JPH11255801A - 生分解性グラフト重合体およびその製造方法 - Google Patents

生分解性グラフト重合体およびその製造方法

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JPH11255801A
JPH11255801A JP8046198A JP8046198A JPH11255801A JP H11255801 A JPH11255801 A JP H11255801A JP 8046198 A JP8046198 A JP 8046198A JP 8046198 A JP8046198 A JP 8046198A JP H11255801 A JPH11255801 A JP H11255801A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性を有し、成形加工性に優れ、同時
に、生分解性を有するグラフト重合体を提供する。 【解決手段】 水酸基を有するセルロース誘導体の存在
下で、環状エステルの開環重合触媒としてオクチル酸ス
ズを加えて、ε−カプロラクトンを主成分とするラクト
ン類を、従来よりも高能率に開環重合させ、熱流動温度
180℃未満の成形可能な生分解性グラフト重合体が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ートのような水酸基を有するセルロース誘導体に、環状
エステルの開環重合触媒の存在下でε-カプロラクトン
を主とするラクトン類を開環重合して得られる生分解性
グラフト重合体、およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートは、セルロース誘
導体の中でも、価格が低廉で、工業生産量が最も多い。
このセルロースアセテートは、写真フィルムのベースポ
リマー、たばこ用のフィルター、衣料用繊維等に、従来
より使われて来ている。近年それらは、アセトンなど溶
剤に溶解したのち、それぞれ成形されており、いわゆる
湿式加工により賦形されている。セルロースジアセテー
トに可塑剤を加えた上で、熱可塑的に加工(乾式加工)
することも、数%とマイナーな用途の加工であるが、行
われて来ている。生分解性高分子材料の場合には、所
謂、プラスチック材料としての加工であり殆どの場合、
この様な加工が十分可能であることが前提となってい
る。ところで、現在、環境の保全という立場から、プラ
スチック材料の内、ディスポーザブル用途のものなど、
少なくとも数%のものは、生分解性であるべきであると
考えられる様になって来ている。そこで、微生物製造の
脂肪族ポリエステル、合成高分子としてのもの、さらに
は、天然高分子由来のものといった、少なくとも三つの
分野において、それぞれに、生分解性プラスチック材料
の開発を目的とした検討が、この数年、世界的に行われ
て来ている。
【0003】しかし、その開発状況は、未だ十分でな
く、多くの場合、価格的に高価という問題を持ち、実用
化にはかなり距離があると考えられ、なお数年の期間を
かけて着実に進めるべきとされている(生分解性プラス
チック実用化検討委員会報告書、平成7年3月)。特
に、天然高分子由来の、生分解性高分子の開発の研究
は、立ち遅れている。即ち、水に弱い、デンプン系の生
分解性プラスチック材料を除いて考えると、数年前に、
キトサンを、酢酸水溶液に溶解した上で、セルロースを
充填剤として加えるという、必ずしも成形の能率の良く
ない、湿式加工用の材料が、まず提案され、引き続い
て、デンプンをアセチル化した上で、低分子量ポリカプ
ロラクトンを可塑剤として用いた材料が、検討されて来
ているといった程度である。その様な状況下で、セルロ
ースアセテートについて、置換度2.5までのものは、活
性汚泥を用いる集積培養で10〜12日、浄化槽浸漬で約10
週間の処理で、顕著に分解されることを、1993年、米国
のコダックケミカル社の研究所の、C. M. Buchananら
が、学術誌上で発表した[C. M. Buchanan et al.:J. A
ppl. Polymer Sci., 47, 1709-1719(1993)]。
【0004】次いで、我が国でも、帝人(株)と大阪市
工研の酒井らが、置換度2.3のセルロースアセテートを
生分解する微生物として、Neisseria siccaを同定し、
また、ダイセル化学工業(株)と大阪市工研の研究者
は、同様な作用をする微生物として、Rizobium melilot
iとAlcaligenes xylosoxydansとを見出している。そし
て、それらの微生物は、acetyl esteraseとβ-glucosid
aseを酵素として持っており、前者によって、セルロー
スアセテートの側鎖アセチル基を、開裂ケン化させ、生
成した酢酸により、菌体を増殖し、セルロースアセテー
トの置換度が、1以下になるなど十分小さくなると、後
者のβ-glucosidaseが働いて、セルロース鎖を切り、グ
ルコースとした上で、さらに炭酸ガスと水にまで変換す
るという生分解機構が提案されている。これらのうち、
特に、Buchananらの論文発表は、セルロースジアセテー
トの可塑化、すなわち、プラスチック材料化の検討の気
運を醸成し、それによる生分解性プラスチック材料の開
発を促している。学術誌上には、セルロースジアセテー
トと脂肪族ポリエステルの相溶性に関する論文が、数多
く出る様になり、例えば、示差走査熱量計による測定
で、両者の相溶が完全なものではないにしろ、認められ
るといった知見が得られている。ただし、その延長線上
で、成形加工性が高く、物性の優れた複合材料が得られ
るという域には達していない様である。
【0005】一方で、企業からも呼応して、開発商品の
発表という形で、セルロースアセテート系の生分解性高
分子が、提案されている。一つは、1995年9月に、米国
のプラネット・ポリマー・テクノロジーズ社(カリフォ
ルニア州)が開発し、三菱商事(株)と日本触媒化学
(株)が、わが国での販売に係わるものとして、ルナー
レという商品名のものが上市された。このものは、セル
ロースジアセテート77%、トリアセチン23%の組成のも
ので、成形加工性、力学物性に優れたものであるが、高
価格であることが欠点とされた。他の一つは、ルナーレ
の発表の直後、ダイセル化学工業(株)が発表したもの
で、セルロースジアセテートを可塑剤として、低分子量
カプロラクトンにより可塑化したものである。この場合
も、生分解性の低分子量可塑剤を用いているという点
で、ルナーレと似ているが、価格が安い点が強みとなっ
ている。いずれにしても、酢酸セルロースは、熱可塑性
が十分でなく、そのまま加熱溶融させようとすると、軟
化する前に分解あるいは着色を来す。
【0006】従って、成形用組成物は、可塑剤を加えな
いと、熱可塑的に加工することは出来ない。このため
に、熱可塑的加工の前に、適当な可塑剤を混合せねばな
らない。この目的のために、種々の可塑剤が使用され
る。前出の、1993年以降、学術誌に目立って多く発表さ
れている、脂肪族ポリエステルをブレンドし、ブレンド
性、相溶性を検討している諸例は、高分子量可塑剤の添
加に相当すると云える。高分子量の可塑剤が使えれば、
得られる熱可塑化セルロースアセテートに、魅力的な物
性を与えうることが、低分子量可塑剤を使う場合より、
より多く期待出来る。しかし、高分子量可塑剤の添加
は、低分子量のそれに比べて、ブレンドに対するエント
ロピー効果が、約1桁小さくなることから、よい組合せ
を見出すのが、極めて困難であることは、良く知られて
いる。そのようなことから、セルロースアセテートの場
合でも、容易には画期的なものは見いだせず、上市され
たものは、可塑剤として低分子量のトリアセチンやオリ
ゴカプロラクトンを用いたものとなったといえよう。こ
れらは、生分解性プラスチック材料を作り出すことを前
提にした、可塑剤の選択であるが、従来からも、セルロ
ースアセテートの可塑化は、低分子量可塑剤が使われて
来た。
【0007】その代表的なものしては、ジメチルフタレ
ート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジメ
トキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコ
レート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジグリセ
リンテトラアセテート、o-トルエンスルホンアミド、p-
トルエンスルホンアミド、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、さらには、上記のトリアセ
チン、および低分子量カプロラクトンが挙げられる。す
なわち、アルキル基の短い、フタル酸エステル、グリコ
ール酸誘導体、グリセリン誘導体、リン酸エステルなど
であり、セルロースアセテートと相溶しうる可塑剤は限
られている。しかも、良くなじませるためには、例え
ば、90℃で6時間、ニーダ中で攪拌し、一体化を図った
後、210℃の混練エクストルーダで、溶融ブレンドする
といった手法が、工業的にも行われるなど、可塑化に
は、時間とエネルギーが多用されている。さらに、低分
子量可塑剤を用いる欠点としては、まず、成形物の力学
的特性など、物性を低下させることが挙げられる外、加
工時に、熱のために、可塑剤がミストとなり、成形物の
表面をくもらせたり、透明性を悪くしたり、またフィル
ムなど成形物となった後、可塑剤のブリードが起こると
いったことが挙げられる。
【0008】以上のように、高分子量にせよ、低分子量
にせよ、外部可塑剤を用いてセルロースアセテートの可
塑化を、問題なく行うことは、必ずしも容易でない。そ
こで考えられる第3の可塑化法は、セルロースアセテー
トの、糖鎖の化学修飾、乃至グラフト重合による方法で
ある。セルロース誘導体を、化学修飾乃至グラフト重合
により、可塑化しようとする試みは、これまでも幾つか
試みられて来た。それらの中で、魅力的なものとして
は、特開昭59-86621、特開昭60-188401、特開昭60-2124
22、特開昭61-37814号公報(ダイセル化学工業(株))
などが挙げられる。そこでは、セルロースアセテートを
主とする、水酸基を有するセルロース誘導体と、開環重
合触媒の存在下で、ε-カプロラクトンを重合させ、水
酸基を有するセルロース誘導体のグラフト重合体を生成
せしめており、透明で可撓性を持った、力学特性にも優
れた生成物を得ている。
【0009】その場合の問題点は、実施例で見る限り、
反応時間が6〜8時間と長い点、反応時に、溶剤を用い
る場合が多く、溶剤の回収とリサイクルの際に、溶剤の
逸散を招きやすいことにある。これらの問題点を解決
し、それを乗り越える技法として、1997年、Albert-Lud
wigs大学とRhone Poulenc Rhodia社の共同研究の成果が
発表された[H. Warth et al., J. Appl. Polymer Sc
i., 64, 231-242(1997)]。そこでは、セルロースアセ
テート、ソルビトールなど、多価アルコール、開環重合
触媒(チタン酸テトラブチル)の存在下で、バッチ式ミ
キサー(IKAVSCバッチ・ミキサー)を用いて、210℃、3
0分の反応により、ε-カプロラクトン、グリコリドある
いはラクチドを、前二者、すなわちセルロースジアセテ
ートと多価アルコールにグラフト重合させている。例え
ば、ε-カプロラクトン25wt%、多価アルコール25wt
%、触媒0.5wt%、セルロースジアセテート50wt%とい
う仕込みで反応を行っている。この場合、反応の後、真
空留去により、残存している揮発性モノマー類またはポ
リオールを除去している。得られたラクトングラフト化
セルロースジアセテートは、熱流動性を示す材料に変換
されているが、見掛けの融点(熱流動温度)は、181〜2
10℃でかなり高温である。
【0010】しかし、熱分解温度が、249〜276℃と測定
されており、それらの温度と熱流動温度には、十分な差
異があるので、プラスチック材料として十分使えるとさ
れている。得られた材料の力学特性は、引張強度14.8〜
17.5MPa、引張破壊伸び40〜81%、ヤング率336〜496MPa
と測定されており、エラストマー的材料、可撓性の大き
な材料といえる。なお、多価アルコール種を広く変化さ
せた場合、これらの特性は、かなり広く変えられる。熱
流動温度は、180〜222℃の範囲で変化させ得ており、ま
た引張特性については、強度11.5〜34.6MPa、破壊伸び5
〜64%、ヤング率458〜1408MPaの範囲の値が得られてい
る。熱流動温度は、先のラクチド種を変えたデータと比
べ、むしろ高温側に振れており、また、引張特性は、エ
ラストマーからガラス状ポリマーまで、広範囲の物性の
ものである。
【0011】一方、セルロースジアセテート63、60また
は57wt%、ε-カプロラクトンを、それぞれ31、30また
は29wt%、触媒チタン酸テトラブチル0.5wt%および充
填剤(リグニン、デンプン、セルロース、キチン、PE
G、PEGE/エチルエーテル、エポキシ化大豆油)5、9ま
たは13部の組成のコンパウンドを、それぞれ二軸エクス
トルーダーを用いて、反応温度を190℃、滞留時間を5
分、スクリュー速度を250rpmの条件で、リアクティブプ
ロセッシング的に調製する実験も行われ、論文中にデー
タが表示されている。この場合、5分という短い反応操
作で、ε-カプロラクトンが、セルロースジアセテート
と、充填剤の水酸基(キチンの場合、水酸基とアセチル
化アミノ基)にグラフト重合され、成形可能なコンパウ
ンドが得られているが、コンパウンドの熱流動温度は、
245℃に達するものがあるなど高温になっている。な
お、この場合は、残留している揮発性モノマー類の除去
は行っていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第一の課題は、より高能率な、水酸基を有するセル
ロース誘導体への、ラクトン類の開環グラフト共重合
法、および該グラフト重合体を提供することにある。本
発明が解決しようとする第二の課題は、よりプラスチッ
ク性、熱可塑性に優れたセルロース誘導体を得るため
の、ラクトン類のグラフト法と、それにより得られるグ
ラフト重合体を提供することである。本発明が解決しよ
うとする第三の課題は、水酸基を有するセルロース誘導
体に、開環重合触媒の存在下に、ラクトン類をグラフト
させ、生分解性を備えたプラスチック材料とその製造方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、本発明が
解決しようとする課題のそれぞれについて、その解決の
ために、既発表の文献の内容を詳細に検討し、それらが
到達しているレベル以上の知見を得るべく、鋭意研究を
重ねた。本発明者らは、まず、より高能率な、該グラフ
ト反応法を求めるべく、これまでの実績を調べた結果、
上記特開昭59-86621、特開昭60-188401、特開昭60-2124
22、特開昭61-37814号公報では、少なくとも実施例記載
の内容で見る限り、触媒はチタン酸テトラブチルのみを
用い、反応温度140〜160℃、反応時間6〜20時間であ
り、生成物をアセトンに溶解した上で非溶剤により沈
殿、精製したものについて、ε-カプロラクトングラフ
トの生起を確かめた。そして例えば、グラフト鎖が、ε
-カプロラクトンモノマー1.3〜3.5乃至4〜5単位から構
成されているといった知見を得ると共に、生成グラフト
化セルロースジアセテートの最適射出成形温度が、160
〜180℃であるといった知見を得た。
【0014】それに対して、前出のAlbert-Ludwigs大学
と、Rhone Poulenc Rhodia社の論文[H. Warth et al.,
J. Appl. Polymer Sci., 64, 231-242(1997)]では、
ダイセル化学工業(株)の上記特許公開公報と同じ触媒
を使った上で、IKAVISC Batch Mixerを用いて、反応温
度を210℃と大幅に上げて、反応時間を30分と大幅に下
げ、該グラフト反応の高能率化に成功している。それで
も、なお、グラフト生成物の熱流動温度という点では、
180〜222℃とやや高温側にあり、熱可塑化、プラスチッ
ク材料化という点では、不満を残している。しかも、こ
の場合、多価アルコールを、25wt%とε-カプロラクト
ンと同量使用し、それらが、ε-カプロラクトンとの反
応物となって、外部可塑剤として存在しているという状
況の下においてであり、低分子量可塑剤の使用の、前出
の問題点の存在も考え合わせると、大いに改善すべき状
況にあるといえる。そこで、本発明においては、まず、
従来の特許公報の実施例あるいは論文実験例で、固定し
て使われていたチタン酸テトラブチルを、他の開環重合
触媒に変えた検討を行い、オクチル酸スズを触媒に用い
ることにより、ε-カプロラクトンを含む環状エステル
のセルロースアセテートへのグラフト重合速度が、著し
く改善されることを発見した。
【0015】それらの検討を経て、水酸基を有するセル
ロース誘導体にグラフト重合する方法、およびそれらに
より得られる広範な加工性、及び物性を有するグラフト
体を提供することができた。すなわち、このフラスコ実
験の段階でも、生成グラフト化セルロースアセテート
は、165℃近辺の熱流動温度を示すものとなっており、
従来のε-カプロラクトングラフト化セルロースジアセ
テートのそれらに比べ、格段に低温のものが、容易に得
られ、かつ、広範囲の熱可塑性、プラスチック性を示す
ものとなっている。引き続いて、HAAKE社製Poly Labo s
ystem PTW25エクストルーダーを、L/D=36で用いるリア
クティブプロセシング手法による、セルロースジアセテ
ートへの、ε-カプロラクトンのオクチル酸スズによる
グラフト重合を検討した。
【0016】リアクティブプロセシング、すなわち、連
続反応という特性と、攪拌混合の高度化による、反応の
高能率化を図ったわけであるが、これにより、反応速度
の増大と、より低い液比での反応が、明確に行い得て、
生成物は、精製により未反応モノマー、ホモオリゴマー
を除去したもので、165〜170℃の熱流動温度を示すもの
が得られ、前出の、従来の特許および論文文献に見られ
る値より、格段に低温のものとなっている。他方、得ら
れたグラフト化セルロースジアセテートを、シート状に
成形した上で、シロアリ摂食性、菌摂食性等の生分解性
について調べたが、PPフィルムが変化を受けない条件下
で、本発明のε-カプロラクトングラフト化セルロース
ジアセテート(グラフト重合体)は、明確な変化を示
し、生分解性プラスチック材料であることを呈示した。
以上の様に、反応に用いる触媒を最適化し、さらに二軸
エクストルーダーを用いるリアクティブプロセシング
も、必要に応じ選択することにより、本発明を完成する
に至った。
【0017】即ち、本発明の第1は、水酸基を有するセ
ルロース誘導体に、環状エステルの開環重合触媒の存在
下で、ラクトン類を開環グラフト重合させてなる生分解
性グラフト重合体を提供する。本発明の第2は、ラクト
ン類がε-カプロラクトンであることを特徴とする本発
明の第1記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本
発明の第3は、環状エステルの開環重合触媒が、オクチ
ル酸スズであることを特徴とする本発明の第1〜2のい
ずれかに記載の生分解性グラフト重合体を提供する。本
発明の第4は、水酸基を有するセルロース誘導体が、ア
セチル基置換度1〜3のセルロースアセテートであるこ
とを特徴とする本発明の第1〜3のいずれかに記載の生
分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第5は、生
分解性グラフト重合体の重量平均分子量が、20万〜1
00万である本発明の第1〜4のいずれかに記載の生分
解性グラフト重合体を提供する。本発明の第6は、水酸
基を有するセルロース誘導体のグルコース単位当たり、
ε-カプロラクトン2〜50モルがグラフト重合された
本発明の第1〜5のいずれかに記載の生分解性グラフト
重合体を提供する。本発明の第7は、熱流動温度が16
0〜175℃である本発明の第1〜6のいずれかに記載
の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第8
は、生物の摂食可能な本発明の第1〜7のいずれかに記
載の生分解性グラフト重合体を提供する。本発明の第9
は、水酸基を有するセルロース誘導体に、オクチル酸ス
ズ触媒の存在下で、ラクトン類を開環グラフト重合させ
ることを特徴とする生分解性グラフト重合体の製造方法
を提供する。本発明の第10は、グラフト重合反応系の
水分が0.1重量%以下であることを特徴とする本発明
の第9記載の生分解性グラフト重合体の製造方法を提供
する。本発明の第11は、グラフト重合を、二軸エクス
トルーダーを用いて連続的に行うことを特徴とする本発
明の第9又は10記載の生分解性グラフト重合体の製造
方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる水酸基を有す
るセルロース誘導体としては、例えば、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタ
レート、および硝酸セルロース等のセルロースエステル
類、あるいはエチルセルロース、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等のセルロースエーテル類が挙げら
れる。これらの水酸基を有するセルロース誘導体のう
ち、生分解性であり、ラクトン類への溶解性が良く、比
較的安価で、工業的に入手しやすいことから、セルロー
ス脂肪酸エステル類を、本発明に使用することが好まし
く、さらに取り扱い易いことから、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセ
テートプロピオネートが好ましい。この中でも、セルロ
ースアセテートは特に好ましい。
【0019】本発明の環状エステルとしては、開環重合
し得るものであれば良く、例えば、β-プロピオラクト
ン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、α,α-ジ
メチル-β-プロピオラクトン、β-エチル-δ-バレロラ
クトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-
カプロラクトン、γ-メチル-ε-カプロラクトン、3,3,5
-トリメチル-ε-カプロラクトン、3,5,5-トリメチル-ε
-カプロラクトン、エナントラクトンなどのラクトン類
である。とりわけ工業的に入手しやすく、比較的安価
で、セルロースアセテートなど脂肪酸セルロースエステ
ルと、相溶性の優れたε-カプロラクトンを用いるのが
有利である。本発明において、水酸基を有するセルロー
ス誘導体と環状エステルの比率には特に制限ない。しか
し、一般に、グラフト重合を行うには、水酸基を有する
セルロース誘導体1〜85重量%と環状エステル15〜99重
量%の比率が望ましい。水酸基を有するセルロース誘導
体の仕込み比率が、85重量%より大きくなると、反応
系の粘度が著しく高くなり、取り扱いにくくなる。ま
た、水酸基を有するセルロース誘導体の仕込み比率が、
1重量%未満では、生産性が低下する。なお、粘度が高
い場合には、本発明に含まれるリアクティブプロセシン
グ的取り扱いは、効果を発揮する。
【0020】それでもなお取り扱い難いときには、補助
的に、第三成分としてセルロースアセテート、及び環状
エステルとの相溶性の良い活性水素を持たない有機溶
剤、あるいは、反応性を有する多価アルコールを加える
ことによって、系の粘度を取り扱いやすい範囲に下げ
て、反応させることも可能である。
【0021】一般に、水酸基を有するセルロース誘導体
にラクトン類をグラフト重合させる反応に用いられる触
媒としては、通常環状エステルの開環反応に用いられる
触媒、すなわち、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ
金属及びそのアルコキシドなど誘導体;トリエチルアル
ミニウムで代表されるアルキルアルミニウム及びその誘
導体、チタン酸テトラブチルで代表されるアルコキシチ
タン化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウレート
等の有機金属化合物;塩化スズなどの金属ハロゲン化物
が挙げられ、これらは、一般論として、ダイセル化学工
業(株)の前記公報等に広く記載されている。しかし、
本発明で用いられる好ましい触媒は、オクチル酸スズで
ある。
【0022】グラフト重合体を得るための重合温度は、
通常、環状エステルの開環重合に適用されている温度で
あり、好ましくは100〜210℃の温度である。また、反応
時間は、水酸基を有するセルロース誘導体とラクトン類
の種類、及び仕込み比率、触媒の種類と量、反応温度、
さらには、反応装置により異なり、特に制限はないが、
一時間以内で十分である。特に、二軸エクストルーダー
などのリアクティブプロセシング装置を、未反応モノマ
ーの真空留去回収装置と共に用いて、グラフト率、重合
率に留意せずに、熱可塑性付与の効果、すなわち、プラ
スチック材料への変換効果を中心に、反応法(グラフト
法、製造法)を組み立てる場合には、反応時間を、6分
以下など極端に短くして、目的を達することも可能であ
る。
【0023】また、本発明のグラフト重合体を得るに際
して、用いる原料および窒素、反応機等については、十
分に乾燥させておくことが望ましい。反応系の水分が0.
1重量%以下、好ましくは0.01wt%以下、より好ましく
は0.001wt%以下である。この様にして得られる反応生
成物は、原料の水酸基を有するセルロース誘導体の分子
量や、グラフトさせるラクトンの種類によるが、重量平
均分子量が20万〜200万の範囲のものが得られる。
重量平均分子量が20万以下では、元の酢酸セルロース
等の原料の重量平均分子量が15.7万の場合、付加ε
-カプロラクトンの量が少なく、このグラフト重合体か
ら調製された成形品は、可撓性が不充分となる。また、
重量平均分子量が100万以上では、成形材料の粘度が
高すぎて、樹脂成形材料に使用する際に成形上の問題を
生じる。重量平均分子量の特に好ましい範囲は30万〜
100万である。このような、水酸基を有するセルロー
ス誘導体と環状エステルの割合で重合した平均的なグラ
フト重合体は、グルコース単位当たり、ε-カプロラク
トン2〜50、好ましくは3〜30、更に好ましくは5
〜20モル付加重合してなる構造を有する。成形加工に
適切な生分解性グラフト重合体は、熱流動温度が、18
0℃未満、特に160〜175℃である。本発明による
反応生成物は、グラフト重合体、及び未反応のセルロー
ス誘導体、および環状エステルのホモポリマーが一部含
まれ得るが、その際、未反応のセルロース誘導体と環状
エステルのホモポリマーとの相溶性が、例え、それほど
良くなくても、グラフト重合体が仲介役(相溶化剤)と
なり、環状エステルのホモポリマーの混和性を良くする
ので、見かけ上均一な樹脂となる。
【0024】また、グラフト重合体のみを得て、正確な
グラフト量、熱可塑性といった特性を測定したいという
場合がある。その場合には、常法に従って、溶剤および
非溶剤を用いて分別、精製することにより、グラフト重
合体のみを得ることは、容易に出来る。直接法でのポリ
乳酸の製造などで、この種の精製は、工業的にも行いう
るものと考えられる様になって来ており、その重要性、
実際性は増してきている。すなわち、リアクティブプロ
セシングの分離工程で、それなりの設備を用意して、未
反応モノマーなど揮発性成分のみを除去する精製と、溶
剤、非溶剤を用いて、触媒の除去を含め精製を行う場合
と、コスト的にも、必ずしも前者が有利とは言い切れな
いと云われている。
【0025】前者に関連する特許文献としては、日本製
鋼所(株)の特開平7-304859号公報があり、後者に関連
するものとしては、三井東圧化学(株)[現三井化学
(株)]の特開平6-65360がある。環状エステルを付加
することによる、脂肪族セルロースエステルの内部可塑
化効果は、生成物の溶融温度を下げるとともに、熱分解
温度を上昇させ得る。このことにより、多量の可塑剤を
添加することなく、通常の熱可塑性樹脂の加工に用いら
れる成形手段、例えば、射出成形、押出成形、プレス成
形などにより成形加工を行うことが出来る。この環状エ
ステルによって、内部可塑化された、脂肪酸セルロース
エステル系熱可塑性成形品は、脂肪酸セルロースエステ
ルが生分解性であり、グラフト付加した化学種が、それ
ぞれに、重合により生成するポリカプロラクトンも、生
分解性であることが知られている。むしろ、生分解性高
分子である脂肪酸セルロースエステルに、生分解性高分
子を与えるモノマーを、意図的に付加グラフト重合した
高分子材料という側面を、本発明のグラフト化物は持っ
ている。
【0026】実際、実施例でも示されている様に、生分
解性が証明されている。従って、この環状エステルによ
って、内部可塑化された脂肪酸セルロースエステル系熱
可塑性成形材料による成形品は、例えば、シート、フィ
ルム、パイプ、棒、工具類、食器、包装材、電子部品
材、玩具など、生分解性プラスチック材料として多岐に
わたり使用出来ると共に、物性が優れていることもあ
り、さらに眼鏡枠、自動車ハンドル、医療用器具等々を
加えた多くの一般用途に、プラスチック材料として使い
うる。
【0027】さらに、この本発明による成形材料は外部
可塑剤の移行性もない。従来では、ジメチルフタレー
ト、ジエチルフタレート等のフタル酸エステルで可塑化
されたセルロースアセテートの成形品と、メタクリル酸
系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂などに
よる他の成形品を各々接触させ、高温高湿下に放置する
と、移行したフタル酸エステルにより、メタクリル酸樹
脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂等による他
の成形品は著しくおかされ、白化したり、微細なクレー
ジング等を発生する。しかしながら、本発明による環状
エステルで、内部可塑化された成形材料は、上記他の成
形品と高温高湿下に放置しても、他の成形品をおかすこ
とがない。また、通常、樹脂成形材料には、熱劣化防
止、熱着色防止のため、各種安定剤が添加されている
が、本発明の成形材料にも、それらを必要量、単独、ま
たは数種混合して添加しても差し支えない。また、その
他、可塑剤、充填剤、滑剤、帯電防止剤などを目的に応
じて添加して差し支えない。
【0028】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によっ
て具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例または
比較例に限定されるものではない。なお、本発明では、
特に断りのない限り、実施例中の部及び%は、重量部お
よび重量%を示す。
【0029】(比較例1)攪拌機、温度計、還流冷却器
(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、乾燥セルロー
スアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55
%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン400部
を加え、140℃に加温し、攪拌して、セルロースアセテ
ートを均一に溶解させた。溶解を確かめたのち、触媒と
して、チタン酸テトラブチル0.24部を、滴下により加
え、140℃で攪拌下に80分反応させた。反応時間終了
後、反応フラスコを油浴から引き上げ、乾燥窒素を大量
に吹き込むと同時に、十分量のアセトンを加え、全体を
均一に溶解した後、15000rpmで20分、遠心分離し、アセ
トン不溶解残渣を回収、アセトン不溶解残渣率を求めた
ところ0.34%であった。その後、アセトン可溶物を、適
当な濃度まで濃縮した後、大過剰のメタノール中に投
入、グラフト化セルロースアセテートを沈殿させた。沈
殿物を、0.2μmメンブランフィルターを用いて濾集し、
さらに大量のメタノールで洗浄、濾集して、未反応モノ
マーおよびε-カプロラクトンのホモオリゴマーを除去
した。得られたグラフト化セルロースアセテートを、送
風乾燥器、次いで真空乾燥器を用いて、それぞれ24時間
以上乾燥することにより収率を求めたところ、111.9%
であり、11.9%重量のグラフト付加が行われていること
が知られた。その結果、標準ポリスチレン換算で、出発
セルロースジアセテートが、数平均分子量(Mn)57,00
0、重量平均分子量(Mw)156,000であったのに対し、本
開環グラフト化セルロースアセテートは、Mnが62,000、
Mwが187,000で、上記グラフト付加量にほぼ見合う分子
量増加を見せていることが知られた。このグラフト化セ
ルロースアセテートは、フローテスターで熱流動を示
し、熱流動温度は240℃であった。出発セルロースジア
セテートが、不十分ながら熱流動を示し、その熱流動温
度が、260℃であることと比較すると、20℃という比較
的小規模の熱可塑性の改善である。また、この生成物
は、室温でガラス状の硬い材料であった。
【0030】(実施例1)攪拌機、温度計、還流冷却器
(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、絶乾セルロー
スアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55
%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン400部
を加え、反応系内の水分を0.1重量%以下にして、14
0℃に加温し、攪拌してセルロースアセテートを均一に
溶解させた。溶解を確かめたのち、触媒としてオクチル
酸スズ(II)0.24部を、滴下により加え、140℃で攪拌
下に80分反応させた。反応時間終了後、反応フラスコ
を、油浴から引き上げ、乾燥窒素を大量に吹き込むと同
時に、十分量のアセトンを加え、全体を均一に溶解した
後、15000rpmで20分、遠心分離し、アセトン不溶解残渣
を回収、アセトン不溶解残渣率を求めたところ0.01%で
あった。その後、アセトン可溶物を適当な濃度まで濃縮
した後、大過剰のメタノール中に投入、グラフト化セル
ロースアセテートを沈殿させた。沈殿物を、0.2μmメン
ブランフィルターを用いて濾集し、さらに大量のメタノ
ールで洗浄、濾集して、未反応モノマーおよびε-カプ
ロラクトンのホモオリゴマーを除去した。得られたグラ
フト化セルロースアセテートを、送風乾燥器、次いで真
空乾燥器を用いて、それぞれ24時間以上、乾燥すること
により収率を求めたところ、304.3%であり、204.3%重
量という大量のグラフト付加が行われていることが知ら
れた。この生成物について、テトラヒドロフランを溶
剤、展開剤として、GPC分析を行った。その結果、標準
ポリスチレン換算で、出発セルロースジアセテートが、
Mn57,000、Mw156,000であったのに対し、本開環グラフ
ト化セルロースアセテートは、Mnが127,000、Mwが304,0
00であり、グラフト重合が著しく進んでいることを裏付
けた。このグラフト化セルロースアセテートは、フロー
テスターで容易に熱流動を示し、熱流動温度は、165℃
と、著しく低い温度となっていた。チタン酸テトラブチ
ル触媒を用いて、得られたグラフト化セルロースアセテ
ートの熱流動温度が、240℃であった(比較例1)のと
比べると、75℃も低い温度になっており、このオクチル
酸スズ(II)触媒系でグラフト化反応が著しく増進させ
た結果に基づくものと理解できる。
【0031】(比較例2)攪拌機、温度計、還流冷却器
(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に、絶乾セルロー
スアセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55
%、置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン250部
を加え、160℃に加温し、攪拌してセルロースアセテー
トを均一に溶解させた。溶解を確かめたのち、触媒とし
てチタン酸テトラブチル0.25部を、滴下により加え、16
0℃で攪拌下に20分間反応させた。反応生成物(反応
液)を少量サンプリングし、その全部を、そのままテト
ラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。その結
果、反応生成物(反応液)の中味は、ピークのリテンシ
ョンタイムが22.07〜22.00分に現れる(区分I)モノマ
ー、すなわちε-カプロラクトンが67.0%;ピークのリ
テンションタイムが20.77〜20.65分に現れる(区分II)
低分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマーが0.31%;
ピークのリテンションタイムが、18.69〜17.49分に現れ
る(区分III)高分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマ
ーが0%;ピークのリテンションタイムが15.49〜15.22
分に現れる(区分IV)グラフト化セルロースアセテート
が31.6%であることが知られた。チタン酸テトラブチル
を触媒として用いるとき、160℃で20分反応させても、
反応生成物(反応物)中に、モノマーが重量で67.4%も
存在し、重合が進んでいないことが知られる。ちなみ
に、反応前の仕込み組成は、ε-カプロラクトンモノマ
ー71.4%、セルロースアセテート28.5%であり、この値
と比べても、モノマー67.0%、グラフト化したカプロラ
クトンを含めてのセルロースアセテート分31.6%という
値は、反応開始前と大して変わっておらず、重合が進ん
でいないことを裏付けしている。得られたグラフト化セ
ルロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが4
0,000、Mwが163,000であった。
【0032】(比較例3)反応時間を40分とする以外、
比較例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-
カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成物
(反応液)を少量サンプリングし、その全部を、そのま
まテトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。
その結果、反応生成物(反応液)の中味として、区分I
のモノマーが63.1%;区分IIの低分子量ホモオリゴマー
が0.29%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが1.27
%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが33.6%
であることが知られた。モノマーのまま残っている量が
依然として多く、モノマーとグラフト化セルロースアセ
テート量比が、仕込み組成に近く、重合が進んでいない
ことが分かる。得られたグラフト化セルロースアセテー
トについてのGPC分析の結果は、Mnが34,000、Mwが144,0
00であった。
【0033】(比較例4)反応時間を60分とする以外、
比較例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-
カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成物
(反応液)を少量サンプリングし、その全部をそのまま
テトラヒドロフランに溶解させ、GPC分析に供した。そ
の結果、反応生成物(反応液)の中味として、区分Iの
モノマーが、52.9%;区分IIの低分子量ホモオリゴマー
が、0.30%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.2
1%;区分IVのグラフト化セルロースアセテートが、38.
8%であることが知られた。モノマーのまま残っている
量が減ってはいるものの依然として多く、重合は60分経
ってもそれほど進んでいない。得られたグラフト化セル
ロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが61,
000、Mwが201,000であった。
【0034】(実施例2)攪拌機、温度計、還流冷却器
(上部に乾燥管付き)を備えた反応器に絶乾セルロース
アセテート(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、
置換度2.45)100部、精製ε-カプロラクトン250部を加
え、反応系中の水分を0.1重量%以下にして、160℃
に加温し、攪拌して、セルロースアセテートを均一に溶
解させた。溶解を確かめたのち、触媒としてオクチル酸
スズ(II)0.25部を、滴下により加え、160℃で5分間
反応させた。反応生成物(反応液)を少量サンプリング
し、その全部をそのままテトラヒドロフランに溶解さ
せ、GPC分析に供した。その結果、反応生成物(反応
液)の中味は、区分Iのモノマーが、48.5%;区分IIの
低分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマーが、0.19
%;区分IIIの高分子量ホモオリゴマーが、1.04%;区
分IVのグラフト化セルロースアセテートが、49.9%であ
ることが知られた。オクチル酸スズ(II)を触媒として
用いると、5分の反応でも、チタン酸テトラブチルを触
媒として、60分間反応する比較例4の場合と、同等以上
の反応が起こっていることが知られた。得られたグラフ
ト化セルロースアセテートについてのGPC分析の結果
は、Mnが90,000、Mwが222,000であった。
【0035】】(実施例3)反応時間を10分とする以
外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへの
ε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成
物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、21.6
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.36%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、2.22%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、73.4%であることが
知られた。得られたグラフト化セルロースアセテートに
ついてのGPC分析の結果は、Mnが121,000、Mwが359,000
であった。
【0036】(実施例4)反応時間を20分とする以外、
実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-
カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成物
(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、7.37
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.23%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、1.90%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、90.0%であることが
知られた。残存モノマーが、一桁まで低下し、グラフト
化セルロースアセテートが、全反応液中の90%を占める
など、反応がチタン酸テトラブチル触媒では達成出来な
い高い程度にまで、僅か20分の反応時間で達しているこ
とが明白に示された。また、低分子量にせよ、高分子量
にせよ、ε-カプロラクトンのみのホモオリゴマーの生
成は非常に低く、合計で2.13%にとまり、グラフト物が
全体の90%を占めることとあいまって、グラフト重合反
応が選択的に行われ得ることが明白に示されている。こ
のε-カプロラクトンのみの、ホモオリゴマーの生成が
抑制され、グラフト重合の選択性が高いことは、チタン
酸テトラブチル触媒の場合にも認められるが、オクチル
酸スズ(II)を触媒に用いると、その選択性がはっきり
と高まり、同時に、グラフト重合度が、格段に進むこと
がはっきりと見えて来ている。得られたグラフト化セル
ロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが15
7,000、Mwが528,000であった。
【0037】(実施例5)反応時間を40分とする以外、
実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-
カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成物
(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、2.59
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、1.08%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.54%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、91.0%であることが
知られた。未反応のモノマーが、2.59%まで減少してい
ること、それに対して、グラフト化セルロースアセテー
トが、91.0%と反応液中の9割を超える量にまで達して
いること、実施例4の場合に比べると、ε-カプロラク
トンのみが、重合したホモオリゴマーの合計量は、5.62
%とやや多くなっているが、選択的にグラフト重合が進
むということは、はっきりいえることなどが明らかであ
る。得られたグラフト化セルロースアセテートについて
のGPC分析の結果は、Mnが77,000、Mwが586,000であっ
た。
【0038】(実施例6)反応時間を80分とする以外、
実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへのε-
カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成物
(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、1.81
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.97%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、5.39%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、90.9%であることが
知られた。未反応のモノマーが、1.81%まで低下し、重
合反応が完徹しかねない状況である点は、比較例のチタ
ン酸テトラブチルとは著しい違いとなっている。グラフ
ト反応の選択性が圧倒的に高いことも、実施例2〜5と
同様である。得られたグラフト化セルロースアセテート
についてのGPC分析の結果は、Mnが136,000、Mwが723,00
0であった。
【0039】(実施例7)反応時間を100分とする以
外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへの
ε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成
物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、1.65
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.44%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.07%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、93.3%であることが
知られた。未反応のモノマーが、1.65%まで低下した
点、グラフト化セルロースアセテート生成量が、93.3%
まで達した点、このこととホモオリゴマー生成量が、合
計でも、4.51%と低価で、グラフト重合の選択性が著し
く高いといった点は、実施例6と同じか、それ以上であ
る。得られたグラフト化セルロースアセテートについて
のGPC分析の結果は、Mnが146,000、Mwが781,000であっ
た。
【0040】(実施例8)反応時間を120分とする以
外、実施例2と同じ条件で、セルロースアセテートへの
ε-カプロラクトンのグラフト重合を行った。反応生成
物(反応液)の中味として、区分Iのモノマーが、2.25
%;区分IIの低分子量ホモオリゴマーが、0.30%;区分
IIIの高分子量ホモオリゴマーが、4.43%;区分IVのグ
ラフト化セルロースアセテートが、92.8%であることが
知られた。未反応のモノマーが、2.25%まで低下し、グ
ラフト化セルロースアセテート生成量が、92.8%にまで
達したこと、グラフト重合の選択性が著しく高いことな
ど実施例5〜7と同等である。得られたグラフト化セル
ロースアセテートについてのGPC分析の結果は、Mnが13
7,000、Mwが678,000であった。
【0041】(実施例9)HAAKE社製Poly Labo System
PTW25二軸エクストルーダーを、L/D比36(D=25mm)で用
いて、セルロースジアセテートにε-カプロラクトンを
グラフト重合させた。仕込量比が、セルロースジアセテ
ート(L-40)100部に対して、ε-カプロラクトン400部
となるように、エクストルーダーに供給した。すなわ
ち、セルロースジアセテートは、粉末定量供給器によ
り、またε-カプロラクトンを、触媒であるオクチル酸
スズを、セルロースジアセテート100部に対し、4部とな
る様に、実験直前に秤り取って加えた上で、送流ポンプ
を用いる液体定量供給器によって、PTW25エクストルー
ダーに供給した。反応温度は、140℃とし、反応時間
(滞留時間)を30分とした。反応物は、PTW25エクスト
ルーダーの先端ノズル部から排出される形で出てくる
が、十分定量状態となった後のものを生成物として採取
した(なお、本実験では原料供給後40分(滞留時間+10
分)を経たのちサンプリングした)。その後、まずグラ
フト化セルロースジアセテートの重量を精秤し、その5
〜20倍量のアセトンを加えて均一に溶解した後、得られ
たアセトン溶液を、大過剰のメタノールあるいは、メタ
ノールに滴下、投入し、再沈殿させた。
【0042】得られた沈殿物を、目の粗さ0.2μmのPTFE
製メンブレンフィルターを用いて、濾集、回収した。さ
らに大量のメタノールで洗浄、濾集して、未反応モノマ
ーおよびε-カプロラクトンのホモオリゴマーを除去し
た。得られたグラフト化セルロースアセテートを、60℃
送風および真空乾燥器を用いて乾燥させた。一方、メタ
ノール可溶区分について分析し、仕込んだε-カプロラ
クトンに対し、未反応モノマー量が、10.6%、生成した
ホモオリゴマー量が、24.1%であることが知られた。こ
の場合、140℃での反応であるに拘わらず、リアクティ
ブプロセシングは良好に進み、未反応モノマー量を少な
くしているといえよう。得られた全乾生成物について、
テトラヒドロフランを展開剤としてGPC分析を行った。
その結果、標準ポリスチレン換算で、出発セルロースジ
アセテートが、Mn57,000、Mw156,000であったのに対
し、ここで得られた開環グラフトセルロースアセテート
は、Mnが125,000、Mwが498,000であった。この場合、触
媒量が、4部と相対的に小さいことが指摘できる。それ
にも拘わらず、得られた分子量の値から考えて、セルロ
ースアセテートへのグラフト重合が十分なされていると
言える。このことは、IR分析でも確かめられた。また、
このグラフト化セルロースアセテートは、明確な熱流動
を示し、フローテスターで測った熱流動温度(Tf)は、
170℃であった。また、この生成物は、室温でエラスト
マー状であった。この点は、ε-カプロラクトングラフ
ト物であるためと理解できる。
【0043】(実施例10)オクチル酸スズ触媒量を、
セルロースジアセテート100部に対して、6部と、1.5倍
とする以外、実施例9と同一条件、同一様式の開環グラ
フト化反応を行った。メタノール可溶区分について分析
した結果、仕込んだε-カプロラクトンに対し、未反応
モノマー量が、3.4%、生成したホモオリゴマー量が、2
7.1%であることが知られた。この場合、140℃での反応
であるが、リアクティブプロセシングは良好に進み、未
反応モノマー量を少なくしているといえよう。ホモオリ
ゴマーを除去せず、可塑剤として使うことも将来的に考
えられる。得られたグラフト化セルロースアセテートに
ついてのGPC分析の結果は、Mnが137,000、Mwが435,000
であり、実施例9の反応生成物より大きな分子量を持つ
ものとなった。触媒の量を多くすることにより、グラフ
ト化生成量が多くなるという結果を示すものといえる。
生成物の熱流動温度も165℃と、実施例9の170℃に比べ
て、5℃低い温度になっている。また、生成物は室温で
エラストマーであった。
【0044】(実施例11)本実施例に使用したε-カ
プロラクトン・グラフト・セルロースジアセテートは、
液比4、オクチル酸スズ(II)触媒量0.24%(セルロー
スジアセテート100部に対しては、1.2部に相当す
る。)、反応温度140℃、反応時間80分の条件でフラス
コ内でグラフト重合させ、アセトン溶解/メタノールへ
の再沈澱を2回繰り返して精製したものである。この反
応組成物を、シート状に熱圧成形した後、0.4mm厚、約2
0×20mmに切り出したシートを試片として用いた。20リ
ットル容で、38℃に調温されているコンポスト装置(ナ
チュレポケットNS-1、(有)自然耕房製)内には、おが
くずと、好気性の炭化物分解菌(NS菌)をまず仕込み、
月〜土曜日に、一日当たり1kgの残飯が投入されると
いう形で、継続的に運転を行った。(10日に1日は、
菌を休ませるため、何も投入しない方が良いとされてい
る。そこで、本実験では、日曜日には残飯の投入を行わ
ず休養日とした。)好気性菌による分解を行っているた
め、装置内での撹拌を、4時間に一度宛行った。この撹
拌に対処するため、用いたシート状の小型試片は、金属
乃至硬質プラスチック性の網状のプロテクト容器に挟ん
で、投入試験した。
【0045】コンポスト処理試験期間は1ヵ月とし、そ
の期間終了後、試片を取り出し、注意深く、まず洗浄を
行い、水分を軽く拭った後、40℃送風乾燥器中で予備乾
燥後、常温で真空乾燥を一昼夜行い、秤量した。コンポ
スト処理前後の重量差から、重量減少率を求めたとこ
ろ、9.24%であった。コンポスト処理前後は、無色透明
で平滑な表面を持っていた試片が、このコンポスト処理
により、全体的に褐色を帯び、一部は不透明で濁りを持
った状態になった。表面も凹凸が目立った状態になっ
た。走査電子顕微鏡鏡査でも、表面状態に大きな変化が
認められ、コンポスト処理によって微生物に侵されてい
るという状況が認められ、裏付けられた。
【0046】(実施例12)本実施例に使用したε-カ
プロラクトン・グラフト・セルロースジアセテートは、
液比6、オクチル酸スズ(II)触媒量0.09%(セルロー
スジアセテート100部に対しては0.64部添加に相当す
る)、反応温度140℃、反応時間80分の条件でフラスコ内
でグラフト重合させ、アセトン溶解/メタノールへの再
沈澱を繰り返し精製したものである。この精製して得た
試片からの成形シート(20×20×0.4mm)を切り出し、
実施例11と同様なコンポスト処理実験を行った。その
結果、1ヵ月間のコンポスト処理により、16.7%重量減
少が認められ、表面状態も実施例11の場合と同様の変
化が認められた。このことは、走査電子顕微鏡鏡査によ
り、実施例11の場合と同様な、大きな変化として確か
められ、裏付けられた。原料の割合、反応条件およびグ
ラフト重合物の収率を第1表に示す。
【0047】
【表1】
【0048】第1表の反応条件により得られた反応生成
物の組成、グラフト重合体の流動温度および平均分子量
を、纏めて第2表に示す。なお、組成物のI〜IVは、G
C分析によるピークのリテンションタイムが、22.07〜2
2.00分に現れるε-カプロラクトンモノマー(区分
I)、20.77〜20.65分に現れる低分子量ε-カプロラク
トンホモオリゴマー(区分II)、18.69〜17.49分に現れ
る高分子量ε-カプロラクトンホモオリゴマー(区分II
I)および15.49〜15.22分に現れるグラフト化セルロー
スアセテート(区分IV)を表す。
【0049】
【表2】
【0050】(比較例5)ガラス瓶(直径45mm、高さ78
mm)の底面に、20メッシュパスの砂10gを敷き、蒸留水2
mlを加えた。これを試験容器とする。試験容器には、重
量既知のポリプロピレン(PP)製シート小片(10×10×
0.4mm)1枚と、イエシロアリ(職蟻45頭、兵蟻5頭)を
加えて試験を行った。試験容器には、ポリエチレン製の
ふた(直径42mm)を軽くしめた。試験期間は3週間で、
試験容器は、温度30℃、相対湿度80%の暗所で静置し
た。試験終了後、PPシートを取り出し、丁寧に拭った
後、秤量し、重量減少率を求めたところ、5枚の平均
で、-0.926%の重量減少を示した。マイナスの値になっ
たのは、試験中の吸湿ないし、異物付着の影響と思われ
るが、いずれにしても上述の条件下では、PPはシロアリ
により摂食されないことを示す結果である。
【0051】(実施例13)比較例5と同様の強制摂食
試験を、実施例5で調製した、ε-カプロラクトングラ
フトセルロースジアセテートを成形して得たシート小片
(10×10×0.4mm)を紙片として行ったところ、5枚の
平均で18.2%の重量減少率が得られた。この結果は、PP
シート小片が、全くシロアリに摂食されなかったのに比
べ、明確な差のある結果であり、実施例5で調製したε
-カプロラクトン・グラフト・セルロースジアセテート
は、生分解性があるものと考えられる。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、公知技術(比較
例)に比べて、目的のε-カプロラクトンのセルロース
アセテートへのグラフト化反応を、画期的といえるほど
格段に増進させた。このグラフト重合体は、重量平均分
子量が20万〜80万と、グラフト重合が著しく進んで
いるのは明らかである。また、このグラフト重合体は、
フローテスターで容易に熱流動を示し、熱流動温度は、
180℃未満と低い温度となっていた。また、コンポス
ト処理によって、菌、微生物等に侵され(摂食され)て
いるという状況がハッキリと認められ、生分解性がある
のは明らかである。さらに、シロアリのような生物によ
る強制摂食試験の結果は、本発明のシートグラフト重合
体が、シロアリに短期間でかなり摂食され、生分解性が
あるのは明らかである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を有するセルロース誘導体に、環
    状エステルの開環重合触媒の存在下で、ラクトン類を開
    環グラフト重合させてなる生分解性グラフト重合体。
  2. 【請求項2】 ラクトン類がε-カプロラクトンである
    ことを特徴とする請求項1記載の生分解性グラフト重合
    体。
  3. 【請求項3】 環状エステルの開環重合触媒が、オクチ
    ル酸スズであることを特徴とする請求項1〜2のいずれ
    かに記載の生分解性グラフト重合体。
  4. 【請求項4】 水酸基を有するセルロース誘導体が、ア
    セチル基置換度1〜3のセルロースアセテートであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生分解
    性グラフト重合体。
  5. 【請求項5】 生分解性グラフト重合体の重量平均分子
    量が、20万〜100万である請求項1〜4のいずれか
    に記載の生分解性グラフト重合体。
  6. 【請求項6】 水酸基を有するセルロース誘導体のグル
    コース単位当たり、ε-カプロラクトン2〜50モルが
    グラフト重合された請求項1〜5のいずれかに記載の生
    分解性グラフト重合体。
  7. 【請求項7】 熱流動温度が160〜175℃である請
    求項1〜6のいずれかに記載の生分解性グラフト重合
    体。
  8. 【請求項8】 生物の摂食可能な請求項1〜7のいずれ
    かに記載の生分解性グラフト重合体。
  9. 【請求項9】 水酸基を有するセルロース誘導体に、オ
    クチル酸スズ触媒の存在下で、ラクトン類を開環グラフ
    ト重合させることを特徴とする生分解性グラフト重合体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 グラフト重合反応系の水分が0.1重
    量%以下であることを特徴とする請求項9記載の生分解
    性グラフト重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 グラフト重合を、二軸エクストルーダ
    ーを用いて連続的に行うことを特徴とする請求項9又は
    10記載の生分解性グラフト重合体の製造方法。
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