WO2022059304A1 - 硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びプリント回路基板 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、密着性及び耐熱性に優れ、かつ比誘電率が低い硬化物を与える硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びこれを用いたプリント回路基板を提供することである。本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の硬化物の10GHzにおける比誘電率が2.90未満であることを特徴とする。

Description

硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びプリント回路基板
 本発明は、硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びプリント回路基板に関する。より詳しくは、密着性及び耐熱性に優れ、かつ比誘電率が低い硬化物を与える硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びこれを用いたプリント回路基板に関する。
 モバイル通信機器では用いられる材料について特定の周波数における誘電率が要求される場合があり、例えば、モバイルのディスプレイに用いられる有機EL素子ではタッチセンサの誤作動を抑制するために100kHzでの誘電率が規定された材料を用いることが提案されている(特許文献1)。また、モバイル通信機器等に使われる高周波回路において、配線部分と絶縁材料の部位で伝送損失が生じ、特に絶縁材料における電送損失が問題となっており、これらは、信号伝達時に発熱やノイズ、消費電力の問題につながる。電送損失は周波数と材料の誘電正接に比例することが明らかになっており、第5世代移動通信システム(5G)化に伴い、誘電正接が低い材料への要求が高くなっている。
 一方、耐熱性や電気絶縁性の観点から、層間絶縁材料用やソルダーレジスト材料用として、カルボキシ基含有樹脂やエポキシ樹脂等の硬化性樹脂を主成分とし、さらにフィラー等の添加成分を含有する樹脂組成物が広く用いられている。しかし、これらの樹脂組成物の硬化物は、多くの極性基を含んでいるため、誘電率、誘電損失が共に高い材料となっており、改善が求められていた。感光性ソルダーレジストの材料は、エポキシアクリレート樹脂を主としたものがある。これは、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液で現像が可能な、ネガ型のフォトレジストが主流である。感光性ソルダーレジストはパターン形成された感光性ソルダーレジストを熱処理し、硬化・安定化させる。特にエポキシアクリレート系の樹脂においては、この熱処理により、残存カルボン酸をエポキシ基等で封止することが知られているが、封止後にもカルボン酸等が残存している(特許文献2)。
 近年、ソルダーレジスト膜形成工程のインクジェット化の検討が進められており、この技術を用いると配線に応じた絶縁層のパターンを直接形成できることから現像工程が不要となるため、現像工程で発生する極性基が少なく、低誘電率化には有利な技術である。インクジェット法に用いる硬化性組成物には、硬化性成分として、エポキシモノマーやアクリルモノマーが用いられており、光照射や熱による硬化が行われている(特許文献3)。5G化に対応していくには、上記硬化性組成物の系内にあるカルボン酸等の極性基をさらに低減していく必要がある。エポキシモノマーは重合時にヒドロキシ基の残存があり、アクリルモノマーについてもラジカル重合の酸素阻害により極性基が発生するため5G化に対応する低誘電率化への問題があった。
 一方、ソルダーレジスト膜作製のために、低誘電率化を考慮して硬化に伴い極性基が発生しない硬化性組成物を用いた場合、配線基板の導体配線に対する硬化物の密着性が低下することが懸念される。このように、ソルダーレジスト膜を構成する硬化物には、耐熱性、低誘電率及び密着性が求められている。
特開2020-076052号公報 特開2010-34414号公報 特開2019-178288号公報
 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、密着性及び耐熱性に優れ、かつ比誘電率が低い硬化物を与える硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びこれを用いたプリント回路基板を提供することである。
 本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、(メタ)アクリルモノマーを主成分とし、光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物において、得られる硬化物が特定の比誘電率を有する場合に、上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。
 すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
 1.(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の硬化物の10GHzにおける比誘電率が2.90未満である硬化性組成物。
 2.前記熱硬化性化合物の含有量が、前記硬化性組成物の全量に対して1~15質量%の範囲内である第1項に記載の硬化性組成物。
 3.前記(メタ)アクリルモノマーが、分子量が200~1500の範囲内であり、ClogP値が3.5~7.0の範囲内である(メタ)アクリルモノマーを含む第1項又は第2項に記載の硬化性組成物。
 4.前記熱硬化性化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護された多官能イソシアネート化合物を含む第1項から第3項までのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
 5.25℃での粘度が、1~1×10Pa・sの範囲内であり、かつ、40℃以上100℃未満に相転移点を有する第1項から第4項までのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
 6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有するソルダーレジスト用インク。
 7.基板と、前記基板の表面に設けられた回路パターンと、前記回路パターン上に設けられたソルダーレジスト膜を備えるプリント回路基板であって、
 前記ソルダーレジスト膜が第6項に記載のソルダーレジスト用インクを用いて形成されたプリント回路基板。
 8.前記回路パターンが銅配線で構成され、前記銅配線の表面粗さRaが0.1~2.0μmの範囲内である第7項に記載のプリント回路基板。
 本発明の上記手段により、密着性及び耐熱性に優れ、かつ比誘電率が低い硬化物を与える硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びこれを用いたプリント回路基板を提供することができる。
 本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
 本発明の硬化性組成物においては、光重合性を有する(メタ)アクリルモノマーを主成分とすることで、硬化物における極性基の量を少なくすることができる。また、硬化性組成物がゲル化剤を含有することで、硬化性組成物中の成分がゲル化され組成物中で微細なカードハウス構造を形成する。これにより、外部から侵入する酸素や水分の拡散速度が遅くなるため、硬化性組成物が硬化する際に発生するカルボン酸やヒドロキシ基等の極性基の発生がさらに抑制されると考えられる。そして、得られる硬化物の低誘電率化(10GHzにおける比誘電率が2.90未満)、低誘電正接化を達成するものである。
 さらに、本発明の硬化性組成物においては、上記に加えて、熱硬化性化合物を含有させて、熱重合も併用する。これにより、光重合時に微量に発生する極性基を封止するとともに、回路基板との密着性と耐熱性を向上させることが可能となる。
 本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の硬化物の10GHzにおける比誘電率が2.90未満であることを特徴とする。
 この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
 本発明の硬化性組成物の実施形態としては、得られる硬化物中の極性基の量を調整し易くする観点から、前記熱硬化性化合物の含有量が、前記硬化性組成物の全量に対して1~15質量%の範囲内であることが好ましい。
 本発明の硬化性組成物の実施形態としては、硬化性組成物中のゲル化剤の溶解安定性を高める観点から、前記(メタ)アクリルモノマーが、分子量が200~1500の範囲内であり、ClogP値が3.5~7.0の範囲内である(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。
 本発明の硬化性組成物の実施形態としては、得られる硬化物が低比誘電率化する観点及び耐高温高湿性が向上する観点から、前記熱硬化性化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護された多官能イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
 本発明の硬化性組成物の実施形態としては、硬化性組成物を用いた硬化物の作製時の作業性の観点、及びインクジェット法で描画する際の細線の再現性の観点から、25℃での粘度が、1~1×10Pa・sの範囲内であり、かつ、40℃以上100℃未満に相転移点を有することが好ましい。
 本発明のソルダーレジスト用インクは、本発明の硬化性組成物を含有することを特徴とする。
 本発明のプリント回路基板は、基板と、前記基板の表面に設けられた回路パターンと、前記回路パターン上に設けられたソルダーレジスト膜を備えるプリント回路基板であって、前記ソルダーレジスト膜が本発明のソルダーレジスト用インクを用いて形成されたことを特徴とする。
 本発明のプリント回路基板の実施形態としては、前記回路パターンが銅配線で構成され、前記銅配線の表面粗さRaが0.1~2.0μmの範囲内であることがソルダーレジスト膜の密着性の観点から好ましい。
 以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本発明において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[硬化性組成物]
 本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の硬化物の10GHzにおける比誘電率が2.90未満であることを特徴とする。
 本発明において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ基((メタ)アクリロイロキシ基)」は、アクリロイルオキシ基(アクリロイロキシ基)又はメタクリロイルオキシ基(メタクリロイロキシ基)を意味する。
 本発明の硬化性組成物が含有する(メタ)アクリルモノマーとは、(メタ)アクリル酸及びその誘導体のうち後述する熱硬化性化合物でない化合物をいう。すなわち、熱硬化性官能基を有しない(メタ)アクリル化合物を、(メタ)アクリルモノマーという。
<(メタ)アクリルモノマー>
 本発明に係わる(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸に由来するビニル基を有するラジカル重合性の化合物であり、活性エネルギー線の作用によりラジカル重合可能な化合物である。本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有する。本明細書において、主成分とは、全体に対して50質量%以上を占める成分をいう。硬化性組成物における、(メタ)アクリルモノマーの含有量は、具体的には、硬化性組成物全体に対して50~95質量%が好ましく、70~90質量%がさらに好ましい。
 (メタ)アクリルモノマーを主成分として含有することで、得られる硬化物における比誘電率を上記特定の範囲とすることができる。また、(メタ)アクリルモノマーの含有量の上限値が上記の値であることで、熱硬化性化合物の含有量を十分に確保でき、基材との密着性及び耐熱性に優れる硬化物を容易に得られる。
 (メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸のエステル化合物、すなわち(メタ)アクリレート及びその誘導体が好ましい。(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する単官能(メタ)アクリレートであってもよく、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリロイルオキシ基以外の官能基(ただし、熱硬化性官能基ではない。)を有していてもよい。官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレンオキシ基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。これらの官能基は、本発明においては、熱硬化性官能基とされないが、後述するとおり、熱により熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基と反応して熱硬化に寄与してもよい。
 単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、及びt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が含まれる。
 多官能の(メタ)アクリレートのうち2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオキシアルキレン基の炭素原子側の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基及び酸素原子側の末端に(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレートが含まれる。ポリオキシアルキレン基は、オキシアルキレン基を繰り返し単位として有する2価の基である。繰り返し単位であるオキシアルキレン基としては炭素数1~4のオキシアルキレン基が挙げられる。オキシアルキレン基のアルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えば、プロピレン基は-(CH-、-CH(CH)-CH-、及び-CH(CHCH)-のいずれであってもよい。オキシアルキレン基の繰り返し数(以下、「n」で示す。)としては2~20が挙げられ、3~14が好ましく、3~10がより好ましい。
 ポリオキシアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートとして、具体的には、オキシアルキレン基がオキシエチレン基である化合物として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキレン基がプロピレン基である化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数4のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする化合物が挙げられる。
 2官能の(メタ)アクリレートとしては、また、ジオールに(メタ)アクリル酸がエステル結合した1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、「PO」で示すこともある。)又はエチレンオキサイド(以下、「EO」で示すこともある。)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのPO又はEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等が含まれる。
 (メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、エチレンオキサイド(EO)変性又はプロピレンオキサイド(PO)変性の(メタ)アクリレートが含まれる。EO変性又はPO変性の(メタ)アクリレートには、例えば、EO又はPO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO又はPO変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が含まれる。EO変性又はPO変性の(メタ)アクリレートにおけるEO数又はPO数は、上記ポリオキシアルキレン基におけるオキシアルキレン基の繰り返し数nに相当し、1~5程度が好ましく、2~4がより好ましい。
 変性物である(メタ)アクリレートの例には、また、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレート等が含まれる。
 (メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
 (メタ)アクリレートは、イミド基を有する(メタ)アクリレート化合物であってもよい。イミド基を有する(メタ)アクリレートを用いると、硬化物の耐高温高湿性が向上することが期待できる。また、イミド基を有する(メタ)アクリレートの場合、イミド基の極性が高いため、硬化物は強い金属密着性を有し、例えば、ソルダーレジスト膜の作製に用いた場合に回路基板への密着性向上が期待できる。また、自身も強い凝集力を有しているため、高湿下でも金属密着性への影響が少ない。
 イミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、特開平10-36462号及び同11-21470号に記載されているイミドアクリレート又はイミドメタクリレートが挙げられる。
 本発明において(メタ)アクリレートはこれらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリレートの分子量は特に制限されないが、インクジェットでの射出安定性の観点から分子量は200~1500が好ましく、300~1200がより好ましい。
 本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーとして、上記(メタ)アクリルモノマーのうちでも、分子量が200~1500の範囲内で、ClogP値が3.5~7.0の範囲内にある(メタ)アクリルモノマーを含有することが、比誘電率、ゲル化剤の溶解安定性、インクジェットでの射出安定性の点で好ましい。以下、分子量が200~1500の範囲内で、ClogP値が3.5~7.0の範囲内にある(メタ)アクリルモノマーを(メタ)アクリルモノマー(A1)ともいう。
 (メタ)アクリルモノマー(A1)は、分子量が200~1500の範囲内であることで上記利点を有し、また、ClogPが3.5以上であることで、疎水的な構造が多く存在することになり、重合中や硬化物となった際に水が浸入しにくくなる。これにより、硬化物中の極性基の存在量が抑制されるため比誘電率が良化する。(メタ)アクリルモノマー(A1)は、ClogPが7.0以下であることでゲル化剤の溶解安定性が向上し、所望のカードハウス構造を形成できる。これにより重合時に酸素や水による極性基の発生を抑制して比誘電率が良化する。
 (メタ)アクリルモノマー(A1)としては、分子量が200~1500の範囲内で、ClogP値が3.5~7.0の範囲内にある(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリルモノマー(A1)におけるClogP値としては、4.0~6.0の範囲がより好ましい。また、(メタ)アクリルモノマー(A1)は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれるオキシアルキレン基を繰り返し単位とするポリオキシアルキレン基(例えば、n=2~10)を有する(メタ)アクリレートであってもよい。
 (メタ)アクリルモノマー(A1)としては、例えば、1,10-デカンジオールジメタクリレート(分子量;310、ClogP;5.8)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(分子量;304、ClogP;4.7)及びトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(分子量;332、ClogP;5.3)、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量;470、ClogP;4.0~5.0)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(分子量;524、ClogP;3.8)、6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量;560、ClogP;3.6)、ビスフェノールA3EO変性ジアクリレート(分子量;468、ClogP;5.9)、ビスフェノールF4EO変性ジアクリレート(分子量;499、ClogP;5.0~5.2)等が挙げられる。
 また、(メタ)アクリレート(A1)は、硬化性組成物全体に対して50~95質量%の範囲内で含有されていることが、射出安定性及びゲル化剤の溶解安定性の点で好ましく、70~90質量%の範囲内で含有されていることがさらに好ましい。(メタ)アクリレート(A1)としては、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化性組成物が含有する(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリルモノマー(A1)のみからなってもよく、(メタ)アクリルモノマー(A1)と、(メタ)アクリルモノマー(A1)以外のその他の(メタ)アクリルモノマーの組合せであってもよい。その他の(メタ)アクリルモノマーとしては、分子量が200~1500の範囲内で、ClogP値3.5~7.0の範囲外にある(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 ここで、本発明でいう「logP値」とは、水と1-オクタノールに対する有機化合物の親和性を示す係数である。1-オクタノール/水分配係数Pは、1-オクタノールと水の二液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPで示す。すなわち、「logP値」とは、1-オクタノール/水分配係数Pの対数値であり、分子の親疎水性を表す重要なパラメータとして知られている。
 「ClogP値」とは、計算により算出したlogP値である。ClogP値は、フラグメント法や、原子アプローチ法等により算出されうる。より具体的に、ClogP値を算出するには、文献(C.Hansch及びA.Leo、“Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology”(John Wiley & Sons, New York, 1969))に記載のフラグメント法又は下記市販のソフトウェアパッケージ1又は2を用いればよい。
 ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)、
 ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Professional  16.0.(Perkin Elmer)
 本明細書に記載したClogP値の数値は、ソフトウェアパッケージ2を用いて計算した「ClogP値」である。
 (メタ)アクリルモノマー(A1)と併用するその他の(メタ)アクリルモノマーとしては、分子量が200~1500の範囲内で、分子内に(-CH-CH-O-)で表されるオキシエチレン基の繰り返し単位を3~14個有している(メタ)アクリレート及び分子量が200~1500の範囲内で、分子内にオキシプロピレン基の繰り返し単位を2~14個有している(メタ)アクリレートから選ばれるポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート(ただし、ClogP値3.5~7.0の範囲外にある)が、射出安定性、ゲル化剤の溶解安定性及び硬化収縮(密着性)の点で好ましい。以下、上記条件を満たすポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレートを(メタ)アクリルモノマー(A2)ともいう。
 (メタ)アクリルモノマー(A2)としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=9、分子量;508、ClogP;0.2~0.5)、4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(分子量;358、ClogP;2.5)、4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(分子量;528、ClogP;2.3)、ノニルフェノール2PO変性アクリレート(分子量;390、ClogP;7.6)、ジプロピレングリコールジアクリレート(分子量;242、ClogP;2.0)等が挙げられる。
 (メタ)アクリルモノマー(A2)はこれらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリルモノマー(A2)は、硬化性組成物が含有する(メタ)アクリルモノマーをこれ単独で構成してもよく、別の(メタ)アクリルモノマーとともに構成してもよい。その際、(メタ)アクリルモノマー(A2)は(メタ)アクリルモノマー(A1)との併用が好ましいが、(メタ)アクリルモノマー(A1)以外のその他の(メタ)アクリルモノマーと組み合わせて使用されてもよい。
 (メタ)アクリルモノマー(A2)を用いる場合、(メタ)アクリルモノマー(A2)は、硬化性組成物全体に対して30~70質量%の範囲内で含有されていることが、硬化物の硬化収縮性(密着性)の点で好ましい。さらに、(メタ)アクリルモノマー(A1)と(メタ)アクリルモノマー(A2)を併用する場合、(メタ)アクリルモノマー(A2)の含有量は、硬化性組成物全体に対して1.5~60質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。その場合、(メタ)アクリルモノマー(A1)の含有量は、硬化性組成物全体に対して30~90質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましい。
 (メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリルモノマー(A1)及び(メタ)アクリルモノマー(A2)以外のその他の(メタ)アクリルモノマーを含有してもよい。その他の(メタ)アクリルモノマーとしては、分子量が200~1500の範囲内であることが好ましく、例えば、ジシクロペンタニルアクリレート(分子量;206、ClogP;3.1)等が挙げられる。
 硬化性組成物が含有する(メタ)アクリルモノマーは、その他の(メタ)アクリルモノマーのみで構成されていてもよいが、その他の(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリルモノマー(A1)又は(メタ)アクリルモノマー(A2)と組み合わせて用いることが好ましい。その場合のその他の(メタ)アクリルモノマーの含有量は、硬化性組成物全体に対して5~30質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましい。
<その他の光重合性化合物>
 本発明に係わる硬化性組成物は(メタ)アクリルモノマー以外に、その他の光重合性化合物を含有してもよい。その他の光重合性化合物は活性エネルギー線の照射によって重合又は架橋反応を生じて重合又は架橋し、硬化性組成物を硬化させる作用を有する化合物であればよい。その他の光重合性化合物の例には、(メタ)アクリルモノマー以外のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が含まれる。その他の光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物のいずれであってもよい。その他の光重合性化合物は、硬化性組成物中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、硬化性組成物中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 本発明に係わる硬化性組成物は誘電率制御の観点から(メタ)アクリルモノマーを主成分に構成されるため、その他の光重合性化合物としては0~2種を含有することが好ましく、1種類以下を含有することがさらに好ましく、その他の光重合性化合物を含有しないことが最も好ましい。硬化性組成物における、その他の光重合性化合物の含有量は、硬化性組成物全量に対して、例えば、10質量%以下の量とすることができ、5質量%以下が好ましく、0質量%が特に好ましい。
<光重合開始剤>
 本発明に係る光重合開始剤は、(メタ)アクリルモノマーを光重合させるために硬化性組成物が含有する必須成分である。光重合開始剤としては、光ラジカル開始剤が好ましい。なお、(メタ)アクリルモノマーに加えて、その他の光重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いる場合は、光ラジカル開始剤に加えて光酸発生剤を用いることが好ましい。
 光重合開始剤は、本発明の硬化性組成物中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
 光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤及び水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
 アセトフェノン系の開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン及び2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オンが含まれる。
 ベンゾイン系の開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
 アシルホスフィンオキシド系の開始剤の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドが含まれる。
 水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン及びカンファーキノンが含まれる。
 ベンゾフェノン系の開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルスルフィド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンが含まれる。
 チオキサントン系の開始剤の例には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン及び2,4-ジクロロチオキサントンが含まれる。アミノベンゾフェノン系の開始剤の例には、ミヒラーケトン及び4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
 光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187~192ページに記載の化合物が含まれる。
 光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物が十分に硬化できる範囲であればよく、例えば、本発明の硬化性組成物の全質量に対して0.01~10質量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.1~5質量%である。
 光重合開始剤は、吸収感度の波長が異なる2種類の光重合開始剤を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤の組合せの例としては、アシルホスフィンオキシド系の開始剤とチオキサントン系の開始剤の組合せ、過酸化物系の開始剤とチオキサントン系の開始剤の組合せ等が挙げられる。
 光重合開始剤の市販品の例には、Omnirad TPO H(IGM社製、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、Omnirad 819(IGM社製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)、Omnirad 379(IGM社製、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン)、及びOmnirad ITX(IGM社製、2-イソプロピルチオキサントン)等が含まれる。
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて光重合開始剤助剤等をさらに含んでもよい。光重合開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミン及びN,N-ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。中でも、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
 光重合開始剤助剤の市販品として、Genocure EPD(Rahn A.G.社製、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル)等が挙げられる。
<熱硬化性化合物>
 本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性の化合物として(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに熱で硬化する熱硬化性化合物を含有する。本発明の硬化性組成物は、熱硬化性化合物を含有することで、得られる硬化物は、回路基板との密着性と耐熱性を向上させることが可能となる。本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマーが活性エネルギー線照射により及び熱硬化性化合物が加熱により反応して硬化して硬化物となる。
 硬化性組成物における熱硬化性化合物の含有量は、硬化性組成物が(メタ)アクリルモノマーを主成分として含有できる量であり、好ましくは、硬化性組成物全体に対して1~15質量%であり、より好ましくは2~10質量%である。熱硬化性化合物の含有量が1質量%未満では、密着性と耐熱性が十分でない場合がある。熱硬化性化合物の含有量が15質量%を越えるとゲル化温度以上にした場合に熱安定性が低下することがある。また、未反応の熱硬化性化合物が水と反応して極性基が発生することがある。
 本発明に係る熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を有する化合物のことを言う。ここで、熱硬化性官能基とは、例えば、「熱硬化性高分子の精密化(遠藤剛、C.M.C(株)、1986年刊)、「最新バインダー技術便覧」第II-I章(原崎勇次、総合技術センター、1985年刊)、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(大津隆行、中部経営開発センター出版部、1985年刊)、「機能性アクリル系樹脂」(大森英三、テクノシステム、1985年刊)等の総説に引例の官能基を挙げることができる。具体的には、上記熱硬化性官能基は、イソシアネート基、エポキシ基及びマレイミド基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが、熱硬化性の点で好ましい。
 本発明に係わる熱硬化性化合物は(メタ)アクリレートの構造を含有してもよく、熱硬化性官能基を有する(メタ)アクリレートは熱硬化性化合物として扱う。本発明に係わる熱硬化性化合物における熱硬化は、熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基同士が反応することで行われてもよく、熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基と、主成分である(メタ)アクリレートが含有する上記官能基とが反応することで行われてもよい。以下、熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の種類ごとに熱硬化性化合物を説明する。
(イソシアネート基)
 イソシアネート基を有する熱硬化性化合物としては、例えば、分子内にイソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物が挙げられる。
 多官能イソシアネート化合物として、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、H6TDI(水添TDI)等の脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等のポリイソシアネート等が挙げられる。
 これらの多官能イソシアネート化合物は多量体化されていてもよく、多量体としては、共に3量体であるビュレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。また、多官能イソシアネート化合物は、カルボジイミド変性物等に変性されていてもよい。
 イソシアネート基を有する熱硬化性化合物としては、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物であってもよい。イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するものであればよく、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナートプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとトリレンジイソシアネート等のポリイソシアネートとの反応生成物等も用いられる。
 イソシアネート基を有する熱硬化性化合物としては、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護されたイソシアネート基を有するブロックイソシアネート化合物(熱解離性ブロックイソシアネート化合物)であることが、硬化物の比誘電率を低くし、耐高温高湿性を向上させる点で好ましい。熱解離性ブロックイソシアネート化合物は、ブロック剤の解離温度未満ではブロック剤の保護によりイソシアネート基の反応性が抑制されているため、これを含有する硬化性組成物は高い熱安定性を有する。また、解離温度以上に加熱することでブロック剤が解離するため、イソシアネート基は反応性となる。
 ブロックイソシアネート化合物は多官能イソシアネート化合物の熱解離性ブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能ブロックイソシアネート化合物の場合、特に、イソシアネートの3量化反応から生成するイソシアヌレート環は、ウレタン、ウレア結合等に比べて結合の熱安定性が高く、耐熱性に優れる。さらに多官能のブロックイソシアネート化合物を用いた場合は、さらにイソシアヌレート環を持ったネットワーク構造が形成され、より耐熱性が向上し、高温時の湿度の影響を受けにくくなる。
 上記熱解離性のブロック剤は、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物及び活性エチレン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、硬化性組成物の保存性と熱解離性の点で好ましい。
 オキシム系化合物としては、ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)、シクロヘキサノンオキシム、等が挙げられる。
 ピラゾール系化合物としては、ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール(DMP)、等が挙げられる。
 活性エチレン系化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル(DEM)、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、等が挙げられる。
 熱解離性のブロック剤としては、ε-カプロラクタム等のカプロラクタムも使用できる。
 上記ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有するブロックイソシアネート化合物としては、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート(カレンズMOI-BP、昭和電工社製)、2-[(3-ブチリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2-(0-[1′-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(メタ)アクリレート(カレンズMOI-BM、昭和電工社製)等が挙げられる。なお、化合物名の後ろの括弧内に代用的な市販品(製品名及び製造元)を示した。以下の、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能ブロックイソシアネート化合物についても同様である。
 上記ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する多官能ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、DMPでブロックされたHDIビュレット体(Trixene BI7961、LANXESS社製)、DMPでブロックされたHDI三量体(Trixene BI7982、LANXESS社製)、DMP及びDEMでブロックされたHDI三量体(Trixene BI7992、LANXESS社製)、MEKOでブロックされたHDI三量体(PU5211、Leeson Polyurethanes社製)、ε-カプロラクタムでブロックされた多官能イソシアネート(VESTANATB1186A、Evonik社製)等が挙げられる。
 上記ブロック剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、単独又は2種以上のブロック剤でブロックした1種又は2種以上の熱解離性ブロックイソシアネート化合物を熱硬化性化合物として用いることができる。
 熱解離性ブロックイソシアネート化合物で市販されているものの製品名としては、上記以外に、例えば、MF-K60X(旭化成ケミカルズ社製)、VPLS2253、BL4265SN(いずれも住化バイエルウレタン社製)等が挙げられる。
(エポキシ基)
 エポキシ基を有する熱硬化性化合物としては、例えば、各種の鎖式エポキシ基含有単量体(例えばグリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等)、各種の(2-オキソ-1,3-オキソラン)基含有ビニル単量体(例えば(2-オキソ-1,3-オキソラン)メチル(メタ)アクリレート等)、各種の脂環式エポキシ基含有ビニル単量体(例えば3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。
 さらに、エポキシ基を有する熱硬化性化合物として、(メタ)アクリロイルオキシ基とエポキシ基とを有する化合物、エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物等が挙げられる。上記(メタ)アクリロイルオキシ基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
 上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応させることにより得られる。上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物に用いることができるエポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。
 上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2′-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との配合量を適宜変更することにより、所望のアクリル化率のエポキシ化合物を得ることが可能である。
(マレイミド基)
 マレイミド基を有する熱硬化性化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-p-カルボキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-クロロフェニルマレイミド、N-p-トリルマレイミド、N-p-キシリルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド、N-o-トリルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-2,5-ジエチルフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルフェニルマレイミド、N-m-トリルマレイミド、N-α-ナフチルマレイミド、N-o-キシリルマレイミド、N-m-キシリルマレイミド、ビスマレイミドメタン、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N′-m-フェニレンジマレイミド、N,N′-p-フェニレンジマレイミド、4,4′ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4′-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-メチルフェニル)メタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-エチルフェニル)メタン、4,4′-ビスマレイミド-ジ(3-メチル-5-エチル-フェニル)メタン、N,N′-(2,2-ビス-(4-フェノキシフェニル)プロパン)ジマレイミド、N,N′-2,4-トリレンジマレイミド、N,N′-2,6-トリレンジマレイミド、N,N′-m-キシリレンジマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド等が挙げられる。
(その他の熱硬化性官能基)
 熱硬化性化合物として、上記した熱硬化性官能基以外の官能基、例えば、オキセタニル基やオキサゾリン基を有する熱硬化性化合物が挙げられる。
 オキセタニル基を有する熱硬化性化合物としては、オキセタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、大阪有機化学社製の商品名:OXE-10やOXE-30等が挙げられる。
 オキサゾリン基を有する熱硬化性化合物としては、例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、及びこれらのオキサゾリン基含有モノマーのオキサゾリン基上に置換基を有するモノマー等が挙げられる。
<ゲル化剤>
 本発明の硬化性組成物は、ゲル化剤を必須成分として含有する。本発明の硬化性組成物は、ゲル化剤を含有することで、上記のとおり硬化性組成物が光及び熱により硬化する際の極性基の発生が抑制され、得られる硬化物の低比誘電率化を達成するものである。また、得られる硬化物中にゲル化剤が存在することで、硬化物中への酸素や水分の浸透を防ぐことができる。このような観点から、ゲル化剤は、硬化物中に均一に分散した状態で保持されることが好ましい。
 ゲル化剤としては、硬化性組成物をゲル化できる化合物であれば特に制限されない。上記効果をより高める観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコール及び脂肪酸アミドが好ましく、ケトンワックス及びエステルワックスがより好ましく、下記一般式(G1)で表されるケトンワックス及び下記一般式(G2)で表されるエステルワックスがさらに好ましい。
 また、特表2018-506594、特表2015-509996、特開2006-193745、特開2011-225876に記載のゲル化剤についても使用することができる。
 本発明に係るゲル化剤は、下記一般式(G1)又は(G2)で表される化合物うちの少なくとも一種の化合物であることが、硬化性組成物の硬化性を阻害せずに硬化物(硬化膜)中に分散される点で好ましい。さらに、硬化性組成物をインクとして用いたインクジェット印字においては、ピニング性が良好で、細線と膜厚が両立した描画ができ、細線再現性に優れる点で好ましい。
 一般式(G1):R-CO-R
 一般式(G2):R-COO-R
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数12以上の直鎖部分を持ち、かつ分岐を持ってもよい脂肪族炭化水素基を表す。]
 上記一般式(G1)で表される化合物は、カルボニル基(-C(=O)-)の両側にそれぞれR及びRが結合したケトンワックスである。上記一般式(G2)で表される化合物はエステル基(-C(=O)O-)の両側にそれぞれR及びRが結合したエステルワックスである。上記一般式(G1)で表されるケトンワックス又は上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、R及びR、又は、R及びRが、それぞれ独立して炭素数12以上の直鎖部分を有する分岐してもよい脂肪族炭化水素基であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、耐水性が向上する、かつ、カードハウス構造においてより十分な空間が生ずる。そのため、硬化性組成物中の各成分が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクとして用いた場合のピニング性がより高くなる。
 R~Rは、上記構造を有する限り、飽和脂肪族炭化水素基であっても不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。R~Rの炭素数は、それぞれ独立して26以下であることが好ましい。R~Rの炭素数が26以下であると、ゲル化剤の融点が過度に高まらないため、硬化性組成物をインクとして出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。上記観点からは、R及びR、又は、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数12以上23以下の直鎖状の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
 また、硬化性組成物のゲル化温度を高くして、硬化性組成物をインクとして用いた場合に、着弾後により急速にインクをゲル化させる観点からは、R若しくはRのいずれか、又はR若しくはRのいずれかが飽和している炭素数12以上23以下のアルキル基であることが好ましい。上記観点からは、R及びRの双方、又は、R及びRの双方が飽和している炭素数12以上23以下のアルキル基であることがより好ましい。
 上記一般式(G1)で表されるケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン(C24-C24)、ジベヘニルケトン(C22-C22)、ジステアリルケトン(C18-C18)、ジエイコシルケトン(C20-C20)、ジパルミチルケトン(C16-C16)、ジミリスチルケトン(C14-C14)、ジラウリルケトン(C12-C12)、ラウリルミリスチルケトン(C12-C14)、ラウリルパルミチルケトン(C12-C16)、ミリスチルパルミチルケトン(C14-C16)、ミリスチルステアリルケトン(C14-C18)、ミリスチルベヘニルケトン(C14-C22)、パルミチルステアリルケトン(C16-C18)、バルミチルベヘニルケトン(C16-C22)、ステアリルベヘニルケトン(C18-C22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
 一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品の例には、Stearonne(Alfa Aeser社製;ステアロン)、18-Pentatriacontanon(Alfa Aeser社製)、Hentriacontan-16-on(Alfa Aeser社製)及びカオーワックスT-1(花王社製)が含まれる。
 一般式(G2)で表されるエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(C21-C22)、イコサン酸イコシル(C19-C20)、ステアリン酸ステアリル(C17-C18)、ステアリン酸パルミチル(C17-C16)、ステアリン酸ラウリル(C17-C12)、パルミチン酸セチル(C15-C16)、パルミチン酸ステアリル(C15-C18)、ミリスチン酸ミリスチル(C13-C14)、ミリスチン酸セチル(C13-C16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(C13-C20)、オレイン酸ステアリル(C17-C18)、エルカ酸ステアリル(C21-C18)、リノール酸ステアリル(C17-C18)、オレイン酸ベヘニル(C18-C22)リノール酸アラキジル(C17-C20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
 一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品の例には、ユニスターM-2222SL及びスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSS及びエキセパールMY-M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC-18及びEMALEX CC-10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)並びにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。
 これらの市販品は、2種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製して硬化性組成物に含有させてもよい。硬化性組成物が、一般式(G1)で表されるケトンワックス及び一般式(G2)で表されるエステルワックスから選ばれる2種以上を含有する場合、ケトンワックスとエステルワックスを組み合わせて含有することが好ましい。
 本発明に係るゲル化剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して0.5~5.0質量%の範囲内であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を上記範囲内とすることで、ゲル化剤の硬化性組成物中での溶解性及びピニング性効果が良好となり、さらに硬化物(硬化膜)としたときの耐水性が良好になる。また、上記観点からは、硬化性組成物中のゲル化剤の含有量は、0.5~2.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
 また、以下の観点から、ゲル化剤は、硬化性組成物のゲル化温度以下の温度で、硬化性組成物中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化又は液体化した硬化性組成物を冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、硬化性組成物の粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化又は液体化した硬化性組成物を、粘弾性測定装置(例えば、MCR300、Physica社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、その硬化性組成物のゲル化温度とすることができる。
 本発明の硬化性組成物は、主成分としての(メタ)アクリルモノマー及び必要に応じてその他の光重合性化合物と光重合開始剤を含有し、さらに熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する。本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により(メタ)アクリルモノマーを含む光重合性化合物が反応し硬化(以下、「光硬化」ともいう。)する。また、加熱により熱硬化性化合物が反応し硬化(以下、「熱硬化」ともいう。)する。光硬化と熱硬化の順番は問わない。例えば、本発明の硬化性組成物を、被塗布物に塗布し、活性エネルギー照射により塗布した塗布液を光硬化で仮硬化し、さらに加熱して熱硬化により本硬化する場合、ゲル化剤を含有することで仮硬化後に塗布液の濡れ広がりを抑制でき、高精度なパターンを形成することができる。
<任意成分>
 本発明の硬化性組成物は、任意成分として、着色剤を含有してもよい。さらに、本発明の効果が得られる範囲において、その他の任意成分として、重合禁止剤、界面活性剤、硬化促進剤、カップリング剤、イオン捕捉剤等を含有することができる。その他の任意成分は、本発明の硬化性組成物に1種のみが含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
(着色剤)
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて着色剤をさらに含有してもよい。
 着色剤は、染料又は顔料でありうるが、硬化性組成物の構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料又は無機顔料が挙げられる。
 赤又はマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
 青又はシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17-1、22、27、28、29、36、60から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
 緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50から選ばれる顔料又はその混合物が含まれる。
 黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
 黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26から選ばれる顔料又はその混合物等が含まれる。
 顔料の市販品の例には、Black Pigment(Mikuni社製)、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF-1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS-3、5187、5108、5197、5085N、SR-5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN-EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G-550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA-1103、セイカファストイエロー10GH、A-3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY-260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR-116、1531B、8060R、1547、ZAW-262、1537B、GY、4R-4016、3820、3891、ZA-215、セイカファストカーミン6B1476T-7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B-430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN-EP、4940、4973(大日精化工業社製); KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(DIC社製);Colortex Yellow 301、314、315、316、P-624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA-414、U263、Finecol Yellow T-13、T-05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P-625、102、H-1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、ColortexBlue516、517、518、519、A818、P-908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素社製);Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP-S(東洋インキ社製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG-02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリー社製);Novoperm P-HG、HostapermPink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)等が挙げられる。
 顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカー等により行うことができる。
 顔料の分散は、顔料粒子の体積平均粒径が、好ましくは0.08~0.5μmの範囲内、最大粒径が好ましくは0.3~10μmの範囲内、より好ましくは0.3~3μmの範囲内となるように行われることが好ましい。
 顔料の分散は、顔料、分散剤、及び分散媒体の選定、分散条件、及び濾過条件等によって、調整される。
 本発明の硬化性組成物は、顔料の分散性を高めるために、分散剤をさらに含んでもよい。
 分散剤の例には、ヒドロキシ基を有するカルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテート等が含まれる。
 分散剤の市販品の例には、EFKA7701(BASF社製)、Solsperse22000等のSolsperseシリーズ、(日本ルーブリゾール社製)及び味の素ファインテクノ社のPBシリーズ等が含まれる。
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて分散助剤をさらに含んでもよい。分散助剤は、顔料に応じて選択されればよい。
 分散剤及び分散助剤の合計量は、顔料に対して1~50質量%の範囲内であることが好ましい。
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて顔料を分散させるための分散媒体をさらに含んでもよい。分散媒体として溶剤を硬化性組成物に含ませてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、前述のような光重合性化合物(特に粘度の低いモノマー)を分散媒体として用いることが好ましい。分散媒体として、(メタ)アクリルモノマー等の光重合性化合物を用いる場合には、分散媒体の量は、上記(メタ)アクリルモノマー等の光重合性化合物の含有量に加算される。
 染料は、油溶性染料等が挙げられる。
 油溶性染料は、以下の各種染料が挙げられる。マゼンタ染料の例には、MS Magenta VP、MS Magenta HM-1450、MS Magenta HSo-147(以上、三井化学社製)、AIZEN SOT Red-1、AIZEN SOT Red-2、AIZEN SOTRed-3、AIZEN SOT Pink-1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR-31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)が含まれる。
 シアン染料の例には、MS Cyan HM-1238、MS Cyan HSo-16、Cyan HSo-144、MS Cyan VPG(以上、三井化学社製)、AIZEN SOT Blue-4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.BlueBGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z-BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB-LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL-5 200、Light Blue BGL-5200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、OleosolFast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPENBlue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
 イエロー染料の例には、MS Yellow HSm-41、Yellow KX-7、Yellow EX-27(三井化学社製)、AIZEN SOT Yellow-1、AIZEN SOT YelloW-3、AIZEN SOT Yellow-6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASETYellow SF-G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A-G、KAYASET Yellow E-G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY-68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
 ブラック染料の例には、MS Black VPC(三井化学社製)、AIZEN SOT Black-1、AIZEN SOT Black-5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A-N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB-202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
 着色剤は本発明の硬化性組成物中に、1種又は2種類以上を含み、所望の色に調色してもよい。着色剤の含有量は、硬化性組成物全量に対して0.1~20質量%の範囲内であることが好ましく、0.4~10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(重合禁止剤)
 重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム及びシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
 重合禁止剤の市販品の例には、Irgastab UV10(BASF社製)、Genorad 18(Rahn A.G.社製)等が含まれる。
 重合禁止剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。重合禁止剤の量は、硬化性組成物の全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
(界面活性剤)
 界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
 シリコーン系の界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、具体的には、Tego rad 2250、Evonik社製、KF-351A、KF-352A、KF-642及びX-22-4272、信越化学工業社製、BYK307、BYK345、BYK347及びBYK348、ビッグケミー社製(「BYK」は同社の登録商標)、並びにTSF4452、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製が含まれる。
 フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部又は全部をフッ素で置換したものを意味する。フッ素系の界面活性剤の例には、Megafac F、DIC社製(「Megafac」は同社の登録商標)、Surflon、AGCセイミケミカル社製(「Surflon」は同社の登録商標)、Fluorad FC、3M社製(「Fluorad」は同社の登録商標)、Monflor、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製、Zonyls、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製、Licowet VPF、ルベベルケ・ヘキスト社製、及びFTERGENT、ネオス社製(「FTERGENT」は同社の登録商標)が含まれる。
 界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。界面活性剤の量は、硬化性組成物の全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
(硬化促進剤)
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、熱硬化性化合物等の熱硬化を促進するものであれば特に制限はなく用いることができる。
 硬化促進剤として、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール-テトラフェニルボレート、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-テトラフェニルボレート等が挙げられる。
(カップリング剤)
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じて各種カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤が含まれることによって、銅箔との密着性を向上させることができる。各種カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系カップリング剤が挙げられる。
(イオン捕捉剤)
 本発明の硬化性組成物は、必要に応じてイオン捕捉剤を含んでもよい。イオン捕捉剤が含まれることによって、イオン性不純物が吸着され、硬化膜が吸湿した条件における絶縁性が向上する等の利点がある。
 イオン捕捉剤としては、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤、ジルコニウム化合物、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤等が挙げられる。
 硬化促進剤、カップリング剤及びイオン捕捉剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。これらの成分の量は、硬化性組成物の全質量に対して、それぞれ、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
 本発明の硬化性組成物は、溶剤で希釈せずにそのままインク等の用途に用いることが硬化性の観点から好ましい。すなわち、本発明の硬化性組成物は、無溶剤で使用することが好ましい。ただし、粘度を調整するために必要に応じて溶剤を添加して硬化性組成物の希釈液の状態で用いてもよい。
〔硬化性組成物の物性〕
 硬化性組成物における硬化物の物性、及び硬化性組成物の物性について説明する。
<硬化物の比誘電率>
 本発明の硬化性組成物の硬化物は、1MHzにおける比誘電率が3.0未満であることが好ましい。硬化物の1MHzにおける比誘電率は、2.95以下がより好ましく、2.90以下がさらに好ましい。
 本発明の硬化性組成物の硬化物は、10GHzにおける比誘電率が2.90未満である。硬化物の10GHzにおける比誘電率は、2.80以下が好ましく、2.70以下がより好ましい。
 これにより、本発明の硬化性組成物は、例えば、5G化に対応可能な低誘電率化されたソルダーレジスト膜の形成に用いることができる。また、本発明の硬化性組成物は、例えば、ソルダーレジスト膜の形成に用いた場合により高性能な機器に対応可能となる。
 なお、硬化物の1MHzにおける比誘電率及び10GHzにおける比誘電率は、例えば、以下の方法で測定できる。
(比誘電率の測定方法)
 比誘電率の測定に用いる硬化物は、例えば、次のようにして作製する。まず、硬化物作製用の基板上に、70mm×70mm、厚さ23μmのベタパターンになるように、硬化性組成物をインクジェット塗布する。得られた塗布層に対してLEDランプを用いて紫外線(395nm)を500mJ/cmの照射量となるように照射することで、硬化性組成物を光硬化(仮硬化)させた後、150℃に設定したオーブンに60分投入して熱硬化(本硬化)させる。硬化物作製用の基板から硬化物(膜)を剥離し、約5cm角に切り出して測定サンプルとする。
(1MHzにおける比誘電率)
 1MHzにおける比誘電率は、例えば、LCRメータ法により測定する。その場合、上記で得られた測定サンプルに主電極径1.8cmの錫箔を貼付し電極形成してから比誘電率を測定する。試験雰囲気として、室温(23±2℃/50±5%RH)で測定し、厚さの計測は、マイクロメータにて測定し、5点の平均値を算出する。測定装置としては、例えば、LCRメータ;HP4284A(アジレント・テクノロジー製)、恒温槽;T0-19(安藤電気社製)及び固体用電極;SE-70(安藤電気製)を用いることができる。
(10GHzにおける比誘電率)
 10GHzにおける比誘電率は、空洞共振器法によるにより測定する。空洞共振器法では、上記で得られた測定サンプルをそのまま使用する。試験雰囲気として、室温(23±2℃/50±5%RH)で測定し、厚さの計測は、マイクロメータにて測定し、5点の平均値を算出する。測定装置としては、シンセサイズドスイーパー8340B(YHP社製)、ネットワークアナライザー8510B(YHP社製)、円筒空洞共振器:TE モード 10GHz近傍(材質:銅、内部鏡面仕上げ)、及び信号伝送用セミリジットケーブルを用いることができる。
(硬化性組成物の粘度・相転移点)
 本発明の硬化性組成物の25℃における粘度は、1~1×10Pa・sの範囲内であることが、例えば、インクジェットインクとして用いた場合に、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させ、ピニング性が良好となる点で好ましい。また、インクジェットインクとして用いた場合に、インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、本発明の硬化性組成物の80℃における粘度は、3~20mPa・sの範囲内であることが好ましく、7~9mPa・sの範囲内であることがより好ましい。
 本発明の硬化性組成物は、40℃以上100℃未満の範囲内に相転移点を有することが好ましい。相転移点が40℃以上であると、例えば、インクジェットインクとして用いた場合に、記録媒体に着弾後、インク(硬化性組成物)が速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。そのため、高精細な画像やパターンを形成することが可能となる。また、相転移点が100℃未満であると、硬化性組成物の取り扱い性が良好になり射出安定性が高くなる。同様に、硬化性組成物をインクジェットインクとして用いた場合に、より低温でインク(硬化性組成物)を吐出可能にし、画像形成装置への負荷を低減させる観点からは、本発明の硬化性組成物の相転移点は、40~60℃の範囲内であることがより好ましい。
 本発明の硬化性組成物の25℃における粘度、80℃における粘度、及び相転移点は、粘弾性測定装置により、以下の方法によって得られた値である。
 粘弾性測定装置、例えば、MCR300(Physica社製)を用いて、シェアレート1000(1/s)にて、本発明の硬化性組成物の25℃における粘度、80℃における粘度及び相転移点を測定する。ここで、相転移点は、降温速度0.1℃/s、歪み5%、角周波数10radian/s、降温速度0.1℃/sで温度変化させて得られる粘弾性曲線において、複素粘性率が1Paとなる温度を表す。
 硬化性組成物をインクジェットインクとして用いた場合に、インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、本発明に係る顔料粒子の平均分散粒径は、50~150nmの範囲内であり、最大粒径は300~1000nmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましい平均分散粒径は80~130nmの範囲内である。
 本発明における顔料粒子の平均分散粒径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、着色剤を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インク(硬化性組成物)を200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
 本発明の硬化性組成物は、被塗布物に塗布し硬化して用いられる。硬化性組成物の被塗布物への塗布方法は、特に限定されず公知の塗布方法が適用可能であるが、上に説明したとおりインクジェット法により塗布される場合に、本発明の効果がより発揮でき、好適である。
 本発明の硬化性組成物の硬化は上記のとおり、光硬化と熱硬化を組み合わせて行う。光硬化と熱硬化の順番は問わないが、作業性等の観点から光硬化に次いで熱硬化を行う方法が好ましい。本発明の硬化性組成物の硬化物は、10GHzにおける比誘電率が2.90未満である。また、硬化物は、ゲル化剤の作用により外部からの酸素や水分の侵入を抑制できる。
 上記特性を勘案すると、本発明の硬化性組成物は、ソルダーレジスト用インクに用いることが、特に有益である。また、本発明の硬化性組成物は、ソルダーレジストパターン形成用のインクとして用いる他、電子部品用の接着剤や封止剤、回路保護剤等として用いることもできる。
[ソルダーレジスト用インク]
 本発明のソルダーレジスト用インクは、本発明の硬化性組成物を含有することを特徴とする。ソルダーレジスト用インクは本発明の硬化性組成物のみからなってもよく、必要に応じて硬化性組成物以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、上記溶剤等が挙げられる。本発明のソルダーレジスト用インクは本発明の硬化性組成物からなることが好ましい。
 ソルダーレジスト用インクは、プリント回路基板に用いられるソルダーレジスト膜形成用のインクである。本発明のソルダーレジスト用インクは、本発明の硬化性組成物を含有することで、ソルダーレジストパターン(ソルダーレジスト膜)を形成したときに、ゲル化剤が形成するカードハウス構造によりソルダーレジスト膜への酸素や水分の浸透を防ぐことができ、その結果、極性基の発生が少なくなるため低誘電率化が可能となる。また、プリント回路基板における、回路パターン(導体パターン)、例えば、銅配線とソルダーレジスト膜界面の密着性が良好となり、さらに、導体、例えば、銅のマイグレーションが防止され絶縁性の低下を抑制することができる。
[プリント回路基板]
 本発明のプリント回路基板は、基板と、前記基板の表面に設けられた回路パターンと、前記回路パターン上に設けられたソルダーレジスト膜を備えるプリント回路基板であって、前記ソルダーレジスト膜が本発明のソルダーレジスト用インクを用いて形成されたことを特徴とする。
 本発明のプリント回路基板は、ソルダーレジスト膜以外の構成は、公知のプリント回路基板と同様の構成とすることができる。
 例えば、プリント回路基板における基板としては、特に限定されず、公知の材料、例えば、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・ポリフェニレンオキシド(PPO)・シアネートエステル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス、セラミック等の絶縁材料からなる基板が用いられる。また、基板は、ウエハ等の半導体、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属からなる基板であってもよい。
 プリント回路基板は、基板の表面に設計に応じた回路パターン(導体パターン)を有し、例えば、はんだ付け等により電気的に外部と接続される接点のみを残して、回路パターン上にソルダーレジスト膜を備える構成である。ソルダーレジスト膜は、プリント回路基板の設計に応じてパターン化されて形成されてもよい。また、ソルダーレジスト膜の厚さは、プリント回路基板の種類や用途によるが、例えば、10~60μm程度とすることができ、15~40μmが好ましい。
 プリント回路基板において配線導体は基板の片側の表面又は両側の表面に回路パターン(導体パターン)として形成されうる。また、基板の表面に加えて、基板内部にも配線導体が形成された、多層基板やビルドアップ基板であってもよい。本発明のプリント回路基板において回路パターン(導体パターン)は、銅配線で構成されることが好ましい。例えば、プリント回路基板の基板としては、高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたものであって、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板を用いることができる。このような基板において、銅配線は、表面に有する銅層(銅箔)をエッチング等で加工することで形成される。
 本発明のプリント回路基板において、ソルダーレジスト膜は、上記本発明のソルダーレジスト用インクを用いて形成されることから、10GHzにおける比誘電率が2.90未満であるとともに、密着性及び耐熱性に優れるものである。なお、銅配線上にソルダーレジスト膜を形成させる上で、より密着性を向上させるために、当該銅配線の表面粗さRaは0.1~2.0μmの範囲内であることが好ましい。表面粗さRaが上記範囲であると、ソルダーレジスト用インクを塗布した際に、ソルダーレジスト膜の銅配線への密着性が向上する。
 導体配線の表面粗さRaを、調整するためには、例えば、銅配線等の回路パターン(導体パターン)としての導体層に粗化処理や滲みを防止するための前処理を行うことが好ましい。粗化処理の方法としては、導体層表面をバフやスクラブ等の手段で凹凸を形成して粗面を形成する処理(物理研磨処理)や塩化銅系、過硫酸塩系、硫酸/過酸化水素系、ギ酸系、有機酸系等の化学研磨剤による化学研磨処理が挙げられる。
 上記前処理としては、密着性を向上させる観点から、化学研磨処理や密着向上する処理が好ましく、化学研磨処理では有機酸系の処理がさらに好ましい。具体的な化学研磨処理としては、塩化銅系としてはMacDermid社のMultiPrep 200、過硫酸塩系としてはMacDermid社のマイクロクリーン、ME-301、PR-820、硫酸/過酸化水素系としては四国化成社のGB1000F/1400、G200、GB3100、GB4300、MacDermid社のマルチボンド100、マルチボンド150、マルチボンドMP、Metex G-5、Metex G-6、ME-501、ME-602、ME-605、ME-709、BOARDTEC社のBTH-2066、三菱ガス化学社のCPE-900、EMR-5000、EMR-7000、有機酸系としてはメック(MEC)社のCZ8100、CZ8101、CZ8201、BOARDTEC社のBTH-2085等を用いた処理が挙げられる。また、密着向上する処理としてはMEC社のGTプロセスや四国化成社のGliCAPでの処理が挙げられる。
 密着性を向上させる観点から、硫酸/過酸化水素系、有機酸系が好ましく、有機酸系がさらに好ましい。滲みを防止するために撥液処理を行ってもよい。
 上記前処理により粗化された銅配線等の回路パターン(導体パターン)の表面粗さRaとしては、0.1~2.0μmが好ましく、0.1~1.5μmがより好ましく、0.2~1.3μmがさらに好ましく、0.3~1.1μmが最も好ましい。表面粗さRaが0.1μm以上であればより密着性が向上し、2.0μm以下であればより滲み、及び10GHzでの伝送損失が抑制される。
 上記前処理剤により粗化される銅配線等の回路パターン(導体パターン)の厚さとしては0.1~3.0μmが好ましく、0.3~2.0μmが好ましく、0.5~1.5μmがさらに好ましい。粗化される厚さとして、0.1μm以上あればアンカー効果により密着性が向上し、3.0μm以下であれば銅等の導体が必要以上に粗密化されないため密着性が向上する。
 表面粗さRaは前処理剤の種類や処理の温度、時間等の条件を調整することで制御することができる。表面粗さRaはJIS B 0601に基づいて測定される算術平均粗さである。表面粗さRaは、具体的には、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、非接触型干渉顕微鏡(WYKO)、レーザー顕微鏡、表面粗度(接触針法)等で測定することができる。
[ソルダーレジスト膜の形成方法]
 本発明のソルダーレジスト用インク(以下、単に「インク」ともいう。)を用いたソルダーレジスト膜の形成方法は、(1)本発明のインクをインクジェットヘッドのノズルから吐出して、回路パターンが形成されたプリント回路基板の回路パターン上に着弾させる工程と、(2)着弾したインクに活性エネルギー線を照射してインクを光硬化(仮硬化)させる工程と、(3)インクを加熱して熱硬化(本硬化)する工程とを含むことが好ましい。
<(1)の工程>
 (1)の工程では、本発明のインクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、プリント回路基板上の回路パターンを含む、ソルダーレジスト膜を形成すべき領域に着弾させて、パターニングする。インクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。
 オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気-機械変換方式、並びにサーマルインクジェット型及びバブルジェット(登録商標)(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気-熱変換方式等のいずれでもよい。
 インクの液滴を、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、40~100℃の範囲内であることが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、40~90℃の範囲内であることがより好ましい。特には、インクの粘度が7~15mPa・sの範囲内、より好ましくは8~13mPa・sの範囲内となるようなインク温度において射出を行うことが好ましい。
 ゾル・ゲル相転移型のインクは、インクジェットヘッドからのインクの吐出性を高めるために、インクジェットヘッドに充填されたときのインクの温度が、当該インクの(ゲル化温度(相転移点)+10)℃~(ゲル化温度(相転移点)+30)℃に設定されることが好ましい。インクジェットヘッド内のインクの温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、インクジェットヘッド内若しくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの吐出性が低下しやすい。一方、インクジェットヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
 インクの加熱方法は、特に制限されない。例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ及びヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管並びにピエゾヘッド等の少なくともいずれかをパネルヒーター、リボンヒーター又は保温水等によって加熱することができる。
 吐出される際のインクの液滴量は、作業の効率性と得られるソルダーレジスト膜において回路パターンを保護できる厚さ、及び回路パターンの細線再現性を確保する観点から、2~20pLの範囲内であることが好ましい。
<(2)の工程>
 (2)の工程では、(1)の工程で着弾させたインクに活性エネルギー線を照射して、該インクを仮硬化する。活性エネルギー線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等から選択することができるが、好ましくは紫外線である。
 紫外線の照射は、例えば、Phoseon Technology社製の水冷LEDを用いて、波長395nmの条件下で行うことができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクが溶けることによるインクの硬化不良を抑制することができる。
 紫外線の照射は、370~410nmの範囲内の波長を有する紫外線のインク塗膜表面におけるピーク照度が、好ましくは0.5~10W/cmの範囲内、より好ましくは1~5W/cmの範囲内となるように行う。輻射熱がインクに照射されることを抑制する観点からは、インク塗膜に照射される光量は1000mJ/cm未満であることが好ましい。活性エネルギー線の照射は、インク着弾後0.001~300秒の間に行うことが好ましく、高精細なソルダーレジスト膜を形成するためには、0.001~60秒の間に行うことがより好ましい。
<(3)の工程>
 (3)の工程では、(2)の仮硬化後、さらにインク塗膜を加熱して本硬化する。加熱方法は、例えば、110~180℃の範囲内に設定したオーブンに10~60分投入することが好ましい。
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
<硬化性組成物の成分>
 以下の実施例及び比較例の硬化性組成物の構成成分である、(メタ)アクリルモノマー、熱硬化性化合物、光重合開始剤、及びゲル化剤として、表Iに示す市販品又は化合物を用いた。(メタ)アクリルモノマーについては、分子量、ClogP、分類を併せて記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
<着色剤分散体の調製>
 硬化性組成物に配合した顔料分散体を以下のとおり調製して用いた。
(E-1:イエロー顔料分散体の調製)
 下記分散剤1及び分散剤2と、分散媒をステンレスビーカーに入れ、62℃のホットプレート上で加熱しながら55分加熱撹拌溶解し、室温まで冷却した後、これに下記顔料を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gとともにガラス瓶に入れ密栓した。これをペイントシェーカーにて、所望の粒径になるまで分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
 分散剤1:EFKA7701(BASF社製)     6.2質量部
 分散剤2:Solsperse22000(日本ルーブリゾール社製)
                           0.5質量部
 分散媒:ジプロピレングリコールジアクリレート(0.2%UV-10含有)
                          82.3質量部
 顔料:PY185(BASF社製、パリオトールイエローD1155)
                          13.8質量部
(E-2:シアン顔料分散体の調製)
 前記イエロー顔料分散体の調製において、分散剤、分散媒及び顔料を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして調製した。
 分散剤:EFKA7701(BASF社製)      6.7質量部
 分散媒:ジプロピレングリコールジアクリレート(0.2%UV-10含有)
                            72質量部
 顔料:PB15:4(大日精化製、クロモファインブルー6332JC)
                            21質量部
[硬化性組成物(インクジェットインク)の調製]
 下記表II~表IVに記載のインク組成(質量部)にしたがって各成分を混合し、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブレンフィルターで濾過を行って、硬化性組成物(インクジェットインク、以下、単に「インク」ともいう。)AA-1~AA-16、AB-1~AB-6(表II、表III)及びBB-1~BB-11(表IV)を得た。
 なお、表II~表IVにおいて、配合した顔料分散体E-1及びE-2が含有するジプロピレングリコールジアクリレートの量と、(メタ)アクリルモノマーのA-5として配合したM222(ジプロピレングリコールジアクリレート)の量を合計した量(質量部)を、(メタ)アクリルモノマーのA-5の欄に記載した。また、顔料分散体の欄には、顔料分散体E-1及びE-2として配合した量、すなわち、分散媒としてのジプロピレングリコールジアクリレートを含む量をそのまま記載した。
 具体的には、表IIのインクAA-1では、(メタ)アクリルモノマーとして、(メタ)アクリルモノマーA-9及びA-8をそれぞれ54質量部及び34質量部用い、顔料分散体E-1及びE-2を各1質量部ずつ用いた。ただし、顔料分散体E-1及びE-2はジプロピレングリコールジアクリレートを含有するため、顔料分散体E-1及びE-2に上記の割合で含有されているジプロピレングリコールジアクリレートについて、顔料分散体E-1及びE-2の各1質量部中の量を算出し、その合計量の1.5質量部を表IIの(メタ)アクリルモノマーのA-5の欄に記載した。表II~表IVの他のインクにおいても、同様の扱いとした。
 なお、表II~表IVに示す全てのインクにおいて、顔料分散体E-1及びE-2は各1質量部ずつ用いられているため、顔料分散体由来の(メタ)アクリルモノマーA-5の量は1.5質量部である。表IVにおいては、(メタ)アクリルモノマーA-5の量が1.5質量部を超えるインクが存在する。当該インクにおいては、調製時に表IVに示す(メタ)アクリルモノマーA-5の量から1.5質量部引いた量のM222(ジプロピレングリコールジアクリレート)を用いた。表II~表IVにおいて、空欄は、当該成分の含有量が「0」質量部であることを示す。
 また、表II~表IVには、(メタ)アクリルモノマーにおける(メタ)アクリルモノマー(A1)、(A2)及びその他の割合[質量%]を併せて示した。
[インクの物性]
(粘度・相転移点)
 得られたインクAA-1~AA-16、AB-1~AB-6及びBB-1~BB-11について、上記の方法で、25℃での粘度及び相転移点を測定した。
 本発明のインクの25℃での粘度はいずれも1~1×10Pa・sであるのに対し、比較例のゲル化剤の無いインクはいずれも1Pa・s未満であった。また、本発明のインクのゲル相転移温度はいずれも40~100℃の温度であったが、比較例のゲル化剤を含有していないインクはゲル相転移現象が見られなかった。
(インク硬化物の比誘電率)
 得られたインクAA-1~AA-16、AB-1~AB-6及びBB-1~BB-11を用いて、ポリプロピレンフィルム上に以下に示すインクジェット記録装置でベタパターンを印刷、硬化して硬化物(膜)の測定サンプルを作製した。
 具体的には、プロピレンフィルム上に、70mm×70mm、厚さ23μmのベタパターンになるように、インクをインクジェット塗布する。得られたインク層に対してPhoseon Technology社製LEDランプ(395nm、8W/cm、water cooled unit)を用いて紫外線(395nm)を500mJ/cmの照射量となるように照射することで、インクを光硬化(仮硬化)させた後、プロピレンフィルムから硬化物(膜)を剥離し、150℃に設定したオーブンに60分投入して熱硬化(本硬化)させた。約5cm角に切り出して測定サンプルとして、上記の方法で1MHz、及び10GHzでの比誘電率を測定した。結果を併せて表II~表IVに示す。
[評価1]
 以下の方法でインクの硬化膜について、銅張積層板の銅層との密着性及び耐熱性を評価した。結果を併せて表II~表IVに示す。
(1)評価用積層サンプルの作製
<銅張積層板の処理>
 プリント配線板用の銅張積層板(FR-4;厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)の表面の銅層をMEC社のCZ-8100の処理液で処理することで、銅層の表面粗さRaが1.5μmの前処理した銅張積層基板を作製した。なお、表面粗さRaはレーザー顕微鏡により測定した算術平均粗さである。
<インクジェットによるパターン形成>
 上記で調製した各インクジェットインクを、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に装填した。この装置を用いて、上記の銅の前処理を行ったプリント配線板用銅張積層板上(FR-4 厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)にパターン形成を行った。
 インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェット記録ヘッド直前のサブインクタンク、金属フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなる。インクタンクからヘッド部分までインクを80℃に加温する。ピエゾヘッドにもヒーターを内蔵させ、ピエゾヘッド内のインク温度を75℃に加熱した。ピエゾヘッドは、コニカミノルタ製のKM1800i-SHCを用いた。
 このインクジェット装置を用いて、液滴量が3.5plのドットになるように電圧を印加し、基板上に70mm×70mmのベタパターンのインク層とライン&スペースが100μmの櫛型パターンを、それぞれ厚さが23μmになるように形成したのち、Phoseon Technology社製LEDランプ(395nm、8W/cm、water cooled unit)を500mJ/cmになるよう照射してインク層を仮硬化した。その後、150℃に設定したオーブンに60分投入し本硬化し、銅張積層板の上記前処理された銅層上に硬化膜パターンが形成された積層サンプルを得た。
(2)積層サンプルの評価
<基板密着性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、硬化膜にJIS K5600のクロスカット法に準じて碁盤目状に切り込みを入れ、粘着テープを貼付し、引き剥がすことで、硬化膜の剥離状態を観察し、下記方法で付着残留率を求め、下記基準にしたがって評価した。ここで、付着残留率は、切り込みを入れて作成したマス目の数を分母とし、テープ剥離に残留しているマス目の数を分子として算出される。
 (基準)
 5:付着残留率100%
 4:付着残留率80%以上100%未満
 3:付着残留率60%以上80%未満
 2:付着残留率50%以上60%未満
 1:付着残留率50%未満
<ハンダ耐熱性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、260℃ハンダ浴に10秒3回浸漬した後、上記した付着残存率の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 上記した結果に示されるように、本発明の硬化性組成物は、比較例の硬化性組成物に比べて、比誘電率、基板密着性、ハンダ耐熱性の点で優れていることが分かる。また、下記の耐熱耐湿性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、絶縁信頼性についても評価しており実用に際して問題ないことを確認した。
 また、ライン&スペースが100μmの櫛型パターンを用いて細線の再現性を下記方法で評価した結果、本発明のサンプルはライン&スペースが100μmを描画できているが、ゲル化剤を含有していない比較例のサンプルはライン&スペースを100μmで描画することができず、スペースがインクで埋まる、または100μ以上の太さのラインとなっていた。
<耐熱耐湿性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、85℃、相対湿度85%の条件下で500時間放置した。その後、上記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
<耐溶剤性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、プロピレングリコールモノメチルアセテートに20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、上記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
<耐酸性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、10質量%の硫酸水溶液に20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、上記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
<耐アルカリ性>
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃20分浸漬した後、水洗乾燥後、上記した基板密着性の評価を行い、硬化膜の剥離状態を観察した。
<絶縁信頼性>
 プリント配線板用の銅張積層板(FR-4;厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)に、ライン&スペース75μmで導電性の櫛型配線パターンを作製し、該櫛型配線パターンの全体を覆うように調製した各インクジェットインクを用いてインクジェットにてベタパターンを形成した。得られたサンプルを85℃、相対湿度85%RH及び100Vを印加した条件で1000時間までの絶縁性評価を行った。
 (基準)
 ◎:1000時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が10Ω以上
 ○:500時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が10Ω以上
 △:250時間経過後に、顕著な抵抗値の低下や短絡が無く、絶縁抵抗値が10Ω以上
 ×:250時間経過前に、絶縁抵抗値が10Ω未満
<細線の再現性>
 ライン&スペースが100μmの櫛型パターンを光学顕微鏡にて観察した。
[評価2]
 上記で得られたインクBB-4を用いて、銅張積層板の銅層の前処理の違いによる密着性、耐熱性及び滲みの違いを評価した。結果を表Vに示す。
(1)評価用積層サンプルの作製
<銅張積層板の処理>
 プリント配線板用の銅張積層板(FR-4;厚さ1.6mm、大きさ150mm×95mm)の表面の銅層をMEC社のCZ-8100、CZ8101、CZ8201の処理液を用いて条件を調整して処理することで銅層の表面粗さRaが異なる銅張積層基板CC-2~CC-11を作製した。また、処理を行わなかった銅張積層板をCC-1として使用した。
<インクジェットによるパターン形成>
 インクBB-4を用いて、上記評価1と同様にして、銅張積層基板CC-1~CC-11の銅層上に硬化膜パターン(70mm×70mm、厚さ23μmのベタパターン)が形成された積層サンプルを得た。
(2)積層サンプルの評価
 上記ベタパターンの積層サンプルについて、上記評価1と同様にして、基板密着性及びハンダ耐熱性を評価した。また、以下の方法で滲みを評価した。
<滲みの評価>
 70mm×70mmのベタ画像印字(硬化膜パターン)部分から非印字部である銅板上に滲んでいる距離を目視により確認して下記の基準により評価した。
 (基準)
 5:滲み成分が1mm未満
 4:滲み成分が1mm以上2mm未満
 3:滲み成分が2mm以上3mm未満
 2:滲み成分が3mm以上4mm未満
 1:滲み成分が4mm以上
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 また、明細書に記載されているその他の前処理剤(四国化成社のGB1000F/1400、G200、GB3100、GB4300、MacDermid社のマルチボンド100、マルチボンド150、マルチボンドMP、MultiPrep200、BOARDTEC社のBTH-2066、BTH-2085)を用いて処理条件を調整することでそれぞれRaが0.1~2.0μmまでの基板を作製して同様の評価を行ったところ上記表Vに記載のRaに対応した評価結果となった。
 また、密着向上する前処理であるメック社のGTプロセスや四国化成社のGliCAPでのプロセスを用いても基板密着性、ハンダ耐熱性、耐熱耐湿性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、絶縁信頼性、滲みの評価が実用に際して問題ないことを確認した。
 本発明によれば、密着性及び耐熱性に優れ、かつ比誘電率が低い硬化物を与える硬化性組成物、ソルダーレジスト用インク及びこれを用いたプリント回路基板を提供することができる。

Claims (8)

  1.  (メタ)アクリルモノマーを主成分として含有し、さらに光重合開始剤、熱硬化性化合物及びゲル化剤を含有する硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の硬化物の10GHzにおける比誘電率が2.90未満であることを特徴とする硬化性組成物。
  2.  前記熱硬化性化合物の含有量が、前記硬化性組成物の全量に対して1~15質量%の範囲内である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3.  前記(メタ)アクリルモノマーが、分子量が200~1500の範囲内であり、ClogP値が3.5~7.0の範囲内である(メタ)アクリルモノマーを含む請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4.  前記熱硬化性化合物が、イソシアネート基が熱解離性のブロック剤で保護された多官能イソシアネート化合物を含む請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5.  25℃での粘度が、1~1×10Pa・sの範囲内であり、かつ、40℃以上100℃未満に相転移点を有する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6.  請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有するソルダーレジスト用インク。
  7.  基板と、前記基板の表面に設けられた回路パターンと、前記回路パターン上に設けられたソルダーレジスト膜を備えるプリント回路基板であって、
     前記ソルダーレジスト膜が請求項6に記載のソルダーレジスト用インクを用いて形成されたプリント回路基板。
  8.  前記回路パターンが銅配線で構成され、前記銅配線の表面粗さRaが0.1~2.0μmの範囲内である請求項7に記載のプリント回路基板。
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