JP2000319401A - グラフト化セルロース誘導体の脱色方法 - Google Patents

グラフト化セルロース誘導体の脱色方法

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JP2000319401A
JP2000319401A JP13056899A JP13056899A JP2000319401A JP 2000319401 A JP2000319401 A JP 2000319401A JP 13056899 A JP13056899 A JP 13056899A JP 13056899 A JP13056899 A JP 13056899A JP 2000319401 A JP2000319401 A JP 2000319401A
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cellulose derivative
cellulose
grafted
cellulose acetate
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Yasuteru Kajikawa
泰照 梶川
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色したグラフト化セルロース誘導体の脱色
方法を提供する。 【解決手段】 水酸基を有するセルロース誘導体に、開
環重合触媒の存在下で、環状エステル類を開環グラフト
重合させて得られるグラフト化セルロース誘導体を、過
酸化物と接触反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト化セルロ
ース誘導体の脱色方法に関するものであり、詳しくは、
セルロースアセテートのような水酸基を有するセルロー
ス誘導体に、ラクトン類を主とする環状エステルを開環
グラフト重合して得られた着色したグラフト化セルロー
ス誘導体を過酸化物により処理するグラフト化セルロー
ス誘導体の脱色方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートは、セルロース誘
導体の中でも、価格が低廉で、工業生産量が最も多い。
このセルロースアセテートは、写真フィルムのベースポ
リマー、たばこ用のフィルター、衣料用繊維等に、従来
より使われている。ところで、現在、環境の保全という
立場から、プラスチック材料の内、ディスポーザブル用
途のものなど、少なくとも数%のものは、生分解性であ
るべきであると考えられる様になって来ている。
【0003】しかし、特に、天然高分子由来の、生分解
性高分子の開発の研究は、立ち遅れている。すなわち、
水に弱い、デンプン系の生分解性プラスチック材料を除
いて考えると、数年前には、キトサンを、酢酸水溶液に
溶解した上で、セルロースを充填剤として加えるとい
う、必ずしも成形の能率の良くない、湿式加工用の材料
が、まず提案されている。引き続いて、特公昭61−1
4168号公報にはデンプンをアセチル化した上で、低
分子量ポリカプロラクトンを可塑剤として用いた材料
が、検討されてきている程度である。
【0004】そのような状況下で、セルロースアセテー
トについて、置換度2.5までのものは、活性汚泥を用い
る集積培養で10〜12日、浄化槽浸漬では約10週間の処理
で、顕著に分解されることを、C.M.Buchananらが発表し
た[C.M.Buchanan et al.:J.Appl.Polymer Sci.,47.1709
-1719(1993)]。ついで、置換度2.3のセルロースアセテ
ートを分解する微生物として、Neisseria siccaやRhizo
pus meliloti1とAlicaligenes xylosoxydansが見出され
ている。そして、それらの微生物は、acetyl esterase
とβ-glucosidaseを酵素として持っており、前者によっ
て、セルロースアセテートの側鎖アセチル基を、開裂ケ
ン化させ、生成した酢酸により、菌体を増殖し、セルロ
ースアセテートの置換度が1以下になるなど十分小さく
なると、後者のβ-glucosidaseが働いて、セルロース鎖
を切り、グルコースとした上で、さらに炭酸ガスと水ま
で変換するという生分解機構が提案されている。これら
のうち、特に、Buchananらは、セルロースジアセテート
の可塑性、すなわち、プラスチック材料化の検討の気運
を醸成し、それによる生分解性プラスチック材料の開発
を促している。
【0005】一方、セルロースジアセテート系の生分解
性高分子が、提案されている。一つは、プラネット・ポ
リマー・テクノロジーズ社が上市したルナーレ(商品
名)は、セルロースジアセテート77%、トリアセチン23
%の組成のもので、成形加工性、力学物性に優れたもの
であるが、高価であることが欠点とされた。他の一つ
は、ダイセル化学工業(株)が発表した、セルロースジ
アセテートを可塑剤として低分子量カプロラクトンによ
り可塑化したものである。この場合も、生分解性の低分
子可塑剤を用いるという点で、ルナーレと似ているが、
価格が安い点が強みとなっている。いずれにしても、酢
酸セルロースは、そのまま加熱溶融させようとすると、
軟化する前に分解あるいは着色を来すので、加工の前に
適当な可塑剤を混合させねばならず、種々の可塑剤が使
用されている。
【0006】低分子量可塑剤としては、アルキル基の短
い、フタル酸エステル、グリコール酸誘導体、グリセリ
ン誘導体、リン酸エステルなどがセルロースアセテート
と相溶しうる可塑剤として使用されている。しかも、よ
くなじませるためには、例えば、90℃で6時間、ニーダ
中で攪拌し、一体化を図った後、210℃の混練エクスト
ルーダーで溶融ブレンドするといった手法が、工業的に
も行われるなど、可塑化には時間とエネルギーが多用さ
れている。さらに、低分子量可塑剤を用いる欠点として
は、まず、成形物の力学的特性など、物性を低下させる
ことが挙げられる外、加工時に、熱のために可塑剤がミ
ストとなり、成形物の表面をくもらせたり、透明性を悪
くしたり、またフィルムなど成形物となった後、可塑剤
のブリードが起きるといったことが挙げられる。
【0007】高分子量の可塑剤を使えれば、得られる熱
可塑性セルロースアセテートに魅力的な物性を与えうる
ことが、低分子量可塑剤を使う場合より、より多く期待
できる。しかし高分子量可塑剤の添加は、低分子量のそ
れ比べて、ブレンドに対するエントロピー効果が、約一
桁小さくなることから、よい組合せを見出すことがきわ
めて困難である。
【0008】第三の可塑化法は、セルロースアセテート
の、糖鎖の化学修飾乃至グラフト重合による方法であ
る。セルロース誘導体を、化学修飾乃至グラフト重合に
より、可塑化しようとする試みが行われてきた(特開昭
59-86621)。そこでは、セルロースアセテートを主とす
る、水酸基を有するセルロース誘導体と、開環重合触媒
存在下で、ε-カプロラクトンを重合させ、水酸基を有
するセルロース誘導体のグラフト化物を生成せしめてお
り、透明で可撓性を持った、力学特性にも優れた生成物
を得ている。
【0009】H.Warthらは、J.Appl.Polymer Sci., 64,
231-242(1997)において、セルロースアセテート、ソル
ビトールなどの多価アルコールに、チタン酸テトラブチ
ルのような開環重合触媒の存在下で、バッチ式ミキサー
を用いて、210℃、30分の反応により、ε-カプロラクト
ン25wt%,多価アルコール25wt%、触媒0.5wt%、セルロー
スジアセテート50wt%で反応を行い、反応の後、真空留
去により、残存している揮発性モノマー類または、ポリ
オールを除去している。得られたラクトングラフト化セ
ルロースジアセテートは、熱流動性を示す材料に変換さ
れているが、見かけの融点(熱流動温度)は、181〜210
℃で、熱分解温度が249〜276℃であり、熱流動温度は、
熱分解温度より十分低いので使用可能であるとされてい
る。得られた材料の力学特性は、引張強度14.8〜17.5MP
a、引張破壊伸び40〜81%、ヤング率336〜496MPaであ
り、エラストマー的材料、可撓性の大きな材料といえ
る。
【0010】なお多価アルコール類を広く変化させた場
合、これらの特性は、かなり広く変えられ、熱流動温度
は180〜222℃、引張特性は11.5〜34.6MPa、破壊伸びは5
〜64%、ヤング率は458〜1408MPaの範囲で変化できる。
熱流動温度は、先のラクトン種を変えたデータと比べ、
むしろ高温側に振れており、また、引張特性は、エラス
トマーからガラス状ポリマーまで、広範囲の物性のもの
である。
【0011】一方、セルロースジアセテート63、60また
は57wt%、ε-カプロラクトンを、それぞれ31、30または
29wt%、触媒チタン酸テトラブチル0.5wt%及び充填剤5、
9または13部の組成のコンパウンドを、それぞれニ軸エ
クストルーダーを用いて、反応温度を190℃、滞留時間
を5分、スクリュー速度を250rpmの条件で、リアクティ
ブプロセッシング的に調製されている。この場合、5分
という短い反応操作で、ε-カプロラクトンが、セルロ
ースジアセテートと、充填剤の水酸基にグラフト重合さ
れ、成形可能なコンパウンドが得られているが、コンパ
ウンドの熱流動温度は、245℃に達するものがあるなど
高温になっている。このように、水酸基を有するセルロ
ース誘導体に、環状エステル類をグラフト重合させるこ
とに関する検討はいくつかなされている。
【0012】一方、セルロース誘導体は非常に熱に弱
く、すぐに着色してしまうことが知られている。例えば
特開平10-306175および特開昭63-128036号公報には、外
部可塑化したセルロース誘導体の熱成形時の色相悪化を
防ぐため、安定剤として亜リン酸エステル化合物、弱有
機酸、チオエーテル化合物、エポキシ化合物を添加する
ことが記載されている。しかし、これまでに述べたセル
ロース誘導体のグラフト反応は、いずれも高温下での重
合であるため、グラフト物の着色は避けられず、それ
は、セルロース誘導体の商品価値を下げる結果となる
が、これまでの発明には着色に対する対策は何も記載さ
れていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、グラフ
ト化セルロース誘導体(以下、グラフト物と略称するこ
とがある。)の色相を改善することを目的として鋭意研
究の結果、グラフト反応により生成した着色グラフト物
を過酸化物と反応させることにより、完全に着色を取り
除くことが出来、かつ色相以外の物性にはまったく影響
を及ぼさないことを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】すなわち本発明の第1は、水酸基を有する
セルロース誘導体に環状エステル類を開環グラフト重合
させて得られる着色したグラフト化セルロース誘導体
を、過酸化物により処理することを特徴とするグラフト
化セルロース誘導体の脱色方法を提供する。本発明の第
2は、水酸基を有するセルロース誘導体が、セルロース
アセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロ
ースアセテートプロピオネートであることを特徴とする
本発明の第1に記載のグラフト化セルロース誘導体の脱
色方法を提供する。本発明の第3は、環状エステル類
が、ε-カプロラクトンであることを特徴とする本発明
の第1に記載のグラフト化セルロース誘導体の脱色方法
を提供する。本発明の第4は、過酸化物が、過酸化水
素、過酸化亜鉛、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチ
ウム、過酸化ナトリウム、過酸化鉛、過酸化バリウムか
ら選ばれる無機過酸化物、または過酢酸、過酸化ジター
シャルブチル、過酸化ビス(α,α-ジメチルベンジ
ル)、メタクロロ過安息香酸から選ばれる有機過酸化物
であることを特徴とする本発明の第1に記載のグラフト
化セルロース誘導体の脱色方法を提供する。本発明の第
5は、過酸化水素水を使用して、常温で処理することを
特徴とする本発明の第4に記載のグラフト化セルロース
誘導体の脱色方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる水酸基を有す
るセルロース誘導体としては、例えば、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタ
レート、及び硝酸セルロース等のセルロースエステル
類、あるいはエチルセルロース、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピル
メチルセルロース等のセルロースエーテル類が挙げられ
る。
【0016】これらの水酸基を有するセルロース誘導体
のうち、生分解性であり、環状エステル類への溶解性が
良く、比較的安価で、工業的に入手しやすいことから、
セルロース脂肪酸エステル類を本発明に使用することが
好ましく、さらに取り扱いやすいことから、セルロース
アセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロ
ースアセテートプロピオネートが好ましい。この中で
も、セルロースアセテートは特に好ましい。
【0017】本発明でグラフト化に使用する環状エステ
ルとしては、開環重合し得るものであればよく、例え
ば、β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カ
プロラクトン、α,α-ジメチル-β-プロピオラクトン、
β-エチル-δ-バレロラクトン、α-メチル-ラクトン、
β-メチル-ε-カプロラクトン、γ-メチル-ε-カプロラ
クトン、3,3,5-トリメチル-ε-カプロラクトン、3,5,5-
トリメチル-ε-カプロラクトン、エナントラクトンなど
のラクトン類、グリコリド、ラクチドなどの環状エステ
ルなど、またはこれらの混合物が挙げられる。とりわけ
工業的に入手しやすく、比較的安価で、セルロースアセ
テートなどの脂肪酸セルロースエステルと相溶性の優れ
たε-カプロラクトンを用いることが有利である。
【0018】本発明において、グラフト化を行う際の、
水酸基を有するセルロース誘導体と環状エステルの比率
には特に制限はないが、水酸基を有するエステル誘導体
1〜85wt%と環状エステル15〜99wt%の比率が望ましい。
水酸基を有するセルロースエステル誘導体の仕込み比率
が85wt%より大きくなると、反応系の粘度は著しく高く
なり、取り扱いにくくなる。また水酸基を有するセルロ
ース誘導体の仕込み比率が1wt%未満では、生産性が低下
する。
【0019】なお、粘度が特に高い場合には、必要に応
じて二軸エクストルーダーなどを用いるリアクティング
プロセッシング装置を、モノマーの真空留去回収装置と
共に用いてもよい。それでもなお取り扱い難いときに
は、補助的に、第三成分としてセルロースアセテート、
及び環状エステルとの相溶性のよい活性水素を持たない
有機溶剤、あるいは、反応性を有する多価アルコールを
加えることによって、系の粘度を取り扱いやすい範囲に
下げて、反応させることも可能である。
【0020】一般に、水酸基を有するセルロース誘導体
に、ラクトン類をグラフト重合させる反応に用いられる
触媒としては、通常環状エステルの開環反応に用いられ
る触媒、すなわち、ナトリウムやカリウムなどのアルカ
リ金属及びそのアルコキシドなどの誘導体;トリエチル
アルミニウムで代表されるアルキルアルミニウム及びそ
の誘導体、チタン酸テトラブチルで代表されるアルコキ
シチタン化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウリ
レート等の有機金属又は金属錯体;塩化スズなどの金属
ハロゲン化物が挙げられ、好ましくは、オクチル酸スズ
である。
【0021】グラフト物を得るための重合温度は、通
常、環状エステルの開環重合に適用されている温度であ
り、好ましくは100〜210℃である。また、反応時間は、
水酸基を有するセルロース誘導体とラクトン類の種類、
及び比率、触媒の種類と量、反応温度、さらには、反応
装置により異なり、特に制限はないが、好ましくは1時
間〜8時間である。特に、二軸エクストルーダーなどの
リアクティブプロッセシング装置を、未反応モノマーの
真空留去回収装置と共に用いる場合には、反応時間を10
分以下など極端に短くして、目的を達することも可能で
ある。
【0022】また本発明のグラフト物を得るに際して、
用いる原料および窒素、反応機等については、十分に乾
燥しておくことが望ましい。反応系の水分が0.1wt%以
下、好ましくは0.01wt%以下、より好ましくは0.001wt%
以下である。この様にして得られるグラフト物は、原料
の水酸基を有するセルロース誘導体の分子量や、グラフ
トさせるラクトンの種類によるが、重量平均分子量が20
万〜200万の範囲のものであり、好ましい範囲は30万〜1
00万である。グラフト物の重量平均分子量が20万未満で
は、もとの酢酸セルロース等の原料の重量平均分子量が
15.7万の場合、付加ε-カプロラクトンの量が少なく、
このグラフト重合体から調製された成形品は、可撓性が
不充分となる。また、重量平均分子量が200万を超える
と、成形材料の粘度が高すぎて、樹脂成形材料に使用す
る際に成形上の問題を生じる。
【0023】このような、水酸基を有するセルロース誘
導体と環状エステル(例えばε-カプロラクトン)の割
合で重合した平均的なグラフト物は、グルコース単位当
り、ε-カプロラクトン2〜50、好ましくは3〜30、更に
好ましくは5〜20モル付加重合してなる構造を有する。
成形加工に適切な生分解性グラフト物は、熱流動温度
が、180℃未満、特に160〜175℃である。また、グラフ
ト物のみを得て、正確なグラフト量、熱可塑性といった
特性を測定したいという場合がある。その場合には、常
法に従って、溶剤および非溶剤を用いて分別、精製する
ことにより、グラフト物のみを得ることは、容易に出来
る。
【0024】直接重合法でのポリ乳酸の製造などで、こ
の種の精製は、工業的にも行いうるものと考えられる様
になって来ており、その重要性、実際性は増してきてい
る(特開平7-304859号公報)。この様にして得られるグ
ラフト物は、前にも述べたようにセルロース誘導体が熱
に弱いこととグラフト反応自体が比較的高温で行なわれ
るため、程度の大小はあるが、いずれも褐色に着色して
いる。着色の程度は、通常、黄色度で50〜95程度で
ある(なお、黄色度の最高値は100である。)。
【0025】脱色に使用する過酸化物としては、過酸化
水素、過酸化亜鉛、過酸化カルシウム、過酸化ストロン
チウム、過酸化ナトリウム、過酸化鉛、過酸化バリウム
等の無機過酸化物、または過酢酸、過酸化ジターシャル
ブチル、過酸化ビス(α,α-ジメチルベンジル)、メタ
クロロ過安息香酸等の有機過酸化物が挙げられる。これ
らの過酸化物は、着色したグラフト物と直接混合しても
よいし、水やアルコール等の溶剤に希釈して混合しても
よい。過酸化物を溶液で使用する場合には、過酸化物の
濃度が0.1〜90重量%、好ましくは1〜30重量%
のものを使用する。グラフト物と過酸化物の混合割合
は、グラフト物100重量部に対して正味の過酸化物1
〜500重量部、好ましくは50〜200重量部であ
る。過酸化物が上記範囲未満では、脱色効果が不十分に
なり、また、上記範囲超えると経済的でなくまた、グラ
フト物中の残留過酸化物の除去が困難になる。処理方法
は、着色したグラフト物に過酸化物が接触すればよい。
グラフト物は反応マスのままでもよいが、過酸化物との
接触面積を増加させるために、細片、ストランド、ペレ
ット、微粉末のような状態が好ましく、溶液、もしくは
鹸濁液にして処理することもできる。グラフト物は、過
酸化物の溶液にグラフト物を単に浸漬するだけでも、撹
拌機で掻き混ぜてもよいが、撹拌することが好ましい。
処理温度は、0〜250℃、好ましくは10〜100℃
であり、特に好ましくは常温付近である。本発明によれ
ば、特に加熱の必要がないので、設備的にも、エネルギ
ー的にも容易に行うことができる。接触時間は、1分〜
48時間、好ましくは10分〜24時間、さらに好まし
くは1〜12時間である。上記着色グラフト物の過酸化
物処理は、無触媒で行われるが、触媒の存在下でも行う
ことが可能であり、さらにセルロース誘導体の環状エス
テルによるグラフト重合後の触媒が残存した状態でも構
わない。
【0026】本発明によれば、黄色度90以上のものを
10以下に、黄色度90以下のものは10以下に、好ま
しくは5以下に、さらに好ましくは3以下に、黄色度1
0以下のものは黄色度1以下にすることが可能である。
なお、黄色度3.0以下のものは、視覚的には実質上無
色である。
【0027】この様にして、過酸化物による処理を行な
い、色相が改善されたグラフト化セルロース誘導体は、
内部可塑化効果により溶融温度が下がり、熱分解温度と
の差が大きくなるため、多量の可塑剤を添加することな
く、通常の熱可塑性樹脂の加工に用いられる成形手段、
例えば、射出成形、押出成形、プレス成形などにより成
形加工を行うことが出来る。
【0028】上記グラフト化セルロース誘導体は、例え
ば、シート、フィルム、パイプ、棒、工具類、食器、包
装材、電子部品、玩具など、さらには眼鏡枠、自動車ハ
ンドル、医療用器具類等々を加えた多くの一般用途に、
プラスチック材料として使いうる。
【0029】従来、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート等のフタル酸エステルで可塑化されたセルロース
アセテートの成形品と、メタクリル酸系樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、スチレン系樹脂等の他の成形品を長期間
接触させておくと、後者の他の成形品は著しく侵され、
白化したり、微細なクレージング等を発生する。しかし
ながら、本発明における環状エステルをグラフトしたセ
ルロース誘導体を使用して成形すれば、内部可塑化され
ているので、上記他の成形品と接触させて高温高湿下に
放置しても、外部添加可塑剤により他の成形品を侵すこ
とがない。
【0030】また、本発明で得られた着色の改善された
グラフト化セルロース誘導体には、成形加工品を得るた
めに、熱劣化防止、熱着色防止のため各種安定剤を必要
量、単独、または数種混合して添加しても差し支えな
い。また、その他、可塑剤、充填剤、滑剤、帯電防止剤
など目的に応じて添加して差し支えない。
【0031】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によっ
て具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例または
比較例に限定されるものではない。なお、本発明では、
特に断らない限り、実施例中の部及び%は、重量部およ
び重量%を示す。
【0032】実施例1〜4 (重合反応)攪拌機、温度計、還流冷却器(上部に乾燥
管付き)を備えた反応器に、絶乾燥セルロースアセテー
ト(ダイセル化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.
45、表では酢綿と記す。)、精製ε-カプロラクトンを
表1の「仕込み」の欄に示す重量比率で加え、反応系内
の水分濃度を0.1wt%以下にして、180℃に加熱し、攪拌
してセルロースアセテートを均一に溶解させた。溶解を
確かめたのち、触媒としてオクチル酸スズ(II)0.24部
を、滴化により加え、4時間反応させた後、グラフト物
を反応器より取り出した。 (脱色)上記で得られたグラフト物を細かく切ったもの
(細片の最大長5mm)10部を、過酸化水素水(三菱
ガス化学社製、30%)100部に室温で、24時間浸漬して
脱色を行った。 (重量平均分子量の測定)ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)を使用して測定し、標準サンプ
ルとの比較により換算して求めた。 (色相測定)脱色前及び脱色後のグラフト物の色相を、
色差計(日本電色工業化株式会社:NDJ−300A)を使
用して、黄色度(イエローインデックス)により評価し
た。試験結果を表1に示す。この結果、グラフト物の分
子量の低下は見られず、色相は著しく改善され、該グラ
フト物を使用して着色のほとんど無い各種の成形品が得
られた。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、従来のものに比べ、色
相が著しく改善された、あるいは着色の全く無いグラフ
ト化セルロース誘導体が得られ、かつ色相以外の物性に
は影響を及ぼさないので成形加工性に優れており、その
成形加工品は力学物性に優れ、可塑剤の移行による問題
がない。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を有するセルロース誘導体に環状
    エステル類を開環グラフト重合させて得られる着色した
    グラフト化セルロース誘導体を、過酸化物により処理す
    ることを特徴とするグラフト化セルロース誘導体の脱色
    方法。
  2. 【請求項2】 水酸基を有するセルロース誘導体が、セ
    ルロースアセテート、セルロースアセテートブチレー
    ト、セルロースアセテートプロピオネートであることを
    特徴とする請求項1に記載のグラフト化セルロース誘導
    体の脱色方法。
  3. 【請求項3】 環状エステル類が、ε-カプロラクトン
    であることを特徴とする請求項1に記載のグラフト化セ
    ルロース誘導体の脱色方法。
  4. 【請求項4】 過酸化物が、過酸化水素、過酸化亜鉛、
    過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化ナト
    リウム、過酸化鉛、過酸化バリウムから選ばれる無機過
    酸化物、または過酢酸、過酸化ジターシャルブチル、過
    酸化ビス(α,α-ジメチルベンジル)、メタクロロ過安
    息香酸から選ばれる有機過酸化物であることを特徴とす
    る請求項1に記載のグラフト化セルロース誘導体の脱色
    方法。
  5. 【請求項5】 過酸化水素水を使用して、常温で処理す
    ることを特徴とする請求項4に記載のグラフト化セルロ
    ース誘導体の脱色方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008143322A1 (ja) * 2007-05-23 2008-11-27 Okayama Prefecture Industrial Promotion Foundation セルロース誘導体、セルロース誘導体-ポリ乳酸グラフト共重合体及びその製造方法、並びに、ポリ乳酸系樹脂組成物

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WO2008143322A1 (ja) * 2007-05-23 2008-11-27 Okayama Prefecture Industrial Promotion Foundation セルロース誘導体、セルロース誘導体-ポリ乳酸グラフト共重合体及びその製造方法、並びに、ポリ乳酸系樹脂組成物

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