JPWO2011111272A1 - カルダノール変性シランカップリング剤、カルダノール変性フィラー、およびセルロース系樹脂組成物 - Google Patents

カルダノール変性シランカップリング剤、カルダノール変性フィラー、およびセルロース系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

本実施形態は、表面処理剤や樹脂添加剤等として使用した際、フィラーとセルロース系樹脂の界面の密着性を向上させ、強度と靭性を向上できるカルダノール変性シランカップリング剤、それにより表面処理されたカルダノール変性フィラー、および靭性に優れるセルロース系樹脂組成物を提供する。具体的には、カルダノールまたはその誘導体と、エポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤とを反応させて得られるカルダノール変性シランカップリング剤を提供する。上記カルダノール変性シランカップリング剤により、フィラーを表面処理したカルダノール変性フィラーを提供する。上記カルダノール変性フィラーと、セルロース系樹脂とを含むセルロース系樹脂組成物を提供する。上記カルダノール変性シランカップリング剤と、フィラーと、セルロース系樹脂とを含むセルロース系樹脂組成物を提供する。

Description

本発明に係る実施形態は、カルダノール変性シランカップリング剤、それにより表面処理されたカルダノール変性フィラー、および、靭性に優れるセルロース系樹脂組成物に関する。
植物を原料とするバイオプラスチックは、石油枯渇や温暖化への対策に寄与できるため、重要となっている。さらに、将来の食料不足への懸念から、非可食部の植物原料を使った新しいバイオプラスチックの開発が必要となっている。
非可食部利用のバイオプラスチックとしては、すでに、非可食部の主要成分であるセルロースに、酢酸、硝酸等の酸や、ブチルアルコール等のアルコールなどの石油系改質剤を化学結合させ、さらに必要に応じて可塑剤等を添加したプラスチックが開発され、製品化されている。例えば、特許文献1には、水酸基を有するセルロースアセテートにε−カプロラクトンを開環グラフト重合させてなる、熱可塑性を有する生分解性グラフト重合体が開示されている。
しかし、セルロース系のバイオプラスチックは、従来の石油系のプラスチックと比べ、強度、剛性、靭性などの機械的特性が不十分であることから、電子機器や自動車等の耐久製品への利用は未だ進んでいない。これらの製品への利用を拡大するために、機械的特性を一層向上させることが求められている。
このようなバイオプラスチックの機械的特性を改善する手段としては、粒子状、板状または繊維状のフィラーを添加し、さらにシランカップリング剤などを用いてフィラーと樹脂との界面の密着性を向上させる方法が有効である。上記耐久製品用途では、主に無機フィラーに対するエポキシ系またはアミノ系シランカップリング剤は効果があり、長年使用されてきている。また、ナノサイズのフィラーを添加してナノコンポジットを形成する方法も有効であり、通常サイズのフィラーと比べて添加量を大幅に低下できるという特徴がある。
一方、セルロース以外の非可食部成分を利用した材料の開発も行われている。例えば、カシューナッツの殻由来のカルダノールは、安定した生産量に加え、特徴的な分子構造から機能性にも優れているため、様々な用途に適用されている。
カルダノールを利用した例として、特許文献2には、アラミドパルプとセルロース繊維からなる繊維基材、炭酸カルシウムとカシューダストからなる充填材、およびフェノール樹脂からなる結合材を用いて形成されたブレーキ用の摩擦材が開示されている。また、特許文献3には、アラミド繊維とセルロース繊維からなるベース基材、グラファイトとカシューダストからなる充填材、および有機無機複合バインダを用いて形成された摩擦材が開示されている。この摩擦材は、自動車等の動力伝達系のクラッチフェーシングに適用されることが記載されている。
非特許文献1には、紙シートをカルダノールに浸し、この紙シートを構成するセルロースにカルダノールを結合するグラフト化反応を行うことによって、紙の耐水性を向上できることが記載されている。このグラフト化反応においては、ボロントリフルオリドジエチルエーテル(BF−OEt)の存在下で、カルダノールの末端二重結合とセルロースの水酸基が結合することが記載されている。
非特許文献2には、カルダノールとトリレンジイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート化合物をサイザル繊維の表面に結合させることにより、ポリエチレン樹脂の引張強度が向上することが記載されている。
特開平11−255801号公報 特開平10−8035号公報 特開2001−32869号公報
George John et al., Polymer Bulletin, 22, p.89−94(1989) Joseph Kuruvilla et al., Polymer, 37, p.5139−5149(1996)
セルロース系バイオプラスチックに、従来のシランカップリング剤で表面処理されたフィラーを添加すると、強度や剛性は向上するが不十分であり、さらに靭性が低下する問題が生じる。また、非特許文献2に記載の、カルダノールとジイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート化合物は、サイザル繊維などセルロース系のフィラー表面へ結合させることはできるが、より剛性が高く微細分散が可能な無機フィラーの表面へは十分に結合させることができず、その効果も不十分である。このため、特に電子機器用外装などの耐久製品に適用するためには、これらの特性の一層の改善が必要である。
本発明に係る実施形態は、表面処理剤や樹脂添加剤等として使用した際、フィラーとセルロース系樹脂の界面の密着性を向上させ、強度と靭性を向上できるカルダノール変性シランカップリング剤、それにより表面処理されたカルダノール変性フィラー、および靭性に優れるセルロース系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、カルダノールまたはその誘導体(A)と、エポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤(B)とを反応させて得られたカルダノール変性シランカップリング剤(C)をフィラーの表面処理剤または樹脂添加剤として用いた場合、フィラーとセルロース系樹脂の密着性を向上させて強度を向上させるとともに、カルダノールまたはその誘導体の柔軟な直鎖状炭化水素部分の相互作用によって靭性も向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係る第一の態様によれば、カルダノールまたはその誘導体(A)と、エポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤(B)とを反応させて得られるカルダノール変性シランカップリング剤(C)が提供される。
本発明に係る第二の態様によれば、上記カルダノール変性シランカップリング剤(C)により、フィラー(D0)を表面処理したカルダノール変性フィラー(D)が提供される。
本発明に係る第三の態様によれば、上記カルダノール変性フィラー(D)と、セルロース系樹脂(E0)を含むセルロース系樹脂組成物が提供される。
本発明に係る第四の態様によれば、上記カルダノール変性シランカップリング剤(C)と、フィラー(D0)と、セルロース系樹脂(E0)とを含むセルロース系樹脂組成物が提供される。
本発明に係る実施形態によれば、表面処理剤や樹脂添加剤等として使用した際、フィラーとセルロース系樹脂の界面の密着性を向上させ、強度と靭性を向上できるカルダノール変性シランカップリング剤、それにより表面処理されたカルダノール変性フィラー、および靭性に優れるセルロース系樹脂組成物を提供することができる。
1.カルダノール変性シランカップリング剤(C)
本実施形態に係るカルダノール変性シランカップリング剤(C)は、カルダノールまたはその誘導体(A)(以下、「(A)成分」とも言う。)と、エポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤(B)(以下、「(B)成分」とも言う。)とを反応させて得られるものである。この反応によって(A)成分と(B)成分が結合し、フィラー表面との反応性に優れるアルコキシシリル基と、樹脂との親和性に優れる柔軟かつ疎水的なカルダノールの分子構造をともに有する化合物を含有する組成物が得られる。
カルダノールは、カシューナッツの殻に含まれる成分であり、下記式(A1)で示されるように、フェノール部分と直鎖状炭化水素部分からなる有機化合物である。カルダノールの直鎖状炭化水素部分は4種類存在し、カルダノールはその4成分からなる混合物である。(A)成分としては、カシューナット殻液から抽出および精製して得られたカルダノール成分を用いることができる。また、(A)成分として、カルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合が水素添加され飽和結合に変換された、水添カルダノールを用いることもできる。
Figure 2011111272
エポキシシランカップリング剤は、1分子当たりエポキシ基を1個以上含有するシランカップリング剤である。エポキシシランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。中でも、下記式(B1)で示されるシラン化合物が好ましい。
Figure 2011111272
イソシアネートシランカップリング剤は、1分子当たりイソシアネート基を1個以上含有するシランカップリング剤である。イソシアネートシランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。中でも、下記式(B2)で示されるシラン化合物が好ましい。
Figure 2011111272
(B)成分となるエポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分と(B)成分との反応では、(A)成分が有するフェノール性水酸基が、(B)成分となるエポキシシランカップリング剤のエポキシ基またはイソシアネートシランカップリング剤のイソシアネート基とが結合する。この反応は、60〜120℃の温度に加熱した(A)成分に、0.9〜1.5当量の(B)成分および触媒を添加することで行うことができ、その反応時間は例えば30分〜2時間程度で十分である。反応温度を60℃以上とすることで、(A)成分が溶融して反応系を均一にすることが容易になる。反応温度を120℃以下とすることで、(B)成分が揮発しにくくなり、定量的な反応が進行し易くなる。また、(B)成分の添加量を0.9当量以上とすることで、未反応の(A)成分体の残存量が減少し、樹脂に添加した際の物性の低下を抑制することができる。(B)成分の添加量を1.5当量以下とすることで、過剰の(B)成分同士の反応によるゲル化を抑制することができる。
触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基の反応、またはイソシアネート基とフェノール性水酸基の反応の触媒や促進剤として一般的に用いられているものを使用することができる。エポキシ基とフェノール性水酸基の反応に用いられる触媒としては、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。中でも、触媒能の高さや取り扱いの容易さから、リン系化合物またはイミダゾールが好ましく、トリフェニルフォスフィンまたは2−エチル−4−メチルイミダゾールがより好ましい。イソシアネート基とフェノール性水酸基の反応に用いられる触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の第3級アミン類、ジブチルジラウリルすず、オクチル酸すずの有機酸すず化合物が挙げられる。中でも、触媒能の高さや取り扱いの容易さから、有機酸すず化合物が好ましく、ジブチルジラウリルすずがより好ましい。
触媒の添加量は、(A)成分に対して0.01〜2mol%程度とすることが好ましい。触媒の添加量を0.01mol%以上とすることで、反応時間を短くすることができ、生産効率が向上する。触媒の添加量を2mol%以下とすることで、(B)成分同士の反応によるゲル化を抑制することができる。これらの触媒は、少量のクロロホルム、ヘキサン、トルエン、ジオキサン等の有機溶剤に溶解して添加してもよい。
この反応を行うにあたり、特に溶媒を必要としないが、クロロホルム、トルエン、ジオキサン等の有機溶剤を溶媒として用いてもよい。ただし、この反応は水を嫌うので、水が混入しないように、乾燥した窒素やアルゴン等の水分を含まない気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
この反応により得られるカルダノール変性シランカップリング剤(C)は、例えば、(A)成分としてカルダノールを用い、(B)成分として上記の式(B1)または(B2)で示されるシラン化合物を用いた場合、下記式(C1)または(C2)で表されるカルダノール変性アルコキシシラン化合物を主成分とし、その他、そのカルダノール変性アルコキシシラン化合物の分子間縮合物や分子内縮合物を含む混合物の状態である。この混合物に含まれる各化合物は、溶解度の差を利用する方法、カラムクロマトグラフィー法等の既知の方法により精製し、単離することができる。なお、各化合物を必ずしも単離する必要はなく、混合物のまま用いることが簡便で好ましい。
Figure 2011111272
Figure 2011111272
2.カルダノール変性フィラー(D)
本実施形態に係るカルダノール変性フィラー(D)は、上記カルダノール変性シランカップリング剤(C)によりフィラー(D0)を表面処理したものである。この表面処理により、カルダノール変性シランカップリング剤(C)に含まれる化合物がフィラー(D0)の表面に結合したカルダノール変性フィラー(D)となる。このように、カルダノール変性シランカップリング剤(C)によりフィラー(D0)を表面処理することによって、フィラー(D0)表面の疎水性が高まり、マトリックス樹脂との密着性が向上するので、強度と靭性を改善できるカルダノール変性フィラー(D)が得られる。
フィラー(D0)の種類は、特に制限されるものではないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ、カーボンブラック、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどの粒子状フィラー;タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、ウオラストナイト、ドロマイト、ドーソナイト、グラファイトなどの板状フィラー;ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、金属繊維などの繊維状フィラー;ナノシリカ、ナノクレー、カーボンナノチューブ、貴金属ナノ粒子、酸化インジウムナノ粒子、炭酸カルシウムナノ粒子などのナノフィラー;などが挙げられる。中でも、強度の向上の面から、繊維状フィラーまたはナノフィラーが好ましく、カルダノール変性シランカップリング剤(C)が有するアルコキシ基との反応性が高いガラス繊維またはナノシリカがより好ましい。フィラー(D0)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルダノール変性シランカップリング剤(C)によりフィラー(D0)を表面処理する際、カルダノール変性シランカップリング剤(C)を溶剤で希釈し、この希釈液にフィラー(D0)を浸漬させたり、スプレーにより噴霧してフィラー(D0)に付着させたりすることが、取り扱い上簡便で好ましい。溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどを用いることができる。希釈液中のカルダノール変性シランカップリング剤(C)の濃度は、例えば、0.01〜20重量%とすることができる。また、この希釈液に2重量%程度の酢酸水溶液を加えると、カルダノール変性シランカップリング剤(C)の加水分解がより早く進行し、フィラー(D0)の表面に効率的に結合させることができる。また、カルダノール変性シランカップリング剤(C)を単独で用いてもよいが、2種以上のカルダノール変性シランカップリング剤(C)を併用してもよく、他の防錆剤やカップリング剤等と混合して用いてもよい。
カルダノール変性フィラー(D)に含まれるカルダノール変性シランカップリング剤(C)の割合は、マトリックス樹脂との十分な密着効果を得る観点から、0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜6.5重量%がより好ましい。カルダノール変性シランカップリング剤(C)の割合が少なすぎると、十分な密着効果が得られない場合がある。また、カルダノール変性シランカップリング剤(C)の割合が多すぎると、フィラーの表面と結合していないカルダノール変性シランカップリング剤(C)が多く存在するため、強度が低下する場合がある。
3.セルロース系樹脂組成物
本実施形態に係るセルロース系樹脂組成物は、上記カルダノール変性フィラー(D)と、セルロース系樹脂(E0)とを含むもの、または上記カルダノール変性シランカップリング剤(C)と、フィラー(D0)と、セルロース系樹脂(E0)とを含むものである。
セルロース系樹脂(E0)としては、セルロースまたはその誘導体(F)(以下、「(F)成分」とも言う。)をそのまま用いることができる。
セルロースは、下記式(F1)で示される構造を有するβ−グルコースの直鎖状重合物であり、各グルコース単位は三つの水酸基を有している。
Figure 2011111272
なお、セルロースは、草木類の主成分であり、草木類からリグニン等の他の成分を分離処理することによって得られる。セルロースとしては、このように得られたものの他、セルロース含有量の高い綿やパルプを精製してまたはそのまま用いることができる。
セルロース誘導体としては、セルロースの水酸基の一部をエステル化、エーテル化またはグラフト化したものが挙げられる。具体的には、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロース等の混成エステル;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のエーテル化セルロース等が挙げられる。また、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ε−カプロラクトン、ラクチド、グリコリドなどをグラフト化させたセルロースが挙げられる。セルロース誘導体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、セルロース誘導体の用語は、セルロース化合物、およびセルロースを原料として生物的または化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物のいずれも含む意味である。
(F)成分の重合度は、グルコース重合度として、50〜5000の範囲が好ましく、100〜3000がより好ましい。重合度が低すぎると、製造した樹脂の強度、耐熱性などが十分でない場合がある。逆に、重合度が高すぎると、製造した樹脂の溶融粘度が高くなりすぎて成形に支障をきたす場合がある。
(F)成分には、類似の構造のキチンやキトサンが混合されていてもよい。混合されている場合は、キチンとキトサンの合計の含有率は、混合物全体に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
セルロース系樹脂(E0)としては、(F)成分に、その水酸基を利用して、カルダノールまたはその誘導体(G)(以下、「(G)成分」とも言う。)をグラフト状に結合(以下、「グラフト化」とも言う。)させたセルロース系樹脂(E)を用いることもできる。なお、(F)成分にグラフト化させる(G)成分としては、上述の(A)成分として示したものを用いることができる。
このようなグラフト化したセルロース系樹脂(E)を用いることによって、セルロースまたはその誘導体の機械特性(特に靭性)および耐水性を改善し、良好な熱可塑性が付与され、さらに、カルダノール変性フィラー(D)との密着性を向上させることができる。加えて、(F)成分と(G)成分は、いずれも植物の非可食部であるため、非可食部の利用率を高めることができる。
グラフト化は、(F)成分中のセルロース水酸基と(G)成分中のフェノール性水酸基との脱水結合反応によって行うことができる。その際、硫酸、トルエンスルホン酸、塩化水素などの脱水触媒を添加することができる。この場合、(F)成分中のセルロース水酸基が結合しているセルロース炭素原子と、(G)成分中のフェノール性水酸基が結合しているカルダノール炭素原子とが、酸素原子を介して連結される。
また、グラフト化は、(F)成分中のセルロース水酸基および(G)成分中のフェノール性水酸基と反応できる多官能化合物を用いて行うことができる。この場合、(F)成分中のセルロース水酸基が結合しているセルロース炭素原子と、(G)成分中のフェノール性水酸基が結合しているカルダノール炭素原子とが、有機連結基を介して連結される。このようなグラフト化によれば、グラフト反応効率を向上することができ、また副反応を抑制することができる。
有機連結基は、炭化水素基を含むことが好ましく、この炭化水素基の炭素数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、また20以下が好ましく、14以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。炭素数が多すぎると、分子が大きくなりすぎて反応性が低下し、その結果、グラフト化率を上げることが困難となる場合がある。このような炭化水素基としては、2価の炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基などの2価の直鎖状脂肪族炭化水素基(特に直鎖状アルキレン基);シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環などの2価の脂環式炭化水素基;ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニレン基などの2価の芳香族炭化水素基;およびこれらの組み合わせからなる2価の炭化水素基が挙げられる。
多官能化合物が有する官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸ハライド基(特にカルボン酸クロライド基)、エポキシ基、イソシアネート基、ハロゲン基から選ばれる官能基が好ましい。中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ハロゲン基(特にクロライド基)が好ましい。(G)成分中のフェノール性水酸基と反応させる官能基としては、特に、カルボン酸無水物基、ハロゲン基(特にクロライド基)が好ましい。(F)成分中のセルロース水酸基と反応させる官能基としては、特にカルボン酸ハライド基(特にカルボン酸クロライド基)が好ましく、グラフト化前のカルボキシル基を酸ハライド化して形成することができる。
多官能化合物の具体例としては、ジカルボン酸、カルボン酸無水物、ジカルボン酸ハライド、モノクロロカルボン酸を挙げることができる。ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸が挙げられ、カルボン酸無水物としてはこれらのジカルボン酸の無水物が挙げられ、ジカルボン酸ハライドとしてはこれらのジカルボン酸の酸ハライドが挙げられる。モノクロロカルボン酸としては、モノクロロ酢酸、3−クロロプロピオン酸、3−フルオロプロピオン酸、4−クロロ酪酸、4−フルオロ酪酸、5−クロロ吉草酸、5−フルオロ吉草酸、6−クロロヘキサン酸、6−フルオロヘキサン酸、8−クロロオクタン酸、8−フルオロオクタン酸、12−クロロドデカン酸、12−フルオロドデカン酸、18−クロロステアリン酸、18−フルオロステアリン酸が挙げられる。
セルロース系樹脂(E)は、例えば、多官能化合物の官能基と(G)成分中のフェノール性水酸基を利用して、多官能化合物と(G)成分を結合させ、得られた成分の官能基(多官能化合物由来の官能基)と(F)成分中のセルロース水酸基を利用して、得られた成分と(F)成分を結合させることで製造することができる。
例えば、カルボン酸系の多官能化合物(ジカルボン酸、カルボン酸無水物またはモノクロロカルボン酸)を用いた場合、(G)成分中のフェノール性水酸基と多官能化合物の官能基(カルボキシル基、カルボン酸無水物基またはハロゲン基(特にクロライド基))とを反応させた後、残りの官能基(カルボキシル基)をカルボン酸ハライド基(特にカルボン酸クロライド基)に変換する。そして、このカルボン酸ハライド基と(F)成分中のセルロース水酸基とを反応させることで、セルロース系樹脂(E)を製造することができる。この場合、極めて効率的にグラフト化を行うことができる。
多官能化合物を用いたグラフト化の結果、(F)成分中のセルロース水酸基が結合しているセルロース炭素原子と多官能化合物の炭化水素基とは、例えば、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合、好ましくはエステル結合を介して結合され、(G)成分中のフェノール性水酸基が結合しているカルダノール炭素原子と多官能化合物の炭化水素基とは、例えば、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合、好ましくはエステル結合またはエーテル結合を介して結合される。
セルロース系樹脂(E)において、(G)成分中の直鎖状炭化水素部分の不飽和結合(二重結合)が水素添加されて、飽和結合に変換されることが好ましい。水素添加による不飽和結合の変換率(水添率)は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。水素添加後の(G)成分中の不飽和結合の残存率(カルダノールの1分子当たりの不飽和結合の数)は、0.2個/分子以下が好ましく、0.1個/分子以下がより好ましい。
直鎖状炭化水素部分に不飽和結合が多く含まれたままで(G)成分を(F)成分へグラフト化すると、副反応が起こりやすく、効率的にグラフト化が行われなかったり、グラフト化生成物の溶媒への溶解性が著しく低下したりする場合がある。水素添加を行って直鎖状炭化水素部分の不飽和結合が飽和結合に十分に変換された(G)成分をグラフト化すると、副反応が抑制され、効率的にグラフト化を行うことができ、またグラフト化生成物の溶媒への溶解性低下を抑えることができる。
(G)成分に水素添加する時期は、(G)成分と多官能化合物と反応させる前でもよく、(G)成分と多官能化合物を反応させた後で(F)成分へのグラフト化前でもよく、(F)成分へのグラフト化後でもよい。水素添加およびグラフト化の反応効率等の観点から、(F)成分へのグラフト化前が好ましく、(G)成分と多官能化合物と反応させる前がより好ましい。
セルロース樹脂(E)において、(F)成分に結合した(G)成分の割合(グラフト化率)は、(F)成分のグルコース単位あたりの(G)成分の付加数(置換度、以下「DSCD」)によって表される。DSCDは、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましい。DSCDが低すぎると、グラフト化による効果が十分に得られない場合がある。DSCDの最大値は、理論上「3」であるが、製造(グラフト化)のし易さの観点から、2.5以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。さらに、DSCDが1以下の場合であってもよく、十分な改善効果を得ることができる。DSCDが大きくなると、引張破断歪み(靱性)が高くなる一方で最大強度(引張強度、曲げ強度)が低下する傾向があるため、所望の特性に応じて適宜設定することが好ましい。
セルロース系樹脂(E)では、(F)成分に(G)成分をグラフト化するとともに、その他の反応性炭化水素化合物を(F)成分にグラフト化させてもよい。これにより、セルロース系樹脂(E)を所望の特性に改善することができる。反応性炭化水素化合物は、特に、(F)成分にグラフト化された(G)成分からなる立体構造の隙間部分を埋めるように配置された場合に特性改善に効果的である。
反応性炭化水素化合物は、(F)成分のセルロース水酸基と反応できる官能基を少なくとも一つもつ化合物であればよく、例えば、カルボキシル基を有する炭化水素化合物が挙げられる。具体的には、脂肪族モノカルボン酸、芳香族カルボン酸、脂環族モノカルボン酸等のモノカルボン酸が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸としては、直鎖状のまたは分岐した側鎖をもつ脂肪酸が挙げられる。
反応性炭化水素化合物は、炭素数が1〜32の範囲にあることが好ましく、1〜20の範囲にあることがより好ましい。炭素数が多すぎると、分子が大きくなりすぎて立体障害によって反応効率が低下し、その結果、グラフト化率を上げることが困難となる場合がある。反応性炭化水素化合物の炭化水素基が、芳香族炭化水素基や脂環式炭化水素基の場合、特に剛性や耐熱性の改善に有効であり、また、脂肪族炭化水素基の場合は特に靭性の改善に有効である。
反応性炭化水素化合物として用いられる脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、シクロヘキシル酢酸等の飽和脂肪酸;ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらはさらに置換基を有してもよい。
反応性炭化水素化合物として用いられる芳香族カルボン酸としては、安息香酸;トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基が導入されたもの;ビフェニルカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族カルボン酸;ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等の縮合環構造を有する芳香族カルボン酸;それらの誘導体を挙げることができる。
反応性炭化水素化合物として用いられる脂環族モノカルボン酸としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、それらの誘導体が挙げられる。
反応性炭化水素化合物の構造中に、有機シリコン化合物や有機フッ素化合物が付加されていると、耐水性などの一層の改善効果が得られる。
反応性炭化水素化合物中の反応性官能基は、カルボキシル基の他、カルボン酸ハライド基(特にカルボン酸クロライド基)、エポキシ基、イソシアネート基、ハロゲン基(特にクロライド基)が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基とカルボン酸ハライド基が好ましく、特にカルボン酸クロライド基が好ましい。カルボン酸ハライド基(特にカルボン酸クロライド基)としては、上記の各種カルボン酸のカルボキシル基が酸ハロゲン化された酸ハライド基(特に酸クロライド基)が挙げられる。
反応性炭化水素化合物は、(G)成分を(F)成分にグラフト化する工程においてグラフト化することができる。これにより均質にグラフト化することが可能になる。その際、これらを同時に添加してもよいが、(G)成分を(F)成分にグラフト化させた後に、反応性炭化水素化合物を添加してグラフト化させることにより、グラフト化反応効率を向上できる。
グラフト化処理は、(F)成分、(G)成分、および必要に応じて反応性炭化水素化合物を、これらを溶解できる溶媒中で、適切な温度で加熱することによって実施できる。セルロースは、通常の溶媒には溶解しにくいが、ジメチルスルホキシド−アミン系溶媒、ジメチルホルムアミド−クロラール−ピリジン系溶媒、ジメチルアセトアミド−リチウムクロライド系溶媒、イミダゾリウム系イオン液体などに溶解できる。通常の溶媒中でグラフト化反応を行う場合、あらかじめセルロース中のセルロース水酸基の一部にカルボン酸やアルコールを結合させ、分子間力を低下させることによって溶解性を変化させたセルロース誘導体を用いることができる。水酸基の水素原子がアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基で置換されたアシル化セルロースが好ましく、特に酢酸や酢酸クロライドを用いて酢酸化(アセチル化)された酢酸セルロースが好ましい。
グラフト化に利用されなかった残りのセルロース水酸基は、水酸基のままであるものと、上記のようにアセチル化等により変性されたものとがある。水酸基の量が多いほど、最大強度や耐熱性が大きくなる傾向がある一方で、吸水性が高くなる傾向がある。アセチル化等による変性率が高いほど、吸水性が低下し、可塑性や破断歪みが増加する傾向がある一方で、最大強度や耐熱性が低下する傾向がある。これらの傾向とグラフト化条件を考慮して、水酸基の変換率を適宜設定することができる。
吸水性や機械的強度、耐熱性、さらにグラフト化処理上の観点から、セルロース水酸基は適度にアシル化(特にアセチル化)されていることが好ましい。(F)成分中のグルコース単位あたりのアシル基の付加数(置換度、DSACE)は、十分なアシル化効果を得る点から、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上がさらにより好ましい。また、グラフト化率(DSCD)を十分に確保する点から、アシル基の置換度DSACEは、2.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましい。
セルロース系樹脂組成物を製造するにあたっては、セルロース系樹脂(E0)にカルダノール変性フィラー(D)を混合することができる。また、セルロース系樹脂(E0)に、フィラー(D0)とカルダノール変性シランカップリング剤(C)を混合して、リアクティブプロセッシングによってカルダノール変性シランカップリング剤(C)をフィラー(D0)の表面に結合させることもできる。混合方法には特に制限はなく、公知の混合機、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、単軸や二軸の混練機などによる混合や、押出機、ロールなどによる溶融混合が利用できる。
セルロース系樹脂組成物中に含まれるフィラー(カルダノール変性フィラー(D)またはフィラー(D0))の配合量は、セルロース系樹脂(E0)100重量部に対して3〜100重量部が好ましい。フィラーの配合量が3重量部以上であれば、フィラーによる補強効果を十分に発現することができ、100重量部以下であれば、流動性がそれほど低下することなく、成形性の低下を抑制できる。
カルダノール変性シランカップリング剤(C)の配合量は、フィラー(D0)の配合量の0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜6.5重量%がさらに好ましい。カルダノール変性シランカップリング剤(C)の配合量が少なすぎると、十分な密着効果が得られない場合がある。また、カルダノール変性シランカップリング剤(C)の配合量が多すぎると、フィラー(D0)の表面と直接結合していないカルダノール変性シランカップリング剤(C)が増加して強度が低下する場合がある。
このようにして得られたセルロース系樹脂組成物は、樹脂とフィラーの密着性が向上し、強度が向上するだけでなく、カルダノールの柔軟な直鎖状炭化水素部分の相互作用によって靭性も向上した、靭性に優れたものとなる。加えて、セルロース系樹脂(E0)とカルダノールは、いずれも植物の非可食部であるため、樹脂組成物中の非可食部の利用率を高めることができる。
セルロース系樹脂組成物には、通常の熱可塑性樹脂に使用する各種の添加剤を適用できる。例えば、可塑剤を添加することで、流動性や破断時の伸びを一層向上できる。このような可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ−2−メトキシエチル、エチルフタリル・エチルグリコレート、メチルフタリル・エチルグリコレート等のフタル酸エステル;酒石酸ジブチル等の酒石酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル;トリアセチン、ジアセチルグリセリン、トリプロピオニトリルグリセリン、グリセリンモノステアレートなどの多価アルコールエステル;リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシルなどのリン酸エステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等の二塩基性脂肪酸エステル;クエン酸トリエチル、クエン酸アセチル・トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;O−ペンゾイル安息香酸エチル等の安息香酸エステル;セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル等の脂肪族ジカルボン酸エステル;マレイン酸エステル等の不飽和ジカルボン酸エステル;その他、N−エチルトルエンスルホンアミド、トリアセチン、p−トルエンスルホン酸O−クレジル、トリプロピオニンなどが挙げられる。
その他、セルロース系樹脂組成物には、必要に応じて、一般的な熱可塑性樹脂を添加してもよい。また、セルロース系樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤など、通常の樹脂組成物に適用される添加剤を添加してもよい。
以下、具体例を挙げて、本実施形態をさらに詳しく説明する。
[合成例1]セルロース系樹脂グラフト用カルダノール誘導体(モノクロロ酢酸変性カルダノールのクロライド化物)の作製
カルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合が水素化された水添カルダノール(ACROS Organics製、m−n−ペンタデシルフェノール)を原料とし、そのフェノール性水酸基をモノクロロ酢酸と反応させることでカルボキシル基を付与し、カルボキシル化水添カルダノールを得た。次に、カルボキシル化水添カルダノールのカルボキシル基を、オキサリルクロライドでクロライド化して酸クロライド基へ変換し、クロライド化水添カルダノールを得た。
具体的には、下記に従って、クロライド化水添カルダノールを得た。
まず、水添カルダノール80g(0.26mol)をメタノール120mLに溶解させ、これに、水酸化ナトリウム64g(1.6mol)を蒸留水40mLに溶解させた水溶液を加えた。その後、室温で、関東化学株式会社製モノクロロ酢酸66g(0.70mol)をメタノール50mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下完了後、73℃で4時間還流させつつ攪拌を継続した。反応溶液を室温まで冷却後、この反応混合物を、希塩酸でpH=1となるまで酸性化し、メタノール250mLとジエチルエーテル500mL、さらに、蒸留水200mLを加えた。分液漏斗で水層を分離、廃棄し、エーテル層を蒸留水400mLで2回洗浄した。エーテル層に無水マグネシウムを加え乾燥させた後、これを濾別した。濾液(エーテル層)をエバポレーター(90℃/3mmHg)で減圧濃縮し、残渣として黄茶色粉末状の粗生成物を得た。この粗生成物をn−ヘキサンから再結晶し、真空乾燥させることにより、目的のカルボキシル化水添カルダノールの白色粉末46g(0.12mol)を得た。
得られたカルボキシル化水添カルダノール46g(0.12mol)を脱水クロロホルム250mLに溶解させ、オキサリルクロライド24g(0.19mol)とN,N−ジメチルホルムアミド0.25mL(3.2mmol)を加え、室温で72時間撹拌した。クロロホルムと過剰のオキサリルクロライドを減圧留去し、クロライド化水添カルダノール48g(0.13mol)を得た。
[合成例2]セルロース系樹脂1(カルダノールグラフト化セルロースアセテート)の作製
合成例1で作製したクロライド化水添カルダノール(カルダノール誘導体)を、セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、商品名:LM−80、セルロースのグルコース単位当たりの酢酸の付加数(アセチル基の置換度:DSACE)=2.1)に結合させ、グラフト化セルロースアセテートを得た。
具体的には、下記に従って、グラフト化セルロースアセテートを得た。
セルロースアセテート10g(水酸基量0.036mol)を脱水ジオキサン200mLに溶解させ、反応触媒および酸捕捉剤としてトリエチルアミン5.0mL(0.036mol)を加えた。この溶液に、合成例1で作製したクロライド化水添カルダノール46g(0.11mol)を溶解したジオキサン溶液100mLを加え、100℃で6時間加熱還流した。反応溶液をメタノール3Lに撹拌しながらゆっくりと滴下して再沈殿し、固体を濾別した。濾別した固体を一晩空気乾燥し、さらに105℃で5時間真空乾燥することでグラフト化セルロースアセテート20gを得た。
得られた試料(グラフト化セルロースアセテート)をH−NMR(Bruker社製、製品名:AV−400、400MHz)によって測定したところ、DSCDは0.80であった。
[合成例3]セルロース系樹脂2(カルダノールグラフト化セルロースアセテート)の作製
合成例1で作製したクロライド化水添カルダノール(カルダノール誘導体)を、セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、商品名:LM−80、セルロースのグルコース単位当たりの酢酸の付加数(アセチル基の置換度:DSACE)=2.1)に結合させ、グラフト化セルロースアセテートを得た。
具体的には、下記に従って、グラフト化セルロースアセテートを得た。
セルロースアセテート10g(水酸基量0.036mol)を脱水ジオキサン200mLに溶解させ、反応触媒および酸捕捉剤としてトリエチルアミン5.0mL(0.036mol)を加えた。この溶液に、合成例1で作製したクロライド化水添カルダノール14g(0.037mol)を溶解したジオキサン溶液100mLを加え、100℃で3時間加熱還流した。反応溶液をメタノール3Lに撹拌しながらゆっくりと滴下して再沈殿し、固体を濾別した。濾別した固体を一晩空気乾燥し、さらに105℃で5時間真空乾燥することでグラフト化セルロースアセテート15gを得た。
得られた試料(グラフト化セルロースアセテート)をH−NMR(Bruker社製、製品名:AV−400、400MHz)によって測定したところ、DSCDは0.55であった。
[実施例1]カルダノール変性シランカップリング剤1の作製
カルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合が水素化された水添カルダノール(ACROS Organics製、m−n−ペンタデシルフェノール)を、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE−9007)と結合させ、カルダノール変性シランカップリング剤1を得た。
具体的には、下記に従って、カルダノール変性シランカップリング剤1を得た。
窒素置換した反応容器中に水添カルダノール3.42g(11.2mmol)を投入し、80℃に加熱して溶融させ、触媒として0.05mol%のジブチルジラウリルすずを加えた。この液体に、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン3.00g(12.1mmol)を加え、80℃で30分攪拌した。これを室温に冷却することで反応生成物6.2gを得た。
得られた試料(カルダノール変性シランカップリング剤1)をH−NMR(Bruker社製、製品名:AV−400、400MHz)によって測定したところ、水添カルダノールとγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランの1対1反応物の含有量は、90重量%以上であった。
[実施例2]カルダノール変性シランカップリング剤2の作製
カルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合が水素化された水添カルダノール(ACROS Organics製、m−n−ペンタデシルフェノール)を、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBE−403)と結合させ、カルダノール変性シランカップリング剤2を得た。
具体的には、下記に従って、カルダノール変性シランカップリング剤2を得た。
窒素置換した反応容器中に水添カルダノール3.42g(11.2mmol)を投入し、80℃に加熱して溶融させ、触媒として0.5mol%のトリフェニルフォスフィンを加えた。この液体に、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン3.36g(12.1mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。これを室温に冷却することで反応生成物6.5gを得た。
得られた試料(カルダノール変性シランカップリング剤2)をH−NMR(Bruker社製、製品名:AV−400、400MHz)によって測定したところ、水添カルダノールとγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの1対1反応物の含有量は、90重量%以上であった。
[実施例3]カルダノール変性ガラス繊維1の作製
実施例1で作製したカルダノール変性シランカップリング剤1を用いて、ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製、商品名:CS03JAFT592、繊維径10μm、3mmチョップドストランド、加熱減少量1.0%)を表面処理することで、カルダノール変性ガラス繊維1を得た。
具体的には、下記に従って、カルダノール変性ガラス繊維1を得た。
カルダノール変性シランカップリング剤1 1.0gをエタノール50mlに溶解させ、ガラス繊維10gを含侵させた。この溶液を一晩攪拌した後、80℃で2時間、続いて120℃で2時間真空乾燥することで溶媒を除去し、残留物に再度エタノール50mlを加えて洗浄し、残留物を濾別した。この洗浄操作を4回繰り返した後、105℃で3時間真空乾燥することでカルダノール変性ガラス繊維1を得た。
得られた試料(カルダノール変性ガラス繊維1)をTGA(セイコーインスツルメンツ社製、製品名:TGA6000)で800℃加熱減少量を測定したところ、2.9重量%であったため、カルダノール変性ガラス繊維1に含まれるカルダノール変性シランカップリング剤1の割合(カップリング剤含有率)は1.9重量%と算出された。
[実施例4]カルダノール変性ガラス繊維2の作製
実施例1で作製したカルダノール変性シランカップリング剤1を用いて、ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製、商品名:CS03JAFT592、繊維径10μm、3mmチョップドストランド、加熱減少量1.0%)の表面を表面処理することで、カルダノール変性ガラス繊維2を得た。
具体的には、下記に従って、カルダノール変性ガラス繊維2を得た。
カルダノール変性シランカップリング剤1 1.0gをエタノール50mlに溶解させ、2重量%酢酸水溶液10mlを加え、この混合溶液にガラス繊維10gを含侵させた。この溶液を一晩攪拌した後、80℃で2時間、続いて120℃で2時間真空乾燥することで溶媒を除去し、残留物に再度エタノール50mlを加えて洗浄し、残留物を濾別した。この洗浄操作を4回繰り返した後、105℃で3時間真空乾燥することでカルダノール変性ガラス繊維2を得た。
得られた試料(カルダノール変性ガラス繊維2)をTGA(セイコーインスツルメンツ社製、製品名:TGA6000)で800℃加熱減少量を測定したところ、7.2重量%であったため、カルダノール変性ガラス繊維1に含まれるカルダノール変性シランカップリング剤1の割合は6.2重量%と算出された。
[実施例5]
合成例2で作製したセルロース系樹脂1 100重量部と、実施例3で作製したカルダノール変性ガラス繊維1 25重量部を含有してなる混合物を、押し出し混合機(HAAKE MiniLab Rheomex extruder (Model CTW5, Thermo Electron Corp., Waltham, Mass.))で混合(温度200℃、スクリュー回転速度50rpm)し、セルロース系樹脂組成物を作製した。
この樹脂組成物を下記条件でプレス成形して、成形体を得た。
(成形条件)
温度:200℃、時間:2分、圧力:100kgf(9.8×10N)、
成形体サイズ:厚み:2mm、幅:13mm、長さ:80mm。
上記の成形により得られた成形体について、JIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例6および7]、[比較例1、3および4]
表1および2に示した配合とした以外は、実施例1と同様にして、各セルロース系樹脂組成物および成形体を作製し、実施例5と同様に曲げ試験を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2および5]
合成例2および3で作製したセルロース系樹脂1および2を、それぞれ、実施例5に記載の成形条件でプレス成形を行って成形体を作製し、実施例5と同様に曲げ試験を行った。その結果を表1および2に示す。
Figure 2011111272
Figure 2011111272
カルダノール変性ガラス繊維を添加した実施例5の成形体と、従来のガラス繊維を添加した比較例1の成形体を対比すると、いずれも、ガラス繊維を添加しなかった比較例2の成形体に比べれば曲げ強度が向上し、曲げ破断ひずみが低下しているが、実施例5の成形体では、比較例1の成形体より、曲げ強度の向上率が約2.7倍となり、曲げ破断ひずみは1.5倍となっている。
また、カルダノール変性ガラス繊維を添加した実施例6および7の成形体と、従来のガラス繊維を添加した比較例3の成形体を対比すると、いずれも、ガラス繊維を添加しなかった比較例5の成形体に比べれば曲げ強度が向上しているが、実施例6および7の成形体では、いずれも曲げ強度の向上率が20%以上と、曲げ強度の向上効果が大きかった。また、別の従来のガラス繊維を添加した比較例4の成形体は、曲げ破断ひずみは優れるものの、曲げ強度の向上効果は比較例3の成形体よりさらに低かった。

Claims (10)

  1. カルダノールまたはその誘導体(A)と、エポキシシランカップリング剤またはイソシアネートシランカップリング剤(B)とを反応させて得られるカルダノール変性シランカップリング剤(C)。
  2. 請求項1に記載のカルダノール変性シランカップリング剤(C)により、フィラー(D0)を表面処理したカルダノール変性フィラー(D)。
  3. 前記フィラー(D0)が、ガラス繊維である請求項2に記載のカルダノール変性フィラー(D)。
  4. 請求項2または3に記載のカルダノール変性フィラー(D)と、セルロース系樹脂(E0)とを含むセルロース系樹脂組成物。
  5. 請求項1に記載のカルダノール変性シランカップリング剤(C)と、フィラー(D0)と、セルロース系樹脂(E0)とを含むセルロース系樹脂組成物。
  6. 前記セルロース系樹脂(E0)が、セルロースまたはその誘導体(F)のセルロース水酸基と、カルダノールまたはその誘導体(G)のフェノール性水酸基を利用して、前記セルロースまたはその誘導体(F)と前記カルダノールまたはその誘導体(G)を結合させてなるセルロース系樹脂(E)である請求項4または5に記載のセルロース系樹脂組成物。
  7. 前記セルロース樹脂(E)において、前記セルロースまたはその誘導体(F)中の前記セルロース水酸基が結合しているセルロース炭素原子と、前記カルダノールまたはその誘導体(G)中の前記フェノール性水酸基が結合しているカルダノール炭素原子が、2価の炭化水素基を含む有機連結基を介して連結されている請求項6に記載のセルロース系樹脂組成物。
  8. 前記セルロース樹脂(E)において、
    前記セルロース炭素原子と前記2価の炭化水素基は、エステル結合、エーテル結合およびウレタン結合のいずれかを介して結合され、
    前記カルダノール炭素原子と前記2価の炭化水素基は、エステル結合、エーテル結合およびウレタン結合のいずれかを介して結合されている請求項7に記載のセルロース系樹脂組成物。
  9. 前記セルロース樹脂(E)において、前記セルロールまたはその誘導体(F)のグルコース単位あたりの、前記カルダノールまたはその誘導体(G)の置換度が0.1以上である請求項6から8のいずれか一項に記載のセルロース系樹脂組成物。
  10. 前記セルロース樹脂(E)において、前記カルダノールまたはその誘導体(G)中の不飽和結合が、飽和結合に変換されている請求項6から9のいずれか一項に記載のセルロース系樹脂組成物。
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