JP2011021067A - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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佑次 記虎
Kazue Ueda
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Abstract

【課題】高温高湿度下においても長期使用に耐えうる耐加水分解性および耐久性に優れた樹脂組成物およびその成形体を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂30〜90質量部とポリオレフィン樹脂70〜10質量部との総和100質量部に対して、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物0.1〜10質量部を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を含み、高温高湿度下において長期使用に耐えうる耐加水分解性および耐久性に優れた樹脂組成物、該樹脂組成物からなる成形体に関する。
近年、環境保全の見地から、ポリ乳酸に代表される生分解性を有する各種の脂肪族ポリエステル樹脂が注目されている。上記の脂肪族ポリエステル樹脂のうちポリ乳酸は、透明性が良好で、かつ最も耐熱性が高い樹脂の一つであり、また、トウモロコシやサツマイモ等の植物由来原料から大量生産可能なためコストが安く、さらに石油原料の使用量削減にも貢献できることから、有用性が高い。
しかし、ポリ乳酸には、長期使用時の耐久性が低いという欠点があり、特に高温高湿度下においてはこの傾向が非常に顕著である。ポリ乳酸の加水分解反応は、分子鎖末端のカルボキシル基が触媒として進行し、特に高温高湿度下ではそれが加速度的に進行する。そのため、ポリ乳酸樹脂単体で作製した成形体は、長期使用時の耐久性、高温高湿度下の保存安定性が不十分で、長期使用や高温高湿度条件での使用による劣化に伴う強度や分子量の低下などが問題となり、長期使用や高温高湿条件での使用には耐えられなかったためである。
この問題を解決する方法として、特許文献1には、脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸の分子鎖末端のカルボキシル基を、特定のカルボジイミド化合物で封鎖することで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、この方法は、耐加水分解性はかなり向上するが、夏場の車中等より過酷な条件では耐加水分解性および耐久性は不十分であり、また、カルボキシル末端がカルボジイミド化合物により封鎖し切れず、カルボキシル末端が残っている場合や、カルボジイミド化合物などの添加剤の残渣が悪影響するため、長期使用や高温高湿条件での実用性には耐加水分解性が不十分であった。
上記のように、ポリ乳酸と各種添加剤のみからなる組成物は、成形用材料として使用する場合には長期使用時の耐久性が問題となり、ポリ乳酸の単独使用を普及させることは難しいと考えられるようになってきた。一方、他の非分解性樹脂との混合物であっても、脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸のように植物由来である場合には、これが広く使用されることによって石油由来の樹脂の使用を低減することとなり、結果として石油資源の節約に貢献できるため環境に好ましいとする考え方が浸透してきている。
高温高湿度下での耐久性が要求される用途などでは、前述の傾向が強まっており、例えば、ポリオレフィン樹脂のような汎用の樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂とを組み合わせる検討がなされている。特許文献2には、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂とを併用することにより、耐久性が改良されたことが記載されている。しかしながら、この場合は、60℃、相対湿度95%RHの条件下で10日間温存するという非常に低いレベルの評価であり、長期間での耐久性は不十分であった。
他にも、特許文献3には、ポリオレフィン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂であるポリ乳酸樹脂との混合物にカルボジイミド化合物を添加することによって、加水分解が抑制されたことが記載されている。しかしながら、この場合は、60℃、相対湿度95%RHの条件下で500時間という非常に低いレベルの評価であり、長期間の耐久性は不十分であった。また、ポリオレフィン樹脂の比率が大きくポリ乳酸の混合量が少ないことから、ポリオレフィン樹脂の物性が耐久性に大きく寄与していると考えられ、ポリ乳酸の加水分解性及び耐久性が改善されたとは言い難い。
特開2001−261797号公報 再表2005−035656号公報 特開2007−326940号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、耐加水分解性、耐久性にすぐれた樹脂組成物、及び該樹脂組成物より得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を含む樹脂組成物において、予測できないほど耐加水分解性が大きく向上することを見出し、かかる知見に基づき本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)脂肪族ポリエステル樹脂30〜90質量部とポリオレフィン樹脂70〜10質量部との総和100質量部に対して、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物0.1〜10質量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)脂肪ポリエステル樹脂がポリ乳酸を50質量%以上含有したものであることを特徴とする上記(1)の樹脂組成物。
(3)ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂であることを特徴とする上記(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂との総和100質量部に対して、エポキシ基含有添加剤0.1〜30質量部を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)いずれかの樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)いずれかの樹脂組成物からなる成形体。
(6)70℃、相対湿度95%の条件下で2000時間保持したときの曲げ強度保持率が80%以上であることを特徴とする上記(5)の成形体。
本発明によれば、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル樹脂を用いていても、耐加水分解性および耐久性に非常に優れた樹脂組成物を得ることが可能であり、該樹脂組成物は各種の成形体として、様々な用途に好適に利用することができる。さらに、例えば脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸である場合は植物由来であるため、環境負荷の低減と石油資源の枯渇防止に貢献することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を含有している。
本発明における脂肪族ポリエステルとしては、α−ヒドロキシカルボン酸単位及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステルや、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分からなるポリエステルが挙げられる。
α−ヒドロキシカルボン酸単位及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の例としては、D−乳酸、L−乳酸、D−乳酸とL−乳酸の混合物、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸、これらの混合物やこれらの共重合体などが挙げられる。上記の中でも、環境負荷の観点から、D−乳酸、L−乳酸が特に好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、またはその誘導体としての低級アルキルエステル化合物、酸無水物などが挙げられる。上記の中でも、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。上記の中でも、1,4−ブタンジオールが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂として生分解性を損なわない範囲であれば、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が共重合されていてもよく、このような共重合されたポリエステル樹脂も、本発明でいう脂肪族ポリエステル樹脂に含まれる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(D−L乳酸)のほか、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンアジペート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル;ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)等のポリヒドロキシカルボン酸;ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(δ−バレロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート);ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)などの芳香族成分を含むポリエステル樹脂;ポリエステルアミド;ポリエステルカーボネート;澱粉等の多糖類等が挙げられる。これらの成分は、1種でも2種以上組み合わせて用いてもよく、混合されていてもよいし、共重合されていてもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、植物由来原料からなる樹脂を50質量%以上含有する樹脂を用いると、植物由来度が高いことから石油資源使用量の削減効果が高くなり、好ましい。より好ましくは、植物由来原料からなる樹脂を60質量%以上使用することであり、さらに好ましくは80質量%以上とすることである。植物由来原料からなるモノマーを含む脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸のほか、ポリ(ブチレンサクシネート)などが挙げられる。植物由来原料からなる樹脂としてポリ乳酸を用いると、成形性、透明性、耐熱性が向上するため特に好ましい。ポリ乳酸としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体、ステレオコンプレックス共晶体などを挙げることができる。また、用いるポリ乳酸は、工業的な生産の容易さを考慮すると、L/D比=0.05/99.95〜99.95/0.05(mol%)のものが好ましく、この範囲内であれば特に制限なく使用できるが、結晶性のものがより耐加水分解性に優れることから、結晶性を向上させるために、L/D比=0.05/99.95〜5/95(mol%)、もしくは、L/D比=99.95/0.05〜95/5(mol%)の範囲とすることがより好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂は公知の溶融重合法で、あるいは必要に応じてさらに固相重合法を併用して製造される。また、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)及びポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)等については、微生物による生産が可能である。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が5万未満であると機械的物性や耐熱性が悪化する場合があり、重量平均分子量(Mw)が30万を超えると溶融粘度が高くなり、溶融混練や成形加工など操業上、樹脂組成物の流動性が悪くなり、操業性が悪化する場合がある。脂肪族ポリエステル樹脂としてポリ乳酸樹脂を用いる場合は、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万の範囲であれば好ましく使用することができ、より好ましくは8万〜25万、さらに好ましくは10万〜20万の範囲である。重量平均分分子量(Mw)は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用いて、テトラヒドロフランを溶出液として、40℃において標準ポリスチレン換算で求めた値である。
また、溶融粘度を指標として用いる場合には、脂肪族ポリエステル樹脂の190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローインデックス(MFI)が0.1〜50g/10分であれば好ましく、より好ましくは0.2〜40g/10分である。メルトフローインデックスが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形体の機械的特性や耐熱性が劣る。メルトフローインデックスが0.1g/10分未満の場合は、成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。上記のメルトフローインデックスを所定の範囲に制御する方法として、メルトフローインデックスが大きすぎる場合には、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が使用できる。逆に、メルトフローインデックスが小さすぎる場合には、メルトフローインデックスの大きな生分解性ポリエステル樹脂などの低分子量化合物と混合する方法などが挙げられる。
また、本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂の融点は、操業性および加工性の観点から、140〜240℃が好ましく、より好ましくは150〜220℃である。
本発明に用いる脂肪族ポリエステル樹脂は、公知慣用の方法により、一部が架橋されていてもよく、また、エポキシ化合物などで修飾(すなわち、グラフト重合)されていてもよい。
本発明では、ポリオレフィン樹脂を含有することにより耐加水分解性および耐久性を顕著に向上させることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン、ポリイソブチレン、シクロオレフィン樹脂などを挙げることができる。ポリオレフィン樹脂は、特に限定されないが、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカボネート化合物などの有機過酸化物などで三次元架橋されたものでもよいし、一部が塩素化されていてもよい。また、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸などとの共重合体でもよい。
上記の中でも、成形体の剛性や耐衝撃性などの機械物性、成形加工性、耐溶剤性、耐熱性などの特性を発現する点で、炭素数2〜6のα−オレフィンから選択される1種以上のモノマーを単独重合又は共重合して得られるポリプロピレン樹脂が好適に使用される。ポリプロピレン樹脂としては、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレンとエチレン及び/又は上記α−オレフィンとの共重合体から構成されるブロック共重合体やランダム共重合体、極性官能基を有する変性ポリプロピレンなどが挙げられる。耐熱性・耐久性の観点からは、アイソタクチックポリプロピレンが好ましい。これらポリプロピレン樹脂は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、ポリプロピレン樹脂のメルトフローインデックス(230℃、荷重2.16kg)は、操業性および加工性の観点から、0.1〜80g/10分が好ましく、より好ましくは0.5〜70g/10分である。
また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、エチレン・ノルボルネン共重合体などのエチレン単位を主成分として含む重合体(ポリエチレン樹脂)も好ましい。ポリエチレン樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−ジメチルアミノメチルメタアクリレート共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレンオキサイド付加物などのエチレンと極性単量体との共重合体を挙げることができる。これらポリエチレン樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、ポリエチレン樹脂のメルトフローインデックス(190℃、荷重2.16kg)は、操業性および加工性の観点から、0.1〜80g/10分が好ましく、より好ましくは0.5〜70g/10分である。
本発明における脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の配合比は、脂肪族ポリエステル樹脂30〜90質量部に対し、ポリオレフィン樹脂10〜70質量部の割合で配合することが必要である。特に、環境負荷低減の観点から、脂肪族ポリエステル樹脂50〜90質量部に対し、ポリオレフィン樹脂10〜50質量部の割合で配合することが好ましい。さらに、脂肪族ポリエステル樹脂60〜90質量部に対し、ポリオレフィン樹脂10〜40質量部の割合で配合することが好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を配合することにより、脂肪族ポリエステル樹脂(海)にポリオレフィン樹脂が島のように分散した構造(いわゆる海島構造)を得ることができる。海島構造は耐衝撃性の向上に寄与する。
なお、脂肪族ポリエステル樹脂の割合が30質量部未満であると、環境負荷低減の効果を奏することができず、また、海島構造を得ることが困難となる。
本発明においては、同一分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミドであるN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を用いることにより、耐加水分解性を付与できる。
上記N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物は、他のモノカルボジイミド化合物、脂肪族系ポリカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物よりも耐加水分解性に優れており、高温高湿度下の状況でも、物性維持、外観の維持が良好である。したがって、本発明においては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を用いることにより、高温高湿度下において長期使用に耐えうる耐加水分解性、耐久性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の配合量は、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂との総和100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部である。0.1質量部未満では本発明の目的とする長期の耐湿熱性や外観の安定性が得られず、10質量部を超えると強度低下などの、他の物性に悪影響を与える。
脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解反応は、該脂肪族ポリエステル樹脂の分子鎖末端のカルボキシル基が多く残存しているほど早く進行する。そのため、樹脂組成物中のカルボキシル基濃度(以下、[COOH]と表記する場合がある)が低いほど、耐加水分解性を向上させるには好ましい。カルボキシル基濃度としては、3.0mol/ton以下であることが好ましく、1.5mol/ton以下であることがさらに好ましく、1.0mol/ton以下であることが最も好ましい。樹脂組成物中のカルボキシル基濃度を適正な範囲に制御する方法として、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物中のカルボジイミド基濃度や、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の添加量を適宜調整する方法が挙げられる。なお、上記カルボキシル基濃度の測定方法としては、滴定泡や核磁気共鳴法(NMR)などが挙げられる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル樹脂、特定のポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を併用するため、特異的に耐加水分解性および耐久性が向上する。その原因は明らかではないが、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂とのアロイ状態においては、低分子量のN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物が効果的にカルボキシル基を封鎖するものと推定される。したがって、脂肪族ポリエステル樹脂、特定のポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を併用した場合において、特定の比率で配合した時のみ、驚くべきほどに耐加水分解性および耐久性が向上する。
本発明の樹脂組成物には、エポキシ基含有添加剤を添加することが好ましい。エポキシ基含有添加剤は、含有されるエポキシ基が脂肪族ポリエステル樹脂と反応し、骨格部分がポリオレフィン樹脂と相溶することにより、両者の密着性を高める役割を担う。そのため、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂とによる海島構造を固定化し、島の大きさ(すなわち、分散したポリオレフィン樹脂の大きさ)をより細かくする。その結果として、樹脂同士の界面がより強固に接着されるため、耐衝撃性等の物性が向上し、樹脂組成物の外観を改善し、成形性が改良される。また、末端封鎖剤的な効果(すなわち、分子鎖末端のカルボキシル基を封鎖する効果)も期待できるため、耐久性もより向上する。
エポキシ基含有添加剤は、1以上のエポキシ基を含有していれば、特に限定されない。エポキシ基は主に脂肪族ポリエステル樹脂を反応すると考えられるため、その骨格部分に、ポリオレフィン樹脂と相溶性の良い構造を含有するものが好ましい。すなわち、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリブタジエン水添ポリマー、ポリエチレンブチレン、ポリイソブチレン、シクロオレフィンなどの樹脂構造を有するものが好ましい。上記ポリエチレンなどの樹脂構造にさらに、ビニル系、アクリル系、エステル系、アミド系などの樹脂成分が共重合されていてもよい。さらに、上記ポリエチレンなどの樹脂構造に、エポキシ基を直接付加した構造であってもよいし、エポキシ基を付加したポリマーを上記ポリエチレンなどの樹脂構造にグラフト重合した構造であってもよい。
エポキシ基含有添加剤として特に好ましいものは、ポリエチレンやポリプロピレンの骨格にエポキシ基が付加された構造を有するものである。このようなエポキシ基含有添加剤としては、市販品も好適に使用することができ、例えば、「ボンドファーストE」「ボンドファースト2C」(いずれも住友化学社製)、「ARUFON UG4030」(東亞合成社製)、「モディパーA4200」(日本油脂社製)などを挙げることができる。
エポキシ基含有添加剤の添加量は、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の総和100質量部に対して、0.1〜30質量部とするのが好ましい。より好ましくは0.2〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部である。0.1質量部未満である場合は、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂とを相溶するには不十分であり、30質量部を超えると、樹脂組成物における両成分による海島構造が崩れる傾向となる。
本発明の樹脂組成物の耐熱性、結晶化速度、成形性等をさらに向上させる目的で、膨潤性層状珪酸塩を添加してもよい。その添加量は、特に限定されないが、操業性および加工性の観点から、通常、脂肪族ポリエステル樹脂成分とポリオレフィン樹脂成分の総和100質量部あたり0.05〜30質量部であり、好ましくは0.1〜25質量部である。
樹脂組成物中に分散した膨潤性層状珪酸塩は、その層間距離は耐熱性、結晶化速度、成形性向上の観点から、通常、20Å(2nm)以上であり、また、膨潤性層状珪酸塩の粒径は、樹脂組成物への分散性を高めるの観点から、通常1〜1000nm程度である。
膨潤性層状珪酸塩としては、スメクタイト、バーミキュライト、膨潤性フッ素雲母などが挙げられる。スメクタイトの例としては、モンモリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどが挙げられる。膨潤性フッ素雲母の例としては、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライトなどが挙げられる。
これらの膨潤性層状珪酸塩は、樹脂成分への分散性を高めるために、必要に応じて予め有機カチオン処理しておくことができる。
有機カチオンとしては、1級ないし3級アミンのプロトン化物、4級アンモニウム、有機ホスホニウムなどが挙げられる。1級アミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミンなどが挙げられる。2級アミンとしては、ジオクチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミンなどが挙げられる。3級アミンとしては、トリオクチルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。4級アンモニウムとしては、テトラエチルアンモニウム、オクタデシルトリメリルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウムなどが挙げられる。有機ホスホニウムとしては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムなどが挙げられる。これらの有機カチオンは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレン、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートおよびそれらの共重合体等の非生分解性樹脂を添加してもよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明で規定した以外の熱安定剤や酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、分散剤等の添加剤を添加することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえば、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
充填材としては、無機充填材と有機充填材が挙げられる。無機充填材としては、タルク、ハイドロタルサイト化合物、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、一般的な押出機を用いて、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物をドライブレンドしホッパーから投入して溶融混練する方法や、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を溶融押出する際に、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を押出機の途中からフィーダーなどを使って添加する方法、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を加熱し液状にしたのち加熱定量送液装置などを利用して脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の混練の途中から添加する方法が挙げられる。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができる。混合均一性や分散性を高める観点からは二軸押出機を使用することが好ましい。
エポキシ基含有添加剤を添加する場合は、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物およびエポキシ基含有添加剤をドライブレンドしてホッパーから投入する方法や、押出機の途中からフィーダーなどを使って添加する方法などが挙げられる。
膨潤性層状珪酸塩を添加する場合は、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の混合前にいずれか一方または両方の成分に膨潤性層状珪酸塩を含有させる方法や、脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の混合時に膨潤性層状珪酸塩を同時に混合する方法が挙げられる。
熱安定剤などの添加剤は、一般に溶融混練時あるいは重合時に加えられる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形など公知の成形方法により、各種成形体とすることができる。上記成形体は、ポリ乳酸に代表される生分解性を有する各種の脂肪族ポリエステル樹脂の大きな欠点であった高温高湿度下での長期使用時の耐久性が大幅に改善されている。上記成形体の、温度70℃、相対湿度95%の環境下で2000時間保持した場合の曲げ強度保持率は80%以上である。そのため、従来の生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂では実用化において耐久性が不十分であった用途にも使用することができる。例えば、夏場の自動車内での高温高湿度下の過酷な状況でも、保存安定性に優れ劣化に伴う強度、分子量低下などが起きないという利点を有する。
射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等を採用できる。本発明において、好適な射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度は脂肪族ポリエステル樹脂の融点(Tm)または流動開始温度以上であり、好ましくは180〜230℃、最適には190〜220℃の範囲である。シリンダ温度が低すぎると、樹脂の流動性の低下により成形不良や装置の過負荷に陥りやすい。逆にシリンダ温度が高すぎると脂肪族ポリエステル樹脂が分解し、成形体の強度低下、着色等の問題が発生するため好ましくない。
また、本発明においては結晶性であるポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物であるため、射出成形の際の金型温度については、耐熱性を有する成形体を得るために必要とされる金型温度範囲を、公知の技術に比べて広げる(すなわち、温度範囲を低くする)ことができる。それにより、射出成形サイクルが短くなり生産性が顕著に向上するという利点を有する。例えば、公知の技術においては、代表的な脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸単体で耐熱性を有する成形体を作製する場合、金型温度を100℃以上とする必要があったが、本発明においては、金型温度が100℃以上の場合はもちろん、100℃未満であっても同程度の耐熱性を得ることができる。本発明においては、金型温度は、50〜90℃の範囲が好ましく、60〜90℃の範囲がより好ましい。
ブロー成形法としては、例えば、原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー方法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形法等が挙げられる。また、予備成形体を成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。
押出成形法としては、Tダイ法、丸ダイ法等を適用することができる。押出成形温度は原料の脂肪族ポリエステル樹脂の融点(Tm)または流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると操業が不安定になるという問題や、過負荷に陥りやすいという問題がある。逆に成形温度が高すぎると脂肪族ポリエステル樹脂が分解し、押出成形体の強度低下や着色等の問題が発生するため好ましくない。押出成形によりシートやパイプ等を作製することができる。
押出成形法により得られたシートまたはパイプの具体的用途としては、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプ等が挙げられる。また、シートは、さらに、真空成形、圧空成形及び真空圧空成形等の深絞り成形を行うことで、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器及びプレススルーパック容器などを製造することができる。深絞り成形温度及び熱処理温度は、(Tg+20℃)〜(Tg+100℃)であることが好ましい。なお、ここでTgは樹脂組成物のガラス転移温度を示す。深絞り温度が(Tg+20℃)未満では深絞りが困難になり、逆に深絞り温度が(Tg+100℃)を超えると脂肪族ポリエステル樹脂が分解し偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下したりする場合がある。食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、及びプレススルーパック容器の形態は、特に限定されないが、食品、物品及び薬品等を収容するためには、深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。
上記のような成形法を用いて使用される具体例を以下に示す。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、その優れた特性を活かして自動車用部品に特に適する。上記自動車用部品の具体例としては、バンパー部材、インストルメントパネル、トリム、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、コンソールボックス、トランクカバー、スペアタイヤカバー、天井材、床材、内板、シート材、ドアパネル、ドアボード、ステアリングホイール、バックミラーハウジング、エアーダクトパネル、ウィンドモールファスナー、スピードケーブルライナー、サンバイザーブラケット、ヘッドレストロッドホルダー、各種モーターハウジング、各種プレート、各種パネルなどが挙げられる。
また、他にも耐久性を有する事務機器、家電製品などの筐体、各種部品などの用途に好適に用いることができる。事務機器の具体例としては、プリンター、複写機、ファックスなどのケーシングにおけるフロントカバー、リアカバー、給紙トレイ、排紙トレイ、プラテン、内装カバー、トナーカートリッジなどが挙げられる。他にも、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、OA機器、建材関係部品、家具用部品など耐久性を必要とする各種用途に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて製造されるその他の成形品としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器;流動体用容器;容器用キャップ;定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品;台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品;植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材;プラモデル等の各種玩具類等が挙げられる。なお、流動体用容器の形態は特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水及び酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は繊維とすることもできる。該繊維の製造方法は特に限定されないが、例えば、溶融紡糸し延伸する方法が好ましい。溶融紡糸温度としては160℃〜260℃が好ましく、170℃〜230℃がより好ましい。160℃未満では溶融押出が困難となる場合があり、一方、260℃を超えると、樹脂の分解が顕著となり、高強度の繊維を得ることが困難な場合がある。溶融紡糸した繊維糸条は、目的とする強度や伸度となるようにTg以上の温度で延伸させるとよい。
上記方法により得られた繊維は、衣料用繊維、産業資材用繊維、短繊維不織布などとして利用される。
本発明の樹脂組成物は長繊維不織布に展開することもできる。その製造方法は特に限定されないが、樹脂組成物を高速紡糸法により繊維を堆積した後ウェブ化し、さらに熱圧接等の手段を用いて布帛化することにより得ることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
[原料]
以下に、実施例及び比較例において用いた各種原料を示す。
(1)脂肪族ポリエステル樹脂
・ポリ乳酸1(以下、PLA1と称する場合がある)
ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4032D」
{L体/D体:98.6/1.4(mol%)、重量平均分子量(Mw):170,000、融点:170℃、MFI:2.5g/10分(190℃、荷重2.16kg)、[COOH]:22mol/ton}
・ポリ乳酸2(以下、PLA2と称する場合がある)
ネイチャーワークス社製、商品名「Nature Works 4060D」
{L体/D体:88/12(mol%)、重量平均分子量(Mw):176,000、融点:なし、流動開始温度:150℃〜190℃、MFI:5g/10分(190℃、荷重2.16kg)、[COOH]:19mol/ton}
・ポリブチレンサクシネート(以下、PBSと称する場合がある)
三菱化学社製、商品名「GsPLa」
重量平均分子量190,000、融点:112℃、MFI:4.2g/10分(190℃、荷重2.16kg)
(2)ポリオレフィン樹脂
・ポリエチレン1(以下、PE1と称する場合がある)
日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックHD HJ490」
[MFI:20g/10分(190℃、荷重2.16kg)]
・ポリエチレン2(以下、PE2と称する場合がある)
日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックHD HB130R」
[MFI:0.3g/10分(190℃、荷重2.16kg)]
・ポリエチレン3(以下、PE3と称する場合がある)
日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LC522」
[MFI:4.0g/10分(190℃、荷重2.16kg)]
・ポリエチレン4(以下、PE4と称する場合がある)
日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LE520H」
[MFI:4.0g/10分(190℃、荷重2.16kg)]
・ポリプロピレン1(以下、PP1と称する場合がある)
日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP MA3」
[射出成形一般グレード、MFI:11g/10分(230℃、荷重2.16kg)]
・ポリプロピレン2(以下、PP2と称する場合がある)
日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP BC6C」
[射出成形耐衝撃グレード、MFI:2.5g/10分(230℃、荷重2.16kg)]
・ポリプロピレン3(以下、PP3と称する場合がある)
日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP BC03C」
[射出成形耐衝撃グレード、MFI:30g/10分(230℃、荷重2.16kg)]
・ポリプロピレン4(以下、PP4と称する場合がある)
日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP BC06C」
[射出成形耐衝撃グレード、MFI:60g/10分(230℃、荷重2.16kg)]
(3)カルボジイミド化合物
・N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、CD1と称する場合がある)
松本油脂社製、商品名「EN160」
・N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、CD2と称する場合がある)
ラインケミ−社製、商品名「スタバックゾールI」
・N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、CD3と称する場合がある)
純正化学社製、商品名「DCC」
・脂肪族系ポリカルボジイミド(以下、CD4と称する場合がある)
日清紡ケミカル社製、商品名「LA−1」
・ポリカルボジイミド(以下、CD5と称する場合がある)
ラインケミー社製、商品名「スタバックゾール P−100」
(4)エポキシ基含有添加剤
・エポキシ基含有ポリエチレンコポリマー(以下、BF−Eと称する場合がある)
住友化学社製、商品名「ボンドファーストE」
・エポキシ基含有ポリエチレンコポリマー(以下、BF−2Cと称する場合がある)
住友化学社製、商品名「ボンドファースト2C」
・エポキシ基含有アクリル・スチレンポリマー(以下、AR−UGと称する場合がある)
東亞合成社製、商品名「ARUFON UG4030」
・エポキシ基含有ポリエチレン・アクリルグラフト共重合ポリマー(以下、MD−Aと称する場合がある)
日本油脂社製、商品名「モディパーA4200」
[評価方法]
以下に、実施例及び比較例の評価に用いた測定法を示す。
(1)曲げ破断強度
樹脂組成物を射出成形して、(5インチ)×(1/2インチ)×(1/8インチ)の成形片を得た。射出成形の際に、結晶核剤を添加していない樹脂組成物を用いる場合には成形時の金型温度を15℃として、結晶化させずに成形片を得、これをアニール処理したものを試験片とした。射出成形の際に、結晶核剤を添加するなど、結晶化促進処方を施した樹脂組成物を用いる場合は、成形時の金型温度を110℃とし、金型内部で1分間結晶化させて成形片を得、これを試験片とした。次いで、ASTM−790に準じて変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ破断強度を測定した。試験片の作製条件を以下に示す。
(射出成形条件)
装置:射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G型」)
シリンダ温度:160〜190℃
金型温度:15℃(結晶核剤を添加しない場合)、110℃×1分間(結晶核剤を添加した場合)
金型の規格:ASTM規格、1/8インチ3点曲げ試験片用金型
(アニール処理条件)
120℃のオーブン中で30分間加熱し、アニール処理を行った。
(2)湿熱試験
恒温恒湿器(ヤマト科学社製、商品名「IG400型」)を用い、上記(1)の曲げ破断強度測定と同様に作製した試験片を、温度70℃、相対湿度95%の環境下に保存することにより湿熱処理を施した。保存時間(湿熱処理時間)を、1000時間、1500時間、2000時間、2500時間、3000時間とし、それぞれの処理時間、湿熱処理を施した試験片を回収し、ASTM−790に準じて変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ破断強度を測定した。以下の式に基づいて、曲げ強度保持率を算出した。
曲げ強度保持率(%)=(湿熱処理後の曲げ強度)/(湿熱処理前の曲げ強度)×100
(3)外観評価
上記(1)の曲げ破断強度測定と同様に作製した試験片(0時間後)、上記(2)の湿熱処理を1000時間、1500時間、2000時間、2500時間、3000時間施した試験片の表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く変化なし。
○:表面に微量の粉体が発生した。
△:表面に小さい気泡(気泡径1mm未満)が発生した。
×:ひび割れ、またはブリードアウト、または大きい気泡(気泡径1mm以上)が多数発生した。または試験片が変形した。
本発明においては、○以上が実用に耐えうるものであるとする。
(実施例1)
70質量部のPLA1、30質量部のPE1、4質量部のCD1とをドライブレンドした後、二軸押出機(池貝社製、商品名「PCM−30型」)を用いて、温度190℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練した。溶融混練の後0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押出してペレット状にカッティングし、真空乾燥機(ヤマト科学社製、商品名「真空乾燥機DP83」)にて、温度60℃で48時間乾燥処理し樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出成形して、(5インチ)×(1/2インチ)×(1/8インチ)の成形片を作製し、評価に付した。評価結果を表1に示した。
(実施例2〜6)
CD1の配合比を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例7〜11)
PLA1とPE1との混合比を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例12〜14)
PE1を、それぞれPE2、PE3、PE4に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例15)
PLA1をPLA2に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例16〜18)
PE1をPE2、PE3、PE4にそれぞれ変更した以外は、実施例15と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例19)
PLA1をPBSに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例20〜22)
PE1をそれぞれPE2、PE3、PE4にそれぞれ変更した以外は、実施例19と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例23)
CD1をCD2に変更した以外は実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例24〜26)
PE1を、それぞれPE2、PE3、PE4に変更した以外は、実施例23と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例27〜31)
エポキシ基含有添加剤BF−Eを、それぞれ0.1質量部、5質量部、10質量部、20質量部、30質量部添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(実施例32〜34)
エポキシ基含有添加剤BF−2C、AR−UG、MD−Aをそれぞれ10質量部ずつ添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表2に示した。
(比較例1〜3)
100質量部のPLA1と、CD1をそれぞれ2質量部、4質量部、10質量部をドライブレンドし、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例4)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例5〜7)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例12〜14と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例8)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例15と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例9〜11)
CD1を、CD3、CD4、CD5に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例12〜14)
エポキシ基含有添加剤BF−Eをそれぞれ10質量部ドライブレンドした以外は、比較例9〜11と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例15)
70質量部のPLA1、30質量部のPE1、4質量部のCD4、10質量部のエポキシ基含有添加剤MD−Aをドライブレンドし、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例16)
95質量部のPLA1と、5質量部のPE1と、4質量部のCD1をドライブレンドし、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例17〜18)
CD1の配合量を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表3に示した。
Figure 2011021067
Figure 2011021067
Figure 2011021067
(実施例35)
70質量部のPLA1と、30質量部のPP1と、4質量部のCD1をドライブレンドし、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例36〜40)
CD1の添加量を表4に示したように変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例41〜45)
PLA1とPP1との配合比を表4に示したように変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例46〜48)
PP1をそれぞれPP2、PP3、PP4に変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例49)
PLA1をPLA2に変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例50〜52)
PP1をそれぞれPP2、PP3、PP4に変更した以外は、実施例49と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表4に示した。
(実施例53)
PLA1をPBSに変更した以外は実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(実施例54〜56)
PP1をそれぞれPP2、PP3、PP4に変更した以外は、実施例53と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(実施例57)
CD1をCD2に変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(実施例58〜60)
PP1をそれぞれPP2、PP3、PP4に変更した以外は、実施例57と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(実施例61〜65)
エポキシ基含有添加剤BF−Eをそれぞれ、0.1質量部、5質量部、10質量部、20質量部、30質量部配合した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(実施例66〜68)
エポキシ基含有添加剤BF−2C、AR−UG、MD−Aをそれぞれ10質量部ずつ配合した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表5に示した。
(比較例19)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例20〜22)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例46〜48と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例23)
N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドを用いなかった以外は、実施例49と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例24〜26)
CD1をそれぞれCD3、CD4、CD5に変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例27〜29)
70質量部のPLA1、30質量部のPP1、CD3、CD4、CD5をそれぞれ4質量部ずつと、エポキシ基含有添加剤BF−Eを10質量部ずつドライブレンドし、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例30)
70質量部のPLA1、30質量部のPP1、4質量部のCD4、10質量部のエポキシ基含有添加剤MD−Aをドライブレンドし、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例31)
95質量部のPLA1、5質量部のPP1、4質量部のCD1をドライブレンドし、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
(比較例32〜33)
CD1の配合量をそれぞれ表6に示すように変更した以外は、実施例35と同様にして樹脂組成物を作製し、同様の方法で評価した。評価結果を表6に示した。
Figure 2011021067
Figure 2011021067
Figure 2011021067
表1および2の実施例1〜26より、ポリ乳酸、ポリエチレン樹脂、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を特定の割合で配合した樹脂組成物は、70℃、相対湿度95%の条件下においても、2000時間経過後も曲げ強度保持率が80%以上であることから、樹脂組成物の耐加水分解性および耐久性が大幅に向上している。
実施例27〜34より、ポリ乳酸、ポリエチレン樹脂、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を特定の割合で配合した樹脂組成物に、さらにエポキシ基含有添加剤を配合すると、70℃、相対湿度95%の条件下においても、3000時間経過後も曲げ強度保持率が90%以上であり、さらに、試験片の外観も良好に維持されていることから、該樹脂組成物からなる成形体は長期使用にも耐えうる程度の耐久性を有している。
表3の比較例1〜3は、ポリエチレン樹脂が用いられていないため、2000時間経過後に曲げ強度が大きく低下している。また、外観においても白化するなどの問題もあり、高温高湿度下においての長期使用には耐久性が不十分である。
比較例4〜8は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物が用いられていないため、1000時間経過には曲げ強度が著しく低下しており、測定が不可能な状態であった。
比較例9〜11は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物以外のカルボジイミド化合物を用いているため、1000時間経過後には曲げ強度が著しく低下した。
比較例12〜15は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物以外のカルボジイミド化合物を用いているため、耐久性の向上を目的としてエポキシ基含有添加剤を用いていても、1000時間経過後には曲げ強度が大きく低下した。
比較例16は、ポリエチレン樹脂の量が少なすぎるため、高温高湿度下における長期使用の耐久性が不十分であった。
比較例17は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の量が少なすぎるため、高温高湿度下における長期使用の耐久性が不十分であった。
比較例18は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の量が過多であるため、成形片の外観が悪化し、ブリードアウトなどが発生した。
表4および5の実施例35〜60より、ポリ乳酸、ポリプロピレン樹脂、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を特定の割合で配合した樹脂組成物は、70℃、相対湿度95%の条件下においても、2000時間経過後も曲げ強度保持率が80%以上であることから、樹脂組成物の耐加水分解性および耐久性が大幅に向上している。
実施例61〜68より、ポリ乳酸、ポリプロピレン樹脂、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を特定の割合で配合した樹脂組成物に、さらにエポキシ基含有添加剤を配合すると、70℃、相対湿度95%の条件下においても、3000時間経過後も曲げ強度保持率が95%以上であり、さらに、試験片の外観も良好に維持されていることから、該樹脂組成物からなる成形体は長期使用にも耐えうる程度の耐久性を有している。
表6の比較例19〜23は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物が用いられていないため、1000時間経過には曲げ強度が著しく低下しており、測定が不可能な状態であった。
比較例24〜26は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物以外のカルボジイミド化合物を用いているため、エポキシ基含有添加剤を用いていても、1000時間経過後には曲げ強度が大きく低下した。
比較例27〜30は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物以外のカルボジイミド化合物を用いているため、耐久性の向上を目的としてエポキシ基含有添加剤を用いていても、1000時間経過後には曲げ強度が大きく低下した。
比較例31は、ポリプロピレン樹脂の量が少なすぎるため、高温高湿度下における長期使用の耐久性が不十分であった。
比較例32は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の量が少なすぎるため、高温高湿度下における長期使用の耐久性が不十分であった。
比較例33は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物の量が過多であるため成形片の外観が悪化し、ブリードアウトなどが発生した。
実施例および比較例より、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を適切な量で配合すると、目的とする樹脂組成物の耐加水分解性および耐久性が大幅に向上し、高温高湿度下における長期使用にも耐えることができ、実用性に優れた樹脂組成物および成形体を得ることができる。さらに、該樹脂組成物にエポキシ基含有添加剤を配合すると、外観が良好に保たれ、長期間の実用性に優れる。このことから、脂肪族ポリエステル樹脂にポリオレフィン樹脂およびN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物を適切な量で配合することが非常に重要な要素であると言える。

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリエステル樹脂30〜90質量部とポリオレフィン樹脂70〜10質量部との総和100質量部に対して、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド化合物0.1〜10質量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸を50質量%以上含有したものであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂との総和100質量部に対して、さらにエポキシ基含有添加剤0.1〜30質量部を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかの項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
  6. 70℃、相対湿度95%の条件下で2000時間保持したときの曲げ強度保持率が80%以上であることを特徴とする請求項5記載の成形体。
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