JP2012188657A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた透明性を有し、かつ、強度と可撓性を両立するポリ乳酸樹脂組成物、及び該組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂と微細化された層状複水酸化物含有組成物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記微細化された層状複水酸化物含有組成物が、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られたものである、ポリ乳酸樹脂組成物、ならびに、工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程、及び工程(2):工程(1)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する工程を含むポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。更に詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、及び該組成物の製造方法に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いことが利点として挙げられる。よって、現在その利用が期待され、より優れた剛性や透明性を有するポリ乳酸樹脂の開発が進められている。
例えば、特許文献1では、有機アンモニウム化合物で処理したカチオン交換性層状粘土鉱物をポリエステル樹脂等に添加すると、混合時に有機アンモニウム化合物と樹脂との反応が生じて、樹脂が低分子量化するという問題があったため、アニオン交換性層状粘土鉱物を樹脂に添加して、弾性率などの力学特性を改良する方法が開示されている。
特許文献2には、少量の添加によってポリエステル樹脂の機械的特性を向上させることができる樹脂添加用フィラーとして、ハイドロタルサイト様化合物の中間層のイオンとイオン交換・吸着性を有する有機試薬とをイオン交換することにより形成させた有機化ハイドロタルサイト様化合物が開示されている。
また、特許文献3には、ジメチルスルホキシド(DMSO)やエタノール等で層状ケイ酸塩を前処理し、その後、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の有機材料でインターカレートして得られたナノコンポジットが開示されている。
特許文献4には、ポリ乳酸に塩基性酸化物を含有させると、色相および耐湿熱安定性に優れ、悪臭がほとんどない組成物が得られると報告されている。塩基性酸化物の好適例としてハイドロタルサイトが例示され、また、塩基性酸化物は、シリカ、アルミナ等の触媒担体として使用される不活性担体上に担持して使用することもできると記載されている。
特開2003−171568号公報 特開2005−47946号公報 特表2009−522390号公報 特開2010−100774号公報
従来技術に拠って、ポリ乳酸樹脂に、ハイドロタルサイト等の層状化合物、また、該層状化合物に有機化や担体保持等の処理を施したものを配合し、ポリ乳酸樹脂組成物の強度や耐加水分解性、耐熱性を向上させることは可能となる。しかし、ポリ乳酸樹脂組成物は自動車用途や食品容器等のより広範な用途に使用することが期待されており、優れた透明性を有し、かつ、強度と可撓性を両立する、さらなるポリ乳酸樹脂組成物が望まれている。
本発明の課題は、優れた透明性を有し、かつ、強度と可撓性を両立するポリ乳酸樹脂組成物、及び該組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を鋭意検討した結果、ポリ乳酸樹脂に、可塑剤の存在下で微細化処理を施した層状複水酸化物を配合することで、得られるポリ乳酸樹脂組成物が優れた透明性を有し、かつ、強度と可撓性を両立することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 ポリ乳酸樹脂と微細化された層状複水酸化物含有組成物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記微細化された層状複水酸化物含有組成物が、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られたものである、ポリ乳酸樹脂組成物、ならびに
〔2〕 下記工程(1)及び(2)を含むポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、
工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する工程
に関する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、優れた透明性を有し、かつ、強度と可撓性を両立するという優れた効果を奏するものである。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂に、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られた層状複水酸化物含有組成物を含有させることに大きな特徴を有する。
層状複水酸化物として、例えば、ハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOの組成を有した層状化合物であり、該層状化合物が樹脂中に分散することにより樹脂強度が向上するものである。しかし、強度が高い樹脂は可撓性に劣ることから、樹脂強度と可撓性を両立する更なるポリ乳酸樹脂が要求される。そこで、本発明者らが検討した結果、可塑剤の存在下で微細化された層状複水酸化物含有組成物を含有する樹脂が、強度に優れながらも可撓性にも優れるものとなることが判明した。その詳細な理由は不明であるが、微細化された層状複水酸化物含有組成物においては、可塑剤と層状複水酸化物が何らかの相互作用をしているものと推定される。よって、可塑剤の存在下で微細化が行われることで、得られる層状複水酸化物の表面に可塑剤が付着した状態になり、溶融混練工程では、該微細化された層状複水酸化物含有組成物がポリ乳酸樹脂中で再凝集せずに微分散されると考えられる。このため、ポリ乳酸樹脂と層状複水酸化物含有組成物との接触面積が増大し、強度が格段に向上するものと考えられる。さらに、可塑剤は層状複水酸化物の層間に挿入されることにより層間距離が拡張し、その結果、ポリ乳酸樹脂との接触面積が高まると考えられる。さらに、本発明における微細化された層状複水酸化物含有組成物は、ポリ乳酸樹脂と溶融混練することにより、ポリ乳酸樹脂が層状複水酸化物の層間に挿入されるために接触面積がさらに高まり、強度の向上に加えて微細化された層状複水酸化物含有組成物が高度に分散することで、透明性に優れ、また可塑剤の効果により可撓性にも優れるポリ乳酸樹脂組成物が得られるものと考えられる。なお、本明細書において、「強度」は後述の「引張弾性率」により、「可撓性」は後述の「破断点伸度」により評価される特性のことを意味し、「ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立」とは、該組成物を成形して得られる成形体の強度と可撓性の両立を意味する。
(層状複水酸化物含有組成物)
本発明における層状複水酸化物含有組成物は、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られる。
本発明における層状複水酸化物とはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、鉄などの元素の水酸化物が結晶化した無機の層状化合物であって層状構造を有するものであれば特に限定はないが、一般式(1)で表される基本層の間に、一般式(2)で表される中間層が挟まれた多層構造を有する化合物が好ましく、具体的にはハイドロタルサイト、マナサイト、アルナイト、カルサイト、マグネサイトが好ましく、ハイドロタルサイト、マナサイトがより好ましい。
[M2+ 1−p3+ (OH)] 式(1)
(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Ni2+、Fe2+、Zn2+などの2価の金属イオン、M3+はAl3+、Cr3+、Fe3+、Co3+などの3価の金属イオンを表し、pは0.2以上0.33以下である)
[An− p/n・qHO] 式(2)
(式中、nは1又は2の数であり、An−はOH、Cl、CO 2−、SO 2−、ClO 、NO 、I、F、Brなどのアニオンを表し、qは1以上10以下の整数である)
層状構造においては、層間に様々なアニオン種やカチオン種を有する有機化合物を挿入(インターカレート)することができ、これにより、層間距離が広がり、ポリ乳酸樹脂との接触面積が高まり、ポリ乳酸樹脂組成物に強度及び透明性を付与することができると考えられる。よって、本発明における層状複水酸化物は、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、脂肪酸及びそれらの塩からなる群より選ばれる有機化剤によって有機化されていることが好ましい。
アルキル硫酸エステルとしては、下記式(I):
−(O−CH−CH−O−SOH (I)
で表される化合物が、アルキルスルホン酸としては、下記式(II):
−(O−CH−CH−SOH (II)
で表される化合物が、脂肪酸としては、下記式(VI):
−COH (VI)
で表される化合物が好ましい。
式(I)中のR、式(II)中のR、及び式(VI)中のRは、好ましくは炭素数4〜24、より好ましくは炭素数4〜18のアルキル基が挙げられ、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、ラウリル基、ステアリル基、オクタデシル基が例示され、なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、ラウリル基及びステアリル基が好ましく、ラウリル基がより好ましい。
式(I)及び式(II)中のmは、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、脂肪酸及びそれらの塩の具体例としては、ラウリル硫酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸エステル、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、1−ドデカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸カリウム、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサンスルホン酸カリウム、1−オクタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸カリウム、1−デカンスルホン酸、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムが挙げられ、なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸カリウムが好ましい。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
層状複水酸化物を前記有機化剤によって有機化する方法としては、特に限定はなく公知の方法が用いられ、例えば、Chem.Commun.,2000,91−92や特開2009−173482号公報記載の方法が用いられる。具体的には、水中に分散させた層状複水酸化物の層間のイオンを塩化ナトリウムによって一旦塩化物イオンに置換した後に目的の有機化剤で層間イオンを置換する方法が挙げられる。
有機化に用いる有機化剤の量は、層状複水酸化物の層間距離が広がり、ポリ乳酸樹脂との接触面積が高まり、ポリ乳酸樹脂組成物に強度及び透明性を付与する観点から、処理前の層状複水酸化物100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.10〜8重量部がより好ましく、0.2〜6重量部がさらに好ましい。
微細化処理に供される層状複水酸化物の形状及び平均粒子径は、微細化処理を施すことができるのであれば、特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。また、層間距離は0.5〜5.0nmが好ましく、1.5〜3.0nmがより好ましく、1.8〜2.8nmがさらに好ましい。なお、本明細書において、層状複水酸化物の平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明では、かかる層状複水酸化物を可塑剤の存在下での微細化する処理工程に供する(以後、微細化処理工程ともいう)。
微細化処理工程で用いられる可塑剤としては、特に限定はなく公知のものが挙げられ、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル、モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル、ブチルオレート等のオレイン酸エステル、ジアセチルカプリル酸モノグリセライド、ジアセチルラウリン酸モノグリセライド、リシノール酸モノグリセライド、デカグリセリンモノエレート等の多価アルコールエステル、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレングリコール(以下PEG)、PEGジアセテート、ポリプロピレングリコール(以下PPG)、PEG−PPG−PEGブロックポリマー、PPG−PEG−PPGブロックポリマー等のポリアルキレングリコール類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル乳酸オリゴマーエステル等の乳酸オリゴマーエステル類、ジエチレングリコールロジンエステルアセテート等のロジン酸エステル類が使用できる。なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状化合物に付着することでポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが好ましく、その中でも、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立をより向上させる観点から、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物(以下、「AO付加エステル化合物)という)を含有することが好ましい。
前記カルボン酸エステルとしては、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点及び層状複水酸化物の微細化を向上させる観点から、下記式(III)で表されるオリゴエステルが好ましい。
O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−CO−〕OR (III)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、aは1〜6の数、bは1〜6の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(III)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、メチル基が好ましい。
式(III)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可撓性を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、可撓性を発現させる観点及び経済性の観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(III)におけるRは、炭素数が2〜6のアルキレン基を示し、ORはオキシアルキレン基を示す。Rは炭素数が2〜6であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
aはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。aが大きくなると、式(III)で表されるエステル化合物のエーテル基価が上がり、酸化されやすくなり安定性が低下する傾向がある。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。
bは平均重合度を示し、1〜6の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、ポリ乳酸樹脂の可撓性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましい。
式(III)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、aが2、bが1.5のエステル、Rがエチル基、Rが1,4−ブチレン基、Rが1,3−プロピレン基であって、aが1、bが2のエステル、Rがブチル基、Rが1,3−プロピレン基、Rがエチレン基であって、aが3、bが1.5のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rが1,6−ヘキシレン基であって、aが1、bが3のエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜4の数である化合物が好ましく、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜3の数である化合物がより好ましい。
式(III)で表されるオリゴエステルの酸価は1.00mgKOH/g以下が好ましく、0.90mgKOH/g以下がより好ましく、水酸基価は5.0mgKOH/g以下が好ましく、4.0mgKOH/g以下がより好ましく、数平均分子量は300〜700が好ましく、350〜600がより好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(III)中、b=1.2〜3〕が好ましい。
前記リン酸エステルとしては、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状化合物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、下記式(IV):
Figure 2012188657
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、A、A、Aはそれぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、x、y、zはそれぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、x+y+zが4〜12を満足する数である)
で表される化合物が好ましい。
式(IV)で表される化合物は、ポリエーテル型リン酸トリエステルであり、対称構造でも非対称構造でも構わないが、製造上の簡便さからは、対称構造のリン酸トリエステルが好ましい。
、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられるが、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、エチル基、プロピル基がさらに好ましい。
、A、Aは、それぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体的には、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられるが、エチレン基が好ましい。また、A、A、Aは、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基(アルキレンオキサイド)を形成し、式(IV)で表される化合物における繰り返し構造を形成する。
x、y、zは、それぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、x+y+zが4〜12であり、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状化合物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、好ましくは5〜10を満足する数であり、より好ましくは6〜9を満足する数である。
式(IV)で表される化合物の具体例としては、式(V):
Figure 2012188657
で表されるトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート〔式(IV)中、R、R、Rはいずれもエチル基、A、A、Aはいずれもエチレン基、x、y、zはいずれも2で、x+y+z=6〕の他に、トリス(メトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(プロポキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(ブトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(メトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(エトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート等の対称ポリエーテル型リン酸トリエステルやビス(エトキシエトキシエチル)メトキシエトキシエトキシエチルホスフェート、ビス(メトキシエトキシエトキシエチル)エトキシエトキシエチルホスフェート等の非対称ポリエーテル型リン酸トリエステル、あるいは炭素数1〜4のアルコールのポリオキシエチレン付加物又はポリオキシプロピレン付加物の混合物を式(IV)を満たすようにリン酸トリエステル化した非対称ポリエーテル型リン酸エステルが挙げられるが、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状化合物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートが好ましい。
また、前記AO付加エステル化合物としては、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の可塑剤、即ち、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物が挙げられ、例えば、水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が平均0.5〜5モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物等のアルコール成分と公知のカルボン酸成分との縮重合により得られる化合物が好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法、例えば、特開2008−174735号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性、可塑性、及び可塑剤の耐ブリード性の向上の観点から、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、耐揮発性の向上の観点及びポリ乳酸樹脂組成物の可撓性の向上の観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールの混合物(重量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
前記AO付加エステル化合物は、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状化合物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、全ての酸基がエステル化された完全エステルであることが好ましい。
前記AOエステル化合物の平均分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、ならびに可塑剤の耐ブリード性及び耐揮発性を向上させる観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
これらのカルボン酸エステル及びリン酸エステルは、単独で又は組み合わせて用いてもよく、本発明の効果を損しない範囲で、前記カルボン酸エステル、リン酸エステル以外に、他のエステル等を併用することができる。前記カルボン酸エステル及びリン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、及び可塑剤の耐ブリード性を向上させる観点から、可塑剤中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることがさらにより好ましい。
微細化処理の方法としては、特に限定はないが、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕に用いる粉砕機としては、媒体式粉砕機、非媒体式粉砕機等公知のものが使用でき、特に限定されない。粉砕効率向上の観点から、媒体式粉砕機が好ましい。非媒体式粉砕機には、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等の高圧粉砕機が挙げられる。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体攪拌式粉砕機とがある。容器駆動式粉砕機としてはペイントシェーカー、転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。媒体攪拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の攪拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性向上の観点から、攪拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1.0〜15m/sである。なお、粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。また、処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでも良い。
微細化処理時間としては、粉砕機の種類、媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、層状複水酸化物を微細化させる観点から、好ましくは0.02〜5hr、より好ましくは0.05〜2hr、さらに好ましくは0.10〜1hrである。処理温度は、特に制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
湿式粉砕の具体的態様としては、例えば、媒体式粉砕機に、層状複水酸化物及び前記可塑剤を、それぞれ独立に又は同時に添加して、湿式粉砕する態様が挙げられる。
かくして、微細化された層状複水酸化物含有組成物が得られる。なお、本発明においては、得られた層状複水酸化物含有組成物は、微細化する工程後に、洗浄工程、希釈工程、濃縮工程等を公知の方法に従って行ってもよい。
微細化された層状複水酸化物含有組成物の平均粒径は0.1〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。また、層間距離は、ポリ乳酸樹脂との接触面積を高め、得られるポリ乳酸樹脂組成物の強度を高めるとともに透明性を高める観点から、2.0〜5.0nmが好ましく、2.0〜4.0nmがより好ましく、3.0〜4.0がさらに好ましい。
(ポリ乳酸樹脂)
本発明におけるポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸(L体)又はD−乳酸(D体)いずれかの単位80〜100モル%とその対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。
これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させる観点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の全乳酸成分の内、L体又はD体が80%以上含まれることが好ましく、L体又はD体が90%以上含まれることがより好ましく、L体又はD体が95%以上含まれることがさらに好ましく、L体又はD体が98%以上含まれることがさらに好ましく、L体又はD体が99%以上含まれることがさらに好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸として、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、透明性を向上させる観点、及びポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の強度と耐衝撃性を両立し、耐熱性を向上させる観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、前記L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の重量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の機械物性を向上させる観点から、100,000以上であることが好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の成形時の流動性を向上させる観点から400,000以下であることが好ましい。尚、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、溶媒にクロロホルム、カラムに東ソー社製、高温SECカラム(GMHHR−Hシリーズ)、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、検出器に示差屈折率検出器(RI)、リファレンスとして既知の分子量を有するポリスチレンを用いて換算して求めることができる。
なお、ポリ乳酸は、公知の方法に従って合成することができるが、市販の製品を用いることができる。例えば、三井化学社製、商品名レイシア;トヨタ自動車社製、商品名エコプラスチックU’z;ネイチャーワークス社製、商品名Nature works;浙江海正生物材料股分有限公司製、商品名REVODE等が挙げられる。また、前記市販品のなかでも、成形性を向上させる観点から、三井化学社製、商品名レイシアH−100、H−400、H−440、トヨタ自動車社製、商品名エコプラスチックU’z S−9、S−12、S−17、ネイチャーワークス社製、商品名Nature works4032D、3001Dが好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、前記微細化された層状複水酸化物含有組成物及び前記ポリ乳酸樹脂以外に、さらに、結晶核剤、可塑剤、加水分解抑制剤等が適宜含有されていてもよい。
微細化された層状複水酸化物含有組成物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の強度、可撓性、及び透明性を向上させる観点から、1〜30重量部が好ましく、2〜25重量部がより好ましく、3〜15重量部がさらに好ましく、5〜15重量部がさらに好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物中の層状複水酸化物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の強度、可撓性、及び透明性を向上させる観点から、0.1〜15重量部が好ましく、0.2〜10重量部がより好ましく、0.5〜8重量部がさらに好ましく、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の透明性をさらに向上させる観点から、0.1〜3重量部が好ましく、0.2〜1.5重量部が好ましく、0.5〜1.3重量部がさらに好ましい。なお、本明細書において「含有量」とは、「含有量もしくは配合量」のことを意味する。
微細化処理工程における層状複水酸化物と可塑剤の重量比(層状複水酸化物/可塑剤)は、層状複水酸化物をより微細化する観点及びポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、可撓性を向上させる観点から、1/99〜40/60が好ましく、4/96〜40/60がより好ましく、6/94〜40/60がさらに好ましく、8/92〜40/60がさらにより好ましい。層状複水酸化物と可塑剤の重量比が前記範囲にあることで、層状複水酸化物が凝集することなく微細化され、層状複水酸化物の表面に可塑剤が付着した層状複水酸化物組成物が得られる。なお、ここでいう可塑剤の重量とは、可塑剤を複数用いる場合、用いられた可塑剤の総重量を意味する。
(可塑剤)
本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の透明性及び可撓性を向上させる観点から、さらに可塑剤(追加の可塑剤ともいう)を含有することができる。なお、本発明においては、微細化された層状複水酸化物含有組成物の表面に存在する可塑剤が可撓性を発揮するため、別途可塑剤を添加しなくても良好な結晶化速度及び耐熱性を有するポリ乳酸樹脂組成物を得ることができる。
ポリ乳酸樹脂組成物に添加する可塑剤としては、層状複水酸化物含有組成物の調製時に用いたものと同様のものが使用できる。また、ポリ乳酸樹脂組成物における全可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性、透明性、可撓性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは3〜25重量部、さらに好ましくは5〜20重量部である。なお、全可塑剤の含有量とは、層状複水酸化物含有組成物に含まれる可塑剤と、ポリ乳酸樹脂組成物に別途添加した可塑剤(追加の可塑剤)との合計含有量を意味する。
(結晶核剤)
本発明においては、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性及び成形性を向上させる観点から、結晶核剤を含有することが好ましい。結晶核剤としては、特に限定なく公知のものを用いられるが、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性及び強度の向上の観点から、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物、フタロシアニン、リン酸エステルの金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、カルボヒドラジド類、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩及びウラシル類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度及びポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性を向上させる観点から、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物が好ましい。前記結晶核剤は、ポリ乳酸樹脂の溶融混練時に溶解して多数の結晶核を生成するとともに、前記微細化された層状複水酸化物含有組成物との相互作用により、得られるポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度及び耐熱性をより向上することができる。
分子中に水酸基とアミド基を有する化合物としては、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度、ならびにポリ乳酸樹脂との相溶性、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐衝撃性と成形性を向上させる観点から、水酸基を有する脂肪族アミドが好ましく、分子中に水酸基を2つ以上有し、アミド基を2つ以上有する脂肪族アミドがより好ましい。
分子中に水酸基とアミド基を有する化合物の融点は、混練時の結晶核剤の分散性を向上させ、また結晶化速度を向上させる観点から、65℃以上が好ましく、70〜220℃がより好ましく、80〜190℃がさらに好ましい。
分子中に水酸基とアミド基を有する化合物の具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸トリアミド等が挙げられる。ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性を向上させる観点から、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
分子中に水酸基とアミド基を有する化合物と微細化された層状複水酸化物含有組成物の重量比(分子中に水酸基とアミド基を有する化合物/微細化された層状複水酸化物含有組成物)は、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を高める観点、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、及びポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性を向上させる観点から、0.5/99.5〜20/80が好ましく、0.5/99.5〜17/83がより好ましく、1.0/99.0〜10/90がさらに好ましく、3/97〜8/92がさらにより好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物における結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性、耐衝撃性と成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましく、0.5〜3重量部がさらに好ましく、0.5〜2重量部がさらに好ましい。
(加水分解抑制剤)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、強度、耐久性、耐加水分解性を向上させる観点から、さらに加水分解抑制剤を含有することができる。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ポリ乳酸樹脂組成物の強度、耐久性、耐衝撃性向上の観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の耐久性、成形性(流動性)を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐久性、耐衝撃性、成形性をより向上させる観点から、モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを併用することが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐久性、耐衝撃性及び成形性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡績社製)を、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドは、スタバクゾールP及びスタバクゾールP−100(Rhein Chemie社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾールI(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の透明性、成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましい。
また、本発明のポリ乳酸樹組成物には、前記以外に、更に強度等の物性向上の観点から、微細化された層状複水酸化物含有組成物以外の無機充填剤を含有することが好ましい。
(無機充填剤)
無機充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ワラステナイト、非膨潤性雲母、膨潤性雲母、グラファイト、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、ベントナイト、有機変性ベントナイト、有機変性モンモリロナイト、カオリン、微粉ケイ酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土などの板状や粒状の無機充填剤が挙げられる。これらの無機充填剤の中では、炭素繊維、ガラス繊維、ワラステナイト、マイカ、タルク及びカオリンが好ましい。また、繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
前記無機充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていても良い。
無機充填剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。なお、無機充填剤の含有量とは、層状複水酸化物含有組成物と、それ以外の無機充填剤との合計含有量を意味する。
(有機充填剤)
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、前記以外に、更に強度等の物性を向上させる観点から、有機充填剤を含有することが好ましい。
有機充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられるチップ状、繊維状、板状、粉末状のものを用いることができる。具体例としては、籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材などのチップ状のもの、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維もしくはこれらの植物繊維から加工されたパルプやセルロース繊維および絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダなどの動物繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維などの繊維状のもの、パルプ粉、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉などの粉末状のものが挙げられ、成形性を向上させる観点から、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、ケナフ粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質粉末、澱粉などの粉末状のものが好ましく、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、ケナフ粉末がより好ましい。また靱性を向上させる観点から、振動ロッドミル、ビーズミル等で、セルロースを非晶化した粉末の有機充填剤を用いることが好ましい。また、有機充填剤の中で、強度と可撓性を両立する観点から、セルロースが好ましく、WO2010/010961号公報に記載されている結晶度50%未満のセルロースがより好ましい。
有機充填剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。
(その他の樹脂及び添加剤)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の強度、柔軟性、耐熱性、耐久性等の物性を向上させる観点から、その他の樹脂を含んでもよい。その他の樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど、あるいはエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などの軟質熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の強度、柔軟性、耐熱性、耐久性等の物性を向上させる観点から、更に難燃化剤を含有することができる。難燃化剤の具体例としては、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂等の臭素又は塩素を含有するハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の無機系難燃剤、シリコーン樹脂、シリコーンオイル等のシリコーン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物(物性の観点からシランカップリング剤、なかでもイソシアネートシランで表面処理されていることが好ましい)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、縮合リン酸エステル、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ホスファーゼン化合物等のリン化合物、及びメラミンシアヌレート等の含窒素化合物などが挙げられる。安全性を向上させる観点から、無機水酸化物又はリン化合物が好ましく、物性を向上させる観点から無機水酸化物とリン化合物の併用が好ましい。難燃化剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、10〜60重量部が好ましく、15〜50重量部がより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐衝撃性、靱性等の物性を向上させる観点から、コアシェル型ゴムを含有しても良い。具体例としては、(コア;シリコーン/アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)、(コア;シリコーン/アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル重合体)、(コア;ブタンジエン/スチレン重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)、(コア;アクリル重合体、シェル;メタクリル酸メチル重合体)等が挙げられる。透明性を向上させる観点から、市販品として、三菱レイヨン社製;メタブレンS−2006、S−2100、S−2200、ローム・アンド・ハース社製;パラロイドBPM−500が好ましい。コアシェル型ゴムの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、2〜30重量部が好ましく、3〜20重量部がより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えばヒンダードフェノール又はホスファイト系の酸化防止剤、又は脂肪族アミド類、脂肪酸金属塩、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤等、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、蓚酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物及びヒンダードアミン系化合物)、熱安定剤(ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物)、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、発泡剤、離形剤、染料及び顔料を含む着色剤、防カビ剤、抗菌剤などの1種又は2種以上をさらに含有することができる。
(ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂及び微細化された層状複水酸化物含有組成物を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、ポリ乳酸樹脂及び微細化された層状複水酸化物含有組成物、さらに必要により各種添加剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。なお、原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上させる観点から、160〜250℃が好ましく、165〜230℃がより好ましく、170〜210℃がさらに好ましい。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15〜900秒間が好ましい。
また、溶融混練機としては、層状複水酸化物の分散性の観点から、好ましくは10〜1000(1/s)、より好ましくは20〜500(1/s)のせん断速度を有する装置が好ましい。なお、本明細書において、溶融混練機のせん断速度とは、以下の式より求められた値であり、チップクリアランスとは、ロータ外周とチャンバ内壁面間の隙間を意味する。
せん断速度(1/s)=スクリュー回転数(r/s)×2π×スクリュー半径/チップクリアランス
かくして本発明のポリ乳酸樹脂組成物が得られる。よって、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物の好適な製造方法としては、
工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程、及び
工程(2):工程(1)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物とポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する工程
を含む方法が挙げられる。
工程(1)では、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る。好ましくは、層状複水酸化物と可塑剤の混合物を粉砕する事により微細化する方法が挙げられる。層状複水酸化物及び可塑剤は、前記に記載したものが使用される。また、微細化方法についても特に限定はなく、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有される層状複水酸化物含有組成物を調製する際に採用した方法、例えば、湿式粉砕が好ましい。
工程(2)では、工程(1)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物とポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する。工程(2)で用いられる原料としては、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有されるものと同様のものが挙げられる。また、溶融混練方法についても特に限定なく、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を調製する際に採用した方法が挙げられ、例えば、ポリ乳酸樹脂及び微細化された層状複水酸化物含有組成物、さらに必要により各種添加剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて、好ましくは160〜250℃、より好ましくは165〜230℃、さらに好ましくは170〜210℃で、好ましくは10〜1000(1/s)、より好ましくは20〜500(1/s)のせん断速度で溶融混練する方法が挙げられる。なお、原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供してもよい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、靱性と可塑性を両立することから加工性が良好で、例えば200℃以下の低温で加工しても可塑剤の分解が起こり難い利点もあり、フィルムやシートに成形して各種用途に用いることができる。さらに高い結晶化速度により、射出成形において、低い金型温度で、かつ短時間での成形が可能となる。
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、例えば、押出し機等を用いて前記微細化された層状複水酸化物含有組成物とポリ乳酸樹脂とを混合して溶融させながら、必要により可塑剤や加水分解抑制剤等を配合し、次に得られた溶融物を射出成形機等により金型に充填して成形することができる。従って、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、例えば、前記可塑剤の存在下で微細化された層状複水酸化物含有組成物とポリ乳樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練後、得られた溶融混練物を110℃以下の金型内に充填して成形して得られる。本発明のポリ乳酸樹脂成形体の好適な製造方法としては、
工程(A):層状複水酸化物を前記可塑剤の存在下で湿式粉砕し、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程、
工程(B):工程(A)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物とポリ乳樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する工程、及び
工程(C):工程(B)で得られた溶融物を110℃以下の金型内に充填して成形する工程
を含む方法が挙げられる。
なお、工程(B)の溶融混練後には、冷却して非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下となる条件)とした後で成形してもよく、冷却して直ちに成形してもよい。ポリ乳酸樹脂の結晶化速度向上の観点から、溶融混練後、冷却して直ちに成形、即ち、工程(B)を経た後、冷却して直ちに工程(C)を行う方法が好ましい。
工程(C)の具体例としては、例えば、射出成形機等により本発明のポリ乳酸樹脂組成物を110℃以下の金型内に充填し、成形する工程等が挙げられる。工程(C)における金型温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。また30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度に優れ低温度での成形加工も可能であるため前記金型温度でも、十分な耐熱性を有する成形体を得ることができる。
工程(C)における金型内での保持時間は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性向上及び生産性向上の観点から、20〜90秒が好ましく、20〜80秒がより好ましく、20〜60秒がさらに好ましい。すなわち、本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂組成物は結晶化速度が速いために、前記記載の短い時間の保持時間でも十分な耐熱性を有するポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体が得られる。
ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性は、その相対結晶化度の大きさに比例するものである。なお、本明細書において、相対結晶化度とは、以下の式で表される結晶化度を言う。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm×100}
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。
〔層状複水酸化物の粒径〕
層状複水酸化物の粒径(nm)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA−920(HORIBA社製)を用いて、測定溶媒であるエタノール(関東化学社製、鹿1級)中に層状複水酸化物の粒子0.05gを攪拌させながら分散させて測定し(攪拌速度;レベル4)、屈折率を1.12としてメジアン径を算出する。なお、微細化処理前の層状複水酸化物の粒径を測定する場合は、粒子を測定溶媒中に分散させるために1分間超音波処理を行い、微細化処理後の層状複水酸化物の粒径を測定する場合には、攪拌操作のみを行い測定を行う。
可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水酸化物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル〔(MeEOSA〕を得た。得られたジエステルは、重量平均分子量410、粘度(23℃)27mPa・s、酸価0.2KOHmg/g、鹸化価274KOHmg/g、水酸基価1KOHmg/g以下、色相APHA200であった。
可塑剤の製造例2(トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート)
1リットル四つ口フラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル600g(4.47モル)を加え、乾燥窒素ガスを毎分50mLの流量で吹き込みながら、減圧下(20kPa)で攪拌した。次いで反応系内を室温(15℃)に保ちながらオキシ塩化リン114g(0.745モル)をゆっくりと滴下し、その後、40〜60℃で5時間熟成した。その後、16重量%の水酸化ナトリウム水溶液149gを添加して中和し、過剰の未反応ジエチレングリコールモノエチルエーテルを70〜120℃の温度条件で減圧留去し、さらに水蒸気と接触させて粗リン酸トリエステル367gを得た。さらに、この粗リン酸トリエステルに16重量%の塩化ナトリウム水溶液300gを加えて洗浄した。その後、分相した下相を廃水し、残りの上相を75℃の減圧下で脱水した後、さらにろ過で固形分を除去し、目的とするトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート266gを得た(収率80%)。このトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートは無色透明の均一液体であり、クロルイオン分析を行った結果、クロルイオン含量は10mg/kg以下であった。
可塑剤の製造例3(グルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管及び還流管を備えた1Lフラスコにグルタル酸118g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル361g、トルエン250mL、パラトルエンスルホン酸一水酸化物2.0gを仕込み、120℃で9時間反応させた。冷却後、酢酸エチル350mLを加え、炭酸ナトリウム水溶液、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルとトルエンをエバポレータで除き、さらに減圧で低沸点成分を留去し、グルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは重量平均分子量324、酸価0.2KOHmg/g、鹸化価346KOHmg/g、水酸基価1KOHmg/g以下であった。
可塑剤の製造例4(コハク酸ジメチルとジエチレングリコールのエステル化合物)
攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにジエチレングリコール999g(9.41モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液23.6g(ナトリウムメトキシド0.122モル)を入れ、常圧(101.3kPa)、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)4125gを3時間かけて滴下し、常圧120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.4g(ナトリウムメトキシド0.023モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧(101.3kPa)から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)41gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧濾過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を4時間かけて70℃から190℃に上げ、未反応のコハク酸ジメチルを留去し、コハク酸ジメチルとジエチレングリコールのエステル化合物を得た。得られたジエステルは重量平均分子量450、酸価0.5KOHmg/g、鹸化価651KOHmg/g、水酸基価1KOHmg/g以下であった。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例1
蒸留水2Lに、酢酸(キシダ化学社製)1.2g、酢酸ナトリウム(シグマアルドリッチジャパン社製)14.76g、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)450gを室温(25℃)で溶解させ、層状複水酸化物(ハイドロタルサイト DHT−6、協和化学工業社製)3.6gを加え、層間の炭酸イオンを塩化物イオンに置換するために、20時間室温(25℃)下で攪拌(回転数200rpm)した。濾過及び乾燥を行った後、得られた粉末1gを、ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.33g、蒸留水100gと混合し、20時間室温(25℃)下で攪拌(回転数200rpm)することによりイオン交換によって層状複水酸化物の有機化を行った。得られた粉末を蒸留水250gを3回に分けて用いて洗浄し(1回目;80g、2回目;80g、3回目;90g)、有機化層状複水酸化物1を得た。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例2
ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gを、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(花王社製)1.33gに変えた以外は製造例1と同様にして、層状複水酸化物の有機化を行い、有機化層状複水酸化物2を得た。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例3
ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gを、ステアリン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gに変えた以外は製造例1と同様にして、層状複水酸化物の有機化を行い、有機化層状複水酸化物3を得た。
微細化された層状複水酸化物含有組成物の製造例1〜16
表1〜2に示す層状複水酸化物と可塑剤を、表1〜2に示す粉砕機に供して、表1〜2に示す時間粉砕を行った。粉砕前後の層状複水酸化物含有組成物の平均粒径を表1〜2に示す。
なお、表1〜2における原料及び装置は以下の通りである。
(可塑剤)
可塑剤1:可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル
可塑剤2:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合物とのジエステル(大八化学工業社製)
可塑剤3:可塑剤の製造例2で製造したトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート
可塑剤4:可塑剤の製造例3で製造したグルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル
可塑剤5:可塑剤の製造例4で製造したコハク酸ジメチルとジエチレングリコールのエステル化合物
可塑剤6:ジオクチルアジペート(和光純薬工業社製、試薬)
(粉砕機)
粉砕機1:超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所社製)
粉砕機2:ペイントシェーカー(PC−1720、浅田鉄工社製)
Figure 2012188657
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表1及び2より、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で粉砕することより、製造例1〜11、16の層状複水酸化物は微細化されていることが確認された。また、微細化される層状複水酸化物が有機化されている場合には、微細化により層間距離が広くなっていることが分かる。
実施例1〜14及び比較例1〜4
ポリ乳酸樹脂50g(100重量部)と、表3〜5に示す種類と量の層状複水酸化物、結晶核剤、加水分解抑制剤、追加の可塑剤とを、表3〜5に示す種類の溶融混練機にて、表3〜5に示すせん断速度、混練温度190℃で溶融混練し、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。なお、表3〜5に記載の溶融混練機のせん断速度とは、以下の式より求められた値である。
せん断速度(1/s)=スクリュー回転数(r/s)×2π×スクリュー半径/チップクリアランス
なお、表3〜5における原料及び装置は以下の通りである。
(ポリ乳酸樹脂)
NW4032D:ポリ乳酸樹脂(ネイチャーワークスLLC社製、NatureWorks 4032D)
(層状複水酸化物含有組成物)
表1〜2に示す製造例1〜15で調製された層状複水酸化物含有組成物
(結晶核剤)
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製)
(加水分解抑制剤)
カルボジライトLA−1:ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製)
(追加の可塑剤)
可塑剤1:可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル
(溶融混練機)
混練機1:密閉式ニーダー「ラボプラストミル」(東洋精機製作所社製)
混練機2:2軸押出機「2軸押出混練機」(池貝鉄工社製)
混練機3:1軸押出機「ミラクルKCK」(浅田鉄工社製)
実施例1〜14及び比較例1〜4(ポリ乳酸樹脂組成物の成形体)
次に、実施例及び比較例のペレットを、ヒートプレス機(東洋精機製作所社製、ラボプレス)を用いて190℃で溶融させた後、20℃まで冷却し、再び80℃に加温することで、厚さ0.4mmのシートを成形した。得られた成形体をJIS 7127Kに基づき2号試験片を作製して以下の試験例1〜3の方法に従って特性を調べた。結果を表3〜5に示す。
試験例1<強度の評価>
得られた成形体について、引っ張り試験を行い、初期弾性率(GPa)を調べた。引っ張り試験には、オリエンテック社製のテンシロン万能試験機(RTC−1210A)を用い、JIS 7127Kに従って試験を行った。数値が高いほど剛性に優れ、強度が高いことを示す。
試験例2<透明性の評価>
得られた成形体について、ヘイズメーター(HM−150型 村上色彩技術研究所社製)を用いて、Haze値を測定し、これを透明度の指標とした。数値が低いほど透明性に優れることを示す。
試験例3<可撓性の評価>
得られた成形体について、試験温度23℃、試験速度50mm/sで引っ張り試験を行い、破断する延伸倍率〔破断点伸度(%)〕)を調べた。引っ張り試験には、オリエンテック社製のテンシロン万能試験機(RTC−1210A)を用いた。数値が高いほど可撓性に優れることを示す。
Figure 2012188657
Figure 2012188657
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表3〜5の結果から明らかなように、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の成形体(実施例1〜14)は、層状複水酸化物が微細化処理されていないこと以外は同じ組成の樹脂組成物に比べて、透明性に優れ、かつ、引張弾性率と破断点伸度が大きく、強度と可撓性を両立させることができることが示唆される。なかでも、実施例1、5は比較例3、4と比較して引張弾性率、引張強度、ヘイズ、破断点伸度に優れる。これは湿式粉砕によって微細化されたことで、樹脂中の分散性が向上しためと推察される。実施例2、3、4、6は比較例1、2と比較して、引張弾性率、引張強度、ヘイズ、破断点伸度に優れる。層間の有機化のみでは分散性が不十分であり、可塑剤との湿式粉砕により分散性の向上、層間膨潤によるものである。実施例7、8、9、10、11は種々の可塑剤において同様の効果が発現することを示す。また、層状複水酸化物が有機化されている場合には、溶融混練により層間距離がさらに大きくなっていることが分かる。これより、可視光の散乱が抑制されてヘイズ値が低下し、さらに層状複水酸化物がポリ乳酸樹脂組成物の強化剤として働き、強度と可撓性と透明性に優れることが示唆される。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸樹脂と微細化された層状複水酸化物含有組成物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記微細化された層状複水酸化物含有組成物が、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られたものである、ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 前記可塑剤がカルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルを含む、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 層状複水酸化物が、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、及びそれらの塩からなる群より選ばれる有機化剤によって有機化されたものである、請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程が、層状複水酸化物と可塑剤とを重量比(層状複水酸化物/可塑剤)が1/99〜40/60となる範囲内で用いて微細化する工程である、請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが、分子中に2個以上のエステル基を有するエステルであって、該エステルを構成するアルコール成分が、水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールを含有してなる、請求項2〜4いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  6. 下記工程(1)及び(2)を含むポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
    工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた微細化された層状複水酸化物含有組成物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練する工程
  7. 工程(1)が、層状複水酸化物と可塑剤の混合物を粉砕して、微細化された層状複水酸化物含有組成物を得る工程である、請求項6に記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
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