JP4231569B2 - 生分解性グラフト重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテートのような水酸基を有するセルロース誘導体に、環状エステルの開環重合触媒の存在下でε-カプロラクトンを主とするラクトン類を開環重合して得られる生分解性グラフト重合体、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアセテートは、セルロース誘導体の中でも、価格が低廉で、工業生産量が最も多い。このセルロースアセテートは、写真フィルムのベースポリマー、たばこ用のフィルター、衣料用繊維等に、従来より使われて来ている。近年それらは、アセトンなど溶剤に溶解したのち、それぞれ成形されており、いわゆる湿式加工により賦形されている。
セルロースジアセテートに可塑剤を加えた上で、熱可塑的に加工(乾式加工)することも、数%とマイナーな用途の加工であるが、行われて来ている。
生分解性高分子材料の場合には、所謂、プラスチック材料としての加工であり殆どの場合、この様な加工が十分可能であることが前提となっている。
ところで、現在、環境の保全という立場から、プラスチック材料の内、ディスポーザブル用途のものなど、少なくとも数%のものは、生分解性であるべきであると考えられる様になって来ている。
そこで、微生物製造の脂肪族ポリエステル、合成高分子としてのもの、さらには、天然高分子由来のものといった、少なくとも三つの分野において、それぞれに、生分解性プラスチック材料の開発を目的とした検討が、この数年、世界的に行われて来ている。
【0003】
しかし、その開発状況は、未だ十分でなく、多くの場合、価格的に高価という問題を持ち、実用化にはかなり距離があると考えられ、なお数年の期間をかけて着実に進めるべきとされている(生分解性プラスチック実用化検討委員会報告書、平成7年3月)。
特に、天然高分子由来の、生分解性高分子の開発の研究は、立ち遅れている。
即ち、水に弱い、デンプン系の生分解性プラスチック材料を除いて考えると、数年前に、キトサンを、酢酸水溶液に溶解した上で、セルロースを充填剤として加えるという、必ずしも成形の能率の良くない、湿式加工用の材料が、まず提案され、引き続いて、デンプンをアセチル化した上で、低分子量ポリカプロラクトンを可塑剤として用いた材料が、検討されて来ているといった程度である。
その様な状況下で、セルロースアセテートについて、置換度2.5までのものは、活性汚泥を用いる集積培養で10〜12日、浄化槽浸漬で約10週間の処理で、顕著に分解されることを、1993年、米国のコダックケミカル社の研究所の、C. M. Buchananらが、学術誌上で発表した[C. M. Buchanan et al.:J. Appl. Polymer Sci., 47, 1709-1719(1993)]。
【0004】
次いで、我が国でも、帝人(株)と大阪市工研の酒井らが、置換度2.3のセルロースアセテートを生分解する微生物として、Neisseria siccaを同定し、また、ダイセル化学工業(株)と大阪市工研の研究者は、同様な作用をする微生物として、Rizobium melilotiとAlcaligenes xylosoxydansとを見出している。
そして、それらの微生物は、acetyl esteraseとβ-glucosidaseを酵素として持っており、前者によって、セルロースアセテートの側鎖アセチル基を、開裂ケン化させ、生成した酢酸により、菌体を増殖し、セルロースアセテートの置換度が、1以下になるなど十分小さくなると、後者のβ-glucosidaseが働いて、セルロース鎖を切り、グルコースとした上で、さらに炭酸ガスと水にまで変換するという生分解機構が提案されている。
これらのうち、特に、Buchananらの論文発表は、セルロースジアセテートの可塑化、すなわち、プラスチック材料化の検討の気運を醸成し、それによる生分解性プラスチック材料の開発を促している。
学術誌上には、セルロースジアセテートと脂肪族ポリエステルの相溶性に関する論文が、数多く出る様になり、例えば、示差走査熱量計による測定で、両者の相溶が完全なものではないにしろ、認められるといった知見が得られている。
ただし、その延長線上で、成形加工性が高く、物性の優れた複合材料が得られるという域には達していない様である。
【0005】
一方で、企業からも呼応して、開発商品の発表という形で、セルロースアセテート系の生分解性高分子が、提案されている。
一つは、1995年9月に、米国のプラネット・ポリマー・テクノロジーズ社(カリフォルニア州)が開発し、三菱商事(株)と日本触媒化学(株)が、わが国での販売に係わるものとして、ルナーレという商品名のものが上市された。このものは、セルロースジアセテート77%、トリアセチン23%の組成のもので、成形加工性、力学物性に優れたものであるが、高価格であることが欠点とされた。
他の一つは、ルナーレの発表の直後、ダイセル化学工業(株)が発表したもので、セルロースジアセテートを可塑剤として、低分子量カプロラクトンにより可塑化したものである。この場合も、生分解性の低分子量可塑剤を用いているという点で、ルナーレと似ているが、価格が安い点が強みとなっている。
いずれにしても、酢酸セルロースは、熱可塑性が十分でなく、そのまま加熱溶融させようとすると、軟化する前に分解あるいは着色を来す。
【0006】
従って、成形用組成物は、可塑剤を加えないと、熱可塑的に加工することは出来ない。このために、熱可塑的加工の前に、適当な可塑剤を混合せねばならない。この目的のために、種々の可塑剤が使用される。
前出の、1993年以降、学術誌に目立って多く発表されている、脂肪族ポリエステルをブレンドし、ブレンド性、相溶性を検討している諸例は、高分子量可塑剤の添加に相当すると云える。
高分子量の可塑剤が使えれば、得られる熱可塑化セルロースアセテートに、魅力的な物性を与えうることが、低分子量可塑剤を使う場合より、より多く期待出来る。
しかし、高分子量可塑剤の添加は、低分子量のそれに比べて、ブレンドに対するエントロピー効果が、約1桁小さくなることから、よい組合せを見出すのが、極めて困難であることは、良く知られている。
そのようなことから、セルロースアセテートの場合でも、容易には画期的なものは見いだせず、上市されたものは、可塑剤として低分子量のトリアセチンやオリゴカプロラクトンを用いたものとなったといえよう。
これらは、生分解性プラスチック材料を作り出すことを前提にした、可塑剤の選択であるが、従来からも、セルロースアセテートの可塑化は、低分子量可塑剤が使われて来た。
【0007】
その代表的なものしては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジグリセリンテトラアセテート、o-トルエンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、さらには、上記のトリアセチン、および低分子量カプロラクトンが挙げられる。
すなわち、アルキル基の短い、フタル酸エステル、グリコール酸誘導体、グリセリン誘導体、リン酸エステルなどであり、セルロースアセテートと相溶しうる可塑剤は限られている。
しかも、良くなじませるためには、例えば、90℃で6時間、ニーダ中で攪拌し、一体化を図った後、210℃の混練エクストルーダで、溶融ブレンドするといった手法が、工業的にも行われるなど、可塑化には、時間とエネルギーが多用されている。
さらに、低分子量可塑剤を用いる欠点としては、まず、成形物の力学的特性など、物性を低下させることが挙げられる外、加工時に、熱のために、可塑剤がミストとなり、成形物の表面をくもらせたり、透明性を悪くしたり、またフィルムなど成形物となった後、可塑剤のブリードが起こるといったことが挙げられる。
【0008】
以上のように、高分子量にせよ、低分子量にせよ、外部可塑剤を用いてセルロースアセテートの可塑化を、問題なく行うことは、必ずしも容易でない。
そこで考えられる第3の可塑化法は、セルロースアセテートの、糖鎖の化学修飾、乃至グラフト重合による方法である。
セルロース誘導体を、化学修飾乃至グラフト重合により、可塑化しようとする試みは、これまでも幾つか試みられて来た。
それらの中で、魅力的なものとしては、特開昭59-86621、特開昭60-188401、特開昭60-212422、特開昭61-37814号公報(ダイセル化学工業(株))などが挙げられる。
そこでは、セルロースアセテートを主とする、水酸基を有するセルロース誘導体と、開環重合触媒の存在下で、ε-カプロラクトンを重合させ、水酸基を有するセルロース誘導体のグラフト重合体を生成せしめており、透明で可撓性を持った、力学特性にも優れた生成物を得ている。
【0009】
その場合の問題点は、実施例で見る限り、反応時間が6〜8時間と長い点、反応時に、溶剤を用いる場合が多く、溶剤の回収とリサイクルの際に、溶剤の逸散を招きやすいことにある。
これらの問題点を解決し、それを乗り越える技法として、1997年、Albert-Ludwigs大学とRhone Poulenc Rhodia社の共同研究の成果が発表された[H. Warth et al., J. Appl. Polymer Sci., 64, 231-242(1997)]。
そこでは、セルロースアセテート、ソルビトールなど、多価アルコール、開環重合触媒(チタン酸テトラブチル)の存在下で、バッチ式ミキサー(IKAVSCバッチ・ミキサー)を用いて、210℃、30分の反応により、ε-カプロラクトン、グリコリドあるいはラクチドを、前二者、すなわちセルロースジアセテートと多価アルコールにグラフト重合させている。例えば、ε-カプロラクトン25wt%、多価アルコール25wt%、触媒0.5wt%、セルロースジアセテート50wt%という仕込みで反応を行っている。
この場合、反応の後、真空留去により、残存している揮発性モノマー類またはポリオールを除去している。
得られたラクトングラフト化セルロースジアセテートは、熱流動性を示す材料に変換されているが、見掛けの融点(熱流動温度)は、181〜210℃でかなり高温である。
【0010】
しかし、熱分解温度が、249〜276℃と測定されており、それらの温度と熱流動温度には、十分な差異があるので、プラスチック材料として十分使えるとされている。
得られた材料の力学特性は、引張強度14.8〜17.5MPa、引張破壊伸び40〜81%、ヤング率336〜496MPaと測定されており、エラストマー的材料、可撓性の大きな材料といえる。
なお、多価アルコール種を広く変化させた場合、これらの特性は、かなり広く変えられる。
熱流動温度は、180〜222℃の範囲で変化させ得ており、また引張特性については、強度11.5〜34.6MPa、破壊伸び5〜64%、ヤング率458〜1408MPaの範囲の値が得られている。
熱流動温度は、先のラクチド種を変えたデータと比べ、むしろ高温側に振れており、また、引張特性は、エラストマーからガラス状ポリマーまで、広範囲の物性のものである。
【0011】
一方、セルロースジアセテート63、60または57wt%、ε-カプロラクトンを、それぞれ31、30または29wt%、触媒チタン酸テトラブチル0.5wt%および充填剤(リグニン、デンプン、セルロース、キチン、PEG、PEGE/エチルエーテル、エポキシ化大豆油)5、9または13部の組成のコンパウンドを、それぞれ二軸エクストルーダーを用いて、反応温度を190℃、滞留時間を5分、スクリュー速度を250rpmの条件で、リアクティブプロセッシング的に調製する実験も行われ、論文中にデータが表示されている。
この場合、5分という短い反応操作で、ε-カプロラクトンが、セルロースジアセテートと、充填剤の水酸基(キチンの場合、水酸基とアセチル化アミノ基)にグラフト重合され、成形可能なコンパウンドが得られているが、コンパウンドの熱流動温度は、245℃に達するものがあるなど高温になっている。
なお、この場合は、残留している揮発性モノマー類の除去は行っていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第一の課題は、より高能率な、水酸基を有するセルロース誘導体への、ラクトン類の開環グラフト共重合法、および該グラフト重合体を提供することにある。
本発明が解決しようとする第二の課題は、よりプラスチック性、熱可塑性に優れたセルロース誘導体を得るための、ラクトン類のグラフト法と、それにより得られるグラフト重合体を提供することである。
本発明が解決しようとする第三の課題は、水酸基を有するセルロース誘導体に、開環重合触媒の存在下に、ラクトン類をグラフトさせ、生分解性を備えたプラスチック材料とその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本発明が解決しようとする課題のそれぞれについて、その解決のために、既発表の文献の内容を詳細に検討し、それらが到達しているレベル以上の知見を得るべく、鋭意研究を重ねた。
本発明者らは、まず、より高能率な、該グラフト反応法を求めるべく、これまでの実績を調べた結果、上記特開昭59-86621、特開昭60-188401、特開昭60-212422、特開昭61-37814号公報では、少なくとも実施例記載の内容で見る限り、触媒はチタン酸テトラブチルのみを用い、反応温度140〜160℃、反応時間6〜20時間であり、生成物をアセトンに溶解した上で非溶剤により沈殿、精製したものについて、ε-カプロラクトングラフトの生起を確かめた。
そして例えば、グラフト鎖が、ε-カプロラクトンモノマー1.3〜3.5乃至4〜5単位から構成されているといった知見を得ると共に、生成グラフト化セルロースジアセテートの最適射出成形温度が、160〜180℃であるといった知見を得た。
【0014】
それに対して、前出のAlbert-Ludwigs大学と、Rhone Poulenc Rhodia社の論文[H. Warth et al., J. Appl. Polymer Sci., 64, 231-242(1997)]では、ダイセル化学工業(株)の上記特許公開公報と同じ触媒を使った上で、IKAVISC Batch Mixerを用いて、反応温度を210℃と大幅に上げて、反応時間を30分と大幅に下げ、該グラフト反応の高能率化に成功している。
それでも、なお、グラフト生成物の熱流動温度という点では、180〜222℃とやや高温側にあり、熱可塑化、プラスチック材料化という点では、不満を残している。
しかも、この場合、多価アルコールを、25wt%とε-カプロラクトンと同量使用し、それらが、ε-カプロラクトンとの反応物となって、外部可塑剤として存在しているという状況の下においてであり、低分子量可塑剤の使用の、前出の問題点の存在も考え合わせると、大いに改善すべき状況にあるといえる。
そこで、本発明においては、まず、従来の特許公報の実施例あるいは論文実験例で、固定して使われていたチタン酸テトラブチルを、他の開環重合触媒に変えた検討を行い、オクチル酸スズを触媒に用いることにより、ε-カプロラクトンを含む環状エステルのセルロースアセテートへのグラフト重合速度が、著しく改善されることを発見した。
【0015】
それらの検討を経て、水酸基を有するセルロース誘導体にグラフト重合する方法、およびそれらにより得られる広範な加工性、及び物性を有するグラフト体を提供することができた。
すなわち、このフラスコ実験の段階でも、生成グラフト化セルロースアセテートは、165℃近辺の熱流動温度を示すものとなっており、従来のε-カプロラクトングラフト化セルロースジアセテートのそれらに比べ、格段に低温のものが、容易に得られ、かつ、広範囲の熱可塑性、プラスチック性を示すものとなっている。
引き続いて、HAAKE社製Poly Labo system PTW25エクストルーダーを、L/D=36で用いるリアクティブプロセシング手法による、セルロースジアセテートへの、ε-カプロラクトンのオクチル酸スズによるグラフト重合を検討した。
【0016】
リアクティブプロセシング、すなわち、連続反応という特性と、攪拌混合の高度化による、反応の高能率化を図ったわけであるが、これにより、反応速度の増大と、より低い液比での反応が、明確に行い得て、生成物は、精製により未反応モノマー、ホモオリゴマーを除去したもので、165〜170℃の熱流動温度を示すものが得られ、前出の、従来の特許および論文文献に見られる値より、格段に低温のものとなっている。
他方、得られたグラフト化セルロースジアセテートを、シート状に成形した上で、シロアリ摂食性、菌摂食性等の生分解性について調べたが、PPフィルムが変化を受けない条件下で、本発明のε-カプロラクトングラフト化セルロースジアセテート(グラフト重合体)は、明確な変化を示し、生分解性プラスチック材料であることを呈示した。
以上の様に、反応に用いる触媒を最適化し、さらに二軸エクストルーダーを用いるリアクティブプロセシングも、必要に応じ選択することにより、本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明の第1は、水酸基を有するセルロース誘導体に、環状エステルの開環重合触媒の存在下で、ε−カプロラクトンを開環グラフト重合させてなる生分解性グラフト重合体であって、前記水酸基を有するセルロース誘導体のグルコース単位当たり、前記ε−カプロラクトン5〜20モルがグラフト重合し、重量平均分子量が20万〜100万である生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第2は、環状エステルの開環重合触媒が、オクチル酸スズであることを特徴とする本発明の第1に記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第3は、水酸基を有するセルロース誘導体が、アセチル基置換度1〜3のセルロースアセテートであることを特徴とする本発明の第1〜2のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第4は、熱流動温度が160〜175℃である本発明の第1〜3のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第5は、生物の摂食可能な本発明の第1〜4のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第6は、水酸基を有するセルロース誘導体に、オクチル酸スズ触媒の存在下で、グラフト重合反応系の水分が0.1重量%以下の条件で、ε−カプロラクトンを開環グラフト重合させる生分解性グラフト重合体の製造方法であって、前記水酸基を有するセルロース誘導体のグルコース単位当たり、前記ε−カプロラクトン5〜20モルをグラフト重合し、重量平均分子量が20万〜100万の重合体を得ることを特徴とする生分解性グラフト重合体の製造方法を提供する。本発明の第7は、グラフト重合を、二軸エクストルーダーを用いて連続的に行うことを特徴とする本発明の第6記載の生分解性グラフト重合体の製造方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる水酸基を有するセルロース誘導体としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、および硝酸セルロース等のセルロースエステル類、あるいはエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル類が挙げられる。
これらの水酸基を有するセルロース誘導体のうち、生分解性であり、ラクトン類への溶解性が良く、比較的安価で、工業的に入手しやすいことから、セルロース脂肪酸エステル類を、本発明に使用することが好ましく、さらに取り扱い易いことから、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましい。この中でも、セルロースアセテートは特に好ましい。
【0019】
本発明の環状エステルとしては、開環重合し得るものであれば良く、例えば、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、α,α-ジメチル-β-プロピオラクトン、β-エチル-δ-バレロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、γ-メチル-ε-カプロラクトン、3,3,5-トリメチル-ε-カプロラクトン、3,5,5-トリメチル-ε-カプロラクトン、エナントラクトンなどのラクトン類である。
とりわけ工業的に入手しやすく、比較的安価で、セルロースアセテートなど脂肪酸セルロースエステルと、相溶性の優れたε-カプロラクトンを用いるのが有利である。
本発明において、水酸基を有するセルロース誘導体と環状エステルの比率には特に制限ない。しかし、一般に、グラフト重合を行うには、水酸基を有するセルロース誘導体1〜85重量%と環状エステル15〜99重量%の比率が望ましい。
水酸基を有するセルロース誘導体の仕込み比率が、85重量%より大きくなると、反応系の粘度が著しく高くなり、取り扱いにくくなる。また、水酸基を有するセルロース誘導体の仕込み比率が、1重量%未満では、生産性が低下する。
なお、粘度が高い場合には、本発明に含まれるリアクティブプロセシング的取り扱いは、効果を発揮する。
【0020】
それでもなお取り扱い難いときには、補助的に、第三成分としてセルロースアセテート、及び環状エステルとの相溶性の良い活性水素を持たない有機溶剤、あるいは、反応性を有する多価アルコールを加えることによって、系の粘度を取り扱いやすい範囲に下げて、反応させることも可能である。
【0021】
一般に、水酸基を有するセルロース誘導体にラクトン類をグラフト重合させる反応に用いられる触媒としては、通常環状エステルの開環反応に用いられる触媒、すなわち、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属及びそのアルコキシドなど誘導体;トリエチルアルミニウムで代表されるアルキルアルミニウム及びその誘導体、チタン酸テトラブチルで代表されるアルコキシチタン化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウレート等の有機金属化合物;塩化スズなどの金属ハロゲン化物が挙げられ、これらは、一般論として、ダイセル化学工業(株)の前記公報等に広く記載されている。
しかし、本発明で用いられる好ましい触媒は、オクチル酸スズである。
【0022】
グラフト重合体を得るための重合温度は、通常、環状エステルの開環重合に適用されている温度であり、好ましくは100〜210℃の温度である。
また、反応時間は、水酸基を有するセルロース誘導体とラクトン類の種類、及び仕込み比率、触媒の種類と量、反応温度、さらには、反応装置により異なり、特に制限はないが、一時間以内で十分である。
特に、二軸エクストルーダーなどのリアクティブプロセシング装置を、未反応モノマーの真空留去回収装置と共に用いて、グラフト率、重合率に留意せずに、熱可塑性付与の効果、すなわち、プラスチック材料への変換効果を中心に、反応法(グラフト法、製造法)を組み立てる場合には、反応時間を、6分以下など極端に短くして、目的を達することも可能である。
【0023】
また、本発明のグラフト重合体を得るに際して、用いる原料および窒素、反応機等については、十分に乾燥させておくことが望ましい。
反応系の水分が0.1重量%以下、好ましくは0.01wt%以下、より好ましくは0.001wt%以下である。
この様にして得られる反応生成物は、原料の水酸基を有するセルロース誘導体の分子量や、グラフトさせるラクトンの種類によるが、重量平均分子量が20万〜200万の範囲のものが得られる。
重量平均分子量が20万以下では、元の酢酸セルロース等の原料の重量平均分子量が15.7万の場合、付加ε-カプロラクトンの量が少なく、このグラフト重合体から調製された成形品は、可撓性が不充分となる。また、重量平均分子量が100万以上では、成形材料の粘度が高すぎて、樹脂成形材料に使用する際に成形上の問題を生じる。重量平均分子量の特に好ましい範囲は30万〜100万である。
このような、水酸基を有するセルロース誘導体と環状エステルの割合で重合した平均的なグラフト重合体は、グルコース単位当たり、ε-カプロラクトン2〜50、好ましくは3〜30、更に好ましくは5〜20モル付加重合してなる構造を有する。
成形加工に適切な生分解性グラフト重合体は、熱流動温度が、180℃未満、特に160〜175℃である。
本発明による反応生成物は、グラフト重合体、及び未反応のセルロース誘導体、および環状エステルのホモポリマーが一部含まれ得るが、その際、未反応のセルロース誘導体と環状エステルのホモポリマーとの相溶性が、例え、それほど良くなくても、グラフト重合体が仲介役(相溶化剤)となり、環状エステルのホモポリマーの混和性を良くするので、見かけ上均一な樹脂となる。
【0024】
また、グラフト重合体のみを得て、正確なグラフト量、熱可塑性といった特性を測定したいという場合がある。その場合には、常法に従って、溶剤および非溶剤を用いて分別、精製することにより、グラフト重合体のみを得ることは、容易に出来る。
直接法でのポリ乳酸の製造などで、この種の精製は、工業的にも行いうるものと考えられる様になって来ており、その重要性、実際性は増してきている。
すなわち、リアクティブプロセシングの分離工程で、それなりの設備を用意して、未反応モノマーなど揮発性成分のみを除去する精製と、溶剤、非溶剤を用いて、触媒の除去を含め精製を行う場合と、コスト的にも、必ずしも前者が有利とは言い切れないと云われている。
【0025】
前者に関連する特許文献としては、日本製鋼所(株)の特開平7-304859号公報があり、後者に関連するものとしては、三井東圧化学(株)[現三井化学(株)]の特開平6-65360がある。
環状エステルを付加することによる、脂肪族セルロースエステルの内部可塑化効果は、生成物の溶融温度を下げるとともに、熱分解温度を上昇させ得る。
このことにより、多量の可塑剤を添加することなく、通常の熱可塑性樹脂の加工に用いられる成形手段、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形などにより成形加工を行うことが出来る。
この環状エステルによって、内部可塑化された、脂肪酸セルロースエステル系熱可塑性成形品は、脂肪酸セルロースエステルが生分解性であり、グラフト付加した化学種が、それぞれに、重合により生成するポリカプロラクトンも、生分解性であることが知られている。
むしろ、生分解性高分子である脂肪酸セルロースエステルに、生分解性高分子を与えるモノマーを、意図的に付加グラフト重合した高分子材料という側面を、本発明のグラフト化物は持っている。
【0026】
実際、実施例でも示されている様に、生分解性が証明されている。従って、この環状エステルによって、内部可塑化された脂肪酸セルロースエステル系熱可塑性成形材料による成形品は、例えば、シート、フィルム、パイプ、棒、工具類、食器、包装材、電子部品材、玩具など、生分解性プラスチック材料として多岐にわたり使用出来ると共に、物性が優れていることもあり、さらに眼鏡枠、自動車ハンドル、医療用器具等々を加えた多くの一般用途に、プラスチック材料として使いうる。
【0027】
さらに、この本発明による成形材料は外部可塑剤の移行性もない。
従来では、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート等のフタル酸エステルで可塑化されたセルロースアセテートの成形品と、メタクリル酸系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂などによる他の成形品を各々接触させ、高温高湿下に放置すると、移行したフタル酸エステルにより、メタクリル酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂等による他の成形品は著しくおかされ、白化したり、微細なクレージング等を発生する。
しかしながら、本発明による環状エステルで、内部可塑化された成形材料は、上記他の成形品と高温高湿下に放置しても、他の成形品をおかすことがない。
また、通常、樹脂成形材料には、熱劣化防止、熱着色防止のため、各種安定剤が添加されているが、本発明の成形材料にも、それらを必要量、単独、または数種混合して添加しても差し支えない。
また、その他、可塑剤、充填剤、滑剤、帯電防止剤などを目的に応じて添加して差し支えない。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を、実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例または比較例に限定されるものではない。
なお、本発明では、特に断りのない限り、実施例中の部及び%は、重量部および重量%を示す。
【0029】
(比較例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、乾燥セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン400部を加え、140℃に加温し、攪拌して、セルロースアセテートを均一に溶解させた。
溶解を確かめたのち、触媒として、チタン酸テトラブチル0.24部を、滴下により加え、140℃で攪拌下に80分反応させた。
反応時間終了後、反応フラスコを油浴から引き上げ、乾燥窒素を大量に吹き込むと同時に、十分量のアセトンを加え、全体を均一に溶解した後、15000rpmで20分、遠心分離し、アセトン不溶解残渣を回収、アセトン不溶解残渣率を求めたところ0.34%であった。
その後、アセトン可溶物を、適当な濃度まで濃縮した後、大過剰のメタノール中に投入、グラフト化セルロースアセテートを沈殿させた。
沈殿物を、0.2μmメンブランフィルターを用いて濾集し、さらに大量のメタノールで洗浄、濾集して、未反応モノマーおよびε-カプロラクトンのホモオリゴマーを除去した。
得られたグラフト化セルロースアセテートを、送風乾燥器、次いで真空乾燥器を用いて、それぞれ24時間以上乾燥することにより収率を求めたところ、111.9%であり、11.9%重量のグラフト付加が行われていることが知られた。
その結果、標準ポリスチレン換算で、出発セルロースジアセテートが、数平均分子量(Mn)57,000、重量平均分子量(Mw)156,000であったのに対し、本開環グラフト化セルロースアセテートは、Mnが62,000、Mwが187,000で、上記グラフト付加量にほぼ見合う分子量増加を見せていることが知られた。
このグラフト化セルロースアセテートは、フローテスターで熱流動を示し、熱流動温度は240℃であった。
出発セルロースジアセテートが、不十分ながら熱流動を示し、その熱流動温度が、260℃であることと比較すると、20℃という比較的小規模の熱可塑性の改善である。また、この生成物は、室温でガラス状の硬い材料であった。
【0030】
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、絶乾セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン400部を加え、反応系内の水分を0.1重量%以下にして、140℃に加温し、攪拌してセルロースアセテートを均一に溶解させた。
溶解を確かめたのち、触媒としてオクチル酸スズ(II)0.24部を、滴下により加え、140℃で攪拌下に80分反応させた。
反応時間終了後、反応フラスコを、油浴から引き上げ、乾燥窒素を大量に吹き込むと同時に、十分量のアセトンを加え、全体を均一に溶解した後、15000rpmで20分、遠心分離し、アセトン不溶解残渣を回収、アセトン不溶解残渣率を求めたところ0.01%であった。
その後、アセトン可溶物を適当な濃度まで濃縮した後、大過剰のメタノール中に投入、グラフト化セルロースアセテートを沈殿させた。
沈殿物を、0.2μmメンブランフィルターを用いて濾集し、さらに大量のメタノールで洗浄、濾集して、未反応モノマーおよびε-カプロラクトンのホモオリゴマーを除去した。
得られたグラフト化セルロースアセテートを、送風乾燥器、次いで真空乾燥器を用いて、それぞれ24時間以上、乾燥することにより収率を求めたところ、304.3%であり、204.3%重量という大量のグラフト付加が行われていることが知られた。
この生成物について、テトラヒドロフランを溶剤、展開剤として、GPC分析を行った。その結果、標準ポリスチレン換算で、出発セルロースジアセテートが、Mn57,000、Mw156,000であったのに対し、本開環グラフト化セルロースアセテートは、Mnが127,000、Mwが304,000であり、グラフト重合が著しく進んでいることを裏付けた。
このグラフト化セルロースアセテートは、フローテスターで容易に熱流動を示し、熱流動温度は、165℃と、著しく低い温度となっていた。
チタン酸テトラブチル触媒を用いて、得られたグラフト化セルロースアセテートの熱流動温度が、240℃であった(比較例1)のと比べると、75℃も低い温度になっており、このオクチル酸スズ(II)触媒系でグラフト化反応が著しく増進させた結果に基づくものと理解できる。
【0031】
(比較例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、絶乾セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン250部を加え、160℃に加温し、攪拌してセルロースアセテートを均一に溶解させた。
溶解を確かめたのち、触媒としてチタン酸テトラブチル0.25部を、滴下により加え、160℃で攪拌下に20分間反応させた。
反応生成物(反応液)を少量サンプリングし、その全部を、そのままテトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。
その結果、反応生成物(反応液)の中味は、ピークのリテンションタイムが22.07〜22.00分に現れる(区分I)モノマー、すなわちε-カプロラクトンが67.0%;ピークのリテンションタイムが20.77〜20.65分に現れる(区分II)低分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマーが0.31%;ピークのリテンションタイムが、18.69〜17.49分に現れる(区分III)高分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマーが0%;ピークのリテンションタイムが15.49〜15.22分に現れる(区分IV)グラフト化セルロースアセテートが31.6%であることが知られた。
チタン酸テトラブチルを触媒として用いるとき、160℃で20分反応させても、反応生成物(反応物)中に、モノマーが重量で67.4%も存在し、重合が進んでいないことが知られる。
ちなみに、反応前の仕込み組成は、ε-カプロラクトンモノマー71.4%、セルロースアセテート28.5%であり、この値と比べても、モノマー67.0%、グラフト化したカプロラクトンを含めてのセルロースアセテート分31.6%という値は、反応開始前と大して変わっておらず、重合が進んでいないことを裏付けしている。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが40,000、Mwが163,000であった。
【0032】
(比較例3)
反応時間を40分とする以外、比較例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)を少量サンプリングし、その全部を、そのままテトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。その結果、反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが63.1%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが0.29%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが1.27%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが33.6%であることが知られた。
モノマーのまま残っている量が依然として多く、モノマーとグラフト化セルロースアセテート量比が、仕込み組成に近く、重合が進んでいないことが分かる。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが34,000、Mwが144,000であった。
【0033】
(比較例4)
反応時間を60分とする以外、比較例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)を少量サンプリングし、その全部をそのままテトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。その結果、反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、52.9%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.30%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.21%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、38.8%であることが知られた。
モノマーのまま残っている量が減ってはいるものの依然として多く、重合は60分経ってもそれほど進んでいない。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが61,000、Mwが201,000であった。
【0034】
(実施例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に絶乾セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン250部を加え、反応系中の水分を0.1重量%以下にして、160℃に加温し、攪拌して、セルロースアセテートを均一に溶解させた。
溶解を確かめたのち、触媒としてオクチル酸スズ(II)0.25部を、滴下により加え、160℃で5分間反応させた。
反応生成物(反応液)を少量サンプリングし、その全部をそのままテトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。
その結果、反応生成物(反応液)の中味は、区分Iのモノマーが、48.5%;区分IIの低分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマーが、0.19%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、1.04%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、49.9%であることが知られた。
オクチル酸スズ(II)を触媒として用いると、5分の反応でも、チタン酸テトラブチルを触媒として、60分間反応する比較例4の場合と、同等以上の反応が起こっていることが知られた。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが90,000、Mwが222,000であった。
【0035】
(実施例3)
反応時間を10分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、21.6%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.36%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、2.22%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、73.4%であることが知られた。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが121,000、Mwが359,000であった。
【0036】
(実施例4)
反応時間を20分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、7.37%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.23%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、1.90%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、90.0%であることが知られた。
残存モノマーが、一桁まで低下し、グラフト化セルロースアセテートが、全反応液中の90%を占めるなど、反応がチタン酸テトラブチル触媒では達成出来ない高い程度にまで、僅か20分の反応時間で達していることが明白に示された。
また、低分子量にせよ、高分子量にせよ、ε-カプロラクトンのみのホモオリゴマーの生成は非常に低く、合計で2.13%にとまり、グラフト物が全体の90%を占めることとあいまって、グラフト重合反応が選択的に行われ得ることが明白に示されている。
このε-カプロラクトンのみの、ホモオリゴマーの生成が抑制され、グラフト重合の選択性が高いことは、チタン酸テトラブチル触媒の場合にも認められるが、オクチル酸スズ(II)を触媒に用いると、その選択性がはっきりと高まり、同時に、グラフト重合度が、格段に進むことがはっきりと見えて来ている。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが157,000、Mwが528,000であった。
【0037】
(実施例5)
反応時間を40分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、2.59%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、1.08%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.54%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、91.0%であることが知られた。
未反応のモノマーが、2.59%まで減少していること、それに対して、グラフト化セルロースアセテートが、91.0%と反応液中の9割を超える量にまで達していること、実施例4の場合に比べると、ε-カプロラクトンのみが、重合したホモオリゴマーの合計量は、5.62%とやや多くなっているが、選択的にグラフト重合が進むということは、はっきりいえることなどが明らかである。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが77,000、Mwが586,000であった。
【0038】
(実施例6)
反応時間を80分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、1.81%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.97%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、5.39%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、90.9%であることが知られた。
未反応のモノマーが、1.81%まで低下し、重合反応が完徹しかねない状況である点は、比較例のチタン酸テトラブチルとは著しい違いとなっている。
グラフト反応の選択性が圧倒的に高いことも、実施例2〜5と同様である。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが136,000、Mwが723,000であった。
【0039】
(実施例7)
反応時間を100分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、1.65%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.44%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.07%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、93.3%であることが知られた。
未反応のモノマーが、1.65%まで低下した点、グラフト化セルロースアセテート生成量が、93.3%まで達した点、このこととホモオリゴマー生成量が、合計でも、4.51%と低価で、グラフト重合の選択性が著しく高いといった点は、実施例6と同じか、それ以上である。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが146,000、Mwが781,000であった。
【0040】
(実施例8)
反応時間を120分とする以外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。
反応生成物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、2.25%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.30%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.43%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、92.8%であることが知られた。
未反応のモノマーが、2.25%まで低下し、グラフト化セルロースアセテート生成量が、92.8%にまで達したこと、グラフト重合の選択性が著しく高いことなど実施例5〜7と同等である。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが137,000、Mwが678,000であった。
【0041】
(実施例9)
HAAKE社製Poly Labo System PTW25二軸エクストルーダーを、L/D比36(D=25mm)で用いて、セルロースジアセテートにε-カプロラクトンをグラフト重合させた。仕込量比が、セルロースジアセテート(L-40)100部に対して、ε-カプロラクトン400部となるように、エクストルーダーに供給した。
すなわち、セルロースジアセテートは、粉末定量供給器により、またε-カプロラクトンを、触媒であるオクチル酸スズを、セルロースジアセテート100部に対し、4部となる様に、実験直前に秤り取って加えた上で、送流ポンプを用いる液体定量供給器によって、PTW25エクストルーダーに供給した。
反応温度は、140℃とし、反応時間(滞留時間)を30分とした。
反応物は、PTW25エクストルーダーの先端ノズル部から排出される形で出てくるが、十分定量状態となった後のものを生成物として採取した(なお、本実験では原料供給後40分(滞留時間+10分)を経たのちサンプリングした)。
その後、まずグラフト化セルロースジアセテートの重量を精秤し、その5〜20倍量のアセトンを加えて均一に溶解した後、得られたアセトン溶液を、大過剰のメタノールあるいは、メタノールに滴下、投入し、再沈殿させた。
【0042】
得られた沈殿物を、目の粗さ0.2μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いて、濾集、回収した。
さらに大量のメタノールで洗浄、濾集して、未反応モノマーおよびε-カプロラクトンのホモオリゴマーを除去した。
得られたグラフト化セルロースアセテートを、60℃送風および真空乾燥器を用いて乾燥させた。
一方、メタノール可溶区分について分析し、仕込んだε-カプロラクトンに対し、未反応モノマー量が、10.6%、生成したホモオリゴマー量が、24.1%であることが知られた。この場合、140℃での反応であるに拘わらず、リアクティブプロセシングは良好に進み、未反応モノマー量を少なくしているといえよう。
得られた全乾生成物について、テトラヒドロフランを展開剤としてGPC分析を行った。
その結果、標準ポリスチレン換算で、出発セルロースジアセテートが、Mn57,000、Mw156,000であったのに対し、ここで得られた開環グラフトセルロースアセテートは、Mnが125,000、Mwが498,000であった。
この場合、触媒量が、4部と相対的に小さいことが指摘できる。それにも拘わらず、得られた分子量の値から考えて、セルロースアセテートへのグラフト重合が十分なされていると言える。
このことは、IR分析でも確かめられた。
また、このグラフト化セルロースアセテートは、明確な熱流動を示し、フローテスターで測った熱流動温度(Tf)は、170℃であった。また、この生成物は、室温でエラストマー状であった。この点は、ε-カプロラクトングラフト物であるためと理解できる。
【0043】
(実施例10)
オクチル酸スズ触媒量を、セルロースジアセテート100部に対して、6部と、1.5倍とする以外、実施例9と同一条件、同一様式の開環グラフト化反応を行った。
メタノール可溶区分について分析した結果、仕込んだε-カプロラクトンに対し、未反応モノマー量が、3.4%、生成したホモオリゴマー量が、27.1%であることが知られた。
この場合、140℃での反応であるが、リアクティブプロセシングは良好に進み、未反応モノマー量を少なくしているといえよう。
ホモオリゴマーを除去せず、可塑剤として使うことも将来的に考えられる。
得られたグラフト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが137,000、Mwが435,000であり、実施例9の反応生成物より大きな分子量を持つものとなった。
触媒の量を多くすることにより、グラフト化生成量が多くなるという結果を示すものといえる。
生成物の熱流動温度も165℃と、実施例9の170℃に比べて、5℃低い温度になっている。また、生成物は室温でエラストマーであった。
【0044】
(実施例11)
本実施例に使用したε-カプロラクトン・グラフト・セルロースジアセテートは、液比4、オクチル酸スズ(II)触媒量0.24%(セルロースジアセテート100部に対しては、1.2部に相当する。)、反応温度140℃、反応時間80分の条件でフラスコ内でグラフト重合させ、アセトン溶解/メタノールへの再沈澱を2回繰り返して精製したものである。
この反応組成物を、シート状に熱圧成形した後、0.4mm厚、約20×20mmに切り出したシートを試片として用いた。
20リットル容で、38℃に調温されているコンポスト装置(ナチュレポケットNS-1、(有)自然耕房製)内には、おがくずと、好気性の炭化物分解菌(NS菌)をまず仕込み、月〜土曜日に、一日当たり1kgの残飯が投入されるという形で、継続的に運転を行った。(10日に1日は、菌を休ませるため、何も投入しない方が良いとされている。そこで、本実験では、日曜日には残飯の投入を行わず休養日とした。)好気性菌による分解を行っているため、装置内での撹拌を、4時間に一度宛行った。この撹拌に対処するため、用いたシート状の小型試片は、金属乃至硬質プラスチック性の網状のプロテクト容器に挟んで、投入試験した。
【0045】
コンポスト処理試験期間は1ヵ月とし、その期間終了後、試片を取り出し、注意深く、まず洗浄を行い、水分を軽く拭った後、40℃送風乾燥器中で予備乾燥後、常温で真空乾燥を一昼夜行い、秤量した。
コンポスト処理前後の重量差から、重量減少率を求めたところ、9.24%であった。
コンポスト処理前後は、無色透明で平滑な表面を持っていた試片が、このコンポスト処理により、全体的に褐色を帯び、一部は不透明で濁りを持った状態になった。表面も凹凸が目立った状態になった。
走査電子顕微鏡鏡査でも、表面状態に大きな変化が認められ、コンポスト処理によって微生物に侵されているという状況が認められ、裏付けられた。
【0046】
(実施例12)
本実施例に使用したε-カプロラクトン・グラフト・セルロースジアセテートは、液比6、オクチル酸スズ(II)触媒量0.09%(セルロースジアセテート100部に対しては0.64部添加に相当する)、反応温度140℃、反応時間80分の条件でフラスコ内でグラフト重合させ、アセトン溶解/メタノールへの再沈澱を繰り返し精製したものである。
この精製して得た試片からの成形シート(20×20×0.4mm)を切り出し、実施例11と同様なコンポスト処理実験を行った。その結果、1ヵ月間のコンポスト処理により、16.7%重量減少が認められ、表面状態も実施例11の場合と同様の変化が認められた。
このことは、走査電子顕微鏡鏡査により、実施例11の場合と同様な、大きな変化として確かめられ、裏付けられた。
原料の割合、反応条件およびグラフト重合物の収率を第1表に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
第1表の反応条件により得られた反応生成物の組成、グラフト重合体の流動温度および平均分子量を、纏めて第2表に示す。
なお、組成物のI〜IVは、GC分析によるピークのリテンションタイムが、22.07〜22.00分に現れるε-カプロラクトンモノマー(区分I)、20.77〜20.65分に現れる低分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマー(区分II)、18.69〜17.49分に現れる高分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマー(区分III)および15.49〜15.22分に現れるグラフト化セルロースアセテート(区分IV)を表す。
【0049】
【表2】
【0050】
(比較例5)
ガラス瓶(直径45mm、高さ78mm)の底面に、20メッシュパスの砂10gを敷き、蒸留水2mlを加えた。これを試験容器とする。
試験容器には、重量既知のポリプロピレン(PP)製シート小片(10×10×0.4mm)1枚と、イエシロアリ(職蟻45頭、兵蟻5頭)を加えて試験を行った。
試験容器には、ポリエチレン製のふた(直径42mm)を軽くしめた。試験期間は3週間で、試験容器は、温度30℃、相対湿度80%の暗所で静置した。
試験終了後、PPシートを取り出し、丁寧に拭った後、秤量し、重量減少率を求めたところ、5枚の平均で、-0.926%の重量減少を示した。マイナスの値になったのは、試験中の吸湿ないし、異物付着の影響と思われるが、いずれにしても上述の条件下では、PPはシロアリにより摂食されないことを示す結果である。
【0051】
(実施例13)
比較例5と同様の強制摂食試験を、実施例5で調製した、ε-カプロラクトングラフトセルロースジアセテートを成形して得たシート小片(10×10×0.4mm)を紙片として行ったところ、5枚の平均で18.2%の重量減少率が得られた。
この結果は、PPシート小片が、全くシロアリに摂食されなかったのに比べ、明確な差のある結果であり、実施例5で調製したε-カプロラクトン・グラフト・セルロースジアセテートは、生分解性があるものと考えられる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、公知技術(比較例)に比べて、目的のε-カプロラクトンのセルロースアセテートへのグラフト化反応を、画期的といえるほど格段に増進させた。
このグラフト重合体は、重量平均分子量が20万〜80万と、グラフト重合が著しく進んでいるのは明らかである。
また、このグラフト重合体は、フローテスターで容易に熱流動を示し、熱流動温度は、180℃未満と低い温度となっていた。
また、コンポスト処理によって、菌、微生物等に侵され(摂食され)ているという状況がハッキリと認められ、生分解性があるのは明らかである。
さらに、シロアリのような生物による強制摂食試験の結果は、本発明のシートグラフト重合体が、シロアリに短期間でかなり摂食され、生分解性があるのは明らかである。
Claims (7)
- 水酸基を有するセルロース誘導体に、環状エステルの開環重合触媒の存在下で、ε−カプロラクトンを開環グラフト重合させてなる生分解性グラフト重合体であって、前記水酸基を有するセルロース誘導体のグルコース単位当たり、前記ε−カプロラクトン5〜20モルがグラフト重合し、重量平均分子量が20万〜100万である生分解性グラフト重合体。
- 環状エステルの開環重合触媒が、オクチル酸スズであることを特徴とする請求項1記載の生分解性グラフト重合体。
- 水酸基を有するセルロース誘導体が、アセチル基置換度1〜3のセルロースアセテートであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体。
- 熱流動温度が160〜175℃である請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体。
- 生物の摂食可能な請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性グラフト重合体。
- 水酸基を有するセルロース誘導体に、オクチル酸スズ触媒の存在下で、グラフト重合反応系の水分が0.1重量%以下の条件で、ε−カプロラクトンを開環グラフト重合させる生分解性グラフト重合体の製造方法であって、前記水酸基を有するセルロース誘導体のグルコース単位当たり、前記ε−カプロラクトン5〜20モルをグラフト重合し、重量平均分子量が20万〜100万の重合体を得ることを特徴とする生分解性グラフト重合体の製造方法。
- グラフト重合を、二軸エクストルーダーを用いて連続的に行うことを特徴とする請求項6記載の生分解性グラフト重合体の製造方法。
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