JP2001032869A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JP2001032869A
JP2001032869A JP11206577A JP20657799A JP2001032869A JP 2001032869 A JP2001032869 A JP 2001032869A JP 11206577 A JP11206577 A JP 11206577A JP 20657799 A JP20657799 A JP 20657799A JP 2001032869 A JP2001032869 A JP 2001032869A
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friction
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organic
friction material
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JP11206577A
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Katsunobu Mitsune
勝信 三根
Masataka Kawabata
昌隆 川端
Fumio Ueda
文雄 植田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機質の繊維質材料よりなる基材を用いて大き
な摩擦係数を発現させる。 【解決手段】繊維質材料よりなる基材と、充填材と、分
子中に金属原子と有機鎖とをもち基材に含浸された有機
無機複合バインダとよりなり、充填材には少なくともグ
ラファイトを含む。グラファイトが有機無機複合バイン
ダと結合して硬質の複合材料が形成されると考えられ、
大きな摩擦係数が発現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、産業機
械、鉄道車両などの動力伝達系のクラッチフェーシング
などに用いられる摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】湿式クラッチのフェーシングなどの摩擦
材は、例えば特公昭58-47345号公報などに開示されてい
るように、有機繊維を基材とし、それに各種充填材を配
合するとともに、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂よ
りなるバインダを含浸固化させてなる紙質の摩擦材が多
く用いられている。
【0003】ところが上記した紙質の摩擦材は、紙状の
基材及びバインダがいずれも有機質であるということか
ら、耐熱性が低く摩擦係数も小さいという問題があり、
この問題を解決するために種々の対策がとられている。
【0004】この対策として、例えばクラッチフェーシ
ングでは摩擦板の数を多くしたり、面積を大きくするこ
とが行われている。しかしこのような対策を講じると、
湿式クラッチ構造が複雑かつ大規模となってエネルギー
損失が大きくなり、コストも高いものとなる。
【0005】一方、例えば銅系の焼結摩擦材料を湿式ク
ラッチに適用する試みも行われている。このような焼結
摩擦材を利用できれば、摩擦板の数が少なく面積が小さ
くとも耐熱性や耐圧強度を満足させることができ、上記
問題を解決することができる。
【0006】また特開平7-197016号公報には、シロキサ
ン結合と有機基を有するシリコーン樹脂をバインダとし
た湿式摩擦材が開示されている。このようなシリコーン
樹脂は、シロキサン結合により屈曲性に富み、かつ柔軟
である。したがってこのシリコーン樹脂をバインダとし
た摩擦材は、相手材との接触面積が増大し高トルク容量
を確保することができる。さらに摩擦材の歪み特性が適
正となるために、摩擦係数が安定化する。
【0007】そして従来の紙質の摩擦材では、カシュー
ダストやグラファイトなどの摩擦調整剤を充填材として
配合することが行われている。また充填材の効果を最大
限に引き出すために、充填材を相手材と摺接する表層部
に多く配合することも行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし多くの焼結金属
系の摩擦材は、摩擦係数が有機質の摩擦材より小さい場
合が多く、近年の高性能化した自動車の湿式クラッチ用
としては摩擦特性が不十分であった。また特開平7-1970
16号公報に開示された摩擦材では、その摩擦係数が 0.2
未満と小さく、剪断強度も十分でないため耐久性が低い
という不具合があった。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、有機質の繊維質材料よりなる基材を用いて
大きな摩擦係数を発現させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の摩擦材の特徴は、繊維質材料よりなる基材と、充填
材と、分子中に金属原子と有機鎖とをもち基材に含浸さ
れた有機無機複合バインダとよりなる摩擦材であって、
充填材には少なくともグラファイトを含むことにある。
【0011】また上記摩擦材において、充填材はカシュ
ーダストとグラファイトからなることがさらに望まし
い。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明者は、高い摩擦係数を発
現するために摩擦材の要素としての結合材に着目し、鋭
意研究した結果、分子中に金属原子と有機鎖とをもつ有
機無機複合バインダを開発した。この有機無機複合バイ
ンダは、有機基置換金属アルコキシドを加水分解して調
製されたゾル溶液を繊維質材料よりなる基材に含浸さ
せ、乾燥・焼成することによって繊維質材料を結合する
ものである。
【0013】この有機無機複合バインダを用いた湿式摩
擦材では、有機無機複合バインダのSi骨格などが表層部
に集中するため高い摩擦係数を示す。しかしさらなる研
究により、充填材によって有機無機複合バインダの効果
の発現が大きく左右されることが明らかとなった。
【0014】そこで本発明の摩擦材では、有機無機複合
バインダを含む摩擦材において、充填材として少なくと
もグラファイトを含んでいる。グラファイトを含むこと
により、充填材を含まない場合あるいはカシューダスト
などグラファイト以外の充填材のみを含む場合に比べて
摩擦係数がさらに大きくなる。こうなる理由は明らかで
はないが、グラファイトが有機無機複合バインダと結合
して硬質の複合材料が形成されると考えられ、これによ
り摩擦係数がさらに大きくなると考えられる。
【0015】また、カシューダストは摩擦係数の向上に
きわめて効果的な充填材であるが、耐熱性が低いという
欠点がある。しかしグラファイトとカシューダストを共
存させることにより、摩擦面に発生した熱がグラファイ
トによって逃げやすくなると考えられ、カシューダスト
の耐熱性が低いという欠点が補われるため摩擦係数をさ
らに大きくすることができる。
【0016】したがってグラファイトとカシューダスト
を混合して用いることが好ましい。特に充填材の全体 1
00重量%中にカシューダストが90重量%以下の割合で含
まれ、残部がグラファイトの場合に摩擦係数が最も大き
くなる。充填材中のカシューダストの量が90重量%を超
えると、グラファイトの作用が奏されにくくなり摩擦係
数が小さくなってしまう。
【0017】基材を構成する繊維質材料としては、ガラ
ス繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、セラミ
ック繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カオリ
ン繊維、ボーキサイト繊維、カヤノイド繊維、ホウ素繊
維、マグネシア繊維、金属繊維などの無機繊維、リンタ
ーパルプ、木材パルプ、合成パルプ、ポリエステル系繊
維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリビニル
アルコール変性繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリプロピ
レン繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、アクリル繊
維、炭素繊維、フェノール繊維、ナイロン繊維、セルロ
ース繊維などの有機繊維の一種又は複数種を用いること
ができる。
【0018】有機無機複合バインダは、分子中に金属原
子と有機鎖とをもつものであり、有機基置換金属アルコ
キシドを加水分解して調製されたゾル溶液から形成され
たものを用いることができる。有機基置換金属アルコキ
シドとしては、分子内にケイ素(Si)、アルミニウム
(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などを含む
金属アルコキシドのアルコキシル基の一部がアルキル基
に置換されたものを用いることができる。
【0019】またアルコキシル基の全部が有機基で置換
されていない金属アルコキシドを併用することも好まし
い。金属アルコキシドと有機基置換金属アルコキシドと
の重量比は、金属アルコキシド:有機基置換金属アルコ
キシド=3:7〜0:10の範囲とすることが好ましい。
金属アルコキシドの量がこの範囲より多くなると、摩擦
材の柔軟性が低下し、接触面積の低下により摩擦係数も
低くなってしまう。
【0020】金属アルコキシド又は有機基置換金属アル
コキシドのアルコキシル基としては、炭素数が1〜5の
アルコキシル基が望ましい。また有機基置換金属アルコ
キシドの有機基としては、炭素数が1〜10ものが好まし
い。炭素数がこの範囲の有機基をもつ有機基置換金属ア
ルコキシドを用いることにより、得られる摩擦材の剪断
強度などが向上する。
【0021】ゾル溶液には、さらにシロキサン骨格に有
機基を含むシリコーン樹脂を含むことが望ましい。この
ようにすれば、得られる摩擦材のバインダの一部を軟質
のシリコーン樹脂が構成することとなるため、柔軟性が
向上し摩擦係数を一層高くすることができる。シリコー
ン樹脂の混合量は、有機無機複合バインダとシリコーン
樹脂の合計を 100重量部とした場合、5〜70重量部の範
囲が好ましい。シリコーン樹脂量がこれより多くなると
摩擦係数が小さくなり、これより少なくなると添加した
効果が発現されにくい。
【0022】有機無機複合バインダには、少なくとも4
価の金属元素を含む金属元素が2種類以上含まれている
ことが望ましい。これによりさらに大きな摩擦係数と高
い耐摩耗性が確保される。このようになる理由は明らか
ではないが、一つの金属元素を主体として構成されてい
る空間に他の金属元素が導入されることとなるため、分
子内に適当なねじれが生じて内部応力が発生することに
より有機無機複合バインダの骨格強度が増大すると考え
られる。
【0023】少なくとも4価の金属元素を含む金属元素
は、互いに価数が異なることがさらに望ましい。すなわ
ち、例えば4価の金属元素と3価の金属元素を含んだ
り、4価の金属元素と2価の金属元素を含むことが望ま
しい。これにより摩擦係数がさらに増大し、耐摩耗性も
さらに向上する。
【0024】4価の金属元素としては、ケイ素(Si)、
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)が例示される。また
3価の金属元素としてはアルミニウム(Al)、ガリウム
(Ga)、鉄(Fe)などが例示され、2価の金属としては
マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(B
a)などが例示される。また場合によっては、例えばカ
リウム(K)、ナトリウム(Na)など1価の金属元素も
用いることもできる。
【0025】3価の金属元素は、有機無機複合バインダ
中の全金属元素の原子数に対して 0.1〜5%の範囲で含
むことが好ましい。3価の金属元素がこの範囲より少な
くても多くなっても耐摩耗性が低下し、この範囲内にあ
ることで耐摩耗性が著しく向上する。
【0026】また2価の金属元素は、有機無機複合バイ
ンダ中の全金属元素の原子数に対して 0.2〜10%の範囲
で含むことが好ましい。2価の金属元素がこの範囲より
少なくても多くなっても耐摩耗性が低下し、この範囲内
にあることで耐摩耗性が著しく向上する。
【0027】充填材としては、グラファイトあるいはグ
ラファイトとカシューダストとの混合物の他に他の充填
材を併用することもできる。他の充填材としては、例え
ば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化珪素、窒化ホ
ウ素、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ラバーダスト、
珪藻土、タルク、カオリン、酸化マグネシウム、二硫化
モリブデン、ニトリルゴム、アクリロニトリル・ブタジ
エンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、フ
ッ素ゴムなどの一種又は複数種を適量用いることができ
る。この充填材の粒径は、50μmを超えると摩擦材表面
の凹凸が大きくなり相手材との総接触面積が相対的に小
さくなるため、50μm以下とすることが望ましい。
【0028】充填材は、摩擦材全体にほぼ均一に含まれ
ている場合には、繊維基材 100重量部に対して10〜30重
量部とすることができる。この範囲より少ないと摩擦係
数の向上がみられず、この範囲より多く配合しても摩擦
材の耐熱性が低下し、相手材との接触面積が低下して摩
擦係数も低くなってしまう。
【0029】また充填材は、相手材と摺接する表層部に
多く含まれていることが望ましい。このようにすること
で充填材の作用が確実に奏されるとともに、全体に均一
に含まれる場合に比べて充填材の使用量を低減しても同
等の効果が得られる。
【0030】つまり充填材を相手材と摺接する表層部に
多く含む場合、充填材は少量でも効果が発現されるた
め、繊維基材 100重量部に対して1〜50重量部含まれて
いるように構成しても大きな摩擦係数が発現される。そ
して摩擦材の表層部以外は充填材が少ないので、十分な
柔軟性を確保でき、相手材への追従性に優れるため接触
面積の増大により摩擦係数が一層大きくなる。
【0031】湿式摩擦材を製造する場合には、有機無機
複合バインダが紙状の基材に含浸される。紙状の基材
は、前述した繊維質材料から抄紙法などにより製造する
ことができる。そして紙状の基材に有機無機複合バイン
ダを含浸させるには、少なくとも有機基置換金属アルコ
キシドを加水分解してゾル溶液を調製する第1工程と、
ゾル溶液を紙状の基材に含浸させて含浸基材を調製する
第2工程と、が順に行われる。
【0032】第1工程は、少なくとも有機基置換金属ア
ルコキシドを溶解したアルコール溶液に水を添加するこ
とで行うことができ、これにより水酸化物のゾル溶液が
生成する。なお第1工程では、酸又はアルカリを加えた
り加熱することによって反応性の向上を図ることが望ま
しい。
【0033】第2工程では、第1工程で調製されたゾル
溶液が紙状の基材に含浸され、ゾルが繊維間に含浸した
含浸基材が調製される。
【0034】第2工程で用いられる紙状の基材は、予め
水酸基導入処理を行っておくことが望ましい。これによ
り導入された水酸基によって、紙状の基材と有機無機質
のバインダとの結合強度が大幅に向上し摩擦特性がさら
に向上する。
【0035】この水酸基導入処理としては、例えば酸で
処理する方法がある。酸としては無機酸及び有機酸のい
ずれも用いることができるが、酢酸、シュウ酸などの有
機酸を用いることが好ましい。有機酸を用いれば、後述
の熱処理時に残留している酸成分が分解して消失するの
で、摩擦特性に与える影響を無視することができる。
【0036】なお酸処理は、酸溶液中に紙状の基材を浸
漬したり、酸溶液を吹き付けたりして紙状の基材に含浸
させることで容易に行うことができる。
【0037】また他の水酸基導入方法としては、水酸化
ナトリウム水溶液などアルカリ水溶液中で処理する方
法、沸騰水中で処理する方法、超臨界水蒸気処理などが
あり、いずれを用いても紙状の基材に水酸基を導入する
ことができるため、有機無機複合バインダとの結合強度
が大幅に向上し摩擦特性がさらに向上する。
【0038】そして紙状の基材に水酸基導入処理を行っ
ていれば、第2工程において生成する水酸化物と紙状の
基材の親和性が増大し、水酸化物の水酸基と紙状の基材
の水酸基とが互いに近接するように配向すると考えられ
る。
【0039】この第2工程は常圧で行ってもよいが、加
圧下あるいは減圧下で行うことも好ましい。これにより
紙状の基材中の空気とゾル溶液との置換が一層容易とな
り、含浸を速やかに行うことができる。
【0040】そして含浸基材を熱処理することにより、
水酸化物のゾルが反応して基材の繊維を強固に結合す
る。また第2工程では、水酸化物のゾル中の有機基が基
材の有機繊維に近接するように配向するため、熱処理に
よって有機繊維と一層強固に結合して強度が一層向上す
る。また有機基により柔軟性が向上し摩擦係数が大きく
なるという効果もある。
【0041】また第2工程において予め紙状の基材に水
酸基導入処理を行っていれば、第2工程で水酸化物のゾ
ルと繊維とがさらに近接するように配向し、熱処理によ
ってゾルと繊維とが一層強固に結合するため強度が一層
向上する。
【0042】熱処理は、 150〜 300℃にて 0.5〜1.0 時
間行うことが望ましい。熱処理温度がこれより低かった
り熱処理時間がこれより短いと十分な強度が得られな
い。また熱処理温度がこれより高かったり熱処理時間が
これより長くなると、有機物の分解が生じて摩擦特性が
低下するようになる。
【0043】熱処理はアンモニアを含む雰囲気中で行う
ことも好ましい。これによりゾル中の金属元素が部分的
に窒化されると考えられ、摩擦係数が一層増大する。ア
ンモニアは少しでも含まれていればその効果が得られる
が、熱処理時の雰囲気空気中に10体積%程度含まれてい
れば最大の効果が得られる。
【0044】熱処理は超臨界条件で行うことも好まし
い。超臨界条件とは、基材及びゾルに含まれる有機物が
気化する直前の状態となる条件をいい、きわめて分子運
動が活発な状態である。加圧により超臨界状態となる温
度が高くなり、分子運動が一層活発になるので、高温・
高圧の条件とされる。つまり高温・高圧の超臨界条件と
することにより、有機物の分解を防ぎつつ反応性を向上
させることができ、未反応部の残留が抑制され大きな摩
擦係数をもつ摩擦材を安定して製造することが可能とな
る。
【0045】湿式摩擦材を製造する場合に充填材を含ま
せるには、基材の抄紙時に填材粉末を懸濁液中に混合し
ておけば、充填材を含む繊維基材が得られる。それにゾ
ル溶液を含浸させ、熱処理により硬化させることで紙状
の湿式摩擦材を製造することができる。
【0046】また、ゾル溶液が含浸された紙状の基材表
面に充填材を振りかけて付着させることもできる。この
方法によれば、表層に充填材が多く分布した二層構造の
摩擦材を容易に製造することができる。
【0047】また乾式摩擦材を製造するには、繊維質材
料とゾル溶液及び充填材を混合して加熱しながら型成形
することで製造することができる。また混合物を紐状に
形成し、それを所定形状に巻き取った後熱プレス処理し
て製造することもできる。
【0048】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。なお、実施例及び比較例の各摩擦材の組
成を表2にまとめて示している。
【0049】(実施例1)先ず繊維質材料としてのアラ
ミド繊維70重量部とセルロース繊維30重量部を水中に投
入して撹拌して分散させ、抄造機を用いて抄紙して抄紙
体とする。それを乾燥し紙状の基材を調製した。
【0050】一方、ガラス容器にエタノール27.6重量部
とメチルトリエトキシシラン( CH3Si(OC2H5)3)20.8重
量部を秤量し、10分間撹拌した。その後、この溶液を撹
拌しながら0.05Nの塩酸水溶液を20重量部滴下し、さら
に24時間撹拌してゾル溶液を調製した。
【0051】次に上記した紙状の基材を摩擦材の形状に
プレスで打ち抜き、上記ゾル溶液中に浸漬してゾル溶液
の所定量を含浸させて含浸基材とした。ゾル溶液の含浸
量はゾルとして30重量%である。
【0052】そして得られた含浸基材の摩擦面側の表面
にグラファイト粉末を振り掛けて供給し、その後30℃で
24時間通風乾燥し、大気中 120℃で1時間熱処理した。
得られた基材を 180℃で10分間プレス成形し、所定形状
の湿式摩擦材を得た。グラファイト粉末は表層部(表面
から 100μmの深さの部分)にのみ含まれ、繊維基材全
体 100重量部に対して10重量部の割合で含まれている。
【0053】得られた湿式摩擦材1を2枚用い、図1に
示すようにコアプレート2の両面に接着して摩擦部材を
作製した。この摩擦部材では、グラファイト粉末を含む
表層部10が両表面に表出し、グラファイト粉末を含まな
いベース基材11がコアプレート2に接合されている。な
お、湿式摩擦材1の厚さ1mmに対して、ベース基材11の
厚さは 0.9mmであり、表層部10の厚さは 0.1mmである。
【0054】この摩擦部材をSAE#2摩擦試験機に装
着し、表1に示す条件にて摩擦試験を行い摩擦係数を求
めた。結果を図2に示す。
【0055】
【表1】 (実施例2)充填材として、重量比でグラファイト:カ
シューダスト=3:7となるように混合した混合粉末を
用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の湿
式摩擦材を調製した。そして実施例1と同様にして摩擦
係数を求め、結果を図2に示す。
【0056】(実施例3)充填材として、重量比でグラ
ファイト:カシューダスト=2:8となるように混合し
た混合粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
実施例3の湿式摩擦材を調製した。そして実施例1と同
様にして摩擦係数を求め、結果を図2に示す。
【0057】(実施例4)充填材として、重量比でグラ
ファイト:カシューダスト=1:9となるように混合し
た混合粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
実施例4の湿式摩擦材を調製した。そして実施例1と同
様にして摩擦係数を求め、結果を図2に示す。
【0058】(比較例1)充填材として、グラファイト
を用いずカシューダストのみを繊維基材全体 100重量部
に対して10重量部となるように用いたこと以外は実施例
1と同様にして、比較例1の湿式摩擦材を調製した。そ
して実施例1と同様にして摩擦係数を求め、結果を図2
に示す。
【0059】(比較例2)充填材を用いなかったこと以
外は実施例1と同様にして、比較例2の湿式摩擦材を調
製した。そして実施例1と同様にして摩擦係数を求め、
結果を図2に示す。
【0060】<評価>
【0061】
【表2】
【0062】図2より、比較例1の摩擦材は比較例2の
摩擦材に比べてやや摩擦係数が大きくなっているもの
の、実施例1の摩擦材に比べて摩擦係数が小さく、充填
材としてはグラファイトが特に優れていることがわか
る。そして充填材中のカシューダストの割合が90重量%
以下であることが好ましく、実施例2の摩擦材のように
グラファイトが30重量%でカシューダストが70重量%付
近の配合比が特に好ましいことがわかる。
【0063】
【発明の効果】すなわち本発明の摩擦材によれば、有機
無機複合バインダによる摩擦係数を大きくする作用がさ
らに増幅され、きわめて大きな摩擦係数が発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の湿式摩擦材をもつ摩擦部材
の断面図である。
【図2】実施例及び比較例の摩擦材の摩擦係数を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1:湿式摩擦材 2:コアプレート 10:表層部 11:ベース基材
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 17/13 D21H 17/13 (72)発明者 植田 文雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J058 BA76 FA01 FA11 FA21 FA31 GA07 GA20 GA28 GA93 GA94 4F071 AA09 AA56 AA74 AB03 AD01 AE17 DA01 DA04 DA05 DA10 4L055 AF09 AF35 AG02 AG03 AG43 AG56 AG99 AH01 AH37 AH50 BE10 BE20 FA30 GA50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質材料よりなる基材と、充填材と、
    分子中に金属原子と有機鎖とをもち基材に含浸された有
    機無機複合バインダとよりなる摩擦材であって、該充填
    材には少なくともグラファイトを含むことを特徴とする
    摩擦材。
  2. 【請求項2】 前記充填材はカシューダストとグラファ
    イトからなることを特徴とする請求項1に記載の摩擦
    材。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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