成分の配合割合は、実際上は上記範囲内において、要求される組成物の粘度、硬化物の硬度等を配慮して決定すればよいが、硬化物の引張強度が30kgf/cm2 以上、伸び率が10%以上のものが好ましい。
【0041】
光学シート
本発明の光学シートは、前記組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物からなるものである。光学シートとしては、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ及びプリズムシート等が挙げられる。
光学シートの製造方法としては、従来当該物品の製造で行われている方法に従えばよい。例えば、樹脂又は金属製型枠と透明基材との間に組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、型から剥がして製造する方法等が挙げられる。透明基材としては、ガラス、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂等のプラスチック板、並びにポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂等のプラスチックフィルム等が挙げられる。又、レンズの厚さも使用する目的に応じて適宣選択すれば良い。
活性エネルギー線としては、紫外線、X線又は電子線等が挙げられる。紫外線を照射する場合には、様々な光源を使用することができ、例えば低圧或いは高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ又はカーボンアークランプ等が挙げられる。電子線により硬化させる場合には、種々の照射装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシン型、バンデグラフ型又は共振変圧器型等が挙げられ、電子線としては50〜1000evのエネルギーを持つものが好ましく、より好ましくは100〜300eVである。
本発明では、安価な装置を使用できることから、紫外線を使用することが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。尚、以下において、「部」は重量部を意味する。
【0043】
○実施例1
下記式(6)で表される化合物80部、ビスフェノールA型エチレンオキシド変成ジアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−210〕20部を混合し、さらに光重合開始剤の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184〕を3部添加混合して、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
得られた組成物について、以下の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0044】
・粘度測定
E型粘度計を用いて、25℃で測定した。
・引張強度及び伸び率
得られた組成物を60w/cmの平行型水銀ランプを設置した紫外線照射装置〔ランプ高さ=30cm、照射強度:40mW/cm2 、30mJ/cm2 (コンベアスピード10m/minで測定)〕を用いて、裏表、合計3分間照射し、厚さ1mmのダンベル2号形を作り、JIS K6301に準じて測定した。
・離型性
得られた組成物を、厚さ400ミクロンの樹脂製フレネルレンズ型枠に流し込み、上からPETフィルムでラミネートした後、120w/cmのメタルハライドランプを設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ランプ高さ=10cm、コンベアスピード=10m/min、照射強度:780mW/cm2 、320mJ/cm2 )を用いて、3パス通した(10m/minを1パスとする)。
得られたレンズを型から剥がし、その際の離型性を、型からきれいに剥がれた場合は○、型に樹脂が残ったり、割れたりした場合は×と評価した。
又、得られたレンズは、レンズとしての性能上問題ないものであった。
【0045】
○実施例2〜同13
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)の3部を使用し、表1に示す組成比で、実施例1と同様にして組成物を調製した。得られた組成物について実施例1と同様に評価を行った。それらの結果を表2に示す。
又、得られたレンズは、レンズとしての性能上問題ないものであった。
【0046】
【表1】
Figure 0003937082
【0047】
表1における略号は、次の化合物を意味する。
・A:下記式(6)で表されるイミドアクリレート
【0048】
【化11】
Figure 0003937082
【0049】
・B:下記式(7)で表されるイミドアクリレート
【0050】
【化12】
Figure 0003937082
【0051】
・C:下記式(8)で表されるイミドアクリレート
【0052】
【化13】
Figure 0003937082
【0053】
・D:下記式(9)で表されるイミドアクリレート
【0054】
【化14】
Figure 0003937082
【0055】
・E:ビスフェノールA型エチレンオキシド変成ジアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−210〕
・F:トリプロピレングリコールジアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−220〕
・G:トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変成トリアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−350〕
・H:ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製、紫光UV−7000B〕
・I:ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製、紫光UV−7500B〕
・J:ウレタンアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−1600〕
・K:ウレタンアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−1310〕
・L:ポリエステルアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−6200〕
・M:1,6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物〔共栄社油脂化学(株)製、エポキシエステル1600A〕
・N:グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物〔共栄社油脂化学(株)製、エポキシエステル80MFA〕
・O:ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物〔昭和高分子(株)製、リポキシSP−1509〕
・P:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−5700〕
・Q:イソボロニルアクリレート〔共栄社油脂化学(株)製、ライトアクリレートIB−XA〕
【0056】
【表2】
Figure 0003937082
【0057】
○比較例1〜同4
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184)の3部を使用し、表3に示す組成比で、実施例1と同様にして組成物を調製した。得られた組成物について実施例1と同様に評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
Figure 0003937082
1)単位はmPa・s/25℃
【0059】
表3における略号は、次の化合物を意味する。
・S:フェノールエチレンオキシド変成アクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−101〕
・T:アクリロイルモルフォリン〔興人(株)製、ACMO〕
・F:トリプロピレングリコールジアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−220〕
・H:ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製、紫光UV−7000B〕
・J:ウレタンアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−1600〕
【0060】
【発明の効果】
本発明の光学シート用活性エネルギー線硬化型組成物は、粘度が低く、硬化後のレンズ型母材からの離型性に優れ、硬化物が透明基材との密着性に優れ、硬化物が柔軟でしかも強靭性に優れ反りが少ないものであり、極めて実用性の高いものである。

Claims (4)

  1. (A)イミド(メタ)アクリレート20〜95重量%及び(B)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物80〜5重量%からなる光学シート用活性エネルギー線硬化型組成物。
  2. (A)成分が、下記式(1)〜式(5)で表される化合物から選択される1種又は2種以上である請求項1記載の光学シート用活性エネルギー線硬化型組成物。
    Figure 0003937082
    Figure 0003937082
    Figure 0003937082
    Figure 0003937082
    Figure 0003937082
    (ただし、各式において、R1,R2及びR3は水素原子又はメチル基であり、R4は水素原子又はCn2n+1であり、n=1〜6である。又l=2〜3、m=1〜3である。)
  3. (B)成分が、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート及びエポキシポリ(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は請求項2いずれかに記載の光学シート用活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載された組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物からなる光学シート
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