JP6896535B2 - 光硬化性樹脂組成物、硬化フィルムおよび積層光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学用途やフラットパネルディスプレイ用途などに用いられる光硬化性樹脂組成物、硬化フィルム、および積層光学フィルム等に関する。
近年、光学用途や液晶ディスプレー用途においては、透明性に優れ、且つ、面内リターデーションReの小さい光学フィルムが求められている。VAモードの液晶セルにおいては、画面に垂直な方向(厚さ方向)の屈折率が、面内方向の屈折率よりも大きい。このため、VAモードにおける視野角の改善には、厚さ方向の屈折率が面内方向の屈折率よりも小さいリターデーションを有するフィルムが必要となる。
前記のようなフィルムを得るために、溶液流涎にてポリカーボネートフィルムを製膜して、ある程度の溶媒を含有する状態で逐次二軸延伸し、位相差フィルムを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
そのほかの製膜方法として、金属弾性ロールを用いたタッチロール成形にて面内リターデーションが小さいフィルムを得る方法が用いられている。
特許文献1に記載されている方法では、薄いフィルムを作製した際に、タッチロールが接触しない部分ができ、外観の良好なものを得ることが困難であった。また、上述の金属弾性ロールを用いたタッチロール成形によっても、面内リターデーションが十分に小さいフィルムを製造することは困難であった。
また、最近の液晶テレビに代表される薄型ディスプレイ市場の拡大に伴い、より鮮明な画像をより低価格で得たいという要求が高まっている。これを実現するために重要となるのが、各種光学フィルムであり、位相差フィルムはその代表である。
最近、色再現性の要求が特に高まりつつあり、液晶表示装置用の偏光板保護フィルム及び位相差フィルムに関して、その位相差の光の波長による変化が小さいものが求められている。これまでに利用されている位相差フィルムのうち、固有複屈折値が正のポリマーフィルムとしては、ポリカーボネートフィルムなど、固有複屈折値が負のフィルムとしては、光学用にスチレン系のフィルムなどが開発されている(特許文献2)。
しかしながら、従来のフィルムにおいては、リターデーションの波長による変化について十分な考慮がなされていなかった。また設計時の厚み方向のリターデーションRthの考慮もされていなかった。
特許文献3には、液晶表示装置の画質を向上させる目的で、波長が長くなるにつれてその位相差値が大きくなる、いわゆる逆波長分散型のフィルムを作成するにあたり、積層フィルムを用いることが開示されている。すなわち、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなる1枚の高分子ブレンドフィルムからなり、波長400〜700nmにおいて、位相差値(面内のリターデーションRe)が正になる波長帯域と、位相差値が負になる波長帯域とを有する位相差板と、波長400〜700nmにおいて位相差値が正または負である例えばポリカーボネート製の位相差フィルムとを積層した積層フィルムである。
しかしながら、特許文献3においても、厚み方向リターデーションRthについては考慮されていなかった。
:特開2004−149639号公報 :特開平3−24502号公報 :特開2001−42121号公報
本発明は、厚み方向のリターデーションであるRthが適切な範囲に調整されているとともに、波長によるリターデーションの変化が小さい、または低波長におけるリターデーションが小さい積層光学フィルム、及び、そのような積層光学フィルムの製造に有用な光硬化性樹脂組成物と硬化フィルム等を提供することにある。
本発明者は、積層フィルムに関する上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、固有複屈折値が正の樹脂と固有複屈折値が負の樹脂とを含む樹脂組成物を含有する光学フィルムと、面内リターデーションが小さく厚み方向のリターデーションが大きい硬化フィルムとを積層することにより、視野角による位相差変化の少ない位相差板を得ることができて、かつ生産性を向上できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の光硬化性樹脂組成物、及び積層光学フィルム等が提供される。
(1)下記式(I)の構造を有する光硬化可能なウレタン化合物(A)と、
Figure 0006896535
(式(I)中、Rは1以上の置換基を有していても良く、Nと結合した芳香環を有する炭素数6以上のアリール基であり、Rは1以上の炭素間二重結合を有する基であり、Xは、O,NH,及びNR(但しRは炭素数が6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は炭素数が10以下のアリール基である)のいずれかであり、nは2以上の整数である)
1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環とを有する化合物(B)を含有する光硬化性樹脂組成物であって、
厚み30μmの硬化フィルムとしたときの波長550nmにおけるRthが+30nm以上である光硬化性樹脂組成物。
(2)前記ウレタン化合物(A)が、下記式(II)の構造を有する、上記(1)に記載の光硬化性樹脂組成物。
Figure 0006896535
(式(II)において、R、及びXは上記(1)にて規定する通りであり、pは5以下の整数である。)
(3)前記ウレタン化合物(A)が、下記式(III)の構造を有する、上記(1)または(2)に記載の光硬化性樹脂組成物。
Figure 0006896535
(式(III)中、R、及びnは上記(1)にて規定する通りであり、Rは水素、またはメチル基であり、mは1以上の整数である。)
(4)前記化合物(B)が、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される1種類以上を含む、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化した硬化フィルム。
(6)厚みが5〜200μmである、上記(5)に記載の硬化フィルム。
(7)上記(5)または(6)に記載の硬化フィルムを有するネガティブCプレート。
(8)固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含有する樹脂組成物を含む基材フィルムと、上記(5)または(6)に記載の硬化フィルムとが積層された、波長550nmにおけるRthが−30〜+80nmである積層光学フィルム。
(9)前記積層光学フィルムにおける、450nm、550nm、650nmの波長の面内リターデーションの値をそれぞれRe450、Re550、Re650としたときに、Re450<Re550<Re650の関係を満たす、上記(8)に記載の積層光学フィルム。
(10)前記基材フィルム層の厚さが60〜100μmである、上記(8)または(9)に記載の積層光学フィルム。
(11)上記(8)〜(10)のいずれか一項に記載の積層光学フィルムを有する位相差補償板。
本発明によれば、特定の化合物を含む光硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化フィルム、および、硬化フィルムの層を有するとともに、波長によるリターデーションの変化が小さく、または低波長におけるリターデーションが小さくなる積層光学フィルムを得られる。このような積層光学フィルムは、液晶テレビに代表される薄型ディスプレイに特に有用である。
以下、本発明の積層光学フィルムについて詳細に説明する。
本発明の積層光学フィルムは、固有複屈折値が正の樹脂A、および固有複屈折値が負の樹脂Bを含む樹脂組成物により形成される基材フィルムと、光硬化性樹脂組成物の硬化フィルムとを積層させたものである。
光硬化性樹脂組成物としては、複屈折を発現しやすい芳香環を多く含む化合物を選択した。
<光硬化性樹脂組成物>
(A)ウレタン化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれる光硬化可能なウレタン化合物(A)は、下記式(I)の構造を有する。
Figure 0006896535
上記式(I)において、Rは、上記式(I)のNと結合した芳香環を有する炭素数6以上のアリール基である。Rは、例えば、炭素数が12以上、16以上、又は20以上のアリール基であっても良い。また、Rは1以上の置換基を有していても良く、Rの置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又はハロゲン等が挙げられる。
上記式(I)においてRは、1以上の炭素間二重結合を有する基であり、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルメトキシ基、及び(メタ)アクリロイルエトキシ基等である。
上記式(I)においてXは、O,NH,及びNRのいずれかであり、好ましくはOである。また、Rは、炭素数が6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は炭素数が10以下のアリール基であり、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6以上のアリール基等が挙げられる。
上記式(I)におけるnは、2以上の整数であり、例えば、3〜6のいずれかである。
ウレタン化合物(A)は、例えば、下記式(II)の構造を有する。
Figure 0006896535
上記式(II)において、R、及びXは上記(1)について規定する通りであり、pは5以下の整数、例えば、4、3、又は2である。
また、ウレタン化合物(A)は、例えば、下記式(III)の構造を有する。
Figure 0006896535
上記式(III)中、R、及びnは上記(1)について規定する通りであり、Rは水素、またはメチル基である。そして式(III)のmは、1以上の整数であり、例えば2〜3である。
上述のウレタン化合物(A)は、1分子中に平均2以上のイソシアネート基有する芳香族イソシアネートと、イソシアネート基と反応可能な官能基と不飽和結合を有する化合物との反応により得られる。
−イソシアネート−
1分子中に平均2以上のイソシアネート基と芳香環を有するイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,2’− または2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、あるいはこれらの混合物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:ポリメリックMDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、あるいはこれらの混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等が挙げられる。
これらの選択肢のうちでも、イソシアネート化合物としてポリメリックMDIが好ましい。イソシアネート化合物としてポリメリックMDIを用いて製造された光硬化性樹脂組成物は、上記式(II)の構造を有する。
また、これらイソシアネート化合物のウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体も使用できる。
また、本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて芳香族イソシアネート以外のイソシアネートや1官能の芳香族イソシアネートも添加してかまわない。例えば、芳香環を含まないイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、m−またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、あるいはこれらの混合物、m−またはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、あるいはこれらの混合物、核水添されたキシリレンジイソシアネート、核水添されたジフェニルメタンジイソシアネート、核水添されたポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェニルイソシアネート、n−ブチルモノイソシアネート等が挙げられ、また、単官能の芳香族イソシアネート化合物としてフェニルイソシアネート、アルキル置換フェニルイソシアネート等が挙げられる。
−イソシアネート基と反応可能な官能基を有する不飽和化合物−
イソシアネート基と反応可能な官能基として、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基などが挙げられる。これらの官能基のうち、イソシアネートとの反応の制御の容易さや光硬化後の硬化フィルムの性能から水酸基であることが好ましい。
水酸基と不飽和結合を有する化合物としては、モノ、またはポリエチレングリコールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、モノ、またはポリプロピレングリコールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、アルキレンジオールのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールのモノモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、エチレノキサイド変性ビスフェノールAモノアクリレートのモノアクリレート、モノメタクリレートやモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、グリセリンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ペンタエリスリトールの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル、ジペンタエリスリトールの部分アクリル酸エステル、部分メタクリル酸エステルや部分ビニルエーテル等が挙げられる。
この中でエチレングリコールのモノアクリレート、メタクリレートであることが好ましい。
−ウレタン化合物(A)の製造法−
光硬化性樹脂組成物に含まれるウレタン化合物(A)は、ポリウレタンを製造する公知のウレタン化反応で製造できる。すなわち、ウレタン化合物(A)は、上述のイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートに対する、上述の不飽和化合物によるウレタン化反応によって製造可能である。
(B)1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環を有する化合物(不飽和基含有芳香族化合物)
光硬化性樹脂組成物に含まれる1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環を有する化合物(不飽和基含有芳香族化合物(B))としては前記ウレタン化合物(A)以外の化合物であり、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、o−ジフェニルメタクリレート、o−ジフェニルアクリレート、p−ジフェニルメタクリレート、p−ジフェニルアクリレート、1−ナフチルメタクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、トリフェニルメチルメタクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、ジフェニルメチルメタクリレート、ジフェニルメチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシリレングリコールジアクリレート、アリルオキシジナフトチオフェン、スチレン、アルキル置換スチレン、α−アルキルスチレン等が挙げられる。また、芳香環にアルキル基やヘテロ原子を含むアルキル基で置換されていてもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和基含有芳香族化合物(B)の中で、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートが好ましい。さらにこの中でベンジルアクリレートであることがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、ウレタン化合物(A)と不飽和基含有芳香族化合物(B)とを、質量比で1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは7:3〜3:7の割合で含む。光硬化性樹脂組成物は、ウレタン化合物(A)と不飽和基含有芳香族化合物(B)とを同量(質量比)、含んでいても良い。
また、光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果に影響しない範囲でウレタン化合物(A)、及び不飽和基含有芳香族化合物(B)以外の光硬化性の不飽和結合を有する化合物を含んでもよい。例えば、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、N−アルキル基を有するマレイミドなどが挙げられる。光硬化性樹脂組成物は、ウレタン化合物(A)、及び不飽和基含有芳香族化合物(B)以外の成分を、例えば10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、まで含む。
(C)光重合開始剤
本発明の硬化性樹脂組成物においては、紫外線による硬化を容易にするために、光重合開始剤(C)を用いることが好ましい。
光重合開始剤(C)としては、発明の効果を奏する限りにおいて種類は限定されない。例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ウレタン化合物(A)、および不飽和基含有芳香族化合物(B)の主成分の混合物100質量部に対して、光重合開始剤(C)の配合質量は、例えば1〜10質量%の範囲であり、好ましくは、1〜7質量%、より好ましくは3〜7質量部である。この範囲より光重合開始剤(C)が多いと硬化の際にクラックが発生しやすくなる。またこの範囲より光重合開始剤(C)が少ないと硬化が不十分となり得る。
<硬化フィルム>
本発明の硬化フィルムは、上述の硬化性樹脂組成物に対して活性エネルギー線(紫外線、電子線等)を照射し、硬化させることによって作製される。
活性エネルギー線が紫外線の場合は、活性エネルギー線供給源として、例えば、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等を用いることができる。
紫外線の照射エネルギーとしては、100〜2,000mJ/cmであることが好ましく、500〜1,000mJ/cmであることがより好ましい。
また、活性エネルギー線が電子線の場合は、活性エネルギー線供給源として例えばスキャン式電子線照射法、カーテン式電子線照射法等を用いることができる。
電子線の照射エネルギーとしては、10〜200kGyであることが好ましく、50〜100kGyであることがより好ましい。
硬化フィルムは、詳細を後述するように、例えば5〜200μmの厚さを有しており、積層光学フィルムにおけるネガティブCプレート等としても機能する。
<積層光学フィルム>
本発明の積層光学フィルムは、硬化フィルムと、詳細を後述する基材フィルムとを含む積層体である。積層光学フィルムは、例えば上述のようにネガティブCプレートとして機能する硬化フィルムを含む。積層光学フィルムの各層の機能、および性状については後述する。
<基材フィルム>
積層光学フィルムにおいて硬化フィルムと積層される基材フィルムは、主として樹脂組成物を含む。このように、基材フィルムの主な成分である樹脂組成物は、固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含む。
基材フィルムに用いられる固有複屈折値が正の樹脂Aとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリフェニレンサルファイドなどのポリアリーレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリルサルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、棒状液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂などのポリアリーレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらは、一種単独で、または二種以上を組合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でも、位相差発現性の観点からポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂、及びポリフェニレンエーテル樹脂が好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂が特に好ましい。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル樹脂としては、次に示す一般式[1]を繰り返し単位とし、構成単位が一般式[1]の[a]及び[b]からなる単独重合体、あるいはこれらの構成単位を含む共重合体が使用できる。
Figure 0006896535
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して、炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5、R6は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、あるいは2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、あるいは2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を含む。
特に、ポリスチレン樹脂と相溶性が高いポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが最も好ましく用いられる。
基材フィルムに用いられる固有複屈折値が負の樹脂Bとしては、スチレン系樹脂が挙げられる。スチレン系樹脂とは、少なくともスチレン系単量体を単量体成分として含む重合体をいう。ここで、スチレン系単量体とは、その構造中にスチレン骨格を有する単量体をいう。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレンの他に、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレンなどのビニル芳香族化合物単量体などが挙げられる。固有複屈折値が負の樹脂Bとしては、置換基を有しないスチレンの単独重合体が好ましい。
また、スチレン系樹脂は、スチレン系単量体成分に他の単量体成分を共重合したものであってもよい。共重合可能な単量体としては、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸、イタコン酸、エチルマレイン酸、メチルイタコン酸、クロルマレイン酸などの無水物である不飽和ジカルボン酸無水物単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエンなどが挙げられ、これらの2種以上を共重合してもよい。
このような他の単量体成分の共重合割合は、スチレン系単量体成分に対して、50質量%以下であることが好ましい。
スチレン系樹脂として、組成、分子量など異なる複数種類のスチレン系樹脂を併用することもできる。
スチレン系樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化または溶液重合方法により得ることができる。
本発明において、樹脂組成物における樹脂Aと樹脂Bの混合比(質量比)は、混合する樹脂の波長分散特性に応じて適宜選択すればよいが、樹脂A/樹脂B=1/9〜3/7であることが好ましく、樹脂A/樹脂B=2/8〜2.5/7.5であることがより好ましい。
なお、樹脂Aにポリフェニレンエーテルを用いる場合、市販品として、ポリフェニレンエーテル系樹脂に少量のポリスチレン系樹脂が配合されている変性ポリフェニレンエーテル系樹脂があるが、所望の配合比率でない場合、別途ポリスチレン系樹脂を配合して前記配合割合になるように調整してもよい。
基材フィルムに用いられる樹脂組成物は、その荷重たわみ温度Tsが、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上であり、特に好ましくは100℃以上である。荷重たわみ温度を上記範囲内とすることにより、配向緩和を低減でき、後述する延伸による製造方法により、本発明で用いられる第一の光学フィルムを容易に得ることができる。また、温度Tsにおける樹脂組成物Pの破断伸度は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。破断伸度がこの範囲にある樹脂組成物であれば、延伸により安定的に位相差フィルムを作製できる。破断伸度は、JIS K 7127記載の試験片タイプ1Bの試験片を用いて、引っ張り速度100mm/分によって求めることができる。
<添加剤>
基材フィルムを形成する樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を添加することができる。添加する添加剤は、特に限定されず、例えば、滑剤;層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;可塑剤:染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤;などを挙げることができる。添加剤の量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜定めることができる。添加剤としては、可撓性や耐候性を向上させることができる点で、滑剤や紫外線吸収剤を添加することが好ましい。添加剤の添加量は、例えば得られる基材フィルムの全光線透過率を85%以上に、およびヘーズを0.2%程度に維持できる範囲とすることができる。
基材フィルムを形成する樹脂組成物に添加する滑剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなどの無機粒子;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどの有機粒子が挙げられる。本発明では、滑剤としては有機粒子が好ましい。
基材フィルムを形成する樹脂組成物に添加する紫外線吸収剤としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。好適な紫外線吸収剤としては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが挙げられ、特に好適なものとしては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールが挙げられる。
さらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
本発明で用いられる基材フィルムは、光学フィルムに適する観点から、その全光線透過率が85%以上であり、ヘーズが0.2%程度を超えないことが好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7361に準拠して、村上色彩研究所製ヘーズメーターHM150を用いて測定した値である。基材フィルムの全光線透過率は、好ましくは87%以上であり、より好ましくは90%以上である。また、基材フィルムのヘーズは、好ましくは0.15%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。
本発明で用いられる基材フィルムは、樹脂組成物からなる延伸前フィルムを得た後に延伸したフィルム(延伸フィルム)であることが好ましい。延伸前の基材フィルムの総厚は、好ましくは10〜800μmであり、より好ましくは50〜600μmである。延伸前の第一のフィルムの総厚を10μm以上とすることにより、十分な位相差及び機械的強度を得ることができ、800μm以下とすることにより、柔軟性及びハンドリング性を良好なものとすることができる。
そして、積層体を構成する際の基材フィルムの厚さ、すなわち延伸後の基材フィルムの厚さは、60〜100μmであることが好ましく、70〜90μmであることがより好ましく、75〜85μmであることが特に好ましい。
なお、上述の延伸前フィルムの調製方法としては、押出Tダイ法、押出インフレーション法等の押出成形法などの公知の方法が挙げられる。
本発明で用いられる基材フィルムは、上記構成の延伸前フィルムを1または2回以上延伸処理することにより得ることができる。すなわち、上記構成の延伸前フィルムを延伸処理すると、位相差が発現する。そして、樹脂Aよりも樹脂Bが多く含まれるように混合することにより、400〜700nmの全範囲において、屈折率に関して樹脂Aよりも樹脂Bの影響が大きく現れることから、フィルムの厚み方向の屈折率nzの値が、面内の屈折率nx及びnyの値の平均値よりも大きくなり、基材フィルムの厚み方向のリターデーションRthは負の値となる。また、このように、長波長側に向かうにつれて、樹脂Bの影響が大きくなるように調整することにより、逆波長分散性の光学フィルムを得ることができる。延伸処理の操作としては、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法(縦一軸延伸)や、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法(横一軸延伸)、縦一軸延伸と横一軸延伸とを順に行う方法(逐次二軸延伸)等とすることができる。
<積層光学フィルムの製造方法>
積層体である本発明の積層光学フィルムは、基材フィルムに前記硬化性樹脂組成物を直接塗布し、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化することによって作製できる。また、基材フィルム以外のシート、フィルムなどに塗布し、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化し、剥離した後、基材フィルムに積層することで作製できる。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート方式、リバースコート方式、ダイコート方式、バーコーター方式、リップコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式、インクジェット方式等が挙げられる。
<積層光学フィルムの各層の機能・性状>
本発明の積層光学フィルムにおいては、硬化性樹脂組成物を硬化して得られた硬化フィルム層が積層されており、硬化フィルムの厚みは5〜200μmであり、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜50μmである。これより薄いと表面硬度が発現しにくくなり、これより厚いとクラック発生の抑制が難しくなる。
本発明の硬化フィルムはネガティブCプレートとして好適に用いることができる。
本願明細書において、Nx≒Ny>Nz、またはNx≒Ny<Nzの屈折率をもつフィルムをCプレートという。Cプレートの平面は光学的に均一なため、正面からの偏光は変化しない。
ポジティブCプレートとは、フィルムの面方向で最も屈折率が大きい方向の屈折率(Nx)、フィルムの面方向でNx方向の垂直方向の屈折率(Ny)、厚さ方向の屈折率(Nz)がNx≒Ny<Nzの関係を満たすものを意味する。
ネガティブCプレートとは、フィルムの面方向で最も屈折率が大きい方向の屈折率(Nx)、フィルムの面方向でNx方向の垂直方向の屈折率(Ny)、厚さ方向の屈折率(Nz)がNx≒Ny>Nzの関係を満たすものを意味する。
ネガティブCプレートとして用いられる硬化フィルムは、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthの値が、好ましくは+30nm以上であり、より好ましくは35nm以上であり、さらに好ましくは40nm以上である。
一方、上記Cプレートの面内の位相差値Reは、本発明の作用効果を得られる範囲であれば必ずしも0nmである必要はなく、10nm(より好適には5nm)以下、さらに実質的に0nmであることが好ましい。10nmを超えると、正面コントラストが低下することがある。
積層光学フィルムにおいては、450nm、550nm、および650nmの面内リターデーションの値をそれぞれRe450、Re550、およびRe650とすると、Re450<Re550<Re650の関係を満たすことが好ましい。
また、積層光学フィルムにおいては、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthの値が、−30nm以上であり80nm以下、好ましくは−25nm以上であり60nm以下、より好ましくは−20nm以上であり40nm以下、特に好ましくは−18nm以上であり20nm以下である。
このように、ネガティブCプレートとしての硬化フィルムと基材フィルムとが積層された本発明の積層光学フィルムは、位相差補償板として好適に用いられる。また、積層光学フィルムにおいて、硬化フィルムと基材フィルムとをそれぞれ複数、積層させることも可能である。
<リターデーションの測定>
面内リターデーションReおよび厚み方向リターデーションRthの測定には大塚電子株式会社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS100用いることができる。具体的には、以下の通り、下記式(1)〜(4)により算出される。すなわち、
Figure 0006896535
Re(0)=(nx−ny)×d…式(2)、および
N=(nx+ny+nz)/3 …式(3)
の3式の連立方程式(ただし、式中、Re(0)はフィルム法線方向入射の時のリターデーション(nm)、dはフィルム厚み(nm)、Nは平均屈折率)より、算出したRe(θ)と実測したRe(θ)が一致するnx,ny,nzを算出し、さらに、下記式(4)から、Rth(nm)が算出される。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d…式(4)
<光学特性の測定>
作製した光学フィルムのフィルム面の法線方向を0°とし、測定機(大塚電子株式会社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS100)を用いて、所定の波長の光を0°から入射して、入射光の位相差値を測定した。その後、進相軸および遅相軸を中心にして、5°刻みでサンプルを傾斜させて、−50°から50°の範囲で位相差値を測定した。得られた面内の位相差値R0、遅相軸を傾斜軸として傾斜させて測定した位相差値Rθ、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0を1.59と仮定した値を用い、数値計算により、面内方向の屈折率nx、nxとは垂直方向の面内の屈折率ny、及び垂直方向の屈折率nzの値をそれぞれ求めた。
<色味の評価>
作製した光学フィルムを鏡面金属板上に置き、その上に当該光学フィルムの光軸に対して45°の角度に偏光軸を合わせて偏光板を設置して、正面及び極角45°から蛍光灯を映しこんだときの反射光を観察した。正面と比較して、極角45°の色味を比較し、色味の差が少ない場合に良好とした。
製造例1
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート及び乾燥空気導入管を備えた5つ口フラスコに、予め乾燥空気を流入させて系内を乾燥させた後、ポリメリックMDI(BASF製ルプラネートM20S、イソシアネート 135.55g/eq)210質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 188.9質量部、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.16質量部、重合禁止剤ジブチルヒドロキシトルエンを0.16質量部、溶剤としてMEK 44.32質量部を投入し、60℃に加温した。その後、発熱後の温度が80〜90℃になるよう冷却した。反応物中のイソシアネート残基が消費されたことを赤外線吸収スペクトルで確認し、ウレタンアクリレートの2−ブタノン溶液 443.54 質量部(固形分濃度 80%)を得た。
実施例1〜12
製造例1で得られたウレタンアクリレート(ウレタン化合物(A))と、下記表1に示すアクリレート(不飽和基含有芳香族化合物(B))とを配合した樹脂組成物に、さらに、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスホキシドが固形分の5質量%となるように配合し、レべリング剤BYK−342が塗料量の0.2%となるように配合した。また、粘度調整のためにMEK(メチルエチルケトン)を適宜加え、光硬化性組成物を得た。
厚さ188μmの離型処理がなされたポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、前記で得た光硬化性組成物をバーコーターで膜厚30μmの硬化フィルムが得られるよう塗装し、60℃で2分間乾燥させた。続いて、高圧水銀ランプで積算光量が150mJ/cmになるようにUVを当て、硬化させた。PETシートから膜厚30μmの硬化フィルムを剥離し、Rthを測定した。その結果、表1に示すように、波長550nmにおけるRthがいずれも+30nm以上であり、面内リターデーションが実質0nmの硬化フィルムが得られた。
実施例13〜24
続いて、正の複屈折材料として三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)商品名:PX100Lを28質量部と、PSジャパン株式会社製汎用ポリスチレン(GPPS)商品名:HH105を72質量部の計100質量部を混合し、Tダイを備えたフィルム試作装置を用いて290℃設定にて138〜230μm厚のフィルムを作製した。作製したフィルムを125℃に加熱して2.3倍にて一軸延伸し膜厚60〜100μmの基材フィルムを得た。先ほどの硬化フィルムを基材フィルムに接着剤を用いて積層し、積層フィルムを得た。これらの積層フィルムの450nm、550nm、650nmの面内リターデーションRe450、Re550、Re650を測定した。
その結果、表2に示すようにRe450<Re550<Re650の関係を満たし、波長550nmにおける厚み方向リターデーションRthが−30nm以上であり80nm以下である、積層光学フィルムが製造された。
Figure 0006896535
Figure 0006896535
比較例1
メタキシレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。反応液を室温まで冷却したところ結晶が析出したため、硬化フィルム作成に使用できなかった。
比較例2
核水添メタキシレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。反応液を室温まで冷却したところ結晶が析出したため、硬化フィルム作成に使用できなかった。
比較例3
イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、波長550nmにおけるRthを測定したところ、9nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、積層体のRthは−44nmで、色味は不良であった。
比較例4
核水添されたジフェニルメタンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、12nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−41nmで、色味は不良であった。
比較例5
ヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、7nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−46nmで、色味は不良であった。
比較例6
ノルボロネンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いて、製造例1と同様の方法でウレタンアクリレート化合物を製造した。実施例1と同様な方法で、膜厚30μmの硬化フィルムを作製し、Rthを測定したところ、8nmであった。実施例13と同様に積層体を作製したところ、波長550nmにおける積層体のRthは−45nmで、色味は不良であった。

Claims (15)

  1. 下記式(I)の構造を有する光硬化可能なウレタン化合物(A)と、
    Figure 0006896535
    (式(I)中、Rは1以上の置換基を有していても良く、Nと結合した芳香環を有する炭素数6以上のアリール基であり、Rは1以上の炭素間二重結合を有する基であり、Xは、O,NH,及びNR(但しRは炭素数が6以下の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は炭素数が10以下のアリール基である)のいずれかであり、nは2以上の整数である)
    1分子中に光硬化性の不飽和結合と芳香環とを有する化合物(B)を含有する光硬化性樹脂組成物であって、
    厚み30μmの硬化フィルムとしたときの波長550nmにおけるRthが+30nm以上であり、
    積層光学フィルムにおけるネガティブCプレートのための光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ウレタン化合物(A)が、下記式(II)の構造を有する、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006896535
    (式(II)において、R、及びXは請求項1にて規定する通りであり、pは5以下の整数である。)
  3. 前記ウレタン化合物(A)が、下記式(III)の構造を有する、請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006896535
    (式(III)中、R、及びnは請求項1にて規定する通りであり、Rは水素、またはメチル基であり、mは1以上の整数である。)
  4. 前記化合物(B)が、ベンジルアクリレート、ポリエチレングリコールモノビフェニルエーテルモノアクリレート、キシレングリコールジアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される1種類以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ウレタン化合物(A)と前記化合物(B)とを質量比で1:9〜9:1の割合で含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ウレタン化合物(A)及び前記化合物(B)以外の成分を10質量%以下まで含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化した硬化フィルム。
  8. 厚みが5〜200μmである、請求項に記載の硬化フィルム。
  9. 請求項またはに記載の硬化フィルムを有するネガティブCプレート。
  10. 固有複屈折値が正の樹脂Aと、固有複屈折値が負の樹脂Bとを含有する樹脂組成物を含む基材フィルムと、請求項またはに記載の硬化フィルムとが積層された、波長550nmにおけるRthが−30〜+80nmである積層光学フィルム。
  11. 前記積層光学フィルムにおける、450nm、550nm、650nmの波長の面内リターデーションの値をそれぞれRe450、Re550、Re650としたときに、Re450<Re550<Re650の関係を満たす、請求項10に記載の積層光学フィルム。
  12. 前記基材フィルム層の厚さが60〜100μmである、請求項10または11に記載の積層光学フィルム。
  13. 前記樹脂Aが、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂のいずれかを含み、前記樹脂Bがスチレン系樹脂を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の積層光学フィルム。
  14. 前記樹脂Aと前記樹脂Bの混合比(質量比)が、樹脂A/樹脂B=1/9〜3/7である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の積層光学フィルム。
  15. 請求項1014のいずれか一項に記載の積層光学フィルムを有する位相差補償板。
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