JP2014009266A - ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品 Download PDF

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拓也 澤田
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Abstract

【課題】透明性に優れ、かつ、耐熱性にも優れるポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品、及び該熱成形品の製造方法に関すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂と、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られた層状複水酸化物の微細化物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品、ならびに、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、層状複水酸化物の微細化物を得る工程(1)、工程(1)で得られた層状複水酸化物の微細化物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程(2)を含む熱成形品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品に関する。更に詳しくは、食品容器、日用品や家電製品の包装材料、工業用部品のトレイ等に好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品、及び該熱成形品の製造方法に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いこと等の特徴により、現在その利用が期待されている。
例えば、特許文献1では、有機アンモニウム化合物で処理したカチオン交換性層状粘土鉱物をポリエステル樹脂等に添加すると、混合時に有機アンモニウム化合物と樹脂との反応が生じて、樹脂が低分子量化するという問題があったため、有機化されたアニオン交換性層状粘土鉱物を樹脂に添加して、弾性率などの力学特性を改良する方法が開示されている。
特許文献2には、少量の添加によってポリエステル樹脂の機械的特性を向上させることができる樹脂添加用フィラーとして、ハイドロタルサイト様化合物の中間層のイオンとイオン交換・吸着性を有する有機試薬とをイオン交換することにより形成させた有機化ハイドロタルサイト様化合物が開示されている。
特開2003−171568号公報 特開2005−47946号公報
従来技術に拠って、ポリ乳酸樹脂に、ハイドロタルサイト等の層状化合物や該層状化合物に有機化等の処理を施したものを配合して、ポリ乳酸樹脂組成物の機械的強度を向上させることは可能である。しかし、ポリ乳酸樹脂組成物は自動車用途や食品容器等のより広範な用途に使用することが期待されていることから、例えば、熱成形した場合に、優れた機械的強度に加えて、透明性が良好で、かつ、耐熱性にも優れる成形品を提供することのできるポリ乳酸樹脂組成物が望まれている。
本発明は、透明性に優れ、かつ、耐熱性にも優れるポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品、及び該熱成形品の製造方法に関する。
本発明は、下記〔1〕〜〔2〕に関する。
〔1〕 ポリ乳酸樹脂と、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られた層状複水酸化物の微細化物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品。
〔2〕 下記工程(1)〜(4)を含む熱成形品の製造方法。
工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、層状複水酸化物の微細化物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた層状複水酸化物の微細化物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程
工程(3):工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(4):工程(3)で得られたシートを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形して相対結晶化度80%以上に結晶化させた熱成形品を得る工程
本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品は、透明性に優れ、かつ、耐熱性にも優れるという優れた効果を奏する。
図1は、実施例の熱成形品を調製した際に用いた金型を示す図である。
本発明の熱成形品は、ポリ乳酸樹脂と層状複水酸化物を含有するポリ乳酸樹脂組成物からなるものであって、該層状複水酸化物が特定の方法により微細化されたものであることに特徴を有する。なお、本明細書において、微細化された層状複水酸化物のことを、層状複水酸化物の微細化物又は微細化層状複水酸化物と記載することもある。
層状複水酸化物として、例えば、ハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOの組成を有した層状化合物であり、該層状化合物が樹脂中に分散することにより樹脂強度が向上する。しかし、強度が高い樹脂であっても、その強度を高温下においても維持できるよう耐熱性にも優れるポリ乳酸樹脂が要求されている。そこで、本発明者らが検討した結果、可塑剤の存在下で微細化された層状複水酸化物を含有する樹脂が、高温下でも強度を維持しながら、透明性にも優れることが判明した。その詳細な理由は不明であるが、可塑剤の存在下で微細化が行われることで、得られる層状複水酸化物の表面に可塑剤が付着した状態になり、可塑剤と層状複水酸化物が何らかの相互作用をすると考えられる。よって、溶融混練の際に該微細化された層状複水酸化物がポリ乳酸樹脂中で再凝集せずに微分散されると推定される。このため、ポリ乳酸樹脂と層状複水酸化物との接触面積が増大し、強度が格段に向上するものと考えられる。さらに、可塑剤は層状複水酸化物の層間に挿入されることにより層間距離が拡張し、その結果、層状複水酸化物とポリ乳酸樹脂との接触面積が高まると考えられる。また、ポリ乳酸樹脂との溶融混練により、ポリ乳酸樹脂が該層状複水酸化物の層間にも挿入されるため接触面積がさらに高まり、その結果、層状複水酸化物が高度に分散することで、耐熱性と透明性に優れるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品が得られるものと考えられる。なお、本明細書において、「耐熱性」は後述の「貯蔵弾性率」により、「透明性」は後述の「ヘイズ」により評価される特性のことを意味する。
〔ポリ乳酸樹脂組成物〕
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、Nature Works社製:商品名 Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:商品名 エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等)の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐熱性及び透明性の向上の観点から、ステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂であり、ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の質量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
[層状複水酸化物の微細化物]
本発明における層状複水酸化物の微細化物(微細化層状複水酸化物)は、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られたものである。
本発明における層状複水酸化物とはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、鉄などの元素の水酸化物が結晶化した無機の層状化合物であって、層状構造を有するものであれば特に限定はないが、一般式(1)で表される基本層の間に、一般式(2)で表される中間層が挟まれた多層構造を有する化合物が好ましく、具体的にはハイドロタルサイト、マナサイト、アルナイト、カルサイト、マグネサイトが好ましく、ハイドロタルサイト、マナサイトがより好ましい。
[M2+ 1−p3+ (OH)] 式(1)
(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Ni2+、Fe2+、Zn2+などの2価の金属イオン、M3+はAl3+、Cr3+、Fe3+、Co3+などの3価の金属イオンを表し、pは0.2以上0.33以下である)
[An− p/n・qHO] 式(2)
(式中、nは1又は2の数であり、An−はOH、Cl、CO 2−、SO 2−、ClO 、NO 、I、F、Brなどのアニオンを表し、qは1以上10以下の整数である)
層状構造においては、層間に様々なアニオン種やカチオン種を有する有機化合物を挿入(インターカレート)することができ、これにより、層間距離が広がり、ポリ乳酸樹脂との接触面積が高まり、ポリ乳酸樹脂組成物に強度及び透明性を付与することができると考えられる。よって、本発明における層状複水酸化物は、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、脂肪酸、及びそれらの塩からなる群より選ばれる有機化剤によって有機化されていることが好ましい。
アルキル硫酸エステルとしては、下記式(I):
−(O−CH−CH−O−SOH (I)
で表される化合物が、
アルキルスルホン酸としては、下記式(II):
−(O−CH−CH−SOH (II)
で表される化合物が、
脂肪酸としては、下記式(VI):
−COH (VI)
で表される化合物が好ましい。
式(I)中のR、式(II)中のR、及び式(VI)中のRは、好ましくは炭素数4〜24、より好ましくは炭素数4〜18のアルキル基が挙げられ、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、ラウリル基、ステアリル基、オクタデシル基が例示され、なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、ラウリル基及びステアリル基が好ましく、ラウリル基がより好ましい。
式(I)及び式(II)中のmは、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、脂肪酸、及びそれらの塩の具体例としては、ラウリル硫酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸エステル、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、1−ドデカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸カリウム、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサンスルホン酸カリウム、1−オクタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸カリウム、1−デカンスルホン酸、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムが挙げられ、なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点に加えて、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び透明性を向上させる観点から、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムが好ましく、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸カリウムがより好ましい。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
層状複水酸化物を前記有機化剤によって有機化する方法としては、特に限定はなく公知の方法が用いられ、例えば、Chem.Commun.,2000,91−92や特開2009−173482号公報記載の方法が用いられる。具体的には、水中に分散させた層状複水酸化物の層間のイオンを塩化ナトリウムによって一旦塩化物イオンに置換した後に目的の有機化剤で層間イオンを置換する方法が挙げられる。
有機化に用いる有機化剤の量は、層状複水酸化物の層間距離が広がり、ポリ乳酸樹脂との接触面積が高まり、ポリ乳酸樹脂組成物に強度及び透明性を付与する観点から、処理前の層状複水酸化物100質量部に対して、層状複水酸化物層間へのイオンの交換性の観点から、10質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、微細化層状複水酸化物の着色性の観点から、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい。また、層状複水酸化物層間へのイオン交換性と微細化層状複水酸化物の着色性の両立の観点から、10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましく、50〜150質量部がさらに好ましい。
微細化処理に供される層状複水酸化物の形状及び平均粒子径は、微細化処理を施すことができるのであれば、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。また、1〜100μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。また、層間距離は0.5〜5.0nmが好ましく、1.5〜3.0nmがより好ましく、1.8〜2.8nmがさらに好ましい。なお、本明細書において、層状複水酸化物の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明では、前記層状複水酸化物を可塑剤の存在下での微細化する工程に供する(以後、微細化工程ともいう)。
微細化工程で用いられる可塑剤としては、特に限定はなく、当該分野で公知の可塑剤を用いることができる。例えば、カルボン酸エステル、多価アルコールエステル、リン酸エステル、ポリアルキレングリコール類、乳酸オリゴマーエステル類、ロジン酸エステル類等が挙げられる。具体的には、カルボン酸エステルとしては、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル、モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル、ブチルオレート等のオレイン酸エステルが例示される。多価アルコールエステルとしては、ジアセチルカプリル酸モノグリセライド、ジアセチルラウリン酸モノグリセライド、リシノール酸モノグリセライド、デカグリセリンモノエレート等が例示される。リン酸エステルとしては、トリクレジルホスフェート等が例示される。ポリアルキレングリコール類としては、ポリエチレングリコール(以下PEG)、PEGジアセテート、ポリプロピレングリコール(以下PPG)、PEG−PPG−PEGブロックポリマー、PPG−PEG−PPGブロックポリマー等が例示される。乳酸オリゴマーエステル類としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル乳酸オリゴマーエステル等が例示される。ロジン酸エステル類としては、ジエチレングリコールロジンエステルアセテート等が例示される。なかでも、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化によって可塑剤が層状複水酸化物に付着することでポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立をより向上させる観点から、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物(以下、「AO付加エステル化合物)という)を含有することが好ましい。
前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸のエステル化合物であれば特に限定はなく、前記カルボン酸エステル以外にも、コハク酸ジオクチル等のコハク酸エステルといった多価カルボン酸エステルが例示されるが、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点及び層状複水酸化物の微細化を向上させる観点から、下記式(III)で表されるオリゴエステルが好ましい。
O−CO−R−CO−〔(ORO−CO−R−CO−〕OR (III)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、aは1〜6の数、bは1〜6の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(III)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、メチル基が好ましい。
式(III)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可撓性を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、可撓性を発現させる観点及び経済性の観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(III)におけるRは、炭素数が2〜6のアルキレン基を示し、ORはオキシアルキレン基を示す。Rは炭素数が2〜6であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
aはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。aが大きくなると、式(III)で表されるエステル化合物のエーテル基価が上がり、酸化されやすくなり安定性が低下する傾向がある。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。
bは平均重合度を示し、1〜6の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、ポリ乳酸樹脂の可撓性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましい。なお、本明細書において、平均重合度は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(III)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、aが2、bが1.5のエステル、Rがエチル基、Rが1,4−ブチレン基、Rが1,3−プロピレン基であって、aが1、bが2のエステル、Rがブチル基、Rが1,3−プロピレン基、Rがエチレン基であって、aが3、bが1.5のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rが1,6−ヘキシレン基であって、aが1、bが3のエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜4の数である化合物が好ましく、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜3の数である化合物がより好ましい。
式(III)で表されるオリゴエステルの酸価は1.00mgKOH/g以下が好ましく、0.90mgKOH/g以下がより好ましく、水酸基価は5.0mgKOH/g以下が好ましく、4.0mgKOH/g以下がより好ましい。なお、本明細書において、可塑剤の酸価、水酸基価は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(III)で表されるオリゴエステルの平均分子量は、耐揮発性と可塑化効率を向上させる観点から、好ましくは500〜1500、より好ましくは500〜1400、さらに好ましくは500〜1300、よりさらに好ましくは500〜1200である。なお、本明細書において、オリゴエステル系可塑剤の数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法に従って算出することができる。
式(III)で表されるオリゴエステルは、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点及び可塑化効率を向上させる観点から、2個の分子末端に対するアルキルエステル化率(末端アルキルエステル化率)が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
式(III)で表されるオリゴエステルのエーテル基価は、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、0〜8mmol/gが好ましく、0〜6mmol/gがより好ましく、1〜6mmol/gがさらに好ましく、1〜5mmol/gがさらに好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(III)中、b=1.2〜3〕が好ましい。
式(III)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよく、例えば特開2012−62467号公報に開示されているような方法に従って製造することができる。
前記リン酸エステルとしては、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状複水酸化物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、下記式(IV):
Figure 2014009266
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、A、A、Aはそれぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、x、y、zはそれぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、x+y+zが4〜12を満足する数である)
で表される化合物が好ましい。
式(IV)で表される化合物は、ポリエーテル型リン酸トリエステルであり、対称構造でも非対称構造でも構わないが、製造上の簡便さからは、対称構造のリン酸トリエステルが好ましい。
、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられるが、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、エチル基、プロピル基がさらに好ましい。
、A、Aは、それぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体的には、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられるが、エチレン基が好ましい。また、A、A、Aは、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基(アルキレンオキサイド)を形成し、式(IV)で表される化合物における繰り返し構造を形成する。
x、y、zは、それぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、x+y+zが4〜12であり、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状複水酸化物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、好ましくは5〜10を満足する数であり、より好ましくは6〜9を満足する数である。
式(IV)で表される化合物の具体例としては、式(V):
Figure 2014009266
で表されるトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート〔式(IV)中、R、R、Rはいずれもエチル基、A、A、Aはいずれもエチレン基、x、y、zはいずれも2で、x+y+z=6〕の他に、トリス(メトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(プロポキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(ブトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(メトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(エトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート等の対称ポリエーテル型リン酸トリエステルやビス(エトキシエトキシエチル)メトキシエトキシエトキシエチルホスフェート、ビス(メトキシエトキシエトキシエチル)エトキシエトキシエチルホスフェート等の非対称ポリエーテル型リン酸トリエステル、あるいは炭素数1〜4のアルコールのポリオキシエチレン付加物又はポリオキシプロピレン付加物の混合物を式(IV)を満たすようにリン酸トリエステル化した非対称ポリエーテル型リン酸エステルが挙げられるが、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状複水酸化物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートが好ましい。
式(IV)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよく、例えば特開平10−17581号公報に開示されているような方法に従って製造することができる。
また、前記AO付加エステル化合物としては、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の可塑剤、即ち、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物であるエステル化合物が挙げられる。なかでも、水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が平均0.5〜5モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物等のアルコール成分と公知のカルボン酸成分との縮重合により得られる化合物が好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法、例えば、特開2008−174735号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
前記AO付加エステル化合物としては、具体的には、マロン酸やコハク酸、グルタル酸、2-メチルコハク酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとのジエステルや、酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのジエステルが挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性、可塑性、及び可塑剤の耐ブリード性の向上の観点から、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、耐揮発性の向上の観点及びポリ乳酸樹脂組成物の可撓性の向上の観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールの混合物(質量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
前記AO付加エステル化合物は、層状複水酸化物の微細化を向上させる観点、及び、微細化により可塑剤が層状複水酸化物に付着することで、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性を向上させる観点から、全ての酸基がエステル化された完全エステルであることが好ましい。
前記AO付加エステル化合物の平均分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、ならびに可塑剤の耐ブリード性及び耐揮発性を向上させる観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、本明細書において、AO付加エステル系可塑剤の平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56108×(1分子中のエステル基の数)/鹸化価
これらのカルボン酸エステル、リン酸エステル、及びAO付加エステル化合物は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、本発明の効果を損しない範囲で、前記カルボン酸エステル、リン酸エステル、及びAO付加エステル化合物以外に、他のエステル等を併用することができる。前記カルボン酸エステル、リン酸エステル、及びAO付加エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、及び可塑剤の耐ブリード性を向上させる観点から、可塑剤中、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質100質量%であることがさらにより好ましい。
微細化工程における層状複水酸化物と可塑剤の質量比(層状複水酸化物/可塑剤)は、層状複水酸化物をより微細化する観点及びポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、可撓性を向上させる観点から、1/99以上が好ましく、4/96以上がより好ましく、6/94以上がさらに好ましく、8/92以上がさらにより好ましく、微細化層状複水酸化物の微分散の観点から、50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の透明性の観点から、1/99〜50/50が好ましく、4/96〜50/50がより好ましく、6/94〜50/50がさらに好ましく、8/92〜40/60がさらにより好ましい。層状複水酸化物と可塑剤の質量比が前記範囲内にあることで、層状複水酸化物が凝集することなく微細化され、層状複水酸化物の表面に可塑剤が付着した層状複水酸化物の微細化物が得られる。なお、ここでいう可塑剤の質量とは、可塑剤を複数用いる場合、用いられた可塑剤の総質量を意味する。
微細化の方法としては、特に限定はないが、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕に用いる粉砕機としては、媒体式粉砕機、非媒体式粉砕機等公知のものが使用でき、特に限定されない。粉砕効率向上の観点から、媒体式粉砕機が好ましい。非媒体式粉砕機には、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等の高圧粉砕機が挙げられる。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体攪拌式粉砕機とがある。容器駆動式粉砕機としてはペイントシェーカー、転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。媒体攪拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の攪拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性向上の観点から、攪拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1.0〜15m/sである。なお、粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。また、処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでも良い。
微細化時間としては、粉砕機の種類、媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、層状複水酸化物を微細化させる観点から、好ましくは0.02〜5hr、より好ましくは0.05〜2hr、さらに好ましくは0.10〜1hrである。処理温度は、特に制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
湿式粉砕の具体的態様としては、例えば、媒体式粉砕機に、層状複水酸化物及び前記可塑剤を、それぞれ独立に又は同時に添加して、湿式粉砕する態様が挙げられる。
かくして、微細化層状複水酸化物が得られる。なお、本発明においては、得られた微細化層状複水酸化物は、微細化工程後に、洗浄工程、希釈工程、濃縮工程等を公知の方法に従って行ってもよい。
微細化層状複水酸化物の平均粒径は、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の観点から、0.1μm以上が好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の透明性の観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性と透明性の両立の観点から、0.1〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。層間距離は、ポリ乳酸樹脂との接触面積を高め、得られるポリ乳酸樹脂組成物の強度を高めるとともに透明性を高める観点から、2.0〜5.0nmが好ましく、2.0〜4.0nmがより好ましく、3.0〜4.0nmがさらに好ましい。
微細化層状複水酸化物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の強度、可撓性を向上させる観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の透明性の観点から、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性と透明性の両立の観点から、1〜30質量部が好ましく、2〜25質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。なお、本明細書において「含有量」とは、「含有量もしくは配合量」のことを意味する。
また、層状複水酸化物自体の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の強度、可撓性を向上させる観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性の観点から、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以下がさらに好ましく、1.3質量部以下がさらに好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性と耐熱性の両立の観点から、0.1〜15質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.5〜8質量部がさらに好ましく、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性をさらに向上させる観点から、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜1.5質量部が好ましく、0.5〜1.3質量部がさらに好ましい。また、可塑剤そのものの含有量も、層状複水酸化物と可塑剤の質量比が前記範囲内となるよう用いられることが好ましいが、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、得られるポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の強度、可撓性、及び耐熱性を向上させる観点から、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、8質量部以上がさらに好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性の観点から、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性と耐熱性の両立の観点から、3〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましく、8〜15質量部がさらに好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物には、前記ポリ乳酸樹脂及び微細化層状複水酸化物以外に、さらに、結晶核剤、加水分解抑制剤等が適宜含有されていてもよい。
[結晶核剤]
結晶核剤としては、無機系結晶核剤、有機系結晶核剤が挙げられる。無機系結晶核剤としては、天然又は合成珪酸塩化合物、酸化チタン、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ソーダ等の金属塩やカオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、バーミュライト、マイカ等が挙げられる。有機系結晶核剤としては、カルボン酸アミドやフェニルホスホン酸の金属塩が挙げられ、透明性向上の観点から、カルボン酸アミドが好ましい。カルボン酸アミドとしては、エチレンビス脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。エチレンビス脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミドやエチレンビスオレイン酸アミドが例示され、アルキレンビス脂肪酸アミドとしては、プロピレンビス脂肪酸アミド、ブチレンビス脂肪酸アミドが例示される。また、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドとしては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するアルキレンビスヒドロキシステアリン酸アミドが好ましく、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品の透明性向上の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。
[加水分解抑制剤]
加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ポリ乳酸樹脂組成物の耐久性、耐衝撃性を向上させる観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の耐久性、成形性(流動性)を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の耐久性、耐衝撃性、成形性をより向上させる観点から、モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを併用することが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の耐久性、耐衝撃性及び成形性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡ケミカル社製)を、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドは、スタバクゾールP及びスタバクゾールP−100(Rhein Chemie社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾールI(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形品の透明性、成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部が好ましく、0.10〜2質量部がより好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また、層状複水酸化物の微細化に用いられたものとは別に、さらに可塑剤(追加の可塑剤)を含有することができる。なお、追加の可塑剤と層状複水酸化物の微細化に用いられた可塑剤とは、同じものであっても異なるものであってもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂及び微細化層状複水酸化物を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、ポリ乳酸樹脂及び微細化層状複水酸化物、さらに必要により各種成分を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥又は冷却させてもよい。また、原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは165℃以上、さらに好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。また、好ましくは160〜250℃、より好ましくは165〜230℃、さらに好ましくは170〜210℃である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15〜900秒間が好ましい。
得られた溶融混練物のガラス転移温度(Tg)は、層状複水酸化物の微細化に用いられた可塑剤が効果的に働くことから、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下である。また、好ましくは30〜60℃、より好ましくは30〜55℃、さらに好ましくは35〜55℃である。
溶融混練物の冷結晶化温度(Tc)は、層状複水酸化物の微細化に用いられた可塑剤が効果的に働くことから、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、そして、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。また、好ましくは50〜110℃、より好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃である。
溶融混練物の融点(Tm)は、成形品の耐熱性や加工性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、そして、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。また、好ましくは130〜210℃、より好ましくは140〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃である。なお、本明細書において、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)は、後述の実施例に記載の方法に従って、測定することができる。
かくして得られた溶融混練物は、熱成形性等の二次加工性に優れることから、ポリ乳酸樹脂組成物からなる一次加工品(一次成形品ともいう)に成形される。一次加工品としては、シートやフィルムが挙げられるが、熱成形品への加工性の観点から、シートが好ましい。なお、本明細書において「シート」とは厚さが0.1mm以上の平板状のものをいい、「フィルム」とは厚み0.1mm未満の平板状のものをいう。
シート状の一次加工品は、前記ポリ乳酸樹脂組成物を押出成形やプレス成形することによって調製することができる。
押出成形は、加熱した押出機に充填された前記ポリ乳酸樹脂組成物を溶融させた後にTダイから押出すことにより、シート状の成形品を得ることができる。本発明では、この成形品を直ぐに冷却ロールに接触させてポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に冷却することで、非晶状態又は半結晶状態にし、その後、冷却ロールから引き離し、それらを巻き取りロールにて巻き取り、非晶状態又は半結晶状態のシート状の成形品としてもよい。なお、押出機に充填する際に、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリ乳酸樹脂及び微細化層状複水酸化物、さらに必要により各種成分を含有する原料を充填して溶融混練後、押出し成形してもよい。なお、本明細書において、非晶状態及び半結晶状態とは、以下の式により求めた相対結晶化度が60%未満となる場合を非晶状態、相対結晶化度が60%以上、80%未満となる場合を半結晶状態とする。よって、非晶状態又は半結晶状態の成形品とは、相対結晶化度が80%未満の成形品を意味する。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、及び2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
押出機の温度は、ポリ乳酸樹脂組成物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、さらに好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。また、170〜240℃が好ましく、175〜220℃がより好ましく、180〜210℃がさらに好ましい。なお、本発明において、押出機の温度とは押出機のバレル設定温度を意味する。
押出速度は特に限定されないが、非晶状態又は半結晶状態の成形品を得る観点から、1〜100m/分が好ましく、5〜80m/分がより好ましく、10〜50m/分がさらに好ましい。
また、冷却ロールの温度は、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品を得る観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に設定することが好ましく、具体的には、40℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。冷却ロールに接する時間としては、非晶状態又は半結晶状態の成形品を得る観点から、0.1〜50秒が好ましく、0.5〜10秒がより好ましく、0.8〜5秒がさらに好ましい。
プレス成形でシート状の一次加工品を成形する場合は、シート形状を有する枠で本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物を囲みプレス成形して調製することができる。
プレス成形の温度と圧力としては、好ましくは170〜240℃の温度、5〜30MPaの圧力の条件下、より好ましくは175〜220℃の温度、10〜25MPaの圧力の条件下、さらに好ましくは180〜210℃の温度、10〜20MPaの圧力の条件下でプレスすることが好ましい。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1〜10分が好ましく、1〜7分がより好ましく、1〜5分がさらに好ましい。
また前記条件でプレスした後直ぐに、好ましくは0〜40℃の温度、5〜30MPaの圧力の条件下、より好ましくは10〜30℃の温度、10〜25MPaの圧力の条件下、さらに好ましくは10〜20℃の温度、10〜20MPaの圧力の条件下でプレスして冷却してもよい。この温度条件によるプレスにより、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物をそのTg未満に冷却して、非晶状態又は半結晶状態を維持することができる。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1〜10分が好ましく、1〜7分がより好ましく、1〜5分がさらに好ましい。
非晶状態又は半結晶状態のシート状の一次加工品を調製する場合、その厚さは均一な成形品(二次加工品)を得る観点から、0.1〜1.5mmが好ましく、0.1〜1.4mmがより好ましく、0.15〜1.2mmがさらに好ましい。
〔熱成形品〕
かくして得られた一次加工品をさらに加工処理することにより二次加工品(二次成形品ともいう)である本発明の熱成形品が得られる。前記一次加工品は熱成形等の二次加工に供しても、微細化層状複水酸化物がその表面に付着する可塑剤によってポリ乳酸樹脂との親和性も高いことから均一且つ微細に分散する事で、透明性と耐熱性に優れる熱成形品が得られる。更に、可塑剤が微細化層状複水酸化物の表面に付着している事により、結晶核剤や加水分解抑制剤等の添加剤が配合されている場合にでも、耐ブリード性に優れる事が期待される。
本発明の熱成形品は、特に限定なく公知の方法に従って成形することができるが、例えば、前記方法により調製したシート状の一次加工品、好ましくは非晶状態又は半結晶状態のシートを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形することにより結晶化を行って、例えば、前記方法により求めた相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上となるよう結晶化させた熱成形品とすることができる。
熱成形の方法としては、加熱した状態で真空成形又は圧空成形する方法が挙げられる。具体的には、例えば、前記方法により調製したシート状の一次加工品を真空圧空成形機中の金型内に設置して、金型内をポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度に加熱し、加圧又は無加圧状態に保ち成形することができる。
金型温度としては、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度であればよく、具体的には、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。また、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は70〜120℃が好ましく、75〜115℃がより好ましく、80〜110℃がさらに好ましい。
金型内での保持時間は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品の耐熱性及び生産性の向上の観点から、例えば90℃の金型において、2〜60秒が好ましく、3〜30秒がより好ましく、5〜20秒がさらに好ましい。本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度が速いために、前記のような短い時間の保持時間でも十分な耐熱性を有する成形体が得られる。
かくして得られた本発明の熱成形品の厚みは、特に限定されないが、均一な成形体(二次加工品)を得る観点から、0.1〜1.5mmが好ましく、0.15〜1.4mmがより好ましく、0.2〜1.2mmがさらに好ましい。
本発明の熱成形品は、前記ポリ乳酸樹脂組成物からなるシート状の一次加工品が熱成形性が良好であることから、嵌合性に優れるものである。また、微細化層状複水酸化物の表面に付着する可塑剤による可塑化効果に優れることから、得られた成形体は結晶性の高いものであり、耐熱性、透明性に優れるものでもある。
本発明はまた、本発明の熱成形品の製造方法を提供する。
製造方法としては、前記ポリ乳酸樹脂と微細化層状複水酸化物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を熱成形する工程を含む方法であれば特に限定はなく、得られる成形品の種類に応じて、適宜、工程を追加することができる。
具体的には、以下の工程を含む態様が挙げられる。
工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、層状複水酸化物の微細化物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた層状複水酸化物の微細化物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程
工程(3):工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(4):工程(3)で得られたシートを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形して相対結晶化度80%以上に結晶化させた熱成形品を得る工程
工程(1)は、層状複水酸化物の微細化物を得る工程である。具体的には、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で、層状複水酸化物と可塑剤の質量比(層状複水酸化物/可塑剤)が、好ましくは1/99〜50/50、より好ましくは4/96〜50/50、さらに好ましくは6/94〜50/50、さらに好ましくは8/92〜40/60となるよう混合して、粉砕、好ましくは湿式粉砕する事により微細化することができる。層状複水酸化物及び可塑剤は、前記に記載したものが使用される。
工程(2)は、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程である。具体的には、工程(1)で得られた微細化層状複水酸化物とポリ乳酸樹脂とを含有する原料を、好ましくは160〜250℃、より好ましくは165〜230℃、さらに好ましくは170〜210℃で溶融混練することにより、調製することができる。
工程(3)は、相対結晶化度80%未満のシートを得る工程である。具体的には、工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を、好ましくは170〜240℃、より好ましくは175〜220℃、さらに好ましくは180〜210℃に加熱した押出機にてダイから押出し、次いで、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下に設定した冷却ロールに、好ましくは0.1〜50秒、より好ましくは0.5〜10秒、さらに好ましくは0.8〜5秒接触させて冷却することにより、相対結晶化度80%未満のシートを調製することができる。なお、用いる押出機の種類によっては、工程(2)と工程(3)を連続して行なうことができ、押出機内にポリ乳酸樹脂組成物の原料を充填し、そのまま溶融混練し、次いで押出し成形してもよい。
工程(4)では、相対結晶化度80%未満のシートを熱成形して結晶化させる工程である。例えば、前記シートを好ましくは70〜120℃、より好ましくは75〜115℃、さらに好ましくは80〜110℃の金型内に設置して、加圧又は無加圧状態に保つことにより結晶化を行うことができる。得られる成形品の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.5mm、より好ましくは0.15〜1.4mm、さらに好ましくは0.2〜1.2mmにすることが好ましい。なお、工程(3)で得られたシートを金型内に設置する前に、予めシートを、例えば、金型温度付近の温度に加熱してから成形してもよい。
かくして得られた本発明の熱成形品は、相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上と結晶性の高いものであり、かつ、透明性が良好で、耐熱性に優れることから、各種用途、なかでも、日用品、化粧品、家電製品などのブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイに好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは15〜25℃を示す。
〔層状複水酸化物の平均粒径〕
層状複水酸化物の平均粒径(nm)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA−920(HORIBA社製)を用いて、測定溶媒であるエタノール(関東化学社製、鹿1級)中に層状複水酸化物の粒子0.05gを攪拌させながら分散させて測定し(攪拌速度;レベル4)、屈折率を1.12としてメジアン径を算出する。なお、微細化処理前の層状複水酸化物の粒径を測定する場合は、粒子を測定溶媒中に分散させるために1分間超音波処理を行い、微細化処理後の層状複水酸化物の粒径を測定する場合には、攪拌操作のみを行い測定を行う。
〔可塑剤の酸価、水酸基価、及び鹸化価〕
酸価:滴定溶媒としてトルエン/エタノール=2/1(体積比)を用いる他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
水酸基価:アセチル化試薬として無水酢酸/ピリジン=1/4(体積比)を用い、添加量を3mLとする他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
鹸化価:水浴の温度を95℃に、加熱時間を1時間にする他は、JIS K0070の試験法に従って分析を行う。
〔オリゴエステル系可塑剤の分子量〕
分子量:本明細書においてオリゴエステル系可塑剤の分子量とは数平均分子量を意味し、酸価、水酸基価、及び鹸化価から次式により算出する。
平均分子量 M=(M+M−M×2)×n+M−(M−17.01)×2+(M−17.01)×p+(M−17.01)×q+1.01×(2−p−q)
q=水酸基価×M÷56110
2−p−q=酸価×M÷56110
平均重合度 b=鹸化価×M÷(2×56110)−1
〔AO付加エステル系可塑剤の平均分子量〕
AO付加エステル系可塑剤の平均分子量は、質量平均分子量を意味し、鹸化価から次式より計算で求める。
平均分子量=56108×(1分子中のエステル基の数)/鹸化価
〔ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移点〕
JIS K7121に従い、試料をアルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、25℃から200℃まで15℃/minで昇温させ、ガラス転移温度(℃)を測定する。
〔ポリ乳酸樹脂組成物の融点〕
ポリ乳酸樹脂の融点は、JIS K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水酸化物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル〔(MeEOSA〕を得た。得られたジエステルは、質量平均分子量410、粘度(23℃)27mPa・s、酸価0.2mgKOH/g、鹸化価274mgKOH/g、水酸基価1mgKOH/g以下、色相APHA200であった。
可塑剤の製造例2(トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート)
1リットル四つ口フラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル600g(4.47モル)を加え、乾燥窒素ガスを毎分50mLの流量で吹き込みながら、減圧下(20kPa)で攪拌した。次いで反応系内を室温(15℃)に保ちながらオキシ塩化リン114g(0.745モル)をゆっくりと滴下し、その後、40〜60℃で5時間熟成した。その後、16質量%の水酸化ナトリウム水溶液149gを添加して中和し、過剰の未反応ジエチレングリコールモノエチルエーテルを70〜120℃の温度条件で減圧留去し、さらに水蒸気と接触させて粗リン酸トリエステル367gを得た。さらに、この粗リン酸トリエステルに16質量%の塩化ナトリウム水溶液300gを加えて洗浄した。その後、分相した下相を廃水し、残りの上相を75℃の減圧下で脱水した後、さらにろ過で固形分を除去し、目的とするトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート266gを得た(収率80%)。このトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートは無色透明の均一液体であり、クロルイオン分析を行った結果、クロルイオン含量は10mg/kg以下であった。
可塑剤の製造例3(グルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物)
攪拌機、温度計、脱水管及び還流管を備えた1Lフラスコにグルタル酸118g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル361g、トルエン250mL、パラトルエンスルホン酸一水酸化物2.0gを仕込み、120℃で9時間反応させた。冷却後、酢酸エチル350mLを加え、炭酸ナトリウム水溶液、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルとトルエンをエバポレータで除き、さらに減圧で低沸点成分を留去し、グルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは質量平均分子量324、酸価0.2KOHmg/g、鹸化価346KOHmg/g、水酸基価1KOHmg/g以下であった。
可塑剤の製造例4(コハク酸ジメチルとジエチレングリコールのオリゴエステル化合物)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(コハク酸ジメチルとジエチレングリコールのオリゴエステル)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであった。得られたオリゴエステルは数平均分子量530、酸価0.37mgKOH/g、鹸化価643mgKOH/g、水酸基価0.6mgKOH/gであった。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例1
蒸留水2Lに、酢酸(キシダ化学社製)1.2g、酢酸ナトリウム(シグマアルドリッチジャパン社製)14.76g、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)450gを室温(25℃)で溶解させ、層状複水酸化物(ハイドロタルサイト DHT−6、協和化学工業社製)3.6gを加え、層間の炭酸イオンを塩化物イオンに置換するために、20時間室温(25℃)下で攪拌(回転数200rpm)した。濾過及び乾燥を行った後、得られた粉末1gを、ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.33g、蒸留水100gと混合し、20時間室温(25℃)下で攪拌(回転数200rpm)することによりイオン交換によって層状複水酸化物の有機化を行った。得られた粉末を蒸留水250gを3回に分けて用いて洗浄し(1回目;80g、2回目;80g、3回目;90g)、有機化層状複水酸化物1を得た。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例2
ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gを、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(花王社製)1.33gに変えた以外は製造例1と同様にして、層状複水酸化物の有機化を行い、有機化層状複水酸化物2を得た。
有機化処理された層状複水酸化物の製造例3
ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gを、ステアリン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)1.33gに変えた以外は製造例1と同様にして、層状複水酸化物の有機化を行い、有機化層状複水酸化物3を得た。
微細化層状複水酸化物の製造例1〜15
表1〜2に示す層状複水酸化物と可塑剤を、超音波ホモジナイザー(US−300T,日本精機製作所社製)に供して、表1〜2に示す時間粉砕を行った。なお、製造例13、14は、粉砕を行なわずに層状複水酸化物と可塑剤を手攪拌による混合を行なったのみであった。製造例15は層状複水酸化物のみを超遠心粉砕機(ZM200、Retsch社製)に供して粉砕を行った。処理前後の層状複水酸化物の平均粒径を表1〜2に示す。
なお、表1〜2における原料は以下の通りである。
(可塑剤)
可塑剤1:可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、質量平均分子量410
可塑剤2:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合物とのジエステル(大八化学工業社製)、質量平均分子量338
可塑剤3:可塑剤の製造例2で製造したトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート
可塑剤4:可塑剤の製造例3で製造したグルタル酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、質量平均分子量324
可塑剤5:可塑剤の製造例4で製造したコハク酸ジメチルとジエチレングリコールとのオリゴエステル化合物、数平均分子量530
可塑剤6:ジオクチルアジペート(和光純薬工業社製、試薬)
Figure 2014009266
Figure 2014009266
表1及び2より、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で湿式粉砕することより、製造例1〜12の層状複水酸化物は微細化されていることが確認された。
実施例1〜12及び比較例1〜3
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
表3〜4に示す組成物原料を、2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて、回転数100r/min、溶融混練温度190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。なお、比較例3のポリ乳酸樹脂組成物には、可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物を表に示す量、組成物原料として別途配合した以外は、実施例1のポリ乳酸樹脂組成物と同様にしてペレットを調製した。
このペレットをTダイ2軸押出機(日本製鋼所社製 TEX44αII)にて、回転数120r/min、溶融混練温度200℃で溶融混練し、厚さ0.3mmのシート状組成物をTダイから押出し、表面温度20℃に制御した冷却ロールに2秒間接触させ、表3〜4に示す相対結晶化度の非晶シートを得た(厚さ0.3mm)。
熱成形品の調製
次いで、単発真空圧空成形機(脇坂製作所社製、FVS−500P WAKITEC)を用いて、前記切り出したシートをガイドに取り付け、ヒーター温度を400℃に設定したヒーター部中での保持時間を変えることで、シート表面の温度が70〜90℃となり、熱成形可能な状態までシートを加熱・軟化させた後、シートを表面温度90℃に設定した上下金型を用いて真空成形を行い、金型内で10秒間保持した後に脱型し、熱成形品を得た。シート表面の温度は、加熱後のシート表面温度を直接表面温度計にて測定した。なお、使用した金型を図1に示す。
なお、表3〜4における原料は以下の通りである。
<ポリエステル樹脂>
NW4032D:ポリ乳酸樹脂、ネイチャーワークスLLC社製、ポリ−L−乳酸、NatureWorks 4032D
<微細化層状複水酸化物>
製造例1〜15:表1〜2に記載の製造例1〜15で調製された層状複水酸化物の微細化物
<可塑剤>
可塑剤1:可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル
<結晶核剤>
スリパックスH:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製
<加水分解抑制剤>
カルボジライトLA−1:ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル社製
得られた成形体の特性を、下記の試験例1〜3の方法に従って評価した。結果を表3〜4に示す。
試験例1<結晶性の評価>
非晶状態のシート及び熱成形品について7.5mg精秤し、アルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温した。1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求め、得られた値から、下記式により相対結晶化度(%)を求めた。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
試験例2<耐熱性の評価>
熱成形品天面の平坦部から幅1cm長さ4cmのサンプル片を切り取り、JIS−K7198に基づいて、動的粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 EXSTAR6000)にて、周波数10Hz、昇温速度2℃/min、−20℃から80℃の温度領域における貯蔵弾性率(E’)を測定し、80℃における貯蔵弾性率(MPa)を求めた。数値が180以上であれば耐熱性に優れることを示す。
試験例3<透明性の評価>
得られた成形体について、JIS 7105に基づいて、ヘイズメーター(HM−150型 村上色彩技術研究所社製)を用いて、Haze値を測定し、これを透明度の指標とした。数値が低いほど透明性に優れることを示す。
Figure 2014009266
Figure 2014009266
表3〜4の結果から明らかなように、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の成形体(実施例1〜12)は、透明性に優れ、かつ、80℃における貯蔵弾性率が大きく耐熱性に優れることが示唆される。
本発明の熱成形品は、透明性及び耐熱性に優れることから、食品容器、日用品や家電製品の包装材料、工業用部品のトレイ等、様々な用途に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸樹脂と、層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程を有する方法により得られた層状複水酸化物の微細化物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物からなる熱成形品。
  2. 可塑剤がカルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルを含む、請求項1に記載の熱成形品。
  3. 層状複水酸化物が、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、脂肪酸、及びそれらの塩からなる群より選ばれる有機化剤によって有機化されたものである、請求項1又は2に記載の熱成形品。
  4. 層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化する工程が、層状複水酸化物と可塑剤とを質量比(層状複水酸化物/可塑剤)が1/99〜50/50となる範囲内で用いて微細化する工程である、請求項1〜3いずれか記載の熱成形品。
  5. カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが、分子中に2個以上のエステル基を有するエステルであって、該エステルを構成するアルコール成分が、水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールを含有してなる、請求項2〜4いずれかに記載の熱成形品。
  6. 下記工程(1)〜(4)を含む熱成形品の製造方法。
    工程(1):層状複水酸化物を可塑剤の存在下で微細化して、層状複水酸化物の微細化物を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた層状複水酸化物の微細化物及びポリ乳酸樹脂を含有するポリ乳酸樹脂組成物用原料を溶融混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程
    工程(3):工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
    工程(4):工程(3)で得られたシートを、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域中で熱成形して相対結晶化度80%以上に結晶化させた熱成形品を得る工程
  7. 工程(1)が、層状複水酸化物と可塑剤の混合物を粉砕して、層状複水酸化物の微細化物を得る工程である、請求項6に記載の熱成形品の製造方法。
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