JPWO2011004885A1 - ポリ乳酸系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

ポリ乳酸樹脂とモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを含有するポリ乳酸系樹脂組成物であって、モノカルボジイミド化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、ハイドロタルサイト化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物、及び該ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体に関する。
近年、環境保全の見地から、ポリ乳酸に代表される生分解性を有する各種の脂肪族ポリエステル樹脂が注目されている。脂肪族ポリエステル樹脂のなかでも、ポリ乳酸樹脂は、透明性が良好で、かつ最も耐熱性が高い樹脂の一つである。また、トウモロコシやサツマイモ等の植物由来原料から大量生産可能なためコストが安く、さらに石油原料の使用量削減にも貢献できることから、有用性が高い。
しかし、ポリ乳酸樹脂には、長期使用時の耐加水分解性及び耐久性が低いという欠点がある。特に高温高湿度下においてはこの傾向が非常に顕著である。ポリ乳酸樹脂の加水分解反応は、分子鎖末端のカルボキシル基が触媒として進行し、特に高温高湿度下ではそれが加速度的に進行する。そのため、ポリ乳酸樹脂単体で作製した成形体は、長期使用や高温高湿度条件での使用による劣化に伴う強度や分子量の低下などが問題となり、長期使用時の耐久性、高温高湿度下の保存安定性が不十分であった。また、ポリ乳酸樹脂単体で作製した成形体は、高温高湿度下における長期間の使用において、ひび割れ、ブリードアウト、変形などの問題が発生し、外観が悪化するという問題もあった。
この問題を解決する方法として、JP2001−261797Aには、ポリ乳酸の分子鎖末端のカルボキシル基を、特定のカルボジイミド化合物で封鎖することで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、この方法は、カルボキシル末端がカルボジイミド化合物により封鎖し切れず、カルボキシル末端が残っている場合や、カルボジイミド化合物などの添加剤の残渣がある場合があった。これらにより、耐加水分解性が不十分となり、長期使用や高温高湿条件での使用が困難であった。
JP2006−219567Aには、ポリエステル系樹脂にカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物を添加することによって、加水分解速度が改良されたことが記載されている。しかしながら、この場合は、38℃、相対湿度85%の条件下において、10日間という非常に低いレベルでの評価であり、長期間の耐加水分解性及び耐久性は不十分であった。
本発明の課題は、上記のような問題点を解決するものであり、耐加水分解性及び耐久性に優れるポリ乳酸系樹脂組成物及び該ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂にモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物を併用したポリ乳酸系樹脂組成物において、予測できないほど、耐加水分解性及び耐久性(すなわち、長期間、耐加水分解性に優れるとともに、強度の低下が小さく、外観が良好な成形体を得ることができること)が大きく向上することを見出し、本発明に到達した。さらに、架橋したポリ乳酸樹脂を用いることにより、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性が向上し、耐加水分解性及び耐久性も向上することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1)ポリ乳酸樹脂とモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを含有するポリ乳酸系樹脂組成物であって、モノカルボジイミド化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、ハイドロタルサイト化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)ポリ乳酸樹脂が架橋されたポリ乳酸樹脂であって、ポリ乳酸系樹脂組成物中に(メタ)アクリル酸エステル化合物及び/又はアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物を含有することを特徴とする(1)のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)ポリ乳酸系樹脂組成物中にホホバ油を含有し、ホホバ油の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする(1)又は(2)のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)いずれかのポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂にモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを含有するものであるため、耐加水分解性に優れ、長期間、耐加水分解性に優れるとともに、強度の低下が小さく、外観が良好であるという耐久性に非常に優れた成形体を得ることができる。そして、ポリ乳酸樹脂として架橋したポリ乳酸樹脂を用いることにより、耐熱性に優れるとともに、耐加水分解性や耐久性がより向上したポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、各種の成形体を得ることが可能であり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなる本発明の成形体は、耐加水分解性や耐久性が要求される様々な用途に好適に利用することができる。さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物や成形体は、植物由来のポリ乳酸樹脂を用いたものであるため、環境負荷の低減と石油資源の枯渇防止に貢献することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを含有している。
ポリ乳酸樹脂について以下に述べる。
ポリ乳酸樹脂は植物由来原料の中でも、成形性、透明性、耐熱性に優れる。ポリ乳酸樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びこれらの混合物又は共重合体、ステレオコンプレックス共晶体などを挙げることができる。
ポリ乳酸樹脂は、工業的な生産の容易さを考慮すると、ポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)の含有比率であるL/D比(mol%比)が、0.05/99.95〜99.95/0.05のものが好ましく、この範囲内であれば特に制限なく使用できる。
中でもポリ乳酸樹脂のL/D比(mol%)が、0.05/99.95〜5/95、もしくは、L/D比=99.95/0.05〜95/5であると、結晶性が向上し、得られる樹脂組成物の耐熱性が優れるとともに、耐加水分解性も向上し、好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂のL/D比(mol%)は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL−乳酸とD−乳酸を全てメチルエステル化し、L−乳酸のメチルエステルとD−乳酸のメチルエステルとを、ガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
ポリ乳酸樹脂の分子量は重量平均分子量(Mw)が5万〜30万の範囲であることが好ましい。より好ましくは8万〜25万、さらに好ましくは10万〜20万の範囲である。重量平均分子量が30万を超えるとポリ乳酸樹脂の溶融粘度が上がり、溶融混練時の流動性が損なわれることで操業性が低下する場合があり、一方、5万未満であると機械的物性や耐熱性が低下するという問題が生じる場合がある。重量平均分分子量(Mw)は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用いて、テトラヒドロフランを溶出液として、40℃において標準ポリスチレン換算で求めた値である。
また、溶融粘度を分子量の指標として用いる場合には、ポリ乳酸樹脂の190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MFI)が0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜40g/10分である。メルトフローインデックスが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。メルトフローインデックスが0.1g/10分未満の場合は、溶融粘度が高すぎて、樹脂組成物の成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。メルトフローインデックスを所定の範囲に制御する方法として、メルトフローインデックスが大きすぎる場合には、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて、樹脂の分子量を増大させる方法が使用できる。一方、メルトフローインデックスが小さすぎる場合には、メルトフローインデックスの大きな生分解性ポリエステル樹脂などの低分子量化合物と混合する方法などが挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂の融点は、成形加工性の観点から、140〜240℃が好ましく、より好ましくは150〜220℃である。
さらに、本発明において、ポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂に架橋構造を導入した架橋ポリ乳酸樹脂であることが好ましい。架橋ポリ乳酸樹脂とすることにより、結晶化が促進され、耐熱性が向上するとともに、耐加水分解性や耐久性にもより優れたポリ乳酸樹脂組成物や成形品を得ることが可能となる。
架橋ポリ乳酸樹脂は、公知慣用の方法により、その一部が架橋されているものであり、エポキシ化合物などで修飾(すなわち、グラフト重合)されていてもよい。
本発明における架橋ポリ乳酸樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物と、アルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物(以下、「本発明におけるシラン化合物」と略することがある)との、少なくとも一方を含有するものである。(メタ)アクリル酸エステル化合物や本発明におけるシラン化合物は、架橋剤として用いられるものであり、ポリ乳酸樹脂の架橋を促進し、樹脂組成物の結晶化を促進し、耐熱性の改善および耐加水分解性や耐久性のさらなる向上に寄与するものである。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、ポリ乳酸樹脂との反応性が高く、モノマーが残りにくく、毒性が少なく、かつ樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシ(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジアクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジメタクリレート、又は、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。なかでも、樹脂組成物の結晶化の観点から、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
一方、本発明におけるシラン化合物は、アルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するものであり、下記の式(I)で表されるものである。
Figure 2011004885
式(I)中、R〜Rの少なくとも2つ以上は、アルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基、あるいはこれらの官能基を有する置換基を表す。残りは、アルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基以外を表し、例えば水素、アルキル基、エポキシ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。ビニル基を有する置換基としては、例えばビニル基、p−スチリル基が挙げられる。アクリル基を有する置換基としては、例えば3−メタクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。エポキシ基を有する置換基としては、例えば3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)基などが挙げられる。
中でも、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を1つ有し、アルコキシ基を3つ有するシラン化合物が、結晶化速度の向上の点で好ましい。
このようなシラン化合物の具体例、及び商品名の例としては、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−1003)、ビニルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製TSL8311、信越化学工業社製KBE−1003)、p−スチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−1403)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製TSL8370、信越化学工業社製KBM−503)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−503)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−5103)等が挙げられる。
上記のような(メタ)アクリル酸エステル化合物や本発明におけるシラン化合物を用いて架橋ポリ乳酸樹脂を得る際には、(メタ)アクリル酸エステル化合物と本発明におけるシラン化合物をそれぞれ単独で用いる場合、併用する場合ともに((メタ)アクリル酸エステル化合物とシラン化合物を併用する場合は、両化合物の合計量とする)、ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部配合されていることが好ましく、中でも0.05〜3質量部配合されていることがより好ましい。配合量が0.01質量部未満では、ポリ乳酸樹脂を十分に架橋することができず、結晶化を十分に促進することができないため、耐熱性を向上させることができない場合がある。一方、配合量が5質量部を超えると、ポリ乳酸樹脂と混練する際の操業性が低下し、また架橋の効果が飽和するため、経済的でない場合がある。
そして、ポリ乳酸樹脂に架橋構造を導入する方法としては、架橋効率の点で、過酸化物を使用したラジカル架橋方法が好ましい。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。なかでも、架橋効率の観点から、ジブチルパーオキサイドが好ましい。
過酸化物の配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、中でも0.05〜5質量部であることが好ましい。過酸化物を配合することによってポリ乳酸樹脂が効率よく十分に架橋されるため、結晶化が促進され、耐熱性が向上する。過酸化物の配合量が0.01質量部未満であると、添加の効果が認められない。10質量部を超えても使用できるが、効果が飽和するばかりか、経済的でない場合がある。なお、過酸化物は、ポリ乳酸樹脂との混合の際に分解して消費されるため、得られた樹脂組成物中には含まれていない場合がある。
より具体的には、架橋ポリ乳酸樹脂を得るラジカル架橋方法としては、ポリ乳酸樹脂に、過酸化物と、(メタ)アクリル酸エステル化合物及び/又は本発明におけるシラン化合物とを配合して、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。そして、混練状態をよくするために二軸の押出機を使用することが好ましい。
配合に際しては、過酸化物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、本発明におけるシラン化合物を媒体に溶解又は分散して混練機に注入する方法が好ましい。このように混練することで、操業性を格段に改良することができる。過酸化物、(メタ)アクリル酸エステル化合物や本発明におけるシラン化合物を溶解又は分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。
可塑剤としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上などが挙げられる。具体的な化合物としては、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノカプレート、ポリグリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ビス(メチルジグリコール)アジペートなどが挙げられる。
可塑剤は市販品を好適に使用することができる。具体的な商品名を例示すると、理研ビタミン社製の、PL−012、PL−019、PL−320、PL−710、アクターシリーズ(M−1、M−2、M−3、M−4、M−107FR);田岡化学社製の、ATBC;大八化学社製のBXA、MXA;太陽化学社製のチラバゾールVR−01、VR−05、VR−10P、VR−10P改1、VR−623などが挙げられる。
可塑剤の配合量としては、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜20質量部である。配合量が30質量部を超えると、樹脂組成物の耐熱性が低下したり、もしくは、成形品のブリードアウトが発生したりする場合があり好ましくない。架橋剤の反応性が低い場合は、可塑剤を使用しなくてもよいが、架橋剤の反応性が高い場合には可塑剤を0.1質量部以上用いると、溶融混練時の操業性が安定するため好ましい。
なお、これらの可塑剤は、ポリ乳酸樹脂との混合時に揮発することがあるため、得られた樹脂組成物中には可塑剤が含まれていない場合がある。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、末端封鎖剤としてカルボジイミド化合物を含有するものであり、中でもモノカルボジイミド化合物を用いることが必要である。本発明においては、モノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを併用することにより、得られる樹脂組成物や成形体の耐加水分解性や耐久性を向上させることができる。
モノカルボジイミド化合物について以下に説明する。
本発明において用いられるモノカルボジイミド化合物は、同一分子内に1個のカルボジイミド基を有するものである。モノカルボジイミド化合物の具体例としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド、p−フェニレンービス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロへキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロへキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N’−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミドなどが挙げられる。これらのモノカルボジイミド化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の中でも、本発明においては、耐加水分解性、耐久性、物性維持、外観の維持などの観点から、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂組成物中のモノカルボジイミド化合物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部又は架橋ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が必要であり、中でも0.5〜8質量部であることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、耐加水分解性を有するポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができない。一方、10質量%を超えると、モノカルボジイミド化合物がブリードアウトし、得られる成形体は外観が悪化したり、強度が低下するなど機械的特性に劣るものとなる。
なお、同一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物を用いた場合は、後述するような、ハイドロタルサイト化合物と併用することによる耐加水分解性や耐久性の向上効果が認められない。
ハイドロタルサイト化合物について以下に説明する。
本発明におけるハイドロタルサイト化合物は、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムを含有する無機化合物である。従来から、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の汎用合成樹脂に、ハイドロタルサイト化合物を、樹脂の熱安定性を付与するため添加したり、受酸剤やpH緩衝剤として添加したりすることが知られているが、ポリ乳酸樹脂への添加の効果は全く知られていなかった。本発明者らは、ハイドロタルサイト化合物を上記したモノカルボジイミド化合物とともにポリ乳酸樹脂に添加すると、得られるポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性及び耐久性が向上することを見出した。
つまり、ポリ乳酸樹脂にモノカルボジイミド化合物を添加することにより、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性を向上させることができるが、モノカルボジイミド化合物とともにハイドロタルサイト化合物を用いることで、モノカルボジイミド化合物を単独で含有するときに比べて、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性と耐久性を大幅に向上させることができる。ハイドロタルサイト化合物の添加量は少量でも、モノカルボジイミド化合物を添加することによる耐加水分解性の効果をより向上させることができるので、樹脂組成物中のモノカルボジイミド化合物の含有量を少なくすることが可能である。したがって、モノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物を添加することによる樹脂組成物の他の物性(耐熱性、機械的強度、外観、成形性)に与える影響を最小限に抑えることができる。さらに、ハイドロタルサイト化合物は、モノカルボジイミド化合物がブリードアウトすることを防ぐ効果があり、長期間良好な外観を保つ成形品を得ることが可能となる。また、高価なカルボジイミド化合物の含有量を少なくすることで、樹脂組成物のコストを抑えることもできる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物に配合されるハイドロタルサイト化合物は、マグネシウム、アルミニウムの含水塩基性炭酸塩であることが好ましい。これらは、天然物又は合成品のいずれであってもよい。
ハイドロタルサイト化合物の天然物は、MgAl(OH)16CO・4HOで示される化学構造を有する。一方、ハイドロタイルサイト化合物の合成品としては、天然物のMgとAlの組成比が異なったもの、例えば、化学式MgAl(OH)12CO・3HO、MgAl(OH)14CO・4HO、Mg10Al(OH)22(CO・4HO、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOで示されるものなどが挙げられる。このようなハイドロタルサイト化合物は、市販品として容易に入手することができる。また、水熱法などの従来公知の方法により製造することもできる。これらのハイドロタイルサイト化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハイドロタルサイト化合物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部又は架橋ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であり、好ましくは0.5〜1.5質量部である。含有量が0.05質量%未満であると、得られるポリ乳酸系樹脂組成物や成形体の耐加水分解性や耐久性を向上させる効果を奏することができない。一方、2質量%を超えると、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性が悪化したり、得られる成形体の外観が悪化したり、強度が低下する。
また、ハイドロタルサイト化合物は予め、下記に示すような表面処理剤にて表面処理されていることが好ましい。ハイドロタルサイト化合物を表面処理剤にて表面処理するための方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の湿式法や乾式法等によることができる。
表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩(金属石ケン)、アニオン界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤を挙げることができ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性などの観点から、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩が好ましく用いられる。
表面処理剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;これら高級脂肪酸のリチウム塩、高級脂肪酸のナトリウム塩、高級脂肪酸のカリウム塩等の金属塩;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エーテル結合スルホン酸塩、エステル結合スルホネート、アミド結合アルキルアリールスルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノ又はジエステル又はこれらの混合物であって、それらの酸型又はアルカリ金属塩又はアミン塩等のリン酸エステル;ビニルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタンカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルカリカップリング剤を挙げることができる。これらの表面処理剤中でも、ポリ乳酸樹脂との相溶性の観点から、シランカップリング剤やステアリン酸などが好ましい。したがって、本発明のハイドロタルサイト化合物としては、シランカップリング剤やステアリン酸で表面処理されているものがより好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、さらにホホバ油が含有されていることが好ましい。
ホホバ油は、樹脂組成物中のモノカルボジイミド化合物とハイドロタイルサイト化合物の分散性をより向上させる効果があるため、得られる樹脂組成物の耐加水分解性や耐久性をより向上させることができる。
ホホバ油とは、天然のホホバ(学名:Simmondasia Chinensis)の種子からの圧搾、蒸留により採取したエステルであり、高級不飽和脂肪酸と高級不飽和アルコールとから構成される。ホホバは、米国西南部(アリゾナ州、カリフォルニア州)及びメキシコ北部(ソノーラ、バハ地方)の乾燥地帯に自生する常緑性の灌木である。ホホバは雌雄異株で、樹高60〜180cmでなかには3mに達するものもある。現在は、米国、メキシコの他、イスラエル、オーストラリア、アルゼンチン等の乾燥地帯で栽培されている。
本発明において用いられるホホバ油の具体例としては、上述のように種子から圧搾、蒸留したものをそのまま使用した精製ホホバ油、精製ホホバ油に水素添加することにより固体とした水素添加ホホバ油、そのほか液状のホホバアルコール、あるいはクリーム状のホホバクリームなど、樹脂に混合できるものであればいずれのものでもよい。
ホホバ油の沸点は420℃と高いため、高温を必要とする樹脂の溶融混練等の際に混合しても、樹脂組成物中に安定して存在する。
ポリ乳酸系樹脂組成物中のホホバ油の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部又は架橋ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜4質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。含有量が0.1質量部未満であると、樹脂組成物の耐加水分解性や耐久性を向上させる効果に乏しくなる。一方、含有量が10質量部を超えると、成形体としたときに、該成形体からホホバ油がブリードアウトして物性が著しく低下する場合や、耐加水分解性が阻害される場合があるため好ましくない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、主成分となるポリ乳酸樹脂以外に他の樹脂成分を含有していてもよい。また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物に他の樹脂成分を配合し、アロイとして使用することもできる。
このようなポリ乳酸樹脂以外の他の樹脂成分としては、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリブタジエン、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート及びそれらの共重合体等が挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、添加剤として、熱安定剤や酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、分散剤等が添加されていてもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえば、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
充填材としては、無機充填材と有機充填材が挙げられる。無機充填材としては、タルク、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品などが挙げられる。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず、ポリ乳酸樹脂は公知の溶融重合法で、あるいは必要に応じてさらに固相重合法を併用して製造される。ポリ乳酸樹脂を架橋ポリ乳酸樹脂とする場合には、前記したように、ポリ乳酸樹脂と、(メタ)アクリル酸エステル化合物と本発明におけるシラン化合物と、過酸化物とを溶融混練する方法を用いることが好ましい。
モノカルボジイミド化合物やハイドロタルサイト化合物をポリ乳酸樹脂に添加する方法としては、モノカルボジイミド化合物やハイドロタルサイト化合物をポリ乳酸の重合時に添加する方法、モノカルボジイミド化合物やハイドロタルサイト化合物をポリ乳酸樹脂とともに溶融混練する方法、モノカルボジイミド化合物やハイドロタルサイト化合物を成形時に添加する方法などが挙げられる。なかでも、操業性の観点から、ポリ乳酸樹脂の溶融混練時又は成形時に添加する方法が好ましい。なお、ポリ乳酸樹脂の溶融混練時や成形時に添加する場合には、ポリ乳酸樹脂と予めドライブレンドしておいてから、一般的な混練機や成形機に供給する方法や、サイドフィーダーを用いて溶融混練の途中から添加する方法などが挙げられる。ホホバ油を添加する場合には、精製ホホバ油を用いる場合は、液状であるため、加熱定量送液装置などを用いて混練の途中から添加する方法が好ましい。
熱安定剤などのその他の添加剤は、溶融混練時あるいは重合時に加えることが好ましい。
溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができる。混合均一性や分散性を高める観点からは二軸押出機を使用することが好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物を併用することにより、予測できないほど、耐加水分解性及び耐久性が大きく向上しており、ポリ乳酸樹脂の大きな欠点であった高温高湿度下での長期使用が可能となる。このため、各種成形体とした場合に、従来のポリ乳酸樹脂では実用化において耐加水分解性や耐久性が不十分であった用途にも使用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物は夏場の自動車内での高温高湿度下の過酷な状況で用いられても、劣化に伴う強度低下や、分子量低下などが生じない。
次に、本発明の成形体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物より得られたものであり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を、射出成形、ブロー成形、押出成形など公知の成形方法により、各種成形体としたものである。
射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等を採用できる。本発明において、好適な射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度はポリ乳酸樹脂の融点(Tm)又は流動開始温度以上であり、好ましくは160〜230℃、最適には170〜210℃の範囲である。シリンダ温度が低すぎると、樹脂の流動性の低下により成形不良や装置の過負荷に陥りやすい。逆にシリンダ温度が高すぎるとポリ乳酸樹脂が分解し、成形体の強度低下、着色等の問題が発生するため好ましくない。
また、本発明において、射出成形の際の金型温度については、架橋ポリ乳酸樹脂でない場合は、50℃以下とすることが好ましく、架橋ポリ乳酸樹脂の場合は、70〜130℃とすることが好ましい。また、架橋ポリ乳酸樹脂でない場合は、射出成形後に得られた成形体に100〜120℃で、30秒〜60分間熱処理(アニール処理)を施すことにより結晶化を促進し、樹脂組成物の剛性、耐熱性を向上させることが好ましい。
また、ブロー成形法としては、例えば、原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形法等が挙げられる。また、予備成形体を成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。
押出成形法としては、Tダイ法、丸ダイ法等を適用することができる。押出成形温度は原料のポリ乳酸樹脂の融点又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると操業が不安定になるという問題や、過負荷に陥りやすいという問題がある。逆に成形温度が高すぎるとポリ乳酸樹脂が分解し、押出成形体の強度低下や着色等の問題が発生するため好ましくない。押出成形によりシートやパイプ等を作製することができる。
押出成形法により得られたシート又はパイプの具体的用途としては、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプ等が挙げられる。また、シートは、さらに、真空成形、圧空成形及び真空圧空成形等の深絞り成形を行うことで、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器及びプレススルーパック容器などを製造することができる。
深絞り成形温度及び熱処理温度は、(Tg+20)℃〜(Tg+100)℃であることが好ましい。深絞り温度が(Tg+20)℃未満では深絞りが困難になり、逆に深絞り温度が(Tg+100)℃を超えるとポリ乳酸樹脂が分解し偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下したりする場合がある。食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、及びプレススルーパック容器の形態は特に限定されないが、食品、物品及び薬品等を収容するためには、深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレイ、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。
上記のような成形法により得られた成形体が使用される具体例を以下に示す。
本発明の成形体は、耐加水分解性や耐久性に優れるという特性を活かして自動車用部品に特に適する。自動車用部品の具体例としては、バンパー部材、インストルメントパネル、トリム、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、コンソールボックス、トランクカバー、スペアタイヤカバー、天井材、床材、内板、シート材、ドアパネル、ドアボード、ステアリングホイール、バックミラーハウジング、エアーダクトパネル、ウィンドモールファスナー、スピードケーブルライナー、サンバイザーブラケット、ヘッドレストロッドホルダー、各種モーターハウジング、各種プレート、各種パネルなどが挙げられる。
また、他にも耐加水分解性や耐久性を必要とする事務機器、家電製品などの筐体、各種部品などの用途に好適に用いることができる。事務機器の具体例としては、プリンター、複写機、ファックスなどのケーシングにおけるフロントカバー、リアカバー、給紙トレイ、排紙トレイ、プラテン、内装カバー、トナーカートリッジなどが挙げられる。他にも、電気・電子部品、医療分野、食品分野、家庭・事務用品、OA機器、建材関係部品、家具用部品など耐加水分解性や耐久性を必要とする各種用途に好適に用いることができる。
本発明のその他の成形体としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器;流動体用容器;容器用キャップ;定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品;台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品;植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材;プラモデル等の各種玩具類等が挙げられる。なお、流動体用容器の形態は特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水及び酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル;醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器;シャンプー・リンス等の容器;化粧品用容器;農薬用容器等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体は繊維であってもよい。繊維の製造方法は特に限定されないが、例えば、溶融紡糸した後、延伸する方法が好ましい。溶融紡糸温度としては、160℃〜260℃が好ましく、170℃〜230℃がより好ましい。160℃未満では溶融押出が困難となる場合があり、一方、260℃を超えると、樹脂の分解が顕著となり、高強度の繊維を得ることが困難な場合がある。溶融紡糸した繊維糸条は、目的とする強度や伸度となるように、Tg以上の温度で延伸させるとよい。このような方法により得られた繊維は、衣料用繊維、産業資材用繊維として使用されたり、短繊維として使用され、織編物や不織布などの製品を得ることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物から得られる成形体は長繊維不織布であってもよい。その製造方法は特に限定されないが、樹脂組成物を高速紡糸して得られた繊維を堆積した後ウェブ化し、さらに熱圧接等の手段を用いて布帛化する方法を挙げることができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明する。以下に、実施例及び比較例において用いた各種原料を示す。
[原料]
(1)ポリ乳酸樹脂
・PLA1;ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4032D」{L/D比(mol%):98.6/1.4、重量平均分子量(Mw):170000、融点:170℃、MFI:2.5g/10分(190℃、荷重2.16kg)}
・PLA2;ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4060D」{L/D比(mol%):88/12、重量平均分子量(Mw):176000、流動開始温度:150℃〜190℃、MFI:11.6g/10分(190℃、荷重2.16kg)}
・PLA3:トヨタ自動車社製、商品名「S−12」{L/D比(mol%比)99.9/0.1、重量平均分子量(Mw):135000、融点:176、MFI:6.7g/10分(190℃、荷重2.16kg)}
(2)カルボジイミド化合物
・CD1;N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(松本油脂社製、商品名「EN160」)
・CD2;N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(ラインケミー社製、商品名「スタバックゾールI」)
・CD3;脂肪族系ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製、商品名「LA−1」)
・CD4;ポリカルボジイミド(ラインケミー社製、商品名「スタバックゾール P−100」)
(3)ハイドロタルサイト化合物
・A;MgAl(OH)16CO・4HO(シランカップリング剤表面処理品)〔協和化学工業社製、商品名「DHT−4A」〕
・B;脱結晶水品(シランカップリング剤表面処理品)〔協和化学工業社製、商品名「DHT−4A−2」〕
・C;脱結晶水品(シランカップリング剤による表面処理を施していない)〔協和化学工業社製、商品名「DHT−4C」〕
・D;焼成品MgO、Al固溶体(シランカップリング剤表面処理品)〔協和化学工業社製、商品名「キョーワード2100」〕
・E;Mg−Al系(シランカップリング剤表面処理品)〔協和化学工業社製、商品名「アルカマイザーP93−2」〕
・F;MgAl(OH)12CO・3HO(ステアリン酸表面処理品)〔堺化学工業社製、商品名「STABIACE HT−1」〕
・G;Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO(ステアリン酸表面処理品)〔堺化学工業社製、商品名「STABIACE HT−P」〕
・H;Mg3.5Zn0.5Al(OH)12CO・3HO(ステアリン酸表面処理品)〔堺化学工業社製、商品名「STABIACE HT−7」〕
(4)無機フィラー
・I;合成スメクタイト(コープケミカル社製、商品名「ルーセンタイトSWF」)
・J;合成スメクタイト(コープケミカル社製、商品名「ルーセンタイトSWN」)
・K;炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名「CC」)
・L;炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名「DD」)
(5)過酸化物
・PBD;ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名「パーブチルD」)
(6)(メタ)アクリル酸エステル化合物
・PDE;エチレングリコールジメタクリレート(日本油脂社製、商品名「ブレンマーPDE−50」)
(7)シラン化合物
・KBM;ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBM−1003」)
(8)可塑剤
・M−1;中鎖脂肪酸トリグリセライド(理研ビタミン社製、商品名「アクターM−1」)
(9)ホホバ油
・精製ホホバ油(香栄工業社製、商品名「精製ホホバ油」)
[評価方法]
以下に、実施例及び比較例の評価に用いた測定法を示す。
(1)ポリ乳酸樹脂のL/D比(mol%)
得られた樹脂組成物を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて十分撹拌した。次いで、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸を分解させ、サンプルとして5mLを計り取った。このサンプルに純水3mL、および、塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これよりL/D比を求めた。
(2)曲げ破断強度
得られた樹脂組成物を用い、下記に示す射出成形条件で射出成形して、(5インチ)×(1/2インチ)×(1/8インチ)の成形片を得た。
なお、架橋剤を含有しないポリ乳酸樹脂を用いた樹脂組成物(実施例1〜26、比較例1〜20)の場合は、射出成形条件1により成形片を得た。
一方、架橋剤を含有する架橋ポリ乳酸を用いた樹脂組成物(実施例27〜39、比較例21〜34)の場合は、射出成形条件2により成形片を得た。次いで、この成形片にASTM−790に従って変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ破断強度(初期曲げ破断強度)を測定した。
〔射出成形条件1〕
装置:射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G型」)
シリンダ温度:170〜190℃
金型温度:15℃
保持時間:20秒
金型の規格:ASTM規格、1/8インチ3点曲げ試験片用金型
〔射出成形条件2〕
装置:射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G型」)
シリンダ温度:170〜190℃
金型温度:100℃
保持時間:60秒
金型の規格:ASTM規格、1/8インチ3点曲げ試験片用金型
(3)耐加水分解性
恒温恒湿器(ヤマト科学社製、商品名「IG400型」)を用い、上記(2)で得られた成形片を、温度70℃、相対湿度95%の環境下に保存することにより湿熱処理を施した。保存時間(湿熱処理時間)を、500時間、1000時間、1500時間、2000時間とし、それぞれの処理時間、湿熱処理を施した成形片を回収し、上記(2)と同様にして曲げ破断強度を測定した。そして、上記(2)で測定した初期曲げ破断強度の値を用い、以下の式に基づいて、曲げ強度保持率を算出した。
曲げ強度保持率(%)=(湿熱処理後の曲げ破断強度)/(初期曲げ破断強度)×100
(4)外観評価
上記(3)の湿熱処理を、500時間、1000時間、1500時間、2000時間施した成形片の表面を目視で観察し、湿熱処理前の成形片の表面外観と比較し、以下の基準で評価した。
◎:全く変化なし。
○:表面が若干白化した。
△:表面が粉状に変質した。
×:成形片にひび割れ、又はブリードアウトが発生、又は変形した。
(5)荷重たわみ温度(DTUL)(℃)
上記(2)と同様にして得られた成形片を用い、ISO 75−1に従い、荷重0.45MPaで測定した。
(実施例1)
ポリ乳酸樹脂として100質量部のPLA1と、モノカルボジイミド化合物として4質量部のCD1と、ハイドロタルサイト化合物として0.5質量部のAをドライブレンドした後、二軸押出機(池貝社製、商品名「PCM−30型」)を用いて、温度190℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練した。溶融混練の後0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押出してペレット状にカットし、真空乾燥機(ヤマト科学社製、商品名「真空乾燥機DP83」)にて、温度60℃で48時間乾燥処理し、ペレット(ポリ乳酸系樹脂組成物)を得た。
(実施例2〜8)
表1に示すように、ハイドロタルサイト化合物として、Aに変えて、B、C、D、E、F、G、Hをそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例9)
モノカルボジイミド化合物としてCD2を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例10)
ポリ乳酸樹脂としてPLA2を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例11)
ポリ乳酸樹脂としてPLA2を用いた以外は、実施例9と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例12)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例13)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例14)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を1.0質量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例15)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を1.5質量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例16)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例17)
2質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例18)
0.1質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例19)
1質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例20)
4質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例21)
ポリ乳酸樹脂としてPLA3を100質量部用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例22)
2質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例21と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例23〜24)
表4に示すように、ハイドロタルサイト化合物として、Aに変えて、B、Cをそれぞれ用いた以外は、実施例22と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例25)
実施例1で得られたポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを用い、上記(2)の曲げ破断強度測定において射出成形片を得た。得られた成形片に120℃のオーブン中で30分間加熱処理を行い、アニール処理を施した。
(実施例26)
実施例22で得られたポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを用い、上記(2)の曲げ破断強度測定において射出成形片を得た。得られた成形片に120℃のオーブン中で30分間加熱処理を行い、アニール処理を施した。
実施例1〜8で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表1に示す。実施例9〜13で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表2に示す。実施例14〜20で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表3に示す。実施例21〜24で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果、実施例25〜26で得られた成形片の特性値及び評価結果を表4に示す。
Figure 2011004885
Figure 2011004885
Figure 2011004885
Figure 2011004885
(比較例1)
ハイドロタルサイト化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例2)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を6質量部に変更した以外は、比較例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例3)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を8質量部に変更した以外は、比較例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例4)
ハイドロタルサイト化合物を用いなかった以外は、実施例17と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例5)
モノカルボジイミド化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例6)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を0.03質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例7)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例8)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を0.08質量部に変更した以外は、実施例14と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例9)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を12質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例10〜11)
表6に示すように、モノカルボジイミド化合物のCD1を、ポリカルボジイミド化合物のCD3、CD4にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例12)
モノカルボジイミド化合物のCD1を、ポリカルボジイミド化合物のCD3に変更した以外は、実施例17と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例13〜16)
表7に示すように、ハイドロタルサイト化合物のAを、無機フィラーのI、J、K、Lにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例17)
ハイドロタルサイト化合物のAを用いなかった以外は、実施例21と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例18)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を6質量部に変更した以外は、比較例17と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例19)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を8質量部に変更した以外は、比較例17と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例20)
ハイドロタルサイト化合物のAを用いなかった以外は、実施例22と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
比較例1〜4で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表5に示す。比較例5〜11で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表6に示す。比較例12〜20で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表7に示す。
Figure 2011004885
Figure 2011004885
Figure 2011004885
表1〜7より明らかなように、実施例1〜24の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ハイドロタルサイト化合物を特定の割合で配合したものであったため、得られた成形体は、初期曲げ破断強度が高く、70℃、相対湿度95%の条件下において、2000時間経過後も曲げ強度保持率が高く、耐加水分解性に優れるものであった。また、良好な外観を比較例より長期間保持することができ、耐久性にも優れていた。
実施例17〜20の樹脂組成物は、さらにホホバ油を適量配合したものであったため、実施例1〜8と比較すると、得られた成形体の2000時間経過後の曲げ強度保持率が高く、耐加水分解性にさらに優れていた。
実施例21〜24の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂中のポリ(D−乳酸)の割合が0.1mol%と低いものであったため、結晶性が向上しており、実施例1〜3と比較すると、得られた成形体は耐熱性に優れており、2000時間経過後の曲げ強度保持率が高く、耐加水分解性にさらに優れていた。
実施例25および26では、実施例1、22の樹脂組成物より得られた成形体にアニール処理を施した成形体の耐加水分解性や耐熱性の評価を示すものであるが、アニール処理により結晶性が促進され、耐加水分解性、耐久性、耐熱性が向上することがわかる。
比較例1、2の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていないため、モノカルボジイミド化合物を4質量部配合したいずれの実施例の樹脂組成物よりも耐加水分解性および耐久性に劣るものであった。
比較例3の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていないため、モノカルボジイミド化合物を8質量部配合した実施例13と比較すると、耐加水分解性および耐久性に劣るものであった。
比較例4の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていないため、ホホバ油を用いても、モノカルボジイミド化合物を4質量部配合したいずれの実施例の樹脂組成物よりも耐加水分解性および耐久性に劣るものであった。
比較例5の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物が配合されていないため、いずれの実施例よりも、耐加水分解性および耐久性に大きく劣るものであった。
比較例6の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物の配合量が過少であったため、実施例1と比較すると、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例7の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物の配合量が過多であったため、実施例1と比較すると、初期曲げ破断強度が低く、耐加水分解性および耐久性にも劣っていた。
比較例8の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の配合量が過少であったため、実施例14と比較すると、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例9の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の配合量が過多であったため、実施例1と比較すると、初期曲げ破断強度が低く、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例10および11の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の代わりに、ポリカルボジイミド化合物を用いたため、実施例1と比較すると耐加水分解性および耐久性に劣るものであった。
比較例12の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の代わりに、ポリカルボジイミド化合物を用いたため、ホホバ油を用いても、耐加水分解性および耐久性に劣るものであった。
比較例13〜16の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物以外の無機フィラーを用いたため、実施例1と比較すると、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例17の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていなかったため、ポリ(D−乳酸)の含有率が低いポリ乳酸樹脂を用いても、モノカルボジイミド化合物を4質量部配合したいずれの実施例の樹脂組成物よりも耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例18の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていなかったため、ポリ(D−乳酸)の含有率が低いポリ乳酸樹脂を用いても、実施例21よりも耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例19の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていなかったため、ポリ(D−乳酸)の含有率が低いポリ乳酸樹脂を用いても、実施例21よりも外観評価に劣り、耐久性に劣っていた。
比較例20の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていなかったため、ポリ(D−乳酸)の含有量が低いポリ乳酸樹脂を用い、さらにホホバ油を配合しても、実施例21よりも耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
架橋ポリ乳酸樹脂(P−1)の調製
2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を使用して、押出機の根元供給口から100質量部のPLA1を供給し、また、混練機途中からポンプを用いて、(メタ)アクリル酸エステル化合物として0.1質量部のPBE、過酸化物として0.2質量部のPDE、可塑剤として2質量部の(M−1)を混合した溶液を注入し、加工温度190℃、スクリュー回転数200rpm、吐出速度15kg/hの条件で溶融混練押出しを行った。そして、吐出された樹脂をペレット状にカットして架橋ポリ乳酸樹脂(P−1)のペレットを得た。
架橋ポリ乳酸樹脂(P−2)〜(P−4)の調製
表8に示すように、ポリ乳酸樹脂の種類、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシラン化合物の配合量を変更した以外は(P−1)と同様にして、架橋ポリ乳酸樹脂(P−2)〜(P−4)のペレットを得た。
Figure 2011004885
(実施例27)
ポリ乳酸樹脂として100質量部の架橋ポリ乳酸樹脂と、モノカルボジイミド化合物として4質量部のCD1と、ハイドロタルサイト化合物として0.5質量部のAをドライブレンドした後、2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を用いて、温度190℃、スクリュー回転数180rpmの条件で溶融混練した。溶融混練の後、押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカットし、温度70℃で24時間真空乾燥し、ペレット(ポリ乳酸系樹脂組成物)を得た。
(実施例28〜29)
表9に示すように、ハイドロタルサイト化合物として、Aに変えて、B、Cをそれぞれ用いた以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例30)
2質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例31)
モノカルボジイミド化合物としてCD2を用いた以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例32〜34)
表10に示すように、架橋ポリ乳酸樹脂の(P−1)を、(P−2)、(P−3)、(P−4)にそれぞれ変更した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例35〜36)
表10に示すように、ハイドロタルサイト化合物として、Aに変えて、B、Cをそれぞれ用いた以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例37)
2質量部の精製ホホバ油を配合した以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例38)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を2質量部に変更した以外は、実施例27と同様にして、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例39)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を8質量部に変更した以外は、実施例27と同様にして、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
実施例27〜31で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表9に示す。実施例32〜39で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表10に示す。
Figure 2011004885
Figure 2011004885
(比較例21)
ハイドロタルサイト化合物を用いなかった以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例22)
カルボジイミド化合物を用いなかった以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例23)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を0.03質量部に変更した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例24)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を3.0質量部に変更した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例25)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を0.08質量部に、ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を1.0質量部に変更した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例26)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を12質量部に変更した以外は、実施例27と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例27)
ハイドロタルサイト化合物を用いなかった以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例28)
ハイドロタルサイト化合物を用いなかった以外は、実施例37と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例29)
ハイドロタルサイト化合物のAの配合量を0.03質量部とした以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例30)
モノカルボジイミド化合物のCD1を用いなかった以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例31)
モノカルボジイミド化合物のCD1の配合量を0.08質量部とした以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例32〜33)
表12に示すように、モノカルボジイミド化合物のCD1を、ポリカルボジイミド化合物のCD3、CD4にそれぞれ変更した以外は、実施例34と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例34)
モノカルボジイミド化合物のCD1を、ポリカルボジイミド化合物のCD3に変更した以外は、実施例37と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
比較例21〜26で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表11に示す。比較例27〜34で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、特性値及び評価結果を表12に示す。
Figure 2011004885
Figure 2011004885
表9〜表12より明らかなように、実施例27〜39の樹脂組成物は、架橋されたポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ハイドロタルサイト化合物を特定の割合で配合したものであったため、得られた成形体は、初期曲げ破断強度が高く、70℃、相対湿度95%の条件下において、2000時間経過後も曲げ強度保持率が80%以上であり、耐加水分解性に優れていた。また、良好な外観を比較例より長期間保持することができ、耐久性にも優れており、耐熱性にも優れていた。実施例27〜39の樹脂組成物の耐加水分解性能、耐熱性は、架橋されていないポリ乳酸樹脂を用いた実施例1〜24の樹脂組成物と比較して、大幅に向上していた。
実施例30、37の樹脂組成物は、さらにホホバ油を適量配合したものであったため、実施例27、34と比較すると、得られた成形体の1500時間、2000時間経過後の曲げ強度保持率が高く、耐加水分解性にさらに優れていた。
実施例34〜37の樹脂組成物は、架橋ポリ乳酸樹脂中のポリ(D−乳酸)の割合が0.1mol%と低いものであったため、結晶性が向上しており、実施例27〜30と比較すると、得られた成形体は耐熱性に優れており、2000時間経過後の曲げ強度保持率が高く、耐加水分解性にさらに優れていた。
比較例21の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていないため、実施例27〜39と比較すると、耐加水分解性、耐久性に劣っていた。
比較例22、30の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物が配合されていないため、いずれの実施例よりも、耐加水分解性、耐久性に大きく劣るものであった。
比較例23の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物の配合量が過少であったため、実施例27と比較すると、耐加水分解性、耐久性に劣っていた。
比較例24の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物の配合量が過多であったため、実施例27と比較すると、初期曲げ破断強度が低く、耐加水分解性、耐久性にも劣っていた。
比較例25、31の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の配合量が過少であったため、耐加水分解性、耐久性に劣っていた。
比較例26の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の配合量が過多であったため、実施例27と比較すると、初期曲げ破断強度が低く、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例27、28の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物が配合されていなかったため、比較例29の樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物の配合量が過少であったため、いずれもポリ(D−乳酸)の含有率が低いポリ乳酸樹脂を用いたものであったが、モノカルボジイミド化合物を4質量部配合したいずれの実施例の樹脂組成物よりも、耐加水分解性、耐久性に劣っていた。
比較例32および33の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の代わりに、ポリカルボジイミド化合物を用いたため、実施例34と比較すると、耐加水分解性、耐久性に大きく劣るものであった。
比較例34の樹脂組成物は、モノカルボジイミド化合物の代わりに、ポリカルボジイミド化合物を用いたため、ホホバ油を用いても、実施例34と比較すると、耐加水分解性、耐久性に大きく劣るものであった。
また、架橋させたポリ乳酸樹脂を用いた実施例27の樹脂組成物は、架橋していないポリ乳酸樹脂を用いた樹脂組成物から得られた成形体にアニール処理を施した実施例25よりも、耐加水分解性、耐熱性に優れていた。また、架橋させたポリ乳酸樹脂を用いた実施例37の樹脂組成物は、架橋していないポリ乳酸樹脂を用いた樹脂組成物から得られた成形体にアニール処理を施した実施例26よりも、耐加水分解性、耐熱性に優れていた。すなわち、架橋されたポリ乳酸樹脂を用いた樹脂組成物とすることにより、簡易な工程で、耐加水分解性、耐久性および耐熱性を有する成形体を得ることが可能である。
上述のように、適切な量のポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ハイドロタルサイト化合物を組み合わせて用いることで、従来のポリ乳酸系樹脂組成物より機械的特性(強度)に優れ、大幅に耐加水分解性が向上し、外観においても、ひび割れ等の問題が発生せず耐久性が向上した成形体を得ることができることがわかった。
また、上記ポリ乳酸系樹脂組成物にホホバ油を配合するとさらに耐加水分解性及び耐久性が向上することがわかった。
また、上記ポリ乳酸系樹脂組成物にポリ乳酸樹脂として、架橋ポリ乳酸樹脂を用いると、より耐熱性に優れるとともに、耐加水分解性及び耐久性が向上することがわかった。
また、上記ポリ乳酸系樹脂組成物にポリ乳酸樹脂として、ポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)の含有比率であるL/D比が99.95/0.05〜95/5であるポリ乳酸樹脂を用いると、より耐熱性に優れるとともに、耐加水分解性及び耐久性が向上することがわかった。
本発明によれば、耐加水分解性及び耐久性に非常に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得ることが可能であり、該ポリ乳酸系樹脂組成物は各種の成形体として、様々な用途に好適に利用することができる。さらに、ポリ乳酸は植物由来であるため、環境負荷の低減と石油資源の枯渇防止に貢献することができる。
ポリ乳酸系樹脂組成物中のモノカルボジイミド化合物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部又は架橋ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が必要であり、中でも0.5〜8質量部であることが好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、耐加水分解性を有するポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができない。一方、10質量を超えると、モノカルボジイミド化合物がブリードアウトし、得られる成形体は外観が悪化したり、強度が低下するなど機械的特性に劣るものとなる。
ハイドロタルサイト化合物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部又は架橋ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であり、好ましくは0.5〜1.5質量部である。含有量が0.05質量未満であると、得られるポリ乳酸系樹脂組成物や成形体の耐加水分解性や耐久性を向上させる効果を奏することができない。一方、2質量を超えると、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性が悪化したり、得られる成形体の外観が悪化したり、強度が低下する。また、ハイドロタルサイト化合物は予め、下記に示すような表面処理剤にて表面処理されていることが好ましい。ハイドロタルサイト化合物を表面処理剤にて表面処理するための方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の湿式法や乾式法等によることができる。
深絞り成形温度及び熱処理温度は、(Tg+20)℃〜(Tg+100)℃であることが好ましい。ここで、Tgはガラス転移温度を示すものである。深絞り温度が(Tg+20)℃未満では深絞りが困難になり、逆に深絞り温度が(Tg+100)℃を超えるとポリ乳酸樹脂が分解し偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下したりする場合がある。食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、及びプレススルーパック容器の形態は特に限定されないが、食品、物品及び薬品等を収容するためには、深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレイ、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。
[原料]
(1)ポリ乳酸樹脂
・PLA1;ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4032D」{L/D比(mol%):98.6/1.4、重量平均分子量(Mw):170000、融点:170℃、MFI:2.5g/10分(190℃、荷重2.16kg)}
・PLA2;ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4060D」{L/D比(mol%):88/12、重量平均分子量(Mw):176000、流動開始温度:150℃〜190℃、MFI:11.6g/10分(190℃、荷重2.16kg)}
・PLA3:トヨタ自動車社製、商品名「S−12」{L/D比(mol%比)99.9/0.1、重量平均分子量(Mw):135000、融点:176、MFI:6.7g/10分(190℃、荷重2.16kg)}

Claims (4)

  1. ポリ乳酸樹脂とモノカルボジイミド化合物とハイドロタルサイト化合物とを含有するポリ乳酸系樹脂組成物であって、モノカルボジイミド化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、ハイドロタルサイト化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸樹脂が架橋されたポリ乳酸樹脂であって、ポリ乳酸系樹脂組成物中に(メタ)アクリル酸エステル化合物及び/又はアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基から選ばれる官能基を2個以上有するシラン化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. ポリ乳酸系樹脂組成物中にホホバ油を含有し、ホホバ油の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜いずれかの項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
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