JP6896535B2 - 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム - Google Patents
光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP6896535B2 JP6896535B2 JP2017131991A JP2017131991A JP6896535B2 JP 6896535 B2 JP6896535 B2 JP 6896535B2 JP 2017131991 A JP2017131991 A JP 2017131991A JP 2017131991 A JP2017131991 A JP 2017131991A JP 6896535 B2 JP6896535 B2 JP 6896535B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- resin
- resin composition
- laminated optical
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
- Polarising Elements (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
Description
最近、色再現性の要求が特に高まりつつあり、液晶表示装置用の偏光板保護フィルム及び位相差フィルムに関して、その位相差の光の波長による変化が小さいものが求められている。これまでに利用されている位相差フィルムのうち、固有複屈折値が正のポリマーフィルムとしては、ポリカーボネートフィルムなど、固有複屈折値が負のフィルムとしては、光学用にスチレン系のフィルムなどが開発されている(特許文献2)。
しかしながら、従来のフィルムにおいては、リターデーションの波長による変化について十分な考慮がなされていなかった。また設計時の厚み方向のリターデーションRthの考慮もされていなかった。
しかしながら、特許文献3においても、厚み方向リターデーションRthについては考慮されていなかった。
1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環とを有する化合物(B)を含有する光硬化性樹脂組成物であって、
厚み30μmの硬化フィルムとしたときの波長550nmにおけるRthが+30nm以上である光硬化性樹脂組成物。
(2)前記ウレタン化合物(A)が、下記式(II)の構造を有する、上記(1)に記載の光硬化性樹脂組成物。
(3)前記ウレタン化合物(A)が、下記式(III)の構造を有する、上記(1)または(2)に記載の光硬化性樹脂組成物。
(4)前記化合物(B)が、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される1種類以上を含む、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化した硬化フィルム。
(6)厚みが5〜200μmである、上記(5)に記載の硬化フィルム。
(7)上記(5)または(6)に記載の硬化フィルムを有するネガティブCプレート。
(8)固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含有する樹脂組成物を含む基材フィルムと、上記(5)または(6)に記載の硬化フィルムとが積層された、波長550nmにおけるRthが−30〜+80nmである積層光学フィルム。
(9)前記積層光学フィルムにおける、450nm、550nm、650nmの波長の面内リターデーションの値をそれぞれRe450、Re550、Re650としたときに、Re450<Re550<Re650の関係を満たす、上記(8)に記載の積層光学フィルム。
(10)前記基材フィルム層の厚さが60〜100μmである、上記(8)または(9)に記載の積層光学フィルム。
(11)上記(8)〜(10)のいずれか一項に記載の積層光学フィルムを有する位相差補償板。
本発明の積層光学フィルムは、固有複屈折値が正の樹脂A、および固有複屈折値が負の樹脂Bを含む樹脂組成物により形成される基材フィルムと、光硬化性樹脂組成物の硬化フィルムとを積層させたものである。
光硬化性樹脂組成物としては、複屈折を発現しやすい芳香環を多く含む化合物を選択した。
(A)ウレタン化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれる光硬化可能なウレタン化合物(A)は、下記式(I)の構造を有する。
上記式(I)においてR2は、1以上の炭素間二重結合を有する基であり、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルメトキシ基、及び(メタ)アクリロイルエトキシ基等である。
上記式(I)においてXは、O,NH,及びNR3のいずれかであり、好ましくはOである。また、R3は、炭素数が6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は炭素数が10以下のアリール基であり、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6以上のアリール基等が挙げられる。
上記式(I)におけるnは、2以上の整数であり、例えば、3〜6のいずれかである。
1分子中に平均2以上のイソシアネート基と芳香環を有するイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,2’− または2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、あるいはこれらの混合物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:ポリメリックMDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、あるいはこれらの混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等が挙げられる。
これらの選択肢のうちでも、イソシアネート化合物としてポリメリックMDIが好ましい。イソシアネート化合物としてポリメリックMDIを用いて製造された光硬化性樹脂組成物は、上記式(II)の構造を有する。
また、本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて芳香族イソシアネート以外のイソシアネートや1官能の芳香族イソシアネートも添加してかまわない。例えば、芳香環を含まないイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、m−またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、あるいはこれらの混合物、m−またはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、あるいはこれらの混合物、核水添されたキシリレンジイソシアネート、核水添されたジフェニルメタンジイソシアネート、核水添されたポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェニルイソシアネート、n−ブチルモノイソシアネート等が挙げられ、また、単官能の芳香族イソシアネート化合物としてフェニルイソシアネート、アルキル置換フェニルイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート基と反応可能な官能基として、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基などが挙げられる。これらの官能基のうち、イソシアネートとの反応の制御の容易さや光硬化後の硬化フィルムの性能から水酸基であることが好ましい。
水酸基と不飽和結合を有する化合物としては、モノ、またはポリエチレングリコールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、モノ、またはポリプロピレングリコールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、アルキレンジオールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールのモノモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、エチレノキサイド変性ビスフェノールAモノアクリレートのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、グリセリンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ペンタエリスリトールの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ジペンタエリスリトールの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル等が挙げられる。
この中でエチレングリコールのモノアクリレート、メタクリレートであることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物に含まれるウレタン化合物(A)は、ポリウレタンを製造する公知のウレタン化反応で製造できる。すなわち、ウレタン化合物(A)は、上述のイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートに対する、上述の不飽和化合物によるウレタン化反応によって製造可能である。
光硬化性樹脂組成物に含まれる1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環を有する化合物(不飽和基含有芳香族化合物(B))としては前記ウレタン化合物(A)以外の化合物であり、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、o−ジフェニルメタクリレート、o−ジフェニルアクリレート、p−ジフェニルメタクリレート、p−ジフェニルアクリレート、1−ナフチルメタクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、トリフェニルメチルメタクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、ジフェニルメチルメタクリレート、ジフェニルメチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシリレングリコールジアクリレート、アリルオキシジナフトチオフェン、スチレン、アルキル置換スチレン、α−アルキルスチレン等が挙げられる。また、芳香環にアルキル基やヘテロ原子を含むアルキル基で置換されていてもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和基含有芳香族化合物(B)の中で、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートが好ましい。さらにこの中でベンジルアクリレートであることがより好ましい。
また、光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果に影響しない範囲でウレタン化合物(A)、及び不飽和基含有芳香族化合物(B)以外の光硬化性の不飽和結合を有する化合物を含んでもよい。例えば、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、N−アルキル基を有するマレイミドなどが挙げられる。光硬化性樹脂組成物は、ウレタン化合物(A)、及び不飽和基含有芳香族化合物(B)以外の成分を、例えば10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、まで含む。
光重合開始剤(C)としては、発明の効果を奏する限りにおいて種類は限定されない。例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の硬化フィルムは、上述の硬化性樹脂組成物に対して活性エネルギー線(紫外線、電子線等)を照射し、硬化させることによって作製される。
活性エネルギー線が紫外線の場合は、活性エネルギー線供給源として、例えば、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等を用いることができる。
紫外線の照射エネルギーとしては、100〜2,000mJ/cm2であることが好ましく、500〜1,000mJ/cm2であることがより好ましい。
また、活性エネルギー線が電子線の場合は、活性エネルギー線供給源として例えばスキャン式電子線照射法、カーテン式電子線照射法等を用いることができる。
電子線の照射エネルギーとしては、10〜200kGyであることが好ましく、50〜100kGyであることがより好ましい。
本発明の積層光学フィルムは、硬化フィルムと、詳細を後述する基材フィルムとを含む積層体である。積層光学フィルムは、例えば上述のようにネガティブCプレートとして機能する硬化フィルムを含む。積層光学フィルムの各層の機能、および性状については後述する。
積層光学フィルムにおいて硬化フィルムと積層される基材フィルムは、主として樹脂組成物を含む。このように、基材フィルムの主な成分である樹脂組成物は、固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含む。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル樹脂としては、次に示す一般式[1]を繰り返し単位とし、構成単位が一般式[1]の[a]及び[b]からなる単独重合体、あるいはこれらの構成単位を含む共重合体が使用できる。
特に、ポリスチレン樹脂と相溶性が高いポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが最も好ましく用いられる。
また、スチレン系樹脂は、スチレン系単量体成分に他の単量体成分を共重合したものであってもよい。共重合可能な単量体としては、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸、イタコン酸、エチルマレイン酸、メチルイタコン酸、クロルマレイン酸などの無水物である不飽和ジカルボン酸無水物単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエンなどが挙げられ、これらの2種以上を共重合してもよい。
このような他の単量体成分の共重合割合は、スチレン系単量体成分に対して、50質量%以下であることが好ましい。
スチレン系樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化または溶液重合方法により得ることができる。
基材フィルムを形成する樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を添加することができる。添加する添加剤は、特に限定されず、例えば、滑剤;層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;可塑剤:染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤;などを挙げることができる。添加剤の量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜定めることができる。添加剤としては、可撓性や耐候性を向上させることができる点で、滑剤や紫外線吸収剤を添加することが好ましい。添加剤の添加量は、例えば得られる基材フィルムの全光線透過率を85%以上に、およびヘーズを0.2%程度に維持できる範囲とすることができる。
そして、積層体を構成する際の基材フィルムの厚さ、すなわち延伸後の基材フィルムの厚さは、60〜100μmであることが好ましく、70〜90μmであることがより好ましく、75〜85μmであることが特に好ましい。
積層体である本発明の積層光学フィルムは、基材フィルムに前記硬化性樹脂組成物を直接塗布し、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化することによって作製できる。また、基材フィルム以外のシート、フィルムなどに塗布し、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化し、剥離した後、基材フィルムに積層することで作製できる。
本発明の積層光学フィルムにおいては、硬化性樹脂組成物を硬化して得られた硬化フィルム層が積層されており、硬化フィルムの厚みは5〜200μmであり、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜50μmである。これより薄いと表面硬度が発現しにくくなり、これより厚いとクラック発生の抑制が難しくなる。
本願明細書において、Nx≒Ny>Nz、またはNx≒Ny<Nzの屈折率をもつフィルムをCプレートという。Cプレートの平面は光学的に均一なため、正面からの偏光は変化しない。
ポジティブCプレートとは、フィルムの面方向で最も屈折率が大きい方向の屈折率(Nx)、フィルムの面方向でNx方向の垂直方向の屈折率(Ny)、厚さ方向の屈折率(Nz)がNx≒Ny<Nzの関係を満たすものを意味する。
ネガティブCプレートとは、フィルムの面方向で最も屈折率が大きい方向の屈折率(Nx)、フィルムの面方向でNx方向の垂直方向の屈折率(Ny)、厚さ方向の屈折率(Nz)がNx≒Ny>Nzの関係を満たすものを意味する。
ネガティブCプレートとして用いられる硬化フィルムは、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthの値が、好ましくは+30nm以上であり、より好ましくは35nm以上であり、さらに好ましくは40nm以上である。
また、積層光学フィルムにおいては、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthの値が、−30nm以上であり80nm以下、好ましくは−25nm以上であり60nm以下、より好ましくは−20nm以上であり40nm以下、特に好ましくは−18nm以上であり20nm以下である。
面内リターデーションReおよび厚み方向リターデーションRthの測定には大塚電子株式会社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS100用いることができる。具体的には、以下の通り、下記式(1)〜(4)により算出される。すなわち、
N=(nx+ny+nz)/3 …式(3)
の3式の連立方程式(ただし、式中、Re(0)はフィルム法線方向入射の時のリターデーション(nm)、dはフィルム厚み(nm)、Nは平均屈折率)より、算出したRe(θ)と実測したRe(θ)が一致するnx,ny,nzを算出し、さらに、下記式(4)から、Rth(nm)が算出される。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d…式(4)
作製した光学フィルムのフィルム面の法線方向を0°とし、測定機(大塚電子株式会社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS100)を用いて、所定の波長の光を0°から入射して、入射光の位相差値を測定した。その後、進相軸および遅相軸を中心にして、5°刻みでサンプルを傾斜させて、−50°から50°の範囲で位相差値を測定した。得られた面内の位相差値R0、遅相軸を傾斜軸として傾斜させて測定した位相差値Rθ、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0を1.59と仮定した値を用い、数値計算により、面内方向の屈折率nx、nxとは垂直方向の面内の屈折率ny、及び垂直方向の屈折率nzの値をそれぞれ求めた。
作製した光学フィルムを鏡面金属板上に置き、その上に当該光学フィルムの光軸に対して45°の角度に偏光軸を合わせて偏光板を設置して、正面及び極角45°から蛍光灯を映しこんだときの反射光を観察した。正面と比較して、極角45°の色味を比較し、色味の差が少ない場合に良好とした。
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート及び乾燥空気導入管を備えた5つ口フラスコに、予め乾燥空気を流入させて系内を乾燥させた後、ポリメリックMDI(BASF製ルプラネートM20S、イソシアネート 135.55g/eq)210質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 188.9質量部、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.16質量部、重合禁止剤ジブチルヒドロキシトルエンを0.16質量部、溶剤としてMEK 44.32質量部を投入し、60℃に加温した。その後、発熱後の温度が80〜90℃になるよう冷却した。反応物中のイソシアネート残基が消費されたことを赤外線吸収スペクトルで確認し、ウレタンアクリレートの2−ブタノン溶液 443.54 質量部(固形分濃度 80%)を得た。
製造例1で得られたウレタンアクリレート(ウレタン化合物(A))と、下記表1に示すアクリレート(不飽和基含有芳香族化合物(B))とを配合した樹脂組成物に、さらに、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスホキシドが固形分の5質量%となるように配合し、レべリング剤BYK−342が塗料量の0.2%となるように配合した。また、粘度調整のためにMEK(メチルエチルケトン)を適宜加え、光硬化性組成物を得た。
厚さ188μmの離型処理がなされたポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、前記で得た光硬化性組成物をバーコーターで膜厚30μmの硬化フィルムが得られるよう塗装し、60℃で2分間乾燥させた。続いて、高圧水銀ランプで積算光量が150mJ/cm2になるようにUVを当て、硬化させた。PETシートから膜厚30μmの硬化フィルムを剥離し、Rthを測定した。その結果、表1に示すように、波長550nmにおけるRthがいずれも+30nm以上であり、面内リターデーションが実質0nmの硬化フィルムが得られた。
続いて、正の複屈折材料として三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)商品名:PX100Lを28質量部と、PSジャパン株式会社製汎用ポリスチレン(GPPS)商品名:HH105を72質量部の計100質量部を混合し、Tダイを備えたフィルム試作装置を用いて290℃設定にて138〜230μm厚のフィルムを作製した。作製したフィルムを125℃に加熱して2.3倍にて一軸延伸し膜厚60〜100μmの基材フィルムを得た。先ほどの硬化フィルムを基材フィルムに接着剤を用いて積層し、積層フィルムを得た。これらの積層フィルムの450nm、550nm、650nmの面内リターデーションRe450、Re550、Re650を測定した。
その結果、表2に示すようにRe450<Re550<Re650の関係を満たし、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthが−30nm以上であり80nm以下である、積層光学フィルムが製造された。
メタキシレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。反応液を室温まで冷却したところ結晶が析出したため、硬化フィルム作成に使用できなかった。
核水添メタキシレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。反応液を室温まで冷却したところ結晶が析出したため、硬化フィルム作成に使用できなかった。
イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、波長550nmにおけるRthを測定したところ、9nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、積層体のRthは−44nmで、色味は不良であった。
核水添されたジフェニルメタンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、12nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−41nmで、色味は不良であった。
ヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、7nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−46nmで、色味は不良であった。
ノルボロネンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、8nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−45nmで、色味は不良であった。
Claims (15)
- 下記式(I)の構造を有する光硬化可能なウレタン化合物(A)と、
1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環とを有する化合物(B)を含有する光硬化性樹脂組成物であって、
厚み30μmの硬化フィルムとしたときの波長550nmにおけるRthが+30nm以上であり、
積層光学フィルムにおけるネガティブCプレートのための光硬化性樹脂組成物。 - 前記化合物(B)が、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される1種類以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記ウレタン化合物(A)と前記化合物(B)とを質量比で1:9〜9:1の割合で含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記ウレタン化合物(A)及び前記化合物(B)以外の成分を10質量%以下まで含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化した硬化フィルム。
- 厚みが5〜200μmである、請求項7に記載の硬化フィルム。
- 請求項7または8に記載の硬化フィルムを有するネガティブCプレート。
- 固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含有する樹脂組成物を含む基材フィルムと、請求項7または8に記載の硬化フィルムとが積層された、波長550nmにおけるRthが−30〜+80nmである積層光学フィルム。
- 前記積層光学フィルムにおける、450nm、550nm、650nmの波長の面内リターデーションの値をそれぞれRe450、Re550、Re650としたときに、Re450<Re550<Re650の関係を満たす、請求項10に記載の積層光学フィルム。
- 前記基材フィルム層の厚さが60〜100μmである、請求項10または11に記載の積層光学フィルム。
- 前記樹脂Aが、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂のいずれかを含み、前記樹脂Bがスチレン系樹脂を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の積層光学フィルム。
- 前記樹脂Aと前記樹脂Bの混合比(質量比)が、樹脂A/樹脂B=1/9〜3/7である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の積層光学フィルム。
- 請求項10〜14のいずれか一項に記載の積層光学フィルムを有する位相差補償板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017131991A JP6896535B2 (ja) | 2017-07-05 | 2017-07-05 | 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017131991A JP6896535B2 (ja) | 2017-07-05 | 2017-07-05 | 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019014795A JP2019014795A (ja) | 2019-01-31 |
JP6896535B2 true JP6896535B2 (ja) | 2021-06-30 |
Family
ID=65356833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017131991A Active JP6896535B2 (ja) | 2017-07-05 | 2017-07-05 | 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6896535B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01309001A (ja) * | 1988-02-15 | 1989-12-13 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | プラスチックレンズ材料 |
JP2009132842A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Jsr Corp | 硬化性樹脂組成物及び光学部材 |
JP5241023B2 (ja) * | 2009-05-13 | 2013-07-17 | 日本化薬株式会社 | 光学レンズシート用エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその硬化物 |
JP5573952B2 (ja) * | 2010-07-23 | 2014-08-20 | 東亞合成株式会社 | 活性エネルギー線硬化型光学部材用組成物 |
-
2017
- 2017-07-05 JP JP2017131991A patent/JP6896535B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019014795A (ja) | 2019-01-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101477220B (zh) | 光学膜及该光学膜的制造方法 | |
JP4725046B2 (ja) | ディスプレイ用プラスチック基板および表示素子 | |
TWI470045B (zh) | 活性能量線硬化性組成物及帶有硬化塗膜的構件 | |
JP5224965B2 (ja) | 樹脂硬化物およびキーシート | |
JP6508961B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた光学フィルム | |
WO2007145111A1 (ja) | 偏光板、画像表示装置および偏光板の製造方法 | |
WO2015068483A1 (ja) | 光学積層体 | |
CN101493541B (zh) | 光学膜及该光学膜的制造方法 | |
CN110100192A (zh) | 光学膜及光学膜的制造方法 | |
JP2009040955A (ja) | 重合用樹脂組成物およびその賦型物 | |
JP2014010311A (ja) | 偏光板 | |
JP5610200B2 (ja) | 注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および光学部品 | |
CN113544554A (zh) | 偏振元件及图像显示装置 | |
TW201914813A (zh) | 積層體、偏光板、及影像顯示裝置 | |
JP5284815B2 (ja) | 注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、その硬化物 | |
KR101503216B1 (ko) | 라디칼 경화형 접착제 조성물 및 이를 포함하는 편광판 | |
JP6896535B2 (ja) | 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム | |
JP6468786B2 (ja) | フィルム | |
TWI500685B (zh) | 用於光學薄膜之樹脂組成物及使用其之光學薄膜 | |
CN116547324A (zh) | 戊二酰亚胺树脂 | |
JP6107056B2 (ja) | 光学フィルム又は光学シートを形成するための活性エネルギー線硬化型組成物 | |
JP2010149323A (ja) | 積層フィルムの製造方法及び積層フィルム | |
JP2011080001A (ja) | 注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、その硬化物 | |
JP2010032655A (ja) | 位相差フィルム、偏光板、液晶表示装置および位相差フィルムの製造方法 | |
JP7007832B2 (ja) | 積層光学フィルム、及び積層光学フィルムを有する位相差補償板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200507 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210224 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210601 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210609 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6896535 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |