JP4065006B2 - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂組成物および該組成物からなる成形品に関する。さらに詳しくは、耐熱性に優れたデンプンまたはポリ乳酸組成物およびそれらの組成物からなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
デンプンやポリ乳酸などの生体高分子は生体中に存在しており、石油資源のものに比べて環境にやさしいなどの理由から、その利用に注目が集まっている。そして、これらの生体高分子を、一般的なポリマー用途(フィルム、繊維、成形品など)に使用するために、たとえば、熱可塑性などの特性を付与したデンプン製品を製造する提案がなされている。
【0003】
熱可塑性などの特性を付与したデンプンとしては、ヒドロキシアルキルデンプン、アセチルデンプンおよびカルバメートデンプンなどがあげられる。これらは、デンプンのメチルヒドロキシル基に、尿素、アルキレンオキシド、カルバメートもしくはイソシアネート形成物質などを反応させることにより製造される。しかし、このような変性工程で生産された加工デンプンは、経済的に不利であり、前記のような用途に一般的には使用されていない。また、デンプンの場合、それ自体、水の存在下で加熱するとアルファー化するなど、その強度は水や熱に非常に影響を受けやすく、従来、耐熱性に優れたデンプン組成物を得るのは困難であり、この方法でも、デンプンの耐熱性などの特性を向上させることはできなかった。
【0004】
また、熱可塑性、柔軟性および実用的な機械的物性を有するデンプンが知られている(国際公開第03/014164号パンフレット参照)。このデンプンは、デンプンの主鎖中の一部にC=Oを有しており、熱可塑性、柔軟性などの特性を発揮することができるものである。さらに、デンプンを架橋することで、耐水性も向上させることができる。しかし、種々の成形品への適用などの点から耐熱性のさらなる向上が望まれていた。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、熱可塑性、柔軟性および実用的に充分な機械的物性を有し、軟化点以上でも膠着しにくく、かつ従来のデンプンやポリ乳酸などの生分解性樹脂からなる組成物にはみられない優れた耐熱性を有する生分解性樹脂組成物および該組成物からなる成形品を提供する。
【0006】
すなわち、本発明は、生分解性樹脂およびエポキシ化合物を、有機過酸化物で処理して得られる変性エポキシ化合物からなる生分解性樹脂組成物に関する。
【0007】
前記生分解性樹脂が、デンプンおよび/またはポリ乳酸であることが好ましい。
【0008】
前記デンプンが、該デンプンの主鎖中の一部に式(1):−O−(C=O)−O−で表わされる基、式(2):−((O−R1x−(O−(C=O)−R2ym−Oz−で表わされる基および式(3):−CH2−(C=O)−CHR3−O−、で表わされる基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を導入してなる加水分解縮重合デンプン(式(2)中、R1は、炭素数1以上のアルキレン基または炭素数6以上のアリーレン基;R2は、炭素数1以上のアルキレン基または炭素数6以上のアリーレン基;xは0または1;yは0または1;x+yは1または2;mは1〜3100の整数;zは0または1を示し、式(3)中、R3は、水素原子、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基または炭素数1以上のアルコキシ基を示す)であることがさらに好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記生分解性樹脂組成物からなる成形品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、生分解性樹脂およびエポキシ化合物を、有機過酸化物で処理して得られる変性エポキシ化合物からなる生分解性樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明において使用される生分解性樹脂としてはとくに限定されるものではなく、たとえばデンプン、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート変性(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートカーボネート変性(PBSC)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)などがあげられる。これらの中でも、デンプンおよびポリ乳酸が好ましい。
【0012】
本発明で使用できるポリ乳酸としては、通常、使用されるものであれば、とくに限定されない。
【0013】
本発明で使用できるデンプンとしては、たとえば、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、コムギ、コメ、トウモロコシなどの穀類、ジャガイモ、タピオカなどのイモ類から生産されているが、本発明では、デンプンの種類をとくに限定しないが、トウモロコシデンプンが経済的に優れる点で好ましい。なかでも、得られる組成物が、熱可塑性、柔軟性および実用的に充分な機械的物性を有し、軟化点以上でも膠着しにくく、かつ廉価となることから、以下に説明する加水分解縮重合デンプン、またはデンプンを、水および炭酸ガスの存在下、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界状態となる条件下(たとえば、温度100〜350℃、好ましくは135〜155℃、反応最高圧力7.48〜29.4MPa、好ましくは15.7〜23.5MPaの条件下)で処理したデンプンであることが好ましい。
【0014】
デンプンの分子量は、たとえば約20,000,000と非常に巨大で、種類により異なる。
【0015】
本発明において使用できる加水分解縮重合デンプンは、デンプンの主鎖中の一部に
式(1):−O−(C=O)−O−で表わされる基、
式(2):−((O−R1x−(O−(C=O)−R2ym−Oz−で表わされる基、および
式(3):−CH2−(C=O)−CHR3−O−(式(2)中、R1は、炭素数1以上のアルキレン基または炭素数6以上のアリーレン基;R2は、炭素数1以上のアルキレン基または炭素数6以上のアリーレン基;xは0または1;yは0または1;x+yは1または2;mは1〜3100の整数;zは0または1を示し、式(3)中、R3は、水素原子、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基または炭素数1以上のアルコキシ基を示す)
で表わされる基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を導入されていることが好ましい。この加水分解縮重合デンプンは、式(10):−G−Mn−で表わされる繰返し単位を有することが好ましい。Gは、グルコースの1位および4位の水酸基を除去した2価の基を示す。Mは、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を示す。nは1以上の整数を示す。nが2以上の整数の場合、複数のMは相互に同一であっても異なってもよい。
【0016】
式(2)中のR1としては、たとえば、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基などの炭素数1以上(通常は12以下)の直鎖状のアルキレン基;フェニレン基、ビフェニレン基、ビフェニレンアルキレン基(たとえば、ビフェニレンメチレン基、2,2−ビフェニレンプロピレン基)などの炭素数6以上(通常は15以下)のアリーレン基がある。
【0017】
式(2)中のR2としては、たとえば、1,1−エチレン基、1,1−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,1−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基などの炭素数1以上(通常は12以下)のアルキル基を有するアルキレン基;フェニレン基、ビフェニレンアルキレン基(たとえば、ビフェニレンメチレン基、2,2−ビフェニレンプロピレン基)などの炭素数6以上(通常は15以下)のアリーレン基がある。
【0018】
2がアリーレン基である加水分解縮重合デンプンより、アルキレン基である加水分解縮重合デンプンの方が、柔軟性および生分解性が高い傾向がある。
【0019】
式(2)で表わされる基としては、式(4):−(O−(C=O)−R2m−で表わされる基(x=0、y=1、z=0)、式(5):−(O−(C=O)−R2m−O−で表わされる基(x=0、y=1、z=1)、式(6):−(O−R1m−で表わされる基(x=1、y=0、z=0)、式(7):−(O−R1−O−(C=O)−R2m−で表わされる基(x=1、y=1、z=0)、式(8):−(O−R1m−O−で表わされる基(x=1、y=0、z=1)および式(9):−(O−R1−O−(C=O)−R2m−O−で表わされる基(x=1、y=1、z=1)がある。
【0020】
式(4)で表わされる基としては、脂肪族エステル基(R2がアルキレン基)、芳香族エステル基(R2がアリーレン基)があり、モノエステル基(m=1)、ジエステル基(m=2)、トリエステル基(m=3)、ポリエステル基(mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)がある。
【0021】
式(5)で表わされる基としては、脂肪族エステルエーテル基(R2がアルキレン基)、芳香族エステルエーテル基(R2がアリーレン基)があり、モノエステルエーテル基(m=1)、ジエステルエーテル基(m=2)、トリエステルエーテル基(m=3)、ポリエステルエーテル基(mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)がある。
【0022】
式(6)で表わされる基としては、モノアルキルエーテル基(R1がアルキレン基、m=1)、ジアルキルエーテル基(R1がアルキレン基、m=2)、トリアルキルエーテル基(R1がアルキレン基、m=3)、ポリアルキルエーテル基(R1がアルキレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)、モノアリールエーテル基(R1がアリーレン基、m=1)、ジアリールエーテル基(R1がアリーレン基、m=2)、トリアリールエーテル基(R1がアリーレン基、m=3)、ポリアリールエーテル基(R1がアリーレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数の場合)がある。
【0023】
式(7)で表わされる基としては、モノアルキレンエステル基(R1がアルキレン基、m=1)、ジアルキレンエステル基(R1がアルキレン基、m=2)、トリアルキレンエステル基(R1がアルキレン基、m=3)、ポリアルキレンエステル基(R1がアルキレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数の場合)、モノアリーレンエステル基(R1がアリーレン基、m=1)、ジアリーレンエステル基(R1がアリーレン基、m=2)、トリアリーレンエステル基(R1がアリーレン基、m=3)、ポリアリーレンエステル基(R1がアリーレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数の場合)がある。
【0024】
式(8)で表わされる基としては、モノアルキルジエーテル基(R1がアルキレン基、m=1)、ジアルキルジエーテル基(R1がアルキレン基、m=2)、トリアルキルジエーテル基(R1がアルキレン基、m=3)、ポリアルキルジエーテル基(R1がアルキレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)、モノアリールジエーテル基(R1がアリーレン基、m=1)、ジアリールジエーテル基(R1がアリーレン基、m=2)、トリアリールジエーテル基(R1がアリーレン基、m=3)、ポリアリールジエーテル基(R1がアリーレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)がある。
【0025】
式(9)で表わされる基としては、モノアルキレンエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=1)、ジアルキレンエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=2)、トリアルキレンエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=3)、ポリアルキレンエステルエーテル基(R1がアルキレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)、モノアリーレンエステルエーテル基(R1がアリーレン基、m=1)、ジアリーレンエステルエーテル基(R1がアリーレン基、m=2)、トリアリーレンエステルエーテル基(R1がアリーレン基、m=3)、ポリアリーレンエステルエーテル基(R1がアリーレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数の場合)などがある。
【0026】
式(3)中のR3としては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1以上(通常は3以下)のアルキル基;フェニル基などの炭素数6以上(通常は8以下)のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1以上(通常は3以下)のアルコキシ基がある。式(3)で表わされる基としては、たとえば、ジメチルケトン基(R3が水素原子)、エチルメチルケトン基(R3がメチル基)、メチルメトキシメチルケトン基(R3がメトキシ基)がある。
【0027】
加水分解縮重合デンプンは、デンプンの主鎖中の一部に式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基の1種または2種以上を導入されてなることができる。式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基の2種以上を導入されてなる加水分解縮重合デンプンとしては、式(1)で表わされる基と式(2)または式(3)で表わされる基とを有する加水分解縮重合デンプン;式(2)で表わされる基と式(3)で表わされる基とを有する加水分解縮重合デンプン;式(2)で表わされる2種以上の基を有する加水分解縮重合デンプン;式(3)で表わされる2種以上の基を有する加水分解縮重合デンプン;式(1)で表わされる基、式(2)で表わされる基および式(3)で表わされる基を有する加水分解縮重合デンプンがある。
【0028】
デンプンの主鎖中の一部に式(1)で表わされる基が導入されたことは、赤外分光光度計による測定において、デンプンには認められない炭酸基に特有のCO伸縮振動による1,745〜1,755cm-1の吸収帯が測定されることにより確認することができる。
【0029】
デンプンの主鎖中の一部に式(4)、式(5)、式(7)および式(9)で表わされる基(y=1)が導入されたことは、得られた加水分解縮重合デンプンから、溶媒(たとえば、オルトクレゾール)で、未反応の式(4)、式(5)、式(7)および式(9)で表わされる基を形成する化合物(たとえば、ポリ乳酸)を抽出したのち、赤外分光光度計による測定において、デンプンには認められないエステル基に特有のCO伸縮振動による1,730〜1,740cm-1の吸収帯が測定されることにより、確認することができる。また、R3が1,1−エチレン基である場合(たとえば、前記式(5)で表わされる基を形成する化合物としてポリα−オキシプロピオン酸を使用する場合)には、得られた加水分解縮重合デンプンから、未反応のポリα−オキシプロピオン酸を抽出したのち、NMR測定において、ポリα−オキシプロピオン酸のメチル基に特有のピークが測定されることにより、確認することができる。
【0030】
デンプンの主鎖中の一部に式(6)、式(7)、式(8)または式(9)で表わされる基(x=1)が導入されたことは、得られた加水分解縮重合デンプンから、溶媒(たとえば、沸騰水)で、未反応の式(6)、式(7)、式(8)および式(9)で表わされる基を形成する化合物(たとえば、n−プロピルアルコール)を抽出したのち、NMR測定において、たとえば、R1が1,3−プロピレン基である場合には、デンプンには認められないプロピルアルコールのメチレン基に特有のピークが測定されることにより、確認することができる。
【0031】
デンプンの主鎖中の一部に式(3)で表わされる基が導入されたことは、赤外分光光度計による測定において、式(3)で表わされる基に特有のCO伸縮振動による1,715〜1,725cm-1の吸収帯が測定されることにより、確認することができる。この吸収帯はデンプンおよび式(3)で表わされる基を形成する化合物(たとえば、グリセリン)には認められない。
【0032】
加水分解縮重合デンプンの熱可塑性の点から、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基は、デンプンのグルコース単位100モルに対して、合計の化学式量で、50〜100、とりわけ70〜100となる割合で導入することが好ましい。式(1)、式(2)および式(3)で表わされる基の導入量が少ないと、加水分解縮重合デンプンの熱可塑性が低く、多いと最終製品から式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物がブリードアウトする場合がある。
【0033】
加水分解縮重合デンプンの主鎖中への式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基の導入量が、赤外分光光度計で僅かに観察される量、すなわち、数%でも、その効果が現れる。感度の低い光度計ではショルダーとして観察されることもある。式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基の主鎖中への導入量が多くなるに従い、加水分解縮重合デンプンの熱可塑性が向上する。式(1)、式(2)および式(3)で表わされる基の導入量が少ないと加水分解縮重合デンプンが硬くなり、多いと柔らかくなる傾向がある。
【0034】
加水分解縮重合デンプンは、デンプンと、式(1)で表わされる基を形成する化合物、式(2)で表わされる基を形成する化合物(式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)または式(9)で表わされる基を形成する化合物)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを、反応させることにより製造することができる。
【0035】
式(1)で表わされる基、すなわち、炭酸基を形成する化合物としては、炭酸ガス、または、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウムなどの加熱されることにより炭酸ガスを放出する炭酸化物などを使用することができる。
【0036】
式(4)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(11):H−(C=O)−R3−(O−(C=O)−R3m-1−OHで表わされる化合物がある。
【0037】
式(4)で表わされる基のうち、脂肪族モノエステル基(R3がアルキレン基、m=1)を形成する化合物としては、たとえば、ヒドロキシアセトアルデヒド、ヒドロキシエチルアルデヒド、ヒドロキシブチルアルデヒド、グリセルアルデヒドなどのヒドロキシアルキルアルデヒドがある。式(4)で表わされる基のうち、芳香族モノエステル基(R3がアリーレン基、m=1)を形成する化合物としては、たとえば、ヒドロキシメチルベンジルアルデヒド、ヒドロキシエチルベンジルアルデヒド、ヒドロキシプロピルベンジルアルデヒドなどのヒドロキシアルキルアリールアルデヒドがある。
【0038】
式(4)で表わされる基のうち、ジエステル基(m=2)、トリエステル基(m=3)、ポリエステル基(mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数)などを形成する化合物としては、たとえば、ヒドロキシアセトアルデヒドモノ乳酸エステル、ヒドロキシアセトアルデヒドジ乳酸エステル、ヒドロキシアセトアルデヒドトリ乳酸エステル、ヒドロキシアセトアルデヒドポリ乳酸エステルなどのヒドロキシアルキルアルデヒドと脂肪族カルボン酸とのエステルがある。
【0039】
式(5)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(12):H−(O−(C=O)−R3m−OHで表わされる化合物がある。式(5)で表わされる基のうち、脂肪族エステルエーテル基(R2がアルキレン基)を形成する化合物としては、たとえば、α−オキシプロピオン酸(乳酸)、β−オキシプロピオン酸、α−オキシブタノイック酸、β−オキシブタノイック酸、γ−オキシブタノイック酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸およびその重縮重合物(たとえば、ポリα−オキシプロピオン酸)がある。式(5)で表わされる基のうち、芳香族モノエステルエーテル基(R3がアリーレン基)を形成する化合物としては、たとえば、ヒドロキシメチルベンジルカルボン酸、ヒドロキシエチルベンジルカルボン酸、ヒドロキシプロピルベンジルカルボン酸などのヒドロキシアルキルアリールカルボン酸がある。
【0040】
式(6)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(13):H−(O−R1m−Hで表わされる化合物がある。式(6)で表わされる基のうち、アルキルエーテル基(R1がアルキレン基、m=1)を形成する化合物としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコールなどのアルコールがある。
【0041】
式(7)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(14):H−(R1−O−(C=O)−R3m−OHで表わされる化合物がある。
【0042】
式(7)で表わされる基を形成する化合物のうち、アルキルエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=1)、ジアルキルエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=2)、トリアルキルエステルエーテル基(R1がアルキレン基、m=3)、ポリアルキルエステルエーテル基(R1がアルキレン基、mが2〜3100の整数、とりわけ4〜3100の整数の場合)を形成する化合物としては、たとえば、乳酸エチルエステル、ジ乳酸エチルエステル、トリ乳酸エチルエステル、ポリ乳酸エチルエステル、乳酸プロピルエステル、ジ乳酸プロピルエステル、トリ乳酸プロピルエステル、ポリ乳酸プロピルエステル、乳酸ブチルエステル、ジ乳酸ブチルエステル、トリ乳酸ブチルエステル、ポリ乳酸ブチルエステル、α−ヒドロキシブタノイック酸エチルエステル、ジα−ヒドロキシブタノイック酸エチルエステル、トリα−ヒドロキシブタノイック酸エチルエステル、ポリα−ヒドロキシブタノイック酸エチルエステル、α−ヒドロキシブタノイック酸プロピルエステル、ジα−ヒドロキシブタノイック酸プロピルエステル、トリα−ヒドロキシブタノイック酸プロピルエステル、ポリα−ヒドロキシブタノイック酸プロピルエステル、α−ヒドロキシブタノイック酸ブチルエステル、ジα−ヒドロキシブタノイック酸ブチルエステル、トリα−ヒドロキシブタノイック酸ブチルエステル、ポリα−ヒドロキシブタノイック酸ブチルエステルなどのヒドロキシ酸のアルキルエステルがある。
【0043】
式(8)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(15):H−R4−(C=O)−OHで表わされる化合物、式(16):H−(O−R1m−OHがある。−R4−CH2−がR1に相当する。式(8)で表わされる基、すなわち、アルキルエーテル基を形成する化合物としては、たとえばプロピオン酸、ブタノイック酸(酪酸、イソ酪酸)、ペンタノイック酸、ヘキサノイック酸、ラウリル酸、オレイル酸、ステアリル酸などの脂肪族カルボン酸;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコールコポリマーがある。
【0044】
式(9)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(17):H−R1−O−(C=O)−R5−(C=O)−O−Hで表わされる化合物がある。R5は、−R5−CH2−が式(2)中のR3に相当する。式(9)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノプロピルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、コハク酸エチルエステル、コハク酸プロピルエステル、コハク酸ブチルエステル、フマール酸エチルエステル、コハク酸プロピルエステル、フマール酸ブチルエステル、アジピン酸エチルエステル、アジピン酸プロピルエステル、アジピン酸ブチルエステルなどのジカルボン酸アルキルエステルがある。
【0045】
式(3)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、式(18):X−O−CH2−CH(OH)−CHR3−O−Yで表わされる化合物(XおよびYは、それぞれ、水素原子またはアシル基を示す)がある。式(3)で表わされる基を形成する化合物としては、たとえば、グリセリン、1−メチルグリセリンなどの1−アルキルグリセリン、1−メトキシグリセリンなどの1−アルコキシグリセリン、または、これらのエステルがある。グリセリンまたはそのエステルは、デンプンの主鎖中に一部に導入されてジメチルケトン基(式(3)中のR3が水素原子)を形成する。1−アルキルグリセリンおよびそのエステルは、デンプンの主鎖中に導入されてα−アルキルメチルケトン基(式(3)中のR3がアルキル基)を形成する。1−アルコキシグリセリンおよびそのエステルは、デンプンの主鎖中に導入されてアルコキシメチルメチルケトン基(式(3)中のR3がアルコキシ基)を形成する。エステルとしては、たとえば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などの脂肪族有機酸などのグリセリド(モノグリセリド、ジグリセリドなど)がある。エステルを使用する場合、反応により遊離する有機酸(とくに低分子量の有機酸)が、最終製品の特性に悪影響を与えないように配慮することが好ましい。
【0046】
式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物として、天然食品中にも存在する成分を使用することにより、安全性に優れ、環境的にも優れた加水分解縮重合デンプンを得ることができる。
【0047】
デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを、水の存在下、100〜350℃、好ましくは135〜155℃で、反応させることにより、デンプンの主鎖中の一部に式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を導入することができる。反応温度が低すぎると、反応率が低下し、高すぎると、得られる加水分解縮重合デンプンが着色し、分子量が著しく低下、脆化する場合がある。
【0048】
デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを、水および炭酸ガスの存在下、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界状態となる条件下(たとえば、温度100〜350℃、好ましくは135〜155℃、反応最高圧力7.48〜29.4MPa、好ましくは15.7〜23.5MPaの条件下)で、反応させることにより、デンプンの主鎖中の一部に式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を導入することができる。存在させる炭酸ガスは、式(1)で表わされる基を形成する化合物としても作用する。炭酸ガスは、温度31.1℃以上、圧力7.48MPa以上の条件下で超臨界状態となり、温度31.1℃以上、圧力7.48MPa未満の条件下および温度31.1℃未満、圧力7.48MPa以上の条件下で亜臨界状態となる。超臨界状態または亜臨界状態の炭酸ガスは、デンプンの加水分解反応を促進するとともに、加水分解したデンプンと式(1)で表わされる基を形成する化合物として脱水縮重合反応に寄与し、また、架橋剤として架橋反応にも寄与する。炭酸ガスの使用量は、水を基準として、たとえば、好ましくは0.1〜3重量%とすることができる。炭酸ガスは、デンプンの分解反応の際、触媒的に作用するので、微量でも効果を発揮する。
【0049】
反応最高圧力は、たとえば、76〜300kg/cm2(=7.5〜29.4MPa)、好ましくは160〜240kg/cm2(=15.7〜23.5MPa)とすることができる。低圧すぎると、反応率が低下する。高圧すぎると、得られる加水分解縮重合デンプンが着色し、分子量が著しく低下、脆化する場合がある。反応時間は、たとえば1〜10分間、好ましくは3〜5分間とすることができる。長時間すぎると、得られる加水分解縮重合デンプンが着色し、分子量が著しく低下、脆化する場合がある。短時間すぎると反応率が低下し、充分な性能を有する加水分解縮重合デンプンが得られない場合がある。
【0050】
水の使用量は、たとえばデンプン100重量部(水分を除く)に対してデンプン中に含まれる水分(通常12〜13重量%)と併せて30〜80重量部、好ましくは50〜70重量部とする。水の使用量が少ないとデンプンの反応率が低下する。水の使用量が多すぎると脱水縮重合反応率が低下し、分子量の回復が少なくなり、得られる加水分解縮重合デンプンの分子量が低下する傾向がある。また、加水分解縮重合デンプンを回収するための脱水に必要なエネルギーが大きくなり経済的に好ましくない。
【0051】
デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを、前記各条件下で反応させることによって、デンプンの主鎖の加水分解反応と、加水分解されたデンプンと式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物との脱水縮重合とが、連続しておこり、デンプンの主鎖中の一部に式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基が導入される。デンプンの主鎖の加水分解反応とともに、デンプンの分岐が切断されて、デンプンの分子量が減少するとともに、デンプンが直鎖状に近くなり、さらに式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基が導入されることにより、疎水性と柔軟性が付与され、加水分解縮重合デンプンが熱可塑性を示すものと考えられる。
【0052】
式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物の一部は、グルコース単位の水酸基、とりわけヒドロキシメチル基の水酸基と脱水反応し、側鎖を形成し、加水分解縮重合デンプンの熱可塑性を向上させる。
【0053】
デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物との反応率は、加水分解縮重合デンプンのTGA・DSC分析によって測定される減量率および水分含有量から、未反応の式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物の量を算出することにより、推測することができる。
【0054】
デンプンは水の存在下で、高圧かつ高せん断力下、加熱することにより加水分解させることができる。デンプンの加水分解を高圧で短時間に行なわせ、その後引き続き脱水縮重合反応を行なわせるために、デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物との反応には、脱水用ベント付き押出し機形式の連続反応機を使用することが好ましい。反応機としては、押出し機、たとえば、2ベント付き押出し機、または3ベント付き押出し機を使用することが好ましい。使用するスクリューは、好ましくは、供給部のみ食い込みをよくするため2軸とし、この後からダイまでは1軸で構成される。たとえば、3ベント付き押出し機は、好ましくは、スクリュー供給部、せん断混練り圧縮部、解放ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部、真空ポンプ吸引ベント部、混練り圧縮部から構成される。
【0055】
反応機として押出し機を使用する場合、たとえば、100〜250kg/cm2(=9.8〜24.5MPa)のノズル前圧力で押出すことが好ましい。
【0056】
加水分解縮重合デンプンは、架橋剤により架橋することができる。加水分解縮重合デンプンのヒドロキシメチル基間を架橋することにより、水膨潤性を抑制し、耐水性を向上させることができる。架橋の程度は僅かでも充分な水膨潤抑制効果を示す。架橋が増加するに従い水膨潤性が低下する。水膨潤率は、たとえば、常温(たとえば、25℃)の水中に1時間浸漬して膨潤させた前後の重量測定と絶乾重量から算出することができる。
【0057】
架橋剤としては、たとえば、リン酸類、多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類、エポキシ、酸無水物、イソシアネート、シラン化物などを使用することができる。架橋剤としては、たとえば、トリポリリン酸ナトリウムなどのリン酸塩;シュウ酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、コハク酸などの多価カルボン酸;アジピン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、フタル酸カルシウム、コハク酸カルシウムなどの多価カルボン酸塩;乳酸などのヒドロキシカルボン酸;乳酸カルシウムなどのヒドロキシカルボン酸塩;炭酸ガス;重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウムなどの重炭酸塩;モノグリシジルエーテルなどのエポキシ;無水コハク酸、無水マレイン酸などの酸無水物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエン2,4−ジイソシアネートなどのイソシアネート;ビニルトリメチルシランなどのシラン化物;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリスアクリロイル−s−トリアジンがある。架橋剤は、1種を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
加水分解縮重合デンプンに架橋剤を添加し、加熱(たとえば100〜180℃)して混練することにより、加水分解縮重合デンプンを架橋することができる。架橋剤の添加量は、架橋する前の加水分解縮重合デンプンを基準として、0.01〜3重量%が好ましい。架橋剤の添加量が少ないと、加水分解縮重合デンプンの水膨潤性を抑制し、耐水性を向上させる効果が小さい傾向があり、加水分解縮重合デンプンが水に溶解してしまい、水膨潤性が無限大となる場合がある。架橋剤の添加量が多すぎると、加水分解縮重合デンプンの熱可塑性および流動性が低下し、加工性が低下する場合がある。
【0059】
押出し機を使用し、デンプンと、式(1)で表わされる基を形成する化合物(たとえば、炭酸ガス)とを、水の存在下で反応させる場合、ならびに、デンプンと、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを、水および炭酸ガスの存在下で反応させる場合、たとえば、ノズル前圧力を160kg/cm2(=15.7MPa)以上に維持し、大気中に瞬時に押出して急激な脱水を起こさせることにより、グルコース単位のヒドロキシメチル基間に炭酸ガスの架橋を一部起こさせることができる。この部分的な炭酸架橋により、充分な架橋密度を有し、軟化点以上でチキソトロピー性を示す加水分解縮重合デンプンを得ることができる。この架橋反応は、ヒドロキシメチル基間における脱水による架橋反応であるため、より急激に脱水されるほど、すなわち、より高圧からより急激に減圧されるほど、加水分解縮重合デンプンの架橋密度が高くなり、水膨潤性が低く、耐水性が高くなり、加水分解縮重合デンプンが膠着しにくくなる。
【0060】
たとえば、押出し機のダイスに接触するホットカッターにより切断して得られる架橋された加水分解縮重合デンプンのペレットは、若干の空気を吹き付けられながら落下して、たとえば1m下に設置された受け皿に留まった状態でも、膠着しないので、そのまま圧送エジェクターにより搬送することができる。また、このペレットを使用し、インフレーション装置により、製膜中に、たとえばダイスから1m後方の風船状フィルムを両側から加圧密着させても膠着しない。架橋された加水分解縮重合デンプンが、膠着しにくいのは、架橋により、可逆的チキソトロピー性を有するようになったためと考えられる。
【0061】
加水分解縮重合デンプンは、たとえば、重量平均分子量が30000〜500000、好ましくは50000〜200000であることができる。分子量が低い加水分解縮重合デンプンは、機械的物性が低い傾向があり、高い加水分解縮重合デンプンは、流動性が低く、成形しにくい場合がある。
【0062】
加水分解縮重合デンプンの分子量は、デンプンと、式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物とを反応させる際の反応温度を高くすることにより、または、反応圧力を高くすることにより、低くなる傾向がある。
【0063】
加水分解縮重合デンプンは、温度20℃、相対湿度60%の条件下で24時間放置することにより、実質的に恒量平衡に達した水分率が1〜6重量%であることが好ましい。
【0064】
加水分解縮重合デンプンは、25℃の水中に1時間浸漬後の膨潤率が150〜400%であることが好ましい。前記膨潤率が高すぎる加水分解縮重合デンプンは耐水性が低く、また、ペレットが膠着しやすい傾向があり、低すぎる加水分解縮重合デンプンは、流動性が低い傾向がある。前記膨潤率は、たとえば、加水分解縮重合デンプンのグルコース単位のヒドロキシメチル基間を架橋することにより、低くすることができる。
【0065】
加水分解縮重合デンプンは、チキソトロピー性を有することが好ましい。たとえば、架橋された加水分解縮重合デンプンは可逆的チキソトロピー性を示す。架橋された加水分解縮重合デンプンは、単に軟化点以上に加熱しただけでは、架橋が切れないので、表面張力を小さくするために球状になるということがなく、原形を維持するが、この状態で僅かな荷重を加えると容易に流動、変形する。変形は荷重を取り除くと維持され、可逆的チキソトロピー性を示す。
【0066】
加水分解縮重合デンプンは、デンプンが粒子として存在しないため、透明性に優れている。加水分解縮重合デンプンは、たとえば、ホットプレスにより作成した1mm厚さのシートについて分光光度計により求められるヘイズが30以下と優れた値を示す。ヘイズは、たとえば、スガ試験機(株)製 HGM−2DPにより、Tt(全光線透過率(%))およびTd(拡散透過率(%))を測定し、ヘイズ(%)=Td÷Tt×100として算出することができる。本発明の加水分解縮重合デンプンのシートは、水中に浸漬すると、部分的な膨潤性の差により、屈折率の部分差が生じ、光散乱を起こし、徐々に白濁してくるが、乾燥することにより、屈折率の局部差がなくなり、再度透明となる。
【0067】
加水分解縮重合デンプンに脂肪族有機酸およびそのグリセリドなどの可塑剤を加えることにより、熱可塑性を向上させることができる。可塑剤の配合量を増加させることにより、さらに熱可塑性を向上させることができる。
【0068】
式(1)、式(2)または式(3)で表わされる基を形成する化合物の反応率は、得られた加水分解縮重合デンプンのTGA・DSC分析によって測定される減量から推測することができる。一例として、70重量%のデンプンおよび30重量%のグリセリンを配合し、製造した加水分解縮重合デンプンについて、分解開始温度(270℃近辺)まで一定の速度で定率減量を行なった。この減量率が水分減量率を含め、約15重量%であった。加水分解縮重合デンプンの恒量平衡に達した水分含有率が4〜5重量%であることから、約10重量%の未反応のグリセリンが残存し、残りの約20重量%のグリセリンが反応し、デンプンの主鎖中の一部に導入されるか、または、側鎖を形成したものと推測される。
【0069】
本発明に用いられるエポキシ化合物は、とくに限定されないが、たとえば、2個以上のエポキシ基を有する3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどの脂環式エポキシ化合物だけでなく、植物油をエポキシ化することで得られるエポキシ化植物油があげられる。なかでも、オキシラン環を有する化合物であることが好ましく、とくに脂環式エポキシ化合物がより好ましく、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートがさらに好ましい。とくに、生分解性樹脂としてポリ乳酸を使用した場合には、透明性および耐熱性を大きく向上させることができる。
【0070】
エポキシ化植物油における植物油としては、とくに限定されないが、大豆油、コーン油、なたね油などがあげられる。なかでも、大豆油が好ましい。また、本発明においては、廃油を用いることもできる。廃油であれば、環境保護とリサイクルの点から望ましい。
【0071】
生分解性樹脂とエポキシ化合物の配合割合は、生分解性樹脂100重量部に対して、エポキシ化合物が1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは1〜2重量部である。一方、生分解性樹脂の分解を抑制するという観点からは、エポキシ化合物の配合割合は、生分解性樹脂100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、2重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがさらに好ましい。5重量部以下のエポキシ化合物を使用することにより、とくにポリ乳酸の分解を抑制し耐熱性を向上させることが可能となる。
【0072】
本発明においては、(1)エポキシ化合物を前もって有機過酸化物により変性させて変性エポキシ化合物として生分解性樹脂とともに混練することも、(2)生分解性樹脂とエポキシ化合物とを予め混練したものを有機過酸化物で処理することもできる。
【0073】
有機過酸化物としては、とくに限定されないが、耐熱性の高い有機過酸化物であることが好ましい。たとえば、ケトンバーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類などが挙げられる。より具体的には、t−ブチルラウリン酸過酸化物などのラウリン酸過酸化物、2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエートなどがあげられる。これらの有機過酸化物は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、とくに、ラウリン酸過酸化物および2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイドを併用することが好ましい。
【0074】
有機過酸化物の配合量は、生分解性樹脂組成物中に、3重量%以下が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましく、0.01〜1重量%がさらに好ましい。ラウリン酸過酸化物と2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイドを併用する場合には、ラウリン酸過酸化物20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、および2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイド80〜20重量%、好ましくは70〜30重量%を使用することが好ましい。
【0075】
また、本発明においては、エポキシ化合物を有機過酸化物だけでなく、さらに有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物または有機カルボン酸塩の有機カルボン酸類とともに処理する。有機カルボン酸無水物としては、とくに限定されないが、たとえばマレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、イソフタル酸無水物、テレフタル酸無水物、ステアリン酸無水物、トリメリット酸無水物などがあげられ、有機カルボン酸塩としては、これらの有機カルボン酸の塩であって、亜鉛塩、鉄塩などがあげられる。なかでも、エポキシ化合物の硬化反応の点から、有機カルボン酸無水物が好ましい。また、これらの有機カルボン酸類は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、3種以上を組み合わせて用いることがより好ましい。特に、トリメリット酸無水物と他の有機カルボン酸無水物とを混合して使用した場合は、マスターバッチとして使用した場合に、ベースポリマーの結晶化を促進する効果が大きく、マレイン酸無水物およびコハク酸無水物とトリメリット酸無水物とを組合せて用いた場合に、著しい促進効果の向上がみられる。
【0076】
有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物または有機カルボン酸塩の配合量は、用いる有機カルボン酸類をあわせて、エポキシ化合物100重量部に対して、5〜70重量部であることが好ましく、10〜65重量部であることがより好ましく、さらに好ましくは15〜60重量部、特に好ましくは20〜40重量部である。また、前記有機カルボン酸類を混合して用いる場合は、それぞれの化合物を等量用いることが好ましい。
【0077】
本発明の生分解性樹脂組成物は、(1)生分解性樹脂およびエポキシ化合物を混練し、生分解性樹脂組成物を得る工程、および(2)該生分解性樹脂組成物にとともに有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩と、有機過酸化物とを混練する工程からなる製造方法により製造することができる。本発明の生分解性樹脂組成物を得る方法としては、上記方法に限定されるものではなく、工程(1)において、生分解性樹脂、エポキシ化合物および有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩を混練し、工程(2)で有機過酸化物と混練する方法では、耐熱性をさらに向上させることが可能である。生分解性樹脂、エポキシ化合物、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩、有機過酸化物をすべて同時に混練すると、生分解性樹脂の分解と架橋が同時に進行し、耐熱性向上の効果がほとんど得られないので、再度、組成物をアニール処理する必要がある場合があるが、前記2工程からなる製造方法のように、前もって生分解性樹脂およびエポキシ化合物を混練することにより、アニールすることなく優れた耐熱性を有する生分解性樹脂組成物を得ることができる。
【0078】
工程(1)および(2)の混練は、通常の1軸押出機などを用いて行うことができる。
【0079】
生分解性樹脂およびエポキシ化合物を混練し、生分解性樹脂組成物を得る工程(1)は、反応時間および、混練に用いる機械にもよるが、好ましくは160〜220℃、より好ましくは170〜200℃で行うことができる。工程(1)において、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩を添加することもできる。
【0080】
該生分解性樹脂組成物に有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩とともに有機過酸化物を混練する工程(2)は、反応時間および、混練に用いる機械にもよるが、エポキシ化合物の反応とともに生分解性樹脂の熱分解温度が上昇するので、前記工程よりも高い温度である210〜250℃で反応させることが好ましく、220〜240℃で行うことがより好ましい。
【0081】
工程(2)は、上記条件下においても行うことができるが、より好ましくは、炭酸ガスの存在下、炭酸ガスが超臨界状態または亜臨界状態となる条件下(たとえば、温度100〜350℃、好ましくは135〜155℃、反応最高圧力7.48〜29.4MPa、好ましくは15.7〜23.5MPaの条件下)で行う。炭酸ガスは、温度31.1℃以上、圧力7.48MPa以上の条件下で超臨界状態となり、温度31.1℃以上、圧力7.48MPa未満の条件下および温度31.1℃未満、圧力7.48MPa以上の条件下で亜臨界状態となる。超臨界状態または亜臨界状態の炭酸ガスは、架橋剤として架橋反応にも寄与する。炭酸ガスの使用量は、たとえば、樹脂の重量に対して、好ましくは1〜20重量%とすることができる。
【0082】
反応最高圧力は、たとえば、76〜300kg/cm2(=7.5〜29.4MPa)、好ましくは160〜240kg/cm2(=15.7〜23.5MPa)とすることができる。低圧すぎると、反応率が低下する。
【0083】
工程(1)および(2)における混練時間は、たとえば、50mmの押出機を用いた場合は、それぞれの工程について10〜20分であることが好ましく、より好ましくは約15分である。さらに、50mmの押出機を用いた場合、工程(1)および(2)の混練時間がそれぞれ15分である場合に、得られる生分解性樹脂組成物の耐熱性を充分に向上させることができる。混練時間が10分未満では、未反応物が残りやすい傾向がある。
【0084】
混練時には、前記原料のほかに、可塑剤や増量剤などを添加してもよい。可塑剤としては、通常用いられるものであれば、とくに限定されないが、生分解性などを考慮した場合、松脂が好ましい。また、増量剤としては、たとえば、タルク、カオリナイト、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、二酸化チタン、カーボンブラック、セリサイト、フロゴパイト、珪酸カルシウム、酸化アルミニウムなどがあげられる。
【0085】
また、本発明の生分解性樹脂組成物は必要に応じてアニール処理をすることができる。アニール処理をすることで耐熱性を向上させることができる。アニール処理はいかなる段階で行ってもよく、たとえば、生分解性樹脂とエポキシ化合物とを混練した直後であっても、成形した後であってもよい。アニール処理の温度は、100〜180℃であることが好ましく、120〜160℃であることがより好ましい。
【0086】
本発明の生分解性樹脂組成物は、たとえば、押出し機のダイスに接触するホットカッターにより切断してペレットとして得ることができる。さらに、得られたペレットは、前記加水分解縮重合デンプンと同様の性質を有するとともに耐熱性が向上したものとなる。
【0087】
耐熱性としては、通常のデンプンでは、熱分解開始温度がおおよそ120℃、加水分解縮重合デンプンではおおよそ290℃であるのに対して、加水分解縮重合デンプンとエポキシ化植物油からなるデンプン組成物では292〜300℃と優れた耐熱性を示す。一方、通常のポリ乳酸では、軟化点も58℃から155℃に向上する。そのため、該組成物からなる成形品を電子レンジ用容器に使用することも可能である。
【0088】
本発明の生分解性樹脂組成物には、一般に使用されるポリマー用添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、たとえば、着色剤(顔料、染料)、抗菌剤、防臭剤、防腐剤、防虫剤、静電防止剤、耐光剤、耐熱剤、ブロッキング防止剤などの添加剤があげられる。これらの添加剤は、単独で使用することができ、または、2種以上を併用することもできる。これらの添加剤の使用に関しては用途により、食品としての特性、薬品としての特性、廃棄時の生分解性などに悪影響のないように配慮すべきである。
【0089】
本発明の生分解性樹脂組成物は、繊維からなる乾式不織布、湿式不織布、熱融着不織布、ケミカルボンド不織布などの不織布および布帛などの繊維製品、フィルム、シート、パイプ、棒などの押出成形品、モールド成形品および射出成形品の原料として使用することができる。
【0090】
本発明の生分解性樹脂組成物は、たとえば溶融紡糸によって紡糸することができる。すなわち、生分解性樹脂組成物を押出し機で溶融、混練し、ギアポンプで計量しつつ、ノズルから紡出し、オイリングしたのち、巻取ることによって、フィラメントを得ることができる。このフィラメントを、さらに延伸したり、他の繊維と混繊したり、仮撚り加工をしたり、交撚などの加工をすることにより、各種の繊維製品を得ることができる。
【0091】
溶融紡糸するための材料としては、溶融粘度が100〜500、とりわけ200〜400のデンプンまたはポリ乳酸組成物が好ましい。溶融粘度は、温度190℃、荷重2.16kgの条件下における2mm径のノズルからの10分間の流出量(g)で規定することができる。溶融粘度が100未満、または500を超える組成物では、繊維製品を製造する際の可紡性が低い。
【0092】
たとえば、紡出された糸を、整流された気流(空気)により冷却する場合、急速に冷却するよりも、緩やかに冷却した方が、可紡性がよくなる傾向がある。気流によりデンプンまたはポリ乳酸組成物に含まれた水分が除去される。紡糸と同時または紡糸後に延伸を行なってもよい。未延伸糸の引張破断強度は、たとえば0.2g/d程度であり、引張破断伸度は、たとえば530%程度である。未延伸糸を延伸することにより、繊維強度を向上させることができる。繊維強度を向上させる点から、デンプンまたはポリ乳酸組成物のガラス転移点以上の温度で、未延伸糸を延伸することが好ましい。未延伸糸を延伸することにより、たとえば引張破断強度が2g/d以上、延伸条件によっては3g/d以上の繊維を得ることができる。
【0093】
生分解性樹脂組成物を紡糸したのち、集束して繊維束とし、熱延伸したのち、オイリング、クリンピングおよびカットすることにより、ステープル(短繊維)を得ることができる。カットすることにより得られたステープルは、通常、カットしたのち、すぐに梱包される。ステープルは、混紡により、他の繊維と混合して用いることができる。
【0094】
生分解性樹脂組成物の繊維を用いた紡績糸は、他の糸と交撚したり、引き揃えをして用いることもできる。本発明の生分解性樹脂組成物の繊維は、一般的なフィラメントまたは紡績糸と同様にして、編織物を製造するために用いることができる。本発明の生分解性樹脂組成物のステープルは、一般的なステープルと同様にして、ニードルパンチング法、エアレイ法、スパンレース法、抄紙法により、不織布を製造するために使用することができる。
【0095】
本発明の生分解性樹脂組成物を用いて、フィルムおよびシート成形品を製造することができる。たとえば、本発明の生分解性樹脂組成物をTダイ法により押出し成形することにより、フィルムおよびシートを製造することができる。Tダイ法でフィルムまたはシートを製造する場合、得られるフィルムまたはシートの厚さは、押出し量と引き取り速度とを調節することにより、制御することができる。本発明の生分解性樹脂組成物のフィルムおよびシートは、インフレーション法によっても製造することができる。インフレーション法によってフィルムまたはシートを製造する場合には、操業上、粘度が、MI値で1〜10、とりわけ1〜5の生分解性樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0096】
本発明の生分解性樹脂組成物からフィルムまたはシートを製造する場合、生分解性樹脂組成物の押出し温度は、その生分解性樹脂組成物の融点の上下20℃以内の範囲とすることが好ましく、たとえば、140〜230℃とすることが好ましい。
【0097】
Tダイ法またはインフレーション法で得られた本発明の生分解性樹脂組成物のフィルムまたはシートを、延伸することにより、延伸フィルムまたは延伸シートを製造することができる。本発明の生分解性樹脂組成物のフィルムおよびシートを延伸する際の温度は、ガラス転位点以上、その30℃上までの範囲とすることが好ましい。
【0098】
本発明の生分解性樹脂組成物の未延伸シートを、たとえば、真空モールド成形することにより、モールド成形品を製造することができる。たとえば、厚さ0.2〜2mmのシートを赤外線ヒーターなどでガラス転位点以上に加熱し、真空モールド成形金型の上に移動し、金型から吸引することによりシートを金型の形に成形することができる。
【0099】
ポリ乳酸は、未延伸状態における引張破断伸度が常温で2〜3%と非常に小さく脆弱で実用に耐えず、また、真空モールド成形しても、変形の大きい部分は延伸されるが、金型の縁の部分は殆ど延伸されないため、未延伸部分が残り、この部分が脆弱で実用に耐えない。これに対して、本発明のポリ乳酸組成物の未延伸シートは、引張破断伸度に優れ、未延伸部分も実用に供しても問題のない機械的物性を有するとともに、耐熱性にも優れているため、あらゆる用途に使用することができる。
【0100】
また、本発明の生分解性樹脂組成物は、マスターバッチとして好適に使用することができる。マスターバッチは、1%以上であればよく、好ましくは5%である。上限については特に限定されるものではないが、経済性の点から20%程度である。マスターバッチとして用いた場合、本発明の生分解性樹脂組成物が結晶核となって、ベースポリマーの結晶が成長するので、上記のように耐熱性を充分に向上させることができる。
【0101】
以下、本発明の詳細を実施例にて説明する。
【実施例】
【0102】
製造例1:式(3)で表わされる基を有する加水分解縮重合デンプン
トウモロコシデンプン100重量部、デンプン中に含まれる通常12〜13重量%の水分と併せてイオン交換水70重量部およびグリセリン50重量部、ブタンジオール10重量部を混合し、45mmトリプルベント付き1軸押出し機に供給した。ベント口から開放、水封ポンプ、油拡散ポンプで脱水した。押出し機のスクリューは、供給、混練り、圧縮、ベントからの脱水、混練り、ベントからの脱水、混練り、ベントからの脱水、圧縮の過程を経るように設計し、通常の2軸押出し機に劣らない混練り効果を得られるようにした。
【0103】
スクリューの混練り効果は、無色透明ポリプロピレン100重量部にカーボンブラック含有ポリエチレン2重量部を混合し、混練り後、顕微鏡観察によりカーボンブラックの存在部分を比較することにより確認した。ポリエチレンはポリプロピレン中に約30ミクロン程度の大きさでほぼ均一に分散されていることが光学顕微鏡観察により確認された。
【0104】
加熱最高温度150℃、圧力230kg/cm2(=22.5MPa)でデンプンを加水分解し、加水分解されたデンプンとグリセリンとを、引き続き、急激に開放し脱水縮重合させた。全滞留時間を3分、原料の供給速度を50kg/時間とした。生成した加水分解縮重合デンプンを100メッシュのフィルターで濾過後、直径1mmのノズルから押出し、ホットカッターでペレットに成形した。
【0105】
得られた加水分解縮重合デンプンペレットよりフィルムを作成し、フーリエ変換赤外分光光度計によるFT−IR測定を行なったところ、デンプンには認められない式(3)で表わされる基特有のCO伸縮振動による1,724.9cm-1の吸収帯が確認された。
【0106】
FT−IR測定には、パーキンエルマー社製フーリエ変換赤外分光光度計を使用した。
【0107】
製造例2:変性エポキシ化大豆油
撹拌中のエポキシ化大豆油100重量部に、ラウリン酸過酸化物0.1重量部以下を加えて140℃で処理して、変性エポキシ化大豆油を製造した。
【0108】
実施例1:加水分解縮重合デンプンと変性エポキシ化大豆油とからなる生分解性樹脂組成物
製造例1で得た加水分解縮重合デンプンペレット100重量部と製造例2で得た変性エポキシ化大豆油10重量部を、140℃に設定した1軸押出し機で混練して、固形状のデンプン組成物を得た。得られたデンプン組成物の耐熱性について、TG−DSCにより熱分解開始温度を測定した。結果を表1に示す。
【0109】
実施例2:ポリ乳酸と変性エポキシ化大豆油とからなる生分解性樹脂組成物
加水分解縮重合デンプンペレットに代えてポリ乳酸を用いた以外は、実施例1と同様にして固形状のポリ乳酸組成物を得た。得られたポリ乳酸組成物の耐熱性の結果を表1に示す。
【0110】
実施例3:ポリ乳酸とエポキシ化合物とからなる生分解性樹脂組成物
ポリ乳酸100重量部と脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル化学工業株式会社製)1重量部を、180℃に設定した1軸押出し機で混練して、固形状のポリ乳酸組成物を得た。
【0111】
つぎに、固形状のポリ乳酸組成物と、ポリ乳酸組成物中のエポキシ化合物100重量部に対してフタル酸33重量部、生分解性樹脂組成物100重量部に対して、有機過酸化物としてt−ブチルラウリン酸過酸化物(パーブチルL、日本油脂株式会社製)0.05重量%、2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイド0.05重量部を、300℃に設定した1軸押出し機で混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を得た。
【0112】
得られたポリ乳酸組成物の耐熱性について、TG−DSCにより熱分解開始温度を測定した。結果を表1に示す。
【0113】
実施例4:ポリ乳酸とエポキシ化合物とからなる生分解性樹脂組成物
ポリ乳酸100重量部と脂環式エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル化学工業株式会社製)1重量部、ポリ乳酸組成物中のエポキシ化合物100重量部に対して無水マレイン酸10重量部、無水コハク酸10重量部、およびトリメリット酸10重量部を、180℃に設定した1軸押出し機で混練して、固形状のポリ乳酸組成物を得た。
【0114】
つぎに、炭酸ガスを導入して、超臨界状態となるように設定した条件下で、固形状のポリ乳酸組成物と、生分解性樹脂組成物100重量部に対して、有機過酸化物としてt−ブチルラウリン酸過酸化物(パーブチルL、日本油脂株式会社製)0.05重量%、2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイド0.05重量部を、300℃に設定した1軸押出し機で混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を得た。
【0115】
得られたポリ乳酸組成物の耐熱性について、TG−DSCにより熱分解開始温度を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
比較例1:トウモロコシデンプン
トウモロコシデンプンの耐熱性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0117】
比較例2:加水分解縮重合デンプン
実施例1で用いた加水分解縮重合デンプンペレットの耐熱性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0118】
比較例3:ポリ乳酸
実施例2および3で用いたポリ乳酸の耐熱性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
Figure 0004065006
【0120】
実施例および比較例をみると、本発明にしたがって、エポキシ化合物を有機過酸化物で処理して得られる変性エポキシ化合物を配合した組成物は、変性エポキシ化合物を配合していないものにくらべて耐熱性が向上していることがわかる。具体的には熱分解開始温度をみてみると、通常のトウモロコシデンプン(比較例1)が120℃、加水分解縮重合デンプン(比較例2)が290℃であるのに対して、本発明にしたがい、エポキシ化植物油を配合した組成物(実施例1)では294℃まで上昇させることができた。
【0121】
また、本発明にしたがって、生分解性樹脂およびエポキシ化合物を有機カルボン酸類および有機過酸化物で処理して得られる生分解性樹脂組成物は、処理していないものにくらべて耐熱性が向上していることがわかる。具体的には熱分解開始温度をみてみると、通常のポリ乳酸(比較例3)が230℃であるのに対して、本発明により得た組成物(実施例3)では300℃まで上昇させることができた。
【0122】
さらに、生分解性樹脂およびエポキシ化合物を有機カルボン酸類で処理した後に、有機過酸化物で処理して得られる生分解性樹脂組成物は、実施例3よりもさらに耐熱性が向上していることがわかる。
【0123】
また、実施例3および比較例3で得られた組成物を用いて温度を変化させて、貯蔵弾性率(Pa)を測定した結果を図1に示すが、実施例3の生分解性樹脂およびエポキシ化合物を有機過酸化物で処理した組成物では、比較例3のポリ乳酸と比較して、60〜120℃程度の温度領域において貯蔵弾性率(Pa)が高くなった。
【0124】
実施例4および比較例3で得られた生分解性樹脂組成物について、室温から200℃まで昇温したのちに、室温まで降温して示差走査熱量(DSC)を測定した。その結果を図2に示す。図2中、符号1が実施例4を、符号2が比較例3を示し、符号3が実際のサンプル温度を示している。本発明の生分解性樹脂組成物では、降温時に90℃付近にブロードな結晶化ピークが観察され、結晶化していることがわかる。一方、比較例3のポリ乳酸では、全く結晶化ピークが観察されず、結晶化していないことがわかる。したがって、本発明の生分解性樹脂組成物では、結晶化しているので、耐熱性(HDT)がポリ乳酸の55.7℃から、155℃に大幅に向上する。
【0125】
実施例5〜8:マスターバッチ
実施例2で用いたポリ乳酸に、マスターバッチとして実施例4で得られた本発明の生分解性樹脂組成物を、表2の組成に従い混合した。得られた樹脂組成物の耐熱性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
Figure 0004065006
【0127】
実施例5〜8と比較例3の耐熱性の結果から、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして使用した場合は、少ない添加量でもポリ乳酸の耐熱性を著しく向上させることが可能であることがわかった。
【発明の効果】
【0128】
熱可塑性、柔軟性および実用的に充分な機械的物性を有し、軟化点以上でも膠着しにくく、かつ従来のデンプンやポリ乳酸などの生分解性樹脂からなる組成物にはみられない優れた耐熱性を有する組成物を得ることができる。そのため、従来、デンプンやポリ乳酸などの生分解性樹脂を使用することが困難であった耐熱性が要求される用途にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施例3および比較例3で得られた組成物の温度に対する貯蔵弾性率(Pa)の変化を示すグラフである。
【図2】実施例4および比較例3で得られた組成物について、示差走査熱量測定(DSC)した結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸および3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物または有機カルボン酸塩ならびにt−ブチルラウリン酸過酸化物および/または2,5−ジメチル−ビスヘキサン−2,5−ベンゾイルパーオキサイドで処理して得られる生分解性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の生分解性樹脂組成物からなるポリ乳酸の耐熱性向上剤。
  3. 請求項1記載の生分解性樹脂組成物からなる成形品。
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