JP2008308562A - 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、それを用いた成形体 - Google Patents

生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、それを用いた成形体 Download PDF

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Mitsuhiro Kawahara
光博 川原
Yoshio Nakai
美穂 中井
Kazue Ueda
一恵 上田
Takashi Takahashi
俊 高橋
Mikiya Tanaka
幹也 田中
Mikio Akimoto
幹夫 秋本
Takashi Muramatsu
隆司 村松
Sunao Okawa
直 大川
Kazuyuki Nagasawa
和之 長澤
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Abstract

【課題】柔軟性、ガス透過性、湿熱安定性に優れる生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】生分解性樹脂組成物であって、生分解性ポリエステル樹脂と、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを含有する。ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物は、分子量が5,000より大きく50,000以下であるとともに、アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの少なくとも1つから選ばれるブロック、または少なくとも2つから選ばれるランダム共重合体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、それを用いた成形体に関する。
近年、環境保全の見地から、ポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂が注目されている。生分解性樹脂のうちでポリ乳酸は、透明性が良好で、かつ最も耐熱性が高い樹脂の1つであり、またトウモロコシやサツマイモなどの植物由来原料から大量生産可能なためコストが安く、このため石油原料の使用量削減にも貢献できることから、有用性が高い。
ポリ乳酸を含む生分解性樹脂組成物は、成形性、機械強度に優れるものの、フィルム、シート、射出成形品などにおいては柔軟性が不足している。またそのガス透過性は、バリア材として用いるには不十分であり、かつガス透過量が大きいほうが望ましい用途にも不十分で、中途半端である。近年、それら性能を改善するために、さまざまな改質材が用いられている。しかし、その大半は主に石油資源を原料としており、植物由来樹脂を用いる目的と相反するという問題もある。
石油資源をなるべく用いないで柔軟化をはかる方法として、例えば特許文献1では、ポリ乳酸に植物を原料とするロジンのエステル誘導体を添加する方法が提案されている。しかし、これらのエステル化合物ではポリ乳酸との相溶性に劣り、透明性の特徴を損ない、加工性も向上できない。また特許文献2には非塩素系樹脂用可塑剤としてロジン酸の誘導体が記載されているが、ポリ乳酸の改質に使用した場合、相溶性に劣るため期待する改質効果が得られないだけでなく、残存するロジン酸が溶融混練時にポリ乳酸の分子量低下を起こす問題や、ロジン酸の誘導体は反応が不均一となることから安定した性能が出にくい問題、さらに経時での着色問題などがあり、実用上多くの問題を抱えており適切でない。さらに、特許文献3にはロジンアルコール誘導体をポリ乳酸に添加する方法が開示されているが、高温高湿下での耐久性を改善する方法は提案されていない。
特開2001−049098号公報 特開2003−160736号公報 特開2006−193739号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、柔軟性、ガス透過性、湿熱安定性に優れる生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性ポリエステル樹脂に、特定範囲の分子量を有するロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を添加することにより、柔軟性、ガス透過性、湿熱安定性に優れる生分解性樹脂組成物を提供できることを見出した。また、さらに成型加工性を高め、ガス透過性を調整する目的で層状珪酸塩を添加した場合には、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物が層状珪酸塩の分散性を高めて外観改善する効果を有することを見出した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)生分解性ポリエステル樹脂と、下記(A)(B)を満たすロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(A)分子量が5,000より大きく50,000以下である。
(B)アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの少なくとも1つから選ばれるブロック、または少なくとも2つから選ばれるランダム共重合体。
(2)生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対し、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1つの末端封鎖剤を0.01〜5質量部含有することを特徴とする(1)の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(3)生分解性ポリエステル樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする(1)または(2)の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(4)生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対し、層状珪酸塩を0.5〜20質量部含有することを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(5)層状珪酸塩が、層間に、1級ないし4級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンのいずれかがイオン結合したものであることを特徴とする(4)の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(6)23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が3.5GPa以下であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(7)23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が4.0GPa以下であることを特徴とする(4)または(5)の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(8)20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が220ml・mm/m/day/MPaより大きいことを特徴とする(1)(2)(3)(6)のいずれかの生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(9)20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が150ml・mm/m/day/MPaより大きいことを特徴とする(4)または(5)または(7)の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(10)40℃、相対湿度90%下、300時間湿熱処理後の、下記式で表される分子量保持率が90%以上であることを特徴とする(2)から(9)までのいずれかの生分解性ポリエステル樹脂組成物。
分子量保持率(%)=C/D×100
ただし、C:湿熱処理試験後の重量平均分子量
D:湿熱処理試験前の重量平均分子量
(11)上記(1)(2)(3)(6)(8)(10)のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を、溶融混練時あるいは成形時に添加することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(12)上記(4)(5)(7)(9)(10)のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、溶融混練時、あるいは成形時に、生分解性ポリエステル樹脂組成物と末端封鎖剤とを先に反応させる第1段階と、その後にロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを添加する第2段階との2段階の工程を有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(13)上記(1)から(10)までのいずれかの生分解性ポリエステル樹脂組成物にて形成されていることを特徴とする成形体。
本発明によれば、生分解性ポリエステル樹脂に、特定範囲の分子量を有するロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を添加することにより、柔軟性、ガス透過性、湿熱安定性に優れる生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供できる。また、層状珪酸塩を添加することで、成型加工性を高め、ガス透過性を調整することが可能である。また、本発明の樹脂組成物は生分解性を有することから、廃棄する際にはコンポスト化でき、廃棄物の減量化や、肥料としての再利用化が可能である。さらに、ロジンアルコールは一般に植物に由来する原料から製造することが可能であり、安全性や衛生性も良く、生分解性ポリエステル樹脂として同様に植物由来であるポリ乳酸を使用した場合は、石油資源の枯渇防止に貢献し、環境にやさしい材料として提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<生分解性ポリエステル>
本発明における生分解性ポリエステル樹脂としては、α−および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステルや、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分からなるポリエステルが挙げられる。
α−および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸単位の例としては、D−乳酸、L−乳酸、またはこれらの混合物、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒロドキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等、およびこれらの混合物、共重合体が挙げられる。なかでも、D−乳酸、L−乳酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、またはその誘導体としての低級アルキルエステル化合物、酸無水物などを挙げることができる。なかでも好ましいのは、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸である。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。特に好ましいのは1,4−ブタンジオールである。なお、ポリエステル樹脂として生分解性を損なわない範囲であれば、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が共重合されていてもよく、こうした共重合ポリエステルも本発明でいう生分解性ポリエステル樹脂に含まれる。
本発明に用いることができる生分解性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリ乳酸のほか、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンアジペート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル;ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)等のポリヒドロキシカルボン酸;ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(δ−バレロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート);ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)などの芳香族成分を含むポリエステル樹脂;ポリエステルアミド;ポリエステルエーテル;ポリエステルカーボネート;澱粉等の多糖類等が挙げられる。これらの成分は、1種でも、2種以上用いてもよく、混合されていてもよいし、共重合されていてもよい。また、ポリ乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸の含有比率は特に限定されないが、市販されているものとしては(L−乳酸/D−乳酸)=80/20〜99.8/0.2(モル比)の範囲のものが一般的である。
生分解性ポリエステル樹脂として、植物由来原料からなる樹脂を50質量%以上含有する樹脂を用いると、植物由来度が高いことから石油資源使用量の削減効果が高くなり、好ましい。より好ましくは、植物由来原料からなる樹脂を60質量%以上含有することであり、さらに好ましくは80質量%以上含有することである。植物由来原料からなる樹脂としてポリ乳酸を用いると、成形性、透明性が向上するため特に好ましい。
生分解性ポリエステル樹脂は、公知の溶融重合法で、あるいは必要に応じてさらに固相重合法を併用して、製造される。また、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)およびポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)等については微生物による生産が可能である。
本発明に用いられる生分解性ポリエステル樹脂は、一部が架橋されていてもかまわない。また、エポキシ化合物などで修飾されていてもかまわない。
生分解性ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されないが、その指標となる190℃、21.2N(2.16kgf)(JIS K7210準拠)におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minの範囲であれば好ましく使用することができる。さらに好ましくは、0.2〜40g/10minの範囲である。
<ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物>
本発明に用いるロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物は、下記(A)(B)を満たすものである。
(A)分子量が5,000より大きく50,000以下。
(B)アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの少なくとも1つから選ばれるブロック、または少なくとも2つから選ばれるランダム共重合体。
ロジンアルコールは、植物を原料とするロジンを還元することで得られることから、化石原料使用量削減に貢献できるものである。その製造方法を例示すると、重金属触媒の存在下または300℃で、高圧下、銅クロム触媒により樹脂酸メチルエステルを水素添加する方法や、溶解したロジンをラネーニッケルで直接水素添加する方法などが挙げられる。重合ロジンからも、同様に対応するロジンアルコールに還元して得ることができる。ただし、本発明では、ロジンアルコールは、その製造方法が特に限定されるものではなく、工業的原料として使用できるものであればよい。
ロジンアルコールの組成には、テトラヒドロアビエチルアルコール、ジヒドロアビエチルアルコール、デヒドロアビエチルアルコールなどが含まれる。ロジンアルコールの酸価は3以下が一般的であるが、0.5以下のものを使用することが分子量保持の点で好ましい。
ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物の分子量は、生分解性ポリエステル樹脂組成物の柔軟性を付与しつつそのガス透過性を高めるためには、5,000より大きく50,000以下であることが必要である。好ましくは6,000以上かつ30,000以下であり、より好ましくは7,000以上かつ20,000以下である。ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物では、アビエチノール部位が疎水性を高める役割をしており、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物の分子量が小さいほど、全体に占めるアビエチノール部位の割合が大きくなって疎水性が高まり、ガス透過性改善能が低くなってしまう。またアルキレンオキサイド部位は生分解性ポリエステル樹脂との親和性が高く、相溶化することにより透明性を維持したまま柔軟性を付与することができる。さらにアルキレンオキサイド部位が長くなるほど生分解性ポリエステル樹脂をより柔軟化することができ、その分子量が5000を超える範囲では、すなわちアルキレンオキサイド部位が長くなるほど、透過させるガスとの親和性が高まりガス透過性を改善することができ、本発明の目的を達成できるようになる。ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物の分子量は、JIS−K0070に記載されているアセチル化法に準じて測定した水酸基価から求めることができる。
本発明に用いられるロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物は、アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの少なくとも1つから選ばれるブロック、または少なくとも2つから選ばれるランダム共重合体である。付加するアルキレンオキサイドのうちエチレンオキサイドの割合が高いと、耐水性が低下するが、ポリ乳酸との溶解性は向上する。ブチレンオキサイドの割合が高いと、疎水性が強まりポリ乳酸との相溶性が低下する。したがって、各用途において要求される性能に応じて、付加するアルキレンオキサイドの種類、割合、およびその付加形態(ブロック付加かランダム付加)、付加順序を調整することができる。
ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物は、公知の方法により製造することができる。例えば、ロジンアルコールに、加圧下60℃〜250℃で、必要に応じてアルカリ触媒を用いて、アルキレンオキサイドを付加することにより、得ることができる。
ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物の配合量は、質量比で、生分解性ポリエステル樹脂/ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物=70/30〜98/2とすることが好ましく、より好ましくは80/20〜97/3、最も好ましくは85/15〜95/5である。配合割合が2%未満では、本発明の目的とする柔軟性の向上効果を得にくく、また30%を超える場合には、成形体とした際の物性が低下する傾向がある。
<末端封鎖剤>
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物においては、生分解性ポリエステル樹脂の末端基を封鎖し、耐加水分解性を向上させることを目的として、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有していてもよい。なかでもカルボジイミド化合物が最も好ましい。その添加量の合計は、生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、0.05〜3質量部であることがいっそう好ましい。
カルボジイミド化合物の具体例としては、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(ラインへミー社製、スタバクゾールI)、N,N´−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N−トリル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミドなどのモノカルボジイミドや、脂肪族ポリカルボジイミド(例えば、日清紡社製、カルボジライトLA−1など)、芳香族ポリカルボジイミド(例えば、ラインへミー社製、スタバクゾールPなど)が挙げられる。これらカルボジイミド化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドが特に好ましい。
エポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、水添ビスフェノールA―ジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェニル(ポリエチレングリコール)グリシジルエーテル、フェニル(ポリプロピレングリコール)グリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジグリシジル−o−フタレート、ジグリシジルテレフタレート、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、あるいはグリシジル基を側鎖に有するポリマーなどが挙げられる。これらエポキシ化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、エチレングリコールジグリシジルエーテルあるいはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
オキサゾリン化合物の具体例としては、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2,4−ジメチル−2−オキサゾリンのようなモノオキサゾリン化合物、2、2’−(1,3−フェニレン)ビス(2−オキサゾリン)のようなビスオキサゾリン化合物、あるいはオキサゾリン基を側鎖に有するポリマーなどが挙げられる。これらオキサゾリン化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(2−オキサゾリン)が特に好ましい。
<層状珪酸塩>
本発明に用いられる層状珪酸塩は、膨潤性層状粘土鉱物の一種であり、具体的には、スメクタイト、バーミキュライト、膨潤性フッ素雲母などが挙げられる。スメクタイトの例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどが挙げられる。膨潤性フッ素雲母の例としては、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライトなどが挙げられる。また上記の他に、カネマイト、マカタイト、マガディアイト、ケニアイトなどの、アルミニウムやマグネシウムを含まない層状珪酸塩を使用することもできる。好ましいものは、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母などである。天然品以外に合成品でもよく、合成方法としては、溶融法、インターカレーション法、水熱法などが挙げられるが、いずれの方法であってもよい。これらの層状珪酸塩は、単独で使用してもよいし、鉱物の種類、産地、粒径などが異なるものを2種類以上組み合わせて使用してもよい。
生分解性ポリエステル樹脂中での層状珪酸塩の分散性を向上させるために、層状珪酸塩の層間には、1級ないし4級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンのいずれかがイオン結合していることが好ましい。1級ないし3級アンモニウムイオンは、対応する1級ないし3級アミンがプロトン化したものである。1級アミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミンなどが挙げられる。2級アミンとしては、ジオクチルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミンなどが挙げられる。3級アミンとしては、トリオクチルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジドデシルモノメチルアミンなどが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ヒドロキシエチルジメチルオクタデシルアンモニウム、ヒドロキシエチルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジヒドロキシエチルドデシルアンモニウム、ベンジルジヒドロキシエチルオクタデシルアンモニウム、ドデシル(ジヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、オクタデシル(ジヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3’−ドデシルオキシ−2’−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウムなどが挙げられる。ピリジニウムイオンとしては、1−ドデシルピリジニウムなどが挙げられる。イミダゾリウムイオンとしては、1−エチルメチルイミダゾリウム、1−ヘプタデシル−2,2’−エチルヒドロキシエチルイミダゾリウムなどが挙げられる。さらに、ホスホニウムイオンとしては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムなどが挙げられる。これらのうち、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、ヒドロキシエチルジメチルオクタデシルアンモニウム、ヒドロキシエチルジメチルドデシルアンモニウム、ドデシル(ジヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、オクタデシル(ジヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3’−ドデシルオキシ−2’−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムなどの、分子内に1つ以上の水酸基を有するアンモニウムイオンやホスホニウムイオンで処理した層状珪酸塩は、特に生分解性ポリエステル樹脂との親和性が高く、層状珪酸塩の分散性が向上するため、格別に好ましい。これらのイオン化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
層状珪酸塩を上記1級ないし4級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンで処理する方法としては、特に制限はない。例えば、まず層状珪酸塩を水またはアルコール中に分散させ、ここへ上記1級ないし3級アミンと酸(塩酸など)、または4級アンモニウム塩もしくはホスホニウム塩を添加して撹拌混合することにより、層状珪酸塩の層間の無機イオンを上記アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンとイオン交換させた後、濾別・洗浄・乾燥する方法が挙げられる。
層状珪酸塩を配合する場合、その配合量は、生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部、いっそう好ましくは2〜8質量部である。0.5質量部未満では、層状珪酸塩添加の目的であるガス透過性の調整、成形性向上などの効果を得にくい。また20質量部を超える場合には、外観の悪化や、分子量低下などによる成形加工性の悪化が生じる傾向がある。
<柔軟性>
本発明の生分解性ポリエステル樹脂とロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを含有する生分解性ポリエステル樹脂組成物は、23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が3.5GPa以下であることが好ましい。より好ましくは3.0GPa以下であり、さらに好ましくは2.5GPa以下であり、最も好ましくは2.0GPa以下である。3.5GPa以下であることで、柔軟性が必要な用途に好適に用いることができる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂とロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを含有する樹脂組成物は、23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が4.0GPa以下であることが好ましい。より好ましくは3.5GPa以下であり、さらに好ましくは3.0GPa以下であり、最も好ましくは2.5GPa以下である。4.0GPaより大きいと、実際の成形体にした場合に所要の柔軟性を得ることができにくくなる。
<酸素透過係数変化率>
本発明の生分解性ポリエステル樹脂とロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを含有する樹脂組成物は、20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が220ml・mm/m/day/MPaより大きいことが好ましい。より好ましくは240ml・mm/m/day/MPa以上である。220ml・mm/m/day/MPaより大きいことで、よりガス透過性を要求される用途に好適に用いることができる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂とロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを含有する樹脂組成物は、20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が150ml・mm/m/day/MPaより大きいことが好ましい。150ml・mm/m/day/MPa以下であると、実際の成形体にした場合に実用的レベルのガス透過性を得ることができにくくなる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、下記式で表される酸素透過係数変化率が120%より大きいことが好ましい。
酸素透過係数変化率[%]=X/Y×100
ただし、
X:ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含む生分解性ポリエステル樹脂組成物の20℃、相対湿度90%での酸素透過係数
Y:ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含まない生分解性ポリエステル樹脂組成物の20℃、相対湿度90%での酸素透過係数
である。この値が大きいほど、生分解性ポリエステル樹脂組成物のガス透過性が高いことになる。
<分子量保持率>
本発明において、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物のうちから選ばれる少なくとも1つの末端封鎖剤を0.01〜5質量部含有する樹脂組成物は、下記式で表される、40℃、相対湿度90%下、300時間湿熱処理後の分子量保持率が90%以上であることが好ましい。
分子量保持率(%)=C/D×100
ただし、
C:湿熱処理試験後の重量平均分子量
D:湿熱処理試験前の重量平均分子量
である。この値が100%に近いほど、耐湿熱性が高いことになる。より好ましくは95%以上である。
<透明性・外観>
本発明の樹脂組成物において、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを併用した場合には、層状珪酸塩の分散性を改善することが可能であり、目視で確認できる凝集物が存在しない外観に優れた組成物を得ることができる。粗大な凝集物が見られると、商品価値が低くなる場合がある。
<製造方法>
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造する際における、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物の添加方法としては、生分解性ポリエステル樹脂の重合時に添加する方法、同樹脂の溶融混練時に添加する方法、成形時に添加する方法などが挙げられる。この際に、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を予め高濃度に調整したペレットを添加する方法、すなわち、いわゆるマスターバッチ法を用いてもよい。添加時期としては、溶融混練時または成形時が好ましい。溶融混練時や成形時に添加する場合の添加方法としては、生分解性ポリエステル樹脂と予めドライブレンドしておいてから、一般的な混練機や成形機に供給する方法、サイドフィーダーなどを利用して混練機の途中から添加する方法、加熱溶融した状態で定量供給ポンプにより液注する方法などが挙げられる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造する際において、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と末端封鎖剤と層状珪酸塩とをあわせて使用する際の添加方法としては、これらを生分解性ポリエステル樹脂の重合時に添加する方法、同樹脂の溶融混練時に添加する方法、成形時に添加する方法などが挙げられる。この際の添加順序としては、生分解性ポリエステル樹脂と末端封鎖剤とを先に反応させる第1段階と、その後にロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを添加する第2段階との2段階からなる方法が好ましい。生分解性ポリエステル樹脂と末端封鎖剤を先に反応させることで、同時添加に比べて、末端封鎖剤がロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物あるいは層状珪酸塩と反応して消費されてしまうことを防ぐことができる。ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物、層状珪酸塩は、上述したようなマスターバッチを用いてもよい。添加時期としては、溶融混練時または成形時が好ましい。溶融混練時や成形時に添加する場合の添加方法としては、樹脂と末端封鎖剤とを予めドライブレンドしておいてから、一般的な混練機や成形機に供給して、サイドフィーダーなどを利用して混練機の途中からロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを添加する方法が好ましい。
溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダーなどの一般的な混練機を使用することができる。添加剤の分散性向上のためには二軸押出機を使用することが好ましい。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明で規定した以外の熱安定剤、酸化防止剤、顔料、染料、耐光剤、耐候剤、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、可塑剤、分散剤などを添加してもよい。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばホスファイト系有機化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。これらの添加剤は、一般に溶融混練時あるいは重合時に加えることができる。充填材のうち、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。有機充填材としては、単糖類、でんぷんなどの多糖類、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフなどの天然に存在するポリマーやこれらの変性品、高強度繊維などが挙げられる。
また、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびそれらの共重合体などの非生分解性樹脂を添加していてもよい。
<成形体>
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形などの公知の成形方法により、各種成形体とすることができる。
射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形法、射出プレス成形法などを採用できる。射出成形時のシリンダ温度は、生分解性ポリエステル樹脂組成物の融点(Tm)または流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると、樹脂の流動性の低下により成形不良や装置の過負荷に陥りやすい。逆に成形温度が高すぎると、生分解性ポリエステル樹脂組成物が分解して、成形体の強度低下や着色などの問題が発生する。一方、金型温度に関しては、樹脂組成物のTg(ガラス転移温度)以下とする場合には、好ましくは(Tg−10℃)以下である。また、剛性、耐熱性向上を目的として結晶化を促進するために、Tg以上かつ(Tm−30℃)以下とすることもできる。あるいは、成形後に、Tg以上かつTm以下の温度で熱処理をすることもできる。
ブロー成形法としては、例えば原料チップを溶融後に直ちに成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法などが挙げられる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。さらに延伸方法は特に限定されず、パリソンや成形方法にあわせて逐次2軸延伸法か同時2軸延伸法かを選ぶことができる。剛性、耐熱性向上を目的として、結晶化を促進するために、ブロー金型温度をTg以上かつ(Tm−30℃)以下として成形することもできるし、成形後に、Tg以上かつTm以下の温度で熱処理をすることもできる。
押出成形法としては、Tダイ法、丸ダイ法などを適用することができる。押出成形温度は、Tm以上または流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると、操業が不安定になったり、過負荷に陥ったりしやすい。逆に成形温度が高すぎると、生分解性ポリエステル樹脂組成物が分解し、押出成形体の強度低下や着色などの問題が発生する。押出成形により、フィルムやシートやパイプなどを作製することができる。
フィルムを製造する方法については特に限定されるものではなく、例えば、Tダイ法、インフレーション法、チューブラー延伸法、カレンダー法等が挙げられる。製造に際しては、まず生分解性ポリエステル樹脂組成物を押出機を用いて加熱溶融する。さらに必要に応じて帯電防止剤や滑剤などのその他の添加剤を適量配合することもできる。
押出機としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等が挙げられる。なかでも、フィルム作製時に層状珪酸塩を添加する際の分散性を考慮すると、二軸押出機を用いることが好ましい。押出機を、例えばシリンダ温度180〜260℃、Tダイ温度200〜250℃に加熱し、溶融混練して押し出し、10〜50℃に制御された冷却ロールで延伸して、厚み100〜500μmの未延伸フィルムを得ることができる。未延伸フィルムの2軸延伸方法としては、縦方向または横方向に延伸した後、横方向または縦方向に延伸処理する逐次2軸延伸法、または縦横同時に延伸処理を行う同時2軸延伸法のいずれでもよい。
延伸温度は、特に限定されるものではないが、Tg〜(Tg+50)℃の範囲であることが好ましい。延伸倍率は、特に限定されるものではないが、機械的特性を考慮すると、縦延伸倍率を1.5倍〜8.0倍の範囲とし、横延伸倍率を1.5倍〜8.0倍の範囲として延伸処理を行うことが好ましい。得られた延伸フィルムは、引き続いて、同じテンター内において100℃〜150℃の温度で熱処理し、必要に応じて弛緩処理を施す。また得られた延伸フィルムを一旦取り出してから熱処理を行っても良い。
得られたフィルムの具体的用途としては、青果包装用フィルムがあり、フィルムの肉厚を薄くすることによりさらにガス透過性を向上させることができる。野菜や果物等の収穫された青果物の種類により、呼吸速度の大きな青果物と呼吸速度の小さな青果物とが存在することから、これら青果物の種類によって適宜好適なガス透過性フィルムを選択することができる。
青果包装用フィルム以外にも、農業用マルチフィルムが具体例として挙げられる。すなわち、本発明の樹脂組成物からなるフィルムは、ミカン、リンゴ、ブドウなどの果樹の栽培において、果実の糖度アップや早期成熟を目的として果樹の根元周辺の地表面を被覆する用途に用いることができる。また本発明の樹脂組成物にて形成されたフィルムは、使用後土中あるいは水中に適切な方法で廃棄した際に優れた生分解性を示すので、廃棄物を低減させる点で環境配慮に優れており、産業上極めて有用である。
押出成形法により得られたシートまたはパイプの具体的用途としては、柔軟性や生分解性を活かして、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカードなどのカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用パイプなどが挙げられる。また、シートは、さらに、真空成形や、圧空成形や、真空圧空成形などの深絞り成形を行うことで、食品容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器などを製造することができる。深絞り成形温度および熱処理温度は、(Tg+20℃)〜(Tg+100℃)であることが好ましい。深絞り温度が(Tg+20℃)未満では深絞りが困難になり、逆に深絞り温度が(Tg+100℃)を超えると、生分解性ポリエステル樹脂組成物が分解して、偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下したりする場合がある。また、成形後の容器の剛性、耐熱性向上を目的として、結晶化を促進するために、Tg以上かつTm以下の温度で熱処理をしてもよい。食品容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器の形態は、特に限定されないが、食品などを収容するためには、深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは、特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポットなどが挙げられる。ブリスターパック容器の具体例としては、食品用途以外に、事務用品、玩具、乾電池などの多様な商品群の包装容器が挙げられる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を用いて製造されるその他の成形体としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフなどの食器;容器用キャップ;筆記具、クリアケースなどの事務用品;台所用三角コーナー、ゴミ箱、歯ブラシ、櫛、ハンガーなどの日用品;プラモデルなどの各種玩具類;エアコンパネル、各種筐体などの電化製品用樹脂部品;インパネ、ドアトリムなどの自動車用樹脂部品などが挙げられる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、繊維とすることもできる。その製造方法は、特に限定されないが、溶融紡糸し、延伸する方法が好ましい。溶融紡糸温度としては、生分解性ポリエステル組成物のTm以上が必要であり、160℃〜260℃が好ましい。160℃未満では溶融押出しが困難となる傾向にあり、一方、250℃を超えると、分解が顕著となって、高強度の繊維を得られ難くなる傾向にある。溶融紡糸した繊維糸条は、目的とする繊維径となるように、生分解性ポリエステル樹脂組成物のTg以上の温度で延伸させるとよい。延伸後に、内部歪み緩和、収縮防止、結晶化促進、強度の安定化などの目的で、熱処理をすることもできる。熱処理方法としては、緊張下あるいは無緊張下で、加熱板に接触させる、熱媒中を通すなど公知の方法を適宜採用することができる。
上記方法により得られた繊維は、衣料用繊維、産業資材用繊維、短繊維不織布などとして利用される。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、長繊維不織布に展開することもできる。その製造方法は、特に限定されないが、樹脂組成物を高速紡糸法により紡糸して得られる繊維を堆積した後ウェッブ化し、さらに熱圧接などの手段を用いて布帛化する方法を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
下記の実施例および比較例の評価に用いた方法は、次のとおりである。
(1)曲げ弾性率:
樹脂組成物を射出成形して、長さ×幅×厚さ=127mm(5インチ)×12.7mm(1/2インチ)×3.2mm(1/8インチ)の成形片を得た。これにASTM−D790に準じて変形速度1mm/分で荷重をかけることにより、曲げ弾性率を測定した。試験片の作製条件は下記の通りとした。すなわち、射出成形機(東芝機械社製、IS−80G型)を用い、シリンダ温度190〜170℃、金型温度15℃、射出圧60%、射出速度60%、射出時間20秒、冷却時間20秒、インターバル2秒とし、ASTM規格の1/8インチ3点曲げ試験片用金型を用いて成形を行った。
(2)ガス透過性
(2−1)酸素透過係数:
20℃、相対湿度90%の条件下で、予め調湿しておいた熱プレスシートについて、差圧式ガス・気体透過率測定装置(Yanaco社製、GTR−30XAU)を用いて、差圧法で酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度は、測定時間0.5h、1h、2hの3つの測定点から得た値を用いた。
酸素透過係数は
(酸素透過係数)=(酸素透過度)×(サンプル厚み)
より算出した。この値はガス透過性の指標となるものであり、大きいほどガス透過性が良好であることを示す。
(2−2)酸素透過係数変化率:
前述の方法で変化率を算出した。変化率が120%より大きい場合を良好とし、120%以下の場合には不良とした。
なお各実施例および比較例におけるYの値、すなわちロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含まない生分解性ポリエステル樹脂組成物の20℃、相対湿度90%での酸素透過係数としては、実施例1および比較例3〜4では比較例1の値を、実施例2〜4および比較例5では比較例2の値を、実施例5および比較例8〜9では比較例6の値を、そして実施例6〜15および比較例10〜12では比較例7の値を用いた。
(3)外観評価:ヘーズ
JIS K−7136に従い、厚さ1mmのプレスシートに対して測定を行った。すなわち、テスター産業社製の卓上テストプレス機を使用し、樹脂組成物のペレットを190℃で約3分間プレスした後、急冷して、成形体として厚さ1mmのプレスシートを作製した。このプレスシートについて、日本電色工業社製のNDH−2000型濁度・曇り度計を用いて、測定を行った。
(4)樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)
示差屈折率検出器(島津製作所社製、RID−10A)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として、流速1.0ml/min、40℃で測定した。カラムは、SHODEX KF−805L、KF−804L(昭和電工社製)を用いた。サンプルは、樹脂組成物10mgをクロロホルム0.5mlに溶解後、THF5mlで希釈し、0.45μmのフィルターでろ過してから測定に供した。分子量は、ポリスチレン(Waters社製)を標準試料として換算した。
(5)Tg:ガラス転移温度
DSC装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、20℃から200℃まで+20℃/分で昇温させ5分間保持した後、200℃から−50℃まで−20℃/分で冷却して5分間保持した。さらに−50℃から200℃まで+20℃/分で再昇温させた過程(2nd Scan)でのガラス転移温度を、樹脂組成物のTgとした。
(6)耐湿熱性評価:
恒温恒湿器(ヤマト科学社製、IG400型)を用い、(1)で作製した成形片を、温度40℃、相対湿度90%の環境下に300時間保存処理した。処理後の試験片を用いて、(1)と同法で曲げ弾性率を測定し、(5)と同法でTgを測定し、(4)と同法で分子量を測定した。さらに、下記の式を用いて、分子量保持率(%)の算出を行った。
(分子量保持率)=(処理後の樹脂組成物の重量平均分子量)/(処理前の樹脂組成物の重量平均分子量)×100
[原料]
次に、下記の実施例、比較例において用いた各種原料を示す。
(1)生分解性ポリエステル樹脂
・ポリ乳酸(NatureWorks社製ポリ乳酸、重量平均分子量(Mw)=190,000、融点170℃、D体含有率1.3モル%、MFR3.5g/10min)
・比較例7で製造した樹脂組成物。
(2)ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物
以下に製造例を詳細に示す。
以下において、「PO」はプロピレンオキサイドを意味し、「EO」はエチレンオキサイドを意味し、「BO」はブチレンオキサイドを意味する。
アルキレンオキサイドの付加順序は、下記の通りである。例えば、製造例7の「ロジンアルコール+POブロック28モル+EOブロック125モル」であれば、ロジンアルコールに対して先ずPO28モルが付加され、続いてEO125モルが付加されたものであることを示す。
[製造例1]
添加剤1:分子量7,500、ロジンアルコール+POブロック18モル+EOブロック138モル
撹拌機と、窒素およびアルキレンオキサイド導入管とを備えた5リットルのオートクレーブにロジンアルコール(イーストマンケミカル社製、アビトールE)500gと、触媒として水酸化カリウム11.5gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した。撹拌しながら、温度140℃前後で圧力0.7MPa以下に保ち、プロピレンオキサイド1573gを3時間以上かけて導入した。導入後は、3時間以上熟成し、圧力の低下が無いことを確認して、熟成終了とした。熟成後は、1505gを抜き取り、残存物にさらにエチレンオキサイドを2480gを2時間以上かけて導入した。導入後は、2時間以上熟成し、圧力低下の無いことを確認して熟成終了とした。熟成後は、100℃まで冷却し、吸着剤として珪酸アルミニウム(協和化学工業社製、キョーワード700SL)5リットルをオートクレーブへ投入し、触媒を吸着除去後、5リットルオートクレーブ内の内容物をろ過し、添加剤1を得た。
[製造例2]
添加剤2:分子量7,500、ロジンアルコール+POブロック28モル+EOブロック125モル
触媒としての水酸化カリウムを15gとし、プロピレンオキサイド2400gを導入し、完全に熟成後、2125gを抜き取り、残存物にさらにエチレンオキサイド2200gを導入した。それ以外は製造例1と同様にして、添加剤2を得た。
[製造例3]
添加剤3:ロジンエステル化合物(分子量1,300)
冷却管および撹拌装置をつけた1リットルの反応容器にロジン(デヒドロアビエチン酸約80%含有)302.0gをいれて加熱溶融させ、これにポリエチレングリコール(平均分子量1,000、三洋化成社製、PEG−1000)1850gを150℃で1時間かけて滴下した後、トリフェニルホスファイト1.8g(ロジン100質量部に対して0.6質量部)を滴下した。滴下終了後、280℃に昇温し、24時間撹拌した。未反応物を減圧留去して、添加剤3を得た。
[製造例4]
添加剤4:分子量2,400、ロジンアルコール+EOブロック45モル
撹拌機と、窒素およびアルキレンオキサイド導入管とを備えた5リットルのオートクレーブに、ロジンアルコール(イーストマンケミカル社製、アビトールE)500gと、触媒として水酸化カリウム3.4gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した。撹拌しながら、温度140℃前後で圧力0.7MPa以下に保ち、エチレンオキサイド2893gを5時間以上かけて導入した。導入後は3時間以上熟成し、圧力の低下が無いことを確認して、熟成終了とした。熟成後は、100℃まで冷却し、吸着剤として珪酸アルミニウム(協和化学工業社製、キョーワード700SL)5リットルをオートクレーブへ投入し、触媒を吸着除去後、5リットルオートクレーブ内の内容物をろ過して、添加剤4を得た。
[製造例5]
添加剤5:分子量5,000、添加剤4の二量体
製造例4で得た添加物4を2量化して、添加剤5を得た。
[製造例6]
添加剤6:分子量7,500、ロジンアルコール+BOブロック23モル+EOブロック125モル
触媒としての水酸化カリウムを15gとし、ブチレンオキサイド2400gを導入し、完全に熟成後、2125gを抜き取り、残存物にさらにエチレンオキサイド2200gを導入した。それ以外は製造例1と同様にして、添加剤6を得た。
[製造例7]
添加剤7:分子量15,000、添加剤2の2量体
触媒としての水酸化カリウムを15g使用し、プロピレンオキサイド2400gを導入して完全に熟成した後、2125gを抜き取り、残存物にさらにエチレンオキサイド2200gを導入した。それ以外は製造例1と同様にして、合成物(分子量7,500、ロジンアルコール+POブロック28モル+EOブロック125モル)を得た。得られた合成物を2量化して添加剤7を得た。
[製造例8]
添加剤8:分子量2,500、ロジンアルコール+POブロック8モル+EOブロック37モル
触媒としての水酸化カリウムを7.3gとし、プロピレンオキサイド723gを導入後、さらにエチレンオキサイド2421gを導入した。それ以外は製造例4と同様にして、添加剤8を得た。
[製造例9]
添加剤9:分子量2,500、ロジンアルコール+PO8モル/EO37モルのランダム共重合
触媒としての水酸化カリウムを7.3gとし、エチレンオキサイド2421gと、プロピレンオキサイド723gとを同時に導入した。それ以外は製造例4と同様にして、添加剤9を得た。
[製造例10]
添加剤10:分子量2,500、ロジンアルコール+EOブロック46モル+POブロック1モル
触媒としての水酸化カリウムを7.3gとし、エチレンオキサイド3600gを導入後、さらにプロピレンオキサイド85gを導入した。それ以外は製造例4と同様にして、添加剤10を得た。
(3)層状珪酸塩
層間イオンがジヒドロキシエチルメチルドデシルアンモニウムイオンで置換された膨潤性合成フッ素雲母(コープケミカル社製、ソマシフMEE 平均粒径6.2μm)
(4)末端封鎖剤
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(ラインへミー社製、スタバクゾールI)
(5)酸化防止剤
ホスファイト系酸化防止剤:水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー(城北化学工業社製、JPH−3800)
[樹脂の製造]
溶融混練には、池貝社製PCM−30型二軸押出機を用いた。スクリュー径は30mmφ、平均溝深さは2.5mmであった。
実施例1
85質量部のポリ乳酸と、15質量部の製造例1で作製した添加剤1とをドライブレンドし、上記の押出機を用いて、190℃、スクリュー回転数200rpm(=3.3rps)、滞留時間1.6分で溶融混練を行い、押出し、ペレット状に加工し、乾燥して、樹脂組成物を得た。得られた組成物の評価結果を表1に示す。
実施例2〜4
実施例1に対して、表1に示すように組成を変更した。それ以外は実施例1と同様として、各種評価を行った。実施例2〜4において、末端封鎖剤はポリ乳酸および各添加剤と同時にドライブレンドした。その結果を表1に示す。
比較例1〜5
実施例1に対して表1に示すように組成を変更した。それ以外は実施例1と同様として、各種評価を行った。比較例2および5において、末端封鎖剤はポリ乳酸および各添加剤と同時にドライブレンドした。その結果を表1に示す。
Figure 2008308562
実施例5
81.6質量部のポリ乳酸と、14.4質量部の製造例1で作製した添加剤1と、4質量部の層状珪酸塩とをドライブレンドし、上記の押出機を用いて、190℃、スクリュー回転数200rpm(=3.3rps)、滞留時間1.6分で溶融混練を行い、押出し、ペレット状に加工し、乾燥して、樹脂組成物を得た。得られた組成物の評価結果を表2に示す。
実施例6〜11
実施例5に対して表2に示すように組成を変更した。そして末端封鎖剤と酸化防止剤とをポリ乳酸および各添加剤と同時にドライブレンドして、混練を実施した。それ以外は実施例5と同様として、各種評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例12
後述の比較例7で製造した樹脂組成物92.5質量部と、製造例7で作製した添加剤7とを同時にドライブレンドした。それ以外は実施例4と同様にして樹脂組成物を作製して、評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例13〜15
実施例12に対して表2に示すように組成を変更した。それ以外は実施例12と同様として、各種評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2008308562
比較例6〜12
実施例5に対して表3に示すように組成を変更した。そして末端封鎖剤と酸化防止剤とをポリ乳酸および各添加剤と同時にドライブレンドして、混練を実施した。それ以外は実施例5と同様として、各種評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2008308562
実施例1〜4の樹脂組成物は、曲げ弾性率が低下して柔軟性を示しており、かつ酸素透過係数変化率が120%以上で、ガス透過性が良好であった。さらに透明性、分子量保持率も良好であった。
比較例1〜2の樹脂組成物は、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含んでいないため、曲げ弾性率が高く、全く柔軟性を示さなかった。さらにガス透過性も不良であった。
比較例3の樹脂組成物は、ロジンエステル化合物を添加したものであったため、混練後の分子量が低下していた。また、40℃、90%RH、300時間後における分子量低下が顕著であった。さらにガス透過性も不良であった。
比較例4および5の樹脂組成物は、分子量5,000以下のロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を用いたため、ガス透過性が不良であった。
実施例5〜15の樹脂組成物は、曲げ弾性率が低下して柔軟性を示しており、かつ酸素透過係数変化率が120%以上で、ガス透過性が良好であった。さらに透明性、分子量保持率も良好であった。
それに対し、比較例6〜7の樹脂組成物は、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含んでいなかったため、曲げ弾性率が高く、柔軟性を示さなかった。さらにガス透過性も不良であった。
比較例8の樹脂組成物は、ロジンエステル化合物を添加したものであったため、混練後の分子量が低下していた。また40℃90%RH、300時間後における分子量低下が顕著であった。さらにガス透過性が不良であった。
比較例9〜12の樹脂組成物は、分子量5,000以下のロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を用いたものであったため、ガス透過性が不良であった。
実施例2〜4および6〜11の樹脂組成物は、末端封鎖剤を含有していたため、湿熱処理後の分子量保持率が90%以上に達しており、耐湿熱性が良好であった。
実施例5〜15の樹脂組成物は、層状珪酸塩とロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを併用していたため(実施例12〜15の樹脂組成物では、使用した生分解性ポリエステル樹脂である比較例7の樹脂組成物自体が層状珪酸塩を含んでいた)、層状珪酸塩の分散性が良好で外観に優れた樹脂組成物を得ることができた。しかし、比較例6〜7の樹脂組成物は、層状珪酸塩を添加しているがロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を含有していなかったため、凝集物が多く、外観が不良であった。さらに、比較例8の樹脂組成物は、層状珪酸塩とロジンエステル化合物とを併用したものであったが、ロジンエステル化合物には層状珪酸塩の分散性を高める効果は見られなかった。

Claims (13)

  1. 生分解性ポリエステル樹脂と、下記(A)(B)を満たすロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物とを含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物。
    (A)分子量が5,000より大きく50,000以下である。
    (B)アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの少なくとも1つから選ばれるブロック、または少なくとも2つから選ばれるランダム共重合体。
  2. 生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対し、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1つの末端封鎖剤を0.01〜5質量部含有することを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 生分解性ポリエステル樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対し、層状珪酸塩を0.5〜20質量部含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 層状珪酸塩が、層間に、1級ないし4級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンのいずれかがイオン結合したものであることを特徴とする請求項4記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  6. 23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が3.5GPa以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  7. 23℃でASTM―D790に従って測定した曲げ弾性率が4.0GPa以下であることを特徴とする請求項4または5記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  8. 20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が220ml・mm/m/day/MPaより大きいことを特徴とする請求項1、2、3、6のいずれか1項記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  9. 20℃、相対湿度90%における酸素透過係数が150ml・mm/m/day/MPaより大きいことを特徴とする請求項4または5または7記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  10. 40℃、相対湿度90%下、300時間湿熱処理後の、下記式で表される分子量保持率が90%以上であることを特徴とする請求項2から9までのいずれか1項記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
    分子量保持率(%)=C/D×100
    ただし、C:湿熱処理試験後の重量平均分子量
    D:湿熱処理試験前の重量平均分子量
  11. 請求項1、2、3、6、8、10のいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、ロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物を、溶融混練時あるいは成形時に添加することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  12. 請求項4、5、7、9、10のいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、溶融混練時、あるいは成形時に、生分解性ポリエステル樹脂組成物と末端封鎖剤とを先に反応させる第1段階と、その後にロジンアルコールアルキレンオキサイド付加物と層状珪酸塩とを添加する第2段階との2段階の工程を有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  13. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物にて形成されていることを特徴とする成形体。
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